第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は「MADE BY JMC」を経営理念にしておりビジョンは「ものづくりに知性を。」です。

 経営理念には、製造業におけるJMCという強固なブランドを確立し、私たちが先頭に立って日本の製造業を変えていくという、強い想いが込められています。

 そして、ビジョンでは、製造方法や設備によって自らの事業を定義するのではなく、「社会に求められているもの」や「時代にふさわしいサービス」をとことん考え抜き、既存のものづくりの枠組みに縛られない事業展開によって“最強のサプライヤー”を目指す、当社の姿勢を表現しました。

 

 (行動指針)

 当社の使命は、全てのステークホルダーの利益を尊重しつつ、革新的な製品及びサービスを提供し、顧客満足度を最大化できる価値を創造しつづけることです。

 我々は社会的責任を持って公正かつ倫理的に事業を行い、公平な雇用をし、職場の安全性を守り、我々の業務に適用される全ての法律を遵守します。

 

① 法令等遵守の徹底

 法令・社会的規範、社内諸規程・マニュアル等を遵守します。また、適正な会計処理を行い、事実に基づいた経理処理や証票類の記載を行います。

 

② 高品質とスピードを両立したサービス提供

 関連する法律・ルールを遵守したうえで、お客様の視点を踏まえて、そのニーズを反映した良質なサービスを迅速にご提供します。

 

③ お客様の声への適切な対応

 ご意見、お問い合わせ、クレーム等いかなる「お客様の声」にも誠実に対応するとともに、今後のサービス提供や業務改善に反映します。

 

④ 人権を尊重する職場環境の実現

 職場における差別、各種ハラスメント等の人権侵害行為を許容せず、相互の信頼と良識のある職場環境を実現します。

 

⑤ 快適な職場環境の整備

 社員が能力や個性を存分に発揮するとともに、能力を積極的に向上できる、快適で働きやすい職場環境を整備します。

 

⑥ ステークホルダーとの関係

 ステークホルダーとの関係は、健全かつ節度を保ち、疑義を招くような接待・贈答を行ったり受けたりしません。

 

⑦ インサイダー取引の禁止

 インサイダー取引となりうる株式等の売買は行いません。そのために、当社及び取引先等の内部情報は厳重かつ適切に管理します。

 

⑧ 業務の相互牽制と管理

 あらゆる業務活動において、社員が相互に牽制を働かせるとともに、管理者は所管の業務活動の遂行状況を適切に管理・把握します。

 

⑨ 適切かつ透明な意思決定の確保

 業務活動におけるあらゆる意思決定は、法令や社内の諸規程に則り、合理的根拠に基づいて第三者に説明することを前提として実行します。

⑩ 適切なリスク管理

 あらゆる業務活動において、リスク管理をはかるとともに、各種のリスクを常に適切に管理できる内部管理体制を構築します。

 

⑪ 情報の適切な管理

 当社及びお客様の機密情報に加えて、社員のプライバシーに関わる情報についても守秘する義務があることを意識し、常に適切に管理します。

 

⑫ 適切かつ公正な情報開示

 当社の経営状況及び企業活動への正確な理解を促進するために、ステークホルダーへの適切かつ公正な情報開示に努めます。

 

⑬ 知的資産の適切な保護

 あらゆる業務活動において、第三者が保有するすべての知的資産を尊重するとともに、当社が保有する知的資産を適切に保護し役立てます。

 

⑭ 反社会的勢力との関係の拒絶

 反社会的な団体や勢力との関与を断固として拒絶し、そうした活動を助長する行為は一切行わず、毅然とした姿勢で臨みます。

 

(2)経営戦略等

 当社の経営戦略の現状と見通しは以下のとおりです。

 

(3Dプリンター出力事業)

 試作はものづくりの上流に位置する工程になります。当社は、砂型3Dプリンターなど、新しい装置を適宜導入しており、事業拡大に貢献する3Dプリンターを積極的に利用する考えであります。3Dプリンターに対する認知度も高まっており、今後も受注状況は底堅く推移するものと考えております。

 医療用実体モデルについては、自社製品である「HEARTROID」を、オーダーメイドモデルの受託サービスにより、受注数を増やしております。医療機器メーカーからのニーズを「HEARTROID」の新製品開発に生かし、ラインナップを増やしていくことで、規格製品の売上増を見込めると考えております。また、「HEARTROID」の販売においては、国内外の代理店契約を進め、販路拡大により売上増を見込めると考えております。

 医療機器製造販売については、販売体制の整備を進めるとともに効率化による販売管理コストの低減を図ってまいります。

 

