当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
また当社は、2024年12月31日を基準日として東京証券取引所グロース市場における上場維持基準のうち時価総額基準に適合しない状態にあり、計画期間の2025年12月31日までに時価総額40億円を充たさなかった場合に、1年間(2026年12月31日まで)の改善期間に入ります。当社は、これまでの施策に加えて、さらなる経営改善と財務基盤の強化を推進し、当該計画期間内での基準適合に努めてまいります。
(重要事象等について)
当社グループは眼科領域に特化し、グローバルに医薬品・医療機器等の研究開発・販売を行う眼科医療ソリューション・カンパニーであり、研究開発段階においては先行投資が必要となる事業ポートフォリオから構成されております。
既に商業化しております、ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®に関しましては、既に販売を開始しております日本市場に加え、近視関連製品の大市場である中国への進出を進めております。ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の販売、サービスに適した販売網の構築を試行錯誤しながら進めております関係上、売上の立ち上がりは第三四半期以降にずれ込む見込みです。従いまして、当中間連結会計期間までの売上は全て日本市場からの実績になります。エミクススタト塩酸塩 RETAKU®に関しましては、早急な上市に向けて早期承認制度や緊急承認制度の利用について当局と協議しているものの、現時点では、日本や米国等で薬事承認を得るためには第3相試験を改めて実施することが必要となっております。そのため引き続き1対2のピボタル試験要件の確認及び研究開発パートナー探しを進めるとともに、第3相臨床試験の事後解析であるサブグループ解析の結果をもとに、まずは欧州でコンパッショネート・ユース・プログラムを利用した商業化に向けた活動を進めております。
在宅・遠隔眼科医療用網膜モニタリング機器 eyeMO®につきましても、早期に収益化を図るべく、開発品のライセンスアウト及び業務提携に取り組んでおり、これまで複数企業と契約協議を行ってまいりましたが、現時点では、パートナー企業が見つかっておりません。
有価証券の発行による資金調達に関しては、新株予約権(行使価額修正条項付)の行使による払込金が2025年12月期中間連結会計期間は約140百万円となっており、2024年12月期の約49百万円と比較すると増加傾向にあるものの、上記のとおり、既に商業化されているウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の海外からの売上の立ち上がりがずれ込んでおり、営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが継続していることから、現金及び現金同等物の残高は2025年12月期中間連結会計期間末が1,140百万円、2024年12月期末が1,455百万円となっており、2023年12月期末の2,768百万円、2022年12月期末の4,049百万円から減少しております。これらのことから継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していると認識しております。
このような状況を鑑み、当社グループは以下のような施策の実行に向けて取り組んでおります。
1.ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の中国主要都市をカバーする販売網の早期構築と売上の早期立ち上げ。
2.ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の中国での販売拡大を後押しする大規模臨床試験の早期開始。
3.ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の台湾、シンガポールにおける販売代理店の早期アポイント、及び認知度向上を目的としたマーケティングの強化。
4.ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の生産体制合理化による品質改善と製造原価低減。
5.エミクススタト塩酸塩 RETAKU®の欧州におけるにコンパッショネート・ユース・プログラムを利用した早期商業化。
6.社内要員体制の見直しによる人件費の削減。
7.企業との資本業務提携等、新株予約権(行使価額修正条項付)以外の資金調達。
以上の施策により、事業収入増加、コストの削減並びに資金調達の可能性を高めることで継続企業の前提に対する疑義の解消に努めてまいります。
各施策の成果についての不確実性を考慮してもなお当中間連結会計期間の末日現在において、当面の事業展開に必要な資金を十分に確保しており、当社グループは継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績の状況
