文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、独自のペプチド技術を用いた製品開発を通して社会課題を解決することを目指し、以下の経営理念の下、事業を推進しております。
[ Mission ]
ファンペップは、ペプチド技術を追求し、人々が幸せに暮らせるように貢献します
[ Vision ]
ペプチドで元気を世界へ
元気とは、心身の活動の源となる力。健康とは、心身が健やかなこと。
私たちファンペップは、ペプチドの研究開発を通じて、世界の人々を健康にするだけではなく、元気を与えられるような会社を目指します。
(2)経営戦略等
技術領域は、機能性ペプチドを基礎とする領域及びこれとシナジーを有する関連する領域と定めております。創薬活動のプラットフォーム技術を強みとし、医薬品の研究開発を中心とした事業展開をしてまいります。
当社グループは、大阪大学発の創薬系バイオベンチャー企業であり、大学の研究成果を製薬会社への橋渡しに向けてインキュベートする役割を担っております。大学の技術シーズを生かした基礎研究から、開発品の開発規模(試験規模及び必要資金規模)を踏まえ、一定段階の臨床試験や承認申請までを実施して開発品の価値向上を図り、技術シーズのインキュベーションを行う方針であります。
医薬品は、研究開発の期間が長く、多額の資金も必要となることから、研究開発の早期段階から製薬会社等との提携体制を構築し、研究開発段階の提携収入等により研究開発投資に伴う財務リスクの低減を図りながら研究開発を進めていく方針であります。そして、当社グループの開発品が将来上市に至った場合に提携製薬会社から受け取るロイヤリティー収入等によって本格的な利益拡大を実現する計画であります。
(3)経営環境
医薬品業界では研究開発の難易度が上昇しており、製薬会社は、従来の主役であった低分子医薬に加え、抗体医薬、遺伝子医薬、細胞医薬・再生医療等の新しいタイプの創薬シーズ・モダリティを外部の創薬系バイオベンチャー等から導入して研究開発パイプラインに取り入れる動きが続いています。
当社グループが取り組んでいる抗体誘導ペプチド等の機能性ペプチドも新しいタイプの創薬シーズであり、当社グループは、大学等のシーズをインキュベーションして製薬会社に橋渡しすることで、医薬品業界における役割を果たしていきたいと考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、機能性ペプチドに関する大学発の技術シーズを主に医薬品分野に応用することで、社会に貢献することを目指しております。このような背景のもと、当社グループは、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。
① 研究開発パイプラインの充実
当社グループの将来収益の源泉は、抗体誘導ペプチドを次々と生み出すプラットフォーム技術であります。
当社グループは、当社グループの強みである抗体誘導ペプチドを創出するプラットフォーム技術「STEP UP」に基づき、大阪大学大学院医学系研究科との連携のもとで新規開発品や研究テーマを拡充して研究開発パイプラインの強化を図ってまいります。
② 製薬会社等との提携契約の獲得
医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいことから、当社グループは、研究開発の早期段階から製薬会社等との提携関係を構築し、その提携収入等により、研究開発遂行上の財務リスクの低減を図っていく方針であります。
このため、当社グループは、ライセンス契約や共同研究契約等の新規提携契約を獲得できるように努めてまいります。
③ 研究開発資金の調達
研究開発を継続的に実施するため、開発品や研究テーマに充当する研究開発資金が必要となります。
当社グループといたしましては、製薬会社等との提携により研究開発資金の確保を図る一方で、資本市場からの資金調達を行う方針であります。
④ 人材の獲得
当社グループは、開発品や研究テーマが増えて研究開発パイプラインが拡充する中で、製造や研究開発に関する外部委託を積極的に活用しながら研究開発部門の人材の拡充を図ってまいります。
また、管理部門では、効率的な内部統制を構築し、少人数による運営体制を構築しておりますが、必要に応じて適切な人材を採用していく方針であります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営上の目標は、当社グループが創生した機能性ペプチドを実用化して社会に貢献するとともに、その製品販売に伴う収入によって利益拡大を実現することであります。しかしながら、当社グループの医薬品分野の開発品はすべて研究開発段階にあり、また上市に至るまでの研究開発は長期間にわたることから、経営目標の達成状況については、財務指標ではなく、研究開発パイプラインの進捗状況によって把握しております。したがって、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な財務指標等は特に定めておりません。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「ペプチド技術を追求し、人々が幸せに暮らせるように貢献します」をMissionとして事業を推進しております。このMissionは、グローバルな社会課題を解決し持続可能な世界を実現するための国際目標として国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)の「3.すべての人に健康と福祉を」に向けて課題解決を図るものです。当社グループでは、主要事業である医薬品の研究開発事業をサステナビリティ関連の事業機会として捉えております。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「
また、事業を推進するうえで、多様な人材の確保及び育成は重要な経営課題となっております。当社グループでは、フレックス勤務制度の導入、必要に応じたリモートワーク体制の構築等により社員のワークライフバランスの実現を図るなど、人材確保のための各種制度の整備を行っております。
(2)戦略
