文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは次の「ミッション/経営理念」、「ビジョン/目指すべき企業の姿」及び「経営原則/レノバのコミットメント」を掲げています。
上記の達成のため、当社グループは現在、次の5点を重視した経営を行っています。
当社グループは「日本とアジアにおけるエネルギー変革のリーディング・カンパニーとなること」というビジョンの実現を目指しており、再生可能エネルギー市場に経営資源を集中的に投下しています。脱炭素化と再生可能エネルギーの導入拡大は世界の潮流です。日本では、2020年12月に経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表し、電力部門の脱炭素化を実現する方策の1つとして、再生可能エネルギーを最大限導入することを掲げました。当社グループは、この成長市場である再生可能エネルギー市場において、中長期的に事業を拡大させていきます。
当社グループは、現時点で全国11ヶ所の運転中の大規模太陽光発電所及び1ヶ所のバイオマス発電所を有しています。また、当社グループは、全国5ヶ所の建設中の大型バイオマス発電所、全国2ヶ所の建設中の大規模太陽光発電所、ベトナム社会主義共和国(以下、「ベトナム」という。)において建設中の陸上風力発電所を有しています。成長市場である再生可能エネルギー市場での事業拡大のため、国内では洋上風力発電を軸としながら、バイオマス、陸上風力、地熱発電等のマルチ電源開発を推進します。また海外ではアジアを中心として、各国や地域に適した電源による新たな再生可能エネルギー電源の開発を推進しています。当社グループは独立系資本の特性を生かして多様なパートナーと連携することで、大型で先進的な再生可能エネルギー電源の開発を推進していきます。
発電所開発の成功確度向上と事業の高収益化を実現し、かつスピーディーな事業開発の推進を行うために、当社はエンジニアリング機能の内製化をはじめとし、発電所開発における重要なプロセスにおいて各分野のスペシャリストを社内に擁しています。また、高い専門性を梃に難易度の高い大型事業に特化した開発を行うことで、スケールメリットを追求し、より高い収益性の実現を目指しています。運転中・建設中の発電所の合計出力が約900MW(2021年3月末時点)となる再生可能エネルギー発電所の開発実績に裏付けられたプロジェクト統括力により、これらを推進していきます。
当社グループは既存の発電所から長期に得られる強固なキャッシュ・フローを新規の発電所開発に積極的に再投資し、持続的成長を図ることで企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めていきます。
また、当社グループは借入れを活用したハイレバレッジのファイナンススキームを開発事業ごとに組成し、各事業における必要出資額を抑えています。さらに、ファイナンス組成の初期において複数の共同出資者を募ることにより当社の出資持分を抑制して、少ない投下資本で数多くの事業を手掛けられる投資モデルを採用しています。これによって建中リスクの低減を実現させることは、リスク分散の一助となっています。また、コール・オプションの行使や共同出資者との出資交渉により出資持分を追加取得し、FIT期間を通じて得られるリターンの最大化を図っています。
当社グループは、全国に広がる再生可能エネルギー発電所を長期に亘って所有・運営していきます。また、再生可能エネルギーとは本来それが存在する地域の資源であり、発電所はその資源を活用させて頂いているという視点を、当社グループは大事にしています。今後も、当社グループの各発電所がそれぞれの地域に根ざし、地域関係者との長期的な共生・共創の関係を構築・維持出来るよう尽力していきます。
①EBITDAを重視した経営管理
当社グループの再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費が全体の費用に占める割合は大きい傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは経営指標としてEBITDA(売上収益-燃料費-外注費-人件費+持分法による投資損益+その他収益・費用)を重視し、その持続的な増大を目指していきます。
大規模太陽光発電所については、売上収益、EBITDA、営業利益のいずれもFIT適用期間に亘って安定しています。売上収益は、時間経過に伴う設備発電効率の低下(主にパネルの劣化)は見られるものの、全発電量に対して固定価格による売電契約を締結していることから高い予見性があります。費用及び償却性費用についても平準化されており、FIT期間を通じてEBITDA及び営業利益についても高い予見性があります。
なお、FIT期間満了後の事業性が認められる場合の売電収入、EBITDA及び営業利益は、売電市場の状況、新規設備導入の状況及び土地賃料の水準等により変動します。
バイオマス発電所においても、基本的な傾向は大規模太陽光発電所と同様ですが、発電効率は長期間に亘り一定であることが見込まれることから、FIT期間内の売上収益水準の漸減がない一方で、スポット燃料価格の変動に伴いEBITDAや営業利益は変動します。当社グループでは、長期に亘る安定的な事業運営を目的として、燃料供給会社との間で長期の固定価格、固定数量の燃料購入契約を締結することで、前述のEBITDAや営業利益の変動の極小化に努めています。
②事業の現在価値を重視した投資
再生可能エネルギー発電所の事業開発においては、一般的に、地権者又は地域関係者との開発合意、資源量の調査、各種許認可取得、エンジニアリング、ファイナンス関連契約及びプロジェクト関連契約の締結、工事・建設といった段階を踏みます。
下記の図は、大規模太陽光発電開発を例にとり、開発マイルストーンの経過に伴い、各再生可能エネルギー事業の事業価値が変化するイメージを図示したものです。運転開始の前段階においては、各マイルストーンを達成し、事業化の実現可能性が向上するに従い、事業価値が向上します。特に、融資団との間でファイナンス契約を締結し、着工に至って設備の建設が進む段階では、事業価値は急速に顕在化し、運転開始時において理論的には将来の予定獲得キャッシュの現在価値に達していきます。
運転開始後の発電事業はFIT期間を通じて出資者に対する金銭の分配を行い、当該分配に伴って発電事業の価値はFIT期間を通じて減少していきます。買取期間が満了しFITの適用外となった再生可能エネルギー発電事業においては、FITに依らない売電に事業性が認められた場合は一定の事業の価値が残存するところ、FIT期間満了後の事業性が認められない場合は当該事業の価値は残存しません。当社グループはかかる事業性判断において、FIT期間満了時における売電市場、卸電力取引所、地域、地権者及び事業関係者との状況等を踏まえた検討を行う方針です。なお、当社グループの再生可能エネルギー発電所はFIT期間満了後(海外事業においては、各国の再生可能エネルギー導入促進制度の適用対象となる期間の満了後)に事業継続判断が成されない場合に備え、設備撤去費用をFIT期間中に積み立てています。
(再生可能エネルギー発電所の事業価値向上イメージ)

当社グループは再生可能エネルギーによるマルチ電源化を推進しており、運転開始済み発電所及び建設中発電所の合計発電容量が3.0GW超となることを中期的な通過点として捉えています。これに向けて、当社グループでは現在、次の経営戦略を実行しています。
事業開発の人員を増強し、費用を投下し、優良事業に対して積極的な投資を実行しています。
国内の再生可能エネルギーの中でも最先進領域である大型洋上風力発電事業について、当社は、由利本荘市沖で、5年に亘る開発でノウハウを蓄積してきました。由利本荘市沖は、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(以下、「再エネ海域利用法」といいます。)に基づく促進区域に指定され、公募による事業者選定のプロセスにあります。当社は由利本荘市沖洋上風力発電事業で培ったノウハウを活用し国内での新たな洋上風力発電事業の開発を推進していく方針です。再生可能エネルギー市場の中でも特に成長が期待される領域に経営資源を投入し、中長期的な成長と更なる株式価値の向上を実現していきます。
アジアを中心とした海外において、国内で培ったノウハウを活用し、各国、各地域に適した再生可能エネルギー電源の開発を推進します。当社は、ベトナム市場への参入を契機として、電力市場の成長が著しいアジアでの事業開発を加速し、長期的な成長と更なる株式価値の向上を実現していきます。
④大型のバイオマス発電の開発を継続し、着実に実現する
ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社におけるバイオマス発電所の運営で培ったノウハウと、既に5事業に着工した75MWクラスの大型バイオマス発電事業の開発モデル及び当社の有する優良なネットワークを梃子に新規大型バイオマスの開発を加速させます。また、建設中の5事業については、施工管理体制を充実し着実に実現していきます。
バイオマス発電所及び風力発電所を持続的かつ安定的に操業するには、一定のオペレーションのノウハウが必要です。当社グループの現在建設中の複数のバイオマス発電所は、2023年以降に連続的に運転開始を予定しており、また、大型洋上風力事業の開発にも注力しています。オペレーション機能を内製化し、持続的かつ安定的な発電を実現するためのノウハウを蓄積することで、社会インフラを担う責任を果たすと同時に、収益を最大化させていきます。
当社グループは、再生可能エネルギー市場に参入した2012年から、安定的な収益獲得が見込め、保有開発事業の着実な開発による収益成長が期待できる大規模太陽光発電及びバイオマス発電を中心とした開発を行ってきました。この結果、当社グループの大規模太陽光発電及びバイオマス発電は、運転開始済み及び現在開発中の事業を合算すると900MWを超え、国内有数の規模を有する事業に成長しました。
当社グループでは、洋上風力発電及びアジアを中心とした海外事業を注力領域と位置づけ、経営資源を集中的に投下して開発を行っています。前述のとおり、秋田県由利本荘市沖洋上風力事業では、5年に亘り、「地域との共存共栄」を目指し、開発を行ってきました。設計・エンジニアリングが順調に進捗し、建設に向けた最終段階にあります。2020年7月に由利本荘市沖が、再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定され、現在、公募による事業者選定のプロセスにあります。当社は、今後、秋田県由利本荘市沖洋上風力事業で培ったノウハウを活用し、今後の洋上風力発電事業を推進していく方針です。海外事業では、2020年5月にはベトナムクアンチ省における陸上風力発電事業に投資を行うなど、アジアを中心とした海外での事業開拓や先行投資を行っており、長期的な視点に立った新規開発事業の調査及び開拓を進めています。
以上のとおり、当社グループでは再生可能エネルギー電源開発の多様化(マルチ電源化)と更なる開発事業の拡大を推進しています。
新たな事業領域での開発に係る各課題への適切な対処に加え、事業規模の拡大に伴いより高度な経営管理体制の構築が求められる中、当社グループでは以下の項目に取り組んでいきます。
再生可能エネルギー発電所の新規事業を開拓することは、当社グループの持続的な成長のために重要です。
当社グループは、これまで大規模太陽光発電及びバイオマス発電を中心に「再生可能エネルギー発電事業」の展開を進めてきました。今後、成長領域である洋上風力発電事業と、アジアを中心とした海外における事業の開拓及び開発を当面の注力領域として人員を増強するなど、経営リソースを重点的に配分しています。
多様化した電源にて同時に複数の新規事業を検討するためには、事業情報の収集及び開発可能性の見極めを効率的かつ効果的に行う必要があります。内製化したエンジニアリング機能によって蓄積されたノウハウと専門人材の知見、現地化による適時適確な意思決定を行う体制、過去10年に亘る発電事業開発によって構築した情報ネットワークとパートナーシップ等を最大限に活用し、収益拡大に貢献する新規の再生可能エネルギー発電事業の開拓を行っていきます。
国内外の新たな市場において更なる事業の拡大を図り、変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、当社グループの強みとなる専門性を高め差別化を図っていくためには、多様な人材の確保と育成が重要です。
当社グループでは、優秀で専門性の高い人材にとって魅力ある会社づくりを行うために、組織構成や人事考課制度の見直しを図るとともに、公正な評価基準設定と目標達成度に応じた評価及びフォローアップ、教育研修の充実等に引き続き取り組んでいきます。また、人材採用においては、今後の当社グループの軸となる人材を育てるために新卒採用を行いながら、一方で即戦力となる人材を中途採用することで効率的に人員体制の拡充を図っていきます。特に、マルチ電源化の方針を踏まえた人員拡充や、事業拡大に伴う管理部門の強化・育成、今後のアジア展開を見据えた海外経験の豊富な人材の拡充と社内人材育成を引き続き行っていきます。
一定の事業性が認められた事業の開発を、着実かつ迅速に推進することは、当社グループの持続的な成長を実現する上で重要です。
当社グループは2021年3月末時点で、連結子会社である軽米尊坊ソーラー匿名組合事業及び人吉ソーラー匿名組合事業において、合計出力61.6MW(モジュールベースの設備容量)の大規模太陽光発電所の建設を推進しています。また、全国5ヶ所において、それぞれ出力約75MWの大型バイオマス発電所の建設を推進(合計出力約375MW)しています。加えて、ベトナムクアンチ省にて陸上風力発電所の建設を推進しています。
「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ②推進中事業)・(開発中の事業一覧 ③アセス中事業及び④先行投資事業)」に記載のとおり、大規模太陽光発電、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電といったマルチ電源開発に向け積極的に取り組んでいます。
