第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクは、次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(親会社グループとの関係)

 当社の親会社である株式会社イノベーションは、同社は本書提出日現在において当社発行済株式総数(自己株式を除く)の56.71%を保有しております。また、同社は当社発行済株式総数の過半数以上を保有しているため、議決権行使等により当社の経営に影響を及ぼし得る立場にあり、当社の意思決定に対して影響を与える可能性があります。

 親会社グループは、オンラインメディア事業、ITソリューション事業、金融プラットフォーム事業、VCファンド事業を主な事業内容としております。

 

① 親会社グループにおける当社の位置づけ

親会社グループのITソリューション事業において展開している「List Finder」は、当社の主力事業であるマーケティングクラウド事業で展開する「SHANON MARKETING PLATFORM」と同じマーケティングオートメーション市場に属するサービスでありますが、その機能性や提供する価格帯の相違もあり、現時点では、同市場内で明確には競合しておりません。両社は、マーケティングオートメーション市場の健全な再編に向けて、両社が保有するリソースやノウハウを活用し事業シナジーを最大限発揮できるプロダクト戦略の策定を進め、両社の企業価値向上の実現を目指しています。

 

② 取引関係について

当社と親会社の間では、2025年5月12日付で、日本のマーケティングオートメーション(MA)市場の健全な再編を進める第一歩として、両社が保有するリソースやノウハウを活用し事業シナジーを最大限発揮できるプロダクト戦略の策定を進め、両社の企業価値向上の実現を目的として資本業務提携を締結しております。

 

③ 親会社グループとの役員の兼務関係について

当社取締役5名(うち監査等委員3名)のうち、当社の代表取締役CEOである山﨑浩史及び監査等委員である笹岡大志は、それぞれ、親会社である株式会社イノベーションの取締役会長CFO、執行役員を兼務しております。

 

④ 親会社からの独立性の確保について

当社は、親会社の承認を必要とする取引や業務は存在せず、事業における制約もなく、独立した意思決定による独自の経営を行っております。また、親会社が過半数の株式を保有し役員兼務がある状況下でも、上場会社としての独立性と少数株主の利益保護を重視し、取締役会での事前審議、監査等委員会の意見聴取、取引条件の妥当性確認、外部専門家の活用、適時適切な情報開示、体制の継続的見直しなどを通じて、支配株主である親会社との取引の公正性・透明性の確保に努めています。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当社グループが属するクラウドサービス市場において、クラウドサービスを利用している企業の割合は引き続き上昇傾向にあります。総務省の令和6年「通信利用動向調査」によると、令和6年8月末におけるクラウドサービス利用企業の割合は80.6%(前年77.7%)に拡大しています。また、同調査によると、資本金規模別のクラウドサービス利用状況においても、資本金規模を問わずその利用率は拡大傾向が続いています。このように成長を続けるクラウドサービス市場の中で、当社が属するマーケティングオートメーション(SaaS)分野も例外ではなく、今後も6.0%(2023~2028年度の年平均成長率)の市場成長率が見込まれています。また、当社が提供する他のサービス(CMSやCX/マーケティングスイート分野)も含めると今後10.1%(2023~2028年度の年平均成長率)の市場成長率が見込まれています(出典:株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」)。なお、当社は他にもSFA(※1)サービス等の提供も行っており、各市場自体の成長やソリューションの拡大に伴うTAM(※2)の拡大による今後の当社事業の成長余力は高いものと認識しています。

