第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

  当社グループは、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発及び実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーです。現在は、米国子会社アキュセラ・インクが研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでいます。

  当連結会計年度より、従来の米国会計基準に替えて国際会計基準(以下、IFRS)を適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較分析を行っております。

  なお、前連結会計年度において、2016年12月1日付で、当時当社の親会社であった旧アキュセラ・インクと2016年3月24日付で設立された当社の子会社であるアキュセラ・ノースアメリカ・インクとの間で、旧アキュセラ・インクを吸収合併消滅会社、アキュセラ・ノースアメリカ・インクを吸収合併存続会社とし、その対価として、当社の普通株式を旧アキュセラ・インクの株主に割当交付する三角合併を行い、2016年12月6日に東京証券取引所マザーズ市場に上場しております。

 

当連結会計年度(2017年12月期)と前連結会計年度(2016年12月期)の比較

① 事業収益

 当連結会計年度の事業収益の計上はなく、前連結会計年度と比較して846百万円(前年度比 100.0%)の減少となりました。

 プログラムごとの収益は以下のとおりであります。

(単位:%を除き、千円)

 

2016年12月期

2017年12月期

増減額

増減率(%)

エミクススタト塩酸塩

844,751

△844,751

△100.0

その他

1,503

△1,503

△100.0

合計

846,254

△846,254

△100.0

 

 事業収益の前連結会計年度からの減少は、大塚製薬株式会社(以下、大塚製薬)との共同開発契約の終了に伴い、エミクススタト塩酸塩に関連する臨床試験が終了したことによるものです。共同開発に関する開発費の精算は、2016年12月に完了致しました。

 大塚製薬との共同開発契約は、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性に対する治療薬候補としてのエミクススタト塩酸塩に関連するものでした。当社グループは、将来において、この提携から収益を生み出すことを予想しておりません。

 

② 研究開発費

 当連結会計年度の研究開発費は2,380百万円となり、前連結会計年度と比較して、44百万円(前年度比1.9%)の増加となりました。

 費用負担区分ごとの研究開発費は以下のとおりであります。

(単位:%を除き、千円)

 

2016年12月期

2017年12月期

増減額

増減率(%)

自社研究

1,354,128

2,379,750

1,025,622

75.7

提携研究

981,158

△981,158

△100.0

合計

2,335,286

2,379,750

44,464

1.9

 

 当連結会計年度における自社研究に関連した研究開発費は、前連結会計年度と比較して増加致しました。これは主に、エミクススタト塩酸塩の増殖糖尿病網膜症を対象とした臨床第2相試験やスターガルト病を対象とした臨床第2a相試験の進展に伴う開発費の増加に加え、糖尿病黄斑浮腫やウェット型加齢黄斑変性などの血管新生を伴う疾患に対する生物模倣技術を用いた低分子化合物の非臨床試験や、在宅眼科医療機器ソリューションであるPBOS(Patient Based Ophthalmology Suite)デバイス等の開発を進めたことが主な要因です。

 提携研究に関連する研究開発費は、前連結会計年度において地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性を対象とした臨床第2b/3相試験が終了したことにより減少致しました。

 当社グループは事業戦略として、非臨床試験を経てヒトでの有効性を実証するPOC(概念の実証、Proof of Concept)取得に努め、大手製薬企業との共同開発や商業化契約の提携により早期の上市と収益確保を目指しております。その資金を元手に新たな研究開発に投資を行い、開発パイプラインを拡充するという方針に基づいて研究開発費を運用しております。POC取得前から大手製薬企業と共同開発に関する協議に努めておりますが、現段階におきましては、製品候補の開発は自己資金で賄っております。

 

③ 一般管理費

 一般管理費の金額は、以下のとおりであります。

(単位:%を除き千円)

 

2016年12月期

2017年12月期

増減額

増減率(%)

一般管理費

2,582,119

1,240,102

△1,342,017

△52.0

 

