当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当中間会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)における我が国経済は、一部では経済活動の正常化による緩やかな回復が続くものの、米国新政権の関税政策による懸念、物価の上昇、地政学的リスクの長期化など、先行きの不透明感が増しております。
当社を取り巻く試作・開発市場は、EV(電気自動車)開発が本格化することで複雑な形状や、ギガキャスト(注1)の試作需要が増加しておりますが、鋳造品の高難度・大型化に対して効率的な生産活動が追いつかず、利益面で苦戦を強いられております。またFA(ファクトリーオートメーション(注2))分野では、高品質な鋳造品を量産できる体制を訴求することで、様々なロボット筐体への採用提案を進めております。
このような環境の中、コンセプトセンター(長野県飯田市)で2023年度に稼働を開始した国内最大規模の砂型鋳造による工場棟「第8期棟」においては、引き続き大型鋳造品生産に向けた取り組みによる製品バリエーションの拡張に努めましたが、生産ノウハウ獲得には一定の時間を要しました。
この結果、当中間会計期間の経営成績は、売上高1,435,863千円(前年同期比11.3%減)、営業損失89,236千円(前年同期は営業利益68,998千円)、経常損失94,305千円(前年同期は経常利益76,182千円)、中間純損失72,181千円(前年同期は中間純利益49,248千円)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
①3Dプリンター事業
3Dプリンター事業におきましては、心臓カテーテルシミュレーター「HEARTROID」で前事業年度における積極的な販売促進活動を契機とした国内外顧客案件の獲得が進んだものの、期間後半では一部地域の案件で顧客の購入決定意思が遅れたことなどから前年同期間をやや下回る実績となりました。
一方、工業向け試作品を中心とした出力サービスは、営業人員増強による案件提案スピードの強化が受注量増加に直結したことや、積極的な装置導入により造形バリエーションの拡張を実施したことなどが功を奏し、順調な推移となりました。
この結果、3Dプリンター事業の売上高は303,856千円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は66,886千円(前年同期比20.0%増)となりました。
②鋳造事業
鋳造事業におきましては、自動車メーカー各社及びTier1(ティアワン)部品メーカーを中心とした国内外のEV関連の試作及び開発に伴う、高難度、大型の鋳造部品の受注が継続しました。また、FA分野では、産業用ロボット向けの大型鋳造品の試作案件の獲得が進みました。一方で新たな素材による試作や、大型かつ高難度の鋳造品を安定的に生産するための製造技術獲得および品質管理体制の確立に向けた取り組みでは、各工程で試行錯誤を通じたノウハウ獲得が続いており、コスト面では想定を上回るマイナスの影響が生じております。
生産面では「第8期棟」でのギガキャストをはじめとした大型鋳造品の生産設備導入を進め、FA分野の量産と並行して、受注バリエーション、受注量の増加に備えておりますが、効率的な生産体制の維持には上流工程での技術的課題の解決が不可欠であり、効果の出現までには時間がかかる見通しです。
この結果、鋳造事業の売上高は904,799千円(前年同期比12.5%減)、セグメント損失は74,413千円(前年同期はセグメント利益42,990千円)となりました。
③CT事業
CT事業におきましては、計測装置メーカー主催のセミナーへの登壇や、自社主催セミナーの再開など、産業用CTの認知拡大を積極的に推進し、同分野のスキャンサービス需要の獲得が順調に進みました。第1四半期会計期間での国内電池メーカーへのCT装置販売実績があったものの、全期間を通じて数量ボリュームのある非破壊・選別案件の需要が少なかったことで、売上高・利益とも前年同期の実績を下回りました。
この結果、CT事業の売上高は227,207千円(前年同期比21.0%減)、セグメント利益は162,623千円(前年同期比27.6%減)となりました。
(注1)ギガキャスト
大型の鋳造設備で複数のアルミ合金部品を1つのパーツとして成型し、大型の車体部品を生産する方法です。当社では自動車生産工程のギガキャスト化を見据え、試作段階での大型アルミニウム鋳造品の提案を強化しております。
(注2)ファクトリーオートメーション
工場における生産工程の自動化を図るシステムのことです。当社は筐体の金属部品に、軽量かつ高強度のマグネシウム鋳造品やアルミニウム鋳造品を提案しております。
なお、当中間会計期間の販売実績(内部取引を除く)を産業区分別に示すと次のとおりであります。
3Dプリンター事業
|
セグメント内産業区分 |
第34期 中間会計期間 (自 2025年1月1日 至 2025年6月30日) |
||
|
販売件数(件) |
販売金額(千円) |
比率(%) |
|
|
卸売業 |
202 |
145,567 |
47.9 |
|
精密機械・医療機械器具製造業 |
120 |
42,646 |
14.0 |
|
電気機械器具製造業 |
136 |
24,387 |
8.0 |
|
専門サービス業(他に分類されないもの) |
28 |
22,753 |
7.5 |
|
一般機械器具製造業 |
71 |
20,768 |
6.8 |
|
その他の製造業 |
113 |
9,585 |
3.2 |
|
輸送用機械器具製造業 |
19 |
9,152 |
3.0 |
|
教育 |
17 |
5,948 |
2.0 |
|
化学工業 |
28 |
4,431 |
1.5 |
|
その他 |
115 |
18,614 |
6.1 |
|
合計 |
849 |
303,856 |
100.0 |
鋳造事業
|
セグメント内産業区分 |
