第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当事業年度の経営成績は、次の表のとおりです。

 

前事業年度

(自 平成27年9月1日

至 平成28年8月31日)

当事業年度

(自 平成28年9月1日

至 平成29年8月31日)

対前期増減率

売上高

3,767,507

千円

4,016,394

千円

6.6

営業利益

499,548

千円

500,858

千円

0.3

経常利益

502,907

千円

482,151

千円

△4.1

当期純利益

305,412

千円

340,882

千円

11.6

 

 

当社は、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針とし、人びとに「いい時間」を味わってもらうコンテンツを提供する事業を行っています。具体的には、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」、ギャラリーショップの「TOBICHI」、犬や猫と過ごす「いい時間」を軸にしたスマートフォン用写真SNSアプリ「ドコノコ」、「いい時間」を味わう商店街というコンセプトの「生活のたのしみ展」といった、人びとがよろこんで集まる「場」を築き、こうした「場」で商品を販売する事業を営んでいます。主力商品の『ほぼ日手帳』は売上の約3分の2を占めます。

当期における当社をとりまく事業環境として、個人のインターネット利用及びEC(電子商取引)利用が本事業年度も発展したことがあげられます。総務省によりますと、平成28年末の我が国のインターネット人口普及率は83.5%となりました。また経済産業省の調査では、平成28年の日本国内のBtoC-EC市場規模は、15.1兆円(前年比9.9%増)まで拡大しました。当社の主力商品である手帳の市場規模は、民間の調査結果によりますと、平成28年度では355億円(前年比0.9%増)と底堅い動きになっていると見られています。

こうした環境のもと、主力商品の『ほぼ日手帳』では、当社ウェブ通販において、手帳カバーとセットで購入できる本体の選択肢を増やし、顧客の利便性を高めました。また、「ほぼ日刊イトイ新聞」における英語のコンテンツを充実させたり、中国のSNS「Weibo」で『ほぼ日手帳』の情報発信を開始し、海外ユーザーの認知度を高めることにつとめました。これにより、販売部数は伸長し、『ほぼ日手帳 2017年版』の販売実績は前年版から約6万部増の67万部となりました。また、当社ウェブ通販において初めて、過去に発売した手帳カバーを販売する「ほぼ日手帳アーカイブショップ」を設けました。さらに、4月下旬から当社ウェブ通販およびロフトの一部店舗で、「アーカイブキャンペーン」として過去のカバーを特集して割引販売したところ好評で、これらが売上に寄与しました。また、海外向け卸も引き続き増加し、売上に貢献しました。一方、中国等海外ユーザーを中心にした当社ウェブ通販における海外販売では、1回当たりの平均購入額が前年に高騰した反動で低下しました。結果として『ほぼ日手帳』全体の売上高は前年比微増となりました。
 また、当期は新たな事業として「生活のたのしみ展」を立ち上げ、第1回を平成29年3月24日~26日に六本木ヒルズで開催しました。これは、「生活のたのしみ」という切り口で、当社がスタイリスト、クリエイター、ブランドを様々にセレクトし、靴、アパレル、生活雑貨、食品といった多彩な商品をプロデュースして「3日間だけの商店街」のように実店舗展開した販売イベントです。3日間トータルでレジ回転数は約15,700回となり、売上に貢献しました。

そのほか新刊書籍やアパレルの新商品などが寄与して売上が伸長しました。これらの結果、当期における売上高は、4,016,394千円となりました。
 平成28年6月に公開した犬や猫の写真SNSアプリ「ドコノコ」のアップデートに伴う開発や、中長期の成長に向けて人材採用及び外部人材への業務委託を積極化したこと、「生活のたのしみ展」の開催費用の発生、新規株式上場に伴い、資本金が増加し外形標準課税対象となったことで租税公課が増加したこと等により販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は500,858千円、経常利益は482,151千円、当期純利益は340,882千円となりました。

