第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における世界経済は、米国では好調な企業業績を背景に景気回復基調が続いており、ユーロ圏においても雇用情勢の改善を受けて景気が持ち直しており、全体として堅調に推移いたしました。新興国においても、安定した中国経済及び堅調な欧米経済を背景に輸出が堅調であり、全体として回復基調となりました。

我が国経済は、政府の低金利政策により為替相場が円安で安定し、輸出関連の企業を中心に引き続き堅調に推移いたしました。

当社グループが属する音楽用電子機器業界におきましては、我が国においては少子化や趣味の多様化により市場が伸び悩んでいるものの、世界最大の市場である米国においては緩やかな成長が続いており、また、中国をはじめとする新興国においても中間所得層の増加により市場が拡大しており、総じて好調な事業環境となりました。
 このような状況の中、当社グループの業績は、為替相場が円安に推移したこともあり、売上高は6,300,671千円(前期比5.6%増)、営業利益は327,547千円(前期比48.2%増)、経常利益は362,652千円(前期比77.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は288,646千円(前期比61.0%増)となりました。

当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。製品カテゴリー別の説明は以下のとおりであります。

 

(ハンディオーディオレコーダー)

ハンディオーディオレコーダーは、主力機種であったH1の生産を当連結会計年度で終了し、12月から後継機種H1nの発売を開始いたしましたが、本格的な販売は翌連結会計年度からとなり、H1nの販売が当連結会計年度に与える影響は軽微なものとなりました。一方、H4nPro及びH6といった既存機種の販売は引続き堅調に推移いたしました。その結果、ハンディオーディオレコーダーの売上高は、前連結会計年度から4.4%増加し、3,270,694千円となりました。

(マルチエフェクター)

マルチエフェクターは、主力のG3nシリーズの販売が好調であったこと、アコースティックギター専用の新製品AC-2、AC-3の販売が堅調であったことから、全体として好調に推移いたしました。この結果、マルチエフェクターの売上高は、前連結会計年度から22.8%増加し、1,064,635千円となりました。

(ハンディビデオレコーダー)

ハンディビデオレコーダーは、前連結会計年度に販売を開始したQ2nの当連結会計年度の販売台数が予想を大きく上回りました。この結果、ハンディビデオレコーダーの売上高は、前連結会計年度から102.9%増加し、676,415千円となりました。

(マルチトラックレコーダー)

マルチトラックレコーダーは、当連結会計年度に、ライブ演奏のミックス、モニター、レコーディングを統合した新製品L-12の販売を開始いたしました。この結果、マルチトラックレコーダーの売上高は、前連結会計年度から38.6%増加し、372,517千円となりました。

(モバイルデバイスアクセサリ)

モバイルデバイスアクセサリは、当連結会計年度に新製品を発売しなかったものの、ネット通販での販売が好調であったこと等により販売数が増加しました。この結果、モバイルデバイスアクセサリの売上高は、前連結会計年度から16.2%増加し、105,912千円となりました。

(オーディオインターフェース)

オーディオインターフェースは、競合ブランドのシェアが強固であり、また、新製品効果により売上が伸びた前連結会計年度の反動もあり、全体として予想を下回る売上となりました。この結果、オーディオインターフェースの売上高は、前連結会計年度から38.1%減少し、117,419千円となりました。

 

(プロフェッショナルフィールドレコーダー)

プロフェッショナルフィールドレコーダーは、業務用レコーダーの市場規模が予想を下回り販売代理店が仕入を抑制したこと等により、前連結会計年度に比べて販売が伸び悩みました。この結果、プロフェッショナルフィールドレコーダーの売上高は、前連結会計年度から44.5%減少し、392,151千円となりました。

(エレクトロニックダンスミュージック)

エレクトロニックダンスミュージックは、当連結会計年度においては、前連結会計年度の新製品効果の反動減により売上が大きく減少いたしました。この結果、エレクトロニックダンスミュージックの売上高は、前連結会計年度から89.5%減少し、9,370千円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ190,534千円増加し、当連結会計年度末に3,485,577千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動により増加した資金は364,428千円(前連結会計年度は394,280千円の増加)となりました。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益を364,779千円及び減価償却費を221,825千円計上し、売上債権の減少額が149,687千円及び仕入債務の増加額が185,952千円であった一方、たな卸資産の増加額が457,224千円であったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動により減少した資金は341,836千円(前連結会計年度は216,228千円の減少)となりました。資金の主な減少要因は、主として金型の購入である有形固定資産の取得による支出250,245千円及び貸付けによる支出172,483千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により増加した資金は211,180千円(前連結会計年度は458,979千円の増加)となりました。資金の主な増加要因は、株式の発行による収入340,350千円によるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当社グループは、外部に製造を委託しており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2) 製品仕入実績

当連結会計年度における製品カテゴリー別の仕入実績は次のとおりであります。

製品カテゴリーの名称

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

仕入高 (千円)

前年同期比 (%)