 このような状況のもと、当中間連結会計期間における売上高は、マーケティングクラウド事業におけるストック型売上(サブスクリプション)やイベントクラウド事業が堅調に推移しました。一方、近年は積極採用による人件費の増加を主因として営業費用は増加傾向にありましたが、前期からの採用抑制やそれを補う人事異動による人員の有効活用により人件費が減少していること、不採算事業の整理及び減損損失の計上によりのれん償却費及び減価償却費が減少したことなどを主因として、営業費用は前年同期比で減少に転じています。その結果、営業損益も改善傾向にあります。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間の当社グループの売上高は1,436,098千円(前年同期比3.1%減)、営業損失は21,191千円(前年同期は営業損失93,557千円)、経常損失は70,255千円(前年同期は経常損失93,313千円)、親会社株主に帰属する中間純損失は157,359千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失94,182千円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、当社は、前連結会計年度に不採算の広告事業の一部売却(連結子会社株式の譲渡)、追加機能開発の停止及び人員削減等によるメタバース事業の縮小を決定し、収益性重視の経営へシフトしています。今後は、主力事業であるサブスクリプション事業に経営リソースを集中させ、早期の黒字経営への回帰、財務体質改善を経営上の最優先課題としています。これらの課題に取り組むにあたり、各事業の位置づけを明確にするべく再検討を行った結果、広告事業及びメタバース事業については、主力事業であるサブスクリプション事業を支える付随サービスとしての性質が強くなったことを踏まえて、「サブスクリプション事業」に含めることにするとともに、その名称を「マーケティングクラウド事業」に変更いたしました。

 その結果、従来「サブスクリプション事業」「イベントクラウド事業」「メタバース事業」「広告事業」の4区分としておりましたが、当中間連結会計期間より、「マーケティングクラウド事業」と「イベントクラウド事業」の2区分に変更しています。前年同期比については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて算出しています。

 

 

旧セグメント

内容

新セグメント

内容

サブスクリプション事業

■MA、CMSのシステム利用料、MRR(月額契約金額)、従量課金、有償保守サービス、年間契約のBPOサービス

■MA、CMSに関する初期導入サービス、BPOサービス、WEB制作、マーケティングコンサルティング等

マーケティングクラウド事業

■MA、CMSのシステム利用料、MRR(月額契約金額)、従量課金、有償保守サービス、年間契約のBPOサービス

■MA、CMSに関する初期導入サービス、BPOサービス、WEB制作、マーケティングコンサルティング等

■デジタル広告の運用、コンサルティング

■株式会社ジクウが提供するメタバースイベントプラットフォームのシステム利用料、従量課金、初期導入サービス、BPOサービス等

イベントクラウド事業

SMPを用いたイベントのシステム支援(バーチャルイベントに関するシステム構築費を含む)、会期当日支援(機材レンタルを含む)

イベントクラウド事業

■SMPを用いたイベントのシステム支援(バーチャルイベントに関するシステム構築費を含む)、会期当日支援(機材レンタルを含む)

広告事業

デジタル広告の運用、コンサルティング

メタバース事業

株式会社ジクウが提供するメタバースイベントプラットフォームのシステム利用料、従量課金、初期導入サービス、BPOサービス等

 

①マーケティングクラウド事業

 マーケティングクラウド事業は、「SHANON MARKETING PLATFORM」を中心とする年間利用契約に関するストック型売上(サブスクリプション売上)とそれに付随する初期導入やコンサルティングサービス等のフロー型売上(プロフェッショナル売上)から構成されています。

 当中間連結会計期間における売上高については、最重点方針として取り組んでいるストック型売上は順調に推移し、前年比110%を上回る推移となりました。なお、フロー型売上については、前連結会計年度の広告事業の一部売却(連結子会社株式の譲渡)や、大型のコンサルティング案件収束の影響で前年同期比では減少となりましたが、は想定通りの推移となっています。

 この結果、当中間連結会計期間におけるストック型売上は873,729千円(前年同期比10.2%増)、フロー型売上は264,206千円(前年同期比47.1%減)、マーケティングクラウド事業全体の売上高は1,137,936千円(前年同期比11.9%減)、営業利益は94,904千円(前年同期比60.4%増)となりました。また、当中間連結会計期間末における契約アカウント数は、558アカウント(前期末比0.5%増)となりました。

 

②イベントクラウド事業

 イベントクラウド事業は、前期後半からリアルイベント開催への回帰の傾向が鮮明となり、当社のイベントクラウド事業を取り巻く市場環境は改善してきています。当中間連結会計期間においては、大型イベントの会期が多く、前年同期比で大幅な増収増益となりました。この傾向は一過性ではありますが、通期予算達成に向けて、受注動向も順調に推移しています。

