第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 会社の経営の方針

当社グループは、「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」をビジョンとして掲げております。

日本では2040年までに約1,600万人、約69兆円の労働力が失われるとされ、日々、「労働力不足」という大きな社会問題が深刻化しています。当社はビジョン実現のために、「IT・AIと人のチカラ」双方を深く理解した独自のユニークなビジネスモデルと事業構築ノウハウを強みに、企業の生産性向上へ貢献し、深刻な社会問題の解決に向き合ってまいります。

 

(2) 経営環境

平成30年版「情報通信白書」によると、日本の生産年齢人口は2017年から2040年にかけて約1,600万人減少することが推計されており、労働力不足による経済規模の縮小、国際競争力の低下といった社会的・経済的な課題が深刻化することが危惧されております。そのような状況の中、当社グループはこれまで様々な領域において労働力の代替ソリューションとなる事業をSaaSを中心に複数展開してまいりました。

今後も、「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というコーポレートビジョンのもと、「労働力不足解決のリーディングカンパニー」を目指し、上記社会課題の解決に一層向き合ってまいります。

当社グループを取り巻く経営環境につきましては、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2024年版」によると、国内SaaS市場規模は、2024年度において20,218億円となっており、2028年度には29,078億円に達すると予測されております。

また、CGS事業の中でも主力サービスである官公庁等の入札情報を提供する入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」を巡る環境として、国内入札市場における年間契約額は、2021年度において26.0兆円と、毎年安定的に年間20兆円超の発注がなされる市場規模が維持(中小企業庁「官公需契約の手引」より)されております。NJSSのTAM(Total Addressable Market)については、NJSSのメインターゲットとなる落札実績のある企業数が約40万社(NJSSのデータベースより)であることに加え、今後は入札資格未保有の企業もターゲットとなると想定されるのに対し、2025年3月末時点の「NJSS」と「nSearch」を合算した有料契約件数はTAMである落札実績のある企業数約40万社の約2%でありポテンシャルは充分だと考えられます。また、入札参加資格未保有の企業へのアプローチも順調であり、TAMは今後拡大する見込みです。

競合企業の状況や当社の優位性については、現在、国内でクラウドソーシング・サービスを展開する競合企業は複数存在しますが、当社グループは、クラウドソーシング・サービスのみならず、そのワーカーをリソースとするCGS事業、そして企業のアウトソーシング・ニーズの受け皿となるBPO事業を展開しており、それらの相互のシナジーによって優位性を築いていると考えております。優位性をさらに強固なものにするためにも当社では、新たなCGS事業を継続的に生み出し続けていきたいと考えております。

 

(3) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは前中期経営計画後の新たな経営方針として2023年11月14日に人的資本投資を中心とした規律のある成長投資やM&Aなどによって売上高・利益成長と株主還元の両立を目指す「ULURU Sustainable Growth」を掲げました。2026年3月期においては当該方針のもと、中長期的な売上高・EBITDAのCAGR20%成長に向け、将来の収益力をより一層高めるため、引き続き積極的な成長投資を実施する予定です。そのうえで、売上高は15%成長となる7,710百万円を目指し、EBITDAは期中での投資を機動的に判断・実施するため1,050百万円から1,200百万円の範囲内での着地を図る計画です。2027年3月期以降は、引き続き人的資本を中心とした成長投資を規律を持って行うことで、売上高およびEBITDAいずれも中長期でCAGR20%以上の継続的な成長を目指してまいります。当該方針の実現のためには、既存事業のオーガニック成長に加え、蓄積したアセットを活用した周辺領域での展開、新規事業の創出、M&Aにより更なる成長を目指す必要があり、具体的には以下の課題に対処していかなければならないと考えております。

 

 

① NJSSを核とした入札マーケットの拡大

既存事業のオーガニック成長に加え周辺領域での成長を図るに当たり、NJSSを核とした入札マーケットの拡大へ対処していかなければならないと考えております。

主力SaaSであるNJSSを核とし、入札情報検索サービス「nSearch(エヌ・サーチ)」とのシナジー創出を図りつつ、公共機関の事業(予算)情報や公開・統計情報、入札データからみる自治体の傾向・特徴、アプローチに必要な組織情報を一括検索・管理できる情報支援ツール「GoSTEP」や、2023年11月に開始した、NJSSで蓄積された入札関連ノウハウと、うるるBPOが保有する案件履行にかかるノウハウを掛け合わせたBPaaS「入札BPO」などをはじめとする周辺サービスの展開、データベースの横展開等を通じて入札マーケットにおけるシェアを獲得し、拡大を図る次第です。

 

② えんフォト、fondesk、BPOの更なる成長

CGS事業のSaaSであるえんフォト及びfondeskと、BPO事業においては各サービスのフェーズ・環境に即した施策を実施することで更に成長させる必要があると考えております。えんフォトにおいては、社会的にフォトグラファー不足である状況を踏まえ、OurPhotoとの連携でフォトグラファーリソースを確保することに因る競争優位性の確立を図ってまいります。fondeskにおいては、未だ市場開拓余地があるため、マス広告施策の継続やプロダクトのマーケット開拓・継続開発を行うことで市場認知拡大や、新規サービスである「fondesk IVR」の成長加速を図る次第です。BPO事業においては、社会的なDX化ニーズの高まりやSaaSプロダクトの増加を捉え、DX化を促進するスキャン領域の案件数の拡大に加え、人力とテクノロジーを最適に組み合わせた業務構築力と、自社グループのSaaS事業運営ノウハウを活用して展開するBPaaS案件数の更なる拡大を図ってまいります。

 

