第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、2024年10月の持株会社化と商号変更とともに『様々な事業ドメインにおいて革命を起こし、従来のビジネスモデルを変革する』ことを掲げ、傘下の事業会社にて、マーケティング事業及びDX事業を展開しております。ディスラプターズという社名には、デジタル技術の力、イノベーション、そして才能あるチームのたゆまぬ努力によって、様々な事業ドメインにおいて革命を起こし、従来のビジネスモデルを変革するという私たちの揺るぎないコミットメントが込められています。当社グループは常に現状に挑戦し、未開拓の機会を特定し、ビジネスのあり方を再定義する新たな基準を生み出すことに取り組んでおります。

 

(2)経営戦略等

当社グループにおける経営戦略等は以下のとおりとなります。

 

マーケティングの事業のHR領域では、大きな成果の出ているアライアンス・マーケティング(注)の取り組みの拡大により、更なる収益の増大を図ってまいります。また、ユーザーニーズを捉えた企画やアプリ開発によって、集客力の強化を進める一方、AIを活用した制作業務の効率化にも取り組んでまいります。

 

(注)アライアンス・マーケティング:人材紹介会社、派遣会社等においてマッチングが成立していない候補者に対し、当社グループの巨大な求人プラットフォームを提供するサービス。

 

不動産領域の個人向けサービスでは、引き続き、安定的な収益力を確保しつつ、不動産物件探しに付帯するサービスの拡充、具体的には引越し見積りや生活関連サービスへの申し込みといったものへのクロスセルを拡大し、獲得した顧客基盤の収益化を多様化してまいります。不動産領域の法人サービスにおいては、情報掲載モデルにおける掲載メニューの見直しに加え、仲介型のビジネスモデルへの進化を図ることにより、収益力の向上を狙ってまいります。

 

DX事業においては、引き続きSaaS(Software as a Service)サービスの提供とDX営業支援の両輪を回転させることによって、サービス開発と販売の両面での拡大を進めていきます。SaaSサービスでは顧客需要を確実に掴むことにより、売上の増大とコストの低廉化を図ってまいります。また、DX営業支援においては、クライアントの営業支援に留まらず、当社グループ内でのDX営業支援をさらに推し進めることで、グループ内リソースの最適化と売上・利益の最大化を支援してまいります。

 

(3)経営環境

マーケティング事業は、主にインターネット広告市場での展開をしております。インターネット広告費は、株式会社電通「2024年日本の広告費」によりますと、3兆6,517億円と前年比109.6%の伸びを示しており、継続して拡大しております。

 

HR領域では、アフターコロナによる企業の採用活動の活性化に加え、求職者の転職活動において、従前の能動的な応募型から、受動型のスカウトといった行動変容が見られております。また、コロナ禍に普及した場所を問わないテレワークといった働き方の多様化は転職市場における環境変化をもたらしております。また、法制面においては、育児・介護休業法の改正による事業側の対応も環境変化の要因になっていくことと思われます。

 

このような環境変化は、転職市場の新たなビジネスチャンスの萌芽となり、当社グループはその機会を捉えていくことで、HR領域の事業拡大を図ることができると考えております。

 

不動産領域では、人口移動が正常化したことにより、個人向け不動産分野が再び活性化することに加え、前出のHR領域における働き方の多様化が、住環境やオフィス環境の変化をもたらすきっかけにもなることから、法人向け不動産分野においても、事業拡大の後押しになると考えております。

 

DX事業においては、人手不足による事業者からの事業効率化の要望が当面、継続することが予想され、当社グループの提供するDX支援の事業についても、引き続き、多くの引き合いがあると思われます。また、同じく当社グループの提供するSaaS(Software as a Service)サービスについても、事業効率化の要望は、大きな追い風になるものと考えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後事業を展開するにあたり、当社グループが対処すべき課題として認識している点は以下のとおりであります。

 

①営業体制の強化について

当社グループはこれまで取引先の拡大を図ってまいりました。今後も、当社グループとしては、既存の取引先と信頼関係を保ちながらビジネスパートナーとしての深耕を図り、収益を拡大させていく必要があります。持株会社化を機に事業会社同士の連携を更に深めることにより、新規顧客開拓の加速と、既存顧客へのクロスセルを進めていくことは、必要不可欠であると考えております。

 