上記の業績は、当社の運営する「場」が活発にコンテンツを発信し、人びとがよろこんで集まったことによりもたらされたと考えています。「ほぼ日刊イトイ新聞」では、平成29年6月に創刊19周年を迎えました。当期においては、料理研究家の土井善晴さんと糸井重里の対談や、「ほぼ日の塾」(「ほぼ日刊イトイ新聞」が、どのように作られているかを教える無料の「塾」)から生まれたコンテンツなどが、多くのユーザーを集めました。ギャラリーショップ「TOBICHI」は、平成29年6月に京都市に「TOBICHI京都」をオープンしました。東京・青山の「TOBICHI」「TOBCHI②」では、自然写真家の星野道夫さんの展覧会、家電メーカーバルミューダ社の炊飯器『BALMUDA The Gohan』試食販売イベント、画家・絵本作家ヒグチユウコさんの原画展などを開催しました。犬や猫の写真SNSアプリ「ドコノコ」は平成29年8月までに約15万ダウンロードを達成し、オフ会も数回開きました。
 このように、当社は運営する「場」において、さまざまなコンテンツを提供しています。コンテンツとはクリエイティブの集積であり、読み物、キャラクター、画像、イベント、モノのかたちの商品、すべてがコンテンツであるととらえています。当社は、生活のたのしみとなるような「いい時間」を味わってもらう、そのためのコンテンツをつくったり、仕入れたり、育てたり、編集したりして、お届けしています。業績は、こうした活動の結果と考えています。
 なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物は1,910,495千円と前年同期末と比べ781,734千円の増加となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

前事業年度

(平成28年8月期)

当事業年度

(平成29年8月期)

前年同期末増減

営業活動による
キャッシュ・フロー

273,527

千円

140,340

千円

△133,187

千円

投資活動による
キャッシュ・フロー

△162,953

千円

77,725

千円

240,678

千円

財務活動による
キャッシュ・フロー

△90,999

千円

563,668

千円

654,667

千円

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、140,340千円の純収入(前年同期は273,527千円の純収入)となりました。これは主にたな卸資産が205,137千円増加し、法人税等の支払額223,212千円があったものの、税引前当期純利益が562,762千円となったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、77,725千円の純収入(前年同期は162,953千円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得に17,035千円を支出したものの、保険積立金の解約による収入80,610千円定期預金の払戻による収入26,436千円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、563,668千円の純収入(前年同期は90,999千円の純支出)となりました。これは主に株式の発行による収入670,220千円配当金の支払額90,000千円によるものです。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当事業年度における受注、販売実績は次のとおりです。なお、当社は単一セグメントのためセグメント別の記載はしていません。

 

(1) 生産実績

該当事項はありません。

 

(2) 受注実績

一部商品で受注生産を行う他は、大半が見込生産のため記載を省略しています。

 

(3) 販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりです。

内訳

販売高(千円)

前年同期比(%)

直販

2,531,511

107.1

卸売 (注)1.

1,142,596

106.7

商品売上 計

3,674,107

107.0

その他売上 (注)2.

342,287

102.4

売上 合計

4,016,394

106.6

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下の表のとおりです。

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社ロフト

829,995

22.0

823,089

20.5

 

2.その他売上は主に送料売上、ライセンス収入等です。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社の基本方針は「夢に手足を。」です。コンテンツを求めて人びとがよろこんで集まる観光地(例えば銀座通り)のような「場」を創造して集客し、そこに収益モデルを重ねて事業化しています。すべての活動において「やさしく、つよく、おもしろく」を行動指針とし、顧客になる人々にとっての「いい時間」を創造し提供することを目指しています。

当社では、当社の独自性をうむカギとなるプロセスを模式化し、「クリエイティビティの3つの輪」と呼んでいます。「社会」が円環で示され、その内側が当社の活動です。


 

円環の内側

[集合]

[動機]

[実行]

