第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「ICTの提供による中小企業への経営支援を通じた社会貢献」のため、常に新しい商品、新しいサービスの開発に挑戦し、顧客の創造を事業目的としております。

また、持続的な企業価値向上のため、サステナビリティ経営を推進し、様々な社会的課題からESG(環境・社会・ガバナンス)を実践し、ステークホルダーに還元してまいります。

特に、ICTの提供は、DX(デジタルトランスフォーメーション)により人々の生活に変化をもたらし、豊かにしていくものと思われます。これらのデジタル革命や新技術による業務プロセスの変化に対応することで「Plus1」の付加価値を提供し、美容サロンをはじめ中小企業への経営支援を通じ、当社の企業価値向上に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、自己資本利益率(ROE)10%を目指すため、売上高成長率、営業利益率及び経常利益率の安定確保、株当たり当期純利益の向上に努めるとともに、安定したキャッシュ・フローの継続に努めております。

ROEの目標水準には、CAPM理論を活用して当社の資本コストを上回るバランスの良い資本構成の継続に努めております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症対策の緩和に伴う経済活動の正常化を背景に景気の回復が見られたものの、為替市場の急激な円安、光熱費や原材料価格の上昇による物価高騰などの不安材料等によりわが国経済への影響は当面のあいだ継続するものと判断しております。

当社は、不透明な経済環境のなか変化へ適応していくためにも、中期経営計画を策定し、中長期的な成長戦略(成長と深化)による「既存事業の構造改革」と「新しいサービスと事業の創出」を実践することで、事業の成長と安定した収益の確保に努めてまいります。

当社のコア事業が属する情報通信業界では、企業のDX推進が浸透し、集客手法やワークスタイルの変貌に加えデータセキュリティが重要視され、さらに電子帳簿保存法やインボイス制度への対応により企業のIT関連投資は、ますます増加していくものと見込んでおります。そのための事業戦略として、当社グループの収益の柱となるコンテンツの永久的改善と付加価値を創造し、現在、芽が出始めている新たなサービスの拡大と新サービスの開発を推進いたします。

美容ICT事業では、収益の柱であるシステム販売(物販)に、保守、コンテンツ、及び新たな課金型サービス等のストック収益の上積みを進めております。提供する製品がIT導入補助金の対象になり、ユーザーのDX化需要に応えております。さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度等の法改正対応による需要見込み増など、追い風と言える市場環境が継続しております。また、他社とのアライアンスを推進し、お客様の経営を支援する新しいコンテンツサービスの開発に努めてまいります。

ビジネスサービス事業では、「経営革新等支援機関」としてお客様の経営改善コンサルティング業務の伸長に加え、会計サービスを中心とした中小企業向けバックヤードサービスの提供により、既存顧客を中心とした継続案件による安定した収益を確保してまいります。

介護サービス事業では、地域と連携した介護施設の運営により、高水準の入居率の維持による安定した収益を確保いたします。さらに、コロナ感染防止による自粛の影響の大きかった在宅支援事業(通所介護・短期入所生活介護・居宅介護支援・健康促進事業)の再構築を促進しつつ、介護保険外の在宅サービスを強化してまいります。

 

 

(4) 会社の対処すべき課題

① 美容ICT事業の収益の安定と成長

当社グループが更なる成長を遂げるため、収益の安定と成長を図ってまいります。そのために、サブスクリプション売上を拡大するとともに、新たなサービスの開発に努めてまいります。

システム販売においては、機能拡充を含め大規模なバージョンアップを行い、顧客満足度向上と新規ユーザーの獲得に努めてまいります。

 

② システムの安定稼働とセキュリティーの強化

インターネット社会において、情報漏洩や不正アクセスなどの様々な脅威に日々対応が求められております。提供するシステムやサービスにおいては、サーバーの増強を含め、継続的にシステム強化に取り組んでまいります。

 

 ③ DXを推進し、社内外に新たな価値創造

当社グループは、DXへの取り組みを積極的に進め、社内業務プロセスのデジタル化推進・合理化による全体最適化や経営の機動性を高める仕組みづくりに取り組んでまいります。一方、当社グループの提供するサービスにより、お客様の集客や業務効率、コスト削減を支援しお客様のDX推進を進める「DXパートナー」へと変革してまいります。このように、DXを推進し、社内外に新たな価値創造を実施してまいります。

 

④ 人財採用と育成環境の拡充、働き方改革の推進

当社グループは、「人財はお客様へ提供する付加価値の源泉」であり、当社グループの発展を支える不可欠な存在として、競争優位性を決定づける大切な経営資源と考えております。事業戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、社員一人ひとりが能力を発揮できるよう、人財育成プログラムの実践と、次世代人財の育成に注力してまいります。