③ M&A・新規事業創出

成長を蓋然性高く加速させるため、M&Aと新規事業創出を積極的に行っていく必要があると考えております。既存事業領域、既存事業の周辺領域、市場確立済みの新領域、市場未確立の新領域と、ターゲット領域をセグメンテーションし、領域ごとに投資優先度をつけるなどして、戦略的に実施してまいる次第です。とりわけ、新領域においては、47万人以上のワーカーとの接点やワーカーのディレクションノウハウといった、当社の独自資産を活かせる領域での展開を図ってまいります。

 

この先、労働力不足が懸念される社会において「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というビジョンのもと、「労働力不足解決のリーディングカンパニー」を目指して社会課題の解決に一層向き合いつつ、既存サービスの成長及び新規サービスの創出を図り、売上高・利益成長と株主還元の両立を目指してまいります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社では、中長期的な成長に資するM&A等を積極的に検討するという観点から、EBITDAを経営上の目標の達成状況を判断するための重要指標として位置付けております。

 

《2025年3月期 実績及び2026年3月期 連結業績予想値》

 

2025年3月期

(実績)

2026年3月期

(業績予想)

売上高

6,701百万円

7,710百万円

EBITDA

1,002百万円

1,050~1,200百万円

 

 

なお、上記の業績予想は本資料の発表日現在において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は今後様々な要因によって予想数値と異なる結果となる可能性があります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長を中心としたプロジェクトチームによりサステナビリティに関する議論を行っております。特に重要な議題については取締役会で報告され、取締役、監査役による協議を行っております。

取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。プロジェクトチームで協議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針について審議・監督を行っております。

 

(2) 戦略

 ①会社の考えるサステナビリティ

 ■日本が抱える課題

少子高齢化に伴い、日本国内における生産年齢人口は2040年までに1,600万人減少し、69兆円分の労働力が消失する見込みです。

 


 

 

■当社グループが考える、不足する労働力の代替候補

2040年に消失する69兆円の労働力は、クラウドワーカーや高齢者等の労働力、そして労働生産性向上・DXで代替されると予想しています。

 


 

■当社グループの役割

当社グループは「労働力不足解決カンパニー」として、クラウドワーカーとDXの活用で深刻な社会課題である労働力不足を解決します。

 


 

 

当社グループは2025年2月に、日本に存在する未活用の「埋もれている労働力」と、IT・AIの進展による労働代替によって生じる「埋もれゆく労働力」という2つの視点から経済的価値を独自試算し、これらを総称して「埋蔵労働力資産」と定義しました。この概念を提唱することで、これまで可視化されてこなかった潜在的な労働力の存在と活用可能性を社会に訴求し、人口減少化における持続的な経済成長の一助とすることを目指します。本提言により、労働力不足問題の解決に向けた議論を促進し、新たな雇用・就業機会創出の後押しとなることを期待しています。


※1 労働意向がありながらも、さまざまな理由から働きたくても働けない労働力であり、以下の合計

  ・時短勤務者やフリーランス、休職者、未就業者のうち、労働意向があるにもかかわらず、現状
    以上に希望通りに就労できていない20~69歳の労働力

  ・日本に在留している20~69歳の中で、現状労働市場に参加していない外国人労働力

※2 ITやAIなどの最先端技術の導入による業務改革に伴い、直接的、間接的を問わず、将来的に既存の
    業務が代替されることで生まれる労働力

※3 現在~2030年を想定

 

■価値創造プロセス

「世界に期待され 応援される企業であれ」、「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」という理念・ビジョンのもと、強みを活かしたビジネスを展開し、持続的な社会への貢献と企業価値の向上を実現します。

 


 

 

■マテリアリティの特定

ESGに関わる各種ガイドラインを参考にしながら、当社及びステークホルダーの評価を組み合わせてマテリアリティを特定しました。

 


 

 


 

 

 ②会社の考える人的資本経営

■従業員に対する想い

当社グループは創業以来、従業員が理想の状態になることを目指し、「人」を大切に経営を続けてきました。

私たちが考える従業員の理想の状態とは、従業員全員がビジョンに向かい、自身の持つパフォーマンスを100%発揮すること、仕事を通じて成長を続けること、そして何よりイキイキと働くこと。

これからも、私たちの最重要資本である「人」への投資を積極的に実施し、従業員の理想の状態を追求し続けることで、企業価値の向上に取り組みます。

 

■人材成長定着企業へ

これまで築きあげたカルチャーを土台として、「人の成長=企業の成長」という考えのもと、組織開発・人材開発に投資を行い、人材成長定着企業(常に成長を感じられる環境・機会があり、安心して業務に専念できる状態が続く)を目指します。

 


 

 

■価値観・組織開発

当社におけるカルチャーが浸透している状態とは、理念、ビジョンの実現へと組織全体が向かっており、当社が重要視している価値観である“うるるスピリット”が体現されている状態のことを指します。

高純度で組織全体にカルチャーを浸透させ、戦略を落とし込むため、「シナプス組織」という組織体制を構築します。

 

 


 

■人材育成方針

従業員1人ひとりがパフォーマンスを100%発揮し、イキイキと成長実感を持ちながら働ける状態を目指し、管理職候補者研修等の独自の育成制度を構築し実行しています。

 


 

○主な取り組み内容

・人事制度

コンピテンシー評価・MBO評価を用いて半年毎に実施しています。年齢や社歴を問わず成果に応じて昇給・昇格ができる仕組みを導入しています。経営戦略との一貫性を大切に、従業員の成長・会社の成長共に実現できる制度を目指し運営しています。

・人材開発

新卒1年目・キャリア入社の新入社員それぞれに対し、オンボーディングプログラムを全社横串のプロジェクトとして導入しています。また、次期管理職を目指す従業員に対する研修として、外部パートナーと共に独自の人材開発プログラムを構築・実行しています。

