第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、2030年の未来を見据え、価値共創に向け2つの指針を定めております。

 

 ①経営ビジョン

 「TRY! NEXT JOURNEY ~新たな旅に踏み出そう~」

 ②グリーンズグループ2030年CSR宣言

 “「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」を目指します”

 

 当社グループは、創業以来、宿泊事業を支えてくださる地域社会への感謝の念を大切にし、事業を通じた地域への貢献を企業活動の根幹としてまいりました。また、企業の成長と持続性は「人」によって支えられるとの考えのもと、従業員一人ひとりのキャリアの充実と幸福の実現を重視し、働きがいのある職場づくりに取り組んでおります。今後は、より一層、持続可能な地域社会の実現に向けて、当社グループの事業を通じた地域貢献を強化してまいります。併せて、従業員のキャリア形成支援と活躍の促進を通じて、高品質なサービスと豊かな旅の体験の提供を実現し、顧客価値の創造と企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)経営環境

 宿泊市場の今後の見通しにつきましては、訪日外国人の増加を背景に、宿泊需要は引き続き堅調に推移すると見込まれます。こうした好調な市場環境のもと、顧客ニーズの多様化が進んでおり、当社においても施設・サービスの更なる向上が求められています。一方で、不安定な国際情勢や物価上昇、人件費の増加などにより、コスト高への懸念が続いております。また、国内においては人手不足の問題が深刻化しており、当社においても事業成長を支える人材の確保が課題となっております。このように不確実性の高い経営環境の中、企業に求められる社会的責任も一層重要性を増しております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

当社を取り巻く経営環境を踏まえ、更なる企業価値の創造と持続可能な成長の実現を目指し、新たな中期経営計画「GREENS SUSTAINABLE JOURNEY 2028」を策定しました。本計画期間は、将来のポートフォリオ拡大を通じた持続的な成長を実現するためのケイパビリティの構築に取り組む期間と位置づけており、初年度となる2026年6月期においては、事業基盤の強化と人的資本経営に重点的に取り組んでまいります。

事業基盤の強化においては、高まる宿泊需要を獲得していくため、出店ペースの加速を目指し、積極的な新規店舗の開発・開業を推進してまいります。なお、現時点の計画では、2026年6月期において、茨城県水戸市、北海道札幌市、北海道千歳市の計3事業所の開業を予定しております。また、コスト高の影響を吸収すべく、需要に応じた適正な客室単価の設定に取り組むとともに、価格に見合った価値を提供する商品・サービスを展開してまいります。具体的には、レジャーブランドとロードサイド業態を中心としたブランドの価値向上、既存店舗へのリニューアル投資などを通じて、顧客満足の創造に努めてまいります。

人的資本経営につきましては、社員のだれもが輝けるチームワークと、高水準のサービスを提供するプロフェッショナリズムが両立する、強じんな組織体の構築により、働く人から選ばれる企業を目指してまいります。

 

 中期経営計画「GREENS SUSTAINABLE JOURNEY 2028」における基本方針

 1.需要をとらえた出店加速

 2.レジャーブランド・ロードサイド業態のビジネスモデル確立

 3.人材への投資と、更なる成長に挑戦する組織風土の醸成

 

2026年6月期 単年重点戦略

1.更なる出店拡大を可能とする開発力・運営基盤の強化

2.各ブランドのビジネスモデル進化による収益性・ブランド価値の向上

3.「チームワーク」と「プロフェッショナリズム」を両立できる環境の整備

4.キャリア開発支援に向けた業務モデルの刷新

5.地域社会への奉仕と貢献に携わる仕組み構築

6.既存施設への投資と社内環境向上による盤石な経営基盤の創造

 

(4)目標とする経営指標

 当社グループでは、中期経営計画「GREENS SUSTAINABLE JOURNEY 2028」のもと、以下の経営指標を目標として掲げ、取り組みを進めてまいります。2026年6月期業績予想につきましては、好調な市場環境のもと、各店舗におけるレベニューマネジメントの継続的な強化および新規出店による店舗数の増加により、売上高は過去最高を見込んでおります。利益面においては、エネルギー価格や原材料価格の高騰による運営コストの増加や既存店舗への修繕費用の影響を受けますが、これらのコスト増は客室単価の向上によって吸収され、営業利益・経常利益ともに過去最高を達成する見通しです。一方で、繰越欠損金の解消に伴い法人税等が増加する見込みであり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比で減少する見通しです。以上を踏まえ、売上高53,200百万円、営業利益6,500百万円、経常利益6,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3,600百万円を見込んでおります。

 

 

経営指標

2028年6月期

中期経営計画目標

2026年6月期予想

売上高

 600 億円

 532 億円

営業利益

 70 億円

 65 億円

経常利益

 69 億円

 64 億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

 45 億円

 36 億円

自己資本比率

 54 %

 38 %

ROE

20 %以上

33.8 %

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、60年以上の歴史の中で、企業目的の一つである「地域社会への奉仕と貢献」の考えのもと、地域に密着した社会貢献活動や環境活動を行ってまいりました。

 2018年に「CSR推進委員会」を発足し、グリーンズグループ2030年CSR宣言「環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業」を目指しますを策定しました。また、時代の要請から、2024年7月には「サステナビリティ推進委員会」へと体制を変更、機能の強化を図り、当社グループにおけるサステナビリティに関する取組を推進しております。