 当連結会計年度の一般管理費は前連結会計年度と比較して、1,342百万円(前年度比52.0%)の減少となりました。主な要因は以下のとおりであります。

・三角合併(本社移転取引)に関連した弁護士費用等の減少:△442百万円

・株価連動型オプションが当連結会計年度は確定しなかったこと等による株式報酬費用の減少:△382百万円

・組織再編による人件費や関連費用の減少:△307百万円

・前連結会計年度における大塚製薬との共同開発契約の終了や監査費用の削減等に関連した支払手数料の減少:△168百万円

・その他、オフィスの移転等による費用の減少:△43百万円

 

 以上の結果、営業損失は3,620百万円、税引前当期損失は3,445百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失は3,445百万円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物は、取得日後3ヶ月以内に満期が到来する、短期の流動性の高いすべての投資を含み、現金同等物は、マネー・マーケット・ファンドで構成されております。取得日現在の満期が3ヶ月から1年の間であるその他の金融資産は、短期投資に分類されます。短期投資は社債、コマーシャル・ペーパー、米国政府機関債及び預金証書で構成されております。

 当社グループが有する現金、現金同等物及び短期(流動)・長期(非流動)のその他の金融資産は、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ16,474百万円及び12,763百万円でありました。第三者金融機関への預金額は、連邦預金保険公社及び証券投資家保護公社の適用ある保証上限を超える可能性があります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 前連結会計年度及び当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、それぞれ△3,205百万円及び△3,311百万円でした。営業活動によるキャッシュ・フローの変動は、主に営業費用の現金支払いが735百万円減少したものの、提携からの未収金の現金回収額が841百万円減少したことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 前連結会計年度及び当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、それぞれ3,262百万円及び3,464百万円でした。投資活動によるキャッシュ・フローの増加は、主にその他の金融資産の取得による支出が926百万円増加したものの、その他の金融資産の満期償還による収入が1,154百万円増加したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 前連結会計年度及び当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、それぞれ367百万円及び11百万円でした。財務活動によるキャッシュ・フローの減少は、役員及び従業員によるストック・オプションの行使に伴う普通株式の発行による収入が減少したことによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは、受注活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度において、事業収益の計上はありません。

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

大塚製薬株式会社

846,254

100.0

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来の見通しに関する記述は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、世界中で眼疾患に悩む皆さまの視力維持と回復に貢献することを目的としております。①最先端のサイエンスにより有効な治療法がない眼疾患に医療革新をもたらすこと、②社会に貢献する企業であり続けること、③イノベーションを生み出す職場環境を構築し、その職場で働く社員の生活向上を目指すことを指針として掲げております

 

(2) 経営環境

 一般的に医薬品の開発には多額の先行投資が必要とされ、長期間にわたり、かつ開発が成功する保証はなく、計画の遅延や追加的な費用の発生が生じるものです。当社グループが注力している眼科領域は急速に成長している市場であり、数多くの大手企業や新興企業が、優れた製品への研究開発に多大な投資を行っております。世界では、多くの患者が失明や視覚障害に悩まされており、有効な治療法がない眼疾患に対する画期的な新薬の開発が期待されております。

 

(3) 対処すべき課題

① 株主価値の創造

 医薬品や医療デバイスの開発は、新しい市場や社会的価値を生み出すことにつながります。これを実現するためには、有望な開発パイプラインへの積極的な投資のほか、企業買収等を行うことが重要と考えております。当社グループは、財務状況を鑑みながらこれらの投資を行い、企業価値を高め、株主価値の創造に繋げてまいります。

 

研究開発投資によるイノベーションと成長の実現

 成長を維持し、将来の収益を生み出すためには、研究開発活動への先行投資を継続し、アンメット・メディカル・ニーズに対応する革新的な製品の開発を促進することが重要であります。当社グループが開発中のエミクススタト塩酸塩、低分子化合物、遺伝子療法、PBOS等は、革新的な作用メカニズム、あるいは、治療効果を高めるソリューションとなる可能性を秘めております。一日も早く研究開発成果を達成するために、当社グループは効率的に資源を活用してまいります。