・成長支援制度

資格取得補助制度・外部勉強会参加補助制度・書籍購入補助制度といった、自律的な学び・挑戦意欲に応えられる制度を導入しています。また、異なる部署やポジションへ異動希望を自主的に出せるジョブリクエスト制度・今後のキャリアに対する自身の考えを年に1度アウトプットするキャリアアンケートを通じて、挑戦したい従業員の声をキャッチできる機会として運営しています。

・管理職候補者研修

次期管理職を目指す正社員に対する研修。外部パートナーと共に独自の研修プログラムを構築・実行。研修受講生は、約9ヶ月間に渡り「事業マネジメント」と「人・組織マネジメント」について反復学習のサイクルを繰り返していきます。
管理職にあがる前段階から思考・行動の癖付けを狙う取り組みです。

 

■社内環境整備方針

自己成長とチャレンジを続けられる土台を社内環境とおき、一人ひとりが安心してキャリア・ライフ両軸のプランを描ける環境づくりに取り組んでいます。

 


※ 2025年5月の本社オフィス増床にあわせ、「“自律&フレキシブル”で最高の働き方を」をテーマに
   掲げ、導入された制度。

 

○主な取り組み内容

・制度づくり

フルリモート制度、フレックスタイム制度など、働くうえでの多様な選択肢を用意し、拡充していくことで、安心して働き続けられる環境構築を進めています。従業員のワークとライフ両方を充実させることで、より活力高く自らの仕事に取り組める状態を目指しています。

・組織開発

1カ月に1度実施をしているエンゲージメントサーベイ結果からチームの状態を把握し、スコアの高低に影響している因子を組織の活性化に役立てています。

・社内コミュニケーション促進

最重要視している価値観「うるるスピリット」への理解を深めることを目的に、年4回の全従業員参加型イベントを実施しています。全従業員が土台となる価値観に向き合い称賛し合うことで、良好な人間関係をベースに大いに挑戦できる環境をつくり上げています。

 

 

■人的資本経営フレームワーク

人材成長定着企業を目指して、シナプス組織を徹底するべく、組織開発・人材開発を軸とした各種アクションを実施しています。

中期ではCAGR20%以上の持続的な成長、長期ではビジョンの実現と時価総額の最大化を目指します。

 



 

 

 

(3) リスク管理

当社グループにおいての全社的なリスク管理は、代表取締役社長を中心として、各部門責任者のモニタリングによって行っており、特に重要なリスク管理は取締役会にて報告され、取締役、監査役による協議を行っております。サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについて、プロジェクトチームの中でより詳細な検討を行い、共有しております。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ行われます。重要なリスクは、取締役の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。

サステナビリティに関するリスクへの対応状況は、プロジェクトチームにおいてモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告されます。

サステナビリティ関連の機会の識別、評価や優先順位付けは、前述の(2) 戦略に記載した「■マテリアリティの特定」の項目のとおりであり、その内容については随時、取締役の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。

 

 

(4) 指標

当社グループでは、上記(2) 戦略において記載した「強固な企業カルチャーの醸成」と「人材成長定着企業」を目指すために人材の多様性の確保が重要と考えており、次の指標を用いております。当該指標に関する実績は次のとおりです。なお、今後プロジェクトチームにおける議論を経て、必要に応じて各指標の目標設定を行います。

 


 


 


 

※1 育休等を取得した男性従業員の数/配偶者が出産した男性従業員の数

※2 出所:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概要」

※3 2024年4月~2025年3月の平均値

※4 左:[インターネットサービス]-[業務支援Webサービス(B2B)]-[201-500名]の企業群の平均、

  右:左の企業群のうち[High-Performance上位20%]の企業群

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。記載したリスクはいずれも事業及び業績に影響を与えうる「重要なリスク」ですが、中でも全社的に中長期的な成長のための指針として掲げている「ULURU Sustainable Growth」に関連性の高いリスクを「特に重要なリスク」として定義しております。

当社では、コンプライアンスの強化及びリスク管理の検討・審議・対策等を目的として、原則として、年2回以上開催するリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。同委員会では、以下に記載する主要なリスクに加え、さらなる潜在リスクの有無の想定やリスクの影響度の分析、対応策を立案・実行できる体制を整えております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(特に重要なリスク)

(1) 「ULURU Sustainable Growth」における人材採用の進捗停滞のリスク

当社グループが掲げる経営方針「ULURU Sustainable Growth」では、規律ある成長投資やM&Aなどによって、売上高・利益成長と株主還元の両立を目指しております。このうち、人的資本投資を中心的な投資項目と設定しており、特に人材採用の進捗が停滞すると「ULURU Sustainable Growth」の進捗に重大な影響が及ぶことが想定されますので、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置づけております。

当該リスクは、採用市場の環境変化などに起因する人材獲得競争の激化によって計画通りに採用が進まない場合に顕在化するものであり、顕在化した場合は、各種施策の停滞による事業成長の鈍化など、重大な業績への影響が発生することが予想されます。

当社では、当該リスクの顕在化を未然に防ぐために、実行可能な人材採用計画を立案し、必要と想定される予算を確保したうえ、採用部門と各部門が連携して効率的な採用活動を行ってまいります。また、2025年5月には組織拡大に伴う増床に際するオフィス環境の整備や柔軟な勤務制度の導入を行いました。求職者に、より訴求しやすい働く環境や制度を今後も検討・整備していくことで当該リスクの低減を図っていく次第です。

一方で、万が一リスクが顕在化した場合は、取締役会や経営執行会議などの意思決定会議体において、最新の採用市場の環境を踏まえた効果的な採用施策について議論を行うなど、適宜対応していく次第です。

 

(2) 人材採用過多に伴う固定費増大のリスク

当社は、「ULURU Sustainable Growth」のもと、優秀な人材獲得を目指してまいりますが、過剰に人材を採用してしまった場合は、計画以上に固定費を抱えるなど、重大な業績への影響が発生することが想定されます。このことから、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置付けております。