(鋳造事業)

 砂型鋳造については、人為的不具合による再作の削減、外注加工の粗利率管理を徹底していくとともに、技術的難易度の高い案件についても、再作コスト削減に引続き取り組んでまいります。

 コンセプトセンターの第6期棟が稼働を開始し、砂型3Dプリンターを導入いたしました。大型化・複雑化する設計に対して、これまで手作業で造型することのできなかった複雑な砂型が製作でき、付加価値の拡大や工期短縮を目指します。

 また、砂型造形の受託サービスを開始することによって、自動車メーカーや砂型鋳造を手がける一次サプライヤーを中心に新たな顧客層の獲得が見込めると考えております。

 加工工程については、ミーリングセンターを新設し、従来は外注委託していた案件を内製化することにより、当該事業の利益率を改善することを目指してまいります。

 

(CT事業)

 検査・測定サービスでは、物体の内部形状の測定、評価、非接触検査による製品の品質検査及び部品の撮像サービスを行っております。当該サービスの需要は堅調に推移しております。今後も需要は堅調に推移するものと考えており、製品評価やリバースエンジニアリング等、非接触での内部形状評価及びデータ化による売上増が見込めると考えております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について、数値的な目標を特段定めておりませんが、中長期視点で経営基盤を確立するために、売上高、営業利益、営業利益率を重視した経営管理を行っております。

 

(4)経営環境

 少子高齢化社会の到来による消費力の減少、人件費の高騰による製造部門の国外流出等、「ものづくり」を取り巻く環境は厳しい状況となっています。そのような経済環境のもと、当社は、3Dプリンター、鋳造工法及び産業用CTを融合した独自のものづくり技術を駆使して、事業に取り組んでおります。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社が、事業推進上重要課題と認識している点は、以下のとおりであります。

 

(3Dプリンター出力事業)

① 心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID(ハートロイド)」の普及

 当社は、心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID(ハートロイド)」の展示会への出展や営業活動により、拍動ポンプによる血流の再現化、顧客ニーズに応じたカスタマイズ化等の付加価値を市場に普及してまいりましたが、更なる市場拡大に向けて、積極的な国内外への営業活動に注力し、付加価値を市場に普及することで収益拡大に努めてまいります。

 また、心臓疾患に留まらず、他領域のカテーテル治療にも対応できるトレーニングシミュレーターのプラットフォーマーを目指し、大阪大学循環器内科と協力し、研究開発を継続してまいります。

 

② 医療機器分野への参入

 当社は、「高度管理医療機器等販売業・貸与業」、「医療機器製造業」及び「医療機器製造販売業」の許可を取得し、2019年に医療機器の薬事取得を完了した商材について国内販売を開始しました。当該事業の立ち上げに時間を要してはおりますが、効率的な営業活動による利益率の改善を図るとともに、当社の技術を活かした製品の製造に繋げるべく、医療機器分野における事業基盤の確立に取り組んでまいります。

 

(鋳造事業)

内製化の拡大

 当社は、加工工程の生産体制を拡充し、技術的難易度の高い案件ニーズに技術的に対応することと受注獲得を増加させることを目的に、ミーリングセンターを設立いたしました。2020年12月期上半期はその立ち上げに注力してまいります。加工工程を有する受注案件において、これまで外注委託していた案件を内製化することで利益率の改善を図ってまいります。

 

航空宇宙分野への参入

 当社は、2015年に取得したJISQ9100認証の取得と、自動車・産業機械・船舶などの試作品製造で培われた鋳造技術を活かし、航空宇宙分野へ本格参入すべく、生産管理・品質保証体制の強化に努めてまいります。

 

(CT事業)

検査・測定サービスの市場開拓及び技術普及

 当社は、産業用CTの全ての領域(ミリ/マイクロ/ナノフォーカス/高エネルギーX線)を顧客ニーズに応じて使い分け、ソフト面、ハード面ともに国内最高水準の検査・測定サービスを提供してまいりました。更なる売上高の拡大には、当社の産業用CTによる検査・測定サービス技術を新規分野へ普及させることが必要不可欠であり、展示会、セミナー、営業活動に注力し、普及を進め売上高拡大に努めてまいります。

 

 

(全社)

⑥ 人材の確保、育成

 変化する事業環境に最適な企業構造を保ちつつ、長期的な成長を担保するために、優秀な人材の確保、育成が急務であります。当社では、3Dプリンター出力事業と鋳造事業及びCT事業、また製造部門と営業部門を横断できるゼネラリスト型の人材と、製造業特有の技術・知識に長けた職人型の人材の両面の育成が課題であり、これらに関し中長期的視野で取り組んでまいります。

