第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

<行動指針>

当社は、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針としています。

[やさしく]

私たちの会社が社会に受け入れられるための前提となるものです。

相互に助け合うということ、

自分や他人を「生きる」「生かす」ということです。

 

[つよく]

企画やアイデアやコンテンツを、

会社として、組織として「実現」「実行」できること、

現実に成り立たせることです。

 

[おもしろく]

新しい価値を生み出し、コンテンツとして成り立たせるということです。

「ほぼ日刊イトイ新聞」や「TOBICHI」のように

「場」を生み出し、人が「場」に集まる理由です。

これがほぼ日の強みです。

 

 

ほぼ日は、この言葉の順番もたいせつにしています。

まず「やさしく」が、おおもとの前提にあり、

「やさしく」を実現する力が「つよく」です。

その上に、新しい価値となる「おもしろく」を

どれだけ生み出せるかが、ほぼ日の特徴です。

 

 

 

<社是>

これまで述べた基本方針にのっとり、当社は「夢に手足を。」つける会社を目指します。


夢には翼しかついていない。
足をつけて、 歩き出させよう。
 
夢に手足を。
そして、手足に夢を。
 

 

 

 

(2) 中長期の経営戦略と対処すべき課題

当社では、会社の未来の姿を時間的に遠いほうから「遠景」「中景」「近景」の3つに分けて考えています。会社がどこに向かおうとしているのか(遠景)、途中でどうなっていたら順調だと判断するか(中景)、遠景に向けて今、どちらに一歩を踏み出すか(近景)、の道標にしようというものです。

 

「遠景」は、創業者である代表取締役社長の糸井重里が引退し、次世代経営陣が率いるチームが生き生きと事業を運営している姿です。糸井と当社がよきライバルとなり、お互いにおもしろいから「じゃあ、手を組もう」といったかたちで仕事ができるようになれば、といった未来像をイメージしています。

 

「遠景」に至る道程の途中の段階である「中景」は、「『いい時間』を提供する場をつくり、育てている」姿です。今よりも幅広い属性のたくさんのお客さまとお付き合いしている姿をイメージしています。それには、コンテンツを仕入れる力や届ける力も、今よりつよくなっている必要があります。また、情報セキュリティのリスク増大や個人情報保護の関心の高まり、インターネット通販の浸透と環境変化にも注意を払っています。こうした事業環境を踏まえると、上記のように「場」が今よりも広がるには、それを支える土台も強化しなくてはなりません。ITシステムに関する技術力は、今後も大切な課題であり続けると考えています。

さらに、「やさしく、つよく、おもしろく。」が社内に浸透し、実践され続けるよう、たゆまぬ組織づくりが必要だと考えています。

 

これらの状況を踏まえた具体的な課題は、次の通りです。

 

① 「場」の立ち上げと育成

当社は「ほぼ日刊イトイ新聞」の他に「ドコノコ」「生活のたのしみ展」「ほぼ日の学校」といった、「場」を立ち上げてきました。今後も魅力的なオリジナルコンテンツの幅を広げるよう、これらの「場」を育て、さらに新しい「場」も立ち上げ、「やさしく、つよく、おもしろく。」の姿勢で複数の「場」を運営する企業になることを目指しています。社外のクリエイターの方々にとってもコンテンツを生む新しい「場」となり、より多くの生活者に楽しんでいただけるよう、新しいサービスの開発を進めていきます。

 

② 多様な人材の確保と組織づくり

今後想定される事業拡大や新サービスを実現するには、継続的な人材の確保と、当社の考え方や価値を生む仕組みが定着するような組織づくりが重要だと考えています。「やさしく、つよく、おもしろく。」が社内に浸透し、実践され続けるよう、今後も人材の確保と組織づくりに優先的に取組んでいきます。

 

③ インターネット環境変化への対応

インターネット業界は技術環境の変化が速く、生活者とインターネットの関わり方もデバイスやサービスとともに変わっていきます。また、情報セキュリティのリスクが増大しており、個人情報保護の関心も高まってきています。当社は魅力的なコンテンツを多くの方に安心して楽しんでいただけるよう、技術対応を進めます。同時に、インターネット環境の動向に左右されにくい「場」を開発していきます。

 