 

③ 資金調達の多様化と安定化

 自社開発を進めることで企業価値を高めることができ、探索研究段階の有望な化合物や技術を外部から導入することで開発期間を短縮することができますが、これらによって研究開発コストは増加します。事業の基盤を強化するために、必要に応じて資金調達の多様化と安定化を検討してまいります。

 

④ 強力な特許ポートフォリオの維持

 当社グループは、知的財産の創造と保護が事業の成功に不可欠であると考えており、積極的に特許保護を求めております。特許を取得しない状況においても営業秘密や秘密保持契約に基づき独占的な技術とノウハウを保護してまいります。

 

⑤ 日米間の内部連携の強化

 当社グループは効率的な社内コミュニケーションの重要性を認識し、多国籍でありながらも文化や言語、ビジネスの習慣などの違いを乗り越え、社員同士のコミュニケーションを促進する環境を整えるべく、努めております。それを促すため、ITインフラを構築し、日米間の連携強化を図っております。

 

⑥ 継続的な情報収集

 医薬に関連する開発技術は日進月歩で向上しております。そうした最先端技術や各国の法規制の変化、世界の市場の動きなどを常に把握し続ける必要があります。当社グループは多国籍であることの強みを活かし、日本、米国、欧州における独自の情報網を構築しております。そこから得る情報をグループ内で共有し、開発方針や事業戦略に活かしてまいります。

 

 

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 なお、リスク要因における将来の見通しに関する記述は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1) 当社グループの事業及び医薬品業界に関連するリスク

1. 医薬品の研究開発について

 当社グループは、臨床段階の眼科専門企業であり、販売承認を受けた医薬品や医療機器を有しておらず、研究開発の段階にあります。一般的に臨床開発は長期、高額、かつ不確実なプロセスであり、遅延または更なる必要事項が生じる可能性があります。臨床または非臨床試験の中間結果はその最終結果を予想させるものではなく、開発の初期段階においては有望であるように見える製品候補であっても、最終的には有効性もしくは安全性が承認に必要とされる水準を満たさないことが判明しまたはその懸念があると規制当局が判断する可能性があります。

 当社グループの製品候補はいかなる国においても販売承認を受けておらず、かかる承認を受けられない場合、当社グループの事業が重大な損失を被る可能性があります。当社グループが、単独でまたは第三者と共同で、商業的可能性のある医薬品の開発及び規制当局の承認の取得並びにその販売に成功しない場合には、医薬品の販売から十分な収益を挙げることができない可能性もあります。

 

2. 医薬品開発の競争について

 眼科領域は急速に成長している市場であり、多数の大手企業及び新興企業が、優れた製品への研究開発及び商業化に多大な投資を行っています。それらの製品は、優れた経済価値等を含む、より優れた特性を買手に対し提供する可能性があり、将来における当社グループの製品候補よりも好まれる治療法となる可能性があります。さらに、将来におけるかかる製品の販売からの収益が悪影響を受け、また特定の市場または地域において製品を商業化する当社グループの能力も影響を受ける可能性があります。

 

3. 業績の推移について

 当社グループは2017年12月期において3,445百万円の当期損失を計上し、また2017年12月31日現在累積欠損は11,091百万円となっております。当社グループは、今後数年間は製品候補の開発を継続するため当期損失を計上するものと見込んでおり、長期的には、当社グループが研究開発プログラムを拡大し、追加の補完的な製品、技術または事業を取得またはインライセンスした場合も、当期損失を計上する可能性があります。

 また、当社グループの過去の業績の比較は必ずしも将来の業績を示すものではありません。

 