②マーケティングの強化について

当社グループは、主にWebマーケティング手法により、ユーザー数の拡大を図っておりますが、インターネット広告市場は継続して拡大をしており、競争の激化、新たなWebマーケティング手法の出現等が予測されます。Webマーケティングの強化による効率化に加え、成果の出ているアライアンス・マーケティングの適用範囲を拡大することで、ユーザー数の拡大を図ってまいります。

 

③ブランドの構築

当社グループでは、主にWebマーケティング手法により、ユーザー数の拡大を図ってきた一方、ブランディングを目的とした広告の活用は、いまだ積極的に展開できておりません。ユーザー獲得や行動喚起を主とした運用型マーケティングとブランディングを目的とした認知型のマーケティング活動は、露出方法、費用面で大きく違うことから、その費用体効果と意義を十分に検討していく必要がありますが、当社グループがより利便性の高いサービスを提供することで、当社グループ及びサービスがユーザーに支持され、認知されていくものだと考えております。

 

④優秀な人材の確保・育成について

当社グループが展開しておりますビジネスは、取引先にとって有益なサービス、ユーザーにとって最も便利なサービスを、取引先又はユーザーの視点に立ち企画・開発することが強く求められます。そのため、従業員一人一人の感性や経験がサービスの質に大きな影響を及ぼすため、優秀な人材を確保することが経営の重要な課題と認識しております。優秀な人材にとって魅力ある会社作りを行うため、労働基準法等の関連法令に従った労務管理の実施はもとより、公正な評価基準や教育研修の充実に力を入れてまいります。また、業務において、個人情報や機微な情報に接しない形での生成AIの利活用を推進することで、生産性の向上を図ってまいります。

 

⑤システム開発、改良、増強及び保守管理体制について

当社グループの運営する事業は、サービスの性質上、システムの開発、改良、増強及び保守管理体制が極めて重要であり、今後も更に充実させていくことが求められております。また、インターネットの利用端末の多様化に対する対応も必須となります。引き続き、市場環境変化に対応したシステム開発、改良、増強及び保守管理体制の整備を積極的に推進していく方針であります。

 

⑥新領域への展開について

当社グループはマーケティング業務からDX事業へと事業領域の拡大を図ってまいりました。今後は、更なる新領域への事業展開を図ることで取引先の満足度及びユーザーの利便性を向上させ、収益の拡大を図っていくとともに、新しい収益モデルの構築にも積極的に取り組んでまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、営業利益及び経常利益を特に重視しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、事業活動を展開していく中で、サステナビリティへの取組みは経営における重要な課題と認識しております。2024年10月の持株会社化に伴い、当社管理部が中心となり、サステナビリティに関する課題や視点については、グループ各社代表が出席して開催される経営会議において議論や検討、戦略を策定しております。特に重要な事項と判断されるものについては、取締役会で判断することで、経営会議レベルでの検討と意思決定スピードの向上に取り組んでおります。

 

また、当社管理部では、サステナビリティに関するグループ各社での活動の推進及び進捗管理を実施するとともに、複数の事業会社にまたがる課題については、同管理部が課題解決を主導し、必要に応じて課題解決の方向性を検討するなどサステナビリティ活動とガバナンス体制の強化を図っています。

 

(2)戦略

 当社グループにおける、サステナビリティ(持続可能性)に関する取り組みの主軸は「人材採用」「質の高い教育」「働き方の多様性の推進」となっております。

 

「人材採用」においては、ジェンダー・人・国に不平等なく、性別・国籍・人種の区別なく優秀な人材を採用していくことを推進しており、国籍・人種を問わず採用応募を受け付けております。

 

「質の高い教育」については、学びの機会の提供を推進し、セミナーへの参加や書籍、動画による学習費用の補助を行う一方で、社内勉強会の実施をすることで、学習の機会を提供しております。

 

「働き方の多様性の推進」は、働きがいと経済成長を両立すべく、社員の家庭環境の考慮としたテレワークの制度の導入を進める一方、経済成長との両立を図るべく、生成AIの活用を推進し、生産性の効率化を行っております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、人材確保・人材育成・情報セキュリティなど、当社グループにとって経営を驚かすリスクを多面的に捉え、、サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するためグループ各社代表が出席する経営会議を原則週1回開催し、適宜情報をキャッチアップし、適切な対応を討議する体制を整備しています。また、討議の結果は経営会議を通じ、取締役会メンバーに報告されております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、「人材採用」においては、性別による偏りのない採用を推進すべく、男女比においては偏りが出ないことを目標としておりますが、より包摂性・公正性を求められる社会的要請がある状況に環境が変化した際には、その目標を社会的要請に合わせたものにしていく予定です。