また、働き方改革は、生産性向上につながるテーマであり、社員のモチベーションや人財採用、離職防止の面でも効果が期待できるものと捉え、働く人の立場・視点で環境づくりや諸制度の導入に取り組んでおります。今後も国の政策や法制度の動向を鑑み、実効性の高い諸施策を推進してまいります。

 

⑤ 経営管理体制の強化(コーポレート・ガバナンス、サステナビリティ経営)

当社グループは、社会発展のために果たすべき義務や役割を理解し、事業や地域貢献などの活動を通じて企業価値向上と社会課題解決の双方を実現するサステナビリティ経営を推進してまいります。

持続的な成長と企業価値の向上を実現するためには、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要と考え、経営と業務執行の分離により、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全化、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを実行するとともに、独立社外取締役の活用など、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります。

当社グループは、これからもステークホルダーとの対話を通じ、ビジョンを実現するための成長戦略を描いてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<サステナビリティに関する基本的な考え方>

当社は、「ICTの提供による中小企業支援を通じた社会貢献」のパーパス(存在意義)のもと、株主様をはじめ、お客様・取引先様、共に働く社員、及び地域社会が、お互いにWin-Win-Winの関係になるよう、事業を成長させ、業容を拡大し、社会貢献に努めております。

また、持続可能な社会の実現に向けた責任を果たすため、環境・社会・ガバナンス(ESG)のテーマ毎にマテリアリティ(重要課題)を定め、具体的な施策を提示し、当社の持続的な成長、及び企業価値向上に努めてまいります。当社取締役会において決定したESG基本方針は次のとおりです。

 

ESG項目

マテリアリティ

具体的施策

 

E:環境

環境問題への取り組み

資源リサイクル・ペーパーレスの促進

 

S:社会

豊かな情報社会・DX推進

DX推進(ICT推進と業務改善)

 

活き活きと活躍できる

社会の実現

健康と福祉(介護サービスの提供)

働きやすい環境づくり(ライフワークバランス)

 

G:ガバナンス

公正で透明な企業活動

ガバナンス体制の維持・強化

 

 

(1)サステナビリティに関するガバナンス

当社グループを取り巻く環境は常に変化しております。このような急激に変化し続ける事業環境に即応し、安定的な成長を実現するために、経営監督機能を強化した取締役会を中心に、検証・改善を行う体制を構築しております。また、取締役会の下にリスク等管理委員会を設置し、全社的なリスク管理を管掌し、重点項目を取締役会に報告しております。また、リスク等管理委員会には全取締役及び全監査役が参加し、監督助言を受けることで、適切に管理・監督される体制となっております(2024年10月期は年間10回実施)。

なお、具体的な戦略や重要施策の企画・推進については執行役員会にて行い、特にDX推進に関しては、DX推進委員会において推進しております。

 

(2) 戦略

当社グループは、中期経営計画を「新たなステージに向かうスタートライン」と位置付け、「Plus1―成長と深化の取り組み―」を基本方針に策定いたしました。中期経営計画の具体的施策として、「成長戦略」「個と組織の成長」「経営基盤の強化」を掲げております。

①成長戦略

当社グループは、不透明な経済環境のなか変化へ適応していくためにも、コア事業を中心とした成長戦略(成長と深化)を早期に実現し、「既存事業の構造改革」と「新しいサービスと事業の創出」を実践することで、事業の成長と安定した収益の確保に努めてまいります。

②人財の育成及び社内環境整備に関する方針

当社グループのビジネスにおいて、持続的な成長に係る取り組みのうち、優秀な人財の確保が、経営及び事業基盤を安定・強化させるために重要であると認識しており、社員のエンゲージメントを高めるために、各種施策を実施してまいります。

具体的には、「人財活用」をテーマに、教育訓練や人財評価(目標管理・行動評価)に伴うパフォーマンス向上に応じた報酬体系改善を実施しております。また、「働き方環境の改善」をテーマに、在宅勤務の拡充、勤務間インターバル制度の導入、メンタルヘルス、及び公益通報制度の拡充などの施策を実施してまいります。なお、当社グループは性別・国籍等によらず能力や適性を総合的に判断し、人財育成及び管理職への登用を実施しております。

 

 

(3) リスク管理

当社グループは、代表取締役を中心としたリスクマネジメント体制を構築しており、取締役会配下のリスク等管理委員会において、サステナビリティに関連したリスクの特定、分析、評価、対応等のプロセスを円滑に実施し、内部監査を受けることにより、リスクの低減、インシデントの未然防止を図っております。

 

(4) 指標及び目標

当社グループは、事業を通じてSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて、ESG経営の推進によりSDGs達成に貢献できると考えており、各種取り組み等の活動を推進し、確かな収益力とライフワークバランスの実現を目指してまいります。