当社グループは今後も地域社会や環境に配慮しつつ、当社の開発基準に見合った収益性を確保した上で、地域関係者協議、発電所設計、電力会社協議及び許認可取得等、事業化に向けて着実かつ迅速に開発を進めていきます。また、建設工程においても、工程管理やコスト管理を徹底し、運転開始までのスケジュールを順守していきます。
今後の持続的な成長のために、国内外の有力なパートナー企業と協力し、大型事業や先進的事業への取り組みを実行することが必要です。
豊富な実績に裏打ちされた当社グループへの信頼及び評判は、再生可能エネルギー業界における自治体や学術機関、有力企業とのネットワークの構築に貢献してきました。当社は、再生可能エネルギー業界における有力企業との戦略的事業パートナーシップを拡大しており、複数の開発中事業において、有力企業と共同で事業開発を推進しています。また、海外事業においては、現地の有力なパートナーとの連携により、着実な事業開発の推進を実現しています。
当社グループは、個別事業の開発における有力パートナー企業との連携を一層強化し、再生可能エネルギー事業の新たなノウハウと実績を蓄積し、更なる事業の好循環を目指して経営を行っていきます。
当社グループが再生可能エネルギー事業におけるリーディング・カンパニーとしての地位を確立し、更なる事業展開・拡大を加速していくためには、当社グループの知名度と評判を一層向上させることが重要です。
当社グループの事業領域は、大規模太陽光発電、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電、地熱発電といった再生可能エネルギー全般に広がっており、また、事業展開地域は国内にとどまらず、アジアを中心とした海外に広がっています。再生可能エネルギー電源を開発する上では、地域に根ざした質の高い開発を実施すること、誠実な経営を行うこと、そしてビジョンや経営理念を制定し、経営陣と社員にてこれらの遵守を徹底することは当社グループの知名度と評判の向上に不可欠です。
当連結会計年度においては、コーポレートスローガンを刷新し、開発中の地域メディアを含む媒体でのPR活動を強化するなど取り組みを行ってきました。今後も地球・地域・顧客・株主・社員に対して誠実な経営と事業運営を行うと同時に、積極的な広報活動、適時適切なIR活動、各種団体が主催する講演会への出演、ウェブサイトの更なる有効活用等により、グローバルに知名度と評判の向上を目指していきます。
②事業運営・オペレーション機能の強化
当社グループの所有する大規模太陽光発電所を中心とした既存発電所による予見性の高い安定的なキャッシュ・フローの創出は、当社グループが長期的かつ持続的な事業開発を行う上で重要です。
当社グループは、2021年3月末時点で、合計出力約374MWの大規模太陽光発電所(運転開始済み及び建設中の発電所を含む)、合計出力約395MWのバイオマス発電所(運転開始済み及び建設中の発電所を含む)、約144MWの陸上風力発電所(建設中の発電所)の事業化実績を有しており、これらの発電所において適切なメンテナンス及びモニタリング体制を構築することで、安定的な稼働を実現していきます。また、天候発生確率は統計的に一定の割合に収束すると見込まれることから、当社グループの大規模太陽光発電において事業期間を通した想定日射量及び総発電量は比較的予見可能性が高いものと見込まれます。当社グループの大規模太陽光発電所の所在地は、日本各地に地理的に分散しており、当社グループ全体では局地的な異常気象に左右されにくい安定的なキャッシュ・フローを創出する構造となっています。また、当社グループの所有する大規模太陽光発電は、FITに基づき全て40円/kWh又は36円/kWhでの買取価格を確保しており、FIT期間に亘り高い収益性を有しています。
当社グループでは引き続き、予見性の高い安定的なキャッシュ・フローを創出するべく、既存発電所の適切な運営に取り組んでいきます。
b.オペレーション機能の充実
当社グループでは、当社グループの事業基盤をより強固にするべく電源の多様化を進めています。全国5ヶ所において75MW級の大型バイオマス発電所の建設を行っており、ベトナムにおいても陸上風力発電所の建設に着手したことで、複数種類電源化(マルチ電源化)が進んでいます。また、バイオマス発電所は定期修繕などの場合を除いて24時間発電を行うため高い稼働率を誇りますが、一方で安定的に電力を供給する社会インフラとしての責任を果たすことがより一層求められます。当社は、発電所のオペレーションを専門的に行う部門を内製化し、オペレーション機能の強化を図っています。今後も国内外の発電所を持続的、安定的に運営するための体制を充実させていきます。
③高い資本効率と、持続的な成長のための財務基盤の実現
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー事業の開発投資を行うために、長期及び短期借入金を組み合わせた財務レバレッジを活用しています。
当社グループは、2021年3月末までに、再生可能エネルギー発電所の事業化に係るプロジェクトファイナンス関連契約を締結し、銀行を中心とする金融機関より、累計約3,800億円(連結子会社及び持分法適用会社における約定ベース)の長期のプロジェクトファイナンスを組成しています。また、2020年9月には、再生可能エネルギー発電事業に関連する支出を資金使途としてグリーンボンド(5年債及び7年債)を発行しました。なお、2021年3月期末時点において、当社グループの連結有利子負債残高の6割以上がSPCにおけるプロジェクトファイナンスにより調達されています。
今後も大型の事業への開発投資を継続的に行っていくにあたり、一定の強固な財務基盤を維持していくことが重要であると認識しています。
当社グループは、引き続き好条件での資金調達を実施するために、資本市場における情報収集及び分析に努める他、調達先の多様化、先進的な調達手法の検討や金融機関との関係性強化を行っていきます。また、グループ全体の資金管理や調達管理の充実、SPCからの資金回収の早期化を進め、受領した配当資金等により新たな事業の再投資を行うことで、資本効率の向上に一層取り組んでいきます。
当社グループでは、経営原則の一つとして株式価値の持続的な向上を掲げています。これに関連し、当社グループは、新規再生可能エネルギー事業への投資判断を行う際には、出資金額に対する内部収益率(IRR)の見込み値が一定水準を上回ることを原則としています。また、IRR水準を満たす事業候補の中で、株式価値の向上がより大きく見込まれる事業への投資を優先的に行うために、事業の正味現在価値(NPV)を重視しています。加えて、事業投資を決定した後も、事業毎にIRR水準、NPV及び予実差異を管理分析し、収益性の管理を強化していきます。
当社グループの再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは引き続き経営指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視し、その持続的な増大を目指していきます。
当社は、資金制約がある中でより多くの再生可能エネルギー発電所の事業を早期に事業化するべく、開発段階における投資資金の配分を各発電所SPCへ分散化させることを志向しています。そのため、事業成立時点で当社が所有する発電所SPCの出資持分比率は原則として持分法適用水準としており、当該SPCの出資持分の追加取得による連結化及び内部成長の実現は当社グループの持続的な成長のために重要です。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (2) ファイナンスに関する事項 ②各発電所SPCに対する出資持分」に記載のとおり、当社は共同出資者との出資者間合意の定めにより、一定期間の経過後に一定の価格にて当社が他共同出資者の出資持分を買い取る権利(コール・オプション)を有し、また、他共同出資者がその出資持分を当社に売り渡す権利(プット・オプション)を有している場合があります。なお、共同出資者とオプション契約を締結していない場合においても、共同出資者との合意が得られた場合には、当社は再生可能エネルギー発電所の出資持分を追加取得する可能性があります。
なお、出資持分追加取得の判断は当該時点における当社の経営方針、資金状況、その他状況等を総合的に勘案の上で決定します。
社会的に内部統制の重要性が増大し、また事業拡大に伴い関係会社を含めた当社グループの売上規模も拡大していく中、持続的に健全な成長を果たすためには、当社及び関係会社の内部統制及びガバナンスの一層の強化が不可欠であると考えています。当社は社外取締役が過半数を占めるモニタリング型の取締役会を実現しており、経営の監督と執行の分離による経営のモニタリングレベル向上に加え、リスク管理等の内部統制レベルの向上を継続的に図るとともに、事業推進に必要な意思決定の迅速化にも邁進しています。今後も、コーポレートガバナンス・コードの精神に則った実効的なコーポレートガバナンスの実現を目指していきます。
当社グループにおいては業績に占める関係会社の貢献割合が高いため、当社によるグループ経営管理体制を整備し、適切に運用することが重要です。
当社は、関係会社の継続的なモニタリング活動を通じて、各社の直近の運営状況を適時に把握する仕組みを講じています。また、関係会社の事業計画の策定支援及び予実分析を実施しています。さらに、関係会社と連携して、各社の業務プロセスや各種規程の定期的な見直しを行うとともに、安全衛生管理や労務管理等含め、グループ一体となった管理体制の構築にも取り組んでいます。
今後も引き続き、関係会社のモニタリングを一層強化し、より良い経営管理体制の整備及び運用を推進していきます。
当社グループにおいては、当社グループのコンプライアンス憲章に則って社内遵法体制の整備を行ってきました。事業に関連する法令、会社法、労働法への対応等、コンプライアンス管理体制の一層の強化と厳格な運用が重要な経営課題と認識しています。当社グループでは代表取締役社長CEOを委員長とするコンプライアンス委員会を設置しており、当該委員会の充実を図ることでコンプライアンス意識の浸透を徹底し、一層のコンプライアンス管理体制の強化を図っていきます。さらに、連結子会社内におけるコンプライアンス意識向上のための教育・指導にも継続して取り組んでいきます。
事業に関連する法令の制定や改正が行われた場合、新たなルールに迅速かつ適切に対応することは、当社グループの競争力の維持強化に資するものです。
当社グループでは、関連法規等の改正の状況を常時モニタリングする従業員を配置し早期の情報収集に努めるとともに、必要に応じ他の電気事業者や業界団体と協力して政策提言を実施していきます。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがありますが、これらに限定されるものではありません。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
なお、本文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
① 法令規制及び政策動向
a.エネルギー政策動向
日本政府は2018年7月に「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定し、現在の再生可能エネルギー発電の比率を2030年度までに総需要の22~24%程度(水力8.8~9.2%、太陽光7.0%、風力1.7%、バイオマス3.7~4.6%、地熱1.0~1.1%)に引き上げるという目標が掲げました。「第5次エネルギー基本計画」においては、エネルギーの安全確保、エネルギー安全保障、脱炭素化、競争力強化のために、安定的で負担が少なく、環境に適合したエネルギー需給構造の実現が目標に掲げられています。

出典:経済産業省・資源エネルギー庁「長期エネルギー需給見通し」(2015年7月)より当社作成
このような状況のなか、日本国内の発電電力量に占める再生可能エネルギー(エネルギー源として永続的に利用可能な太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等の総称)の比率は、2019年度において18.1%(水力7.8%、太陽光・風力・バイオマス・地熱は合計10.3%。出典:経済産業省・資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」(2021年4月13日公表、4月15日修正より))でした。
現在検討が進められている「第6次エネルギー基本計画」においては、再生可能エネルギーの比率を最大限引き上げることが重視されています。2020年12月の基本政策分科会において「2050年目標として50-60%を参考値」とする整理がなされ、2030年度における再生可能エネルギー比率の目標引き上げも視野に入れた、再生可能エネルギー主力電源化に向けた検討が進捗しています。また、アジアを含む世界各国においても、日本と同様に、脱炭素化及び再生可能エネルギーの導入拡大を企図した政策が掲げられています。このように、国内外において再生可能エネルギー発電市場の更なる拡大が期待されています。
このような我が国のエネルギー政策や脱炭素化に向けた国際的潮流を背景に、当社グループは、今後も再生可能エネルギーの導入を後押しする経営環境が継続するものと見込んでいます。しかしながら、我が国及び世界各国のエネルギー政策は、気候変動の進行状況や再生エネルギーを含む資源の利用状況とこれを受けて形成される多国間合意や国際的な議論の状況、政権交代を含む国内の政治動向、資源価格等の経済環境、社会情勢、発電設備の安全性、脱炭素化に向けたエネルギー技術間競争、技術の変化が増幅する地政学リスク、国家間・企業間の競争の本格化等に関する世論等様々な事象による影響を受けます。かかる政策に変化が生じた場合、当社グループの事業、業績、財政状態及び将来的な成長性に影響を及ぼす可能性があります。