 2025年2月には、中期経営計画「GREENS SUSTAINABLE JOURNEY 2028」を策定・発表しました。同中期経営計画では、サステナビリティ推進活動による社会価値向上を起点として、顧客価値・企業価値を向上させ、持続的な成長を図る価値創造モデルを掲げ、人と社会から選ばれるグリーンズグループを目指してまいります。

 

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(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

 当社グループは、2018年に「CSR推進委員会」を発足し、2024年に「サステナビリティ推進委員会」へと体制を変更し、サステナビリティ活動を推進しております。サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長を委員長とし、委員は全社内取締役等により構成され、年4回開催をしております。当社グループでは3つのテーマごとに下部委員会「環境配慮委員会」「コミュニティ支援委員会」「人づくり委員会」を設置しております。下部委員会にて、重点課題解決に向けた取り組みの方針や目標、計画、施策の策定を行い、サステナビリティ推進委員会は下部委員会の取組みに対し、承認や助言、進捗確認等を行っています。
 サステナビリティ活動の推進体制に対するガバナンス体制は以下のとおりです。


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②戦略

 当社グループでは、SDGsや国内同業他社のベンチマーク調査から抽出したサステナビリティ課題に対し、当社グループにおける重要度とステークホルダーにおける重要度を鑑みて、3つのテーマ「環境配慮」「コミュニティ支援」「人づくり」を中心に活動を推進しております。
 

◆重点課題の特定プロセス
STEP1 サステナビリティ課題の抽出
 SDGs等の社会課題や当社の社会からの期待や要望をリストアップ
STEP2 重要課題の特定
 リストアップされた課題と当社のリソース,ステークホルダーにおける重要度を鑑みて重要課題を特定
STEP3 経営層の議論と承認
 サステナビリティ推進委員会(CSR推進委員会)で議論、承認

 

 

 重点課題に対する取組は下記の通りです。
 

テーマ

マテリアリティ(重点課題)

具体的な取り組み

環境配慮

エネルギーと資源利用の最適化

・LEDや空調制御装置の導入

・再生エネルギー、EV充電スタンドの導入

・非化石証書の導入推進

環境や社会に配慮した調達

・環境配慮アメニティへの切替推進

・使い捨てプラ製品削減、再生利用バイオマスプラ製品の使用拡大

環境に配慮したサービスの提供

・CO2ゼロSTAYプランの販売

コミュニティ

支援

コラボレーションによる地域貢献

・広域DMOとの連携

・包括協定・災害時の福祉避難所協定

地域との連携を通じた、「食」におけるお客様の健康づくり

・地元企業とのメニューの共同開発

・子供食堂の運営

人づくり

多様な人材の活躍と平等な機会の提供

・社員の活躍を促進する仕組み構築

・社員の健康課題の調査・対応

・高齢者の働きやすさ向上

お客様が健康で実りある生活を送るための、心と体が元気になるサービスの提供

・お客様、社員の人権に配慮した滞在エクスペリエンスの強化

・職場体験実習、インターン、講習等の実施

 

 これらのマテリアリティ毎に定量指標(KPI)及び目標を設定し、各下部委員会において取組みを着実に実行させ、サステナビリティ推進委員会にて定期的に進捗の確認を行うことでサステナビリティ活動を推進し、社会価値の向上を起点に企業価値を高めてまいります。

 

③リスク管理
 当社グループでは、取締役会直轄で代表取締役が委員長を務める「リスク管理・コンプライアンス委員会」が、全社的なリスクについて、その特定、評価、報告等を行っています。「リスク管理・コンプライアンス委員会」は月に1回開催され、重要事項について、必要に応じて取締役会に報告しています。

 

④指標及び目標
 各テーマの主な定量指標(KPI)については下記の通りです。

 

テーマ

指標

目標(2030年)

実績

環境配慮

温室効果ガス排出量削減

46 %削減

(2013年対比)

27.7 %削減

コミュニティ

支援

店舗展開地域において、包括協定及び災害協定を締結している自治体が属する都道府県の数

42 都道府県

(出店都道府県数)

26 都道府県

人づくり

女性管理職比率

40 %

18.8 %

健康経営優良法人

継続取得

継続取得

 

 

(2)気候変動

①ガバナンス

 気候変動課題に対する当社のガバナンスは、サステナビリティ推進委員会の下部委員会である環境配慮委員会にてCO2排出量の削減目標の策定、及び取組施策の検討・実施を行っています。環境配慮委員会は月1回以上開催し、審議事項及び報告事項は、年4回開催するサステナビリティ推進委員会へ上程しております。

 

②戦略

 当社グループに影響を与える気候変動課題のリスクと機会については下記のように認識しております。

◆リスク

 台風、豪雨といった自然災害の発生及び激甚化による自社施設の被災、交通・物流網の断然による自社施設の運営中止といった直接的なリスクに加え、気温上昇等による収穫量の減少、原材料の高騰といった間接的なリスクを認識しております。

◆機会

 サステナビリティに対する意識が高い顧客や消費スタイルの変化によるこれまでとは異なる新たな顧客を獲得する機会と捉えております。

 

③リスク管理

 気候変動課題に関する当社のリスク管理は、(1)サステナビリティ全般に記載の通りです

 

④指標及び目標

 当社グループは、政府目標に準拠し、2030年度においてCO2排出量46%削減(2013年度比)という目標を掲げ、気候変動に関する取り組みを推進しています。

 当事業年度は2013年度対比27.7%CO2排出量を削減しました。

〈2013年度のCO2排出量(稼働1室あたり):10.6kg-CO2〉

 