 

なお、2025年3月末現在のグループ全体の男女比率は男性56%、女性44%、女性の管理職比率は12.5%となっており、2031年3月期までに女性の管理職比率を10%とする目標を超えておりますが、より高い水準を目指してまいります。なお、国籍・人種の多様性については、国籍・人種を問わない採用を続けてまいります。

 

「質の高い教育」については、学習費用の補助を推進し、より多くの従業員が学習費用の補助をする環境になるべく、整備を進めてまいります。

 

「働き方の多様性の推進」については、柔軟な働き方による処置として、時短勤務、ならびに始業時刻などの変更を実施すると同時に、必要に応じたテレワークの導入を行っております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

 なお、以下の記載における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。また、以下の記載は当社グループに関連するリスクの全てを網羅するものではありません。

 

1.事業に関するリスクについて

(1)インターネット広告市場について

 日本の広告市場において、インターネット広告は広告手法の主要な手段となり、インターネット利用者数の拡大に伴い、今後も成長が続くものと認識しております。現在、当社グループのマーケティング事業は、インターネット広告市場を中心に事業を展開しており、マーケティング事業の継続的な拡大発展の前提として、社会における更なるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が必要と考えております。しかしながら、インターネットの環境整備やその利用に関する新たな規制の導入等により、今後のインターネット普及の障害となる予期せぬ要因が発生した場合、マーケティング事業の運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、特定領域における寡占化は広告費用の増加や広告手段の選択に対して、制限を与える可能性があります。さらに、広告市場は景気変動の影響を受けやすい市場であり、インターネット広告は今後も他の広告媒体との競合が継続して行くと考えられることから、今後これらの状況に変化が生じた場合、マーケティング事業の運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、インターネットサービスが置かれている事業環境及び技術の進化等について、常に最新の情報を把握できる体制を整えてまいります。

 

(2)競合について

 当社グループは、マーケティング事業においては、インターネット及びシステムを活用したサービスを提供しております。インターネット及びシステムを活用したサービスは、比較的参入障壁が低く、新規参入者は増加すると予想されるため、競合他社の出現による収益の低下及び競争激化等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、DX事業においてはSaaS型を主として、市場創世期においては、参入を狙う事業者が多く現れる傾向があり、各サービスの独自性を打ち出していくことと、当社グループのシナジーを活かした事業展開等を進めることで、競合との差別化を図ってまいります。

 

(3)新規事業について

 当社グループは、マーケティング事業(人材領域、不動産領域)及びDX事業を中心にサービスを展開しておりますが、更なる事業の拡大を目指し、新領域でのサービス開発に取り組んでまいります。しかしながら、新規事業においては、ウェブサイトやシステム開発、広告宣伝費等の先行投資が必要とされ、利益率の低下を招く可能性があります。また、新規事業には不透明な点が多く、先行投資額が想定を上回る場合があります。さらに、想定した収益が得られない場合、新規事業からの撤退という経営判断をする可能性もあります。この様な場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、新規事業におきましては、投資対効果を慎重に判断し、決定してまいります。

 

(4)インターネットの技術革新及びサービスの陳腐化について

 インターネット関連分野における技術革新は著しく、現在利用している技術や業界で標準とされる技術が急激に変化することも予想され、また技術革新に伴う顧客ニーズの変化、それに対応したビジネスモデルやサービスの開発・進化が活発に行われております。当社グループの想定の範囲外にある技術革新や当社グループが提供するサービス等を必要としない何らかのビジネスモデルの成立等により、現在の業態でのビジネス展開が縮小し、又は成立しなくなる可能性があります。これらの変化に対応すべく、継続的なサービスの向上を図るとともに、インターネット技術の進歩においても、常に状況を把握する体制を整えてまいります。特に生成AIにおいては、ユーザーの行動変容や事業者側の生産性の変化に大きなインパクトをもたらす可能性があると認識しております。

 

(5)インターネットを取り巻く法的規制について

 当社グループは、各種法令を遵守するとともに、社員教育等の啓蒙体制を整備しております。しかしながら、インターネット及び端末の普及、拡大とともにそれを活用したビジネスも多様化してきており、これに伴い、法改正又は新たな法規制等が行われた場合、当社グループの業務が制約を受け又は変更を余儀なくされ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、法規制等の動向の継続的な確認をしてまいります。