4. 為替変動について

 当社グループの主たる事業である研究開発活動は、現在、当社の米国子会社を拠点として行われております。米国子会社の機能通貨は米ドルであり財務諸表も米ドルで作成されます。一方、日本における報告通貨は日本円であるため、連結財務諸表を作成する過程において、当該財務諸表は日本円に換算されます。したがって、大幅な為替相場の変動があった場合には、日本円で開示される当社グループの連結業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

5. 承認後の販売について

 当社グループが規制当局より販売承認を取得する製品の商業的成功は、医療コミュニティー及び医療費の第三者負担者により、これらの製品が、臨床的に有用であり、費用対効果が高く、安全なものであるとして受け入れられることにかかっています。仮に潜在的製品が望ましい有効性及び安全性特性を臨床試験において示したとしても、製品の市場受入れは、上市されてみなければ判明しません。

 

6. 販売提携について

 当社グループの製品候補の将来における商業化のため、当社グループは、販売及びマーケティング・インフラを整備する必要がありますが、これを適時に行える保証はありません。

 製品候補のマーケティング、販売もしくは流通について、内部資源を使用することができない場合または内部資源を使用することを選択しない場合、当社グループは提携パートナー等に協力を依頼する予定でありますが、当社グループはそのような関係を構築または維持できない可能性があります。当社がマーケティング、販売及び流通について提携パートナー等と共同する場合、当社グループが受領する収益も彼らの努力に依存することとなりますが、このような努力は成功しない可能性があります。

 

7. 製品候補ポートフォリオについて

 当社グループは自社開発、ライセンシング並びに製薬企業、バイオテクノロジー企業、機器メーカーまたは大学とのパートナーシップ等により、製品候補のポートフォリオ拡大を常に検討しております。

 当社グループの研究開発は、初期においては潜在的な化合物特定の見込みを示したとしても、製品候補を生み出さない可能性があります。

 また、当社グループは第三者の研究開発にかかる製品候補のライセンスまたは取得を試みる可能性がありますが、成功する保証はありません。

 当社グループが製品候補のポートフォリオ拡大に成功したとしても、当社グループがかかる製品候補の開発に成功し、また適切な提携先を見つけることができるという確証はありません。当社グループが適切な新製品候補を特定した場合でも、かかる製品候補は、費用効率の良い方法で概念実証を確立することができない、または概念実証を全く確立することができない可能性があります。これらのリスクのいずれかが発生することにより、当社グループの事業が重大な悪影響を受ける可能性があります。

 

8. 製造について

 当社グループの製造の経験は限られており、また当社グループは専用の製造施設を有していません。当社グループの製品候補の製造については、複数の委託候補先があり得ますが、その選定と委託に向けた協議には一定の時間を要し、遅延及び追加的支出を生じさせる可能性があり、これらを正確に見積もることはできません。

 医薬品製造に内在するリスクは、第三者製造者が当社グループの、または規制当局の要求を充たす能力に影響される可能性があり、結果として事業計画に遅延を生じさせる可能性があります。当社グループが十分な製造能力(委託による製造を含みます。)を有しない場合、製品を開発し商業化する当社グループの能力は悪影響を受ける可能性があります。

 

9. 人材の確保について

 当社グループは小規模な組織であり、当社グループの経営陣、各部門の責任者や構成員等に依存しています。当社グループは常に優秀な人材の確保に努めておりますが、これらの人材に対する競争は激しく、当社グループは適時または合理的な条件で有能な人材を維持しまたは追加的に雇用することができない可能性があります。当社グループが主要な人材を確保できない場合、当社グループの事業が重大な悪影響を受ける可能性があります。

 

10. 製造物責任について

 当社グループの事業は、製造物責任に基づく損害賠償請求のリスクにさらされています。当社グループの製品が人の健康被害を引き起こした場合、当社グループは高額かつダメージの大きい製造物責任に基づく損害賠償請求の対象となる可能性があります。当社グループは、当社グループの臨床試験を年次総額10百万米ドルまで補償する製造物責任保険に加入しています。当社グループは、開発するいずれかの製品について販売承認を得ることができた場合、その製品の販売を含めるよう被保険対象を拡大していく予定です。当社グループが、許容できる保険料での保険の付保またはその他の方法により潜在的な製造物責任に基づく損害賠償請求に対し当社グループを保護することができない場合、当社グループは多大な債務にさらされることとなり、当社グループの事業及び財政状態に重大かつマイナスの影響が生じる可能性があります。