 当社の温室効果ガスの排出量については下記の通りです。

 

2025年6月期 排出量

(参考)稼働1室あたり 排出量

Scope 1

9,462t-CO2

2.0㎏-CO2

Scope 2

26,785t-CO2

5.7kg-CO2

 

(3)人的資本に関する取組み

 当社グループは、企業目的の一つである「キャリアの充実としあわせの確保」のもと、持続的な企業価値の向上には、人的資本への投資に取り組むことが重要であると考えています。

 

①人材育成方針及び社内環境整備方針

 

a.人材育成方針

 2024年7月より、企業目的・理念や経営ビジョン、またそれらをブレークダウンした戦略目標実現のため、社員が心がけるべき具体的な行動を明文化した、グリーンズ社員行動基準「Greens Criteria」を導入いたしました。
 
〈Greens Criteria〉
・旅の楽しさを体現する       (専門性)
・新しいことにチャレンジし続ける  (自発性)
・模範的な行動ふるまい       (コンプライアンス)
・本質をとらえる          (課題抽出)
・ワクワクしながら業務に取り組む  (実行推進)
・感動をあたえる          (CS追求)
・人とのつながりを大切にする    (関係構築)

 

 当社グループは、「Greens Criteria」を体現する人材の育成に努めております。

 

b.社内環境整備方針
 

 当社グループでは、ダイバーシティ推進のために「グリーンズグループ Diversity & Inclusion憲章」を制定しております。

 

〈グリーンズグループ Diversity & Inclusion憲章〉

 グリーンズでは、TRY! NEXT JOURNEYを実現するために、性別・年齢・国籍・障がいに関係なく、多様な人材が互いの価値観・ライフスタイル を認め合い、尊重することで、『新たな価値創造の旅』に挑み続けます。

 

 当社グループは、多様な人材が活躍できるよう、社内環境の整備に努めております。

 

②人材育成

 「Greens Criteria」を体現する人材を育成するため、当社グループでは、社長直轄組織である「人材開発室」を設置し、全社的な人材育成に取り組んでおります。

 新卒入社社員に対しては、入社時に基本的なビジネスマナー研修及び事業理解を深める研修を実施しております。その後も入社後3年間にわたり、段階的なフォローアップ教育を通じて、着実な成長を支援しております。中途入社社員に対しては、入社時及び入社6ヶ月後に集合研修の機会を設けております。特に入社6ヶ月後研修では、対面での社長講話や、車いす利用者など障がい者に対する接遇を学ぶ機会のほか、グループワークを通じて同時期入社社員との社内コミュニティ形成を促進する場としても活用しております。

 また、管理職・監督職を志望する社員に対しては、リーダーシップ育成やロジカルシンキング、マネジメントといった、より高度なビジネススキルの習得を目的とした教育プログラムを提供し、次世代のリーダー育成に取り組んでおります。
 さらに、スタッフの自発的な能力開発として、公的資格取得および通信教育講座受講奨励金制度を導入し、スタッフの新たなチャレンジを後押ししております。

 

③多様性

 当社グループでは、多様な人材が活躍できる社内環境の整備を推進しております。

 産前休暇については、法定よりも長い「出産予定日の8週間前」から取得可能とし、育児休業においても、すべての従業員は、理由を問わず養育する子が2歳になる前日まで育児休業を取得できる制度を整備しております。さらに、待機児童となった場合には、最大で子が3歳になる前日まで育児休業を取得できる制度を導入しております。

 また、高齢者の活躍支援の一環として、2025年7月より正社員の定年年齢を満60歳から満65歳へと引き上げ、臨時雇用者(パートタイマー、アルバイトを含む。)を含めた雇用上限年齢は満80歳と定めております。

 当社は、従業員のライフステージに応じた柔軟な働き方を支援しております。choiceできる人事制度として本人の希望に応じて勤務可能な都道府県を選択できる「勤務地区分制度」や、社内公募で選ばれた従業員が全国の当社運営ホテルを2か月単位で旅をしながら働くことができる「トラベラー制度」を導入しております。

 

④指標及び目標
 人的資本に関する定量指標(KPI)については下記の通りです。
 

指標

2025年6月期実績

2026年6月期目標

公的資格新規取得件数

335

370

女性管理職比率

18.8

20.0

男女賃金格差

80.9

82.0

障がい者雇用率

3.17(注1)

3.20(注2)

(注1)障がい者雇用率の実績については、2025年6月1日時点の実績を記載しております。

(注2)障がい者雇用率の実績については、2026年6月1日時点の目標を記載しております。

 

 その他の人的資本に関する管理・公表している主な指標は、下記の当社ウェブサイトにてご覧いただけます。

  https://www.kk-greens-recruit.com/data

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクを十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)売上高の状況に係るリスクについて

 当社グループは、日本国内を主たるマーケットとしてホテル事業を展開しておりますが、同事業における売上は、国内外の政治・経済情勢等による景気動向や天候・気象状況、災害の発生等、様々な要因により影響を受ける可能性があります。

 

①国内景気及び個人消費の動向について

 当社グループは、日本国内を主たるマーケットとしてホテル事業を展開しておりますが、同事業による売上は国内景気や個人消費の動向の影響を受けやすい傾向にあり、企業活動の停滞、雇用情勢の悪化、個人消費の低迷等による個人利用客及び法人・団体利用客の減少が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②訪日外国客の減少について