 

(6)システムトラブルについて

 地震、水害等の自然災害、火災、事故、停電等予期せぬ事象の発生によってコンピュータシステム及び通信ネットワークが切断された場合、当社グループではサービスの停止を余儀なくされることとなり、また、アクセスの急激な増加や役職員の過誤によるネットワーク障害が発生した場合、当社グループの直接の損害に加えて、当社グループの信頼の低下を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、停電や地震に対応可能な無停電設備、耐震構造を備えたクラウドサービスを利用し、そのデータについてはバックアップを取る等、事業の安定的な運用のための体制強化及びセキュリティ対策を行っております。

 

(7)ネットワークセキュリティについて

 ネットワークセキュリティについて、予防が困難な未知の手段によるコンピュータハッカーの侵入及びコンピュータウイルス等の外的な要因により、ウェブサイトに対して破壊的な影響を与えた場合、当社グループではサービスの停止を余儀なくされ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、サービス停止により、企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、コンピュータシステム及び通信ネットワークは、外部からの不正アクセスを防止するためにファイアウォール等のセキュリティ手段によって保護されております。また、ネットワークセキュリティについては、今後とも十分な対応を図ってまいります。

 

(8)個人情報等の管理について

 当社グループが保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性を完全に否定することはできません。また、外部からの不正アクセスや想定していない事態によって個人情報の外部流出等が発生した場合には、適切な対応を行うための相当なコスト負担、当社グループへの損害賠償請求への対処、企業としての社会的信用の低下により、当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、ユーザー等の個人情報につきましては、システム設計上での配慮は当然ながら、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定等、管理面及び物理的側面からも取り扱いに厳重な注意を払っております。また、社内での個人情報保護に関する教育啓蒙を行っており、個人情報保護についての重要性を認識しております。なお、当社グループは複数の事業会社において、財団法人日本情報処理開発協会よりプライバシーマークの認定・付与を受けております。

 

(9)マーケティング事業に係る広告宣伝活動について

 マーケティング事業では、より多くのユーザーを獲得し、クライント需要に応えるために、売上高に対して相当額の広告宣伝費を投下しております。広告宣伝活動においては、費用対効果を重視する方針で支出の可否を判断し、インターネット上の検索連動型広告を中心に出稿しております。今後、検索連動型広告の料金の高騰や検索エンジン運営者による上位表示方針の変更等により集客費用対効果が悪化し、利益率が低下した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループでは広告宣伝費及び集客費用対効果を適切に管理するとともに、新たな広告媒体の開拓・開発にも積極的に取り組んでおります。

 

(10)知的財産権について

 当社グループは、現時点において、第三者の知的財産権の侵害を理由とした使用差止請求や損害賠償請求等を受けている事実はありません。しかし、今後、使用差止請求や損害賠償請求等が提起され、多額の賠償金の支払やサービスの停止等を余儀なくされた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループでは、第三者の特許権に抵触する可能性の低減を目的として、当社グループの事業に関係性のあるキーワードを用いて特許検索・検討を行っています。

 

 

2.当社グループの事業運営体制に関わるリスクについて

(1)特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長CEOである板倉広高と上席執行役員グループCOOである齊藤慶介は、当社設立以来の事業の推進者であり、当社及び当社グループの経営方針や事業戦略、新規事業展開の意思決定等、当社グループの企業運営上、極めて重要な役割を果たしております。また、持株会社化に伴い、事業会社の代表取締役には、当社グループの執行役員を中心に選任をしております。そのため、上記メンバー業務の遂行が困難な状態となった場合や次世代経営幹部職員の育成、採用が進捗しなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を図っております。

 

(2)小規模組織であることについて

 当社グループは当事業年度末において、従業員105名と事業規模を考慮すると小規模組織で展開しており、また、内部管理体制も規模に応じたものとなっております。このため、必要な人材を当社グループの計画どおりに確保できなかった場合、事業規模に応じた内部管理体制を構築できなかった場合、さらに必要な人材の流出が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。このため、性別等にとらわれない採用を進めるとともに、女性の管理職割合の増加等を進めるとともに、事業の拡大にあわせて、優秀な人材の確保、育成を図る方針であります。

 

 

