第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)基本方針

 当社グループの基本方針は、中小規模を中心とした住宅関連事業者に対して、経営支援を目的とし、住宅関連の金融(住宅ローン)・保険・保証・検査・性能評価・クラウドサービス等を総合的に提供することで、住宅発注者や住宅所有者の顧客幸福を実現することであります。

 グループ創業以来、住宅産業の課題をチャンスと捉え、金融という切り口から住宅産業の共通課題を解決することを事業の起点としております。

 経営方針としては、以下の8つを掲げております。

① 顧客幸福に繋がらないことは行わない。

② メジャーは目指さない。カテゴリーキラーとしてインディーズであり続ける。

③ 資産は人財。

④ 強くて優しい人と組織であり続ける。

⑤ 革新的であり続ける。住宅産業を再定義し続ける。

⑥ 最大のモラル(人格)と最小のルール。

⑦ バッド情報ファースト。体裁より中身。

⑧ サービスが先、利益は後。健全な投資は短期利益より大事。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、安定的競争力の実現と安定した収益力確立の観点から、「営業収益」の増収を重視しており、「営業総利益」「営業利益」を重要な指標として位置づけ、持続的な企業価値の拡大を目指します。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループでは、中長期的な経営戦略として、『MSJグループ中期経営計画(2020年度~2022年度)』を策定しております。従前より取り組んでおりました「住宅金融とクラウドの融合による差別化」をさらに推進し、住宅関連事業者への支援を強化してまいります。

 具体的には、当社グループが独自に開発した住宅事業一気通貫型のクラウドサービス「助っ人クラウド」を住宅営業から設計・工事、住宅引渡後のアフターメンテナンスに至るまで情報を一元化するシステムとして住宅関連事業者に無償で提供し、住宅関連事業者の業務効率向上と経営合理化を強力に支援します。当社グループにおいては、このクラウドを通じて住宅1棟に対して様々な商品を重層的に提供する仕組みを構築し、商品の販売促進を図ることで、さらなる成長を目指してまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 住宅業界における事業環境は、政府の金融・経済対策を背景とした企業業績の緩やかな回復基調を基に、雇用・所得環境の改善傾向が続きましたが、人口・世帯数の減少や空き家の増加傾向により、新築住宅市場は縮小傾向へ向かうことが予想されます。また、人手不足は年々深刻化し、人件費や建材・住宅資材等の建設原価も上昇しており、利益の確保が業界の共通課題となっております。さらに現在、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、当社グループの顧客である住宅関連事業者においては、景況感の急速な悪化による新規建設受注の減少や、建材・建設資材の生産・納品の遅れによる建設工事の遅延から資金繰りの悪化等が懸念されており、経営環境は厳しい状況が続くものと考えられます。

 当社グループでは、金融という切り口から産業課題を解決することを事業の起点として商品を開発し、中小規模を中心とした住宅関連事業者に提供しております。新型コロナウイルス感染症の拡大により、住宅業界ではテレワークの必要性を契機として「デジタル化への遅れ」という課題が以前にも増して顕在化しており、資金繰りに対するニーズも今後は高まっていくものと考えられます。当社グループではこれらの課題やニーズの変化をチャンスと捉え、以下の課題解決に取り組むことで、着実な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

① 住宅事業一気通貫型クラウドサービス「助っ人クラウド」の提供により、住宅産業におけるデジタル化と差別化を推進し、業界全体の生産性向上・合理化の底上げを図る。

② 住宅関連事業者の資金繰りを支援する商品の開発を検討し、「ビルダーズバンク」として、新たな住宅産業金融会社としての役割を果たす。

③ グループ全社が一体となり、当社グループの金融・保険・保証等の商品をトータルで提供する営業手法「ONEマーケティング」により、差別化と顧客の囲い込みを推進し、様々な商品を重層的に提供することで、中長期的に安定した収益力を確保する。