④ 経営基盤の強化

当社は小規模組織です。今後想定される事業拡大や新規事業を実現するため、経営陣の能力、組織運営、内部管理、様々なステークホルダーとの関係、機動的な財務運営等を継続的に高め、経営基盤の強化を図っていきます。

 

⑤ 市場の拡大

「ほぼ日刊イトイ新聞」で開発した商品コンテンツは、自社のウェブサイトのインターネット通販で販売を重ね、同時に他の販路にも展開して、より多くの生活者に楽しんで頂くことが重要だと考えています。国内では既存販路の強化や新規販路の開拓、海外に向けては自社の外国語コンテンツ強化や主要国に適した販路開拓等を通して顧客を広げ、関係づくりを進めていきます。

 

 

2 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあり、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらのリスクについては、その発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。

なお、文中にある一部将来に関するリスクについては、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生可能性のあるすべての事項を網羅するものではありません。

 

(1) ブランドに関するリスク

① ブランド力の低下

当社は、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で糸井重里のエッセイ「今日のダーリン」をはじめとする様々なコンテンツを1998年6月より毎日更新し、高品質のコンテンツをつくり続けて、ウェブサイトとして独自の位置づけと信頼を得てきました。主力商品『ほぼ日手帳』もウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」から半ば独立したブランドとして進化しつつあります。「ドコノコ」「生活のたのしみ展」「ほぼ日の学校」といった新しい「場」も立ち上げてきました。今後もコンテンツを生む力を強化し、ウェブサイト及び商品のブランド価値を高めていきます。そのために、経営方針に則って事業を運営していきますが、生活者の志向の変化等をきっかけに当社のブランド価値が低下した場合、サイトへの訪問数や販売数量の低下により、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 新サービスに関するリスク

当社は、より多くの顧客に喜んでいただき、持続的な成長を図るため、犬や猫のスマートフォン用写真SNSアプリ「ドコノコ」や生活雑貨の販売イベント「生活のたのしみ展」、AR技術を活用した専用アプリと連動する地球儀『ほぼ日のアースボール』等の新しいサービスや商品の開発を進めています。適切な人材配置や、新サービスの損益管理を通して、リスクをコントロールしていますが、予測困難な問題が発生して計画通りに進まない場合には、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 組織に関するリスク

① 人材投資

当社は、長期的な事業継続と成長を目指して経営しています。そのために人材投資を強化しており、短期的な財務成果より投資を優先することがあります。職場としての魅力を高めて発信し、採用手法や育成機会を多様化する等、人材投資の効果向上を図っていますが、人材の確保や能力開発が計画通りに進まない等の場合、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 代表取締役社長への依存について

創業者であり代表取締役社長の糸井重里は、当社全体の経営方針や経営戦略の立案をはじめ、社会的な知名度と信頼、広い人脈による関係構築、新規事業の構想、毎日のエッセイ「今日のダーリン」執筆等、当社の事業活動上重要な役割を果たしています。代表取締役社長に依存しない組織的な経営体制の構築を進めていますが、何らかの事情により代表取締役社長が業務を継続することが困難になった場合、一時的に事業推進力が停滞し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 組織風土の維持、強化

当社では、内発的動機と自己管理を基礎にした組織風土が、高品質のコンテンツやサービスを生む源となっています。そのため、組織風土の維持強化を念頭において、採用、人材育成、組織開発を進めていますが、急激な組織拡大等により、こうした組織風土が十分機能しなくなると、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 小規模組織であること

当社の組織体制は小規模であり、業務執行体制もそれに応じたものになっています。今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制の充実を図っていきますが、当社の事業領域の環境や競合状況が急変する場合、対応に要する経営資源が不十分なために、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) インターネット環境等に関するリスク

① インターネットを取り巻く環境について

当社は、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営を事業の中核に据えています。また、新しい事業もすべてインターネットとの連動を前提にしています。メディアとして紙媒体や放送と比べて低コストでリアルタイムに発信でき、地域を問わず多くのユーザーとつながることができるメリットは、1998年の開設当時から変わりません。そのため、インターネットのさらなる発展が、当社事業の成長にとって重要だと考えています。一方、技術進展が早い領域であり、例えばユーザーが利用する機器も急速に変化します。そのため当社では、インターネット技術動向の情報収集及び技術力の向上刷新を図っていますが、こうした変化への対応が不十分な場合、ユーザーの訪問数、購買者数の減少等を通じて、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② インターネット通販の利用動向