当社グループは、主要事業である医薬品の研究開発事業をサステナビリティ関連の事業機会として捉えて経営戦略を実行しております。詳細は、「
(3)リスク管理
当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループは、主要事業である医薬品の研究開発事業を、サステナビリティ関連の事業機会として捉えております。当該事業の指標及び目標の詳細は「
当社グループの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中には当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくは当社グループの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。
当社グループはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、更にこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。
また、当社グループは、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、当社グループへの投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)機能性ペプチド事業に関するリスク
① 機能性ペプチドの実用化リスク
機能性ペプチドは、医薬品、化粧品及び食品等の幅広い事業分野で実用化されております。
例えば、生体内のペプチドには、体内の器官の働きを調整するための情報伝達を担うホルモン等(インスリン、グルカゴン、カルシトニン等が含まれます)があり、タンパク質のように生体内で機能を担っております。これらのホルモン由来の機能性ペプチドは、がんや糖尿病領域の医薬品として発売されております。また、タンパク質の分解過程で生じるペプチドが機能を持っていることもあり、血圧降下ペプチド等の特定保健用食品等の食品分野やスキンケア又はヘアケア商品等の化粧品分野で利用されています。
当社グループにおいても、機能性ペプチドを医薬品及び化粧品分野等に応用して実用化を図っていく方針ですが、商品開発の過程では、市場性、差別化ポイント及び採算性等の様々な観点から検討を重ねる必要があり、商品化が延期もしくは中止された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループのプラットフォーム技術に関するリスク
当社グループの強みは、機能性ペプチドの一種である抗体誘導ペプチドを創生するプラットフォーム技術「STEP UP」を保有していることであります。
当社グループは、プラットフォーム技術に基づき、大阪大学との共同研究等によって、抗体誘導ペプチドを創出する研究開発を行っております。そして、これらの抗体誘導ペプチドの研究開発を推進するとともに、事業会社との提携契約を締結し、収益を獲得することを目指しております。
当社グループは、今後も、プラットフォーム技術の改良に努めていく方針ですが、当社グループ以外の研究機関が優位性を持つ技術を開発するなど、当社グループのプラットフォーム技術が競争力を失う場合には、抗体誘導ペプチドの実用化や事業会社との提携が困難となり、当社グループの事業戦略、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 医薬品業界及び研究開発に関するリスク
機能性ペプチドの応用分野の中でも、現時点での事業計画に対して影響が大きい医薬品分野については、発売(上市)に至るまでのリスクが高い事業分野であります。従いまして、下記に医薬品事業特有のリスクを記載いたします。
(A)医薬品研究開発の不確実性
医薬品の研究開発には多額の資金と長期にわたる期間を要しますが、臨床試験で有用な効果を確認できないことや、競合品の開発進展や上市及びその他の理由により研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことや追加資金が必要になることは稀ではありません。医薬品は、安価な後発品発売を回避できる特許権存続期間等の独占的期間内に投資回収を行う必要があることから、開発が延長された場合には投資を回収できなくなるリスクもあります。また、世界の主要国において医薬品を製造及び販売するためには、各国の薬事関連法規等の法的規制の下、各国別に厳格な審査を受ける必要があり、この審査に耐えうる有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られない場合には、予定していた時期に上市ができず延期になる、又は上市を断念する可能性があります。
このように、当社グループの研究開発パイプラインに含まれる機能性ペプチドが上市して安定的な収益が得られるまでには、上記に記載した様々な研究開発リスクが存在します。当社グループは科学技術顧問や医学アドバイザー等からの助言や規制当局との相談制度を通じて、研究開発リスクの顕在化の防止を目指しています。しかしながら、当社の医薬品候補物質は、今後上市に至るまでに数年以上の期間を要するうえ、臨床試験において期待する効果・安全性が示される必要等があり、現時点で上市後の安定的なロイヤリティー収益が確定しているわけではありません。
当社グループといたしましては、研究開発の早期段階から事業会社との提携により収益を獲得していく方針でありますが、製薬会社等に導出した医薬品候補物質が上市に至る前に開発が延長や中止に至った場合には、その後受け取る計画の収益は影響を受け、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(B)副作用発現、製造物責任