 

⑦ ブランドの知名度向上

 当社が完成品メーカーの単なる下請けではなく、3Dプリンターと鋳造工法による高品質なものづくりを行うことや、産業用CTによる検査・測定において、対等なパートナーとして主体的に関わっていくためには、製品の品質やサービス等に裏付けられたコーポレートブランドを確立していくことが重要と考えております。そのため、営業活動におけるサービスや採用活動において、費用対効果を見極めながら広報宣伝やIR、PR活動を推進させることを課題と認識し、工場の設計からウェブサイトや各種パンフレットに至るまで一貫したコンセプトで作成し、コーポレート・アイデンティティの構築とそのブランディングに取り組んでまいります。

2【事業等のリスク】

 当社の事業の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下に記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の有価証券に関する投資判断は本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が記載が妥当であると判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 市場環境について

 当社は、工業製品の新製品開発における試作品作製と少量量産品の作製を行っております。各メーカーにはそれぞれの開発サイクルがあり、特に自動車メーカーにおける開発予算の圧縮、開発スケジュールの変更やモデルチェンジサイクルの変化等の影響を受ける可能性があります。

 

② 試作開発環境について

 各メーカーごとに開発手法は異なり、試作品での検証を繰り返す手法もあれば、試作品を作製せずCADソフト上のみで検証を行う試作品レスの手法もあります。今後、試作品レスの手法が主流となった場合、試作品作製のニーズが低減する可能性があります。

 

③ 3Dプリンターへの需要拡大について

 近年の3Dプリンターに対する需要拡大は、主に消費者向けの低価格3Dプリンターの出現により生まれた現象であります。低価格3Dプリンターで作製できるモデルの品質は限定的であること、また機械の運用よりも作製するモデルの3次元CADデータ作成の難易度が高いことから、この需要の拡大が継続しないことが想定され、当社においても、受注案件の減少に繋がる可能性があります。

 

④ 特定分野への依存について

 当社は、輸送用機器分野における試作品・鋳造品等の受注が多く、複数の顧客と取引を行うことでリスク分散を図っておりますが、当該分野の景気が悪化した場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 競合企業について

 当社は、3Dプリンター、鋳造工法による試作品・少量量産品の作製を事業領域としておりますが、特に3Dプリンターの分野では、大手企業を含む多くの企業が3Dプリンターへの需要拡大の影響から事業展開を進め始めており、新たな競合企業が現れる可能性があります。今後、サービスレベルや製品品質で十分な差別化が図られなかったり、新規参入等により競争が激化した場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 顧客の財務状況について

 当社は、顧客について信用調査をした上で取引を行っておりますが、係る調査が効果的ではない可能性があり、事業環境の変化等により、当社の顧客が支払不能、倒産等に陥った場合、係る顧客から売掛債権を回収できず、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ 法的規制について

 当社の事業においては、「製造物責任法」「下請代金支払遅延等防止法」「知的財産基本法」等の各種法令やガイドライン等による規制を受けております。こうした法令の制定や改正等、当社の事業に関する事項が規制を受けた場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)事業の運営体制に関するリスク

① 特定経営者への依存について

 当社の事業の推進者は、代表取締役社長兼CEOである渡邊大知及び専務取締役兼COOである鈴木浩之であります。両名は、当社の3Dプリンター出力事業、鋳造事業及びCT事業開始からの事業責任者であり、経営方針や戦略の決定をはじめ、営業、製造技術の各方面の事業推進において重要な役割を果たしており、その決定により当社の事業が左右される可能性があります。当社では、過度に両名に依存しない経営体制を構築すべく、役職者が一堂に会する経営会議制度、組織体制の整備や予算管理の高度化等の経営体制の構築を推進しております。しかしながら、両名のいずれか又は両名が離職又は業務執行が困難となるような事態が生じた場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

② 新工場の本稼働について

 当社は、鋳造事業の加工工程を主とするミーリングセンター(静岡県浜松市浜北区)を新設いたしました。

 ミーリングセンターにおいては、工場本稼働に向けて機械装置導入や必要な各工程の人材採用等を計画に基づき進めております。しかしながら、機械装置の導入の遅延や人材確保が遅延若しくは困難となるような事態が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 人材の確保・育成について