当社は、オリジナル企画商品を販売しており、売上高の約6割がインターネット通販によるものです。インターネット通販には、サイトを訪れた顧客に、商品の作り手とユーザー双方のエピソードを紹介し、その商品の魅力を詳しく伝えられるという、他の販路にはないメリットがあります。当社では、生活者のインターネット通販利用動向に関する情報収集を図っていますが、何らかの予測困難な要因により、生活者のインターネット通販利用動向が急激に変化し、その対応が不十分な場合、ユーザーの訪問数、顧客数の減少等を通じて、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ システムトラブル

当社は「ほぼ日刊イトイ新聞」のコンテンツ配信、商品の受注、決済、発送指示等の主要業務、および「ドコノコ」などのサービスの運営に内部、及び外部の情報システム及びネットワークを活用しています。当社では、バックアップ体制の強化等システムトラブル防止策、トラブル発生時の対応プラン策定、社員教育等の対応を継続的に図っていますが、当社が使用している情報システム及びネットワークに、自然災害、人為的過誤、停電、コンピューターウイルス、ハッカー等により障害等が発生した場合、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 情報セキュリティに関するリスク

当社は、事業を行うために必要な顧客及び取引先の機密情報や個人情報および当社グループ内の機密情報や個人情報を保持しています。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等がないように管理体制を構築し、ITセキュリティ、施設セキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しています。しかしながら、外部からの攻撃や過失、盗難等により、これらの情報の流出、破壊もしくは改ざんまたは情報システムの停止等が引き起こされる可能性があります。このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の多額の費用の発生または長時間にわたる業務の停止等により、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 商品開発と販売に関するリスク

① 特定商品への依存度に関するリスク

『ほぼ日手帳』は、売上高の約6割を占め、当社の主要商品となっています。手帳市場動向に関する民間の調査によりますと、法人需要は経費削減等の影響で横ばいないし微減の一方で、個人向けは、デジタル文具やスマートフォンが普及したものの、アナログ手帳の方がスケジュールを俯瞰的に把握しやすいと評価する層が依然として多く、底堅い動きになっていると見られています。また、手帳の中では綴じ手帳が中心です。『ほぼ日手帳』は個人向けの綴じ手帳であり、足元の市場動向は堅調です。ただし、将来、市場動向が悪化し、また特定の仕入先への依存はないものの、仕入数量の減少や遅延等を通じて『ほぼ日手帳』の売上が減少する場合は、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 四半期の変動に関するリスク

当社の主力商品『ほぼ日手帳』は、商品の性質上、例年秋から冬に多く購入され、春から夏には販売が低調になる季節性があります。当社では、手帳の閑散期に販売を補う商品や市場の開拓を図っていますが、当社の業績は四半期毎に大きく変動します。なかでも第3四半期は売上が落ち込み、それに伴って利益も大幅に落ち込む傾向があります。このため四半期毎の一定期間で区切った場合、期間毎の業績は大きく変動します。

2019年8月期の四半期毎の売上高及び営業利益(損失)は、次のとおりです。

 

第1四半期

(2018年11月30日)

第2四半期

(2019年2月28日)

第3四半期

(2019年5月31日)

第4四半期

(2019年8月31日)

通期

(2019年8月31日)

売上高

2,366,082千円

1,101,835千円

834,755千円

1,162,735千円

5,465,408千円

売上

構成比

43.29%

20.16%

15.27%

21.27%

100.0%

営業利益(損失)

768,964千円

58,699千円

△129,706千円

△57,819千円

640,138千円

 

③ 商品評価損に関するリスク

当社は、市場を創造することを方針として、付加価値の高い独自商品を開発し、新販路を含む幅広い市場開拓を図っています。また、特に新商品では、少量販売や受注販売を活用して在庫リスクを抑えています。しかし、不測の事態により想定を超える滞留在庫が生じた場合には、棚卸資産に関して商品評価損を計上する結果、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 物流業務の外部委託に関するリスク