医薬品には、臨床試験段階から更には上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。当社グループは、自社で臨床試験を実施する場合には、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入する予定ですが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、当社グループに対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブ・イメージにより、当社グループ及び当社グループの製品に対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。この結果、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、化粧品分野についても同様のリスクがあります。
(C)競合
医薬品の研究開発は、国内外の製薬会社やバイオベンチャー企業により激しい競争環境の下で行われております。他社競合品の開発進展や上市に伴い、上市後の販売価格や販売シェアへの影響により提携製薬会社からのロイヤリティー収入が減少するリスクや、提携製薬会社が事業性の観点から当社グループとの契約を終了するリスクがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(D)医療費抑制策
世界の医薬品市場の主要国においては、医療費抑制策が強化されております。また、日本国内においても、政府は増加の続く医療費を抑制するため、定期的に薬価引き下げを実施するほか、後発医薬品の使用促進策の導入を進めております。今後の医療費抑制策の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業遂行上のリスク
① 特定の提携契約への依存及び収益の不確実性
当社グループは、下記の提携契約を締結しており、これらの提携契約による収益を中心とした事業計画を策定しております。
・2015年10月に、塩野義製薬株式会社との間で機能性ペプチドSR-0379の全世界における独占的研究開発・商業化権を供与するライセンス契約を締結
・2018年3月に、大日本住友製薬株式会社(現住友ファーマ株式会社)との間で抗体誘導ペプチドFPP003の北米における独占的開発・商業化権を供与するライセンス契約に関するオプション契約を締結
・2024年3月に、塩野義製薬株式会社との間で抗体誘導ペプチドFPP004Xの全世界における独占的研究開発・商業化権を供与するライセンス契約に関するオプション契約を締結
しかしながら、このような提携契約は、契約条項違反が一定期間内に是正されない場合など契約に規定された何らかの要因により、契約期間満了前に終了する可能性があります。現時点では契約が終了となる状況は発生しておりませんが、本契約が終了した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、機能性ペプチドSR-0379、抗体誘導ペプチドFPP003及び抗体誘導ペプチドFPP004Xが上市する前の収益として、開発マイルストーン収益を見込んでおりますが、この発生時期は開発の進捗に依存した不確実性を伴うものであり、開発が遅延した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
今後も、事業会社との新規提携契約により、上記の3つの提携契約への依存度を低減していく方針でありますが、新規提携契約を獲得できる保証はありません。
② 小規模組織及び少数の事業推進者への依存
当社グループは、本書提出日現在、取締役5名、監査役3名及び従業員15名(従業員兼務役員2名含む)の小規模組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっております。従業員の成長こそが当社グループの成長を支える要素であり、当社グループは人材の育成を積極的に推進すると共に、今後、業容拡大に応じて社内外ネットワークを活用し、確かな技術・能力・成長意欲のある人材採用を行い、内部管理体制の充実を図る方針であります。
また、当社グループの事業活動は、当社の創業者であり代表取締役社長である三好稔美を始めとする現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者に依存するところがあります。
研究開発については、当社グループの強みであるプラットフォーム技術「STEP UP」は、少数の当社グループの研究者が保有する技術ノウハウを含んでおります。
当社グループは、当該技術ノウハウの確保及び発展の見地から、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合、並びに人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の技術シーズへの依存
当社グループの研究開発活動は、大阪大学大学院医学系研究科の技術シーズに基づくものが中心であります。当社グループは、現在、機能性ペプチドの一種である抗体誘導ペプチドの創生に向けて大阪大学と共同研究を実施しており、更に他大学との共同研究も実施しております。今後も、大学等の研究機関との間で共同研究等により連携を拡大していく方針であります。しかしながら、今後、何らかの要因により、大阪大学又は他大学等との連携ができなくなった場合には、当社グループの研究開発戦略に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権
当社グループでは研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しております。FPP003、FPP004X及びFPP005の開発は、「5 経営上の重要な契約等 (1)技術導入」に記載した大阪大学からのライセンス契約を前提としておりますが、これらのライセンス契約が解除された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります(ただし、契約が解除されるのは、当社グループの債務不履行が発生し、その状態が改善されない場合などに限定されます)。
