第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

(1)経営方針

 当社は、パーパス「アイデアと探究心で、“あたりまえ”を革新する。」のもと、プリント基板の E コマースサイト「P板.com(ピーバンドットコム)」の運営を中心に事業を展開しております。このパーパスを実現するため、以下の行動規範および行動指針を掲げています。

・企業パーパス(Purpose)
「アイデアと探究心で、”あたりまえ”を革新する。」

・行動規範(Code of Conduct)
「ワクワクするチャレンジを選ぶ。」

・5つの行動指針(Credo)
「アイデア、どんどん発信しよう!」
 積極的に提案をして、よりよい会社にしていこう
「たゆまぬ探究心で、形にしよう!」
 諦めず、粘り強く物事の本質を見極めよう
「学び続け、成長し続け!」
 継続的な学習で、自己を豊かにしよう
「失敗はステップ、恐れず飛び込もう!」
 失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧にしよう
「ハートフルな話し方、心地よい聴き方!」
 気持ちのいいコミュニケーションで、よりよい関係を築こう

 

(2)経営戦略

 当社は、持続的な事業成長を実現するためには、2~3年先を見据えた短期的視点にとどまらず、社会や産業構造の長期的な変化をトレンドとして捉えた戦略的経営が必要であると考えております。このような認識のもと、2021年12月10日に「長期ビジョンに基づく中期経営計画」を策定・公表し、その後、2024年10月に改訂を実施しております。

 現在、世界では産業構造や技術トレンドの急速な変化、地政学的リスクの顕在化、さらにはサステナビリティに関する社会的要請の高まりなど、企業経営において考慮すべき要素が一層多様化・複雑化しております。当社は、これらの環境変化に柔軟かつ的確に対応するため、中期経営計画のローリングによる定期的な見直しを実施し、迅速な意思決定を可能とする経営体制の維持・強化に努めてまいります。

 そしてその先に見据える2030年のありたい姿として、当社は次のようなビジョンを掲げております。

  「誰もがアイデアさえあれば、簡単にモノを具現化できる世界の実現」

 これは、P板.comが提供するワンストップソリューションを進化させ、プリント基板を中心としたものづくりのすべてのプロセスを、より手軽に、より速く、より自由に扱えるようにすることで、個人から企業まであらゆるクリエイターの創造力を支援するという、私たちの根本的な使命です。

 こうした取り組みを通じて、当社は持続的な成長と収益性の両立を図りながら、「長期ビジョンに基づく中期経営計画」の着実な遂行を継続してまいります。

 

 中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)の概要は以下となります。

①基本方針

 プリント基板 EC 事業のシェア拡大を基盤に、成長ドメインを拡張し持続的成長を実現する。

・戦略1:「仕組み」×「人」のハイブリッドで中堅・大手の顧客層を拡大

・戦略2:電子部品調達の自動化による業務効率の向上と売上拡大の両立

・戦略3:開発量産支援サービスの拡大

②新たな成長ドメイン

プリント基板のサプライチェーン知見を拡張し、ものづくりサービスの最適なサプライチェーンを一気通貫でつなぐ『GUGEN Hub』を構築することで、新たな成長の軸を確立する。

③資本コストおよび株価を意識した経営

資本コストを常に意識した投資判断と経営資源の最適配分を徹底することで、資本効率の向上と持続的な成長を実現してまいります。さらに、安定的かつ継続的な株主還元、機動的なM&Aによる事業ポートフォリオの強化、ガバナンスの一層の深化、そして積極的なIR活動を通じた株主・投資家との対話を推進することで、資本コストを上回るリターンを着実に創出し、企業価値および株主価値の最大化を図ってまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、事業活動の成果を示す①売上高、②当期純利益成長率、③エクイティスプレッドを重要な経営指標としております。

 

(4)経営環境及び財務上の対処すべき課題等

 当社を取り巻く環境では、電子部品や半導体の供給制約は緩和され、EV・IoTの普及や生成AIの進展などを追い風に、エレクトロニクス業界では新たな成長機会が生まれています。引き続き当社の掲げる「長期ビジョンに基づく中期経営計画」を推し進めてまいります。

 当社は、2030年に達成する「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」の実現のため、以下の課題に取り組んでまいります。

 