当社発信のコンテンツに顧客が集まります。

社内で、顧客の反応等から、生活者が暗黙のうちに感じている「あったらいいな」という気持ちを考察し、共有します。企画担当者は、自らが「作りたい」と発する動機と、「集合」から得た考察を対照させながら企画を掘り下げます。

企画を編集・制作するプロセスです。「集合」の様子や「動機」の掘り下げと常に同期しながら、臨機応変に進みます。

円環の外側

[社会]「集合」「動機」「実行」が「社会」に対して開いているのは、独りよがりな内輪受けにならず、社会を意識し、社会に対してオープンでありたいからです。

 

このようにして発信したコンテンツについて、インターネットを介して顧客から寄せられる反応を、直接リアルタイムに受け止め、スピーディーに考察し、「動機」「実行」と同期しながら次の企画を生んでいきます。このプロセスを通して、商品力も販売方法も進化を続けます。その結果、多くの商品がロングセラーとなっていると考えています。結果として、生活者の気持ちに関する考察の蓄積が、当社の独自性を形作っていると考えます。

 

当社の行動指針は「やさしく、つよく、おもしろく。」です。

[やさしく]

私たちの会社が社会に受け入れられるための前提となるものです。

相互に助け合うということ、

自分や他人を「生きる」「生かす」ということです。

 

[つよく]

企画やアイデアやコンテンツを、

会社として、組織として「実現」「実行」できること、

現実に成り立たせることです。

 

[おもしろく]

新しい価値を生み出し、コンテンツとして成り立たせるということです。

「ほぼ日刊イトイ新聞」や「TOBICHI」のように

「場」を生み出し、人が「場」に集まる理由です。

これがほぼ日の強みです。

 

 

ほぼ日は、この言葉の順番もたいせつにしています。

まず「やさしく」が、おおもとの前提にあり、

「やさしく」を実現する力が「つよく」です。

その上に、新しい価値となる「おもしろく」を

どれだけ生み出せるかが、ほぼ日の特徴です。

 

 

(2) 目標とする経営指標

事業活動では当社ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」への訪問者数やセッション数、「ほぼ日手帳」販売部数、商品の購入者数、アプリのDAU(1日あたりアクティブユーザー)等、ユーザー数とユーザー活動量の指標を重視しています。財務指標は、売上高と営業利益の長期的な伸長を目指しています。長期的な成長を図るため、当面は新規事業や既存事業を強化する人的投資を行うことを重視しています。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社はインターネットを中心に事業を行っています。当社はインターネットについて、現在、その利用が広く浸透していると考え、同時にインターネットは技術環境の変化が早く、生活者との関わりかたもデバイスやサービスとともに変わっていく環境だと考えています。そうした経営環境の中で、当社は中長期的に、コンセプトの異なる「場」を複数運営し、それぞれの「場」に適した事業モデルによって収益をあげていくことを目指しています。

具体的には、『ほぼ日手帳』は、引き続き、ライフスタイルを訴求しながら国内外のユーザー増を目指します。

「生活のたのしみ展」は年間の開催数を増やし、1回ごとの規模も拡大して、ユーザーへの提供価値拡大を図ります。

他にも「ドコノコ」での新たな楽しみ方の提供によりユーザーへの提供価値を高めます。

さらに、新しい「場」やその他の新企画を通じて顧客層を拡大し、当社サービス全体でのユーザー増により収益拡大を図ります。

このように、新しい「場」となる新規事業を中心として事業機会を創出し、『ほぼ日手帳』への依存度を下げ、中長期に事業を拡張することを目指しており、積極的に人材を採用することで対応していきます。

 

(4) 会社の対処すべき課題

①新サービスの立ち上げと拡大

「ほぼ日刊イトイ新聞」の他に「ドコノコ」「生活のたのしみ展」といった、「場」となる新サービスを立ち上げてきました。今後も魅力的なオリジナルコンテンツの幅を広げる新サービスを立ち上げ、「やさしく、つよく、おもしろく。」の姿勢で複数のサービスを運営する企業になることを目指しています。社外のクリエイターの方々にとってもコンテンツを生む新しい「場」となり、より多くの生活者に楽しんでいただけるよう、新しいサービスの開発を進めていきます。