①環境問題に配慮したDX推進目標

 ・電子請求書発送によりペーパーレスを実現し、印刷枚数の大幅削減を実現する(75%削減計画)。

 ・ワークフローを導入し、社内文書の脱ハンコを促進することで業務効率を図る(50%の時間短縮)。

②人財の育成及び社内環境整備に関する目標(2026年10月期目標)

当社グループの女性管理職比率は、「第1企業の概況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおり、政府が掲げる2030年までに女性管理職を30%とする目標値には、現時点において達しておりませんが、当該時期を達成するためのマイルストーンとして、2026年10月期までに、グループ女性管理職比率の20%まで引き上げを目指してまいります。

(2026年10月期目標値)グループ男女雇用比(55:45)、管理職男女比(8:2)

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要と考えられる事項については積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 業界環境に関するリスクについて

① 感染症に関するリスク情報

  新型コロナウイルス感染症が、季節性インフルエンザと同じ5類感染症に移行されたことにより感染症対策が緩和され、経済活動が正常化したことに伴い、リスク割合は軽減しました。

  一方、介護サービス事業では、引き続き高い緊張感をもって感染症対策を継続しており、従業員や入居者及び介護サービス利用者等が感染し、集団感染など感染が拡大した場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新への対応について

当社グループの美容ICT事業では、ICT関連技術に基づいた事業を展開しており、今後も適時に顧客や市場のニーズに対応した競争力のある製品・サービスを提供していく方針であります。
 しかしながら、ICT関連業界は、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化が激しいものとなっております。そのため、技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性に加え、急激な技術革新に対応するためにシステム又は人材への投資金額が増大する可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合の激化による影響について

当社グループの美容ICT事業では、当社グループ商品と競合するソフトウエアを販売する業者が複数存在しております。また、スマートフォン向けアプリやクラウド等の新技術を活用した新規参入業者も見られます。当社グループは高機能で付加価値のある魅力的な商品を投入することにより他社との差別化を図る方針でありますが、他社との競合が激化し、他社に対する当社グループの優位性が失われた場合や、当社グループの想定以上に価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定業種への依存について

当社グループの美容ICT事業では、主に美容サロン業界に対し業種特化型の業務アプリケーションを提供することを主要な事業としております。そのため、当社グループの業績は、美容サロンの業績の動向や設備投資の動向の影響を受ける場合があります。当社グループは、新たな市場や事業の創出、技術領域への取り組みなど事業の拡大に努めておりますが、美容サロン業界における業績の低迷や設備投資の停滞が継続した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① ソフトウエアへの開発投資について

当社グループは、美容ICT事業において、ソフトウエアへの開発投資を実施しております。当該開発コストのうち要件を満たしたものは、ソフトウエアとして資産計上され、商品のリリース後に、見込販売数量に基づく償却額と、販売可能見込期間(3年)に基づく均等配分額のいずれか大きい額をソフトウエア償却額として計上しております。しかしながら、当該商品の販売計画を中止する意思決定を行った場合や、事前の販売見込みを大幅に下回る場合等、回収可能性がないと判断された場合には、ソフトウエア償却費等の追加計上が必要となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 納品後の不具合について

当社グループの美容ICT事業において、ソフトウエアを開発するにあたっては、商品リリース前に入念にテストを実施し、不具合の発生防止に努めております。また、顧客への納品時にも様々なテストを行っておりますが、システムの運用段階に至ってから不具合が発生する場合も想定されます。本書提出日現在においてシステムの不具合に関して顧客から損害賠償等を請求されている事実はありません。しかしながら、当社グループの過失によるシステムの不具合により顧客に損害を与えた場合、損害賠償を請求される可能性や不具合を修正するために追加費用が発生する可能性、顧客から商品が返品される可能性、当社グループ商品の評判が低下する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ システムトラブル・ネットワークインフラの障害について

当社グループの美容ICT事業において、顧客にサービスを提供するにあたっては、コンピュータシステム及びそのネットワークに多くを依存しております。当社グループは、事業の安定的な運用のため、運用監視サービス導入による障害時対策、サーバー冗長化構成によるバックアップ体制等の手段を講じることで、システムトラブルの防止及び回避に努めております。また、外部不正アクセス防止やウィルス感染対策等、セキュリティ対策を実施しております。

しかしながら、地震、火災などの自然災害や、サイバーテロなどに起因するシステムトラブル又はネットワークインフラの障害等により、当社グループのシステムなどが正常に稼働しない状態が発生した場合、当社グル一プが提供するサービスが停止し、又はサービス品質が低下する等、重大な支障が生じる可能性があり、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 有資格者及び人員の確保について

当社グループの介護サービス事業において提供する各種サービスは、介護保険法において有資格者の配置等、一定の人員基準等が定められております。当社グループは、当該基準を満たすため、有資格者を含む人材獲得及び自社教育等による人材育成に努めております。

