(注) 1.第22期より国際会計基準(以下「IFRS会計基準」という。)に基づいて連結財務諸表を作成しています。
2. 百万円未満の端数を四捨五入にて記載しています。
3.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人数を( )外数で記載しています。
(注) 1.第22期の諸数値については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
2. 百万円未満の端数を四捨五入にて記載しています。
3.売上高には、消費税等は含まれていません。
4.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人数を( )外数で記載しています。
5.当社は株式報酬制度を導入しています。同制度に関連して当社が金銭を拠出することにより設定した信託を通じて取得された当社株式は自己株式として計上しており、1株当たり純資産額の算定上、普通株式の期末株式数から同自己株式を控除しています。また、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において同自己株式を控除しています。
(注) 1. 百万円未満の端数を四捨五入にて記載しています。
2.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人数を( )外数で記載しています。
3.当社は株式報酬制度を導入しています。同制度に関連して当社が金銭を拠出することにより設定した信託を通じて取得された当社株式は自己株式として計上しており、1株当たり純資産額の算定上、普通株式の期末株式数から同自己株式を控除しています。また、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定上、期中平均株式数の計算において同自己株式を控除しています。
4.最高・最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所プライム市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第一部におけるものです。
当社は、株式会社リサイクルワンとして2000年5月に設立され、環境・エネルギー分野での調査・コンサルティング事業を行っていました。その後、2012年に再生可能エネルギー事業に参入し、現在は株式会社レノバとして再生可能エネルギー事業及び蓄電池等を含むGX事業を総合的に行う独立系企業として運営しています。
当社グループの変遷は、以下のとおりです。
(*1) 発電施設ごとに締結される工事等請負契約に定められている、各発電事業者に帰属する売電売上が計上される日を発電開始としています。
当社グループは「グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムを構築し枢要な社会的課題を解決する」という経営理念のもと、再生可能エネルギー発電所を開発し、所有・運営しています。再生可能エネルギーとは、エネルギー源として永続的に利用可能な太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等の総称です。当社グループは、太陽光発電、バイオマス発電、陸上・洋上風力発電、地熱発電、水力発電等のマルチ電源の発電事業を開発し運営することを事業の目的としています。そして、上記に留まらず、蓄電池、アンモニア・水素等を含む新燃料等、グリーン・トランスフォーメーション事業(以下、「GX事業」という)を推進しています。
当社グループは、(Ⅰ)長期にわたる再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の所有と当該発電所及び蓄電所による売電(「再生可能エネルギー発電等事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所及び蓄電所の開発と運転開始済み発電所及び蓄電所の運営管理(「開発・運営事業」)を主な事業として取り組んでいます。当社グループは、当社に加え、運転開始済みの発電等事業を運営又は管理する連結子会社19社、持分法適用会社4社を中心に構成されています。
当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