 この結果、当中間連結会計期間における売上高は298,161千円(前年同期比57.6%増)、営業利益は66,212千円(前年同期は営業損失6,730千円)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当中間連結会計期間末における資産合計は、1,698,815千円(前連結会計年度末2,169,482千円)となり、470,666千円の減少となりました。このうち、流動資産は1,107,830千円(前連結会計年度末1,376,156千円)となり、268,326千円の減少となりました。この主な要因は受取手形、売掛金及び契約資産が199,291千円、現金及び預金が25,467千円それぞれ減少したことによるものであります。また、固定資産は589,993千円(前連結会計年度末783,727千円)となり、193,733千円の減少となりました。この主な要因は投資その他の資産に含まれる保険積立金が162,383千円減少したことによるものであります。

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債合計は、846,840千円(前連結会計年度末、2,222,025千円)となり、1,375,184千円の減少となりました。このうち、流動負債は778,047千円(前連結会計年度末986,827千円)となり、208,780千円の減少となりました。この主な要因は、前受金が143,329千円、1年内返済予定の長期借入金が51,574千円それぞれ減少したことによるものであります。また、固定負債は68,793千円(前連結会計年度末1,235,197千円)となり、1,166,404千円の減少となりました。この主な要因は社債が1,154,046千円、長期借入金が12,358千円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産合計は、851,975千円(前連結会計年度末△52,542千円)となり、904,518千円の増加となりました。この主な要因は、第3回無担保転換社債型新株予約権の転換と新株予約権の行使に伴い、当中間連結会計期間において資本金及び資本準備金がそれぞれ534,355千円増加したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動の結果得られた資金は143,287千円となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失131,701千円(減少要因)、売上債権の減少196,242千円(増加要因)、減価償却費69,606千円(増加要因)によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動の結果得られた資金は48,635千円となりました。これは主に、保険積立金の解約による収入146,748千円、有形固定資産の取得による支出79,604千円、敷金の回収による収入65,081千円、無形固定資産の取得による支出66,854千円、保険積立金の積み立てによる支出16,606千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動の結果支出した資金は、216,091千円となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の償還による支出677,695千円、株式の発行による収入545,536千円、長期借入金の返済による支出63,932千円によるものです。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して25,467千円減の737,665千円となっております。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携)

 当社は、2025年5月12日開催の取締役会において、株式会社イノベーション(以下、「イノベーション」)との間で資本業務提携に係る契約を締結することについて決議し、同日付で同社との間で資本業務提携契約を締結いたしました。

 

1.資本業務提携の目的

両社は、今後、日本のマーケティングオートメーション(MA)市場の健全な再編を進める第一歩として、両社が保有するリソースやノウハウを活用し事業シナジーを最大限発揮できるプロダクト戦略の策定を進め、両社の企業価値向上を実現すべく、今般、本契約を締結します。

 

2.資本業務提携の概要

(1)業務提携の内容

本提携では、特に以下の分野において協力関係を強化します。

①グループ全体での販売力及び収益力の強化

 イノベーションが提供する「List Finder」と、シャノンが提供する「SHANON MARKETING PLATFORM」のそれぞれのサービス特性を活かした販売連携、相互の体制支援及びノウハウの共有等を通じ、マーケティング活動の効率化、共同提案や相互送客による顧客訴求力の強化及び解約率の抑制

②国内外での事業展開の加速

 両社が持つ事業ネットワークや技術力を統合し、日本国内のMA市場におけるシェア拡大、更にはデジタル分野における国際競争力の強化に資する海外市場への展開

③シャノンのマネジメント体制の強化・黒字経営への転換

両社が保有する経営リソース、顧客基盤や技術力を融合し、特にシャノンの経営及び執行体制の刷新、並びに高収益事業への集中、コスト改革による短期間での単年度黒字化の実現

(2)資本提携の内容

イノベーションは、2025年1月24日付でシャノンに対する公開買付けに伴う応募株式等に係る決済を経て、シャノンの親会社及び主要株主である筆頭株主に該当し、当該資本関係に基づき、今般、本契約を締結するものです。なお、本日時点で、今後新たにシャノン株式を取得する計画又は検討の事実はありません。