当社は、インターネット通販において仕入先から納品される商品の在庫管理業務、商品の梱包、発送等に関する業務、顧客への商品受け渡し、商品代金回収業務等の物流業務を外部業者に委託しています。当社では外部委託業者と緊密に連携し、サービス水準の把握と向上を図っており、また、外部委託先との契約に基づき、直接的な損害は外部委託業者に賠償請求できます。しかし、外部業者のサービスの遅延及び障害等が発生し、当社に対する顧客の信用低下が発生した場合等においては、当社への損害賠償請求や当社の信用下落等によって、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 特定販売先への依存度に関するリスク

当社は、インターネット通販による消費者への直販を中心にしていますが、主要商品の『ほぼ日手帳』等一部の商品については卸販売を行っており、主要販売先は株式会社ロフトです。株式会社ロフトと当社との関係は良好ですが、株式会社ロフトの今後の営業方針等の変化によっては、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 法的規制に関するリスク

当社は、コンテンツによって「場」をつくり、主にインターネット通販によって収益を得ています。そのため、著作権法等コンテンツ制作に関する各種法規制、特定商取引法、不当景品類及び不当表示防止法、食品衛生法等の物販に関する各種法規制、個人情報保護法等情報管理に関する法規制等に基づいて事業を運営しています。当社は各種法規制を遵守しており、現時点において重大な法的問題は生じていないものと認識しています。また、各種法規制を遵守すべく、適宜行政当局に相談するとともに、法務の体制強化を進めています。しかしながら、法規制における解釈、運用の変化や規制の強化、新たな規制の制定等により、より厳格な対応を求められる場合には、当社の事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当事業年度から適用し、財政状態については遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っています。

 

(1) 経営成績の状況

当事業年度の経営成績は、次の表のとおりです。

 

前事業年度

(自 2017年9月1日

至 2018年8月31日)

当事業年度

(自 2018年9月1日

至 2019年8月31日)

対前期増減率

売上高

5,037,940

千円

5,465,408

千円

8.5

営業利益

562,408

千円

640,138

千円

13.8

経常利益

567,409

千円

638,614

千円

12.5

当期純利益

389,457

千円

441,154

千円

13.3

 

 

当社は、「夢に手足を。」つける会社であることを目指し、「やさしく、つよく、おもしろく。」を行動指針として、人びとに「いい時間」を味わってもらうための「場」をつくり、さまざまなコンテンツを提供しています。コンテンツとはクリエイティブの集積であり、読み物、キャラクター、画像、イベント、モノのかたちの商品、すべてがコンテンツであるととらえています。具体的には、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」、ギャラリーショップの「TOBICHI」、「いい時間」を味わう商店街というコンセプトのイベント「生活のたのしみ展」、古典を学ぶ「ほぼ日の学校」、犬や猫の写真を共有するSNSアプリ「ドコノコ」といった、人びとが集まる他にはない「場」をつくり、そこで商品を直接個人に販売する事業を営んでいます。『ほぼ日手帳』並びにその他一部の商品及び書籍は、卸販売も行っています。主力商品の『ほぼ日手帳』は年間売上の約6割を占めています。 

当事業年度における当社をとりまく事業環境として、個人のインターネット利用及びEC(電子商取引)利用の普及があげられます。総務省によりますと、2018年の我が国のインターネット人口普及率は79.8%となりました。また経済産業省の調査では、2018年の日本国内のBtoC-EC市場規模は、18.0兆円(前年比9.0%増)まで拡大しました。当社の主力商品である手帳の市場規模は、民間の調査結果によりますと、2017年度では359億円(前年比0.8%増)と底堅い動きになっていると見られています。
 こうした環境のもと、主力商品の『ほぼ日手帳』は、当事業年度も例年通り2018年9月1日より、当社ウェブ通販並びにロフト等の店頭で2019年版を販売開始しました。『週間手帳weeks』シリーズや、新商品の『おおきいほぼ日5年手帳』、手帳と一緒に使う文具としての『ひきだしポーチ』が好調に推移し、それぞれ売上伸長に寄与しました。海外への販売については、下半期に中国向け商流を見直し、中国向け出荷が一時的に減少しました。アメリカやその他海外への出荷は、Amazon.comでの販売等が好調に推移し、海外全体としては微増となっています。これらの結果、販売部数は伸長し、『ほぼ日手帳』全体の売上高は前期比3.3%増となりました。なお、中国向け商流については、2019年8月より、アリババが運営する越境ECプラットフォームであるTmall Global(天猫国際)へと、販路を一本化しています。