再生可能エネルギーの導入は世界的なエネルギー政策の潮流です。世界各国は再生可能エネルギーの導入に係る取り組みを推進しており、世界の再生可能エネルギー発電設備の新規導入容量は2023年に473GWを超えました(出典:Renewable Energy Policy Network for the 21st Century(本部:パリ)「Renewables 2024 Global Status Report - Global Overview」)。また、ロシア・ウクライナ危機を受けたエネルギー安全保障への意識の高まりにより、化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギーシフトが進展しています。2023年11月に開催されたCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)で発表した、123カ国が2030年までに世界の再生可能エネルギーの容量を3倍に拡大するという目標を達成するため、2024年11月に開催されたCOP29においては、2030年までに世界全体のエネルギー貯蔵容量を2022年時点の6倍以上となる1,500GWまで拡大することを誓約する等、再生可能エネルギー及び蓄電池等の更なる導入による脱炭素化に向けた動きが活発化しています。
日本国内の再生可能エネルギー導入に向けた動きも加速しています。経済産業省は2020年12月に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を公表し、再生可能エネルギー電源の比率を50~60%に高めることを参考値として示しました。さらに、日本政府は、2025年2月に「第7次エネルギー基本計画」を閣議決定し、2040年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギー比率を40~50%程度まで高める目標を設定しました。本目標は、同日に閣議決定された地球温暖化対策計画において定められた、2040年度において温室効果ガスを2013年度比で73%削減する目標と整合する形で設定されました。
また、固定価格買取制度(FIT制度)(*1)による買い取りが継続して行われる中、2022年度から導入されたFeed in Premium制度(FIP制度)(*2)による買い取りも開始されています。加えて、電力需要家による再生可能エネルギー電力の調達ニーズも高まっています。自社事業の使用電力を再生可能エネルギー由来100%とすることを目指す国際的なイニシアティブであるRE100(*3)に参加する企業による取り組みが積極化しており、電力需要家が発電事業者と直接電力契約を締結するコーポレートPPA(*4)の実例も増加しています。さらに、新規電源投資を促進し、長期にわたって脱炭素電源による供給力を調達するための長期脱炭素電源オークション(*5)が2024年1月より開始されました。加えて、2024年12月、政府はGX実行会議の下で取りまとめた「分野別投資戦略」を改定し、2030年に累計14.1~23.8GWhの系統用蓄電池の導入見通しを公表しています。再生可能エネルギーや蓄電池の導入に対する政府の支援姿勢の継続及び電力需要家のニーズの高まりにより、国内再生可能エネルギー及び系統用蓄電池市場はより一層拡大していく見通しです。
(*1)固定価格買取制度(FIT制度):
「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」(再エネ特措法)に基づき、買取義務者が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で一定期間買い取る制度です。太陽光、バイオマス、風力、地熱及び水力等により発電された電力が当該制度に基づいて電気事業者に販売され、その買取価格及び買取期間等は経済産業省・資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会や関係省庁の意見に基づき経済産業大臣が決定します。
2015年1月に、太陽光発電所や風力発電所等の自然変動電源による発電量が大幅に増加した場合でも電力需給バランスを保ち、電力供給の安定化を図ることを目的とし、出力抑制ルールを拡充する制度改定が行われています。出力抑制ルールに基づき、一般送配電事業者は、一定条件のもとで再生可能エネルギーを電源とする発電所による系統への送電電力の数量や質に制限を加えることができます。
(*2)Feed in Premium制度(FIP制度):
「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に基づき、再生可能エネルギー発電事業者が卸電力取引市場や相対取引で自ら売電し、市場価格を踏まえて算定される一定のプレミアムを受け取る制度です。電力市場への統合を促しながら、投資インセンティブの確保と国民負担の抑制を両立していくことを狙いとしています。
(*3)RE100:
「Renewable Electricity 100%」の略称で、企業が事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブのことを指しています。