 

11. 資金調達について

 一般的に医薬品の研究開発は多額の資金を必要としておりますが、追加的な資金は当社グループが必要とする時点において有利な条件で取得できない可能性があります。当社グループが十分な資金を取得できない場合、当社グループは開発プログラムの数を縮小しなければならない可能性があります。当社が株式または株式に転換可能な証券の発行により追加的な資金調達を行う場合、同時点における既存の株主に希薄化が生じることとなり、新たな株式または株式に転換可能な証券の内容は当社の普通株式に優先するものとなる可能性があります。

 

12. 環境負荷物質について

 当社グループの研究開発活動は、潜在的に有害な化学物質及び生体物質の使用を必要とする可能性があり、当社グループの事業は有害な廃棄物を排出する可能性があります。当社グループは有害物質の使用を管理する法規制の対象となっています。当社グループは、これらの有害物質に関する基準を法的に遵守していると考えておりますが、当社グループは将来において適用ある法律を遵守するために多額の追加的費用を負担する可能性があります。環境法規制の遵守のための費用は高額となる場合があり、現在または将来の環境規制は、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

13. 副作用に関する事項

 医薬品は、臨床試験段階から市販後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。予期せぬ副作用が発現し、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起などに発展した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

14. 医薬品及び医療機器開発にかかる規制について

 医薬品や医療機器の開発は、国によって承認手続きが異なり、追加的な製品テスト、行政機関による評価期間及び価格やその他の規制当局との合意を必要とする場合があります。承認方針または規制は変更される可能性があり、規制当局は製品の承認プロセスにおいて大幅な裁量を有し、様々な理由により製品候補の承認を遅延、制限または拒否することができます。規制当局は、当社グループの臨床試験の設計または実施について異議を唱える可能性があり、当社グループは規制当局に対し当社グループの製品候補が安全かつ効果的であることを十分に示すことができない可能性があります。従って、規制当局が当社グループが開発する製品を承認するとの保証はありません。

 

15. 知的財産権の使用について

 当社グループが提携先より取得した権利に加え、当社グループは当社グループが保有する特許及び営業秘密を含む独自の知的財産に依存しています。当社グループの特許出願については異議を申し立てられ、または特許権取得に至らない可能性があり、また当社グループの既存または将来の特許は、第三者がこれらの特許を迂回して開発または設計することを防止するには狭すぎる可能性があります。

 当社グループが出願しまたはライセンスを受ける特許が認められる保証はなく、当社グループの特許が有効で異議申立に対し対抗可能であるとの保証もありません。

 

16. 知的財産権の侵害について

 当社グループの商業的な成功は、部分的に、第三者の特許その他の知的財産権侵害の回避にかかっています。現時点において当社は知的財産権侵害に関する訴訟その他の法的手続きまたは第三者による請求について認識していませんが、バイオテクノロジー及び医薬品産業は、特許その他の知的財産権についての訴訟が多数にのぼるという特徴があります。当社グループは第三者から、当社グループの活動が第三者の特許権その他の知的財産権を侵害している、または当社グループが専有技術を承認なく使用していると主張される可能性があります。これらの請求に対する防御のため、多額の訴訟費用が発生する可能性があります。また、当社グループによる第三者の権利侵害が認められた場合、当社グループは多額の賠償金を支払わなければならない可能性があります。

 

17. 大株主について

 2017年12月31日現在、当社の筆頭株主であるSBIインキュベーション株式会社(以下「SBII」)は、当社の発行済普通株式の38.08%を保有しており、当社の代表執行役である窪田氏は当社の発行済普通株式の26.94%を保有しております。