一方、当社グループが保有している現在出願中の特許は全て成立する保証はなく、また、特許権が成立した場合でも、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発により、当社グループの特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社グループの特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは他社の特許権の侵害リスクを未然に防止するための特許調査を実施しており、これまでに、当社グループの開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、当社グループのような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
主な特許
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対象 |
発明の名称 |
所有者 |
出願番号 |
登録状況 |
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SR-0379 |
血管新生誘導活性及び抗菌活性を有するポリペプチド及びそれを含有する創傷治療剤 |
当社 |
PCT/JP2010/58838 |
日本、米国及び欧州の主要国において特許権が成立しております。 |
|
FPP003 |
疾患の要因となる生体内タンパク質を標的とするコンジュゲートワクチン |
当社 |
PCT/JP2017/012187 |
日本、米国及び欧州の主要国において特許権が成立しております。 |
|
FPP003 FPP004X FPP005 |
抗老化作用を有するペプチドおよびその利用 |
大阪大学 (注) |
PCT/JP2014/058786 |
日本、米国及び欧州の主要国において特許権が成立しております。 |
|
FPP003 FPP004X FPP005 |
新規ペプチドおよびその用途 |
大阪大学 (注) |
PCT/JP2015/077139 |
日本、米国及び欧州の主要国において特許権が成立しております。 |
(注)当社の連結子会社株式会社ファンペップヘルスケアは、大阪大学より独占的通常実施権の許諾を受けております。対象のライセンス契約は、「5 経営上の重要な契約等 (1)技術導入」に記載しております。
(3)業績等に関するリスク
① 社歴の浅さ
当社は、2013年10月に設立された社歴の浅い企業であります。当社グループは、医薬品業界において豊富な経験を有する経営陣及び各部門責任者により運営されているものの、企業としては未経験のトラブルが発生する可能性は否定できず、その場合の組織としての対応能力については、一定のリスクがあります。
② 収益が大きく変動する傾向
当社グループの事業収益は、事業会社との新規提携契約の契約一時金、研究開発進捗に伴う開発マイルストーン等への依存度が高いため、当面の業績は不安定に推移することが見込まれます。この傾向は、当社グループの開発品が上市され安定的な収益基盤が確立するまで続く見込みであります。
③ 資金繰り
抗体誘導ペプチドを含む機能性ペプチドの研究開発には多額の資金を要します。当社グループは、事業会社との提携による研究開発資金の調達や、必要に応じて適切な時期に資本市場等からの資金調達を実施し、財務基盤の強化を図る方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、当社グループの研究開発の進捗に対して重大な影響が生じる可能性があります。また、研究開発の進捗状況によっては、それぞれの機能性ペプチド等の研究開発資金が当初の予定金額を上回る可能性や他のプロジェクト等に充当される可能性もあります。
④ 調達資金使途
2020年12月の株式上場にて公募増資等により調達した資金は、機能性ペプチドSR-0379及び抗体誘導ペプチドの研究開発費等に充当する計画であります。また、2024年3月の第三者割当増資により調達した資金は、抗体誘導ペプチドFPP004Xの開発費に充当する計画であります。ただし、特に医薬品分野における研究開発活動の成果が収益に結びつくには相応の期間を要する一方で、研究開発投資から期待した成果が得られる保証はなく、その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。また、研究開発の進捗状況によっては、それぞれの機能性ペプチド等の研究開発資金が当初の予定金額を上回る可能性や他のプロジェクト等に充当される可能性もあります。
⑤ 新株式発行による資金調達
当社グループは、増資等により新株式発行を伴う資金調達を実施する可能性があります。その場合には、当社の発行済株式総数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。
⑥ 新株予約権の権利行使
当社グループは、ストック・オプション制度を採用しております。本制度は、当社取締役、監査役、従業員及び社外協力者に対して、業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点で有効であると当社グループは認識しております。また、今後も優秀な人材の確保のため、同様のインセンティブ・プランを継続する可能性があります。
本書提出日の前月末現在における当社の発行済株式総数は24,236,500株であり、ストック・オプションが行使された場合は、新たに1,340,000株の新株式が発行され、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。今後発行される新株予約権が行使された場合にも、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
⑦ 配当政策
当社は、設立以来、配当を実施しておりません。また、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針であります。
しかしながら、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ、配当による利益還元の実施を検討したいと考えておりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(4)その他
① 自然災害