①プリント基板Eコマース事業のシェア拡大

 現在の基幹サービス「P板.com」でターゲットとする電子回路基板および電子回路実装基板の国内生産額は約1兆6,000億円であり、市場規模を勘案すると、多くの獲得余地があります。シェア拡大には、20年間培ってきた自動化された Web システム等の「仕組み」の強化に加え、「人」による営業力を組み合わせたハイブリッドな顧客対応が不可欠です。さらに、電子部品調達プロセスを徹底的に自動化することで原価低減とリードタイム短縮を図り、その成果を収益向上へ直結させます。加えて、サービス改善を進め、基板製造サービスを軸に基板設計サービス・部品実装サービスをクロスセルし、長期的な LTV 向上を実現します。

 これにより、お客様、提携基板メーカの双方にとってより良いプラットフォームが提供出来るよう引き続き努めてまいります。

 

②開発・量産支援サービスの拡販

 当社では、広範なサプライチェーンネットワークを活用し、電子機器の受託製造サービス「S-GOK(スゴック)」を展開しております。S-GOKは単なる製造請負にとどまらず、ソフトウェア開発、量産に向けた部材調達、組立、検査といった多岐にわたる工程に対応し、開発から量産に至るまでの一貫した支援体制を提供しています。

 本サービスの推進にあたり、顧客企業が製品アイデアを具体的な要件へと落とし込む初期段階で、的確なサポートが求められていることが明らかとなりました。こうしたニーズに応えるべく、新たに「S-GOKコンサルティングサービス」を開始し、構想段階から量産フェーズに至るまでの包括的な支援を開始しております。

 特に、迅速な意思決定と実行力が求められるスタートアップ企業に対して、当社のサービスは他社との差別化要因となっており、製品開発から量産化までを一気通貫でサポートする包括的なサービスとして、徐々に市場に浸透しつつあります。

 

③第3の事業の柱の探索と種蒔き

 当社はプリント基板Eコマースをコア事業として、売上規模を拡大してまいりました。当社が目指す「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」のためには、より広範な事業展開が必要で、既存事業分野の拡大に加え、新規事業分野の探索活動を両立させる「両利きの経営」での拡大が重要と考えております。

 既存サービスの収益で蓄積した内部留保の活用で、外部企業との提携などを通じて、自社の資源のみでは実現に時間を要する事業展開を目指します。

 新規事業分野の候補には、企業パーパスの「アイデアと探求心で、“あたりまえ”を革新する。」を念頭におき、長期的な経営環境の変化を見据えて、サステナビリティ課題への対応も考慮に入れながら選定し、企業成長と社会課題解決の同時追求、持続性あるビジネスモデルの構築を進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社では、サステナビリティ推進戦略を迅速に実行するため、サステナビリティ委員会を設置しています。代表取締役社長を委員長とし、全社的なサステナビリティ推進戦略の立案とサステナビリティ関連のリスク及び機会を選出・特定し、その対応策の策定並びにその進捗管理の役割を担うとともに、各事業部門と積極的なコミュニケーションを図りながら、事業とサステナビリティを結びつける取り組みを主導しております。委員会は半年に一度開催され、当社の取締役(社内)、常勤監査等委員、部長職以上の全員が参加しております。また、審議結果は、内容の重要度を鑑み、年一回、取締役会に報告される体制となっております。取締役会は、サステナビリティ委員会の報告に基づき、サステナビリティ課題に関するリスクや機会への対応策やその進捗状況等について指示・監督を行います。

 

(2)リスク管理

 事業を取り巻く様々なリスクの顕在化の未然防止または、最小化のために、「リスク・コンプライアンス規程」に従い、リスク・コンプライアンス委員会を開催し、全社のリスクの状況把握、監視を行うとともに、適切な対策を講じています。

 気候変動リスクや人的資本・多様性を含めたサステナビリティ課題についても、他の事業リスクとともに重要課題と認識しております。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する課題を経済、地政学、技術革新などとの関連性も踏まえてそのリスク並びに機会としての重要性を検討し、優先的に対応すべき重要課題を定期的に選出・特定する体制を整えています。全社的な気候変動に関する重要課題を定期的に選出・特定する体制を整えています。また、サステナビリティに関連するリスク及び機会は、サステナビリティ委員会からの指示に基づき、関係各部署から報告される仕組みが確立されています。

 サステナビリティ委員会での課題の審議、その対応策は取締役会に報告され、全社的なリスク管理の実施に関する基本計画が策定されます。

 重要な経営判断に関するリスクや機会については、必要に応じて外部の専門家の助言を受け、関係部門において分析・検討を行ってまいります。

 

(3)戦略

1.気候変動リスクに関連するリスクと機会

 当社は、「環境に配慮した循環型社会への貢献」を5つのマテリアリティの一つに掲げており、気候変動問題への対応をその重要な取組課題の一つと考えています。気候変動問題については、短期、中期及び長期の時間軸において、気候変動問題が当社の事業に及ぼす影響や当社の事業活動が気候変動問題に及ぼす影響をリスクと機会の観点から検討を行い、優先度の高い重要なリスクと機会を以下の通り抽出しました。