 当社の鋳造事業においては、業界全体の衰退が進んでいるため、外部からの技術継承が困難となっております。そのため、確固とした技術教育制度を自社内に構築しなければ、高度なものづくりを維持することが困難となり、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

内部管理体制について

 当社では、コーポレート・ガバナンスの充実を図る多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

小規模組織であることについて

 当社は従業員134名(2019年12月31日)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は、今後の急速な事業拡大に応じて従業員の育成や採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これら施策が適時適切に進行しなかった場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

システム障害について

 当社は、顧客との作製データの受領等は、主にインターネット通信を利用して行っておりますが、人為的ミス、通信ネットワーク機器の故障、アクセス数の急激な増大、ソフトウェアの不具合、コンピュータウィルス、停電、自然災害、事故等により、システム障害が発生する可能性があります。当社では定期的なバックアップや稼動状況の監視により事前防止又は回避に努めておりますが、こうした対応にも関わらず、システム障害が発生し、サービス提供に障害が生じた場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ 特定の仕入先で依存度の高い取引について

 当社の3Dプリンター出力事業における原材料は、その大半をシーメット株式会社(注1)及びアールピーエンジニアリング株式会社(注2)から仕入れており、原材料仕入高に占める両社への依存度は前事業年度において77.8%、当事業年度において69.9%であります。両社との関係は良好であると認識しております。しかしながら、両社との取引が何らかの事情で継続できなくなった場合、一時的な混乱が生じ、事業の効率的な運営に悪影響が生ずる可能性があります。

 

(注)1.シーメット株式会社

東証一部上場企業であるナブテスコ株式会社の子会社で、光造形・砂型積層造形装置を販売しております。1988年に光造形装置国産1号機を販売しております。

 

2.アールピーエンジニアリング株式会社

3Dプリンターの修理及び保守メンテナンス、材料の販売などを行っている会社です。

 

⑧ 多額の設備投資について

 当社は、生産能力増強を図るため積極的な設備投資を行っております。生産設備の設備投資の決定は極めて重要な経営判断項目であることから、当社では市場動向、競合他社動向を考慮しつつ、事業戦略及び設備投資の収益性等を総合的に勘案して、実施しております。しかしながら、経済動向や市場動向を正確に予測することは困難であり、多額の設備投資に対して受注が想定どおりに拡大しなかった場合には、減価償却費負担が収益性を圧迫し、使用設備の除却や減損が生じ、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑨ 機密保持について

 当社は、事業の性格上、新製品開発に関する顧客の機密情報を取り扱う機会が多いことから、機密保持を経営上の最重要課題と認識しております。顧客のCADデータを取り扱うことから、ネットワーク、ファイアウォール、サーバー及びパソコン管理並びにアクセス制御等、ハードとソフトの両面から総合的な管理を行うとともに、定期的な社内教育の実施により当社の機密保持レベルの向上に努めております。しかしながら、不測の事態により、万一、機密情報が外部へ漏洩するようなこととなった場合、当社の信用失墜に伴う受注の減少や損害賠償による費用の発生等により当社の経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑩ 製品の品質について

 当社は、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001、航空宇宙分野における品質規格JISQ9100の認証を取得し、品質管理活動に継続的に取り組んでおります。また、当社の過失により製造物の欠陥が発生した場合に備え、賠償責任保険に加入しております。しかしながら、製造物の欠陥が生じた場合は、損害賠償による多額の費用発生や社会的信用の低下により、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

業績の季節偏重について

 当社は、メーカーの開発部門が主要な顧客となっており、顧客の決算期が集中する3月・9月に売上が増加する一方で、工場が長期休暇により稼動が止まる5月・8月は売上が減少するなど、顧客の決算期や稼動状況によって業績が偏重する傾向にあります。また、顧客の開発計画によっても業績が偏重する傾向にあります。当社は、一部の業界に偏らず、自動車、医療機器、産業機器等、幅広い分野のメーカーへの事業展開を進めることで、年間を通じて安定した収益の確保に努めている一方、顧客の決算期である3月・9月に何らかの事由により売上が減少した場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

新規事業について

 当社は、多様化する顧客ニーズに対して、作製工法、取扱可能な素材を拡充することで、より幅広い分野の顧客を開拓することを目的として、新規事業の創出を検討し、実施しております。新規事業の必要性を十分検討した上で、事業開発を行っていきますが、市場環境の影響で顧客の獲得や製品・商品の販売に結びつかなかった場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑬ 工場の環境整備について