(*4)コーポレートPPA:
企業などの電力需要家が発電事業者から再生可能エネルギーの電力を長期に購入する契約のことを指しています。PPAは電力購入契約(Power Purchase Agreement)の略称です。
(*5)長期脱炭素電源オークション
国全体で必要となる脱炭素電源の容量確保のため、再エネや蓄電池などの新規電源投資(リプレース、改修も含む)の促進を目的に、2023年度より容量市場の一部として開設された入札制度です。容量提供事業者の長期的な収入予見性を確保するため、電力広域的運営推進機関より、原則20年間、設備容量に落札金額を乗じた容量確保契約金額が長期固定収入(但し、物価変動分が制度適用期間の年度ごとに毎年補正される)が保証されます。
(国内外における再生可能エネルギー発電及び蓄電池業界における主な事業者群及び当社グループの事業領域)
当社グループが事業を展開する再生可能エネルギー発電及び蓄電池業界は、①各種メーカーによる発電等設備(太陽光パネル、タービン、ボイラー、風車、蓄電池等)の製造、②開発事業者、AM事業者(*6)及びEPC事業者(*7)や施工事業者による発電所又は蓄電所の建設、③運転開始済み発電所又は蓄電所による発電・充放電、AM事業者やO&M事業者(*8)による当該発電所の運営・管理・保守、並びに特定卸供給事業者(*9)による電力の需給調整運用業務、そして④一般送配電事業者等(*10)のオフテイカー(*11)による電力小売又は電力需要家の各分野に大別されます。
上記①及び②における事業者は発電所又は蓄電所の建設工事に際して一般的に一括して収益を享受します。一方、③及び④における事業者は発電所又は蓄電所の長期にわたる発電及び売電に関与するため、一般的に複数年にわたり安定的に収益を享受します。
当社グループが手掛ける事業は(Ⅰ)長期にわたる再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の所有と当該発電所及び蓄電所による売電(「再生可能エネルギー発電等事業」)及び(Ⅱ)新たな発電所及び蓄電所の開発と運転開始済み発電所及び蓄電所の運営管理(「開発・運営事業」)であり、上記バリューチェーンにおいて下記の図のとおり位置づけられます。
(*6)AM事業者:
発電所の建設や運営においてアセットマネジメント(管理業務)を請け負う事業者のことを指しています。
(*7)EPC事業者:
発電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者のことを指しています。
(*8)O&M事業者:
発電所の運営において、Operation(運転)及びMaintenance(維持)を請け負う事業者のことを指しています。
(*9)特定卸供給事業者:
再生可能エネルギー発電所や蓄電所、需要側のリソースを統合して、市場動向や電源動向など、様々な情報を踏まえながらリソース運用を行う事業者のことを指します。発電事業者が蓄電池の運用を特定卸供給事業者に委託する場合や発電事業者が自ら特定卸供給事業者としての業務を担う場合があります。
(*10)一般送配電事業者等
電気事業法第2条第17項における一般送配電事業者又は小売電気事業者を指します。本書では主として電力需要家又は卸売事業者に対して電力販売を行う事業者全般を意味しています。
(*11)オフテイカー
事業会社が生み出すサービス(当社グループのSPCの場合は電力)を購入する者(引き取り手)のことを指しています。

2025年3月末現在、「再生可能エネルギー発電等事業」は、当社の連結子会社及び関連会社が所有・運営する再生可能エネルギー発電所が発電した電力及び当該電力由来の環境価値を、FIT制度、FIP制度、売電契約に則り、オフテイカーに販売する事業です。当社グループは「開発・運営事業」において開発した発電所を連結子会社又は関連会社として長期にわたり所有し、当該発電所が発電した電力や当該電力由来の環境価値の販売収入を「再生可能エネルギー発電等事業」の収益として計上しています。FIT制度、FIP制度や売電契約に基づいた事業については、制度や契約等の定めにより、所定の買取期間にわたり売電価格が固定されるため、「再生可能エネルギー発電等事業」は長期的に安定した収益が見込まれます。
2025年3月末現在、当社グループは、大型太陽光発電に関しては連結子会社12社、小規模分散型太陽光発電に関しては連結子会社1社、バイオマス発電に関しては連結子会社6社、陸上風力発電に関しては持分法適用会社3社、地熱発電に関しては持分法適用会社1社にて発電・売電及び環境価値の販売を行っています。現在運転中の発電所の概要は以下のとおりです。
(運転中の太陽光発電所一覧)(2025年3月31日時点)