 

 移行リスク並びに機会としては、既に顕在化している原材料の高騰、さらに中・長期的には、今後想定される炭素税などのカーボンプライシングや環境規制の強化などによる原燃料価格・物流等間接コストの上昇・調達難がリスク要因として想定されます。社会の脱炭素化による行動変容により、それに対応した新製品・サービスの開発需要が高まり、売上を拡大できる可能性などが機会要因になると捉えております。さらに、環境負荷の少ない資材調達に消費者意識が向くことによって、当社が展開するファブレスによるワンストップのEコマースサービスがデファクトスタンダードとなり、新しい市場参入機会も想像されると考えております。

 

 物理的リスク並びに機会としては、台風や洪水などの自然災害の激甚化によるサプライチェーンへの影響は、収益機会の大きな損失につながり、主要なリスク要因になると捉えております。一方で、こうした異常気象による災害を未然に防ぐ、または環境改善などに貢献可能な、監視、計測、ヘルスケア、資源リサイクルといった新たなデバイス製造ニーズの創造につながるとも考えられます。

 

2.人的資本・多様性

 当社は、「多様性と人材育成の推進」を5つのマテリアリティの一つに掲げており、人的資本・多様性に関する対応を重要な経営課題として認識しております。その対応の基本となる「人材育成方針」と「社内環境整備方針」は以下の通りです。

 

① 人材育成方針

 当社は、人材こそが持続的な成長につながる価値を創造する源泉であると捉え、人事制度改革と自律型人材の育成を進めております。こうした求める人材の育成に向けて、当社は、個々の不足スキルに応じて、社内外の研修・セミナーなどを活用しながら育成に努めております。また、事業部内での配置転換を通じて複数の職務を経験することで、多様なスキルを持つ人材になることを推奨しております。

 

② 社内環境整備方針

 当社は、人材が最大限その能力と働く意欲を発揮するためには、社員が業務に取り組む社内環境を整備することが非常に重要であると考えています。具体的には、「差別やハラスメントの防止、基本的人権の尊重」、「安心・安全・公正で働きがいある職場環境の整備」、「(社員を含めたステークホルダーの)健康で豊かな生活への貢献」を具体的な取組課題と考えております。

 

(4)指標及び目標

1.気候変動

 パリ協定の枠組みや、日本政府が掲げた2050年までにCO排出量を実質ゼロにする目標のもと、持続可能な社会を実現するために企業が果たすべき役割を認識し、ビジネスを通じてこの課題解決を実現することが、当社の持続的成長に繋がると考えます。

 地球温暖化の原因となる温室効果ガス排出量削減のため、当社では中期目標として、売上高当たりCO2排出量を、2030年に2022年度比で40%減、長期的には、2050年にカーボンニュートラルを実現する目標を設定しました。

 なお、国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第6次評価報告書では、現時点での各国のGHG排出目標が、気温上昇を産業革命前比1.5%以下に抑制する上で不十分として、2035年のGHG排出量を2019年比60%削減する必要があるとしています。当社も、GHG排出削減策を新たに検討し、2035年に向けたGHG削減の取り組みについても鋭意検討してまいります。

 当社は、自社の「環境方針」に従って、省エネや省資源に取り組んでまいりました。気候変動への対応に向け、取り組みをさらに強化加速してまいります。

 

2.人的資本・多様性

 当社は、現時点では人的資本・多様性に関連する「指標と目標」を設定しておりませんが、以下の通り、その設定に向けての準備を進めております。

 

① 人材育成方針

 人材育成に関する指標と目標については、会社全体で不足するスキルを分析するためのスキルマップの充実、従業員一人当たりの研修費用などの設定を検討中です。また、当社の事業拡大にはエンジニアが必要不可欠です。優秀なエンジニアを確保する上で、業務を通して技術を向上できる開発環境、社内文化などから得られる「開発者体験の向上」などを、質的な改善指標として意識しております。

 

② 社内環境整備方針

 当社では、特定の業界に偏りのない様々なバックグランドを持つ中途採用者をベースに人員が構成されており、外国人を積極的に採用し、人員の多様性を高めて様々な知見を活かすことにより、サービスや事業経営の質の向上に努めております。また、管理職の女性の登用も推奨しており、管理職数に占める女性労働者の割合は14.3%です。当社は、女性管理職比率を含めた人材の多様性に関する指標と目標の設定を検討中です。