b.固定価格買取制度(FIT)(*1)
当社グループの主要事業である再生可能エネルギー事業においては、FITに基づいた一般送配電事業者等(*2)のオフテイカー(*3)との契約により、長期間にわたる買取期間において固定価格で再生可能エネルギー電源からの電力供給を行っていますが、現在のFIT及び政府による再生可能エネルギー導入目標が今後も変更なく継続する保証はありません。
とりわけ、将来において経済状況に著しい変動が生じること等を理由として、政府又は管轄省庁の決定により、現在の固定価格買取制度が縮小又は終了する等、既存の電力受給契約を含めて再生エネルギー事業者に不利な制度変更がなされた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、また、当社グループの事業計画の見直しが必要となる可能性もあります。
FIT法又はFIT法に関連する各種法令の改定が行われ、当社グループが、新制度に適時かつ適切に対応できない場合、又はこれに対応するためのコストや負担が増加した場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。この他、当社ではコンプライアンスには十分に留意し、各種法制度の運用について十分に確認を行いながら事業を運営していますが、FIT法において認定取消事由に該当する法令違反や届出の不備等があった場合、当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、設備容量抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。設備容量抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(北海道電力・東北電力・北陸電力・東京電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
(*2)一般送配電事業者等:
電気事業法第2条17項における一般送配電事業者又は小売電気事業者を指します。本書では主として電力需要家又は卸売事業者に対して電力販売を行う事業者全般を意味しています。
(*3)オフテイカー:
プロジェクトファイナンスにおいて、事業会社が生み出すサービス(当社グループのSPCの場合は電力)を購入する者(引き取り手)のことを指します。
c.出力制御
当社グループが開発を進める電源のうち、国内における太陽光発電や風力発電といった発電出力が気候の影響を受ける自然変動電源においては、需給バランスの調整のため、年間のうち電力需要が小さい時期・時間帯において、火力発電の出力の抑制、揚水発電のくみ上げ運転による需要創出、地域間連携線を活用した他エリアへの送電を行い、それでもなお発電量が需要量を上回る場合には、バイオマス発電の出力の制御の後に、太陽光発電、風力発電の制御が行われます。なお、需給バランスの調整のための太陽光発電や風力発電に関する出力制御は、指定電気事業者(*4)の廃止により、2021年4月1日以降に新規に接続を申し込む事業について、全国で無制限・無補償ルールが適用されます。
バイオマス発電については「優先給電ルール」に基づき、火力発電の出力の抑制、揚水発電のくみ上げ運転による需要創出、地域間連携線を活用した他エリアへの送電を行い、それでもなお発電量が需要量を上回る場合には、出力制御の対象となります。
また、電力会社による系統工事等に伴い、上記出力制御とは別に計画停電がなされることがあります。
世界各国においても同様に、電力の需給バランスの調整や電力系統の工事等を目的として、出力制御や計画停電が行われる場合があります。
当社は、出力制御の実施予測についてシミュレーション分析を行った上で事業化の可否を判断していますが、かかる分析の結果、事業化を断念せざるをえなくなった場合又は事業化に成功した場合であっても想定を上回る出力制御が実施されることにより想定した売電収入を得られなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(*4)指定電気事業者:
接続申込量が接続可能量を超過した場合には、無制限・無補償の出力制御を前提として、再生可能エネルギー発電設備の系統への連系ができるよう経済産業大臣から指定された電気事業者を意味しています。
d.事業認定
当社グループの国内の再生可能エネルギー発電事業においては、次の表のとおり当社連結子会社及び関連会社がFITに基づいた「事業認定」を取得しています。しかし、FIT法の規定に違反するなど、認定された事業計画どおりに事業を実施していない場合、認定時の基準に適合しなくなったと経済産業大臣が認めるときは、当該認定は取り消されることがあります。当社グループとして、発電を既に開始した発電設備の「事業認定」を取り消される可能性は相当程度限定的と考えていますが、取り消された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 1 発電所が運転開始済みである出資先についてのみ記載をしています。(なお、苅田バイオマスエナジー株式会社は試運転期間中です。)
2. 太陽光発電及びバイオマス発電の買取価格の適用期間はいずれも20年間です。
② 事業の開発プロセス一般
a.土地の取得・事業用地の確保
一般的に、土地には権利及び地盤地質等に関し欠陥や瑕疵が存在している可能性があります。当社グループが再生可能エネルギー発電所に係る土地を購入又は賃借するに当たっては、原則として全所有者又は賃貸人から対象となる土地について欠陥や瑕疵が存在しないことにつき一定の表明及び保証を得ています。しかしながら、表明及び保証の対象となった事項が完全かつ正確でなかった、又は地権者等が知り得なかった事情により、後になって欠陥や瑕疵が判明する可能性があります。例として、土砂の流出、治水の変化又は土壌汚染等が発生し、近隣住民からの損害賠償、操業停止又はレピュテーションのリスクが発生する可能性があり、かかるリスクは所有者又は賃貸人による表明保証により補完できるとは限りません。さらに、土地をめぐる権利義務関係の複雑さゆえに、当社グループが取得した権利が第三者の権利や行政法規等との関係で制限を受け、開発期間や規模が変動する可能性があり、これにより当社グループの事業の採算性が悪化する等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらのリスクが発電所の運転開始後に生じた場合には、行政当局又は地域住民等から事業停止の要請等を受け、稼働発電所の一部撤去や操業停止を受け入れざるを得なくなる可能性があり、当該事業の継続にも影響を及ぼす可能性があります。
当社は海外における事業開発等のために海外子会社等により土地の取得・事業用地の確保を行う場合があります。当社が陸上風力発電事業を手掛けているベトナム社会主義共和国(以下、「ベトナム」という。)では、土地の使用権はあるものの、所有権はありません。土地の取得、利用に関して各国で法令が異なるため、当社ではコンプライアンスに十分に留意し、各種法制度の運用について十分に確認を行いながら事業を運営していますが、土地の取得、利用に関して法令違反や届出の不備等があった場合、当社グループの事業、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
b.許認可の取得及び発電所サイトにおける地域関係者等との合意
国内外の再生可能エネルギー発電所の開発に際しては、管轄省庁及び地方自治体が管轄する農地転用、林地開発、道路の占用等の複数の許認可取得が必要な場合があります。また、再生可能エネルギー事業は、発電所の立地する地域の自然環境資源を活用して行うものであり、許認可取得には地権者のみならず周辺地域住民の合意が必要となります。
当社グループにおいては、事前調査を通じて各種許認可取得に必要な措置を講じており、また地域社会及び地域環境に対する最大限の配慮の上で、法令や条例で定められた許認可や環境アセスメントの実施のみならず、事業実施地域における住民向けの各種説明会等を通じて地域社会からの理解を得ながら事業化を進める方針としています。したがって、再生可能エネルギー発電所の開発に係る許認可の取得が不可能又は時間を要する場合、埋蔵文化財の発見等により追加調査や移築に時間が必要な場合、並びに地方自治体、地元住民及び環境団体等の関係者との合意形成が遅延或いは成されなかった場合等においては、当社グループが想定するスケジュールや規模にて事業化が行えない可能性があり、かかる場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
c.環境アセスメント
1997年6月に制定された環境影響評価法(通称:環境アセスメント法)は、道路、ダム、鉄道、空港、発電所等13種類の事業において環境アセスメントの手続きを行うことを定めています。環境アセスメントにおいては、「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」(大気環境、水環境及び土壌環境・その他の環境)、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」(植物、動物及び生態系)、「人と自然との豊かな触れ合い」(景観及び触れ合い活動の場)、「環境への負荷」(廃棄物等及び温室効果ガス等)の中から対象事業の性質に応じて適切な環境要素が選定され、事業者自らが調査・予測・評価を行っていきます。当社グループの主要事業である再生可能エネルギー事業においては、一定規模以上の風力、地熱及びバイオマス発電所の建設に当たって、環境アセスメントの実施が義務付けられています。また、都道府県又は自治体によっては、当該都道府県又は自治体の条例に基づき、再生可能エネルギー発電所の建設に際して、環境アセスメントの実施が要請されることがあります。
当社は海外における事業開発においても、海外子会社等により環境アセスメントを実施しています。環境アセスメントの実施の際には、その国で定められた基準に沿った形で実施しています。また、国際的金融機関から資金を調達する場合、別途国際基準に則ったアセスメントが要求される場合があります。
当社グループにおいては、各発電所の事業化に当たって、当該地域における過去の環境アセスメント実施履歴の調査や自主調査等により環境アセスメントにおける必要対処項目の事前確認を行っています。しかしながら、事前調査では想定されていない必要対処項目が発生した場合や、環境アセスメントにかかる法令又は条例の改定が行われた場合には、事業化時期、各発電所の開発規模又は開発可否等に影響を及ぼし、又は環境アセスメントに要する費用が増加する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
d.電力系統への接続及び電力供給
国内外の発電事業において発電所から電力供給を行うに際しては、電力系統への接続が必要となります。電力系統へ接続するためには、接続に必要な工事費等の費用負担が求められる場合があります。また通常、接続予定の電力系統に空容量がある場合は、接続地点までの送電設備を建設する費用が発生し、電力系統に空容量がない場合は、送電設備の建設費用のほかに、電力系統の増強費用が追加で発生する場合があります。この増強費用は、当社グループ単独での負担、もしくは周辺地域で同じく事業を計画し、電力系統への接続を希望する他事業者との分担となる場合があります。
当社グループにおいては、事前に系統の空容量及び接続にかかる費用を確認し、計画的に電力系統への接続を確保する取り組みを行っていますが、他事業者が先行して接続契約を結んだ場合には、当社グループは電力系統の容量が確保できない可能性があります。また、他事業者が事業継続を断念した結果、当社グループが当初想定していた以上に接続費用が増加する可能性や、電力系統に接続をする上で入札が行われる場合(国内における募集プロセス等)においては、接続までに当社の想定以上に時間を要する可能性があります。なお、操業後に電力供給先の送電網が深刻なトラブルに見舞われる場合があり、かかる場合には当該送電網に接続して電力供給を行うことが不可能又は困難となる場合があります。
また、送電線敷設用地を使用する際に、有効期間のある道路使用許可等の許認可が必要となる場合もあります。事業計画時に想定していなかった何らかの事情により、発電事業を継続している間に当該許認可が失効し、既存の送電線敷設用地が使用できなくなった場合には、電力供給が不可能又は困難となる可能性があります。
このような状況により当社グループが発電した電力を完全に売電できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
e.競合他社
当社グループが特定の事業候補地で事業開発を進めるにあたり、競合他社が当該候補地を確保することや公募事業で競合他社が採択される等により、当社グループの予定している開発が中止した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
f.設備調達・外注
当社グループは、成長市場である再生可能エネルギー市場において、大型・先進的な発電所の開発に取り組んでいます。一般的に成長市場においては、先進的又は特殊な設備・業務等について、業界全体で一時的に需要が供給を上回る場合があります。業界全体での設備、資材又はサービスの供給能力が不足し、当社グループの発電所の開発又は建設等が遅延する場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の設備調達先候補・外注先候補の事業者の与信評価が想定外に悪化し、かつ信用リスクの補完が短期的になされない場合、事業者選定プロセスの長期化により、当社グループの発電所の開発又は建設等が遅延し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
g.その他
上記a~fに記載しています、土地取得、事業用地の確保、許認可、系統連系等に係るリスク、またこれらの複数のリスクが同時に顕在化する場合、また、その他計画外・想定外の事象の発生により、当社グループの予定している開発が中止した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 各種電源のリスク