④ 住宅関連事業者が「生涯顧客化」(住宅の完成引渡後も適切なメンテナンスの実施と、顧客が快適に住み続けられるサービスを提供し、顧客とつながり続けることで、新築住宅の建設・販売だけではなく、リフォームやメンテナンス等幅広い収益を可能にするビジネスモデル)による事業転換を可能にするための商品ラインナップにより、住宅関連事業者の支援をさらに推進し、住宅発注者や住宅所有者の顧客幸福を目指す。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)事業環境に関するリスクについて

① 景気、金利及び住宅市場の動向等の外部環境による影響について

 当社グループは主に住宅不動産業界に属する企業及び住宅を購入等する個人ユーザーを顧客としているため、住宅の建設及び流通の動向、消費税やその他不動産に係る税制の改正、国内の人口減少等の影響を受ける可能性があります。

 そのため、住宅購入意欲の低減、住宅ローン金利の上昇、住宅着工戸数の縮小、住宅流通戸数の伸び悩み等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合による影響について

 現在、住宅金融事業における「フラット35」を取扱う金融機関は複数存在し、また、住宅瑕疵保険等事業における住宅瑕疵保険を取り扱う「住宅瑕疵担保責任保険法人」は、現在、他に4法人存在するなど、当社グループが行う事業においては複数の競合企業が存在いたします。審査の確実性・スピード、商品ラインナップの豊富さ、各種サービスの複合的提供等により、競合他社にも劣らない体制を構築しているものと認識しておりますが、今後、他企業の新規参入及び事業拡大等により、ユーザーの獲得競争が激化し、当社グループの競争優位性が低下した場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行に伴い、2020年4月7日に日本政府による緊急事態宣言が発令され、2020年5月25日に緊急事態宣言が解除されたものの、当社グループではテレワークを推進するなどの対策を講じ、現時点において事業運営に影響を及ぼす事象は発生しておりません。

 しかしながら、さらなる感染症の流行拡大により、当社グループの顧客である住宅関連事業者において、景況感の急速な悪化による新規建設受注の減少や、建材・建設資材の生産・納品の遅れによる建設工事の遅延から資金繰りの悪化等が懸念されており、これらのリスクが顕在化することで既存取引先の減少や新規受注の獲得ができない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスクについて

① 住宅金融事業において当社が扱う「フラット35」への依存等について

イ) 当社は、独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」)から住宅債権買取契約締結先と認定されることにより、機構が提供する固定金利住宅ローンである「フラット35」を『MSJフラット35』として住宅資金需要者(以下「需要者」)に貸し付けることができることになっております。

 そのため、機構における当該商品に係る取扱い方針や制度変更等があった場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ) 「フラット35」は制度上、当社のような「フラット35」取扱機関が住宅完成時に需要者に貸付を行った後に、当該貸付債権を機構が買い取る仕組みとなっており、当社では民間金融機関から資金を調達して需要者に貸し付けた後、当該貸付債権の機構への売却により、民間金融機関からの借り入れを全額返済しています。

 また、当社独自のものとして、土地購入や住宅着工時・中間金支払等に住宅建築業者等への請負代金等の一部支払いが必要な需要者には、民間金融機関から資金を調達して『MSJプロパーつなぎローン』を提供しています(当該つなぎローンの貸付債権は、住宅完成後の「フラット35」融資実行により完済されます。)。期末時点において借入金(短期借入金)が多いのはそのためであります。

 上記の住宅ローン貸付用資金の調達は、民間銀行から行っておりますが、当社業績の大幅な悪化による与信低下等の事態が生じた場合や、金融機関側の事情による当社との関係縮小の事態が生じた場合等により、当該貸付用資金が予定通りに調達できなくなった場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ) 『MSJフラット35』貸付のための民間銀行からの調達金利は、機構による住宅ローン債権買取時に、調達利息相当分が機構から支払われますので、当社リスクは原則として生じません。一方、『MSJプロパーつなぎローン』貸付のための民間銀行からの調達資金に係る金利については、TIBOR(東京オフショア市場での銀行間における為替取引金利)を基準とした利率が適用され、それに対応する『MSJプロパーつなぎローン』融資金利(短期プライムレート(銀行が優良企業向けの短期貸出に適用する金利)に連動して設定されます。)の中に含めて当該調達金利コストが賄われる仕組みとなっております。