 働きやすい職場環境の整備およびワークライフバランスの推進に向けて、当社では柔軟かつ多様な勤務形態を導入しております。遠方在住や子育て中を含む、さまざまな事情を抱える従業員が長く安心して働き続けられるよう、環境の整備に努めております。具体的には、在宅勤務に対応する環境整備補助金の支給や、出張マッサージ制度など、環境改善・健康維持を支援する福利厚生を充実させております。

 

 指標および目標として、以下の制度に対する従業員の満足度を重要な評価項目と位置づけております。

・在宅勤務制度

・育児時短勤務制度およびフレックスタイム制度

・兼業・副業の許可制度

・出張マッサージ制度、シエスタ制度、福利厚生賃貸制度

 また、より良い働き方や職場環境の実現を目的として、全従業員を対象に月1回「ウェルビーイング・サーベイ」を実施しています。得られた結果をもとに、従業員の心身の健康やエンゲージメント向上を目的とした施策の立案・実行に役立てております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、これらリスクの発生の可能性を認識して事業活動を行っておりますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の他の記載事項も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、本文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

(1)当社の事業について

① 価格競争激化の可能性について

 インターネットを通じた商品の販売は、流通構造の簡素化、販売コストや事務コスト削減などの効果を販売者にもたらします。従って取引コストの合理化に伴う商品価格の低下を招く可能性があると考えられます。また、購入者にとっても、価格比較サイトによって事業者間の価格比較が容易となったため、複数の事業者がインターネット上で価格情報を公表している場合、価格競争は激化しやすいと考えられます。当社の取扱商品について、他社がインターネット上で販売する商品が増加した場合には、当社取扱商品の一部が価格競争に陥ることにより収益力が低下し、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 競合について

 当社のプリント基板の通信販売事業では、競合会社が存在しております。また販売商材は異なるものの、工場用間接資材の販売では、さらに多数の競合会社が存在します。これら両方を兼ね備えた競合会社は、現在のところ多くは存在しませんが、今後、既存の通信販売事業者が、当社の取扱う商品に領域を広げたり、また工場用間接資材の通信販売事業者が基板のようなカスタム商品の販売も対象とするようになると、それら事業者との競争の激化が予想されます。

 当社は先行メリットを活かしながら顧客ニーズに合致した商品の取扱い拡大や価格面等において、競合他社との差別化を図ってまいりますが、他に優れたビジネスモデルの競合会社が現れた場合、当社の提供するサービスが陳腐化し、既存事業者や新規参入事業者を含めた競争の激化により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 新規事業について

 当社は、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、基板関連サービスの拡充など積極的に新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えです。これによりシステム投資、広告宣伝費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新サービス、新規事業を開始した際には、そのサービス、事業固有のリスク要因が加わると共に、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収できず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)インターネット利用のリスクについて

① インターネットを利用した営業形態への依存について

 当社は、当社の運営するインターネットサイト「P板.com」にて注文を受付け、発注管理もインターネットを利用しております。また販売促進活動も、インターネットを通じた広告掲載、電子メールによるダイレクトメール送付などを顧客への主要なアプローチ手法としております。このように主にインターネットを使用した営業形態をとっているため、インターネットを通じた商取引の信頼性が失われた場合、もしくはインターネットを通じた商取引の利便性が顧客に十分に受け入れられない場合は、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② システム、インターネットの障害について

 当社の運営するインターネットサイト「P板.com」は、自然災害、事故及び外部からの不正アクセス等のために、インターネットによるサービスが停止する恐れがあります。

 当社では、システムトラブルの可能性を低減するために、万一の事故に備え、システム強化やバックアップ体制、ネットワークセキュリティの強化を行うなど、細心の注意を払っており、システムトラブルが発生した場合でも早期に復旧できる体制を整えております。

 しかし、大規模な自然災害や社内外の人的要因によるものを含む事故等の発生や、想定を上回るアクセスの集中等による基幹システム及びネットワークの障害等を完全に回避することは困難であり、万が一障害等が発生し、開発業務やシステムに重大な被害が生じた場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 検索エンジン最適化(SEO)への対応について

 GoogleやYahoo!等の検索エンジンにおいて、プリント基板に関連するキーワードをインターネット検索した際に、検索結果で当社のウェブサイトがどの程度上位に表示されるかは、マーケティングの観点から非常に重要であります。当社の運営するインターネットサイト「P板.com」の顧客の多くは、特定の検索エンジンの検索結果から誘導されてきており、当該検索エンジンからの集客数を確保するため、今後におきましてもSEO対策を実施していく予定であります。しかし、当社が適時適切にSEO対策を実施しなかった場合、または検索エンジンにおける検索アルゴリズム変更等により、これまでのSEO対策が有効に機能しなかった場合、当社への顧客流入数が想定数を下回り、当社の財政状態や経営成績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