当社グループは、事業活動の中心となる設備や人員が大阪と東京の2箇所に集中しております。また、研究開発活動の主要な部分を国内外の製造・研究開発委託機関にアウトソーシングしております。
したがって、これらの地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、研究開発の遅延、事業活動の停滞によって、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
2019年12月以降、日本を含む世界各地で新型コロナウイルス感染症の患者発生報告は続いており、世界保健機関(WHO)も2020年3月に当該感染症をパンデミック(世界的大流行)と宣言しております。
この影響により、当社グループの様々な事業活動が制約を受け、研究開発が遅延するなどの可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,012,483千円となり、前連結会計年度に比べ461,622千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が452,060千円減少したことによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定資産は478,651千円となり、前連結会計年度に比べ39,937千円減少いたしました。これは主に減価償却費33,734千円及びのれん償却額9,830千円を計上したことによるものであります。
この結果、資産合計は2,491,134千円となり、前連結会計年度に比べ501,559千円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は76,554千円となり、前連結会計年度に比べ99,134千円減少いたしました。これは主に、未払金が40,868千円、前受金が39,391千円減少したことによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定負債は112,770千円となり、9,649千円減少いたしました。これは、繰延税金負債が9,649千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は189,325千円となり、前連結会計年度に比べ108,783千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,301,809千円となり、前連結会計年度に比べ392,776千円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失933,416千円を計上したものの、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ271,661千円増加したことによるものであります。なお、2023年3月29日開催の第10期定時株主総会決議に基づき、欠損填補として2,678,169千円を資本剰余金から利益剰余金へ振替えております。
この結果、自己資本比率は92.4%(前連結会計年度末は89.9%)となりました。
② 経営成績の状況
医薬品業界では新薬の研究開発の難易度が上昇しており、製薬会社は、従来の主役であった低分子医薬に加え、抗体医薬品、遺伝子医薬品、細胞医薬品・再生医療等の新しいタイプの創薬シーズ・モダリティ(創薬技術)を創薬系ベンチャー等から導入して研究開発パイプラインの強化を図っております。
当社グループが取り組んでいる抗体誘導ペプチド等の機能性ペプチドも新しいタイプの創薬シーズ・モダリティであり、当社グループは、大学等のシーズをインキュベーションして製薬会社に橋渡しすることで、医薬品業界における大学発創薬系ベンチャーの役割を果たしていきたいと考えております。この役割を担うため、当社グループは、大阪大学をはじめとする大学等の研究機関との間で、共同研究等により連携を図り、大学の技術シーズを生かした基礎研究を実施しております。更に、当社グループは、開発品の開発規模(試験規模及び必要資金規模)を踏まえ、医薬品の研究開発プロセスのうち、基礎研究から、一定段階の臨床試験や薬事承認までを実施して技術シーズのインキュベーションを行う方針です。
一方、医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいことから、当社グループは、研究開発段階から製薬会社等との提携体制を構築し、その提携収入等により、研究開発遂行上の財務リスクの低減を図っていく方針です。医薬品の研究開発段階においては、契約一時金、研究開発協力金及び開発マイルストーンを受け取り、当社グループの開発品が将来上市に至った場合には、提携製薬会社からのロイヤリティー収入等によって本格的な利益拡大を実現する計画です。
このような業界環境及びビジネスモデルのもと、当社グループは、大阪大学大学院医学系研究科の研究成果である機能性ペプチド「AJP001」を強みとして展開する抗体誘導ペプチドプロジェクトと機能性ペプチド「SR-0379」を中心に研究開発を進めております。
(A)抗体誘導ペプチドプロジェクト
当社グループの創薬活動の強みは、機能性ペプチド「AJP001」を利用した抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術「STEP UP(Search Technology of EPitope for Unique Peptide vaccine)」を保有していることです。機能性ペプチド「AJP001」は、通常は免疫反応が起こらない体内の疾患関連タンパク質(自己タンパク質)に対して免疫反応を引き起こして抗体を産生させる機能をもっており、当社グループは、この機能を活用して、慢性疾患に対するペプチド治療ワクチン「抗体誘導ペプチド」の研究開発を進めています。