当社では、当該リスクの顕在化を未然に防ぐために、採用部門と予算管理部門が連携して採用状況の進捗をモニタリングするなど、一定の規律を以って採用活動を行う体制を構築しておりますが、万が一リスクが顕在化した場合は、取締役会や経営執行会議などの意思決定会議体において、最適な組織構成・人員配置を改めて議論することで、過剰採用した人材のパフォーマンスを更に向上させ、増加した固定費以上の業績への貢献を図るなど、適宜対応していく次第です。

 

(3) 人材成長の停滞リスク

当社は、「ULURU Sustainable Growth」のもと、人的資本投資を中心とした成長投資を行うことで成長を図ってまいりますが、人的資本投資の効果を最大化するためには、適切に育成していくことが重要だと考えております。人的資本投資は、ULURU Sustainable Growthの根幹を成す、中心的投資項目であるため、仮に人材の成長が停滞した場合は、当社全体の成長鈍化に繋がり兼ねないことから、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置付けております。

当該リスクを顕在化させないために当社では、「人の成長=企業の成長」という考えのもと、組織開発・人材開発に各種投資を行うことで人材の成長支援を図っております。エンゲージメントサーベイや当社が独自に掲げる「シナプス組織※」の定着度を測るためのシナプスサーベイの実施による定期的な組織状態のモニタリングや、これらサーベイの結果に基づく各種改善策の実施、レイヤー別の各種研修の実施や全社的なe-ラーニングシステムの導入による教育機会の提供、社内公募型のジョブリクエスト制度の展開によるキャリアデザイン支援などを行うことで、常に成長を感じられる環境・機会があり、安心して業務に専念できる状態が続く「人材成長定着企業」を目指してまいります。

※「コア」と呼ばれる上長・チームリーダーと、「コアラー」と呼ばれるメンバー間の双方向のコミュニケーションが高純度で行われることにより、組織全体にカルチャー・戦略が浸透していく組織体制

 

(4) 配当政策にかかるリスク

当社は、「ULURU Sustainable Growth」のもと、株主還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており、TSR(株主総利回り)の向上に向けて、中長期的なEPS(Earnings Per Share)成長を重視しつつ、2025年3月期以降は、15%以上の配当性向を目安とした累進配当を基本方針としております。しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性もあります。

当該リスクを顕在化させないためにも、「ULURU Sustainable Growth」のもと業績を拡大させ、着実に利益還元を行うことができる企業へと成長を図る次第です。

 

(5) 入札情報の様式・データ形式等の統一によるNJSSの独自性・優位性の希薄化のリスク

「NJSS」は、当社の主力SaaSであり、「NJSSを核とした入札マーケットの拡大」をすることを「ULURU Sustainable Growth」実現のための主要な施策と位置づけていることから、NJSSの独自性・優位性が希薄化した場合、「ULURU Sustainable Growth」の進捗に重大な影響が及ぶことが想定されますので、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置づけております。

現在、入札情報は入札実施機関ごとに様式・データ形式等が統一されておらず、独力での収集が困難である中、当社では数百名のクラウドワーカーが約8,800もの入札実施機関から人力で入札情報を収集しデータベース化できていることに「NJSS」の独自性・優位性がある状況です。当社としては約8,800もの入札実施機関の様式・データ形式等を統一するために必要となる労力・コスト・時間等を勘案すると当該リスクが顕在化する可能性は現時点では低いものと考えております。

しかしながら、万が一、当該リスクが顕在化した場合は、NJSSが誇る独自性・優位性の希薄化から顧客の他サービスへの流出による有料契約件数の減少並びに売上高や利益成長の鈍化といった重大な業績への影響が発生することが予想されます。

当該リスクへの対応策として、デジタル庁設立の動きなど当該リスクに関係する可能性のある行政機関の動向等を適宜チェックしているほか、NJSSとは価格及び情報の網羅性においてポジショニングを異にする入札情報検索サービス「nSearch(エヌ・サーチ)」、公共機関の事業(予算)情報や公開・統計情報、入札データからみる自治体の傾向・特徴、アプローチに必要な組織情報を一括検索・管理できる情報支援ツール「GoSTEP」、入札関連ノウハウとうるるBPOが保有する案件履行ノウハウを掛け合わせたBPaaS「入札BPO」などをはじめとする周辺サービスの展開、データベースの横展開等を通じて入札マーケット自体を拡大させシェアを獲得することで当該リスクが顕在化した場合でも事業方針をシフトすることができるような体制も整備していく次第です。

 

(6) コンプライアンスに関するリスク

当社はコンプライアンスを重視する風土の醸成とその定着を全社的に推進しております。この姿勢が失われた場合、重大な法令違反や不祥事が発生する懸念が高まり、会社の存続に深刻な影響を及ぼす可能性があることから、当該リスクを「特に重要なリスク」と位置づけております。

万が一当該リスクが顕在化した場合、当社グループ全体の社会的信用やブランド価値が損なわれるほか、損害賠償等による財務的損失を通じて、業績に重大な影響が生じるおそれがあります。一方で、こうしたコンプライアンス上のリスクを完全に排除することは現実的には難しく、継続的な管理と対策が不可欠であると認識しています。

このため当社では、リスク・コンプライアンス委員会を中心に、組織拡大や経営環境の変化に応じて、職務権限や組織構造などに関する各種規程を適宜見直すとともに、これらに準じた意思決定・承認プロセスの仕組み化を進めることで、常に不正が生じにくい仕組みを整備しています。

さらに、全役員・社員への教育啓発活動を実施するとともに、有事に備えた内部通報及びハラスメント相談窓口の整備をすすめることで、企業倫理の向上と法令遵守の強化を図り、強固なコンプライアンス推進体制の構築に努めていく次第です。