a.太陽光発電
1.運転開始済みの太陽光発電所
当社グループにおいては、2021年3月31日現在、連結子会社11社による大規模太陽光発電所の運転を開始しています(合計設備容量約313MW、モジュールベース)。
太陽光発電における発電量は「日射量」に比例するところ、かかる日射量は当社グループによるコントロールが及ぶ事象ではありません。国内においては、日射量の多い春季から秋季にかけての全国的な長期間の悪天候、新しい建物の建築や樹木の成長等による周辺環境の変化、また、降灰・粉じん・黄砂・ガス等による直達光・散乱光の減少さらに冬季にかけての降雪等により、当社グループの大規模太陽光発電所が設置された地域における日射量が低下し、これにより当社グループの大規模太陽光発電における年間総発電量が想定より減少した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、上記のような事象が発生した場合にこれに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2.建設中の太陽光発電所
当社グループにおいては「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ① 建設中事業)」に記載のとおり、2021年3月31日現在において大規模太陽光発電所2ヶ所を建設工事中です。当社グループは、大規模太陽光発電所の建設に関して、EPC事業者(*5)との間で資材調達及び工事の諸条件を定めた契約を締結しています。当該契約は、原則として綿密な設計計画を作成した上で合意・締結された固定金額の工事請負契約(ランプサム契約)です。しかしながら、EPC事業者との契約範囲外の事由により、設計当初に想定しなかった追加工事が発生した場合や、天災、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)等の不可抗力事由の発生により事業計画に遅延が生じた場合、または発注先のEPC事業者の信用悪化事由の発生等により工事期間に影響が生じる場合には、工事請負契約の金額が増加したり、FIT売電期間が短縮化する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(*5)EPC事業者:
発電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者を指しています。
3.認定取得済みの太陽光発電所
発電所の着工に至るためには、地権者との交渉及び調整並びに関係省庁・自治体からの許認可の取得及び関係省庁・自治体への届出等が必要です。当社グループでは、当社グループが手掛ける太陽光発電所の発電規模は大きいため、開発には一定の期間が必要となります。当社グループにおいて一定期間を過ぎても合理的な理由なく開発を進捗できず、管轄省庁の聴取に対して合理的な説明を行うことができない場合には、管轄省庁の判断にて既取得の事業認定が取り消される可能性があります。
b.バイオマス発電
1.運転開始済みのバイオマス発電所
当社グループにおいては、2021年3月31日現在、連結子会社1社によるバイオマス発電所の運転を行っています(設備容量20.5MW、発電端出力ベース)。
バイオマス発電における発電量は稼働時間に比例するところ、毎年行われるプラントの定期点検においては数週間の稼働停止期間が見込まれます。定期点検において、事前に想定されていなかった修繕項目が発見された場合は、稼働停止期間の長期化に伴い発電量が低下し、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の参画するバイオマス発電所の一部では、運転及びメンテナンスについて一部外注しています。主設備であるボイラー等の運転に関し、故意または過失等により運転停止が発生した場合、又は技術者の確保や技術の習得が適切に行えなかったこと等の不測の事態によりプラントの運転に支障が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、上記のような事象が発生した場合にこれに対応するための補修や追加設備の導入等に係る予定外の費用を負担せざるを得なくなる場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2.建設中のバイオマス発電所
当社グループにおいては「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ① 建設中事業)」に記載のとおり、2021年3月31日現在において大型バイオマス発電所5ヶ所を建設工事中です。当社グループは、バイオマス発電所の建設に関して、EPC事業者との間で資材調達及び工事の諸条件を定めた契約を締結しています。当該契約は、原則として綿密な設計計画を作成した上で合意・締結された固定金額の工事請負契約(ランプサム契約)です。しかしながら、EPC事業者との契約範囲外の事由により、設計当初に想定しなかった追加工事が発生した場合や、天災、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)等の不可抗力事由の発生により事業計画に遅延が生じた場合、発注先のEPC事業者の信用悪化事由の発生等により工事期間に影響が生じる場合には、工事請負契約の金額が増加したり、FIT売電期間が短縮化する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.バイオマス発電事業の開発
当社グループにおいては、「第1企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ②推進中事業)及び(開発中の事業一覧 ③アセス中事業及び④先行投資事業)」に記載のとおり、バイオマス発電の事業化に向けた検討を行っています。事業化の各段階における開発にかかる支出を資産計上しているため、何らかの事由により開発が中止となった場合には、当社グループは損失を計上することになり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4.燃料の調達と市況動向
当社グループには、秋田県秋田市において、東北地域で最大級となる出力20.5MWの木質バイオマス発電所を運営する連結子会社、ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(以下「URE」という)があります。当該バイオマス発電所では、事業計画上、燃料として国内未利用木材(FIT適用単価32円/kWh適用)を重量ベースで約7割、輸入PKS(パーム椰子殻)材(同24円/kWh適用)を同約3割使用しています。また、現在建設工事中の大型バイオマス発電所では、輸入材(木質ペレットやPKS)及び国内未利用材の使用を予定しています。
国内未利用材の調達については、UREにおいては、秋田県内における複数の主要な木材生産業者との間で、長期間に亘り単価固定かつ安定的に調達できるものとする長期供給契約を締結しています。しかしながら、木材生産業者が国内未利用材の十分な生産及び供給を行えない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2021年6月に運転開始する苅田バイオマスエナジー株式会社(以下「苅田バイオマス」という。)においては、住友林業グループとの間で長期間に亘り、数量固定、価格は上限価格を定めた契約を締結しています。
輸入PKS材については、UREにおいては、補助燃料としてPKSを利用しておりスポットでの購入を行っています。また、2021年6月に運転開始する苅田バイオマスにおいても、補助燃料としてPKSを利用しており、供給会社との間で複数年に亘る数量保証及び固定価格による供給契約を締結しています。しかしながら、供給会社の倒産等の不測の事態により発電所の当初運営計画に比べて十分な燃料材の調達が行えない場合、PKS価格、輸送運賃又は為替相場が変動した場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、木質ペレットの調達地である北米及び東南アジア、PKS材の調達地である東南アジアにおいて、政情不安等が生じた場合や、将来当該地域、国における政府または日本国政府が木質ペレット、PKS材の輸出入や使用に関する規制を強化した場合や、不可抗力事由(新型コロナウイルス感染症を含む)の発生等により、FIT売電が認められるバイオマス燃料の供給または輸送が困難となる場合には、当社グループの輸入材調達計画に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、燃料価格の増加等により、SPCの運営に影響が生じた場合、当社から子会社または関連会社への追加の資金拠出を行う可能性があり、その場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5.燃料の長期契約に付帯するリスク
2018年6月にプロジェクトファイナンスを組成した苅田バイオマス、2019年2月にプロジェクトファイナンスを組成した徳島津田バイオマス発電所合同会社(以下、「徳島津田バイオマス」という。)、2019年11月にプロジェクトファイナンスを組成した合同会社御前崎港バイオマスエナジー(以下、「御前崎港バイオマス」という。)、2020年3月にプロジェクトファイナンスを組成した合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー(以下、「石巻ひばり野バイオマス」という。)、2020年10月にプロジェクトファイナンスを組成した合同会社杜の都バイオマスエナジー(以下、「仙台蒲生バイオマス」という。)においては、木質ペレットを中心とした輸入材燃料を主体とするため、長期に亘る安定的な事業運営を目的として、燃料供給会社との間で長期の固定価格、固定数量の燃料購入契約を締結しています。なお、徳島津田バイオマス、御前崎港バイオマス、石巻ひばり野バイオマス、及び仙台蒲生バイオマスの一部の燃料については、長期の変動価格、固定数量の燃料購入契約を締結しています。
苅田バイオマス、徳島津田バイオマス、御前崎港バイオマス、石巻ひばり野バイオマス、仙台蒲生バイオマスにおける輸入材(木質ペレットやPKS等)の調達については、供給会社との間で長期の固定価格、固定数量の供給契約に基づき安定的な調達を行う部分と、市況や燃料需要の変化に応じ、スポット契約で柔軟な調達を行う部分があります。これらの契約について、2021年以降を予定している各発電所の運転開始後に、以下のリスクが顕在化する可能性があります。スポット契約においては、燃料価格、輸送運賃又は為替相場が変動した場合等には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。いずれの契約においても、輸送運賃が変動した場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、長期変動価格契約においては、燃料価格が変動した場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。一部の長期固定価格契約においては、燃料調達に伴って燃料供給会社側に発生する損失累計額が一定金額に達するまでは燃料供給会社が燃料供給義務を負っています。しかしながら、長期継続的な供給不調等によって損失累計額が当該一定額を超えることとなった場合は、燃料スポット契約と同様の場合に当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、長期契約で調達していた部分の契約期間が満了した後は、スポット契約と同様の場合に当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、徳島津田バイオマス、御前崎港バイオマス、石巻ひばり野バイオマス、仙台蒲生バイオマスの長期燃料購入契約は米国ドル建であり、2023年を予定している発電所の運転開始後に為替相場が変動した場合に当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのSPCでは、この将来の為替変動リスクをヘッジするために、これら長期燃料購入契約等に対して2021年3月末時点において4,515百万米国ドルの為替予約を締結しています。当該為替予約にヘッジ会計を適用した結果、2021年3月末時点のその他の資本の構成要素における計上金額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 32.金融商品(2)財務上のリスク③市場リスク(ⅰ)為替変動リスク」に記載のとおりです。今後も、為替変動に伴うキャッシュ・フロー・ヘッジの増減により、連結財政状態計算書の親会社の所有者に帰属する持分が増減する可能性があります。なお、発電所の運転開始前であっても、燃料購入金額やスケジュールの大幅な計画変更等、ヘッジ会計の有効性が認められないと判断されるような事象が将来的に発生した場合、為替予約による為替変動により金融費用及び持分法投資損益を通じて当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は苅田バイオマスの主たる出資者として、一部の共同出資者と共に燃料供給会社に対して、苅田バイオマスへの燃料供給に付随して将来的に燃料供給会社において追加的に発生し得る費用の一定部分に対する個別保証を差し入れています。発電所の建設中止、運転開始スケジュールの大幅な遅延又は運転開始後における発電所の長期停止等が発生し、燃料購入の量や時期が当初計画から大幅に乖離する場合には、燃料供給会社において付随費用が発生して、その結果当社において当該保証義務の履行が必要となる可能性があります。なお、当該保証義務に係る負担金額は金融市場環境等に応じて変動します。これらの結果として当該保証義務の履行が必要となった場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