手帳以外の商品については、料理や雑貨など「暮らし」をベースにしたスタイリストである伊藤まさこさんとのコラボレーションによる『weeksdays』、シンプルな中にスパイスの効いた、独自の空気感が漂うスタイリングが人気の轟木節子さんとのコラボレーションによる『轟木節子がつくる、気持ちのいい服。』、リビング、ダイニング、キッチンで着る〝ホームのユニフォーム〟をテーマに、アパレルブランド「YAECA」とのコラボレーションによる『LDKWARE』といった、スタイリストやブランド、デザイナーとのコラボレーションによるファッション系アパレル、雑貨等が伸長しました。更に、任天堂株式会社元代表取締役社長である岩田聡さんのことばをまとめた書籍『岩田さん』の出版や、新発売のレトルトカレー『カレーの恩返しカレー』シリーズなどが寄与し、前期比で18.7%増となり、当事業年度の売上増に貢献しました。

 

 また、2019年4月17日~21日には第4回「生活のたのしみ展」を「東京と世界」をテーマに東京・丸の内で開催しました。これは、当社とスタイリスト、クリエイター、ブランド、企業が協同して、「生活のたのしみ」という切り口で、アパレル、生活雑貨、食品、アートといった多彩な商品をプロデュースし、商店街のように実店舗展開する販売イベントです。今回は、会場が複数のエリアに分かれたこともありレジ単価は減少したものの取引件数は増加し、5日間トータルでの売上は第2回、第3回と同水準となり、売上に貢献しました。これらの結果、売上高は5,465,408千円(前期比8.5%増)となりました。

原価については、「生活のたのしみ展」などにより原価率が高い商品の売上比率が前期に比べ増加した一方で、原価率の低いライセンス収入の比率も増加しており売上原価率は前期と同水準となりました。その結果、営業利益は640,138千円(前期比13.8%増)、経常利益は638,614千円(前期比12.5%増)となりました。保険解約返戻金16,667千円に伴う特別利益を計上し、当期純利益は441,154千円(前期比13.3%増)となりました。

上記の業績は、当社の企画運営する「場」を通じて、人と社会への肯定感に根ざした姿勢のコンテンツを活発に発信し、たくさんの人びとが集まったことによりもたらされたと考えています。当事業年度においては、さまざまな古典を学ぶ場となる「ほぼ日の学校」で、第4期の「ダーウィンの贈りもの Ⅰ」シリーズが開始となり、第2期の「歌舞伎」、第3期の「万葉集」に引き続き、さまざまな社外講師による連続講座が開かれています。さらに講座を収録した動画を配信する有料サービスも、配信講座数が着実に増加しています。

また、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」では、創刊21周年記念企画として、矢沢永吉さんに7年ぶりに登場していただいた「矢沢永吉×糸井重里 スティル、現役。」や、占い師・作家のしいたけ.さんとの「はじめまして、しいたけ.です。」、池上彰さんをお迎えしての特別授業「「池上彰」という新しい職業」といった糸井重里との対談コンテンツや、5月に発売された絵本『生きているのはなぜだろう。』に関連するコンテンツ「『生きているのはなぜだろう。』ができるまで。」、養老孟司さんと池谷裕二さんによる対談「養老孟司×池谷裕二 定義=「生きている」」、「コンセプトアーティスト田島光二の冒険」などが多くの読者を集めました。

ギャラリーショップ「TOBICHI」では、『ほぼ日のアースボール』を軸にした複合的な催しとしての「ほぼちきゅう博2019」や、上野の国立科学博物館で開催された「大哺乳類展2」と連動した企画「モグラとクジラ、土にもぐる、海にもぐる。」といった自然科学系の企画展、人間国宝・志村ふくみさんの技術と精神を受け継ぐアトリエシムラの染めのワークショップ、幡野広志さんの写真集の写真展や松本大洋さんの原画展など、発売されている書籍にあわせた展覧会を開催し、多くのお客様にご来場いただきました。犬や猫の写真を共有するSNSアプリ「ドコノコ」は2019年8月までに約25万ダウンロードを記録しています。

このように、当社は運営する「場」において、さまざまなコンテンツをつくることにより、生活のたのしみとなるような「いい時間」を顧客に提供しています。業績は、こうしたすべての活動の結実したものであると考えています。

なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

 

 

 (生産、受注及び販売の実績)

当事業年度における販売実績は次のとおりです。なお、当社は単一セグメントのためセグメント別の記載はしていません。

 

内訳

販売高(千円)

前年同期比(%)

直販

3,409,663

109.5

卸売 (注)1.