 SBII及び窪田氏による当社普通株式の株式保有割合は合計で過半数を超えており、単独で行為した場合、当社の株主の承認を要する事項に対して多大な影響を及ぼすことが可能であり、集団として投票した場合、株主による承認が必要な事項についての結果を左右することが可能です。株主総会の承認が必要となる全ての事項の決定に関して、他の株主の意向にかかわらず、SBII及び窪田氏が影響を与える可能性があります。

 また、会社法及び当社定款に基づき、取締役の解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更等の一定の重要な議案は、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数賛成票を必要としますが、SBIIは、かかる議案の承認を阻止することが可能です。

 

18. 配当について

 当社グループは研究開発の段階にあり、当期損失を計上していることから、当面の間、現金配当を行う予定はありません。現金配当の支払いは当社グループの財政状態、業績、資金需要及びその他の要因にも依存することになり、また、当社の取締役会の裁量によることになります。よって、投資家は当社の普通株式に対するその投資のリターンを短期的に得るためには、株価の上昇に頼らざるをえないことになります。

 

19. M&A等(買収、合併、営業の譲渡・譲受、出資)による事業拡大について

 当社グループは、保有する経営資源の効率的運用と企業価値の最大化のため、M&A等を活用して事業規模の拡大を図ることを経営方針の一つとしていますが、事業環境や競合状況の変化等により、想定どおりの効果が得られない可能性があります。また、のれん及び無形資産の減損損失の計上等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

20. 新株予約権について

 当社グループは、優秀な人材確保のためのインセンティブプランとしてストックオプション制度を採用し、当社及び当社子会社の取締役、執行役及び従業員に対して新株予約権を付与しており、今後も付与する可能性があります。発行済みの新株予約権の目的となる株式数(以下、潜在株式数)の合計は、当連結会計年度末現在において1,936,597株(但し、退職により失効したものを除く)であり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の5%を下回っておりますが、これらの新株予約権が行使された場合や将来付与する新株予約権が権利行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

21. コンピューターシステムの故障・セキュリティ侵害について

 当社の知る限りでは、当社グループは重大なシステム障害またはセキュリティ侵害の被害を受けたことはありません。しかしながら、かかる事象が発生し、当社グループのオペレーションが侵害された場合、当社グループの開発プログラム及び事業運営に重大な混乱が生じるおそれがあります。

 当社グループは、個人情報を含め多くの秘密情報を保有しています。当社グループは、かかる情報を不正アクセスから保護するために、セキュリティ対策を導入していますが、セキュリティ侵害は、コンピューターハッカー、従業員のミス、不正行為その他を含む第三者による行為により発生する可能性があり、それにより何者かによる不正アクセスが生じる可能性があります。ハッカーが不正アクセスを行い、システムを侵害する手法は頻繁に変化するため、当社グループはこれらの手法を予期するまたは適切な防止対策を講じることができない可能性があります。セキュリティ侵害は、当社グループの秘密情報等の開示につながるおそれがあります。当社グループのシステム及び外部バックアップの対策は、自然災害またはその他の予期せぬ事態による被害または侵害に対して脆弱である可能性があります。そのようなことが起きた場合、当社グループは多大な賠償責任を負い、復旧のための費用が発生し、当社グループの評判及び当社グループの事業に悪影響が生じる可能性があります。

 

 

(2) 本社機能移転取引について

1. 国税局の対応について

 前連結会計年度に実施した本社機能移転取引は、日本の税制目的における適格合併として扱われるため、日本の居住者である株主に対して重大な納税義務を生じさせるものではないと当社は考えております。しかしながら、国税局がかかる見解に異議を唱えた場合、本社機能移転取引の結果として、高額な日本の所得税または法人税が日本の株主に課される可能性があります。

 