3.その他のリスクについて

(1)訴訟の可能性について

 当社グループは、現在において、損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありませんが、システム障害や人為的ミス等の予期せぬトラブルが発生した場合、取引先との関係に何らかの問題が生じた場合、第三者の知的財産権を侵害したとのクレームが発生した場合等には、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは、訴訟を提起される場合があります。損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社グループへの信頼性の低下を招き当社グループの事業及び業績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、契約時には法務確認を徹底していることに加え、必要に応じて弁護士等に相談をする等、訴訟リスク等の低減を図っております。

 

(2)大株主について

 当社代表取締役である板倉広高の当事業年度末日現在の株式保有率は、57.31%となっております。当社株式の保有方針に関して、当該株式の売却が行われた場合には、当社株式の流通状況及び市場価格に影響を及ぼす可能性があります。当社では、当社株式の保有方針等を定期的に確認する等、適切な対応を図ってまいります。

 

(3)減損リスクについて

 当社グループは2025年3月期末時点において、のれん及び顧客関連資産の合計が1,955百万円あります。今後、子会社及び取得したサービスの収益が著しく低下した場合には、減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、子会社及び各サービスの収益及び財務の状況を月次で確認し、子会社の経営状況及びサービスの状況を適切に把握できるように努めております。

 

 

4.リスクを把握し、管理する体制等について

 当社は、グループ代表、及び事業会社代表もって構成する経営会議を原則週1回、必要に応じて随時開催しており、上記リスクの把握及びその対応状況等を適宜管理しております。経営会議においては、発生した事象の緊急性、業績等への影響額、重要性等を考慮の上対応し、特に重要性が高いものについては取締役会に報告し、必要に応じて取締役会において対応の決定をいたします。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、ウクライナ情勢による地政学リスクや原材料費上昇、各国の中央銀行の金利動向による急激な為替変動や米国大統領選挙の結果を受けた株価動向等、極めて不透明な状況が続いております。このような環境下、当社グループは、2024年10月に新設分割による持株会社化を行い、傘下の事業会社においてマーケティング事業、及びDX事業を運営してまいりました。

 

以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は4,294百万円(前年比14.0%増)となりました。営業利益は352百万円(同436.9%増)、経常利益は351百万円(同428.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は211百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,601百万円)となりました。

また、当連結会計年度の総資産は3,788百万円(前連結会計年度と比べ235百万円減少)、負債合計は1,589百万円(同345百万円減少)、純資産は2,198百万円(同109百万円増加)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(マーケティング事業)

マーケティング事業においては、大きな課題であるCPA(顧客獲得単価)の高止まりへの対応策の一つとして、ユーザーデータベースを活用した収益モデルの立ち上げを進めてまいりました。

 

その取り組みの一つとして、HR(人材)領域では、人材紹介会社、派遣会社等においてマッチングが成立していない候補者に対し、当社グループの巨大な求人プラットフォームを提供するサービスであるアライアンス・マーケティングの取り組みを立ち上げた結果、大きな成果を上げ、今後も収益源としての成長を見込めるようになりました。

 

加えて、2023年10月1日に子会社化した人材紹介事業を展開する株式会社ホワイトキャリアをはじめとして、当社グループ全体でアライアンス・マーケティングを推進したことにより、当社グループ全体における求職者の登録・応募も増大することが出来ました。

 

不動産領域では、限られたクライアント予算に対して、安定的な収益を得るべく、利益獲得重視にシフトする一方、個人向け不動産サービスにおいては、付帯サービスの連携先開拓を進めてまいりました。法人向け不動産サービスでは、既存顧客に対する営業に加え、新規大型施設の建設・開業に対する積極的な営業提案を行ってまいりました。

 

以上の結果、セグメント売上高は3,093百万円(前年比8.4%増)、セグメント利益は450百万円(同19.7%増)となりました。

なお、サービス別の売上高の内訳は以下の通りとなります。

 

転職         1,498百万円

アルバイト・派遣     661百万円

不動産           932百万円

その他          1百万円

 

(DX事業)

DX事業においては、SaaS(Software as a Service)サービスの提供とDX営業支援の両面から事業を推し進め、営業支援サービス「Leadle」では、機能改善と2023年10月1日に子会社化した株式会社Sales Xによる販売体制構築を図ってまいりました。Web面接ツール「BioGragh」においては、競合との差別化を図るべく、顧客からのカスタマイズ要望に応え、小回りを効かせながら、受注を積み重ねております。

 