当社グループは、現時点において人員確保に関して重大な支障は生じていないものと認識しておりますが、事業運営に必要な人員の確保が困難となった場合や既存人員の流出等が生じた場合、サービス品質の低下や介護報酬の減算、介護サービスの継続提供が困難となる可能性があるほか、人員確保のための待遇の見直しや求人のためのコスト負担が増加する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 高齢者介護における安全衛生管理について

当社グループの介護サービス事業における入居者及び利用者の大半は、要支援又は要介護認定を受けている高齢者であります。

当社グループは、施設人員の十分な配置、接遇・サービスにかかる教育研修や各種マニュアルの整備及び徹底等、安全衛生管理には十分努めておりますが、各介護サービス事業所において転倒・転落事故、食中毒、集団感染の発生等、当社グループにとって不測の事態が生じた場合、その原因によっては当社グループの過失責任が問われる可能性があり、損害賠償請求や行政による指導又は処分が生じる可能性があるほか、当社グループの事業所運営に対する信用が失墜し、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑥ 災害等発生時の対応について

当社グループの介護サービス事業においては、大規模な自然災害や火災等が発生した場合に備えて、各施設にスプリンクラーを設置し、定期的に防災訓練を実施しております。しかしながら、入居者の多くは要支援又は要介護認定を受けた高齢者であるため、スムーズな避難が困難である可能性があります。自然災害が発生した場合に事前の想定通りに適切な対応ができなかった場合、当社グループの責任が問われ、当社グループが損害賠償を求められる可能性や、当社グループの信用力が低下する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 機密情報の管理について

当社グループでは、美容ICT事業において顧客情報や美容サロンユーザーの情報等、ビジネスサービス事業において顧客情報や顧客の財務情報等、介護サービス事業において入居者・利用者の情報等、多数の機密情報を取り扱っております。そのため、機密情報管理体制の整備、社員教育の徹底や情報漏洩防止ソフトウエアの導入等により、外部からの不正アクセス、情報データの持ち出し等による機密情報の漏洩を防止するよう対策を講じております。しかしながら、不測の事態によりこれらの機密情報が外部に流出した場合、対応するための費用が発生する可能性や、事業を停止せざるをえない可能性、当社グループの社会的信用が失墜する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 知的財産権の侵害について

当社グループは第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業展開しております。現時点において当社グループが第三者の知的財産権を侵害している事実はないものと認識しておりますが、将来において当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴訟を提起される可能性があり、その場合、当社グループの事業運営、財務状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制について

① インターネット上の事業展開に係る法的規制について

当社グループの美容ICT事業においては、インターネットを利用したサービスを提供しております。

近年、インターネット上のトラブル等への対応として、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されている状況にあり、当社グループのインターネットを利用したサービスは、「電気通信事業法」「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」等、各種法令により規制を受けております。

現時点において当該法令により事業展開に支障を生じている事実はありませんが、今後インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を規制対象として、新たな法令等の制定や既存法令の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 一般労働者派遣及び有料職業紹介に係る法規制について

当社グループのビジネスサービス事業においては、厚生労働大臣より一般労働者派遣事業者及び有料職業紹介事業者としての許可を受けております。

 

 

   許認可等の名称

  所轄官庁

   有効期限

 

1

一般労働者派遣事業許可証

 厚生労働省

 2028年6月30日

 

2

有料職業紹介事業許可証

 厚生労働省

 2025年12月31日

 

 

一般労働者派遣事業については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」において、派遣元事業主(当社グループ)が欠格事由に該当した場合や、法令に違反した場合、事業許可の取消もしくは業務停止を命じられる旨が規定されております。また、有料職業紹介事業についても「職業安定法」に基づき、同様の処分がなされる旨が規定されております。現時点において上記に抵触する事実はありませんが、今後何らかの理由により、当社グループに事業許可の取り消しや業務停止が命じられた場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、労働市場を取り巻く社会情勢の変化に応じて関連法令の改正又は解釈の変更が行われる可能性があります。法改正等の方向性によっては、当社グループの事業運営に制約が生じる可能性があります。

 

③ 宅地建物取引業に係る法規制について

当社グループのビジネスサービス事業においては、宅地建物取引業免許の登録を受けております。

 

 

   許認可等の名称

  所轄官庁

   有効期限

 

1

宅地建物取引業免許

 栃木県知事

 2029年9月27日

 

当社グループでは法令遵守を徹底しており、現時点において、当該免許が取消となる事由は発生しておりませんが、今後何らかの理由により、当該免許が取消され又は更新が認められない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 介護サービス事業に係る法規制について

当社グループの介護サービス事業において提供されるサービスは、介護保険法に基づくサービスが中心となっており、「介護保険法」その他関連諸法令の規制を受けております。

 

 

 許認可等の名称

 所轄官庁

 有効期限

 

1

特定施設入居者生活介護

 栃木県

 2030年8月31日

 

2

介護予防特定施設入居者生活介護

 栃木県

 2030年8月31日

 