④ インターネットによる風評被害

 ソーシャルメディアの急激な普及に伴い、インターネット上の掲示板への書き込みや、それを要因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、当社の経営にとってマイナスの影響が生じ、当社の事業展開、財政状態や経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(3)仕入・物流関係のリスク

① 仕入先への業務の委託

 当社は、主に基板に関わるサービスである設計、製造、実装やそれらに付随する業務の全部又は一部について、他社に委託しています。当社の仕入先・業務委託先は業歴も長く、当社との取引歴の長い先が中心で、安定した取引関係を維持してきましたが、何らかの事由により委託先が当社の期待通りに業務を行うことができない場合、当社の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 物流拠点の集中・依存について

 当社の国外仕入先からの商品は、本社(関東地区)に加えて長野県の物流倉庫に委託し、商品の納入から取引先への出荷までの一連の業務を2拠点体制で行っております。これにより、特定拠点への業務機能の集中リスクは一定程度低減しておりますが、大規模災害や両拠点同時の業務停止、あるいは委託先の財務状態が著しく悪化した場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、国外から国内への仕入先切替手順の整備、代替物流拠点や第三者物流の確保など、継続的なリスク分散策を講じることで、事業継続体制の強化に努めております。

③ 委託配送料の値上げや配送遅延のリスク

 当社は、商品の出荷配送を外部業者に委託しております。現在、業務委託先の協力の下最適な物流体制を構築しておりますが、物流コストの上昇や配送ドライバーの人手不足問題等により、委託配送料の値上げや、お客様からのご注文量の増加に対応した配送委託が間に合わない場合、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 原材料調達及び価格高騰のリスク

 当社の取り扱う製品に係る原材料には、銅をはじめとした金属が使用されております。これらの原材料は、海外からの輸入に依存しており、世界情勢・経済状況の変化、法律の改正、または世界的な需給逼迫等により調達状況に変化が起こる可能性があります。

 当社は国内外の業務委託先で製品の製造をしており、当社が直接原材料の調達を行うものではありませんが、原材料の調達状況が急激に変化した場合には、委託先より仕入れ価格の値上げ要請を受ける可能性があります。

 これらの原材料調達及び価格高騰のリスクに対し、当社は業務委託先の分散、また、当社のプラットフォームの利便性を上げ、より効率的な受発注体制を作ることにより、安価に安定的に調達できるよう努めております。

 

(4)外部要因について

① 為替レートの変動について

 当社の輸入商品の仕入れに占める割合は約50%であり、今後も為替レートの変動を見て増減を図っていく方針であります。当該輸入の決済代金は、為替相場変動リスク回避のため、円建が中心ですが、為替相場の変動により仕入れ値が変動する可能性があります。為替レートが大幅に円安に推移した場合には、商品調達コストを押し上げる等、為替レートの変動が当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 生産国のカントリーリスクについて

 当社の国外仕入先からの商品は、韓国・台湾・中国などアジア各国からの輸入によるものです。このためアジア各国等の政治情勢、経済環境、自然災害等により製造が滞った場合、又は輸送が困難となった場合には、当社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 国内の景気動向の影響について

 当社の登録会員は拡大傾向にあり、特定の顧客・業界への依存度が低いことから、当社の業績は相対的に景気変動の影響は受け難い傾向にあると思われます。しかし、足元では世界的な半導体不足が生じており、国内の顧客の開発状況に影響を及ぼす可能性があります。当社の主要な顧客の業績が急速に悪化する時期に当社が迅速かつ十分に対応できない場合、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)法的規制について

① 法的規制について

 当社の事業は、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「特定商品取引法」、「製造物責任法」及び「不正競争防止法」等による法的規制を受けております。そのため、従業員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等により法令遵守の体制を整備しております。しかし、将来にわたり、販売した商品及びその広告表現等において安全上の問題や表示表現等の問題が発生する可能性があります。これらの問題が発生した場合、多額のコストや当社のイメージ低下による売上の減少等が想定され、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 個人情報や機密情報の保護管理について