契約マネジメントシステム「ContractS CLM」においては、サービスメニューとコスト構造の見直しが奏功し、赤字幅も縮小傾向となっております。また、前出の株式会社Sales Xでは、DX商材の拡販を目指すクライアントに対し、BPO(Business Process Outsourcing:営業プロセスの外注化)を提案してまいりましたが、その効果を認めていただいているクライアントからの継続受注をすることが出来ました。

 

以上の結果、セグメント売上高は1,200百万円(前年比31.3%増)、セグメント損失は104百万円(前連結会計年度はセグメント損失315百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ76百万円増加し、1,067百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、539百万円(前連結会計年度は304百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益356百万円、減価償却費211百万円、のれん償却額85百万円の収入、未払金の減少103百万円の支出があったことよるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、37百万円(前連結会計年度は1,137百万円の支出)と

なりました。これは主に、敷金の回収による収入37百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、500百万円(前連結会計年度は504百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出398百万円、配当金の支払額102百万円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

マーケティング事業(百万円)

3,093

108.4

DX事業(百万円)

1,200

131.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社LIFULL

538

14.3

44

1.0

株式会社リクルート

478

12.7

660

15.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下の通りとなります。

1)財政状態

(資産)

当連結会計年度末における総資産残高は3,788百万円となり、前連結会計年度末に比べ235百万円減少しました。これは主に、顧客関連資産の減少190百万円、のれんの減少85百万円、現金及び預金の増加76百万円によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債の残高は1,589百万円となり、前連結会計年度末に比べ345百万円減少しました。これは主に、長期借入金の減少223百万円、1年以内返済予定の長期借入金の減少174百万円、未払金の減少128百万円、未払法人税等の増加69百万円によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は2,198百万円となり、前連結会計年度末に比べ109百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や配当金の支払いの結果、利益剰余金の増加109百万円によるものであります。

この結果、自己資本比率は58.0%となりました。

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は4,294百万円となり、前連結会計年度と比べ527百万円増加しました。主な要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価は1,448百万円となり、前連結会計年度と比べ481百万円増加しました。これは主に、業務委託料、従業員に関する人件費の増加によるものです。

(売上総利益)

上記の結果、当連結会計年度における売上総利益は2,846百万円となり、前連結会計年度と比べ45百万円増加しました。

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,494百万円となり、前連結会計年度と比べ240百万円減少しました。これは主に、広告宣伝費、顧客関連資産およびのれんの償却費の減少によるものです。

(営業利益)

上記の結果、当連結会計年度における営業利益は352百万円となり、前連結会計年度と比べ286百万円増加しました。

(営業外損益)

当連結会計年度における営業外収益は8百万円となり、前連結会計年度と比べ11百万円減少しました。これは主に、補助金の減少によるものです。

当連結会計年度における営業外費用は9百万円となり、前連結会計年度と比べ9百万円減少しました。これは主に、雑支出の減少によるものです。

(経常利益)

上記の結果、当連結会計年度における経常利益は351百万円となり、前連結会計年度と比べ284百万円増加しました。

(当期純利益)

当連結会計年度における税効果会計適用後の法人税等合計は144百万円となり、前連結会計年度と比べ279百万円増加しました。

上記の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は211百万円となり、前連結会計年度と比べ1,813百万円の増益となりました。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り、事業環境等の様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向等の外部環境を注視・分析することで現在及び将来における事業環境を確認するとともに、事業体制及び内部管理体制を強化し、社会のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に対し適切な対応を行ってまいります。

その結果、当社が重要な経営指標としている売上高、営業利益、及び経常利益の達成状況につきましては、2025年5月15日に開示いたしました計画に対して、それぞれの達成率が93.8%、100.6%、98.5%となっております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、短期、経常的な資金需要は運転資金であり、主なものは広告宣伝費や人件費のほか法人税等の支払いとなります。これらについては営業キャッシュ・フローにより獲得した内部資金により充当してまいります。なお、今後におきましては、M&A等による突発的な大型の資金需要については借入金や増資等による調達も柔軟に検討してまいります。

流動比率につきましては170.0%となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

 

5【重要な契約等】

(会社分割による持株会社体制への移行)

当社は、2024年5月22日開催の取締役会及び2024年6月27日開催の定時株主総会の決議に基づき、2024年10月1日を効力発生日として新設分割を行い、持株会社体制へ移行いたしました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載の通りであります。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。