3

特定施設入居者生活介護

 群馬県

 2030年5月31日

 

4

介護予防特定施設入居者生活介護

 群馬県

 2030年5月31日

 

5

通所介護

 長野県

 2029年11月15日

 

6

短期入所生活介護

 長野県

 2029年11月15日

 

7

特定施設入居者生活介護

 長野県

 2029年11月15日

 

8

訪問介護

 長野県

 2028年4月15日

 

9

介護予防短期入所生活介護

 長野県

 2029年11月15日

 

10

介護予防特定施設入居者生活介護

 長野県

 2029年11月15日

 

11

通所型サービスA

 小諸市

 2030年3月31日

 

12

訪問型サービスA

 小諸市

 2028年4月15日

 

13

居宅介護支援

 小諸市

 2030年4月30日

 

介護サービス事業を行うにあたっては、サービスの種類及び事業所毎に都道府県知事、もしくは市町村長に申請し、指定を受ける必要があります。指定を受けるためには、定められた人員、設備及び運営基準を満たす必要があります。現時点において上記に抵触する事実はありませんが、今後何らかの理由により、この基準を維持できない場合や法令に違反した場合等、指定の取消事由に該当した場合、指定が取り消される可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 許認可等の名称

  法令違反及び主な許認可取消事由

 

通所介護

都道府県知事は、介護保険法及び老人福祉法その他法令もしくはこれに基づく処分に違反行為があったとき、法人(業務を行う役員を含む)が介護保険法第77条の指定の取消事由に該当するに至ったときは、指定の取消に処する。

 

短期入所生活介護

 同 上

 

特定施設入居者生活介護

 同 上

 

訪問介護

 同 上

 

介護予防短期入所生活介護

都道府県知事は、介護保険法及び老人福祉法その他法令もしくはこれに基づく処分に違反行為があったとき、法人(業務を行う役員を含む)が介護保険法第115条の9の指定の取消事由に該当するに至ったときは、指定の取消に処する。

 

介護予防特定施設入居者生活介護

 同 上

 

通所型サービスA

市町村長は、介護保険法及び老人福祉法その他法令もしくはこれに基づく処分に違反行為があったとき、法人(業務を行う役員を含む)が介護保険法第78条の10の指定の取消事由に該当するに至ったときは、指定の取消に処する。

 

訪問型サービスA

 同 上

 

居宅介護支援

市町村長は、介護保険法及び老人福祉法その他法令もしくはこれに基づく処分に違反行為があったとき、法人(業務を行う役員を含む)が介護保険法第84条の指定の取消事由に該当するに至ったときは、指定の取消に処する。

 

なお、介護保険制度は、3年毎に制度全般の見直し及び介護報酬の改定が行われております。介護報酬の引き下げ等、当社グループにとって不利な方向で法令の改正又は報酬改定が行われた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) その他について

① 減損会計の適用について

当社グループは、事業用の資産として土地・建物等の固定資産を有しており、各事業の収益性が低下した場合であっても速やかに対応策を講じることにより、収益性向上に努めております。

しかしながら、競合その他の理由によって、各事業の収益性が著しく低下する場合には、減損損失の計上が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定の地域への依存について

当社グループのビジネスサービス事業は、主に栃木県を中心に事業展開しております。

また、介護サービス事業は、栃木県、群馬県、及び長野県に3施設を有しております。関東地方に大規模な地震等の自然災害が発生した場合、エリアが集中していることもあり、これら2事業の事業活動を停止せざるをえない可能性や、建物や設備等が損傷し、その修復に多大な費用が必要となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2023年11月1日から2024年10月31日)におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響から回復基調にあるものの、ウクライナ・イスラエル情勢の地政学リスクによる原油価格や原材料価格の高騰、並びに円安による影響など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

コア事業の情報通信業界では、国策として推進されているDX(デジタルトランスフォーメーション)がコロナ禍において加速し、WEB集客や事務作業のデジタル化、データセキュリティが重要視されており、企業競争力の拡充及び業務効率化のためのIT投資は今後も増加していくものと見込まれております。

このような経済環境のなか、当社は、2024年10月期から2026年10月期までの中期3ヵ年計画を発表し、株主価値・企業価値向上のための施策、及び成長戦略に取り組んでおります。

美容ICT事業では、経済産業省よりDX認定事業者、IT導入支援事業者に認定され、さらにインボイス制度や電子帳簿保存法の法改正対応の需要見込み増など、追い風と言える市場環境が継続しております。しかし、販売先の美容業界では、店舗間競争の激化、美容資材の高騰、スタイリストの獲得難などの要因により、2024年に発生した美容室の倒産件数は8月までに139件に達し2023年の同時期に比べ約1.5倍となっております。(株式会社帝国データバンク「美容室」の倒産動向2024年1-8月期より抜粋)