 当社グループの事業は、訪日外国客の増減により、大きな影響を受けます。訪日外国客数は、日本の経済情勢、為替相場の状況、外交政策による対日感情、自然災害、事故、疫病等の影響を受ける可能性があり、訪日外国客の減少により当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③競争激化について

当社グループの事業においては、競合ホテルの進出や民泊等、多様化する消費者のニーズに対応すべく宿泊サービスも多様化が進んでおり、業界内の競争は激化しております。

当社グループでは、レベニューマネジメントを活用したオペレーション等により、競争力の維持強化に努めておりますが、競合他社が新築又は改築・改装したホテルに対して競争力を維持強化するためには、当社グループのホテルについても改築・改装を含む多額の設備投資の負担が必要となります。また、こうした施策が有効に機能しない場合、価格引下げ等により営業収入が減少し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

④業績の季節変動について

当社グループの事業は、夏季の宿泊者数が増加する一方で、冬季には減少する傾向があり、また冬季にはホテルの改装等、設備投資を実施することが多いことから、第3四半期連結会計期間に売上高及び営業利益が減少する傾向が生じております。

係る季節変動により、当社グループの一時点における業績は通期の業績の分析には十分な情報とならないことがあります。

 

⑤自然災害・事故・感染症の発生等について

当社グループの事業においては、「安心・安全」を重要課題と認識し、施設の安全対策の実施等安全管理には万全の注意を払っております。しかしながら、地震や台風などの自然災害、大規模な事故、テロ行為等が発生した場合、その対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症や、新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合、ホテルの休業や観光客の減少が懸念され、営業収益の減少や対策費用の発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑥収益構造について

当社グループの事業においては、営業コストの相当部分が人件費、減価償却費、ホテル土地建物の賃借料等の固定費で構成されているため、売上高の減少が、営業利益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦固定資産に係るリスクについて

当社グループは、店舗等に係る固定資産の一部を自己保有しておりますが、当該資産について、今後の各店舗の収益悪化や地価の下落にともなう減損損失の発生などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(2)業務運営上のリスクについて

①風評について

 当社グループの事業は、お客様に直接サービスを提供しているため、法令違反、自然災害・事故・感染症等の発生、顧客情報をはじめとする情報漏えい、長時間勤務等の内部告発等が生じた場合を含め、当社グループのブランドイメージが損なわれた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

②法的規制等について

当社グループの事業においては、旅館業法や食品衛生法等の法的規制を受けております。具体的には、旅館業法の事業経営の許可(旅館業法第3条)、食品衛生法の営業許可と施設基準等です。旅館業法においては、宿泊施設ごとに事業経営の許可を受けておりますが、各都道府県の条例にて換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置、客室の有効面積等について定められており、これらに違反すると指導や罰金等の処分がなされる場合があります。また食品衛生法においては飲食店営業等の許可を受けておりますが、許可の更新を行うほか、食品衛生責任者の設置が必要となります。また不衛生な食品の販売が禁じられており、当該施設が調理し、提供した食事によって人の健康を害した場合、営業停止を含む行政指導がされる場合があります。

ホテル物件に関して、建築基準法(特定建築物)、消防法(防火対象物)、市町村の火災予防条例、建築物衛生法等の規制があり、営業上の規制については、廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)、食品リサイクル法、景品表示法、個人情報保護法、下請法等が該当します。建築基準法においては法に定める建築物の建築や改修を行う場合に申請、届け出が必要とされていますが、それらの手続きを経ずに建築等を行った場合においては使用停止、工事停止等の指導がされる場合があり、建築物の用途や構造違反があった場合には指導等がなされる場合があります。また消防法においては宿泊施設の規模に応じた防火管理者を選任し、消防計画の作成及び管轄消防署への届け出などが必要であり、これらに違反した場合、管轄の消防署より指導等を受ける場合があります。さらに防火対象物の用途や規模に応じた消防設備や避難設備等が必要で、設備の不備等があれば改修を行わなければなりません。そして火災の予防や消防活動の障害除去等が必要であり、これらの改修がされていない場合、指摘・指導・改善命令等がなされる場合があります。

当社グループは、これらの法規制の遵守に努めておりますが、現在の規制に重要な変更や新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用が増加する可能性があり、規制に対応できなかった場合は、許認可の取り消しなどにより当社グループの活動が制限される等、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、新たな税制の導入・変更により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

③情報システム・情報管理について

当社グループでは、多くのITシステムを使用しておりますが、これらのシステムについて事故・災害、人為的ミス等により、その機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの事業運営に重大な影響を与え、営業収益の減少または対策費用の発生により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、インターネットを経由した旅行代理店であるオンライントラベルエージェンシー(OTA)をはじめとする他の旅行業者や斡旋業者等他社のシステム障害による影響を受ける可能性があります。

 

④個人情報の漏えいについて

 当社グループでは、宿泊者名簿や宴会における顧客データ等個人情報を含むデータベースを管理しております。当社では、プライバシーマークを取得し、個人情報の管理に十分留意しておりますが、万一、個人情報の流出等の問題が発生した場合、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤食中毒や食品管理について

当社グループでは、ホテルやレストラン、宴会場等で食事の提供を行っております。品質管理や食品衛生には十分注意しておりますが、食中毒事故が発生した場合は営業停止の処分を受けるほか、当社グループの信用やブランドイメージを毀損し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