難治性の慢性疾患に対しては、バイオテクノロジーを活用した抗体医薬品が有効な治療薬として臨床の現場で広く使用されています。体外で人工的に製造する抗体医薬品と異なり、体内で抗体を産生させる抗体誘導ペプチドは、(抗薬物抗体を原因とする)効果の減弱が起こらず、長期にわたって治療効果を維持することが期待されます。さらに免疫細胞が一定期間抗体を産生するため、薬剤の投与間隔(数ヶ月に1回の注射)が長くなり投薬の頻度が少なくなるため、服薬アドヒアランス(服薬遵守)及び利便性の改善により患者様のQOL(Quality of life)の向上が見込まれます。また当社グループは、化学合成で製造可能な抗体誘導ペプチドを、高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制する代替医薬品として開発することで、先進国で深刻化する医療財政問題の改善にも貢献できるものと考えております。
(a)抗体誘導ペプチド「FPP003」(標的タンパク質:IL-17A)
FPP003は、標的タンパク質IL-17Aに対する抗体誘導ペプチドの開発化合物です。先行する抗IL-17A抗体医薬品は、尋常性乾癬、強直性脊椎炎、関節症性乾癬及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等の幅広い薬事承認を取得しており、既に世界市場は数千億円規模まで拡大しております。
当社グループは、2019年4月からFPP003の尋常性乾癬を対象疾患とする第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験をオーストラリア(注)で進めました。本試験は当社グループの抗体誘導ペプチドをヒトに初めて投与する臨床試験(FIH (First in Human) 試験)です。本試験において、FPP003投与症例の約8割(高用量コホート、陽性率78%(9例中7例))で抗IL-17A抗体(標的タンパク質IL-17Aエピトープに対する抗体)の抗体価の持続的な上昇が確認されました。安全性に関しては、ワクチンで頻繁にみられる局所反応以外に特に臨床的に問題となるものはみられませんでした。本試験結果は、当社グループの抗体誘導ペプチドが慢性疾患の標的タンパク質である「自己タンパク質」(IL-17A)に対して抗体誘導することをヒトで初めて示したものです。
また、強直性脊椎炎を対象とする開発については、医師主導治験として第Ⅱa相臨床試験が開始されました。
なお、FPP003に関しては、住友ファーマ株式会社との間でオプション契約を締結しており、同社は、北米での全疾患に対する独占的開発・商業化権の取得に関するオプション権を保有しております。
(注)オーストラリアでの臨床試験データは米欧等での承認申請に使用可能であり、次相以降は米国等での臨床試験を想定しております。
(b)抗体誘導ペプチド「FPP004X」(標的タンパク質:IgE)
FPP004Xは、標的タンパク質IgEに対する抗体誘導ペプチドの開発化合物です。
IgEはアレルギー反応に重要な役割を担っており、アレルギー疾患の発症に関与しております。標的タンパク質IgEに対する抗体誘導ペプチドFPP004Xは、体内で免疫細胞が一定期間IgEに対する抗体を産生させることから、花粉症に対する持続的な効果が期待されます。この効果の持続期間が長いというワクチンの特長により、当社グループは、花粉症のシーズン(飛散時期)前に投与すればシーズンを通して症状を緩和できる、患者様にとって利便性の高い新しい治療選択肢を提供することを目指してFPP004Xの医薬品開発を進めてまいります。
FPP004Xの前臨床試験は2023年6月から開始しております。
なお、FPP004Xは、2023年8月に株式会社メディパルホールディングスから、抗体誘導ペプチドの研究開発支援に関する提携契約に基づく有望な開発品として、利益分配等の対象開発品に選定されております。
(c)抗体誘導ペプチド「FPP005」(標的タンパク質:IL-23)
FPP005は、標的タンパク質IL-23に対する抗体誘導ペプチドの開発化合物です。
先行する抗IL-23抗体医薬品は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の幅広い疾患を対象に開発が進んでおります。
FPP005は、開発品プロファイルのさらなる向上を目指し、株式会社メドレックスとの間で共同研究中のマイクロニードル技術を始めとする新規製剤技術の研究を進めております。
(d)抗体誘導ペプチドの研究テーマ
抗体誘導ペプチドの探索研究は、大阪大学大学院医学系研究科との共同研究により実施しております。
抗体医薬品の代替医薬品として、片頭痛、アレルギー性疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの研究を行っており、新たにアンメットメディカルニーズが高い疾患のアルツハイマー病を対象とする研究も開始いたしました。更に生活習慣病の高血圧及び抗血栓を対象とする抗体誘導ペプチドの研究、熊本大学との共同研究により脂質異常症を対象とする抗体誘導ペプチドの研究、東京大学大学院医学系研究科が採択されたAMEDの研究開発プログラムの研究テーマとして心不全を対象とする抗体誘導ペプチドの研究に取り組んでおります。
また、住友ファーマ株式会社との間で精神神経疾患を対象とする抗体誘導ペプチドの研究契約を締結し、製薬会社とのアライアンスのもとでの探索研究にも取り組んでおります。
(B)新型コロナペプチドワクチン「FPP006」
FPP006は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するペプチドワクチンの開発化合物です。
当社グループは、大阪大学大学院医学系研究科との連携のもと、抗体誘導ペプチドの技術基盤を活用し、新型コロナペプチドワクチンの研究開発を行っております。
既存のワクチンはウイルス全体や標的タンパク質(mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン及び組換えタンパク質等)を抗原として用いて免疫を誘導するのに対し、FPP006は、ウイルスの変異の報告がないペプチド配列(エピトープ)を選択して効率的に免疫を誘導するのが特徴です。この特徴を活かして、高効率で副反応が少なくウイルスの変異の影響を受けないワクチンになることが期待されます。
(C)機能性ペプチド「SR-0379」