 このため、『MSJプロパーつなぎローン』貸付のための調達金利が急激に上昇する等の変動があった場合、直ちに融資金利に全てを転嫁できず、また、転嫁しても、それにより競合企業より融資条件が劣後する等し、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ニ) 当社では、概ねとして重要拠点以外は直営店舗を置かず、全国のアライアンスパートナー(コンサルティング会社、ローン取扱専業会社、不動産会社、工務店等)と提携しております。主として当該アライアンスパートナーが当社に紹介・取次等を行い、当社が需要者に貸し付けを行うネットワークを構築しています。そのため、アライアンスパートナー等との取引に何らかの支障等が生じた場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 住宅瑕疵保険等事業における住宅瑕疵担保責任保険の取扱について

イ) 住宅瑕疵保険等事業における「住宅瑕疵担保責任保険」の販売は、当社子会社である株式会社ハウスジーメン(以下「ハウスジーメン」)が、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(以下「住宅瑕疵担保履行法」)等に基づき、国土交通大臣から住宅瑕疵担保責任保険法人の指定を受け、行っております。しかしながら、上記法令等の変更により住宅瑕疵担保責任保険制度そのものが法的根拠を失った場合等、同保険の販売が困難になる等の事態が生じた場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ) 「住宅瑕疵担保責任保険」では、ハウスジーメンが自ら引き受けた保険契約に関するリスクは損害保険会社に再保険に出すことによりリスク回避しており、その対価として損害保険会社に再保険料の支払を行っております。損害保険会社とは良好な関係を構築しておりますが、同社における方針変更等により再保険料が上昇したり、継続取引が困難となった場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ) 「住宅瑕疵担保責任保険」は、保険事故があった場合、上記のロ)記載のとおりリスクは損害保険会社にヘッジしてはいるものの、保険金はハウスジーメンが一義的に保険契約者に支払うこととなっております。このため、ハウスジーメンにおいては、法令等に基づき、支払備金及び責任準備金といった準備金等の積み立てを行っておりますが、想定外の保険事故により一時的な支出が発生した場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ニ) 住宅瑕疵保険等事業の顧客である住宅関連事業者等への営業・商品説明等は、住宅金融事業におけるアライアンスパートナーと同様に保険業務等に関する取次契約を締結した取次店(全国各地域で取引先ネットワークを有する住宅フランチャイズ本部、建材事業者、保険代理店等)の地場や取引関係に根差したネットワークを活用しています。そのため、取次店との取引に何らかの支障が生じた場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ホ) 当事業においては、瑕疵検査及び性能評価等の実施に関し、外部の検査機関及び検査員に検査業務の委託を行っているため、大口委託先となる検査機関と取引が継続できなくなり、ハウスジーメンによる代替対応が遅れるような場合には、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 住宅アカデメイア事業におけるシステムについて

 住宅アカデメイア事業において提供しているHP統合システムはクラウドシステムであり、ベースとなるシステム等はすでに一定の開発は終えており、住宅関連事業者に提供・利用されている段階のため、システム自体が稼働しない、うまく機能しないといったことが生じる可能性は低いと考えております。

 しかしながら、追加機能の検討・開発の大幅な遅延やHP統合システムに関連する各種サービス提供のための要員確保ができないような場合には、HP統合システムの優位性が損なわれ、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)1.「HP統合システム」とは、住宅事業における一連のプロセスを効率化するクラウドシステムであり、住宅の設計・積算、確認申請、部材・建材の注文、木材加工等、引渡までのプロセスを効率化し、住宅の完成引渡後のプロセスにおいては、定期点検やメンテナンス、リフォーム等の業務を管理し、住宅の資産価値の醸成を支援するシステムです。

2.従来の「HPCシステム」、及び「HPAシステム」等を統合し、「HP統合システム」として提供しています。

(3)事業運営等に係るその他リスクについて

① 法的規制について

 前記(2) ② イ)に記載した事項等を含め、当社グループにおいては、業務の遂行において、関係監督官庁から許認可や指定等を受ける必要があるものが含まれます。

 その主な内容及び関連する法規制等については次のとおりであります。

 