また、当社グループ以外でも同業他社における産地偽装や、家畜伝染病の発生等の食の安全・安心に関する問題が発生した場合にも、当社グループの営業収益の減少や在庫の廃棄ロスの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

⑥人材の確保及び育成について

 当社グループの事業では、一定数の従業員の確保が必須であり、少子高齢化により今後若年層の人材確保がさらに困難になることが予測され、最低賃金の引き上げや社会保障政策に伴う社会保険料料率の引き上げ等による人件費の上昇、人材不足による既存従業員へのしわ寄せによる長時間労働や、これに伴う離職率の増加、採用コストの増加等により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦光熱費、食材価格、清掃外注費の高騰について

当社グループは、店舗において電気やガスを多く利用しており、不安定な国際情勢並びにそれに起因する原油価格等の上昇の今後の見通しは不透明でありますが、光熱費の高騰により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、当社グループはホテルやレストラン、宴会場等でお客様に食事の提供を行っており、天候不順等による食材価格の高騰により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

加えて、当社ではホテル運営における客室品質の維持のため、客室清掃の外注化を図っておりますが、清掃会社における人材不足等からの清掃委託費用の値上げにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 なお、当社では、業務上のフローに基づき発生しうるリスクを防止するため取締役会の直属の機関としてリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、毎月1回以上の委員会を開催しております。同委員会は、コンプライアンス、財務報告、情報システム、事務手続き、店舗でのオペレーションなど、それぞれに関するリスクのほかその他会社の業務に関し発生しうるリスクに対し総合的かつ迅速に対応し、会社としてリスク管理・コンプライアンス上適切な判断が可能な体制整備をおこなっております。

 

(3)フランチャイズ契約について

当社グループでは、当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンが、チョイスホテルズライセンシング B.V.(チョイスホテルズインターナショナル社の間接的な完全子会社)との間で日本における「マスターフランチャイズ契約」を締結し、また当社は株式会社チョイスホテルズジャパンとの「フランチャイズ契約」により、チョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用し多数のホテルを展開・運営を行っております。

チョイスホテルズインターナショナル社と当社グループでは、取引開始以降、長年にわたり良好な関係を維持しておりますが、当該「マスターフランチャイズ契約」には、一般的な解約事由の他、以下の解約事由が定められております。

本契約の契約期間においては、毎年12月31日を期日とする開発割当店舗数が定められており、当該割当店舗数を達成できなかった場合に解約事由に抵触いたします。ただし、開発不足分の店舗数に応じたフランチャイズ・フィーを相手方に支払うことで1年間の猶予が与えられます。

また、金融機関その他投資関連以外の第三者が株式会社チョイスホテルズジャパンの株式の20%を取得するか、当社の支配権を取得した場合に解約事由に抵触いたします。

加えて同業他社の代表者または代理人が当社もしくは株式会社チョイスホテルズジャパンの取締役に就任した場合にも解約事由に抵触いたします。

これらを含む本契約の解約事由に抵触した場合、当社グループはチョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用できなくなり、営業戦略の見直しやブランド変更に伴う諸費用の増加等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。なお、本書提出日現在において、当該解約事由には抵触しておりません。

また、本契約の期間満了後には新たなマスターフランチャイズ契約を締結する必要があり、契約締結の可否及び契約条件の見直し等により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(4)店舗に係る差入保証金について

当社グループは、店舗用物件の賃貸借契約締結の際に、賃貸人に保証金を差し入れる場合があります。差入保証金は契約期間満了等により賃貸借契約が終了した場合、原則全額が返還される契約となっております。

しかし、差入保証金は預託先の経済的破綻等により、その一部または全額が回収不能となる場合や、賃貸借契約に定められた契約期間満了前に中途解約を行った場合には返還されないことがあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(5)建物について

当社グループでは、ほとんどの物件を賃借によりホテルを運営しておりますが、当該建物の建築時の管理において、耐震偽装や建築データの改ざん等が明らかになった場合、当社グループへの信用やブランドイメージが毀損し、当該ホテルの閉店や客数の減少による損害や、ホテル運営から撤退する場合の費用等の発生も含め当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(6)M&Aが想定どおりのメリットをもたらさないリスクについて

当社グループは、中長期的な事業計画においてM&Aを成長戦略の一環として位置づけ、今後もその機会を追求してまいります。しかしながら、将来のM&Aについては、適切な買収対象があるとは限らず、適切な買収対象があった場合においても、当社グループにとって受入可能な条件で合意に達することができない可能性があり、また買収資金を調達できない可能性、必要な許認可が取得できない可能性、法令その他の理由による制約が存在する可能性があり、買収を実行できる保証はありません。当社グループは、近年、適切な買収対象の選定、M&Aの実行及び被買収事業の当社グループへの統合等につき経験を積み重ねておりますが、将来的なM&Aの成功は、以下のような様々な要因に左右されます。

・買収した事業の運営・商品・サービス・人材を当社の既存の事業運営・企業文化と統合させる能力

・当社グループにおける既存のリスク管理、内部統制及び報告に係る体制・手続きを被買収企業・事業に展開する能力

・被買収事業の商品・サービスが、当社グループの既存事業分野を補完する度合い

・被買収事業の商品・サービスに対する継続的な需要

・目標とする費用対効果を実現する能力

これらの結果、M&Aが想定どおりのメリットをもたらさなかった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(7)会計基準変更に伴うリスク