2. 二重課税の可能性について

 本社機能移転取引後、当社は、米国法人と日本法人の双方として扱われ、米国と日本の課税の対象となりました。租税の目的における当社の二重ステータスは、重大な追加的法人税を生じることはないと当社は考えておりますが、税務当局が異議を唱えた場合、当社グループは多大な追加的法人税が課される可能性があります。

 

3. 将来の組織再編について

 当社が買収される場合、取得者は、当社の二重ステータスを承継しなければならないため、当社が取得対象となる可能性が減少し、または取得における当社の評価額が低下する可能性があります。

 当社によりアキュセラ・インクが売却される場合、取得者は、当社の二重ステータスを承継する必要はありません。しかしながら、かかる場合、当社はアキュセラ・インクの売却益に対する米国及び日本の双方の課税の対象となる可能性があり、当社の株主もさらにかかる売却益の分配について課税の対象となる可能性があります。

 

4. 配当に対する二重課税について

 当社普通株式に関し、米国の居住者である株主に対して支払われる配当の総額は、一般的に米国連邦法人税の目的で、受取配当金として総所得に含まれます。かかる配当は一般的に日本の源泉徴収税の対象にもなります。当社は日本で設立された株式会社であるものの、米国の連邦法人税の目的上は米国会社として扱われるため、かかる配当は、米国の外国税額控除制度における国外源泉所得と認められません。したがって、米国の居住者である株主は、その他の国外源泉所得を十分に有しない限り、当社から受領した配当に対する日本の源泉徴収税に関し、外国税額控除を主張することができません。

 また当社普通株式に関し、日本の居住者である株主に対して支払われる配当の総額は、日本の租税の目的上、(法人株主に対する一部の例外を除き)一般的に課税の対象となります。かかる配当は一般的に米国の源泉徴収税の対象にもなります。日本の外国税額控除制度においては、租税条約に基づく締約国により徴収されることが認められる外国税額のみが原則的に控除されるため、米国の源泉徴収税は、日本の課税を相殺するために控除される税金として認められない可能性があります。さらに、仮に米国の源泉徴収税が控除される税金として認められたとしても、当社は日本の会社であるため、支払われた配当は日本の税控除の目的上国外源泉所得と認められず、米国の源泉徴収税は控除されない可能性があります。

 米国または日本の株主以外の当社の普通株式の保有者は、通常米国と日本の双方の源泉徴収税の対象となります。

 当社が配当の支払いを決定した場合、配当に対する二重課税を避けるための手段を講じる可能性がありますが、特定の当社の普通株式の保有者に関する二重課税が回避できるという保証はありません。

 

5【経営上の重要な契約等】

(技術導入)

契約会社名

相手先の名称

相手先の所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

アキュセラ・インク

EyeMedics

米国

2016年

12月14日

2016年12月14日から以下のいずれかのうち最も早い日

(a)POCの結果が出て臨床第2相試験の結果検討後120日間、(b)EyeMedicsから資産購入を行うオプションの有効期限切れ、(c)化合物、プログラム資産、ライセンス、特許の譲渡の完了

新規バイオミメティック技術における全世界製造・開発・販売の独占的実施権取得に関するオプション契約

アキュセラ・インク

YouHealth Eyetech, Inc.

米国

2016年

3月16日

(オプション期間)

2016年3月16日から

2019年6月30日まで

ラノステロール技術の開発に関わる、中国、台湾、香港を除く地域における独占的実施権に関するオプション契約

アキュセラ・インク

マンチェスター大学

英国

2016年

4月4日

2016年4月4日から

特許権の有効期限もしくは販売開始後10年間のどちらか遅い方まで

ヒトロドプシンによるオプトジェネティクス治療の独占的実施権

アキュセラ・インク

SIRION Biotech GmbH

独国

2017年

12月21日

2017年12月21日から

販売開始後10年間

眼科遺伝子療法への臨床応用を目的に最適化されたアデノ随伴ウイルスベクターを確立するための共同開発契約

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、研究開発型企業であり、米国子会社のアキュセラ・インクが研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでおります。