 当社は、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適用を受けております。当社は、環境整備活動を重要な方針の一つとして掲げ、工場の環境整備を進めております。しかしながら、事故や自然災害により不測の環境汚染が生じる場合、当社が現在稼動させている工場用地等において汚染物質が発見された場合、新たな環境規制の施行によって多額の費用が発生した場合、環境規制を遵守できない場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

積極的なブランド戦略について

 当社は、積極的なPR及び情報発信を行っておりますが、それらの自社メディア上において、意図しない不適切とみなされる表現等により、レピュテーションリスクが発生する可能性があり、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑮ 鋳造工場の安全対策について

 当社の鋳造事業においては、高温な溶解炉や切断用機械等、従業員の作業上、危険を伴う設備を数多く保有しております。従業員の安全を守るための作業上の基準を設けておりますが、不慮の事故等が発生した場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)知的財産等に関するリスク

 当社では、知的財産権が重要な経営資源の一つであると認識しております。更に、知的財産権の保全にも積極的に取り組んでおります。職務発明規程を制定し、知的財産権の取得を行っております。しかしながら、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合、解決までに多くの時間及び費用がかかる等、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。また、当社が事業活動を行う上での3Dプリンター、鋳造の各工法は第三者の知的財産権等を侵害するものではないと認識しております。しかしながら、不測の事態、あるいは何らかの不備により第三者の知的財産権等を侵害してしまう可能性、紛争及び訴訟等の対象となる可能性又は当社の工法について侵害を主張され、防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性があります。

 

(4)自然災害、事故災害に関するリスク

 当社では、主要工場の操業停止の影響を最小限にするため、生産拠点を国内で分散するとともに、国内全拠点において一定規模の災害を想定して建物、機械装置等の安全性確保、各種防災機器の設置、バックアップ電源の確保等の施策を講じておりますが、想定を超える大規模な災害が発生した場合、当社の事業、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(5)その他のリスク

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、当社の業績向上に対する役職員の意欲を高めることを目的として、ストックオプション(新株予約権)を発行しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式総数は376,800株であり、発行済株式総数5,282,100株の7.13%に相当します。今後、これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

② 配当政策について

 当社は、経営成績及び財務状態を勘案しながら、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。

 しかしながら、第23期(2014年12月期)より業容拡大のため設備投資を優先しており、無配としております。将来的には、配当を行う方針でありますが、当面は無配の予定であります。

 現在におきましても、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。ただし、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点で未定であります。

 

③ 固定資産の減損について

 当社は、工場建物、生産用の機械装置等の固定資産及びソフトウエア資産を保有しております。固定資産の貸借対照表計上額につきましては、当該資産から得られる将来のキャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価しております。しかしながら、競合やその他の理由によって事業収益性が低下し、当該資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合、減損の認識が必要となり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 繰延税金資産の回収可能性について

 当社は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を評価しております。その見積額が減少し、将来において繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合、あるいは税制変更等による税率の変更があった場合、延税金資産が減額され当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1)経営成績

 当事業年度における世界経済は、米中貿易摩擦や英国EU離脱交渉に伴う混乱等の影響に加え、中国をはじめとする東アジア諸国に景気減速感が拡大したことにより、当事業年度後半から厳しい市況が継続いたしました。国内においても、当事業年度当初は緩やかな回復傾向の継続が伝えられておりましたが、米中貿易摩擦の深刻化に伴い、製造業を中心に不透明感が拡大し、当事業年度後半には市場環境の悪化が顕著となりました。

 このような環境の中、当社を取り巻く試作・開発市場は、当事業年度後半から、製造業全般を覆う不透明感に加え、国内自動車メーカーの業績不振や大手自動車部品メーカーの事業統合等の複合的影響により、同市場内の案件数が激減いたしました。

 3Dプリンター出力事業(3Dプリンターによる試作品、各種部品・商品の製造、販売)、鋳造事業(砂型鋳造による試作品、各種部品の製造、販売)、CT事業(産業用CTの販売および検査・測定サービスの提供)の3事業からなる当社は、試作・開発市場の環境変化に翻弄され、当事業年度の業績は大変厳しいものとなりました。特に自動車産業界への依存度が高い鋳造事業における業績の浮沈が著しく、売上高の伸張の鈍化が全社営業利益低下の主因となりました。

 また、医療機器販売の開始による人件費や販売促進費用の増加、ミーリングセンター(静岡県浜松市浜北区)の翌事業年度の稼働開始に向けた人員採用に関する費用の増加や、新設するマシニングセンタ(金属加工機)の備品・消耗品・什器備品の購買、更にブランドリニューアルに伴う広告宣伝費の増加などが、販売費及び一般管理費が増加する一因となりました。