 当社グループは店舗にかかる資産の多くをオペレーティング・リース取引により調達しており、連結財務諸表上はオフバランス処理となっておりますが、リース会計基準等の変更により、オペレーティング・リース対象資産・負債をオンバランス処理することとなった場合には、リース契約残高相当額が計上されるため、自己資本比率が大幅に減少する可能性があります。

 また、当該リース店舗の収益性が悪化した場合、リース資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当期の経営成績の概況

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

  a.当期の経営成績の状況

当連結会計年度(2024年7月1日から2025年6月30日まで)における我が国経済は、雇用や所得環境の改善による個人消費の持ち直しを背景に、緩やかな回復基調が続きました。一方で、地政学的リスクの高まりや米国の通商政策に対する懸念、国内における物価上昇の継続などにより、景気の先行きに対しては慎重な見方が強まる状況となりました。

ホテル業界におきましては、2025年7月31日に観光庁が公表している最新の宿泊旅行統計調査(2025年5月第2次速報、2025年6月第1次速報)によりますと、2025年5月の延べ宿泊者数は5,564万人泊(前年同月比+2.3%、2019年同月比+8.2%)、6月は4,921万人泊(前年同月比△2.8%、2019年同月比+7.4%)となりました。日本人宿泊者数には緩やかな減少傾向が見られるものの、2025年7月16日に日本政府観光局が公表している訪日外客統計(2025年6月推計値)によれば、2025年の訪日外客数は過去最速の6か月で累計2,000万人を突破したと報じられており、インバウンド需要の高まりによる好況は今後も継続すると見込まれます。

このような事業環境のもと、当社運営ホテルにおいては、客室稼働率を維持しつつ客室単価の向上を図る方針に基づき、各店舗を展開する地域の需要に応じたレベニューマネジメントの強化に取り組みました。客室単価の向上につながるレジャー及びインバウンドの需要を確実に獲得したことで、客室稼働率は、概ね前年並みの80%前後で推移し、客室単価はすべての月において前年同月を上回る結果となりました。

当社グループにおいて宿泊特化型ホテルを中心に全国で展開している「チョイスブランド」では、2024年7月8日のコンフォートイン塩尻北インターを皮切りに、2024年10月4日のコンフォートイン千葉浜野R16まで、計22店舗を開業し、運営室数が大きく増加しました。また、レジャー需要の獲得に向けて、2025年1月30日にコンフォートホテルERA伊勢(三重県伊勢市)、及び2025年2月6日にコンフォートホテルERA東京東神田(東京都千代田区)の2店舗をリブランドしました。加えて、2025年5月29日に和歌山県内2店舗目の出店となるコンフォートホテル紀伊田辺(和歌山県田辺市)を新築で開業しました。

上記の出店戦略に加え、販売施策としては、需要に応じたレベニューマネジメントの強化や、レジャーやインバウンドによる需要の獲得に向けた取り組みとして、レジャー向けブランドであるコンフォートホテルERA及びAscend Hotel Collection™の認知度向上施策等の販促活動の強化を進めました。その結果、客室稼働率は前年同期比0.3ポイント減の80.0%と下回ったものの、客室単価は前年同期比6.4%増の10,398円となりました。また、既存店舗における客室単価向上による増収に加え、新規店舗の増加による収益の純増により、売上高は前年同期比25.1%増の43,146百万円、営業利益は前年同期比26.1%増の8,123百万円となりました。

三重県・東海地方を中心に地域特性に合わせて宴会場等を併設したシティホテルや宿泊特化型ホテルを展開している「オリジナルブランド」及び「その他事業」においては、その地域やホテルの特性を活かした販売施策や企画に取り組みました。売上向上に向けた施策としては、外食店舗、集会店舗の販売経路拡大に加え、各店舗の地域特性や顧客動向に応じたレベニューマネジメントを推進し、客室単価の向上を図りました。その結果、客室稼働率は前年同期比0.7ポイント増の73.9%、客室単価は前年同期比7.9%増の7,250円となりました。2024年6月期より当第1四半期までの期間に3店舗を閉店した影響はありましたが、既存店舗の客室単価の向上により売上高が向上し、売上高は前年同期比0.5%増の6,499百万円、営業利益は前年同期比5.5%増の688百万円となりました。

なお、当社グループ全体の客室稼働率は前年比0.1ポイント増の79.1%、客室単価は前年比7.6%増の9,935円、ホテル軒数は118店舗、客室数はチョイスブランド14,127室、オリジナルブランド2,565室の合計16,692室となっております。

この結果、当連結会計年度の業績は、売上高49,645百万円(前期比21.2%増)、営業利益6,306百万円(前期比25.6%増)、経常利益5,843百万円(前期比21.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,260百万円(前期比7.6%増)となりました。

(注)文中記載の客室稼働率ならびに客室単価は、当連結会計年度における数値となります。月別の数値に関しましては当社ホームページに掲載しております。

      株式会社グリーンズ https://www.kk-greens.jp/

 

 b.当期の財政状態の状況

資産、負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における資産につきましては29,405百万円(前連結会計年度末26,614百万円)と、2,791百万円増加いたしました。

うち流動資産は14,322百万円(同11,462百万円)と、2,859百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加によるものであります。

固定資産は15,083百万円(同15,151百万円)と68百万円減少いたしました。これは主に繰延税金資産の減少によるものであります。

 