 前連結会計年度及び当連結会計年度における研究開発費はそれぞれ、2,335百万円及び2,380百万円であります。

 当社グループの開発品パイプラインの詳細は、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 3 事業の内容 (4)開発品パイプライン」に記載のとおりであります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来予測に関する記述は、現在入手可能であり、かつ当社が合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等はさまざまな要因により著しく異なる可能性があります。業績予想の前提となる条件及び業績予想のご利用にあたっての注意事項等については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」及び「4 事業等のリスク」等をご参照ください。

 

(1)重要な会計方針及び見積もり

 当社グループの連結財務諸表は、当連結会計年度より、従来の米国会計基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSベースに組み替えて比較分析を行っております。重要な会計方針は、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載のとおりであります。

 当社経営陣は連結財務諸表及び添付の注記で報告された数値に影響を与える見積り及び仮定を行わなければなりません。実際の結果はこれらの見積りと相違する場合があります。

 

(2)経営成績の分析

 本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」をご参照ください。

 

(3)財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は11,673百万円となり、前連結会計年度末と比べて3,166百万円の減少となりました。これは主に現金及び現金同等物が127百万円増加し、また臨床開発費用の前払い等でその他の流動資産が106百万円増加した一方で、研究開発投資等に伴い流動のその他の金融資産が3,187百万円減少したことや、営業債権が大塚製薬との契約の終了に伴い213百万円減少したことによります。

 

(非流動資産)

 当連結会計年度末の非流動資産は1,724百万円となり、前連結会計年度末と比べて610百万円の減少となりました。これは主に、非流動資産のその他の金融資産を流動資産のその他の金融資産に振り替えたことによるものです。

 

 当連結会計年度末における総資産は13,396百万円となり、このうち現金及び現金同等物、流動資産及び非流動資産に含まれるその他の金融資産の合計額は12,763百万円であり、総資産の95.3%を占めております。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は327百万円となり、前連結会計年度末と比べて211百万円の減少となりました。これは主に前連結会計年度において、大塚製薬と共同開発していた臨床試験が終了したことや三角合併手続きが完了したことで、未払費用が減少したことによるものであります。

 

(非流動負債)

 当連結会計年度末の非流動負債は103百万円となりました。非流動負債は主に長期繰延賃借料であります。

 

(資本)

 当連結会計年度末の資本は12,967百万円となり、前連結会計年度末と比べて3,557百万円の減少となりました。減少の要因は主に当期損失を3,445百万円計上したことにより利益剰余金が減少したことや、在外営業活動体の換算差額によるその他の包括利益の減少によります。なお、親会社所有者帰属持分比率は96.8%であります。

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析

 本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 業績等の概要」をご参照ください。

 

(5)次期の見通し

 当社グループは、エミクススタト塩酸塩を始め、研究の初期段階に導入した技術を社内で育て、中長期的に大手製薬企業との共同開発に展開することが、当社グループの事業成長の鍵であり、収益基盤を強化する手段となると考えております。開発プログラムを前進させるとともに、開発の終盤において開発及び商業化を支援するための資金を提供するパートナーとの提携を検討して参ります。提携パートナー及びそれに伴う収益が確保されるまで、当社グループは自ら資金を捻出する必要があり、それにより損失が生じる予定であります。

 

(事業収益)

 2017年12月期において当社グループは事業収益を計上しておりませんが、2018年12月期においても現時点において、事業収益の発生は見込まれておりません。現在当社グループは複数のパートナーシップの可能性を模索し、戦略パートナーとの提携を通じて将来において収益を発生させることを計画しております。

 

(営業損失)

 2018年12月期における営業損失は主に、開発品パイプラインの進展に伴う研究開発費の計上によるものです。一般管理費はIFRS移行手続きが完了したこともあり、2017年12月期と比べて減少することを予想しております。

 

 なお、為替レートについては、1米ドル=110.00円を前提として今後の見通しを算出しております。