 

(重要なリスク)

(1) 大規模自然災害や感染症に関するリスク

大規模自然災害や新型コロナウイルス感染症をはじめとする各種感染症の拡大により、当社グループの事業活動が停止し、業績への重大な影響を及ぼす可能性があることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置付けています。

当該リスクへの対応策として、各種緊急事態を想定した事業継続計画書(BCP)を整備しており、有事の際にはCISOを緊急対応責任者とする対策本部を速やかに設置するなど、事業継続に向けた体制を構築できるよう努めている次第です。

 

(2) 市場環境変動のリスク

市場環境の変動により顧客の購買意欲が減退した場合、当社グループの事業及び業績へ重大な影響を及ぼす可能性があることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置付けています。とりわけ、地政学リスクや感染症拡大等に起因するインフレ圧力の高まりによる個人消費の落ち込みは、主に一般消費者を対象とする「えんフォト」や「OurPhoto」などのサービスにおいて、業績への重大な影響が懸念されます。

当該リスクへの対応策として、該当サービスごとの消費動向を適宜把握し、リスク顕在化の兆候を早期に察知できるよう努めるほか、万が一兆候が確認された場合には、速やかに事業部内で対応策を検討し、必要に応じて意思決定会議体等での協議を経て、事業方針の見直しや打開策の実行を行う体制を整備している次第です。

 

(3) 競合他社の台頭のリスク

現在、国内でクラウドソーシング・サービスを展開する競合企業は複数存在しており、他社の成長によって当社の市場における独自性・優位性が希薄化した場合、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。

しかしながら、当社グループは、クラウドソーシング・サービスに加え、そのワーカーをリソースとするCGS事業、及び企業のアウトソーシング・ニーズの受け皿となるBPO事業を展開しており、これらの相互連携によるシナジーを通じて、市場における独自性と競争優位性を築いていると考えております。BPO事業を通して社会のニーズを把握し、そこから得られた知見をもとにCGS事業を展開することで、各セグメント間で有機的な連携がうまれています。こうした経営体制は、当社が長年培ってきた業務運営力を背景とする唯一無二の強みであり、容易に模倣できるものではないと認識しております。

万が一、当該リスクが顕在化した場合は、当社の市場価値が相対的に低下し、顧客の流出による売上高や利益の減少といった重大な業績への影響が懸念されますが、こうした事態を未然に防ぐため、当社は上記の事業連携スキームのもと、新たなCGS事業を継続的に創出し、独自性と競争優位性の一層の強化に努めていく次第です。

 

 

(4) 法規制強化による既存事業への法的制約の発生や新規分野への事業展開に際する新たな法的制約の発生のリスク

現在、日本国内においてインターネット関連の主要な法規制としては電気通信事業法等があり、また、BPO事業に関連する法規制としてはe-文書法等が適用されます。当社は、これらの法規制を厳格に遵守する体制を整備しておりますが、今後、法規制の強化やCGS事業における新規領域への進出に伴い、多様な法規制や法改正に適切に対応する必要性が生じる可能性があることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。

当該リスクは合理的に顕在化の時期を見積もることは困難ですが、万が一当該リスクが顕在化した場合は、対応に要するコストの発生や、法律違反による信用の低下といった影響が懸念されます。

こうしたリスクの未然防止に向けて、当社は法務体制の整備・強化をすすめるとともに、顧問弁護士をはじめとする外部専門家との連携も深めております。新たな法規制が生じた際には、速やかに対応を行い、引き続き厳格な法令順守体制の構築に努めていく次第です。

 

(5) システム障害のリスク

当社グループの事業は、インターネット接続環境の安定稼働を前提として運営されており、システム障害などによりサービスの提供が滞った場合、事業活動に重大な影響を及ぼす懸念があることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。

当該リスクは、人為的なミスやシステムトラブルのほか、自然災害などさまざまな要因により顕在化しうるものであり、顕在化する時期を合理的に見積もることは困難だと考えておりますが、万が一当該リスクが顕在化した場合は、事業運営全体に重大な影響が生じる可能性があります。

当社では、2025年5月に組織拡大に伴うオフィス増床に際し、併せてネットワーク環境の見直し・強化を行ったところですが、今後も当該リスクの未然防止に向けて、バックアップ体制やセキュリティ強化の継続的な整備に努めていく次第です。

 

(6) クラウド・ソーシングビジネスにかかるリスク(知的財産権侵害、風評被害、個人情報流出等)

当社はクラウド・ソーシングビジネスを展開しており、不特定多数のクライアントとワーカーによる多様な案件の受発注を仲介するプラットフォームを提供しています。

このような性質上、当社のサービスユーザー間で第三者の知的財産権を侵害する行為や、メッセージを通じた風評被害、個人情報の流出、その他違法行為が発生するリスクが存在します。さらに、当社がワーカーの個人情報を大量に保有していることから、当社自身による情報流出のリスクも否定できません。

当該リスクが顕在化した場合は、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。

登録ワーカーの行動を完全に統制することは事実上不可能であり、これらのリスクを完全に排除することは現実的ではありませんが、当社では、禁止事項を定めた利用規約を制定し、その内容に同意したユーザーのみにサービスを提供するなどの予防策を講じています。また、前述のリスク・コンプライアンス委員会を中心に、契約締結プロセスの見直しや、個人情報管理体制の強化といった対策も適宜実施しています。

さらに、当社が保有する個人情報の流出リスクについては、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けるとともに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得しています。加えて、子会社である株式会社うるるBPOにおいても、ISMS認証及びプライバシーマークを取得するなど、管理体制の強化を図っています。

万が一当該リスクが顕在化した場合は、速やかに状況を整理し、必要に応じて外部専門家の支援を受けながら、取締役会や経営執行会議などで迅速に意思決定を行い、適切な対応策を講じていく次第です。