このような経営環境のもと当連結会計年度では、第2四半期連結累計期間までは当初見通しどおり順調に推移したものの、第3四半期に入り、ユーザーサロンにおいて美容師不足による既存店舗の統合や新店舗の開店計画の延期、物価高騰やコロナ禍の制度融資の返済負担増などの諸要因により、システム販売(物販)の受注の先送り(再リース対応)や納品時期を延期する案件が増えました。さらに、大型ユーザーの顧客都合による納品直前のキャンセルにより、転用不可の製品・ライセンス、カスタマイズ仕掛品が全て損失となりました。

ビジネスサービス事業では、経済産業省より「経営革新等支援機関」の認定を受け、クライアントの事業計画・経営改善計画の策定と実行支援、及びコンサルティングサービスの拡充に努めております。さらに既存顧客からの顧客紹介や、地域の金融機関や士業とのアライアンスにより新規取引先は増加し、ベースとなる月次業務売上及び収益は向上しております。

介護サービス事業では、介護業界の長引く介護人材不足、物価高などの要因に加え、コロナ禍のダメージ蓄積により2024年に発生した介護事業者の倒産件数は8月までに114件、2023年の同時期に比べ約1.5倍(44.3%増)となっております。(株式会社東京商工リサーチ2024年1-8月「老人福祉・介護事業」の倒産調査)

このような厳しい経営環境のもと、介護付き有料老人ホームにおいて前年度より入居者の持病悪化による入院治療やご逝去が重なり、損益に大きな影響を受けておりましたが、徐々に入居者数が退去者数を上回り、当連結会計年度末において施設の入居稼働率は90%超にまで回復しております。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高2,594,934千円(前連結会計年度比5.4%の減少)、営業利益147,812千円(同35.1%の減少)、経常利益156,798千円(同32.1%の減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は100,209千円(同36.6%の減少)となりました

なお、親会社株主に帰属する当期純利益の減少要因は、前連結会計年度には旧東京本社オフィスの立ち退きに伴う家賃免除益(特別利益)を計上したことに加え、当連結会計年度では大型キャンセル案件に伴う解決金(和解金)を特別利益として計上する一方、関連する費用を棚卸資産廃棄損等として特別損失に計上しております。

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。なお、セグメント利益は営業利益に基づいております。

また、当連結会計年度より、事業内容をより適正に表示するため、セグメント名称を「美容サロン向けICT事業」から「美容ICT事業」、「中小企業向けビジネスサービス事業」から「ビジネスサービス事業」へそれぞれ変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。

 

 a 美容ICT事業

美容ICT事業では、収益の柱であるシステム販売(物販)に、保守、コンテンツ、及び新たな課金型サービス等のストック型収益の積み上げを進めております。

当連結会計年度では、第2四半期連結累計期間までは概ね当初計画通りに進捗していたものの、第3四半期に入り、予定していたシステム販売(物販)案件の多くが翌連結会計年度下半期にずれ込む見込みとなったことに加え、今まで経験したことがない大型ユーザーの顧客都合による納品直前キャンセルにより損益が大きく減少いたしました。2025年10月にはWindows10のサポートが終了されることもあり、第4四半期より早め早めの入れ替えの提案に努めております。

一方、ストック型収益においては、販売管理システム「i-SCAP/EX」のオプション「スマホターミナル」や「Sacla PREMIUM」のコンテンツ「LINEミニアプリ」「楽天ポイント連携」「Google で予約 (Reserve with Google)」、スマホアプリ「Salon Appli」等のWEBコンテンツ売上に加え、保守契約売上を着々と積み上げてきております。

また、美容業界では依然として紙の請求書郵送が主流であり、業界全体においても請求支払業務のDX化が課題となっており、ヘアサロン「モッズ・ヘア」を運営管理する株式会社エム・エイチ・グループ(東証スタンダード:9439)の展開する「請求書クラウド for Beauty」の販売、連携の協力体制を進めております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,518,948千円(前連結会計年度比9.8%の減少)、セグメント利益(営業利益)は62,033千円(同62.2%の減少)となりました。

 

 b ビジネスサービス事業

ビジネスサービス事業では、中小企業の経営支援のため、会計・経理業務を中心に各種サービスを提供しております。経済産業省より「経営革新等支援機関」に認定され、お客様の経営課題の改善のための経営力向上計画策定や事業再構築支援等のコンサルティングサービスを提供しております。

コア業務の会計サービスは、月次決算等の財務報告を中心に、資金繰りサポートや記帳及び給与計算等の事務代行(BPO)サービスの提供、並びに関連する会計・給与・販売管理ソフトのITシステム運用支援、及びリスクマネジメント(生保・損保代理店業務)を行っております。

これらのサービス提供により既存顧客との関係はより強固なものとなり、さらに紹介パートナー契約企業、地域の金融機関や士業とのアライアンスにより安定した新規取引先の獲得につながっております。