②人材の確保と育成

今後想定される事業拡大や新サービスを実現するには、継続的な人材の確保と、当社の考え方や価値を生む仕組みに適した人材の育成が重要だと考えています。今後も人材の確保と社内育成に優先的に取組んでいきます。

③インターネット環境変化への対応

インターネット業界は技術環境の変化が早く、生活者とインターネットの関わり方もデバイスやサービスとともに変わっていきます。魅力的なコンテンツを多くの方に楽しんでいただけるような技術対応をすすめる他、インターネット環境の動向にかかわらずコンテンツを楽しむ場を開発する、というふたつの方向から整備していきます。

④市場の拡大

「ほぼ日刊イトイ新聞」にて開発した商品コンテンツは、自社のウェブサイトのインターネット通販で販売を重ね、同時に他の販路にも展開して、より多くの生活者に楽しんで頂くことが重要だと考えています。国内では既存販路の強化や新規販路の開拓、海外に向けては自社の外国語コンテンツ強化や主要国に適した販路開拓等を通して顧客を広げ、関係づくりを進めていきます。

⑤経営基盤の強化

当社は小規模組織です。今後想定される事業拡大や新規事業を実現するため、経営陣の能力、組織運営、内部管理、様々なステークホルダーとの関係、機動的な財務運営等を継続的に高め、経営基盤の強化を図っていきます。

 

4 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあり、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらのリスクについては、その発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。

なお、文中にある一部将来に関するリスクについては、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生可能性のあるすべての事項を網羅するものではありません。

 

(1) ブランドに関するリスク

① ブランド力の低下

当社は、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で糸井重里のエッセイ「今日のダーリン」をはじめとする様々なコンテンツを平成10年6月より毎日更新し、高品質のコンテンツをつくり続けて、ウェブサイトとして独自の位置づけと信頼を得てきました。主力商品『ほぼ日手帳』もウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」から半ば独立したブランドとして進化しつつあります。人材の確保と育成、各チームが企画から顧客対応まで担当して内発的動機が深まり、社内外から「見られている」状態を保つ組織運営等を通して、今後もコンテンツを生む力を強化し、ウェブサイト及び商品のブランド価値を高めていきます。しかし、生活者の志向の変化等をきっかけに当社のブランド価値が低下した場合、サイトへの訪問数や販売数量の低下により、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 新サービスに関するリスク

当社は、より多くの顧客に喜んでいただき、持続的な成長を図るため、犬や猫のスマートフォン用写真SNSアプリ「ドコノコ」や生活雑貨の販売イベント「生活のたのしみ展」等の新しいサービスの開発を進めています。適切な人材配置や、新サービスの損益管理を通して、リスクをコントロールしていますが、予測困難な問題が発生して計画通りに進まない場合には、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 組織に関するリスク

① 人材投資

当社は、長期的な事業継続と成長を目指して経営しています。そのために人材投資を強化しており、短期的な財務成果より投資を優先することがあります。職場としての魅力を高めて発信し、採用手法や育成機会を多様化する等、人材投資の効果向上を図っていますが、人材の確保や能力開発が計画とおりに進まない等の場合、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 代表取締役への依存について

創業者であり代表取締役の糸井重里は、当社全体の経営方針や経営戦略の立案をはじめ、社会的な知名度と信頼、広い人脈による関係構築、新規事業の構想、毎日のエッセイ「今日のダーリン」執筆等、当社の事業活動上重要な役割を果たしています。代表取締役に依存しない組織的な経営体制の構築を進めていますが、何らかの事情により代表取締役が業務を継続することが困難になった場合、一時的に事業推進力が停滞し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 小規模組織であること