SR-0379は、皮膚潰瘍を対象疾患とする開発化合物です。皮膚のバリア機能が欠損して様々な細菌が創面に付着している皮膚潰瘍の治療には、細菌、感染のコントロールが重要です。SR-0379は、血管新生や肉芽形成促進による創傷治癒促進作用に加え、抗菌活性を併せ持つことが強みです。当社グループは、SR-0379の開発により、高齢化社会を迎え重要性が増している褥瘡等の皮膚潰瘍の早期回復を促進し、患者様のQOL向上に貢献することを目指しております。
SR-0379の開発は、複数のアカデミア主導の医師主導治験、更に企業治験を経て、現在、塩野義製薬株式会社と当社グループの共同開発により日本での開発を進めております。2022年11月に公表した第Ⅲ相臨床試験の速報結果において、SR-0379群はプラセボ群と比較して、統計学的に有意な差には至らなかったものの、主要評価項目(「簡単な外科的措置に至るまでの日数」)を改善する傾向がみられました。安全性に関しては、治験薬と因果関係がある有害事象はなく、SR-0379の高い安全性が確認されました。当社グループは、現在、本試験の事後解析の部分集団解析で効果がみられた特定の皮膚潰瘍患者を対象とする開発について、提携先の塩野義製薬株式会社との間で開発方針の協議を進めております。
(D)医薬品以外の事業分野
(a)機能性ペプチドの販売
医薬品以外の事業分野においては、2018年3月に株式会社ファンケルから「マイルドクレンジングシャンプー」、更に2020年4月に株式会社SMV JAPANから「携帯アルコール除菌スプレー」等が発売され、当社グループの機能性ペプチドを含有する商品が販売されております。
これらの商品販売に関し、当社グループは化粧品原料商社又は販社に対して機能性ペプチドを販売しております。
(b)機能性ペプチド配合製品の共同開発
当社グループは、事業会社との間で機能性ペプチド配合製品の共同開発に取り組んでおります。
2022年2月に株式会社サイエンスとの間で創傷用洗浄器の共同開発契約、2022年12月に株式会社ASメディカルサポート及び株式会社N3との間で幹細胞化粧品の共同開発契約、2023年2月に株式会社サンルイ・インターナッショナルとの間でフェムテック化粧品の共同開発契約を締結しました。
以上の事業を進めた結果、当連結会計年度の業績は、事業収益530千円(前年同期は事業収益1,067千円)、営業損失994,108千円(前年同期は営業損失1,169,069千円)、経常損失940,420千円(前年同期は経常損失1,175,229千円)、親会社株主に帰属する当期純損失933,416千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,172,515千円)となりました。
なお、当社グループは医薬品等の研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。
・事業収益
化粧品分野向け等の機能性ペプチド販売額530千円を計上いたしました。
・事業費用、営業損失、経常損失及び当期純損失
事業費用は、前連結会計年度に比べ175,497千円減少し、994,638千円となりました。
研究開発費はSR-0379の臨床試験費用等の減少により、前連結会計年度に比べ231,537千円減少の680,817千円、その他の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ56,039千円増加の313,820千円を計上いたしました。
この結果、営業損失は994,108千円(前年同期は営業損失1,169,069千円)、経常損失は940,420千円(前年同期は経常損失1,175,229千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は933,416千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,172,515千円)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ452,060千円減少し、当連結会計年度末には1,793,378千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は988,815千円(前年同期は1,053,151千円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失940,420千円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,055千円(前年同期は19,141千円の使用)となりました。これは、ネットワーク機器1,055千円の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は537,810千円(前年同期は245,125千円の獲得)となりました。これは主に、新株式の発行による収入によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは研究開発を主体としており、受注生産を行っておりませんので、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当社グループは医薬品等の研究開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。当連結会計年度の販売実績は以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
医薬品等の研究開発事業 |
530 |
△50.3 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
アリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス株式会社 |
525 |
49.2 |
312 |
58.9 |
|
株式会社ReBeage (注)2 |
- |
- |
147 |
27.7 |
|
株式会社SMV JAPAN |
489 |
45.8 |
71 |
13.4 |