既に商業化しております、ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の事業拡大戦略として、国策として近視抑制に取り組んでいる中国、台湾、シンガポールを重点国と位置付け、注力を開始いたしました。世界最大の近視関連製品市場である中国に対しては、2月に上海で開催されたChina (Shanghai) International Optics Fairへの出展を契機として、販売網の構築を進めてきました。中国からの売上の立ち上がりは第3四半期以降になる見込みで、当中間連結会計期間までの売上実績は日本国内での実績のみとなります。台湾、シンガポール市場では、販売におけるパートナー候補先へのアプローチを開始し、商談のフォローアップを行うに至っております。
低分子化合物エミクススタト塩酸塩 RETAKU®におきましては、スターガルト病を対象とする第3相試験の治療の有効性と安全性を統計的に検証する最終段階の試験である1対2のピボタル試験要件の確認を進めると共に、第3相臨床試験の事後解析であるサブグループ解析の結果を元に、欧州におけるコンパッショネート・ユース・プログラムを利用した商業化に向けた活動を着々と推進しております。
在宅・遠隔眼科医療用網膜モニタリング機器 eyeMO®に関しましては、日本の信州大学での臨床試験を完了し、米国とシンガポールで臨床試験が進行中です。商業化パートナーの探索を継続しております。
当中間連結会計期間までは、以上の事業概況を踏まえ、費用の節減を推し進めた結果、経常赤字幅を計画に対して僅かに縮小しております。
[医療機器]
(ウェアラブル近視デバイス)
日本市場に関しては、近視啓発とウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の認知度向上を目的としたSNSマーケティングの増強、富裕層をターゲットにした雑誌媒体への連続的な広告掲載、二子玉川の蔦屋家電+ショールームへの展示といった活動を展開し、問い合わせ数の増加と、一定量の販売の確保に繋げられています。
海外市場に関しては、国策として近視抑制に取り組んでいる中国、台湾、シンガポールを重点市場と位置付け、市場規模が圧倒的に大きい中国市場への本格進出に向けた活動を始動させました。中国は2023年時点で7億人超の近視人口を有しており(出典:国家衛生健康委員会)ますが、習近平国家主席が2018年に「青少年近視予防法案」を作り、2030年までに高校生の近視率を今よりも約10%低い、70%以下に抑制するという国家目標を掲げて近視の抑制に真剣に取り組んでいます。2月に上海で開催された世界最大規模の光学製品博覧会であるChina (Shanghai) International Optics Fairに当社として初出展し、大きな注目を浴びると共に、多くの企業から販売代理希望の要請をいただきました。このイベント出展を契機に、販売網の構築を進めてきました。中国のSNS、検索エンジンを使ったオンライン・マーケティングも始動させました。また、中国における科学的エビデンスの構築を目的に、大規模臨床試験の準備も着々と進めております。
台湾、シンガポール市場に対しても、販売パートナー候補先への個別アプローチに加え、SNSを使ったマーケティング、関連雑誌媒体への広告掲載を始動させております。
並行しまして、生産体制の合理化、商品価値の増大に向けた活動も推進しております。
(在宅・遠隔眼科医療用網膜モニタリング機器)
日本の信州大学医学部附属病院での臨床試験を本年3月に完了しております。また、米国のハーバード大学医学部付属ジョスリン糖尿病センターで、糖尿病網膜症患者のスクリーニング装置として実用可能であるかの評価、及び市販のOCT装置と比較する臨床試験を実施中です。シンガポール国立大学病院での臨床試験もスタートしております。
引き続き臨床現場での実用化に向けた共同開発パートナー企業、及び商業化パートナー企業の探索を継続してまいります。
[低分子化合物]
エミクススタト塩酸塩 RETAKU®については、スターガルト病を対象とする第3相臨床試験として、2018年11月には最初の被験者登録を、最終的には194名の被験者登録を完了し、当第3相臨床試験は終了しました。当該臨床研究のデータベースの集計及び分析の結果、無作為化、プラセボ対照、二重盲検比較試験の結果、主要評価項目及び副次的評価項目の二群間の有意差が統計的には示されませんでした。主要評価項目である黄斑萎縮の進行率は、エミクススタト投与群で1.280mm2/年、プラセボ投与群で1.309mm2/年でした(p=0.8091)。
その後の更なる分析の結果、ベースライン時の萎縮病巣面積がより小さい被験者グループでのプラセボ投与群と比較したところ、エミクススタト投与群の萎縮病巣の進行率が有意に低いことが示唆され、それを検証すべく、サブグループ解析を実施しました。ベースライン時の萎縮病巣領域が小さい被験者グループに対して変数減少法による単変量と多変量分析を行い、このサブグループにおける萎縮病巣の進行に影響する独立したベースラインの因子を特定しました。この解析の結果、エミクススタト投与群の24カ月目の黄斑萎縮の進行率が、プラセボ投与群に比べ40.8%抑制されました(p=0.0206、エミクススタト投与群 n=34、プラセボ群 n=21)。
上記の結果を受けて、当社は、引き続き1対2のピボタル試験要件の確認及び研究開発パートナー探しを進めると共に、第3相臨床試験の事後解析であるサブグループ解析の結果をもとに、現在、欧州でのコンパッショネート・ユース・プログラムを利用した商業化に向けた活動を着々と進めております。
当中間連結会計期間の事業収益は13百万円(前年同期比30.6%増)、売上原価は5百万円(前年同期比119.5%増)となりました。研究開発費、販売費及び一般管理費については以下のとおりです。
(研究開発費)