c.風力発電
1.陸上風力発電事業の開発
当社グループは、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ③アセス中事業及び④先行投資事業)」に記載のとおり、陸上風力発電の事業化に向けた検討を行っています。
風力発電の事業化に際しては各種許認可の取得に加え、風況観測及び環境アセスメント(事業の規模や地域条例による)が必要となるため、開発段階において建設工事着工前から一定程度の先行的な投資が発生していきます。当社グループでは、当該開発投資に対する補助金の活用や、事業パートナーとの共同事業化により、開発リスクの分散・低減を図っています。事業化の各段階における開発投資について、陸上風力発電事業については、事業用地の確保以降に発生した支出については資産計上を行っています。しかしながら、風況観測若しくは環境アセスメントの結果等を受けて事業化を断念した場合には、開発に関連し資産計上されていた支出が損失として計上されるため、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2.洋上風力発電案件の開発
日本を含むアジア地域において、洋上風力発電所の開発はまだ開始して間もなく、そのため発電設備等の組み立てや仮置きを行う港湾設備や、風車の敷設船舶等の設備開発・整備又はメンテナンス体制などのインフラ構築は発展途上にあります。また、事業周辺地域における関係者との合意形成についても前例が少なく、時間をかけた十分な説明により地域関係者に理解を頂く必要があります。
国内の一般海域における洋上風力事業の開発は、2018年11月に成立し、2019年4月に施行された、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(以下、「再エネ海域利用法」といいます。)に則って行われます。再エネ海域利用法の下、政府による促進区域の指定、公募による事業者の選定という2つの重要プロセスを経て対象事業の選定が行われます。海域毎の具体的な手続、スケジュールについては、経済産業省及び国土交通省の合同会議において検討が行われています。
当社グループは、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ③アセス中事業及び④先行投資事業)」に記載のとおり、風況観測機器を設置し、洋上風力発電所の事業化に向けた検討を行っています。
当社が開発を手掛けている由利本荘市沖洋上風力発電事業では、5年に亘り、「地域との共存共栄」を目指し、開発を行ってきました。設計・エンジニアリングが順調に進捗し、建設に向けた最終段階にあります。2020年7月に由利本荘市沖が、再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定され、現在、公募による事業者の選定プロセスにあります。
当社の洋上風力発電事業の開発が成功するためには、当社が開発を進める海域・エリアが促進区域に指定される必要があります。当社においては、当社が開発を行う海域・エリアが、再エネ海域利用法に従って、促進区域の候補地として「既に一定の準備段階に進んでいる区域」に指定された場合、以降に発生した支出については資産計上を行っています。
洋上風力発電事業の開発は数年にわたる開発期間を要するため、当該開発費用の回収は長期に亘ります。当社は、開発を行う海域・エリアの有望性や事業リスクを十分に見極めながら段階的に開発投資を行っていますが、当社が開発を行う海域・エリアが促進区域に指定されなかった場合や、促進区域指定のスケジュールが大幅に遅延した場合は、開発に関連し資産計上されていた支出の一部が損失として計上され、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、促進区域に指定された場合においても、公募占用指針において指定される設備容量が当社の想定以上に小さくなる場合や、公募の過程において提示される供給価格(入札によって決定される電力供給価格=当該事業の売電単価)の上限価格が想定以上に下落したり、当社が事業者に選定されない場合には、事業の収益性低下や事業開発の中止により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、公募を通じて当社が事業者に選定された場合においても、洋上風力発電に必要な、電力系統や港湾設備等の社会インフラの整備が進まない場合や、海底地盤の状況等を含む立地条件が不適当と判明した場合、事業周辺地域における関係者との関係が悪化した場合等には、当該事業のスケジュール遅延や開発中止により、当社グループの事業、業績及び財政状態並びに当社グループの中長期な成長戦略に影響を及ぼす可能性があります。
d.地熱発電
地熱発電は、地下で熱せられた地熱貯留層から蒸気・熱水を取り出し、蒸気によりタービン発電機を回します。そのため、発電量は、蒸気量に依存します。地熱発電所の事業化に際しては、各種許認可の取得に加え、地中の資源量を把握するために地表調査、掘削調査、噴気試験といった各種調査を行っています。調査結果を踏まえ、温泉資源を利用する利害関係者と共存できる持続可能な発電規模の見極めを図ることで、周辺地域関係者からの事業への同意取得を目指しています。一方、工事着工前の開発段階から一定程度の先行的な費用が発生します。また、地中における資源分布は、地表から完全に把握することが難しく、掘削によって熱源から得られる蒸気量が十分でない可能性又は熱源を掘り外す可能性もあります。
当社グループは、地熱発電所について、「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3) 再生可能エネルギー開発・運営事業、(開発中の事業一覧 ③アセス中事業及び④先行投資事業)」に記載のとおり、事業化に向けた検討を行っており、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)から助成金を取得の上、地表調査及び掘削調査を実施してきました。
なお、今後エネルギー政策や助成金制度等が変更になった場合には、当社グループの地熱発電の開発活動に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、綿密な調査結果分析及び当該開発費用に対する補助金の活用や、事業パートナーとの共同事業化により、開発リスクの分散・低減を図っています。事業化の各段階における開発投資については、生産井の掘削完了・還元井の掘削完了・噴気確認が完了して以降に発生する支出については資産計上を行っています。しかし、当社グループが地熱発電所の事業化を断念した場合等には、開発に関連し資産計上されていた支出が損失として計上されるため、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、運転開始後において発電に使用する熱源からの蒸気量が経年で減少する場合があるため、事業計画の策定においては、蒸気量の減少に備え、事業期間中に新たな生産井の掘削を行うことを織り込んでいます。当該掘削にも関わらず、事業期間中に一定の蒸気量を確保できない場合においては、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 開発プロセスの進捗に伴う事業開発報酬
当社グループにおける再生可能エネルギー発電所の事業開発においては、発電所が運転を開始するまでに、地権者との協定書締結、各種許認可取得、エンジニアリング、ファイナンスの組成、建設管理といった各段階における取り組みがあります。当社は、社外の出資者と共同事業として再生可能エネルギー発電所を所有するSPCに対して、再生可能エネルギー発電所設立に係る重要な許認可の取得、エンジニアリング、土地確保及びファイナンス関連契約の締結に係る開発支援等の業務を提供しており、開発支援に係る役務の提供完了をもって、SPC(*6)または事業パートナーから事業開発報酬を受領する場合があります。事業開発報酬の水準はSPCの行う事業の規模に概ね比例しており、1件当たり数億円から数十億円規模となる場合があります。事業開発報酬の計上金額は、各事業年度における新規発電所に係る開発支援業務完了の有無又はその規模・件数により変動し、そのため「再生可能エネルギー開発・運営事業」は開発報酬の計上の時期により売上収益及び利益は増減する傾向にあります。
当社は開発段階におけるSPCに対する持分を持分法適用水準としているため、当該事業開発報酬は当社の未実現利益を控除した金額を、当社の連結売上収益に計上します。事業開発報酬を計上したものの、事業開発報酬を受領する前に何らかの事由により開発が中止された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが推進する再生可能エネルギー発電所の開発スケジュールの遅延が生じた場合には、事業開発報酬の計上時期も遅延することとなり、当該連結会計年度における当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(*6)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、またプロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
⑤ プロジェクトの開発進捗と業績の関連
事業開発報酬の金額によって、当社グループの売上収益と利益は変動します。当社は本書提出日現在において大規模太陽光発電、バイオマス発電、洋上・陸上風力発電及び地熱発電を含む再生可能エネルギー発電所の開発を進めていますが、今後の調査検討等に伴いこれらの事業が遅延又は中止となる場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
今後の当社グループの利益水準は開発支援業務を提供するプロジェクトの規模やそれに係る事業開発報酬の計上時期に大きく影響を受けることとなります。今後の当社グループの業績や成長性の判断においては過年度の業績及び短期的な業績見通しのみならず、開発中のプロジェクトの進捗状況、運転中のプロジェクトの発電状況や保有資産の償却にかかる見積り等の経営情報を総合的に検討する必要があります。
⑥ 業績の季節変動
一般的に太陽光や風力といった自然由来の再生可能エネルギーを活用する電源は、日々の天候変化に加えて、年変動や季節変化といった長期的なサイクルの変動による発電量の変動があります。日本国内においては、太陽光発電では日射量の多い春季から秋季、風力発電では季節風により風の強い冬季に発電量が多い傾向があります。当社グループは現在のところ他の電源に比較し大規模太陽光発電の事業化が先行しているため、当社グループの業績にも季節による偏りが生じる可能性があります。
⑦ 開発出資プロセス及び管理
再生可能エネルギー開発出資から発生する損失の予防・抑制を目的として、当社グループは開発出資事業の審議における厳格なスクリーニング、撤退判断及び事業投資後の管理について各々基準を設け、管理を行っています。新規事業投資のスクリーニングでは、FIT期間におけるキャッシュ・フロー計画を含めた事業計画を精査し事業性を厳格に評価するとともに、内部収益率(IRR)のハードルを設定し、リスクに見合った収益が得られる事業を選別できる仕組みを整えています。
既に実行済みの開発出資事業については、各事業における課題を早期に発見し、適切な措置を講じることで損失を極小化するために、予実管理の徹底及び定期的な事業性評価を行うモニタリング体制を構築しています。
このように、新規事業投資実行時のスクリーニングの仕組み及び事業投資後の管理に係る手続きを整備していますが、期待どおりの収益を獲得できない場合や、プロジェクト関係者との調整が遅滞する場合、事業投資や事業提携が計画どおりに実現できない場合等は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 有利子負債への依存
当社グループは、運転資金や設備投資資金について金融機関から借入れを行っています。2021年3月期末時点の連結有利子負債残高及び純有利子負債は162,986百万円及び122,630百万円であり、純有利子負債及び純資産の合計額における純有利子負債依存度(純有利子負債/総資本比率)は約83.1%です。新規及び借り換え時の資金調達において金融機関との折衝が滞り資金の調達に支障が生じた場合には、当社グループの事業、業績、財政状態や事業計画に影響を及ぼす可能性があります。連結有利子負債及び純有利子負債の定義は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 32.金融商品(1)資本管理」を参照ください。
また、当社グループにおける有利子負債の多くには財務制限条項が付されており、これら財務制限条項に抵触した場合には当社グループの事業、業績、財政状態や事業計画に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおける有利子負債の多くは固定金利にて調達されているため、借入期間中における市場金利の変動による金利負担の増加は限定的です。変動金利借入金の金利変動リスクに対しては、金利スワップを締結しています。2021年3月末において、当社グループの連結財政状態計算書に計上されている変動金利借入金残高、そのうち金利スワップの対象外となる残高及び金利の感応度に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 32.金融商品(2)財務上のリスク③市場リスク(ⅱ)金利変動リスク(a)金利変動リスクの内容及び管理方針」を参照ください。また、市場金利が上昇した場合、今後建設及び開発を行う新規発電所における負債の調達コストが増大するため、将来における当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 各発電所SPCに対する出資持分