法規制等

許認可

番号、及び有効期限

所管

住宅金融事業

貸金業法

貸金業者登録

登録年月日:2005年12月15日(東京都知事登録)、2006年3月16日(都知事登録に代えて関東財務局長登録)

登録番号:関東財務局長(4)第01464号

現行登録期限:2018年3月16日~2021年3月16日(3年毎に更新必要)

金融庁

自主規制規則

日本貸金業協会加入承認

加入承認日:2012年11月13日

会員番号:第005752号

日本貸金業協会

銀行法

銀行代理業許可

所属銀行:ソニー銀行株式会社

許可年月日:2018年10月11日

許可番号:関東財務局長(銀代)第343号

有効期限:なし

金融庁

住宅瑕疵保険等事業

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)

住宅瑕疵担保責任保険法人指定

指定日:2008年10月16日

指定番号:指定番号5

有効期限:なし

国土交通省

役員の選任及び解任の認可

業務規程に関する認可

事業計画の認可

引渡後保険の引受の認可

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)

登録住宅性能評価機関の登録

登録日:2001年4月2日

登録番号:国土交通大臣18

有効期限:2016年3月31日~2021年3月30日(5年毎に更新必要)

注:2006年3月1日に指定制から登録制に移行。

国土交通省

適合証明業務に関する協定書

適合証明業務の受託機関の協定締結

締結日:2007年1月1日

有効期限:なし

国土交通省及び財務省

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)に基づく評価の実施機関の登録

登録日:2016年4月1日

登録番号:029(一般社団法人住宅性能評価・表示協会への登録)

有効期限:2016年4月1日~2021年3月31日(5年毎に更新必要)

国土交通省

登録建築物エネルギー消費性能判定機関の登録

登録日:2017年3月28日

登録番号:国土交通大臣22

有効期限:2017年4月1日~2022年3月31日(5年毎に更新必要)

国土交通省

 

 

 

法規制等

許認可

番号、及び有効期限

所管

住宅アカデメイア事業

建築士法

建築士事務所の登録

登録日:2017年10月24日

登録番号:一級愛知県知事登録(い-29)第13425号

有効期限:2017年10月24日~2022年10月23日(5年毎に更新必要)

愛知県

旅館業法

① 簡易宿所の許可

許可日:2016年4月21日

① 許可番号:長野県佐久保健所指令28佐保第11-3号

有効期限:なし

① 長野県佐久保健所

② ホテル営業の許可

許可日:2017年4月24日

② 許可番号:愛知県豊川保健所指令29豊川保第467-1号

有効期限:なし

② 愛知県豊川保健所

③ 簡易宿所の許可

許可日:2017年7月20日

③ 許可番号:長野県諏訪保健所指令29諏保第10-9号

有効期限:なし

③ 長野県諏訪保健所

 

 そのため当社グループでは、法規制等の遵守のために、社内規程や管理体制の構築及び従業員教育を行い、コンプライアンス体制の整備に努めており、現状上記許認可等について取消事由に該当している状況にはありません。

 しかしながら、例えば、当社が貸金業法等に対する重大な違反を犯した場合等には、貸金業者の登録取消しや更新登録不可による住宅ローン事業継続不能の事態に陥る可能性があり、また、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律等への重大な違反を犯した場合には、住宅瑕疵担保責任保険法人の指定取消しによる住宅瑕疵保険事業の継続不能の事態を招く可能性があるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また今後、当該法規制等の改正があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害について

 住宅瑕疵保険等事業及び住宅アカデメイア事業におけるサービス申込やサービス提供の多くの業務及び業務関連データ保管は、Webサイトを含め、当社グループ管理の業務システムに依存しております。また、住宅金融事業においては機構等のシステムや当社社内システムを活用して業務を遂行しております。

 これらのシステムや保管データに関しては、バックアップの二重化や、ファイアウォール、ウィルスチェック等、障害を回避するための対策を講じております。また、構築したアプリケーションソフトの不具合等が発生した場合、早急な対応が可能な体制を整えております。