負債につきましては19,228百万円(同18,789百万円)と439百万円増加いたしました。

うち流動負債は7,831百万円(同8,649百万円)と817百万円減少いたしました。これは主に短期借入金の減少によるものであります。

固定負債は11,397百万円(同10,139百万円)と1,257百万円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加によるものであります。

 

純資産につきましては10,177百万円(同7,824百万円)と、2,352百万円増加いたしました。これは主にA種優先株式の取得及び消却による資本剰余金及び利益剰余金の減少、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は34.6%となりました。

 

 ②当期のキャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて2,293百万円増加し、10,013百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は7,063百万円となりました。収入の主な内訳は税金等調整前当期純利益5,736百万円、減価償却費638百万円、未払費用の増加額681百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は952百万円となりました。収入の主な内訳は有形固定資産の売却による収入204百万円、支出の主な内訳は有形固定資産の取得による支出796百万円、差入保証金の差入による支出245百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は3,817百万円となりました。収入は長期借入れによる収入9,000百万円、支出の主な内訳は、短期借入金の減少額2,600百万円、長期借入金の返済による支出6,994百万円、自己株式の取得による支出2,428百万円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

 

b.受注実績

 該当事項はありません。

 

 

c.販売実績

    当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはホテル事業の単一セグメントであるため、ブランド別に記載しております。

ブランド及び事業の名称

当連結会計年度

(自 2024年7月1日

   至 2025年6月30日)

前年同期比(%)

 チョイスブランド(百万円)

38,697

112.2

 チョイスブランドRS(百万円)(注)3

4,448

チョイスブランド計(百万円)

43,146

125.1

 オリジナルブランド及びその他の事業(百万円)

6,499

100.5

合  計(百万円)

49,645

121.2

 (注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

3.「チョイスブランドRS」は2024年2月に賃貸借契約の合意書を締結したロードサイドに立地する22物件の総称であり、当該ホテル数の増加に伴う影響を可視化し、数値の比較性を保つために、ブランド別の詳細数値を記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、その結果を資産・負債及び収益・費用の数値に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における資産につきましては29,405百万円(前連結会計年度末26,614百万円)と、2,791百万円増加いたしました。

うち流動資産は14,322百万円(同11,462百万円)と、2,859百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加によるものであります。

固定資産は15,083百万円(同15,151百万円)と68百万円減少いたしました。これは主に繰延税金資産の減少によるものであります。

 

(負債合計)

負債につきましては19,228百万円(同18,789百万円)と439百万円増加いたしました。

うち流動負債は7,831百万円(同8,649百万円)と817百万円減少いたしました。これは主に短期借入金の減少によるものであります。

固定負債は11,397百万円(同10,139百万円)と1,257百万円増加いたしました。これは主に長期借入金の増加によるものであります。

 

(純資産合計)

純資産につきましては10,177百万円(同7,824百万円)と、2,352百万円増加いたしました。これは主にA種優先株式の取得及び消却による資本剰余金及び利益剰余金の減少、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は34.6%となりました。

 

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は49,645百万円(前期比21.2%増)となりました。比較的客室単価の高い都市等への出店割合が増加したことやインバウンド需要の着実な獲得やロードサイド22店舗の出店により、前年を大幅に上回り、収支が大きく改善したことによるものであります。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上高の増加等により売上原価は33,192百万円(前期比20.6%増)、販売費及び一般管理費は10,146百万円(前期比20.4%増)となりました。

(営業利益)

売上の増加により、営業利益は6,306百万円(前期比25.6%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は5,260百万円(前期比7.6%増)となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)当期の経営成績の概況 ②当期のキャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、自己資本の増強及び財務基盤の安定化は重要な課題であると認識しております。アフターコロナにおける成長軌道回帰の実現に必要な投資資金の確保も視野に、資本性のある資金を調達することが必要であるとの考えから、2021年10月19日に、DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当によるA種優先株式及び近畿中部広域復興支援投資事業有限責任組合を割当先とする第三者割当によるB種優先株式を発行し、6,000百万円及び500百万円の資金調達を行いました。

その後、当社が推進してきた構造改革におけるコスト削減の取り組み及び商品力強化や販売機会の創出に加え、新型コロナウイルス感染症収束後の経済の正常化及びインバウンド需要や国内レジャー需要の回復などもあり、当社の収益力及び自己資本は着実に回復したため、2023年8月14日にB種優先株式の全株式に対する取得請求権が行使され、2024年6月28日にA種優先株式2,000株(額面金額2,000百万円)及び2025年6月30日にA種優先株式2,000株(額面金額2,000百万円)の一部償還を実施しております。

また既存借入の借換えを含む運転資金として、総額12,500百万円のシンジケートローン契約を締結しております。

5【重要な契約等】

(提出会社)

1.シンジケートローン契約

 2021年3月26日に締結したシンジケートローン及び資本的劣後ローンの一部の契約期間が満了を迎えることから、現行のシンジケートローン及び資本的劣後ローンを早期返済し、契約金額及び最終返済期日並びに借入金利の見直しを目的として、2025年3月26日にシンジケートローン方式によるコミットメントライン及びタームローン契約を締結しました。

 

 

 トランシェA

 トランシェB

形態

 ファシリティ貸付

(シンジケーション方式コミットメントライン)

 タームローン貸付

(シンジケーション方式タームローン)

契約金額

 4,000百万円

 8,500百万円

合計12,500百万円

借入日

 2025年3月31日

(コミットメント開始日)