当中間連結会計期間の研究開発費は、前年同期と比較して161百万円減少(前年同期比△52.9%)し、144百万円となりました。これは、ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®の開発費用が減少したことが主な要因です。
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(単位:%を除き、千円) |
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前中間期 |
当中間期 |
増減額 |
増減率(%) |
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研究開発費 |
305,065 |
143,579 |
△161,486 |
△52.9 |
(販売費及び一般管理費)
当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は、前年同期と比較して95百万円減少(前年同期比△25.2%)し、283百万円となりました。これは、ウェアラブル近視デバイス Kubota Glass®に関する支払報酬、及び特許関連費用が減少したことが主な要因です。
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(単位:%を除き、千円) |
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前中間期 |
当中間期 |
増減額 |
増減率(%) |
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販売費及び一般管理費 |
377,814 |
282,746 |
△95,068 |
△25.2 |
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当中間連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末と比べて329百万円減少し1,202百万円となりました。これは、現金及び現金同等物が減少したことが主な要因です。
(非流動資産)
当中間連結会計期間末の非流動資産は、前連結会計年度末と比べて0百万円減少し10百万円となりました。これは、その他の非流動資産が減少したことが要因です。
(流動負債)
当中間連結会計期間末の流動負債は、前連結会計年度末と比べて39百万円減少し112百万円となりました。これは、買掛金、及び未払報酬が減少したことが主な要因です。
(非流動負債)
当中間連結会計期間末の非流動負債は、前連結会計年度末と比べて13百万円増加し14百万円となりました。これは、リース負債が増加したことが要因です。
(資本)
当中間連結会計期間末の資本は、前連結会計年度末と比べて303百万円減少し1,087百万円となりました。これは、中間損失の計上により繰越損失(利益剰余金のマイナス)が拡大したことが主な要因です。
(3)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物は、取得日後3ヶ月以内に満期が到来する短期の流動性の高いすべての投資を含み、現金同等物はマネー・マーケット・ファンドで構成されております。取得日現在の満期が3ヶ月から1年の間である投資は、短期投資に分類されます。
当社グループが保有する現金、現金同等物及び短期・長期の金融商品は、前中間連結会計期間末及び当中間連結会計期間末において、それぞれ2,063百万円及び1,140百万円でありました。第三者金融機関への預金額は、連邦預金保険公社及び証券投資家保護公社の適用ある保証上限を超える可能性があります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における営業活動に使用した現金及び現金同等物(以下、資金)は、それぞれ696百万円及び443百万円となりました。使用した資金が253百万円減少した主な要因は、前中間連結会計期間に比べ、当中間連結会計期間は研究開発及び一般管理費等の支払いに関する資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前中間連結会計期間における投資活動により使用した資金は26百万円、当中間連結会計期間に得られた資金は2百万円となりました。これは、前中間連結会計期間に比べ、当中間連結会計期間は有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前中間連結会計期間における財務活動により使用した資金は11百万円、当中間連結会計期間に得られた資金は131百万円となりました。これは、前中間連結会計期間に比べ、当中間連結会計期間は新株予約権の権利行使に伴う普通株式の発行による収入が増加したことによるものです。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、それぞれ305百万円及び144百万円となりました。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。研究開発費の詳細は、「(1)経営成績の状況 (研究開発費)」をご参照ください。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。