(注) 1.出力はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記です。
2.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3. 当社は、2022年4月に四日市ソーラー匿名組合事業の出資持分の一部を譲渡し連結対象及び持分法適用対象外としました。
(運転中のバイオマス発電所一覧)(2025年3月31日時点)
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
2.買取価格は、固定PPA以外においては、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用される買取価格(消費税抜表示)を示しています。
3.バイオマス発電事業の買取価格は、間伐材等由来の木質バイオマスが32円/kWh、一般木質等バイオマスが24円/kWhです。
4.当社は当社連結子会社である千秋ホールディングス株式会社(以下、「千秋HD」といいます。)を通じてユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(以下、「URE」といいます。)に出資しています。当社の千秋HDに対する持株比率(51.0%)に千秋HDのUREに対する持株比率(69.2%)を乗じて計算される、当社のUREに対する実質持株比率は35.3%です。
5.徳島津田バイオマス発電所合同会社の配当比率は、70.4%です。
6.合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーの配当比率は、62.93%です。
7. 合同会社御前崎港バイオマスエナジーの配当比率は、75.0%です。
(運転中の陸上風力発電所一覧)(2025年3月31日時点)
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
(運転中の地熱発電所一覧)(2025年3月31日時点)
(注) 1.出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。
「開発・運営事業」は、デベロッパーとして、新しい発電所や蓄電所等の企画・開発及び建設管理を行い、その後の運営・管理も行う事業です。各再生可能エネルギー発電所及び蓄電所は前述の「再生可能エネルギー発電等事業」を行う当社の連結子会社又は関連会社により所有され、「開発・運営事業」を行う当社及び当社の連結子会社により開発・運営・管理されています。
当社グループの一般的な再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発・運営スキームは以下の例示のとおりです。当社はプロジェクトを遂行するSPC(*12)を設立し、資金的な制約の中で複数のプロジェクトへの投資を実現させるため、共同事業者による出資を募ります。当該SPCは事業者として自治体許認可の取得、地権者と土地賃借・売買契約の締結、金融機関からの資金調達及びEPC事業者との工事契約締結(EPC契約)(*13)等を行い、再生可能エネルギー発電所及び蓄電所を建設します。再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の運転開始後、発電所SPCにおいては発電した電気及び環境価値をオフテイカーに販売し、蓄電所SPCにおいては卸電力市場、需給調整市場及び容量市場を通じて電力の販売及び容量確保価値を販売します。売電、環境価値の販売及び容量確保価値の販売から得たキャッシュ・フローを原資として金融機関からの借入を返済し、余剰キャッシュを当社及び共同事業者に分配します。また、当社が開発を初期からリードする事業については、原則として、SPCの設立当初は、資金的な制約により当社からSPCへの出資持分比率を持分法適用水準とし、SPCが再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の運転開始後の売電及び環境価値の販売による安定したキャッシュ・フローを計上できる段階から、順次出資持分比率を高め、SPCを連結子会社化する方針を有しています。発電所の保守・運営業務に関しては、太陽光発電及び陸上風力発電の場合はO&M事業者が行い、また、バイオマス発電の場合はSPC又はO&M事業者が行います。また、蓄電所の保守・運営業務に関しては、SPC又はO&M事業者が行い、需給調整業務等の運用管理はSPC又は特定卸供給事業者が行います。SPCの運営管理業務に関しては当社又は当社グループのAM事業者が行います。

(*12)SPC:
特別目的会社(Special Purpose Company)のことを指しています。当社グループでは基本的に発電所及び蓄電所毎に共同事業者が異なること、また、プロジェクトファイナンスを行う上でリスク分散を図ることを理由として、発電所及び蓄電所の立ち上げに応じてSPCを設立し、当該SPCに発電所を所有させています。なお、当社グループにおいてはSPCを株式会社として設立して株式による出資を行う場合、合同会社(GK)として設立して持分による出資を行う場合に加え、SPCを会社法上の合同会社(GK)として設立して商法上の匿名組合(TK)として営業者に出資を行う場合(TK-GKスキーム)があります。TK-GKスキームの主な特徴としては匿名組合員が有限責任であること及び営業者であるSPCの段階で法人税課税が発生せず、匿名組合員に直接課税されることが挙げられます。
(*13)EPC契約:
発電所建設において、Engineering(設計)、Procurement(調達)及びConstruction(建設)を含む一連の工程を請け負う事業者との契約を指します。
「開発・運営事業」は、発電所および蓄電所の建設・運営管理に係る報酬(運営管理報酬(*14))、配当・匿名組合分配益(*15)、当社が主導又は参画して開発する再生可能エネルギー発電所又は蓄電所の開発成功時に発電所又は蓄電所を所有するSPC又は共同スポンサーから支払われる報酬(事業開発報酬(*16))を収益として計上しています。年間の事業開発報酬の総額は新規発電所又は蓄電所の開発状況により変化します。そのため「開発・運営事業」の業績は、「再生可能エネルギー発電等事業」と異なり大きく変動する傾向にあります。
(*14)運営管理報酬:
発電所・蓄電所建設の工程管理、決算及び金融機関へのレポーティング等に代表される業務に対して、発電所・蓄電所の建設期間及び売電期間にわたり支払われる報酬です。なお、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する運営管理報酬については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*15)配当・匿名組合分配益:
「再生可能エネルギー発電等事業」に属するSPCが株式会社又は合同会社として運営されている場合は、当該SPCから当社へ支払われた配当金については当社単体の営業外収益に計上され、これはセグメント間取引として「開発・運営事業」の収益に反映されます。
また、「再生可能エネルギー発電等事業」に属するSPCが匿名組合として運営されている場合は、当該SPCで計上された利益のうちの当社出資割合分相当額についてその発生年度に匿名組合分配益として当社単体の売上高に計上し、一方損失が発生した場合は、その損失のうちの当社出資割合分相当額を匿名組合分配損として当社単体の販売費及び一般管理費へ計上しています。これらもセグメント間取引として「開発・運営事業」の収益に反映されます。
なお、これら「開発・運営事業」の収益に反映されたSPCからの配当金及び分配損益については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。
(*16)事業開発報酬:
再生可能エネルギー発電所又は蓄電所に係る事業用地確保、主要な融資関連契約の締結及び主要なプロジェクト関連契約の締結等のマイルストーンの達成をもって開発支援に係る役務の提供を完了とみなし、役務提供の完了をもって概ね開発規模に応じて支払われる報酬です。なお、SPCから受領する事業開発報酬のうち、子会社や関連会社に対する当社の持分に相当する金額については、連結決算上は連結グループ内取引として連結消去されます。

再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発から運転までの流れは、新たな事業候補の「用地開拓」、事業用地の確保・発電所及び蓄電所の設計・許認可取得等の「開発」、「電力需要家開拓」、「オフテイカー協議」、出資・融資両面での「資金調達」、発電所及び蓄電所の「工事」及び「運転・所有」に大別されます。当社グループは、この再生可能エネルギー発電所及び蓄電所開発の一連のプロセスにおいて「用地開拓」から「工事」までにおける、事業設計やエンジニアリング業務、オフテイカーとの協議、協力業者や資金調達先の選定・交渉やプロセス全般の指揮・監督といった上流領域を内製化しています。次の図は再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の事業開発における一般的なプロセスを図示しています。

(注) 上記は開発プロセスの代表的な例示であり、国・地域、電源種、各案件の個別要因等によって異なる場合があります。蓄電事業の場合、蓄電所の運用委託先協議を含みます。