 2025年3月31日

最終返済期日

 2026年3月31日

(コミットメント終了日)

但し、1年ごとに4回の延長要請が可能

 2030年3月29日

適用利率

基準金利+スプレッド(変動金利)

資金使途

 既存借入の借換えを含む運転資金

借入先

 アレンジャー:株式会社三菱UFJ銀行

参加金融機関:株式会社三菱UFJ銀行、

株式会社三井住友銀行、株式会社みずほ銀行、

株式会社百五銀行、株式会社第三十三銀行、

株式会社商工組合中央金庫

保証

無保証

担保

無担保

財務制限条項

① 決算期末日の連結貸借対照表の純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期末日又は2024年6月に終了する決算期末日の当該金額のいずれか 大きい方の75%の金額以上に維持する。

② 2期連続して決算期に係る連結損益計算書上の営業損失を計上しない。

 

 

2.チョイスブランドにおけるフランチャイズ契約

(1)マスターフランチャイズ契約

当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンは、チョイスホテルズインターナショナル社の間接的な完全子会社であるチョイスホテルズライセンシング B.V.との間に次の「マスターフランチャイズ契約」を締結しております。

契約締結日

2003年11月4日

契約の名称

マスターフランチャイズ契約書

契約会社名

株式会社チョイスホテルズジャパン

相手先

チョイスホテルズライセンシング B.V.(オランダ)

契約期間

自2004年1月1日

至2033年12月31日

契約の概要

以下の権利とマスターライセンスを株式会社チョイスホテルズジャパンに許諾すること

① 第三者に対し、日本国内でフランチャイズホテルを設置及び運営するライセンスを付与するために最善の努力をすること

② ①に関連する場合に限り商標及び本件システムを使用すること

 

対価:

フランチャイズ契約締結の際、1店舗毎に支払うイニシャル・フィー、ホテルの前月の売上高に応じて支払うロイヤリティ・フィー、広告宣伝活動及び販売促進に関する費用としてマーケティング・フィーを支払う

 

解約条件:

一般的な解約条件の他、以下の事由による。

① 毎年12月31日を期日とする開発割当店舗数が定められており、当該割当店舗数を達成できなかった場合。ただし、開発不足分の店舗数に応じたフランチャイズ・フィーを相手方に支払うことで1年間の猶予が与えられる。

② 金融機関その他投資関連以外の第三者が株式会社チョイスホテルズジャパンの株式の20%を取得するか、当社の支配権を取得した場合

③ 同業他社の代表者または代理人が当社もしくは株式会社チョイスホテルズジャパンの取締役に就任した場合

(注)1.本書提出日現在において、上記解約事由のいずれにも抵触しておりません。

2.契約期間については2019年9月に2024年1月1日から2033年12月31日までの契約期間の延長に関する契約を締結しております。

 

(2)フランチャイズ契約

当社は当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンとの間に次の「フランチャイズ契約」を締結しております。

契約締結日

店舗による(対象店舗数:97店舗)

契約の名称

フランチャイズ契約書

契約会社名

株式会社グリーンズ

相手先

株式会社チョイスホテルズジャパン

契約期間

店舗毎に契約締結日から10年間

契約の概要

当社の連結子会社である株式会社チョイスホテルズジャパンから、チョイスホテルズインターナショナル社が保有する商標(ブランド名称)を使用してホテルを営業する許諾を得るフランチャイズ契約

 

対価:

フランチャイズ契約締結の際、1店舗毎に支払うイニシャル・フィー、ホテルの前月の売上高に応じて支払うロイヤリティ・フィー、広告宣伝活動及び販売促進に関する費用としてマーケティング・フィー、予約システムの利用料としてリザベーション・フィー、旅行会社への手数料支払代行費用としてトラベルエージェント・プロセシング・フィーを支払う

 

3.第三者割当による優先株式の発行

 当社は、2021年9月27日開催の第58回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)において、第三者割当によるA種優先株式およびB種優先株式を発行すること、並びにA種優先株式およびB種優先株式に関する規定の新設等に係る定款の一部変更を行うこと、本第三者割当増資、2021年10月19日を効力発生日として、本第三者割当増資後の資本金および資本準備金の額を減少し、その他資本剰余金へ振り替えることに係る各議案を付議することを決議いたしました。これを受けて、同日付で当社は割当先との間で投資契約を締結しております。本定時株主総会において各議案が承認可決され、2021年10月19日に振込が完了しております。

 なお、近畿中部広域復興支援投資事業有限責任組合を引受人とするB種優先株式の発行に関し、近畿中部広域復興支援ファンドとの間で締結した株式投資契約について、アフターコロナの中、全国旅行支援やインバウンド需要の回復等もあり、客室稼働率及び客室単価はコロナ禍以前の水準を大幅に上回り、当社業績は堅調に回復したことから、将来の配当負担の軽減を目的に、2023年8月14日、B種優先株式を償還(普通株式への転換)する内容で本投資契約の一部を変更する変更覚書を締結いたしました。

 A種優先株式の内容は、「4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (1)株式の総数等 ②発行済株式」に記載のとおりであります。また、A種優先株式の割当先は以下の通りです。

 

株式の種類

割当先

払込期日

株数

金額

A種優先株式

DBJ飲食・宿泊支援ファンド投資事業有限責任組合

2021年10月19日

2,000株

2,000百万円

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。