 しかしながら、想定を超えた災害、攻撃、あるいはアクセスの急激な増加、または構築したアプリケーションソフトの不具合等、様々な要因によって、当社グループの業務システム及び保管データに長期間にわたる障害又は問題が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報の管理について

 当社グループでは、事業の性格上多数の個人情報を取得していることから、個人情報の取扱いと管理には細心の注意を払っております。添付書類のメール送信時のパスワード自動付加等のシステム面での漏えい防止措置に加え、社内でのルール・手続きの明確化・徹底化並びに役職員に対する教育を行い、個人情報の管理に努めております。

 しかしながら、今後、顧客情報の流出等の問題が発生した場合には、損害賠償請求や信用低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産権について

 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しない体制として、社内教育の実施や顧問弁護士による調査・チェックを実施しておりますが、万一、当社グループが事業を推進する中で第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴訟を提起される可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 紛争・係争について

 当社グループでは、コンプライアンスに関する諸規程を制定し、役職員の遵守を徹底すること、顧問弁護士との密な連携を図ることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無にかかわらず、ユーザーや顧客、取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果、またはそれに関連する訴訟費用の発生や、当社グループの企業及びサービスに対するブランドイメージを毀損することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2019年4月1日~2020年3月31日)における我が国経済は、政府の金融・経済対策を背景とした企業業績の緩やかな回復基調を基に、雇用・所得環境の改善傾向が続きました。しかしながら、米中貿易摩擦の長期化や金融資本市場の変動などによる影響に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により景況感が悪化し、不透明な状況が続いております。

 当社グループの主な事業分野であります住宅関連業界におきましては、政府による住宅取得支援策やマイナス金利の継続を背景に、住宅取得に関連する需要には底堅い動きが見られましたが、金融機関の融資厳格化などの影響で、新設住宅着工戸数は減少傾向で推移するなか、新型コロナウイルス感染症の拡大により、建設資材の生産、納品の遅れによる建設工事の遅延等が業界全体で懸念されており、今後の動向については予断を許さない状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループは、当連結会計年度において、当社が主として行う住宅ローン貸付事業等の『住宅金融事業』、住宅検査機関・住宅瑕疵担保責任保険法人である株式会社ハウスジーメンが中心となって行う『住宅瑕疵保険等事業』、株式会社住宅アカデメイアが行う電子的情報処理を活用した住宅関連事業者への支援事業等の『住宅アカデメイア事業』を三位一体として、全国各地の住宅建設事業者、不動産事業者、資材建材事業者、設計事務所、住宅改修事業者等の「住宅関連事業者」を支援し、良い家を適切に造り、資産価値を維持し続けるための仕組み作りを通じて、ユーザーハピネスの実現を目指して、各種事業を推進いたしました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比較して3,412,434千円増加し、18,285,572千円となりました。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して2,613,016千円増加し、13,523,380千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して799,418千円増加し、4,762,192千円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、営業収益7,117,779千円(前年同期比13.6%増)、営業利益1,482,807千円(同27.9%増)、経常利益1,483,082千円(同28.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,014,726千円(同26.4%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(a)住宅金融事業

 住宅金融事業におきましては、当連結会計年度において首都圏を中心に新規開設した9店舗(代理店店舗)が下期に本格稼動いたしました。また、新規住宅取得者の住宅ローン需要においては堅調な動きが見られ、新規住宅取得者のフラット35融資実行件数は過去最高で推移するとともに、フラット35融資実行までに行うつなぎ融資においても、大幅に伸長し、ともに収益増加に貢献しました。

 一方で、前連結会計年度より新規商品として取扱いを開始したフラット併用プロパー住宅ローン『ベストミックス』の融資実行件数も大幅に増加いたしました。

 このような状況のもと、従来のフラット35では対応できない住宅ローンニーズを取り込むための商品として、変動金利・固定金利選択型『MSJ住宅ローン 十色(トイロ)』に加え、シニア層向けの『MSJ高齢者一括返済型住宅ローン(MSJリバースモーゲージ)』、既存住宅流通活性化を促進するための宅建事業者向け融資『MSJ買取再販ローン』等の取扱いも順調に増加いたしました。