「用地開拓」段階において、当社は事業候補の事業性評価を行い、有望事業を選別します。主な評価事項は地権者・地域関係者から同意取得の蓋然性、許認可取得の蓋然性、当社の開発基準に見合った収益性の確保、事業リスクの評価及び資金調達の蓋然性等です。当社は、当社の保有する既存発電所が存在する地域の関係者も含めた環境関連の人的・情報ネットワーク、金融機関との関係等を活用して新規事業開拓に取り組んでいます。また、電力需要家の開拓にも取り組んでいます。
一定の事業性が認められた事業については、「開発」段階に進み、より詳細な検証を行うと同時に地権者協議、設計・エンジニアリング、電力会社協議、燃料の確保及び許認可取得を進めていきます。なお、風力、地熱及び水力事業においては当該検証と同時に資源量調査を行います。風力事業においては、風況観測機器を設置して一定期間にわたる風の状況を分析することにより事業性を評価します。地熱事業においては、地表調査及び掘削調査により資源量を推計して事業性を評価します。水力事業においては、流況調査により資源量を推計して事業性を評価します。また、当該検証において事業性がより高まったと判断し、かつ法令や条例により環境アセスメントの実施が定められる場合には、環境アセスメント(*17)を本格的に実施して開発を推進します。なお、Non-FIT発電事業においては売電契約締結に向け、売電先との協議も並行して進めていきます。また、蓄電事業においては、オフテイク契約(*18)を締結する場合にはオフテイカーとの協議や、日本においては、2023年度より開始された長期脱炭素電源オークションでの応札も視野に入れて開発を進めます。
当社は再生可能エネルギー発電所及び蓄電所の立ち上げ・運営に必要な知見・技術・プロジェクトマネジメントのノウハウを有する専門人材を擁しています。また、大手企業グループの系列に属さない独立系の事業者として、事業毎に多様な事業パートナーと連携して事業開発を推進しています。再生可能エネルギー事業及び蓄電事業は、発電所の立地する地域の自然環境資源を活用して行うものであり、地域社会に対する配慮及び地域環境への最大限の配慮の上で開発していくものです。法令や条例で定められた許認可や環境アセスメントの実施のみならず、地域社会との対話や貢献、地域環境への配慮を重視しながら開発を進めていくことも、当該業務における当社事業開発の特徴の一つです。
「開発」が終盤に差し掛かった時点で、共同出資者を募り、プロジェクトファイナンスを組成する「資金調達」を実施します。当社は、再生可能エネルギー発電所及び蓄電所のプロジェクトファイナンスにおいて、ハイレバレッジのファイナンス組成を実現しており、再生可能エネルギー及び蓄電事業において2025年3月末時点までに累計約5,000億円超のプロジェクトファイナンス組成実績(連結子会社及び持分法適用会社における約定ベース)があります。なお、前述の事業開発報酬は本段階における主要な融資関連契約及びプロジェクト関連契約の締結等に伴い発生します。また、この段階で同時に売電契約等の締結も行います。
「資金調達」、「売電契約等締結」後は「工事」、「運転・所有」段階に進みます。当社は発電所及び蓄電所の工事自体に関してはEPC事業者に委託し、大規模な事業を多数立ち上げて運営しているノウハウを活かして発電所及び蓄電所の建設の指揮・監督を行います。なお、前述の運営管理報酬は本段階以降、継続的に発生します。また、当社は運転開始後、長期にわたり発電所及び蓄電所を所有・運営する方針です。当社グループは長期にわたる事業と地域へのコミットメントを示して各ステークホルダーからの信頼を醸成し、次なる事業開拓に繋げていきます。
(*17)環境アセスメント:
1997年6月に制定された国内における環境影響評価法(環境アセスメント法)は、道路、ダム、鉄道、空港、発電所等13種類の事業において環境アセスメントの手続きを行うことを定めています。また、各地方自治体が規定する環境影響評価条例(環境アセスメント条例)においては、各地域に適した環境アセスメント対象事業が別途定められています。環境アセスメント法や環境アセスメント条例の対象事業となる場合、事業者は環境アセスメントを行うことが義務付けられています。なお、海外の事業においては、各国及び各自治体の基準に則り環境影響評価を行います。
国内の環境アセスメントにおいては、「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」(大気環境、水環境及び土壌環境・その他の環境)、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」(植物、動物及び生態系)、「人と自然との豊かな触れ合い」(景観及び触れ合い活動の場)、「環境への負荷」(廃棄物及び温室効果ガス等)の中から対象事業の性質に応じて適切な環境要素が選定され、事業者自らが調査・予測・評価を行っていきます。
(*18)オフテイク契約:
オフテイカーが蓄電所運用権を取得する対価として、蓄電所に対して蓄電所利用料等を長期間固定で支払う契約のことを指します。
当社グループの開発中の事業に係る進捗評価基準は次のとおりです。事業の進捗度合いに応じて、①ファイナンス関連契約及びプロジェクト関連契約を締結した「建設中事業」、②開発が一定程度進捗している「推進中事業」、③一定の事業性が確認され、経営資源を投下の上での事業開発の推進が認められた「先行投資事業」と分類しています。事業開発が成功し各発電所の運転開始に至る確率は、①建設中事業が最も高く、②推進中事業は今後の開発進捗に伴い計画が変更又は中止となる可能性もあり、③先行投資事業は今後の調査検討に伴い中止となる可能性が相応にあります。
なお、開発中の事業は当社が主導して開発を実施し、SPCに対する出資持分についても当社が筆頭の出資者となる「当社主導」事業と、パートナー企業と共同で事業を開発する「共同推進」事業に分類しています。
(注)1. 国・地域による規制の相違、電源種による開発プロセスや事業性確保に向けた条件の相違、及び各事業の個別要因等により、事業の分類の判断基準が上記と必ずしも一致しない場合があります。
2. 建設中事業には、ローン契約・EPC契約締結済みの着工準備中の事業も含みます。
(開発中の事業一覧 ①建設中事業)(2025年3月31日時点)
(注) 1.太陽光の出力はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記です。また、バイオマスの出力は発電端出力ベースの設備容量表記です。なお、出力規模は今後の詳細設計に伴い変動する可能性があります。
2.買取価格は、売電先との実際の契約価格ではなく、各発電設備に対してFIT制度に基づき適用されている固定買取価格(消費税抜)を示しています。
3.合同会社唐津バイオマスエナジー及び福島復興風力合同会社の買取価格は、需要家とのPPAに基づく長期間にわたる固定価格となります。
4. 当社は唐津バイオマス発電事業に関して、他の出資者(共同スポンサー)と出資を行っています。当社は2025年3月31日現在において、当該事業の出資者間契約に基づき発電所竣工後、共同スポンサーの出資持分(出資比率16.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は51.0%となります。なお、当発電所の竣工は2025年9月を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
5.フィリピン共和国イフガオ省キアンガンにおけるKIANGAN MINI HYDRO CORPORATIONの買取価格は、小水力発電に関するFIT対象枠の残存期間中に運転開始した場合の想定FIT単価です。
6. 福島復興風力合同会社は、2025年3月31日に完工し、同年4月2日よりFIP制度に基づく商業運転を開始しました。
7. アールツー蓄電所合同会社は、2023年度長期脱炭素電源オークションにおいて選定された系統用蓄電所3ヵ所(北海道苫小牧市、北海道白老郡白老町、静岡県周智郡森町睦実)を着工準備中です。当社は2025年3月31日現在において、当該事業の出資者間契約に基づき長期脱炭素電源オークションの制度適用以降、共同スポンサーの出資持分(出資比率48.0%分)を買い増す権利を有しています。当該権利を行使した場合には、当社の議決権所有割合は87.0%となります。なお、当蓄電所の竣工は2028年度中を予定していますが、工事の進捗により前後する可能性があります。
8. LTDA: 長期脱炭素電源オークション(Long Term Decarbonization Auction)は、国全体で必要となる脱炭素電源の容量確保のため、再エネや蓄電池などの新設・リプレース/改修を入札対象とした制度で、電力広域的運営推進機関より、原則20年間、設備容量に落札金額を乗じた容量確保契約金額が支払われます。落札金額については、物価変動分が制度適用期間の年度ごとに毎年補正される仕組みとなっています。
9.上記6事業のうち、「共同推進」事業であるKIANGAN MINI HYDRO CORPORATION、福島復興風力合同会社及び姫路蓄電池匿名組合事業における事業以外の事業は「当社主導」事業です。
(開発中の事業一覧 ②推進中事業)(2025年3月31日時点)
(注)1.推進中事業の一覧表は、2025年3月31日現在において、一般公知となった代表的な事業に限定したものであり、このほかに開発中の未公表事業があります。
(開発中の事業一覧 ③先行投資事業)(2025年3月31日時点)
(注)1.先行投資事業の一覧表は、2025年3月31日現在において、一般公知となった代表的な事業に限定したものであり、このほかに開発中の未公表事業があります。