 この結果、当事業年度の経営成績は、売上高2,809,054千円(前期比8.8%増)、営業利益265,016千円(前期比19.6%減)、経常利益264,087千円(前期比21.9%減)、当期純利益164,396千円(前期比23.4%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(3Dプリンター出力事業)

 3Dプリンター出力事業におきましては、「短納期」・「高品質」の強みを活かした営業及び製造に注力し、また、顧客のニーズに最適な試作工法の提案を積極的に進め顧客の拡大を図ったものの、試作・開発市場の案件数が減少するなか、当事業年度後半においては受注が伸び悩み、厳しい業績となりました。更に、当社が当事業年度よりビジネスを開始しております医療機器販売においては、カテーテル被覆保護材「セキュアポートIV(アイブイ)」(医療機器届出番号:14B1X10020000001)及び骨折・疾患のある関節または疼痛のある捻挫等患部を固定するためのギプス包帯「OPENCAST(オープンキャスト)」(医療機器届出番号:14B1X10020000002)の販売の立ち上げが難航し、販売に掛るコストを賄うことができなかったため、当該事業のセグメント利益を押し下げる結果となりました。

 一方で、心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID(ハートロイド)」においては、展示会への出展や営業活動により、拍動ポンプによる血流の再現化、顧客ニーズに応じたカスタマイズ化等の付加価値が市場に浸透し、売上高が伸張いたしました。

 この結果、3Dプリンター出力事業の売上高は556,655千円(前期比7.0%増)、セグメント利益は111,829千円(前期比10.6%減)となりました。

 

(鋳造事業)

 鋳造事業におきましては、自動車産業界における、短納期、大型化、複雑化、軽量化、精緻化への対応ニーズが益々強くなった一年でありました。このような顧客ニーズに対応すべく、2019年7月にコンセプトセンター第6期棟(長野県飯田市)を稼働させ、砂型3Dプリンター「S-Print」(株式会社ExOne製)や低圧鋳造設備を導入いたしました。しかし、当事業年度後半から、当社の主要な取引先である自動車産業界の業績不振の影響を受け、試作・開発市場全体の案件数や案件金額が減少し、投資コストが先行したため、好調であった前事業年度と比較してセグメント利益が減少いたしました。

 この結果、鋳造事業の売上高は1,833,125千円(前期比14.4%増)、セグメント利益は475,846千円(前期比5.2%減)となりました。

 

(CT事業)

 CT事業におきましては、産業用CTによる検査・測定サービスの市場が未形成である状況下、高度なデータ作成及び解析技術を駆使し、ミリ/マイクロ/ナノフォーカス/高エネルギーX線というX線の出力における全ての領域の産業用CT装置を状況に応じ使い分け、最適かつ高精度な検査・測定サービスの提供を行っております。当該事業におきましては、試作・開発市場悪化の影響は限定的であったことから、産業用CTによる検査・測定サービスのリーディング企業である優位性を活かし、業績の伸張を果たしました。

 この結果、CT事業の売上高は517,642千円((前期比6.9%減)、これは、高額である装置販売が当事業年度は1台であり、前事業年度は3台であったため、事業全体の売上高が減少となりました。なお、検査・測定サービスの売上高は前期比で増加しております。)セグメント利益は224,233千円(前期比59.9%増)となりました。

 

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

前年同期比(%)

3Dプリンター出力事業(千円)

284,996

105.5

鋳造事業(千円)

1,236,212

126.9

CT事業(千円)

65,260

79.9

合計(千円)

1,586,469

119.7

(注)1.金額は製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の振替高は含まれておりません。

 

(2)商品仕入実績

 当事業年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

前年同期比(%)

3Dプリンター出力事業(千円)

42,033

鋳造事業(千円)

9,022

CT事業(千円)

90,707

39.3

合計(千円)

141,763

61.4

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません

2.セグメント間の振替高は含まれておりません。

3.3Dプリンター出力事業の商品仕入実績の前年同期比は1,000%を超えているため、記載しておりません。

4.鋳造事業の商品仕入は当事業年度から開始したため、前年同期比は記載しておりません。

 

(3)受注実績

 当社の受注実績は、販売実績とほぼ一致しておりますので、受注実績に関しては販売実績の項をご参照ください。

 

(4)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

前年同期比(%)

3Dプリンター出力事業(千円)

556,655

107.1

鋳造事業(千円)

1,734,756

115.0

CT事業(千円)

517,642

93.5

合計(千円)