当社は、資金的な制約の中で、今後開発が見込まれている再生可能エネルギー発電所の事業に対して、機会を逃さず、また早期に事業化するために、開発段階においては投資資金の配分を分散化させることを志向しています。そのため、現状、事業成立初期時点における当社の事業SPCへの出資持分比率については、財務戦略上の観点から持分法適用水準としています。併せて、各太陽光発電所及びバイオマス発電所を開発運営するSPCへの出資持分比率については、共同出資者との出資者間合意の定めにより、一定期間の経過後に一定の価格にて当社が他共同出資者の出資持分を買い取る権利(コール・オプション)を有し、また、他共同出資者がその出資持分を当社に売り渡す権利(プット・オプション)を有している場合があります。
当社グループは、多数の開発事業に投資するために事業ごとの初期の出資時には投資額を抑制しつつ、当該コール・オプションの行使により将来的に各発電事業への出資持分比率を引き上げる方針です。しかしながら、当社グループにおける資金制約等により、共同出資者からの出資持分の買い増しが遅れる場合には、再生可能エネルギー事業における収益への貢献も限定的となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業計画上予定された時期以外の時期に、他の共同出資者がプット・オプションを行使し、当社グループが出資持分を買い取る義務が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、共同出資者とオプション契約を締結していない場合においても、共同出資者との合意が得られた場合には、当社は再生可能エネルギー発電所の持分を追加取得する可能性があり、かかる場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、出資持分を追加取得する等により、対象となるSPCを連結化した場合、追加取得価額の水準に応じて企業結合に伴う再測定による利益及びのれんが計上される場合があります。
③ 関係会社におけるスポンサーサポート
当社グループにおいて発電事業を運営するSPCである連結子会社及び関連会社各社は、発電所建設に際して、融資団からの資金調達(借入金)を行います。SPCの業績悪化等、一定の条件が発生した場合には融資関連契約に従い、当社を含むSPCへの出資者はSPCに対するスポンサーサポート義務を負う場合があります。国内において太陽光発電所に関してはプロジェクトファイナンスの組成実績が豊富であるため、一般的に融資関連契約に規定されるスポンサーサポートは他の再生可能エネルギー電源に比べると限定的となる傾向にあります。一方で、継続的な燃料材の供給と運営が必要なバイオマス発電や風車のメンテナンスが必要となる風力発電の場合には、融資団はSPCへの出資者からより多くのスポンサーサポートを求める傾向にあります。
当社グループの太陽光発電所を運営するSPC各社において、不測の事態により発電を行うことができない場合や、想定以上の悪天候が複数年連続した場合等、これらの要因により工事費の計画超過又は財務制限条項の指標の悪化等融資関連契約に定められた事象に該当したときは、当社は当社の連結子会社又は関連会社である発電事業者の出資者として、一定の限度額内において劣後貸付又は株式での追加出資の義務を負う場合があります。また、当社が出資する太陽光発電以外のSPCにおいては、不測の事態により収益性が計画を大きく下回った場合等においては、当社による追加出資が必要となる場合があります。これらの場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① カントリーリスク
当社グループは、各国・地域の再生可能エネルギー導入政策、法規制又はマクロ経済環境の状況を見極めた上で海外地域からの資材調達や現地での事業化に取り組む方針を採用しています。しかし、これらの国・地域での事業展開においては、政治、経済、社会情勢、文化、宗教、慣習、テロ等の様々な要因に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等による国家収用・送金停止・関税その他の課税のほか、カントリーリスクが存在します。このようなリスクが顕在化した場合には、事業遂行の遅延・不能等が生じる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替リスク及び兌換リスク
「(1) 再生可能エネルギー事業のリスク ③ 各種電源のリスク b.バイオマス発電」に記載したバイオマス燃料の他、再生可能エネルギー発電所の発電設備には海外から輸入する設備・資材も含まれています。そのため、為替相場の変動によりこれら設備・資材の購入費用等に変動が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
また、当社は海外における事業開発等のために海外子会社等の設立を行う場合があり、海外事業の収益及び費用は外貨建てとなります。当社はベトナムにおける陸上風力発電事業に出資・参画しています。ベトナムにおけるFIT制度に基づく売電収入はベトナム・ドン建てですが、FIT制度における売電単価は米ドルとベトナム・ドンの為替相場に応じて改定されます。今後、為替相場の変動が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
また、海外事業においては、売電収益等が国際通貨等以外によって支払われる場合があります。そのため、外国為替市場における流動性の低下等が生じた場合には、売電収入を適時に円やドル等の国際通貨に兌換を行うことが困難となる可能性があります。かかる事象が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
③ 海外のFIT制度及び再生可能エネルギー導入促進制度
当社は、日本国内の再生可能エネルギー発電事業の開発において培った強みを活かして、アジアにおける再生可能エネルギー発電事業の開発を進めています。海外のFIT制度及び再生可能エネルギー導入促進制度は各国毎に設計されており、日本国内のFIT制度と仕組みが異なります。当社はベトナムにおける陸上風力発電事業に出資・参画しています。ベトナムにおけるFIT制度においては運転開始期限を超過して稼働できていない設備については、現行のFIT適用の対象外となります。そのため、運転開始の遅延・不能が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
④ 売電リスク
一般的に、電力事業は公共性の高いインフラ事業であるため、電力供給設備の構築及び運営に関わる事業リスクは、その国の経済水準や信用力と関連があります。海外における発電事業においては、国内事業に比べて信用力の低い電気事業者へ売電を行う可能性があります。売電先である電力事業者が業績悪化等により信用不安に陥った場合には、売電に係る資金回収等が困難となる可能性があります。その場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
⑤ 物価上昇リスク
多くのFIT制度又は再生可能エネルギー促進制度導入制度の下での売電単価は、長期にわたり固定されています。そのため、当社グループが事業を手掛ける諸外国において急激な物価上昇が生じ、当該物価上昇に応じて売電単価の改定がなされない場合には、当該国における発電事業の維持・運営管理費用等が増加し、利益を圧迫する可能性があります。かかる事象が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
① 自然災害・火災・事故
当社グループの本社機能及び事業開発機能の多くは東京にあります。そのため、東京又は首都圏において、大規模な災害や感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)、テロリズム、戦争等が発生し、社会機能に障害をきたした場合は、当社の業績、財務及び中長期的な成長に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは国内外の幅広い地域に複数の運転中又は建設中の発電所を有しています。大規模な台風、地震、火山の噴火、津波、洪水、地滑り、豪雨、大雪等の自然災害又は異常気象のほか、感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)による社会機能の障害、戦争、テロリズム、武装紛争等の人的災害、送電障害等の主要な社会的インフラ障害等が発生した場合には、長期間にわたる操業の停止や、発電所等の設備の大規模な修繕が必要となる等、当社グループの事業運営が継続できない又は重大な支障を生じる可能性があります。また、資材や燃料のサプライチェーンにおける重大な事故や故障、発電設備及び送電インフラの重大な事故や故障、重大な労働災害等が発生した場合にも、発電所の建設又は操業に支障が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② コンプライアンス及び各種法令の施行・改正等
当社グループの事業領域は、各事業の法的規制において記載した法令以外にも、大気汚染、排水等に伴う水質汚染、騒音、廃棄物等をはじめとする環境関連法令の適用を受けています。さらに、開発プロセスやサプライチェーン上での法令違反も当社グループの事業におけるリスクとなります。当社グループはコンプライアンス憲章に基づき、コンプライアンス体制を構築し、法令遵守の徹底に取り組んでいます。しかしながら、法令違反等が発生した場合、また新たな法規制が追加された場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報や機密情報の管理
当社グループの事業においては、個人情報や取引先の機密情報を取り扱っており、それらの情報の管理や、セキュリティ管理は重要な事項です。このため、当社グループでは、情報を保管している部屋への入退室管理、情報・ネットワーク機器のセキュリティ対策、従業員を対象とした教育等情報管理の強化・徹底を図っています。また、外部の委託先についても、守秘義務契約を締結し、機密情報の漏洩を防ぐべく、情報の管理を行っています。このような取り組みにもかかわらず、当社グループの取扱う個人情報や取引先の機密情報につき、情報漏洩、紛失、破壊等の事態が発生した場合には、顧客等からの損害賠償請求や信用失墜等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループのみならず、当社が開発中のプロジェクトに関連する関係者による重要な情報の漏洩等が発生した場合、当社の事業開発が遅延又は頓挫するリスクがあり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権
当社グループにおいて他者の知的財産権その他の権利を侵害する結果となった場合には、損害賠償請求や信用失墜等につながり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 人材の採用・育成・維持
当社グループは、新しい事業分野に進出し、事業規模を拡大していくために、高度な専門性、独自性、創造性を持つ多様な人材を採用・育成・維持することが極めて重要であると考えています。そのために、戦略的な人材採用活動の実施、人材開発プログラムの実施、育児支援制度をはじめとする福利厚生の充実等により、優秀な人材を発見して採用・育成し、従業員にとって働きやすい労働環境と就業環境を確保することに努めています。このような取り組みにも関わらず、労働市場における人材流動性の高まり又は当社グループの魅力度低下等の理由により、新卒及び中途での人材の採用が困難になった場合や多くの人材流出が生じた等の場合には、将来、当社グループが求める前述の人材を十分に確保できない可能性があります。このような場合には、当社グループの将来的な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 保有資産及びSPC出資持分の減損
当社グループは、再生可能エネルギー発電所等に係る有形固定資産等の資産を所有するとともに、リース契約に基づき使用権資産を計上しています。当社グループは、連結子会社又は関連会社の収益性の低下により各関係会社の簿価を回収できない場合、当該事業にかかる資産について減損処理を行うことがあります。
また、当社は原則として再生可能エネルギー発電所の開発に際してプロジェクト関連契約や融資関連契約の締結確度が高まった段階においてSPCに出資を行いますが、先行してSPCに出資を行い、その後に事業化を断念した場合等においては当該出資に係る減損処理を行うことがあり、このような場合には当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 訴訟
当社は、コンプライアンスを重視し、取引先との紛争の未然防止に努めていますが、何らかの理由によりトラブルが生じた場合には、当社が訴訟等の対象となる可能性があります。運転開始済みの1事業に関連して、過去に当社へ事業候補用地を紹介したと主張する企業より、同社への紹介料の支払を求める訴訟(請求金額435百万円)が本書提出日現在で提起されています。当社は、事業化検討過程における原告企業との協議は、適法かつ常識的な商慣習に則り行われたもので、この請求には理由がないものと考えており、裁判上で争う方針ですが、当該訴訟及びその他訴訟等により、損害賠償責任等が発生した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、当該訴訟に関する引当金を計上していません。
⑧ 潜在株式
当社グループは、役員及び従業員へのインセンティブ付与を目的として、新株予約権(以下「ストック・オプション」という。)を付与しており、「取締役等向け株式交付信託」も導入しています。2021年3月31日現在において、自己株式控除後の発行済株式総数に対して2.0%(1,548,700株)の潜在株式が存在します。このストック・オプションが行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、ストック・オプションの行使により発行された当社普通株式が株式市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 配当政策