2.前連結会計年度の金額及び割合は、当該割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」及び「② 経営成績の状況」に記載しております。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、医薬品等の創出のための研究開発費やその他の販売費及び一般管理費等の事業費用であり、これら事業上必要な資金は、事業収益から得られる資金だけでなく、株式市場等からの増資資金の獲得や補助金等の活用により調達しております。また、手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、銀行預金により流動性を確保しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1)技術導入
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契約会社名 |
相手方 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
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名称 |
国名 |
|||||
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㈱ファンペップヘルスケア (注) (連結子会社) |
国立大学法人 |
日本 |
ライセンス契約 |
2016年5月 |
抗体誘導ペプチド等に関する知的財産権の独占的な実施権の許諾 |
2016年5月から本特許期間満了日まで |
|
㈱ファンペップ (当社) |
国立大学法人 |
日本 |
ライセンス契約 |
2018年8月9日 |
FPP003等の抗体誘導ペプチドの独占的な実施権の許諾 |
2018年8月9日から本特許期間満了日まで |
|
㈱ファンペップ (当社) |
国立大学法人 |
日本 |
ライセンス契約 |
2023年3月6日 |
FPP005等の抗体誘導ペプチドの独占的な実施権の許諾 |
2023年3月6日から本特許期間満了日まで |
(注)株式会社ファンペップヘルスケアは、2023年10月11日付でアンチエイジングペプタイド株式会社から商号変更しております。
(2)技術導出
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相手方 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
|
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名称 |
国名 |
||||
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塩野義製薬㈱ |
日本 |
ライセンス契約 |
2015年10月13日 |
機能性ペプチドSR-0379の独占的な実施権の許諾及び再許諾に関する契約 |
2015年10月13日から 本製品の許諾対象地域における最初の商業的販売から15年を経過する日又は本製品を実質的に保護する本特許の特許期間満了日のいずれか遅く到来する日まで |
|
住友ファーマ㈱ |
日本 |
オプション契約 |
2018年3月30日 |
抗体誘導ペプチドFPP003の北米における独占的な実施権の許諾及び再許諾に関するオプション契約 |
2018年3月30日から 対象のライセンス契約が締結された日又はライセンス契約が締結されないと決定した日のいずれか早く到来する日まで |
|
塩野義製薬㈱ |
日本 |
オプション契約 |
2024年3月4日 |
抗体誘導ペプチドFPP004Xの独占的な実施権の許諾及び再許諾に関するオプション契約 |
2024年3月4日から オプション権行使期間満了日又はライセンス契約締結日のいずれか早い日まで |
(3)業務提携
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相手方 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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名称 |
国名 |
||||
|
㈱メディパルホールディングス |
日本 |
提携基本契約 |
2016年2月10日 |
抗体誘導ペプチドの研究開発に関する提携契約 |
2016年2月10日から すべての開発対象医薬品に係る個別覚書の有効期限が満了するまで |
(4)共同研究
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相手方 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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名称 |
国名 |
||||
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国立大学法人 |
日本 |
共同研究契約 |
2015年9月28日 |
「抗体誘導ペプチド」を用いた各種疾患に対するワクチンデザインと機能性評価、機能性ペプチドの作用メカニズムの解析に関する共同研究 |
2015年7月16日から 2024年3月31日まで |
|
国立大学法人 |
日本 |
共同研究契約 |
2017年9月4日 |
能動免疫療法に用いるキャリアタンパク、抗原及びアジュバントの基盤研究に関する共同研究 |
2017年9月1日から 2024年3月31日まで |
当社グループは、機能性ペプチドに関する大学発の技術シーズを主に医薬品分野に応用することで社会に貢献することを目指しております。
当社グループの研究開発部門は、医薬品開発の経験が豊富な少人数の専門家から構成されております。当社グループの研究開発部門は、研究開発に従事する他、研究開発のマネジメントを推進し、積極的に外部機関のリソースを活用しております。研究開発受託企業及び製造受託企業を積極的に活用することで、効率的な研究開発体制を構築しております。
当連結会計年度末の当社研究開発従事人員数は9名であり、当連結会計年度における研究開発費の総額は