1,635,399

106.5

商品売上 計

5,045,063

108.5

その他売上 (注)2.

420,345

108.1

売上 合計

5,465,408

108.5

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下の表のとおりです。

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社ロフト

963,255

19.1

946,109

17.3

 

2.その他売上は主に送料売上、ライセンス収入等です。

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 財政状態の状況の概要・分析

 

前事業年度末

(2018年8月31日)

当事業年度末

(2019年8月31日)

前年同期末増減

資産合計

4,696,433

千円

5,063,795

千円

367,362

千円

負債合計

1,371,967

千円

1,449,580

千円

77,613

千円

純資産合計

3,324,466

千円

3,614,215

千円

289,748

千円

 

 

(資産の部)

流動資産は、4,229,710千円と前事業年度末に比べて423,011千円の増加となりました。これは主に商品の増加410,400千円によるものです。

有形固定資産は、136,646千円と前事業年度末に比べて12,143千円の減少となりました。これは主に建設仮勘定の増加11,912千円と、減価償却による減少26,492千円によるものです。

無形固定資産は、51,823千円と前事業年度末に比べて9,752千円の増加となりました。これは主にソフトウェアの取得によるものです。

投資その他の資産は、645,615千円と前事業年度末に比べて53,258千円の減少となりました。これは主に繰延税金資産の増加21,949千円と投資有価証券の時価評価額の減少69,421千円によるものです。

(負債の部)

流動負債は、1,284,454千円と前事業年度末に比べて73,339千円の増加となりました。これは主に買掛金の増加119,124千円と、未払金の増加25,448千円によるものです。

固定負債は、165,126千円と前事業年度末に比べて4,274千円の増加となりました。これは主に退職給付引当金の増加14,329千円と、その他に含まれる長期未払費用の減少9,279千円によるものです。

(純資産の部)

純資産の部は、3,614,215千円と前事業年度末に比べて289,748千円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加336,863千円によるものです。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物は2,039,155千円と前年同期末と比べ42,848千円の減少となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

前事業年度

(2018年8月期)

当事業年度

(2019年8月期)

前年同期末増減

営業活動による
キャッシュ・フロー

316,383

千円

72,967

千円

△243,416

千円

投資活動による
キャッシュ・フロー

△40,588

千円

△9,601

千円

30,986

千円

財務活動による
キャッシュ・フロー

△103,949

千円

△104,158

千円

△208

千円

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、72,967千円の純収入(前年同期は316,383千円の純収入)となりました。これは主にたな卸資産が417,667千円増加したこと、法人税等の支払額242,525千円があったものの、税引前当期純利益が655,281千円となったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、9,601千円の純支出(前年同期は40,588千円の純支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得に15,131千円、無形固定資産の取得に15,386千円を支出したことと、保険積立金の解約による収入24,470千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、104,158千円の純支出(前年同期は103,949千円の純支出)となりました。これは主に配当金の支払額104,009千円によるものです。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年8月期

2019年8月期

自己資本比率

70.8%

71.4%

時価ベースの自己資本比率

310.4%

258.2%

キャッシュ・フロー対
有利子負債比率

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

(注2)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

(注3)有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としています。

 

 

 (資本の財源および資金の流動性について)

当事業年度末現在において、流動比率は329%、総負債額に対する現金及び現金同等物は1.4倍です。

当社は将来の経営環境への対応や将来の新規事業のために必要な資金を内部留保しています。

当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入および販売活動に伴い生じる諸費用、人件費のほか、配当金や法人税等の支払いです。このほか、中長期的な成長に必要な人材への投資等についても、自己資金でまかなうことを原則としています。

主力商品である『ほぼ日手帳』の販売開始時期には、一時的な売上債権、仕入債務、たな卸資産等の増加があり、営業活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。

また、有価証券の取得・売却が生じた場合には、投資活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択・適用、当事業年度末日における資産及び負債、会計年度における収益及び費用並びに開示に影響を及ぼす見積りを必要としています。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性のため実際の結果とは異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しています。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

 該当事項はありません。