 当社の運営するインターネットサイト「P板.com」では、利用者本人を識別できる顧客情報を保有しております。当社は、顧客情報の保護について、信頼性の高い外部サーバで当該個人情報や機密情報を保護するとともに、社内規程の策定、従業員教育等を通じ、情報の流出防止に万全を期しております。しかし、当社や委託先の関係者の故意・過失、サイバー攻撃、コンピューターウイルス感染、不正アクセス又は不測の事態により、個人情報の漏洩その他不適切な処理が行われた場合、当社の社会的信用度が低下し、損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社の運営する「P板.com」の信頼性等が毀損し、セキュリティシステム改修の為の多額の費用が発生する可能性があります。その結果、競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 知的財産権について

 当社は、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払っておりますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性又は新たに当社の事業分野で第三者による知的財産権等が成立する可能性があります。かかる場合は、第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等又は当社に対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 訴訟について

 当社事業に関しては、常に顧問弁護士と相談しながら推進しております。しかし当社の事業分野のすべてにおける法的現況を把握することは困難であり、当社が把握できないところで法律を侵害している可能性は、完全には否定できません。損害賠償又は商品の販売差止等の請求を受ける場合は、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 法令面の社員教育

 当社では、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備、販売管理体制の構築、また、適宜、顧問弁護士のアドバイスを受ける等、法的規制を遵守する管理体制の整備に努めております。しかし、クレーム・トラブル等が生じた場合や、法令に違反する行為がなされた場合、及び法令改正や新たな法令制定が行われた場合には、当社の事業活動、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)組織体制について

① 有能な人材の確保や育成について

 当社では、事業規模の拡大及び業務内容の多様化に対応するため、各部門にて優秀な人材の確保と育成は課題であり、必要に応じて外部人材を採用しながら、内部人材の育成強化と登用に努めております。しかし、当社の事業規模の拡大に応じた人材育成や採用等が計画通り進まないまま競争が激化する場合、また競合他社との人材獲得競争により人材が流出する場合は、適正な人材配置が困難となり、競争力低下や業容拡大の制約要因となって、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 自然災害、感染症流行、事故、有事等の災害復旧対策等について

 当社は、従業員の生命・安全の確保と共に被災に耐える環境の整備に努めており、地方での在宅ワーク人員の確保を行うなど、リスク分散を図っております。本社機能と事業活動、人的資源は首都圏に集中しており、地震等の自然災害や、新型コロナウイルスのような未知の感染症の拡大など、他の事業活動継続に支障をきたす事件やテロ・紛争等が発生した場合、想定外の被災や有事の影響による業務中断や業務不能の事態、被災からの復旧遅れ等により、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)海外事業展開に伴うリスク

 当社は、北米市場をはじめとする海外市場への事業展開を推進しております。これに伴い、以下のようなリスクに直面する可能性があります。

 海外市場との取引においては、現地の政治・経済情勢の変動、各種法規制や商習慣の違い、文化的ギャップなどが事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、輸送経路の不安定化や物流コストの高騰、取引条件の変動、制度変更への対応負担などにより、追加的なコストが発生する可能性もあります。これらのリスクは、(4)②「生産国のカントリーリスク」で指摘したアジア地域の供給網に加え、今後新たに事業を展開する地域でも同様に想定されます。

 

 さらに、為替変動については、(4)①で記載のとおり、仕入れ価格への影響を与える外部要因として既に重要な位置づけとなっていますが、海外取引の拡大により、為替変動リスクの管理対象も広がっていく可能性があります。

 加えて、各国の関税政策や通商協定の変更により、関税率が引き上げられた場合、当社製品のコストに直接的な影響が及ぶ可能性があります。特に、保護主義的な貿易政策の導入や、自由貿易協定(FTA)の見直しなどに伴う関税の上乗せによっては、現地市場での価格競争力が低下し、採算性が損なわれるおそれがあります。さらに、通関手続きの複雑化や遅延、非関税障壁の増加といった要因も、サプライチェーン全体の効率性に悪影響を及ぼす可能性があります。

 こうした海外特有のリスクに対して、当社では「海外事業推進室」を代表取締役社長の直下に設置し、法務・財務・人事などの関係部門と連携しながら、事前のリスク把握および管理体制の強化を進めております。しかしながら、これらの施策が十分に機能せず、予期せぬ外部環境の変化や追加コストの発生等により、当社が想定するような成果が得られない場合には、当社の財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)スタンダード市場の上場維持基準について