2,809,054

108.8

(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

   2.主な販売先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2018年1月1日

至 2018年12月31日)

当事業年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本電産株式会社

390,405

15.1

677,044

24.1

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

当事業年度の販売実績を産業区分別に示すと次のとおりであります。

 

3Dプリンター出力事業

セグメント内産業区分

当事業年度

(自 2019年1月1日  至 2019年12月31日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

卸売業

405

204,527

36.7

電気機械器具製造業

483

71,595

12.8

精密機械・医療機械器具製造業

617

70,122

12.6

専門サービス業(他に分類されないもの)

291

65,166

11.7

その他の製造業

404

29,408

5.3

輸送用機械器具製造業

82

28,936

5.2

広告・調査・情報サービス業

31

17,572

3.2

一般機械器具製造業

91

13,905

2.5

その他の事業サービス業

91

9,937

1.8

その他

253

45,483

8.2

合計

2,748

556,655

100.0

 

 

鋳造事業

セグメント内産業区分

当事業年度

(自 2019年1月1日  至 2019年12月31日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

電気機械器具製造業

389

719,704

41.5

卸売業

443

433,821

25.0

輸送用機械器具製造業

161

224,957

13.0

鉄鋼業、非鉄金属製造業

116

192,417

11.1

一般機械器具製造業

172

94,904

5.5

精密機械・医療機械器具製造業

64

23,202

1.3

娯楽業

8

20,070

1.1

ゴム製品製造業

15

11,514

0.7

窯業・土石製品製造業

17

6,558

0.4

その他

23

7,605

0.4

合計

1,408

1,734,756

100.0

 

CT事業

セグメント内産業区分

当事業年度

(自 2019年1月1日  至 2019年12月31日)

販売件数(件)

販売金額(千円)

比率(%)

専門サービス業(他に分類されないもの)

79

117,673

22.7

電気機械器具製造業

44

104,987

20.3

卸売業

171

89,205

17.2

輸送用機械器具製造業

90

87,681

17.0

金属製品製造業

86

41,651

8.1

精密機械・医療機械器具製造業

14

22,940

4.4

一般機械器具製造業

39

18,434

3.6

鉄鋼業、非鉄金属製造業

20

8,430

1.6

学術研究機関

6

7,835

1.5

その他

38

18,805

3.6

合計

587

517,642

100.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.産業区分に関しては、株式会社帝国データバンクのTDB産業分類表の中分類に従っております。

3.販売件数、販売金額及び比率は、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)当事業年度の財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における流動資産は1,009,454千円となり、前事業年度末に比べ814,943千円減少いたしました。これは主に未収消費税等が62,185千円、受取手形が22,600千円、前渡金が10,694千円増加したものの、現金及び預金が708,670千円、売掛金が245,611千円減少したことによるものであります。

 固定資産は2,672,781千円となり、前事業年度末に比べ1,183,871千円増加いたしました。これは主に建物が763,699千円、土地が197,529千円、リース資産(有形固定資産)が100,759千円、構築物が96,271千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は3,682,235千円となり、前事業年度末に比べ368,928千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は522,624千円となり、前事業年度末に比べ311,439千円減少いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が92,591千円増加したものの、短期借入金が155,958千円、未払法人税等が146,176千円、賞与引当金が31,646千円、役員賞与引当金が21,641千円、買掛金が19,316千円減少したことによるものであります。

 固定負債は905,364千円となり、前事業年度末に比べ489,949千円増加いたしました。これは主に長期借入金が359,796千円、リース債務が82,120千円、資産除去債務が41,929千円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は1,427,988千円となり、前事業年度末に比べ178,510千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は2,254,247千円となり、前事業年度末に比べ190,417千円増加いたしました。これは主に当期純利益を164,396千円計上し、資本金及び資本準備金がそれぞれ13,152千円増加したことによるものであります。

 

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当事業年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。

 

(3)当事業年度の経営成績の分析

 当社は、自動車、精密機器、電気機器、航空宇宙、医療機器等の製造業を中心にコンシューマー、教育、医療、ヘルスケア等幅広い業種の試作品から最終製品づくりをトータルサポートする企業として、独自のポジションを確立し、2018年8月には「医療機器製造業(登録番号:14BZ200303)」、「第1種医療機器製造販売業(許可番号:14B1X10020)」の許可を取得いたしました。当社事業は、「3Dプリンター出力事業」、「鋳造事業」及び「CT事業」であり、製品の高品質はもとより、短納期において優位性を発揮しております。