再生可能エネルギー事業においては大規模な事業投資が必要なことから、当社では財務体質の強化を重要課題の一つとして位置づけています。当社は、これまで配当は実施していません。また、当面の間は内部留保の充実を図り、剰余金を再生可能エネルギー事業の拡大のための投資に活用していくことが、株式価値の向上に資すると考えています。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針です。しかしながら、現時点において配当実施の可否及びその実施時期等については未定です。
※当社グループは当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用し、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析、検討内容は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規則によりIFRSに準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しています。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
なお、再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、減価償却費等の償却費の費用に占める割合が大きくなる傾向にあります。一過性の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指し、もって株式価値の向上に努めるべく、当社グループでは業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針、会計上の見積り及び判断は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」、「2 作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載しています。
(2) 経営成績の分析
①事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
a.事業全体の状況
世界のエネルギー市場は、2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)における、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みについての合意を契機とし、各国政府や金融業界の脱炭素化に向けたグローバルでの取り組みが加速し、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。2021年2月には、米国のバイデン政権において、地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」に正式復帰し、世界的な排出量削減に向けた取り組みの実効性が一層高まりました。同4月には気候変動サミットが開催される等、地球温暖化対策のための国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けた各国の取り組みが強化されています。ベトナムやフィリピン等、東南アジア各国においても、今後の再生可能エネルギーの供給割合として掲げていた目標をさらに引き上げる等、脱炭素化に向けた動きが活発化しています。
このような状況の中、国内再生可能エネルギー市場においては、固定価格買取制度(FIT制度)(*1)下の買取実績は引き続き増加しています。2020年6月には「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(エネルギー供給強靭化法)」が成立し、再生可能エネルギーの主力電源化や、災害時の迅速な電力供給の復旧等、強靱かつ持続可能な電気の供給体制の確立に向けた取り組みが推進されています。また、2020年10月以降、経済産業省において「2050年カーボンニュートラルの実現」を目標に本格的な検討が開始されており、第6次エネルギー基本計画の策定に向け、国内のエネルギーミックスの見直しに関する議論も進んでいます。さらに、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」に則り、国により指定された国内の海域4ヶ所の「促進区域」において洋上風力発電事業を行うべき者を選定するための公募が開始される等、洋上風力発電市場の拡大が本格化しています。2020年12月15日に経済産業省及び国土交通省が開催した「第2回 洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」においては、「洋上風力産業ビジョン(第1次)」案が示され、洋上風力発電の導入目標を「年間 1GW 程度の区域指定を10年継続し、2030年までに10GW、2040年までに浮体式も含む30GWから45GWの案件を形成すること」が掲げられています。このように、再生可能エネルギー導入に対する政府の支援姿勢は継続しており、今後も、国内再生可能エネルギー市場は、より一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT):
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業者、一般送配電事業者及び登録特定送配電事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その販売単価は年度毎に経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において定められます。電気事業者との受給契約(売電契約)・系統連系契約(電力系統への接続契約)が締結された場合、一定期間(10kW以上太陽光・バイオマス・風力・水力:20年間、地熱:15年間)に亘り設備認定(2017年4月以降は事業計画認定(事業認定))手続き等に基づき適用される固定価格での電力売買が行われます。
また、2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、設備容量抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。設備容量抑制ルールに基づき、旧一般電気事業者(北海道電力・東北電力・北陸電力・東京電力・中部電力・関西電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力の総称)は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
当連結会計年度末において、当社グループの運転中及び建設中の事業の設備容量は合計約900MWに増加しており、順調に事業が拡大しています。運転開始済みの事業の安定的、持続的な稼働を図りながら、引き続き、国内洋上風力及び海外事業を注力領域として新規事業の開発を推進し、更なる成長を目指しています。
当連結会計年度における当社グループの「再生可能エネルギー発電事業」においては、運転開始済みの大規模太陽光発電所は、夏季の天候不順に伴い期初予想より売電量はやや減少しましたが、大きな設備不良等はなく安定的に発電量が推移しました。2020年7月に、当社の連結子会社である軽米西ソーラー匿名組合事業の出資持分を追加取得(追加取得後の出資比率100.0%)しました。また、2020年12月に、当社の連結子会社である軽米東ソーラー匿名組合事業の出資持分を追加取得(追加取得後の出資比率100.0%)しました。2020年7月に九州地方に被害をもたらした大雨では、当社の大規模太陽光発電所2ヶ所が影響を受けました。九重ソーラー匿名組合事業は、九州電力送配電株式会社の送電系統に被害が生じたことによる停電の影響に伴い、2020年7月7日午前から12日午後までの間は送電を停止しました。大津ソーラー匿名組合事業においては、当該大雨による被害により一部設備の補修を行っています。なお、当該大雨による送電の停止及び設備の補修はいずれも保険適用範囲内であり、連結業績に与える影響は軽微です。また、当連結会計年度において、再生可能エネルギー出力制御(出力抑制)が延べ14日間(九州本土合計)行われましたが、これに伴う当社グループの逸失発電量は、当社の計画量における想定の範囲内でした。
バイオマス発電所については、大きな事故や設備不良等もなく、発電量は順調に推移しました。
「再生可能エネルギー開発・運営事業」においては、引き続き、国内外の新たな発電所の建設及び開発が進捗しています。
2020年5月に、ベトナム社会主義共和国クアンチ省(以下、「ベトナム」という。)にて建設を進めている複数の陸上風力発電事業(合計設備容量 144.0MW)への出資を伴う事業参画を行いました。当社のベトナムクアンチ省における陸上風力発電事業の出資比率は40%になり、持分法の適用範囲に含めています。
2020年10月に、合同会社杜の都バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)を通じて開発を主導する大型バイオマス発電事業(仙台蒲生バイオマス発電所)について、金融機関との間で融資関連契約を締結しました。これにより、当社は合同会社杜の都バイオマスエナジーからの事業開発報酬を計上しています。また、前連結会計年度に着工した、静岡県御前崎市及び牧之原市における、設備容量75.0MWの大型バイオマス事業に関し、一定のマイルストーンを達成したことから、共同パートナーからの追加的な事業開発報酬を計上しています。この他、建設着工済み又は運転開始済みの発電所SPC(*2)からの定常的な運営管理報酬(*3)及び配当・匿名組合分配益(*4)を享受しています。
2021年3月に、当社の持分法適用会社であった徳島津田バイオマス発電所合同会社の出資持分を追加取得(出資比率60.8%)し、当社の連結子会社としました。また、2021年2月に、苅田バイオマス事業に関し、共同事業パートナーであるヴェオリア・ジャパン株式会社との間で、苅田バイオマス事業の運転開始後においてヴェオリア・ジャパン株式会社の保有する苅田バイオマスエナジー株式会社の株式(持株比率10%)を当社が取得する権利(コール・オプション)に関する契約を締結しました。追加取得契約に基づき権利を行使した場合には、当社の出資比率は53.07%となり苅田バイオマスエナジー株式会社は当社の連結子会社となる見込みです。
開発中事業については、2020年7月に、当社が洋上風力発電事業の開発を進めている秋田県由利本荘市沖が、再エネ海域利用法に基づく促進区域に指定され、2020年11月より公募プロセスが開始されました。当社は、2021年5月に公募占用計画の提出を予定しており、その後5ヶ月以降を目安に、事業者が選定される見通しです。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による、当社グループの運転開始済みの大規模太陽光発電及びバイオマス発電の発電への影響は、当連結会計年度においてはありませんでした。提出日現在において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、電力市場の急激な悪化、当社グループの発電所の運転、建設及び開示済み事業の開発が困難となる事象は発生していません。
(*2)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所毎に共同事業者が異なること、また、プロジェクト・ファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所を立ち上げる毎にSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*3)運営管理報酬:
発電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等の業務に代表され、発電所の建設期間及び売電期間に亘り支払われる報酬です。なお子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されています。
(*4)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが株式会社ないし合同会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、また、これはセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
また、「再生可能エネルギー発電事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「再生可能エネルギー開発・運営事業」のセグメント利益に反映されます。
これらの結果を受けた、当連結会計年度における経営成績は次のとおりです。
(注)1.EBITDA=売上収益-燃料費-外注費-人件費+持分法による投資損益+その他の収益・費用
2.EBITDAマージン=EBITDA/売上収益
3. 2020年3月期における企業結合:該当なし
2021年3月期における企業結合:徳島津田バイオマス発電所合同会社
b.セグメント情報に記載された区分ごとの状況
セグメント別の業績は以下のとおりとなりました。各セグメントの業績数値につきましては、セグメント間の内部取引高等を含めて表示しています。また、セグメント利益は、EBITDAにて表示しています。再生可能エネルギー事業は多額の初期投資を必要とする事業であり、全体の費用に占める減価償却費等の償却費の割合が大きい傾向にあります。当社グループでは、一過性の償却費負担に過度に左右されることなく、企業価値の増大を目指すべく、株式価値の向上に努めています。そのため、業績指標として金利・税金・償却前利益であるEBITDAを重視しています。