当社の組織体制は小規模であり、業務執行体制もそれに応じたものになっています。今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制の充実を図っていきますが、当社の事業領域の環境や競合状況が急変する場合、対応に要する経営資源が不十分なために、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 組織風土の維持、強化

当社では、内発的動機と自己管理を基礎にした組織風土が、高品質のコンテンツやサービスを生む源となっています。そのため、組織風土の維持強化を念頭において、採用、人材育成、組織開発を進めていますが、急激な組織拡大等により、こうした組織風土が十分機能しなくなると、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) インターネット環境等に関するリスク

① インターネットを取り巻く環境について

当社は、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営を事業の中核に据えています。メディアとして紙媒体や放送と比べて低コストでリアルタイムに発信でき、地域を問わず多くのユーザーとつながることができるメリットは、平成10年の開設当時から変わりません。そのため、インターネットのさらなる発展が、当社事業の成長にとって重要だと考えています。一方、技術進展が早い領域であり、例えばユーザーが利用する機器も急速に変化します。そのため当社では、インターネット技術動向の情報収集及び技術力の向上刷新を図っていますが、こうした変化への対応が不十分な場合、ユーザーの訪問数、購買者数の減少等を通じて、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② インターネット通販の利用動向

当社は、オリジナル企画商品を販売しており、売上高の約6割がインターネット通販によるものです。インターネット通販には、サイトを訪れた顧客に、商品の作り手とユーザー双方のエピソードを紹介し、その商品の魅力を詳しく伝えられるという、他の販路にはないメリットがあります。当社では、生活者のインターネット通販利用動向に関する情報収集を図っていますが、何らかの予測困難な要因により、生活者のインターネット通販利用動向が急激に変化し、その対応が不十分な場合、ユーザーの訪問数、顧客数の減少等を通じて、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ システムトラブル

「ほぼ日刊イトイ新聞」のコンテンツ配信、商品の受注、決済、発送指示等の主要業務に内部、及び外部の情報システム及びネットワークを活用しています。当社では、バックアップ体制の強化等システムトラブル防止策、トラブル発生時の対応プラン策定、社員教育等の対応を継続的に図っていますが、当社が使用している情報システム及びネットワークに、自然災害、人為的過誤、停電、コンピューターウイルス、ハッカー等により障害等が発生した場合、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 個人情報の取り扱いに関するリスク

当社では、インターネット通販において登録ユーザーから取得した個人情報や、購買履歴を含む個人情報等を保有しています。当社はこれらの個人情報の管理について、より厳格な管理を目的としたシステム構築、運用を行っています。当社では、システムの継続的改善、トラブル発生時の対応プラン策定、社員教育等の対応を継続的に図っていますが、システムの瑕疵等何らかの不測の事態によりこれらのデータが外部に漏えいした場合、当社への損害賠償請求や当社の信用低下等によって、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 商品開発と販売に関するリスク

① 特定商品への依存度に関するリスク

『ほぼ日手帳』は、売上高の約3分の2を占め、当社の主要商品となっています。手帳市場動向に関する民間の調査によりますと、法人需要は経費削減等の影響で横ばいないし微減の一方で、デジタル文具やスマートフォンが普及したことで、逆にアナログ手帳の良さを再評価する層が顕在化し、個人向けは底堅い動きになっていると見られています。また、手帳の中では女性を中心として綴じ手帳が成長を牽引しています。『ほぼ日手帳』は個人向けの綴じ手帳であり、足元の市場動向は堅調です。ただし、将来、市場動向が悪化し、また特定の仕入先への依存はないものの、仕入数量の減少や遅延等を通じて『ほぼ日手帳』の売上が減少する場合は、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 四半期の変動に関するリスク

当社の主力商品『ほぼ日手帳』は、商品の性質上、例年秋から冬に多く購入され、春から夏には販売が低調になる季節性があります。当社では、手帳の閑散期に販売を補う商品や市場の開拓を図っていますが、当社の業績は四半期毎に大きく変動します。なかでも第3四半期は売上が落ち込み、それに伴って利益も大幅に落ち込む傾向があります。このため四半期毎の一定期間で区切った場合、期間毎の業績は大きく変動します。