当連結会計年度は、前連結会計年度より推進している法人向けの新規獲得などの施策により、月次会計並びに決算代行サービスなどのコア業務が安定した伸びとなりました。引き続きクライアントのDXを活用した効率化や事業承継、認定支援機関としてのコンサルティングサービスの提供など企業のバックヤード業務に対する各種サービスの拡充に努めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は318,194千円(前連結会計年度比1.6%の増加)、セグメント利益(営業利益)は29,982千円(同153.3%の増加)となりました。

 

 c 介護サービス事業

介護サービス事業では、介護付き有料老人ホームを3施設(栃木県佐野市、群馬県館林市、長野県小諸市)及び在宅支援事業(通所介護・短期入所生活介護・訪問介護・居宅介護支援・健康促進事業)を1施設(長野県小諸市)運営しております。

介護付き有料老人ホームでは、前連結会計年度下半期頃から当連結会計年度上半期にかけて、お客様の持病の悪化によるご逝去や長期の入院治療による退去が重なり空室が増え、損益に影響がありました。しかし、4月以降コロナ禍で自粛しておりました施設内イベントや施設見学会等を再開し入居が大きく促進され、第4四半期には、施設入居稼働率90%超にまで回復しております。さらに、デイサービス等の在宅介護サービスの稼働率も完全に回復し、コロナ禍前の高い稼働率を維持しております。

また食材を含む様々な物価上昇、介護人材補充に伴う経費増には、業種の特性上、経費の削減・節約に限界がありましたが、自治体からの補助金の活用や、入居者・ご家族との懇談により実費の一部値上げにご同意いただくことで、適切に対応しております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は739,806千円(前連結会計年度比1.9%の増加)、セグメント利益(営業利益)は44,739千円(同5.4%の増加)となりました。

 

② 財政状態の状況

 a 流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は1,578,391千円(前連結会計年度末比57,991千円の増加)となりました。これは主として、現金及び預金の増加(同49,373千円の増加)によるものであります。

 

 b 固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,360,358千円(前連結会計年度末比95,294千円の減少)となりました。これは主として、ソフトウエアの減少(同79,431千円の減少)、土地の減少(同35,017千円の減少)、建物及び構築物(純額)の減少(同17,509千円の減少)、ソフトウエア仮勘定の増加(同42,362千円の増加)によるものであります。

 

 c 流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は426,513千円(前連結会計年度末比96,882千円の減少)となりました。これは主として、その他に含まれる未払金の減少(同51,027千円の減少)、未払法人税等の減少(同49,102千円の減少)によるものであります。

 

 d 固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は565,654千円(前連結会計年度末比42,479千円の減少)となりました。これは主として、長期借入金の減少(同61,680千円の減少)、退職給付に係る負債の増加(同12,348千円の増加)によるものであります。

 

 e 純資産

当連結会計年度末における純資産の残高は1,946,580千円(前連結会計年度末比102,057千円の増加)となりました。これは主として、自己株式の減少(同26,606千円の減少)、利益剰余金の増加(同64,451千円の増加)によるものであります。

 

以上の結果、当連結会計年度末の総資産は2,938,749千円(前連結会計年度末比37,303千円の減少)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ49,373千円増加し1,258,499千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は230,288千円(前連結会計年度は339,742千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益159,063千円減価償却費164,489千円法人税等の支払額111,044千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は112,998千円(前連結会計年度は135,709千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出92,614千円有形固定資産の取得による支出48,394千円有形固定資産の売却による収入36,000千円によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 

財務活動の結果使用した資金は67,916千円(前連結会計年度は760,616千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出61,680千円配当金の支払額35,655千円自己株式の売却による収入30,680千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

 a 生産実績

当連結会計年度における生産金額をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2023年11月1日
  至 2024年10月31日

売上原価(千円)

前年同期比(%)

美容ICT事業

865,782

△6.7

ビジネスサービス事業

179,196

△2.7

介護サービス事業

543,002

2.1

その他

9,263

△22.7

合計

1,597,243

△3.5

 

(注) セグメント間取引については相殺消去しております。

 

 

 b 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2023年11月1日
  至 2024年10月31日

販売高(千円)

前年同期比(%)

美容ICT事業

1,518,948

△9.8

ビジネスサービス事業

318,194

1.6

介護サービス事業

739,806

1.9

その他

17,985

△6.8

合計

2,594,934

△5.4

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

 c 受注実績

当社グループの販売品目は、受注生産形態をとらないため、該当事項はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

当社グループでは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能性まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたって、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループでは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。

 

(のれんの評価)

のれんの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

② 経営成績の分析

当連結会計年度における経営成績は、売上高につきましては2,594,934千円、売上総利益997,691千円、営業利益147,812千円、経常利益156,798千円、親会社株主に帰属する当期純利益は100,209千円となりました。