 当社は、2024年3月31日時点において、東証スタンダード市場の上場維持基準のうち流通株式時価総額の基準を充たさない状況となったため、2024年6月26日に上場維持基準の適合に向けた計画書を作成し公表しておりましたが、当該計画に基づき上場維持基準に適合するための各種取組みを進めた結果、2025年3月31日時点において、株主数、流通株式数、流通株式時価総額、流通株式比率の全ての上場維持基準に適合することとなりました。今後も上場会社としてステークホルダーの皆様の信頼の下で発展していくために、引き続きコンプライアンス・ガバナンスの強化と上場維持基準への適合に努め、業績および企業価値の向上を目指してまいりますが、業績の変動等に対する株価の動向によっては上場維持基準に抵触する可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における世界経済は、米中貿易摩擦の長期化、エネルギー価格の高止まり、地政学的リスクの高まりなどを背景に、不透明な状況が続きました。一方、電子部品や半導体の供給制約は緩和され、EV・IoTの普及や生成AIの進展などを追い風に、エレクトロニクス業界では新たな成長機会が生まれています。

 当社は、こうした外部環境の変化に対応すべく、2024年10月に新たな中期経営計画を策定し、主力であるネット通販「P板.com」を中核としたワンストップソリューション(プリント基板の設計・製造・実装・電子部品調達)の強化を図るとともに、以下の重点施策に取り組みました。

シェア拡大に向けた取り組み

 BtoB-EC市場の拡大を背景に、当社の強みであるEC運営ノウハウとDX推進力を活かし、国内小規模・中堅基板メーカー市場への参入を進めました。その結果、2024年12月末時点で累計取引企業数が3万社を突破しております。

電子部品調達の自動化

 2024年12月より、国内最大級の半導体・電子部品通販サイト「CoreStaff ONLINE」を運営するコアスタッフ株式会社とのAPI連携により、「P板.com」上で部品見積から発注までをワンストップで完結可能な仕組みを構築し、電子部品調達の利便性を一層高めています。

モノづくりコンサルティング「S-GOK(スゴック)」

 2024年6月より開始した本サービスでは、当社の広範なサプライチェーンネットワークを活かし、構想段階から量産フェーズまでの支援を提供。特にスタートアップ企業に対して、迅速かつ実行力のあるサービスを通じて他社との差別化を図っています。

生成AI技術を活用した「AIハードウェア設計ツール」

 2025年3月にリリースした本ツールは、プロンプト入力により必要部品の自動選定・リスト化が可能な機能を提供。ハードウェア設計の敷居を下げ、初心者やソフトウェアエンジニアの参入を促進しました。

「gene」×「EnerCera®」によるセンサーデモ機開発サービス

 日本ガイシ株式会社が開発・製造する世界最薄クラスのリチウムイオン二次電池「EnerCera®」(エナセラ)と当社のセンサーデモ機開発サービス「gene」とのコラボレーションによるセンサーデモ機の開発を開始いたしました。当社はこの開発により、ウェアラブルデバイスやIoT機器市場のさらなる拡大に向けて、短期間かつ低コストのプロトタイピングを実現します。

北米向け基板ECサイト「PCB Flash」の新規開設

 Mitsui Plastics Inc. (本社 : 米国ニューヨーク州ホワイトプレーンズ、三井物産株式会社(100%出資)、以下MPI)との戦略的パートナーシップを通じ、北米のプリント基板市場に進出しました。日本基準での品質管理や効率的なネット通販の仕組みを活かすことで、高品質・低コストのサービスを提供し、新たな顧客基盤の開拓を目指します。

名古屋証券取引所メイン市場への重複上場

 2025年3月14日から名古屋証券取引所メイン市場に重複上場し、投資家層の拡大と流動性向上を図りました。これにより、投資家層の拡大と株式の流動性向上を図り、より多様なステークホルダーとの対話を促進します。

 

 これらの施策により、販売管理費は成長投資の影響で増加したものの、高付加価値型ビジネスモデルへの集中や業務効率化により、収益性の改善を継続しております。

 

 以上の結果、当事業年度の売上高は2,180,578千円(前年同期比8.2%増)、販売費及び一般管理費は631,729千円(前年同期比15.6%増)、営業利益は157,193千円(前年同期比18.3%増)、経常利益は159,295千円(前年同期比20.2%増)、当期純利益は112,531千円(前年同期比20.6%増)となりました。

 

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ61,051千円増加し、1,137,609千円となりました。キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動による資金の増加は144,560千円(前事業年度は148,812千円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益155,464千円の計上、減価償却費22,090千円の計上、投資事業組合運用損2,842千円の計上、株式報酬費用4,770千円の計上、有形固定資産除売却損3,831千円の計上、仕入債務の増加5,188千円、売上債権の増加39,047千円、破産更生債権等の減少1,257千円、未払金の増加13,973千円、未払消費税等の増加6,965千円、利息の受取額604千円、法人税等の支払額26,277千円等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動による資金の減少は46,174千円(前事業年度は92,503千円の減少)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,370千円、無形固定資産の取得による支出16,572千円、投資有価証券の取得による支出17,500千円、保険積立金の積立による支出9,731千円等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動による資金の減少は37,333千円(前事業年度は31,570千円の減少)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入100千円、配当金の支払による支出37,434千円によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における仕入実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