 

 

(7) 国内BPO市場及び国内クラウド・ソーシング市場の縮小のリスク

当社は、クラウド・ソーシングビジネス及びクラウドワーカーを活用したCGS事業、並びに子会社である株式会社うるるBPOによるBPO事業を展開していることから、国内クラウド・ソーシング市場またはBPO市場が縮小した場合、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼすおそれがあることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。

しかしながら、クラウド・ソーシングは現代の多様な働き方を支える仕組みとして社会的に定着しており、BPO市場についても、矢野経済研究所「2024-2025 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望」において今後も安定的な成長が見込まれるなど、当該リスクが顕在化する可能性は、現時点においては高くはないと考えております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

《経営成績等の状況の概要》

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

会計年度は、前中期経営計画後の新たな経営方針として掲げた「ULURU Sustainable Growth」のもと、人的資本投資を中心とした基盤整備を行いつつ、事業運営をしてまいりました。その結果、当連結会計年度における売上高は6,701,255千円(前期比12.9%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額(以下同様))は1,002,552千円(前期比33.9%減)、営業利益は762,923千円(前期比42.4%減)、経常利益は761,983千円(前期比40.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は458,072千円(前期比36.4%減)と、売上高は業績予想比で未達となりましたが、「NJSS」・「fondesk」・「えんフォト」・「nSearch」といったSaaSのARR(年間経常収益)を合計した全社ARRは52億円を超えるなど成長しており、利益目標であるEBITDAは、計画通りに着地いたしました。

 

2024年5月14日に公表いたしました業績予想との対比は以下のとおりです。

 

当連結会計年度

(当初業績予想)

当連結会計年度

(実績)

当初業績

予想比

売上高

7,130百万円

6,701百万円

△6.0%

EBITDA

1,000百万円

1,002百万円

0.3%

営業利益

750百万円

762百万円

1.7%

経常利益

700百万円

761百万円

8.9%

親会社株主に帰属する当期純利益

450百万円

458百万円

1.8%

 

 

 各セグメントの業績は、次のとおりです。

 

事業区分

第 24 期

2024年3月期)

(前連結会計年度)

第 25 期

2025年3月期)

(当連結会計年度)

前連結会計年度比増減

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

CGS事業 NJSS

2,874,494

千円

48.4

3,244,681

千円

48.4

370,186

千円

12.9

CGS事業 fondesk

833,793

千円

14.0

982,116

千円

14.7

148,323

千円

17.8

CGS事業 フォト

726,858

千円

12.2

835,946

千円

12.5

109,088

千円

15.0

CGS事業 その他

100

千円

千円

△100

千円

BPO事業

1,476,155

千円

24.9

1,614,741

千円

24.1

138,585

千円

9.4

クラウドソーシング事業

26,510

千円

0.4

23,769

千円

0.4

△2,740

千円

△10.3

合計

5,937,912

千円

100.0

6,701,255

千円

100.0

763,343

千円

12.9

 

 

 

① CGS事業 NJSS

CGS事業の主力SaaSである「NJSS」については、有料契約件数が2025年3月末時点で7,073件(2024年3月末比506件増)と増加いたしました。有料契約件数をベースにした12ヶ月平均の解約率は1.50%となり、ARR(年間経常収益)が33億円を突破するなど、成長を続けております。また、当期初から契約獲得・更新時の単価を引き上げる方針に変更したことで、当連結会計年度第4四半期のNJSS ARPU(有料契約一件当たりの日割り売上高)は1,210円に上昇しています。一方で経営方針である「ULURU Sustainable Growth」のもと、人的資本投資を中心に各種成長投資を実施したため、コストは増加いたしました。このほか、「nSearch」とのシナジー創出や、入札資格管理サービス「入札資格ポータル」や公的機関向けに提供する購買調達サービス「調達インフォ」の運営など、周辺サービスの展開による入札マーケットの拡大にも継続的に注力してまいりました。

この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 NJSSの売上高は3,244,681千円(前連結会計年度比12.9%増)となり、セグメントEBITDAは1,545,829千円(前連結会計年度比2.3%減)、セグメント利益は1,404,898千円(前連結会計年度比5.9%減)となりました。

 

NJSS KPI

前連結会計年度

当連結会計年度

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

売上高(百万円)

672

709

722

769

761

789

827

866

売上総利益(百万円)

620

655

670

709

697

716

750

779

EBITDA(百万円)

344

401

410

426

324

389

405

426

ARR(百万円)

2,654

2,754

2,801

2,875

3,017

3,109

3,231

3,302

NJSS 有料契約件数

5,980

6,247

6,377

6,567

6,756

6,880

7,028

7,073

NJSS ARPU(円)

1,166

1,162

1,158

1,151

1,151

1,160

1,174

1,210

入札BPO ARPU(円)

-

-

11

72

26

21

38

81

NJSS 解約率(%)

1.44

1.42

1.47

1.53

1.58

1.61

1.55

1.50

NJSS LTV(千円)

2,208

2,255

2,174

2,060

1,989

1,994

2,085

2,172

入札BPO LTV(千円)

-

-

22

129

46

37

68

145

nSearch 有料契約件数

485

550

565

566

578

587

606

682

従業員数(人)

114

111

112

112

134

137

140

140

 

(注) 1.ARR:「年間経常収益」。各四半期末時点のMRRに12を乗じて算出。当連結会計年度第1四半期より、「nSearch」「GoSTEP」等の周辺サブスクリプションビジネスも含めたMRRに12を乗じた数値