 

 a 売上高

当連結会計年度の売上高は、2,594,934千円(前連結会計年度比5.4%の減少)となりました。

売上高の分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。

 

 b 売上原価

当連結会計年度の売上原価は、1,597,243千円(前連結会計年度比3.5%の減少)となりました。

 

 

 c 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、849,878千円(前連結会計年度比1.0%の減少)となりました。

 

 d 営業外損益

当連結会計年度の営業外収益は、10,290千円(前連結会計年度比24.4%の増加)となりました。

営業外費用は、1,303千円(同75.4%の減少)となりました。

 

 e 特別損益

当連結会計年度の特別利益は4,982千円(前連結会計年度比85.7%の減少)となりました。

特別損失は、2,717千円(前連結会計年度比88.2%の減少)となりました。

 

③ 財政状態の分析

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

④ キャッシュ・フローの分析

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウエア開発に伴う製造費用の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。必要な資金については、自己資金及び借入金による資金調達を基本としております。

資金の流動性については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況

当社の収益目標である自己資本利益率(ROE)10%に対して、当連結会計年度における自己資本利益率(ROE)は5.3%となりました。引き続き、厳しい市場環境に屈することなく、企業価値を高め、持続的な成長を図ってまいります。

 

⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、業界環境、事業内容、法的規制等様々なリスク要因があると認識しております。

 

⑧ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループが今後、持続的な成長を果たすためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。これらの課題に対し常に最大限入手可能な情報に基づき、現在及び将来の事業環境を認識し最適且つ迅速な対応に努めていく方針であります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年5月13日開催の取締役会において、株式会社エム・エイチ・グループ(以下「MHG社」という。)との資本業務提携強化による同社株式の追加取得、及び同社に対する第三者割当による自己株式の処分(以下「本自己株式処分」という。)を行うことを決議し、2024年5月15日に基本合意書を締結いたしました。

なお、上記基本合意書に基づき、2024年6月6日にMHG社に対する本自己株式処分が完了しております。

 

Ⅰ 資本業務提携の概要

1.資本業務提携強化の理由

当社は、当社とMHG社との間で資本業務提携を行っており、また、MHG社100%子会社である株式会社ライトスタッフ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤田直樹、以下「RS社」という。)との間でも、美容サロン向けソリューション商品の販売提携を行うなど営業面においての相互販売協力関係を築くとともに、理美容業界における持続可能な環境経営支援を目的とした協力体制の構築を図っております。

一方、理美容業界では依然として紙の請求書郵送が主流であり、業界全体においても請求支払業務のDX化が課題となっています。この問題解決のため、理美容業界に特化した決済サービスを提供するRS社と、美容サロン向けPOSシステム、美容ディーラー向け販売管理システム等のソリューションを提供する当社が相互協力し、理美容業界にとって最適な電子請求書サービスの販売促進とBtoBクレジット決済の促進を目指します。

今後とも両社グループの協力体制を更に強化し、課題解決の一助となるコンテンツ開発及びサービス領域の拡大に取り組んでまいります。

以上により、当社がMHG社と資本業務提携の強化を行うことは、今後両社の企業価値向上に資するものと判断しております。

 

2.資本業務提携の内容

(1) 業務提携の内容(拡充)

①両社グループのサービスを連携することによる事業拡大の検討等

②両社グループの保有する各種アセットを活用した新規事業の検討・開発等

③美容サロンと美容ディーラーとのBtoBクレジット決済事業の拡大とシステム連携

④美容業界への持続可能な環境経営支援(SDGs)への取り組み

 

(2) 資本提携の内容

①当社が保有する普通株式65,000株を自己株式処分によりMHG社が取得することにつき合意しました。

②当社は、MHG社第三者割当増資の方法により2024年6月6日に発行した新株式150,000株を、同日、その全てを取得しました。

 

Ⅱ 第三者割当による自己株式の処分

1.処分の概要

処分期日

2024年6月6日

処分株式数

普通株式  65,000株

処分価

1株につき 472円

資金調達の額

30,680,000円

処分方法

第三者割当の方法による

処分先

株式会社エム・エイチ・グループ

 

 

2.処分の目的及び理由

当社とMHG社は、既に資本業務提携により相互協力したアライアンスを進めておりますが、更なる両社グループの持つ事業基盤を活用した営業連携をはじめ各種提携による付加価値形成のためには資本業務提携を強化することが必要と判断いたしました。

本自己株式処分は、本提携の一環として行われるものであり、当社が第三者割当による自己株式の処分を行い、MHG社は、当社の普通株式65,000株(発行済株式総数の1.24%、総額30,680,000円)を取得いたしました。

同時に、MHG社が第三者割当増資による新株を発行し、当社は、MHG社の普通株式150,000株(発行済株式総数の1.28%、総額31,200,000円)を取得いたしました。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。