 当事業年度は5期連続の増収となり、過去最高の売上高2,809,054千円(前事業年度比8.8%増)となりましたが、医療機器販売の開始による人件費や販売促進費用の増加、ミーリングセンター(静岡県浜松市浜北区)の翌事業年度の稼働開始に向けた人員採用に関する費用の増加や、新設するマシニングセンタ(金属加工機)の備品・消耗品・什器備品の購買、更にブランドリニューアルに伴う広告宣伝費の増加等により販売費及び一般管理費が851,490千円(前事業年度比22.3%増)となり、営業利益は265,016千円(前事業年度比19.6%減)となりました。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社は、「2 事業等のリスク」に記載のとおり、顧客の製品開発に資する試作品の作製及び少量量産品の作製を行っており、開発に関する秘匿情報の漏洩や製品の不良等のリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社は、国際的な品質規格であるISO9001やJISQ9100の取得を通じた品質検査体制の構築と審査機関による定期的な検査の実施により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散し、リスクの発生を抑え、適切に対応しております。

 

(5)当事業年度のキャッシュ・フローの分析

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益を256,966千円(前期335,788千円)計上し、長期借入れによる収入、減価償却費、売上債権の減少額があったものの、有形固定資産の取得による支出、法人税等の支払額、短期借入金の純減額、リース債務の返済による支出等により、前事業年度末に比べ708,670千円減少し、当事業年度末には298,540千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は301,748千円(前年同期は575,071千円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額220,442千円、未収消費税等の増加額62,185千円、未払消費税等の減少額62,031千円、賞与引当金の減少額31,646千円、たな卸資産の増加額28,355千円、役員賞与引当金の減少額21,641千円、仕入債務の減少額19,316千円等の減少があったものの、減価償却費262,142千円、税引前当期純利益256,966千円、売上債権の減少額223,011千円等の増加があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果使用した資金は1,318,958千円(前年同期は209,879千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入86,539千円があったものの、有形固定資産の取得による支出1,380,886千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は308,539千円(前年同期は176,757千円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純減額155,958千円、リース債務の返済による支出91,615千円があったものの、長期借入れによる収入500,000千円、セール・アンド・リースバックによる収入85,889千円等があったことによるものであります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

①キャッシュ・フロー

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(5)当事業年度のキャッシュ・フローの分析」に記載のとおりであります。

 

②契約債務

 2019年12月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

長期借入金

566,000

110,204

230,816

134,016

90,964

リース債務

480,580

125,173

170,209

123,426

61,769

上記の表において、貸借対照表の流動負債に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

③財務政策

当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。

2019年12月31日現在、長期借入金の残高は566,000千円であります。また、当事業年度末において、複数の金融機関との間で合計1,000,000千円の当座貸越契約を締結しております。(借入未実行残高1,000,000千円、借入実行残高はありません。)

 

資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、販売用の産業用CTの購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,048,811千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は298,540千円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当事業年度における各事業別の研究の目的、テーマは次のとおりであります。

 なお、当事業年度の研究開発費は、3Dプリンター出力事業815千円、CT事業583千円、その他2,142千円、総額は3,541千円であります。鋳造事業における研究開発費はありません。

 

(3Dプリンター出力事業及びCT事業)

 2014年度から取り組んでおりました、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が推進する本プロジェクト(「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発」)が、当事業年度3月末日で終了しております。

 

具体的な開発事例としては、下記のとおりであります。

研究開発課題名  :「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発」

分担研究開発課題名:「細胞を用いた機能的な立体組織及び立体臓器作製技術の研究開発」

「高機能足場素材とバイオ3Dプリンタを用いた再生組織・臓器の製造技術の開発」

 

 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が推進する本プロジェクト(「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発」)では、「細胞を用いた機能的な立体組織及び立体臓器作製技術の研究開発及び高機能足場素材とバイオ3Dプリンタを用いた再生組織・臓器の製造技術の開発」のテーマ実施者として参画しています。医療分野で高いニーズを持つ移植用生体組織・臓器の製造を実現するため、iPS細胞等の再生医療に用いられる細胞と3Dプリンター・細胞シート積層技術等を組み合わせることで、新しい製造技術を開発します。それは独自に有する3Dプリンター関連技術によって革新的な技術開発の一翼を担っております。

 

3Dプリンター出力事業及びその他)

 当社新製品の開発に向けて、試作等の研究開発を行っております。

 

研究開発費内訳

研究開発内容

金額(千円)

「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発」に係る研究開発

1,399

新製品の研究開発

2,142

合計

3,541