1,396,681

105.4

(注)金額は仕入価格によっております。

 

c.受注状況

 当社は受注から販売までの期間が短く、販売実績と近似するため記載を省略いたします。

 

d.販売実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

2,180,578

108.2

(注)主要な相手先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略いたします。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。なお、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

a.資産の部

 当事業年度末における総資産は1,733,420千円となり、前事業年度末と比較して123,666千円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金61,051千円、売掛金40,018千円、商品5,026千円、投資有価証券14,474千円、保険積立金9,731千円、繰延税金資産3,711千円が増加した一方、電子記録債権970千円、建物附属設備643千円、機械及び装置2,205千円、ソフトウェア5,009千円、破産更生債権1,257千円が減少したこと等によります。

 

b.負債の部

 当事業年度末における負債合計は355,321千円となり、前事業年度末と比較して44,948千円の増加となりました。主な要因は、買掛金5,188千円、未払金13,973千円、未払消費税等6,965千円、未払法人税等21,373千円が増加した一方、預り金2,332千円、退職給付引当金1,520千円が減少したこと等によります。

 

c.純資産の部

 当事業年度末における純資産合計は1,378,098千円となり、前事業年度末と比較して78,717千円増加となりました。主な要因は、利益剰余金が当期純利益を計上したことにより112,531千円増加、配当金の支払により利益剰余金が37,415千円、自己株式の処分により自己株式が6,972千円減少したこと等によります。

 

 資金の運用は安全性の高い商品による運用方針としており、現状は現金及び預金が総資産の中心です。当期末時点の自己資本比率79.5%、また流動比率434.2%と、安全性の高い財務体質を目指しております。

 

③ 経営成績の分析

a.売上高

 当事業年度の売上高は、2,180,578千円と前事業年度と比べ164,799千円(8.2%)の増収となりました。主力事業であるプリント基板Eコマース事業が前年比で増加した等によるものです。

 詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b.売上原価

 当事業年度の売上原価は、1,391,655千円と前事業年度と比べ55,135千円(4.1%)の増加となりました。主な要因としては、売上高が前事業年度と比べ増加したこと等によります。

c.販売費及び一般管理費

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、631,729千円と前事業年度と比べ85,366千円(15.6%)の増加となりました。主な要因としては、人員の増員により給料手当が26,931千円、複数の展示会への参加により広告宣伝費が5,621千円増加したこと等によります。

d.営業外収益、営業外費用

 当事業年度の営業外収益は、5,321千円と前事業年度と比べ2,044千円(62.4%)の増加となりました。主な要因としては、協賛金収入が421千円増加したこと、補助金収入が992千円発生したこと等によるものです。

 当事業年度の営業外費用は、3,218千円と前事業年度と比べ458千円(12.5%)の減少となりました。主な要因としては、投資運用組合損が1,023千円増加した一方、為替差損が1,653千円減少したこと等によるものです。

e.特別損失、法人税等

 当事業年度の特別損失は、3,831千円となりました。要因としては、固定資産除却損3,831千円によるものです。

 当事業年度における法人税等は、42,932千円と前事業年度と比べ6,335千円(17.3%)の増加となりました。主な要因としては、法人税が11,266千円増加した一方、法人税等調整額が4,931千円減少したこと等によります。

 

 これらの結果により、当事業年度の営業利益は157,193千円、経常利益は159,295千円、当期純利益は112,531千円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、提携仕入先への仕入原価のほか、人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。なお、これらの資金需要に対しては、内部資金によりまかなっており、有利子負債による資金調達は行っておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

 経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
 今後も、IoTやエッジ・コンピューティング、自動運転といった市場が本格化していき、様々な業界の新規参入が見込まれております。当社が展開しているEコマースの形態は、新規参入の企業にとって利用しやすい形態であり、市場の成長と共に当社の事業も拡大していくものと見込んでおります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を行うために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。今後の市場拡大のニーズを取り込むためには、コアサービスの「P板.com」、サービス領域を拡大した「開発・量産支援サービス」の成長が不可欠であり、さらに、それらの受発注を少数精鋭で効率的に行うことにより、事業の成長を図っていく方針であります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。