第34期 中間会計期間 (自 2025年1月1日 至 2025年6月30日) |
||
|
販売件数(件) |
販売金額(千円) |
比率(%) |
|
|
一般機械器具製造業 |
806 |
449,536 |
49.7 |
|
輸送用機械器具製造業 |
85 |
198,291 |
21.9 |
|
卸売業 |
161 |
177,486 |
19.6 |
|
鉄鋼業、非鉄金属製造業 |
40 |
43,081 |
4.8 |
|
電気機械器具製造業 |
36 |
12,803 |
1.4 |
|
娯楽業 |
5 |
8,523 |
0.9 |
|
精密機械・医療機械器具製造業 |
12 |
7,035 |
0.8 |
|
自動車・自転車小売業 |
6 |
4,829 |
0.5 |
|
自動車整備業、駐車場業 |
1 |
1,412 |
0.2 |
|
その他 |
6 |
1,802 |
0.2 |
|
合計 |
1,158 |
904,799 |
100.0 |
CT事業
|
セグメント内産業区分 |
第34期 中間会計期間 (自 2025年1月1日 至 2025年6月30日) |
||
|
販売件数(件) |
販売金額(千円) |
比率(%) |
|
|
卸売業 |
88 |
86,320 |
38.0 |
|
一般機械器具製造業 |
46 |
40,171 |
17.7 |
|
専門サービス業(他に分類されないもの) |
28 |
24,999 |
11.0 |
|
電気機械器具製造業 |
44 |
23,895 |
10.5 |
|
輸送用機械器具製造業 |
35 |
23,755 |
10.4 |
|
精密機械・医療機械器具製造業 |
11 |
6,740 |
3.0 |
|
その他の製造業 |
12 |
4,700 |
2.1 |
|
鉄鋼業、非鉄金属製造業 |
15 |
3,365 |
1.5 |
|
化学工業 |
4 |
2,000 |
0.9 |
|
その他 |
36 |
11,260 |
4.9 |
|
合計 |
319 |
227,207 |
100.0 |
(注)1.産業区分に関しては、株式会社帝国データバンクのTDB産業分類表の中分類に従っております。
2.販売件数、販売金額及び比率は、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれておりません。
(2) 経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
該当事項はありません。
(5) 財政状態の分析
(資産)
当中間会計期間末における流動資産は1,254,404千円となり、前事業年度末に比べ281,404千円減少いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が156,477千円、前渡金が97,319千円減少したことによるものであります。
固定資産は3,085,324千円となり、前事業年度末に比べ80,253千円減少いたしました。これは主に建設仮勘定が97,745千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は4,339,728千円となり、前事業年度末に比べ361,658千円減少いたしました。
(負債)
当中間会計期間末における流動負債は961,508千円となり、前事業年度末に比べ49,950千円減少いたしました。これは主に契約負債が72,903千円増加したものの、未払金が111,224千円減少したことによるものであります。
固定負債は539,300千円となり、前事業年度末に比べ248,887千円減少いたしました。これは主に長期借入金が221,507千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は1,500,808千円となり、前事業年度末に比べ298,837千円減少いたしました。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は2,838,919千円となり、前事業年度末に比べ62,820千円減少いたしました。これは主に中間純損失を72,181千円計上したことによるものであります。
(6) キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、減価償却費、売上債権の減少額による収入等があったものの、有形固定資産の取得による支出、短期借入金の純減額、長期借入金の返済による支出等により、前事業年度末に比べ26,277千円減少し、当中間会計期間末には393,434千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において営業活動の結果獲得した資金は368,173千円(前年同期は649,668千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費190,845千円、売上債権の減少額172,521千円等の資金の増加があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において投資活動の結果使用した資金は134,137千円(前年同期は65,922千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出134,163千円等の資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において財務活動の結果使用した資金は260,313千円(前年同期は118,700千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出121,507千円、短期借入金の純減額100,000千円等の資金の減少があったことによるものであります。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。