 これら新たな住宅金融商品のリリースをはじめ、新築住宅向け商品にとどまらない、幅広い住宅金融商品の充実に取り組んでまいりました。

 また、お客様の利便性向上及び事務効率化のため、金銭消費貸借契約書の電子契約サービスを開始いたしました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、営業収益2,868,223千円(前年同期比32.2%増)、営業利益762,109千円(同30.3%増)となりました。

 

(b)住宅瑕疵保険等事業

 住宅瑕疵保険等事業のうち、住宅瑕疵担保責任保険事業におきましては、戸建住宅の住宅瑕疵保険販売の拡大と強化を推進するため、一般社団法人住宅技術協議会が提供する住宅地盤保証との同時提案を行う等、他社との差別化を前面に打ち出した積極的な営業展開による新規顧客の獲得、かつ主要取次店との連携強化にも注力した事業活動を継続して行ってまいりました。

 その他事業につきましては、住宅瑕疵担保責任保険を基盤とした、住宅地盤保証取次、住宅性能評価等の各種サービスを併せた多種目販売の推進により、収益性の向上に向けた取り組みに努めました。

 当事業においては、新築住宅への各種商品の提供、また既存住宅においては延長保証保険などを活用したストック循環型ビジネスへのサービス支援の仕組み形成を進めてまいりました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、営業収益3,744,364千円(前年同期比5.9%増)、営業利益604,468千円(同23.4%増)となりました。

 

(c)住宅アカデメイア事業

 住宅アカデメイア事業におきましては、事業基盤であります住宅事業者向けシステムプラットフォームの提供に加え、これに連動する住宅メンテナンス保証サービスプログラム、住宅リペア保証サービスプログラム等の販売を強化し、事業の継続的成長を実現するため、各種サービスを推進いたしました。

 また、住宅事業者向けサポートサービスであります住宅フルフィルメント業務につきましては、まるはびシェアビジネスの3つの拠点(class vesso西軽井沢・SHARESラグーナ蒲郡・class vesso蓼科)の運営管理業務の安定と品質向上を図るとともに、住宅事業者の事業生産性改善に資する設計サポートサービス等の提供に注力いたしました。

 これらの取り組みにより、住宅アカデメイア事業は堅調に推移し、収益に寄与いたしました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、営業収益505,191千円(前年同期比10.3%減)、営業利益115,388千円(同38.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、5,213,222千円と前連結会計年度末に比べ403,495千円増加となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により減少した資金は、983,996千円(前連結会計年度は9,545,290千円の収入)となりました。主な収入要因は税金等調整前当期純利益1,483,082千円、減価償却費89,620千円、信託預金の減少137,458千円、営業預り金の増加685,870千円であり、主な支出要因は営業未収入金の増加1,863,120千円、営業貸付金の増加772,280千円、前受金の減少139,471千円、法人税等の支払額414,794千円、売上債権の増加165,236千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により減少した資金は、129,685千円(前連結会計年度は128,635千円の支出)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出18,249千円、無形固定資産の取得による支出98,945千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により増加した資金は、1,517,178千円(前連結会計年度は9,001,156千円の支出)となりました。主な要因は短期借入金の増加1,767,900千円、配当金の支払額249,621千円によるものです。

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社グループの事業の性格上、受注状況の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

住宅金融事業            (千円)

2,868,223

132.2

住宅瑕疵保険等事業         (千円)

3,744,364

105.9

住宅アカデメイア事業        (千円)

505,191

89.7

合計(千円)

7,117,779

113.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては後述の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。

 また、当社グループでは、固定資産の減損会計や繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りについて、新型コロナウイルス感染症の拡大は期末日以後、半年程度で収束し、その後日本経済は緩やかに回復に向かうものと仮定し、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき会計上の見積りを行っております。

 なお、経営者は、過去の実績や状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

(a)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比較して3,412,434千円増加し、18,285,572千円となりました。主な要因は営業未収入金1,863,120千円、営業貸付金772,280千円の増加によるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して2,613,016千円増加し、13,523,380千円となりました。主な要因は前受金が139,471千円減少する一方、短期借入金1,767,900千円、営業預り金685,870千円、その他流動負債136,974千円、責任準備金92,435千円の増加によるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して799,418千円増加し、4,762,192千円となりました。主な要因は利益剰余金764,937千円の増加によるものです。