     2.ARPU:有料契約一件当たりの日割り売上高。入札BPO ARPUは、スポット売上高も含む。

     3.解約率:前月末有料契約件数に対する当月解約件数の割合。上表は12か月平均の数値。

     4.LTV:「顧客生涯価値」。ARPU×1/解約率×粗利率90%で算出。

     5.従業員数:臨時雇用者(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)を含む。臨時雇用者数は、年間の平均人員を換算。同定義でブレインフィードを含む。

 

② CGS事業 fondesk

CGS事業におけるSaaSである「fondesk」は、2025年3月末時点で有料契約件数が5,589件(2024年3月末比795件増加)と増加いたしました。そのうえ、UI・UX改善のためのシステム改修を行うなどユーザー利便性向上に継続的に取り組んできた結果、有料契約件数をベースにした12ヶ月平均の解約率は1.2%(2024年3月末の同解約率は1.3%)と最低水準となり、ARR(年間経常収益)は約10億円となっております。一方で、経営方針である「ULURU Sustainable Growth」のもと、成長投資として主にマーケティング施策に注力したため、コストは増加いたしました。このほか、2024年12月にリリースした、誰でも簡単に使える電話自動応答サービス「fondesk IVR」の拡大にも注力してまいりました。

この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 fondeskの売上高は982,116千円(前連結会計年度比17.8%増)となり、セグメントEBITDAは166,148千円(前期は269,539千円)、セグメント利益は165,030千円(前連結会計年度は268,586千円の利益)となりました。

fondesk KPI

前連結会計年度

当連結会計年度

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

売上高(百万円)

201

206

214

211

236

241

255

248

EBITDA(百万円)

62

61

75

69

4

15

86

59

有料契約件数

4,272

4,469

4,682

4,794

4,980

5,167

5,422

5,589

ARPU (円)

15,725

15,412

15,274

14,676

15,845

15,582

15,681

14,810

解約率(%)

1.4

1.3

1.3

1.3

1.2

1.2

1.2

1.2

ARR(百万円)

806

826

858

844

946

966

1,020

995

従業員数(人)

14

15

15

16

18

17

17

16

 

(注)1.ARPU:有料契約一件当たりの月割り売上高。

    2.解約率:前月末有料契約件数に対する当月解約件数の割合。上表は12か月平均の数値。

    3.ARR:「年間経常収益」。各四半期サブスクリプション売上高と各四半期リカーリング売上高の合計に4を乗じて算出。

    4.従業員数:臨時雇用者(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)を含む。臨時雇用者数は、年間の平均人員を換算。

 

③ CGS事業 フォト

CGS事業におけるSaaSである「えんフォト」は、写真販売単価の高いカメラマン派遣比率の上昇等により園当たり売上高が47,661円(前連結会計年度第4四半期は45,397円)と伸長したうえ、2025年3月末の契約園数は5,139園(2024年3月末比414件増加)と増加した結果、ARR(年間経常収益)は約10億円となるなど、成長しております。併せて、経営方針である「ULURU Sustainable Growth」のもと、成長投資として主に人的資本投資を実施したため、コストは増加いたしました。このほか、出張撮影マッチングサービス「OurPhoto(アワーフォト)」との連携や機能拡充にも継続的に注力してきました。

この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 フォトの売上高は835,946千円(前連結会計年度比15.0%増)となり、セグメントEBITDAは△44,685千円(前期は70,305千円)、セグメント損失は57,406千円(前連結会計年度は37,246千円の利益)となりました。

フォト KPI

前連結会計年度

当連結会計年度

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

売上高(百万円)

156

133

203

233

168

163

235

268

EBITDA(百万円)

13

△15

20

51

△1

△36

△20

14

えんフォト 契約園数

4,339

4,525

4,624

4,725

4,845

4,947

5,028

5,139

えんフォト 園当たり売上高(円)

29,901

25,164

31,079

45,397

29,685

28,844

34,645

47,661

えんフォト ARR(百万円)

518

455

574

858

575

570

696

979

OurPhoto 撮影件数(件)

3,977

2,813

9,257

3,085

3,669

2,762

9,051

2,961

従業員数(人)

37

36

37

34

41

43

45

46

 

(注)1.ARR:「年間経常収益」。各四半期リカーリング売上高に4を乗じて算出。

    2.従業員数:臨時雇用者(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)を含む。臨時雇用者数は、年間の平均人員を換算。

 

④ BPO事業

BPO事業におきましては、人力とテクノロジーを最適に組み合わせた業務構築力と、自社グループのSaaS事業運営ノウハウを活用して展開するBPaaS業務が好調に推移いたしましたが、事業規模拡大に伴う人員増等によりコストが増加いたしました。

この結果、当連結会計年度におけるBPO事業の売上高は1,614,741千円(前連結会計年度比9.4%増)となり、セグメントEBITDAは209,704千円(前期比13.6%減)、セグメント利益は137,235千円(前連結会計年度比26.9%減)となりました。

 

BPO KPI

前連結会計年度

当連結会計年度

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

売上高(百万円)

255

291

326

602

313

353

397

550

EBITDA(百万円)

13

37

44

147

△20

25

57

146

従業員数(人)

135

134

134

148

177

193

201

197

 

(注)従業員数:臨時雇用者(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)を含む。臨時雇用者数は、年間の平均人員を換算。

 

⑤ クラウドソーシング事業

クラウドソーシング事業におきましては、「シュフティ」に登録されているクラウドワーカー数は2025年3月末時点で約47万人となっており、CGSにリソースを供給するためのプラットフォームとして、ユーザー利便性向上のためのサービス改修や安定的運営のためのカスタマーサポート改善に継続的に取り組んでおります。

この結果、当連結会計年度におけるクラウドソーシング事業の売上高は23,769千円(前連結会計年度比10.3%減)となり、セグメントEBITDAは△9,283千円(前期は△10,134千円)、セグメント損失は9,646千円(前連結会計年度は10,414千円の損失)となりました。

 