平成29年8月期の四半期毎の売上高及び営業利益(損失)は、次のとおりです。

 

第1四半期

(平成28年11月30日)

第2四半期

(平成29年2月28日)

第3四半期

(平成29年5月31日)

第4四半期

(平成29年8月31日)

通期

(平成29年8月31日)

売上高

1,678,110千円

1,036,859千円

504,485千円

796,939千円

4,016,394千円

売上

構成比

41.8%

25.8%

12.6%

19.8%

100.0%

営業利益(損失)

541,449千円

178,030千円

△200,453千円

△18,168千円

500,858千円

 

③ 商品評価損に関するリスク

当社は、市場を創造することを方針として、付加価値の高い独自商品を開発し、新販路を含む幅広い市場開拓を図っています。また、特に新商品では、少量販売や受注販売を活用して在庫リスクを抑えています。しかし、不測の事態により想定を超える滞留在庫が生じた場合には、棚卸資産に関して商品評価損を計上する結果、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 

④ 物流業務の外部委託に関するリスク

当社は、インターネット通販において仕入先から納品される商品の在庫管理業務、商品の梱包、発送等に関する業務、顧客への商品受け渡し、商品代金回収業務等の物流業務を外部業者に委託しています。当社では外部委託業者と緊密に連携し、サービス水準の把握と向上を図っており、また、外部委託先との契約に基づき、直接的な損害は外部委託業者に賠償請求できます。しかし、外部業者のサービスの遅延及び障害等が発生し、当社に対する顧客の信用低下が発生した場合等においては、当社への損害賠償請求や当社の信用下落等によって、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 特定販売先への依存度に関するリスク

当社は、インターネット通販による消費者への直販を中心にしていますが、主要商品の『ほぼ日手帳』等一部の商品については卸販売を行っており、主要販売先は株式会社ロフトです。株式会社ロフトと、当社との関係は良好ですが、株式会社ロフトの今後の営業方針等の変化によっては、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 法的規制に関するリスク

当社は、コンテンツによって集客して「場」をつくり、主にインターネット通販によって収益を得ています。そのため、著作権法等コンテンツ制作に関する各種法規制、特定商取引法、不当景品類及び不当表示防止法、食品衛生法等の物販に関する各種法規制、個人情報保護法等情報管理に関する法規制等に基づいて事業を運営しています。当社は各種法規制を遵守しており、現時点において重大な法的問題は生じていないものと認識しています。また、各種法規制を遵守すべく、適宜行政当局に相談するとともに、法務の体制強化を進めています。しかしながら、法規制における解釈、運用の変化や規制の強化、新たな規制の制定等により、より厳格な対応を求められる場合には、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(5) その他

 株式会社気仙沼ニッティングについて

 当社の非連結子会社である株式会社気仙沼ニッティングは、ニット製品の企画、製造、販売を主な業務としています。気仙沼地域の人びとの手編みした高級ニット商品を、主にインターネット通販によって販売して収益を得ています。平成23年3月の東日本大震災後、糸井重里が、「被災地、中でもご縁があった気仙沼で復興に役に立てるとしたら、収益事業を構想し実現して地域に引き継ぐことではないか」と考えたことから、この事業の構想が生まれ、平成23年末に当社内のプロジェクトとして着手しました。現社長については、当社と取材をきっかけに知りあった人物で、当社役員と同じ会社に勤務した経験があることから共通の知人が複数おり、ブータン王国政府に勤務したのち東北の復興支援の仕事にも携わっていたことから、当事業立ち上げに適任であると判断し、当社から打診して平成24年6月に当社に入社、すでに当社内でスタートしていた気仙沼ニッティング事業リーダーに着任しました。発案した当初から「収益事業を立ち上げ、それをのちのち気仙沼の方々にお渡しする」ことを目標にしていましたので、収益化の目途が立った平成25年6月に当社から分社しました。