この他、当社は主に太陽光発電、陸上風力発電、蓄電事業等の種別毎に専属チームを組織し、国内外で複数事業の事業開発を進めています。これらの事業開発には当社が主導で開発を進めている事業に加え、事業パートナーと共同で推進している事業もあります。
本章にて述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
(事業の主な系統図)

(2025年3月31日現在)
(注) 1.「資本金又は出資金」欄には、株式会社及び合同会社については資本金の金額、匿名組合事業については匿名組合出資金の総額を記載しています。
2.「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しています。
3.「議決権の所有割合、被所有割合又は出資割合」欄には、株式会社及び合同会社については議決権の所有割合、匿名組合事業については匿名組合出資金の出資割合を記載しています。また、( )内は、間接所有割合で内数です。
4.特定子会社に該当しています。
5.苅田バイオマスエナジー株式会社、合同会社杜の都バイオマスエナジー及び合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーについては、当連結会計年度における連結売上収益に占める売上収益(連結会社相互間の内部売上収益を除く)の割合が10%を超えています。IFRS会計基準に基づいて作成された同社の財務諸表における主要な損益情報等は次のとおりです。
(1)苅田バイオマスエナジー株式会社
同社の2025年3月期の損益情報等を記載しています。
(2)合同会社杜の都バイオマスエナジー
同社の2025年3月期の損益情報等を記載しています。
(3)合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジー
同社の2025年3月期の損益情報等を記載しています。
6.ユナイテッドリニューアブルエナジー株式会社(以下「URE」という。)については、当社が議決権の51%を所有する千秋ホールディングス株式会社(「その他11社」に含まれます。)にて69.2%の議決権を所有していることから、当社によるUREの間接所有における当社の持分割合は35.3%となります。
7.徳島津田バイオマス発電所合同会社に対する当社持分は、決議所有権割合で64.4%、出資割合で60.8%、配当割合で70.4%です。
8. 合同会社杜の都バイオマスエナジーに対する当社持分は、決議所有権割合及び出資割合及び配当割合で60.0%です。
9.合同会社石巻ひばり野バイオマスエナジーに対する当社持分は、決議所有権割合及び出資割合で51.0%、配当割合で62.93%です。
10.合同会社御前崎港バイオマスエナジーに対する当社持分は、決議所有権割合及び出資割合で56.0%、配当割合で75.0%です。
11.合同会社唐津バイオマスエナジーに対する当社持分は、決議所有権割合及び出資割合及び配当割合で35.0%です。
12. 「資本金又は出資金」については、現地通貨で表示しています。
13. KIANGAN MINI HYDRO CORPORATIONに対する当社持分は、決議所有権割合で40%、出資割合で86.5%、配当割合で76.3%です。
14.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。
2025年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しています。
2.前連結会計年度末に比べ従業員数が48人増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い中途採用が増加したことによるものです。
2025年3月31日現在
(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(アルバイト、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間における平均人員を( )外数で記載しています。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
3. 前連結会計年度末に比べ従業員数が35人増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い中途採用が増加
したことによるものです。
当社グループには労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しています。
提出会社
管理職に占める女性労働者の割合
男性労働者の育児休業取得率
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。