クラウドソーシング KPI

前連結会計年度

当連結会計年度

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

売上高(百万円)

6

7

7

5

5

6

6

5

EBITDA(百万円)

△4

△1

△2

△2

△1

△3

△1

△2

従業員数(人)

6

5

5

5

5

5

4

4

 

 (注)従業員数:臨時雇用者(パートタイマー、人材会社からの派遣社員)を含む。臨時雇用者数は、年間の平均人員を換算。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ184,766千円減少し、3,405,101千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、651,913千円となりました。(前連結会計年度は1,474,943千円の増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益696,286千円の計上減価償却費194,502千円の計上のれん償却額45,126千円の計上賞与引当金の増加37,096千円契約負債の増加189,947千円、前払費用の増加60,076千円、長期前払費用の増加56,710千円、法人税等の支払額577,223千円等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は553,082千円となりました。(前連結会計年度は441,288千円の減少)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出142,559千円無形固定資産の取得による支出373,479千円投資有価証券の取得による支出10,000千円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は283,597千円となりました。(前連結会計年度は160,107千円の増加)となりました。この主な要因は配当金の支払による支出241,886千円、長期借入金の返済による支出40,004千円等によるものです。

 

(3) 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注状況

BPO事業において受注が発生するものの、受注から納品までの期間が短く見込納品額は変動するケースがあるため、受注額の掲載を省略しております。

 

c.販売実績

最近2連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

(単位:千円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

CGS事業 NJSS

2,874,494

3,244,681

CGS事業 fondesk

833,793

982,116

CGS事業 フォト

726,858

835,946

CGS事業 その他

100

BPO事業

1,476,155

1,614,741

クラウドソーシング事業

26,510

23,769

報告セグメント計

5,937,912

6,701,255

合計

5,937,912

6,701,255

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。

 

《経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容》

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態及び経営成績等)

「《経営成績等の状況の概要》 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 

(経営成績等に重要な影響を与える要因)

当社グループのCGS事業は、いずれもストック型・サブスクリプション型のビジネスモデルであるため、その有料契約件数及び一有料契約当たりの総契約額が経営成績等に重要な影響を与えます。

CGS事業の主力サービスである「NJSS」においては、過去に営業体制とプロダクトが抱える課題によって成長が鈍化していたという認識があります。具体的には、営業体制に関しては、組織構造及び重視するKPI等が適切ではなかったことにより各社内部門が部分最適に陥っておりました。また、プロダクトに関しては、抜本的システム改修がなされていなかったことにより顧客利便性が不十分となっておりましたが、営業体制については人員強化を図ったうえプロダクトに関しては2021年7月にフルリニューアル第一弾を実施いたしました。その後、LTVをコントロールしつつ、契約件数を伸長させることによる売上高の拡大を優先していましたが、今後は新規契約の獲得ペースを維持しつつ、ARPUを向上させることによる売上高の拡大を目指してまいります。このほか、「nSearch(エヌ・サーチ)」とのシナジー創出や、公共機関の事業(予算)情報や公開・統計情報、入札データからみる自治体の傾向・特徴、アプローチに必要な組織情報を一括検索・管理できる情報支援ツール「GoSTEP」の展開、NJSSで蓄積された入札関連ノウハウと、うるるBPOが保有する案件履行にかかるノウハウを掛け合わせたBPaaS「入札BPO」の展開等により更なる成長を図ってまいります。他のCGS事業である「fondesk」や「えんフォト」においても、各サービスのフェーズ・環境に応じた施策の実施により成長を図ります。

BPO事業においては、紙の電子化需要などにより引き合いが好調に推移しております。好調な引き合いに対応すべく、2024年10月には渋谷地下街株式会社より「徳島つるぎ町事業所」を譲受するなど、拠点の整備も行っております。引き続き各拠点における強固且つ多様な施工体制を土台に、各種ニーズへの対応やSaaSの裏側のサポート等を通じて、継続的な成長と利益率の向上を図っていくことが重要であるという認識でございます。

クラウドソーシング事業については、CGS事業のためのプラットフォームとしての位置付けであり、当面横ばいの業績を見込んでいることから経営成績等への重要な影響を与える要因はないという認識です。

 

その他の経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益696,286千円の計上有形固定資産の取得による支出142,559千円無形固定資産の取得による支出373,479千円、配当金の支払による支出241,886千円などを行った結果、現金及び現金同等物は184,766千円減少いたしました。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,405,101千円となっており、利子負債控除後のネットキャッシュの金額は3,246,772千円となっており、手元流動性には懸念がないものと認識しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループは、2017年3月の東証マザーズ上場時に第三者割当増資によって約13億円の資金調達を行いました。また、主力事業であるNJSSにおいて、原則として契約金額全額を顧客から前払いで受領していることにより、契約が増加すればするほど貸借対照表上の契約負債が増加していくため、正常運転資金は基本的に発生しない財務構造となっております。このような財務構造により、財務の健全性に懸念はないものの、今後発生しうる人的資本投資やM&A等の成長投資において手元資金を充当することを想定し、2024年3月15日に長期借入金2億円を調達いたしました。

これらの要因により、当連結会計年度末時点において、現金及び預金が約34億円、有利子負債控除後のネット・キャッシュも約32億円と、当社の資金の流動性は当面十分であると考えております。

上記資金は、今期についてはこれまで掲げていた5か年の中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)以降の新たな経営方針である、「ULURU Sustainable Growth」のもと、人的資本投資を中心とした規律ある成長投資やM&Aに投下していく予定です。

 

 

(3) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

 

5 【重要な契約等】

(連結子会社の吸収合併)

当社は、2025年2月14日開催の取締役会において、当社を吸収合併存続会社、当社の連結子会社であるOurPhoto株式会社および株式会社ブレインフィードを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを決議しました。

詳細は「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。