(報告セグメントごとの売上収益)
(単位:百万円)
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。なお、下記の主な相手先の販売実績はいずれも12ヶ月分の販売実績となります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(報告セグメントごとの利益又は損失)
(単位:百万円)
(注)セグメント利益は、売上収益から燃料費、外注費、人件費を差し引き、持分法による投資損益、並びに
その他の収益・費用を加算したEBITDAにて表示しています。
(3) 財政状態の分析
当社グループでは、資本効率を向上させながら大型の再生可能エネルギー発電所の開発投資を行うために、金融機関からの長期の借入れを活用しています。また、財務健全性を適切にモニタリングする観点から、保有する資産の実態的な価値を把握するほか、資本比率や親会社所有者帰属持分比率、純有利子負債とEBITDAの倍率(純有利子負債/EBITDA倍率)等の指標を重視しています。
当連結会計年度における社債の発行及び為替予約や金利スワップの時価変動によるその他の資本の構成要素の減少、徳島津田バイオマス発電所合同会社の新規連結等の影響により、当連結会計年度末の資本比率は11.3%(前連結会計年度末は9.8%)、親会社所有者帰属持分比率は6.9%(前連結会計年度末は7.5%)となりました。また、純有利子負債/EBITDA倍率(純有利子負債と直近の12ヶ月間に計上したEBITDAの倍率。なお、純有利子負債は、借入金及び社債、リース負債、並びにその他の金融負債に含まれる金融負債の合計から、現金及び現金同等物並びに引出制限付預金を差し引いた金額と定義)は、当連結会計年度末において11.5倍(前連結会計年度末は9.4倍)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ48,860百万円増加し、220,546百万円となりました。主な増減要因は、新規の社債発行等による現金及び現金同等物の増加(+8,781百万円)、及びベトナムクアンチ省における陸上風力事業への出資等による持分法で会計処理されている投資の増加(+3,394百万円)、さらに徳島津田バイオマス発電所合同会社の連結化等による有形固定資産の増加(+11,529百万円)及び無形資産の増加(+14,786百万円)、長期燃料購入契約に対する為替予約等によるその他の金融資産(非流動)の増加(+10,934百万円)です。
また、その他の金融資産(流動)については、融資関連契約の締結に基づき融資を受けた持分法適用関連会社からの立替金の回収を主な要因として、前連結会計年度末から2,490百万円の減少となりました。
合同会社杜の都バイオマスエナジー(当社の持分法適用関連会社)は2020年10月26日付けにて金融機関との間で融資関連契約を締結し、宮城県仙台市における木質バイオマス専焼発電所の建設、運転へ向けてのプロジェクトファイナンスを組成しました。同社に対する当社持分は出資比率、配当比率ともに29.0%です。なお、当社は仙台蒲生バイオマス発電所の完成日以降に、共同出資会社の一部が保有する同会社への出資持分(31.0%)を買い増す権利を有しています。当該権利を全て行使した場合には、当社の出資比率、配当比率ともに60.0%となります。
苅田バイオマスエナジー株式会社(当社の持分法適用関連会社)における共同スポンサーとの間で、共同スポンサーが保有する苅田バイオマスの株式(10.0%)を当社が取得する権利に関する契約(以下「追加取得契約」といいます。)を締結しました。追加取得契約に基づき権利が行使された場合には、当社の出資比率、配当比率ともに53.07%となります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ40,905百万円増加し、195,682百万円となりました。
主な増減要因は、新規の社債発行、徳島津田バイオマス発電所合同会社の連結化及び長期借入れの実行による社債及び借入金の増加(+45,602百万円)、約定に従った長期借入金の返済による社債及び借入金の減少(△11,517百万円)、当社の持分法適用関連会社であるバイオマス発電事業SPCが保有する為替予約や金利スワップの公正価値変動を主要因として計上される持分法適用負債(その他の非流動負債の一部)の増加(+4,152百万円)です。
(資本の部)
当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ7,956百万円増加し、24,864百万円となりました。
主な増減要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等による利益剰余金の増加(+11,504百万円)、当連結会計年度中の徳島津田バイオマス発電所合同会社の連結化等による非支配持分の増加(+5,621百万円)、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加(+175百万円)、徳島津田バイオマス発電所合同会社が当社の持分法適用会社から連結子会社に変更となったこと並びに当社の持分法適用会社が保有する為替予約及び金利スワップの公正価値変動を主要因とするその他の資本の構成要素の減少(△9,353百万円)です。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して8,781百万円増加し、19,406百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、12,469百万円の収入(前年同期は4,882百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における売電先からの売電収入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における再生可能エネルギー発電事業SPCからの事業開発報酬収入です。主なキャッシュ・アウト・フローは、「再生可能エネルギー発電事業」における発電設備の維持管理費用、事業用地の賃借料、各種税金、バイオマス燃料の仕入及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における開発支出(人件費等を含む)です。
当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ「再生可能エネルギー発電事業」において前連結会計年度中に運転開始した複数の太陽光発電事業が通期にわたり売電したことにより売電収入が増加したこと、及び「再生可能エネルギー開発・運営事業」における前連結会計年度に計上した事業開発報酬の回収が実現したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ7,588百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、13,483百万円の支出(前年同期は21,416百万円の支出)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、発電所建設のために先行支出していた立替金の、当該案件でのプロジェクト・ファイナンス組成後の借入実行による回収2,724百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、持分法で会計処理されている投資の取得による支出8,423百万円、将来の発電所建設のためのSPCに対する立替金としての支出1,023百万円、主に工事中の大規模太陽光発電所における固定資産の取得による支出4,560百万円、及び徳島津田バイオマス発電所合同会社の持分を追加取得したことによる支出618百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、9,778百万円の収入(前年同期は14,772百万円の収入)となりました。主なキャッシュ・イン・フローは、長期借入れによる収入12,681百万円、社債発行による収入13,922百万円です。主なキャッシュ・アウト・フローは、長期借入金の返済による支出11,517百万円、引出制限付預金の増加1,955百万円です。
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりです。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、百万円未満の端数処理について、前連結会計年度は切り捨てにて、当連結会計年度は四捨五入にて表示しています。
② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
(連結の範囲の変更)
前連結会計年度において、那須烏山ソーラー匿名組合事業、軽米西ソーラー匿名組合事業及び軽米東ソーラー匿名組合事業の持分を追加取得したことにより、持分法適用の関連会社から除外し、連結の範囲に含めています。
前連結会計年度に新規に設立したRENOVA RENEWABLES ASIA PTE. LTD.は、前連結会計年度より連結の範囲に含めています。
(持分法適用の範囲の変更)
前連結会計年度において、人吉ソーラー匿名組合事業、合同会社御前崎港バイオマスエナジー、合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー及び秋田由利本荘洋上風力合同会社への出資等に伴い重要性が高まったため、持分法適用の関連会社に含めています。
前連結会計年度において、那須烏山ソーラー匿名組合事業、軽米西ソーラー匿名組合事業及び軽米東ソーラー匿名組合事業の持分を追加取得したことにより、連結の範囲に含めるべく、持分法適用の関連会社から除外しています。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(連結の範囲の変更)
当連結会計年度において、ベトナム社会主義共和国クアンチ省における陸上風力発電事業の中間持株会社である当社100%子会社のRENOVA RENEWABLES VIETNAM 1 PTE. LTD.の重要性が増したことから、連結の範囲に含めています。
当連結会計年度において、徳島津田バイオマス発電所合同会社の出資持分を追加取得したことにより、持分法適用の関連会社から除外し、連結の範囲に含めています。
(持分法適用の範囲の変更)
ベトナム社会主義共和国クアンチ省における陸上風力発電事業の事業主体であるLien Lap Wind Power Joint Stock Company、Phong Huy Wind Power Joint Stock Company、Phong Nguyen Wind Power Joint Stock Companyを、当連結会計年度より持分法の適用範囲に含めています。
当連結会計年度において、合同会社杜の都バイオマスエナジーへの出資に伴い重要性が増したことから、同社を持分法適用関連会社としています。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「40 初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(デリバティブ)
当社グループでは、持分法適用会社の他社持分についてコール・オプションを有しています。当該コール・オプションについて、IFRSではデリバティブ資産を認識し公正価値で測定していますが、日本基準では当該取引をデリバティブ取引として認識しないため、その結果、関連する資産負債の認識が行われませんでした。
また、金利スワップについて、IFRSでは当該金利スワップについて金融負債を認識していますが、日本基準上は特例処理の要件を満たしている場合には特例処理を採用していました。さらに、IFRSでは、連結範囲変更による影響で認識する金利スワップ取引が増加しています。
上記の結果により、IFRSへの移行に伴い連結財政状態計算書において、その他の金融資産(非流動)が16,948百万円、その他の金融負債(非流動)が6,331百万円増加しています。IFRSでは連結損益計算書及び連結包括利益計算書においては、オプション公正価値評価益を3,147百万円計上しています。
(リース)
IFRSでは短期リース及び少額資産のリースを除き、原則として全てのリース契約について使用権資産及びリース負債(流動及び非流動)を認識しており、使用権資産は減価償却を実施しています。日本基準では一部を開業費として処理していたものの、大部分はリースとしてオペレーティング・リースまたはファイナンス・リースに区分して処理しており、ファイナンス・リースに係る資産及び負債はそれぞれ、有形固定資産、その他流動負債またはその他固定負債として計上していました。
上記の結果及び連結範囲変更による影響により、IFRSへの移行に伴い、連結財政状態計算書において使用権資産が9,032百万円、リース負債(流動)が839百万円、リース負債(非流動)が9,022百万円それぞれ増加しています。
(連結、持分法及び企業結合)
IFRSでは、主に、日本基準では持分法適用会社としていた会社について、IFRS第10号に照らし実質的に支配していると判定し子会社としてIFRS移行に伴い新規に連結したことによる連結範囲変更及び非支配持分へ付与されたプット・オプションの認識に伴い、関連資産及び負債が増加しています。また、のれんについては連結範囲変更等の影響により、のれんの計上額に日本基準とIFRSで相違があることに加え、日本基準では償却を行うのに対して、IFRSでは償却を行いません。
(注) 契約内容に「売電に関する契約」と記載されている契約につきましては、電力受給期間を契約期間として記載しています。なお、契約期間は変更となる場合があります。
該当事項はありません。