現在の資本関係は、当社より20%出資、当社から社長として出向している社員が40%出資し、株式会社気仙沼ニッティングは当社の子会社となっています。

設立当初は、同社を継続的に収益が見込める会社に育てた上で、当社及び社員の保有する同社株式を気仙沼の方々に譲渡し、3年程度で当社の子会社ではなくすることを目指していました。当社従業員個人の出資は、当該社員のコミットメントを高めるため、本人に出資を打診し了解を得たものでした。同社事業は順調に推移していますが、地域の状況が当初想定と異なる進展をした面もあり、まだ地域の方々への株式譲渡には至っていません。経営についても同様に、3年程度で当社外の人材に同社社長を譲ることを目指していましたが、現在までに適切な人材が見つからず、後任は決まっていません。このように、資本関係及び社員の出向の解消は、当初想定より時間を要していますが、当社としては引き続き、同社を「気仙沼の方々にお渡しする」ことを目指しており、現在は過渡期と考えています。

現在、当該社員は引き続き社長として株式会社気仙沼ニッティングに出向しています。当社は当該社員に当社基準に基づく給与を支払い、一方、その一部にあたる金額しか同社から出向負担金として受け取っていません。当社における業務としては、事業の進捗と経営方針に関する報告を週1回、行っています。これらの報告は、新規事業を推進し育成するノウハウとして当社に蓄積され、現在、「ドコノコ」を含む他の新規事業の計画や推進にあたり有用な知見となっています。当該社員の当社における業務は、長期的には当社業績に貢献しますが、足元の業績には貢献しません。現在は非連結のため、同社業績は、当社の業績に反映されていません。同社が経営的に自立するまでは、この状況が継続します。将来同社が成長して連結子会社となった場合は、当社の業績に影響する可能性があります。また、連結子会社となった場合でも、設立の経緯から、将来的に同社株式を地域の方々に譲渡する予定です。その際、連結対象から外れ、当社の業績に影響する可能性があります。同社との取引は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 関連当事者情報」に記載の通りです。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1) 資産、負債及び純資産の状況

 

前事業年度末

(平成28年8月31日)

当事業年度末

(平成29年8月31日)

前年同期末増減

資産合計

3,154,953

千円

4,228,428

千円

1,073,475

千円

負債合計

1,169,385

千円

1,236,484

千円

67,098

千円

純資産合計

1,985,568

千円

2,991,944

千円

1,006,376

千円

 

 

(資産の部)

流動資産は、3,523,334千円と前年同期末に比べて1,005,952千円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加756,204千円と、商品の増加193,776千円によるものです。

有形固定資産は、170,392千円と前年同期末比13,815千円の減少となりました。これは主に減価償却によるものです。

無形固定資産は、20,688千円と前年同期末比1,820千円の増加となりました。これは主に社名変更に伴う商標権の増加4,916千円と減価償却によるものです。

投資その他の資産は、514,014千円と前年同期末比79,517千円の増加となりました。これは主に投資有価証券の評価額の増加115,529千円によるものです。

(負債の部)

流動負債は、1,079,704千円と前年同期末に比べて61,841千円の増加となりました。これは主に仕入債務の増加54,791千円によるものです。

固定負債は、156,779千円と前年同期末に比べて5,257千円の増加となりました。これは主に退職給付引当金が14,362千円増加したことによるものです。

(純資産の部)

純資産の部は、2,991,944千円と前年同期末に比べて1,006,376千円の増加となりました。これは主に新規株式
上場に伴う増資等により資本金が337,839千円及び資本剰余金が337,839千円増加したこと、利益剰余金の増加
250,882千円によるものです。

(2) 経営成績の状況

「1 業績等の概要 (1)業績」に記載した事項をご参照ください。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載した事項をご参照ください。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「4 事業等のリスク」に記載した事項をご参照ください。