 

(b)経営成績

(営業収益)

 営業収益は、住宅金融事業における新規開設店舗が順調に稼働し、また多様な住宅ローンニーズに対応するための品揃えの充実等により融資実行件数が大幅に伸長したことが主な要因となり、前連結会計年度と比較して849,835千円増加し、7,117,779千円(前年同期比13.6%増)となりました。

 

(営業原価、販売費及び一般管理費)

 営業原価は、住宅アカデメイア事業において、まるはびシェアビジネスの運営体制を見直した結果、前連結会計年度と比較して63,034千円減少し、2,197,173千円(同2.8%減)となりました。

 販売費及び一般管理費は、住宅金融事業において融資実行件数増加に伴う代理店手数料の増加、及び株主優待費用の増加により前連結会計年度と比較して589,142千円増加し、3,437,798千円(同20.7%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が増加したことにより、前連結会計年度と比較して211,733千円増加し、1,014,726千円(同26.4%増)となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、住宅を建築・購入等する個人顧客及び住宅関連事業者に対し、住宅ローン、住宅瑕疵担保責任保険等を提供しているため、新築住宅着工戸数や住宅流通戸数の増減により経営成績が影響を受けます。

 短期的には、現在のような極めて低い水準の住宅ローン金利が上昇に転じた場合、顧客の住宅購入意欲が減退し、当社グループの主たる収益源に重要な影響を与える可能性があります。

 また、我が国の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は28.1%と推移しており、高齢化過程に入ると推計されております(2019年版高齢化白書)。従って、中長期的には、新規住宅着工戸数は頭打ちとなることが予想されるため、当社グループが新築住宅に対するフラット35等住宅ローンや住宅瑕疵担保責任保険の受注に過度に依存し続けた場合、将来の経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループのセグメントのうち、住宅金融事業では、住宅ローンの貸付に必要な資金を銀行より借入れることにより調達しております。当社は顧客への貸付を行うと同時に、当該貸付債権を独立行政法人住宅金融支援機構に譲渡し、この譲渡代金を銀行からの借入金返済に充てております。

 住宅瑕疵保険等事業においては、当該事業の柱である瑕疵検査業務、及び瑕疵保険業務において、営業収益である検査料収入、瑕疵保険料収入はそれぞれ事業主から前受で受取り、この資金をもって営業原価である検査員への検査料、損害保険会社への再保険料を支出しており、その他の必要資金は自己資金で賄っております。従って住宅金融事業、住宅瑕疵保険等事業においては、特に運転資金の調達は必要としておりません。

 住宅アカデメイア事業においては、住宅フルフィルメント業務、HP統合システム連動保証プログラム提供業務では、基本的に売掛金の回収と買掛金の支払いはほぼ同時に行われます。また設備投資資金については、当社からの投融資で賄っております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、安定的競争力の実現と安定した収益力確立の観点から、「営業収益」の増収を重視しており、「営業総利益」「営業利益」を重要な指標として位置づけております。当連結会計年度における「営業総利益」は4,920,605千円(前年同期比22.8%増)であり、「営業利益」は1,482,807千円(同27.9%増)でした。引き続きこれらの指標の向上に努めてまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

日本モーゲージサービス株式会社

契約先

契約名称

契約内容

契約期間

住宅金融公庫(2007年4月より、独立行政法人住宅金融支援機構。以下同じ)

住宅ローン債権売買基本契約

当社が債務者との間で締結した金銭消費貸借契約に基づき有する住宅ローン債権を、独立行政法人住宅金融支援機構に譲渡する取引についての契約

2006年7月1日から

2007年3月31日まで

以降1年毎の自動更新

株式会社三井住友銀行

つなぎ融資債権及び譲渡代金債権信託契約書

つなぎ融資債権及び譲渡代金債権の流動化等に関する契約

当初信託設定日から信託終了日まで(契約締結日は2018年3月30日)

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。