ハンディオーディオレコーダー

2,066,893

109.9

マルチエフェクター

732,077

129.9

ハンディビデオレコーダー

543,851

236.9

マルチトラックレコーダー

314,433

267.8

モバイルデバイスアクセサリ

68,338

109.0

オーディオインターフェース

76,744

71.2

プロフェッショナルフィールドレコーダー

264,465

57.9

エレクトロニックダンスミュージック

31,465

39.3

その他

344,601

102.5

連結消去額

△359,791

117.1

合計

4,083,081

115.8

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社グループの製品は、すべて生産委託しております。

 

(3)受注実績

当社グループは、需要予測による見込で販売数量を決定しており、受注生産の形態を採っておりません。

 

 

(4)販売実績

当連結会計年度における製品カテゴリー別の販売実績は次のとおりであります。

製品カテゴリーの名称

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比 (%)

ハンディオーディオレコーダー

3,270,694

104.4

マルチエフェクター

1,064,635

122.8

ハンディビデオレコーダー

676,415

202.9

マルチトラックレコーダー

372,517

138.6

モバイルデバイスアクセサリ

105,912

116.2

オーディオインターフェース

117,419

61.9

プロフェッショナルフィールドレコーダー

392,151

55.5

エレクトロニックダンスミュージック

9,370

10.5

その他

291,553

100.3

合計

6,300,671

105.6

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ZOOM North America LLC

1,902,641

31.9

2,204,694

35.0

Sound Service Musikanlagen-
Vertriebsgesellschaft mbH

699,111

11.7

697,617

11.1

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは音楽用途の電子機器の開発と販売によって、世界の共通語である音楽の市場拡大と発展に貢献することを目指します。また、「音」と「音楽」に特化したブランドイメージをアピールすることで、楽器を演奏するユーザーのみならず、コンシューマ・エレクトロニクス(家電)市場、あるいはプロシューマ(業務)用機器市場を開拓していくことで成長を図ってまいります。そのためには、常に先端技術を応用して独自性のある製品を開発し、組織のオーバーヘッドを抑えて意思決定のスピードを上げ、ファブレス体制を維持して生産や在庫のフレキシビリティを保ち、グローバルな人材活用によってマーケティング力を強化し、変化する市場に適応しながら100年続くブランドを構築してまいります。また、適正で安定した利益還元によって株主の期待に応えると共に、技術革新に対する投資を積極的に行い、将来のリスクに備えた内部留保を確保します。さらに、コンプライアンス、透明性、環境への配慮を重視することで企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループでは持続的な成長と適正な利益の確保のための指標として売上高及び営業利益を、また、資金の効率的な運用を実現するための指標として株主資本利益率(ROE)を、重要な指標と考えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中長期的な経営目標として、当社製品のターゲットユーザーを楽器の演奏をするミュージシャンに限定せず、広く創造活動をするクリエーターと位置づけることにより、製品カテゴリーを拡げることで成長シナリオを描いております。一方で、ハンディオーディオレコーダー、マルチエフェクターやハンディビデオレコーダーといった既存の製品カテゴリーにつきましても、引き続き新製品を投入し、持続的な成長を目指してまいります。すなわち、製品カテゴリーを入れ替えていくのではなく、実績ある従来製品で安定した事業基盤を確保しつつ、新たな製品カテゴリーを加えていく、という経営戦略を取ります。

なお、当社は、当連結会計年度の業績及び上記戦略を踏まえ、当連結会計年度後に新たに平成30年度から平成32年度までの中期経営計画「第2次中期経営計画 2018-2020 ZOOM 5.0」を策定いたしました。当該中期経営計画において、平成32年度の数値目標を、売上高100億円、営業利益7億円、ROE11.0%としております。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループが属する音楽用電子機器業界におきましては総じて好調な事業環境となっておりますが、当社グループでは、不透明な外的要因が続くことを前提に、安定的、持続的に事業を拡大するため、下記のような課題に取り組んでまいります

① 日程計画通りの新製品開発

当社グループにとって、新製品の開発は経営の根幹であり、ブランド戦略も成長戦略も新製品を抜きに立案することはできません。電子機器は技術革新によって、常に陳腐化のリスクを抱えており、競争力維持のためには最先端の技術を採用し続けなければなりません。必然的に開発途上で発生する「予期せぬ事態」も解決に時間を要する傾向が顕著になっております。当社では、単に余裕を持った日程を立てるだけではこの問題を解決することができないと認識しており、「予期せぬ事態」の発生回数や発生確率を下げ、その深刻さを低減し、対処へのトリガーを早めるなど、あらゆる方策や知恵を動員して遅延を防止し、計画通りの新製品開発を行う方針であります。 

② 組織の最適化

当社グループは、業容の拡大に応じて社員数を増やしてまいりましたが、基本的な組織構成は、売上規模、開発機種数が半分程度の時期から変わっておりません。今後さらに開発・販売機種数が増加していくことが見込まれ、規模に応じた組織への再編は避けて通れない課題となっております。当社は、経営の監督と執行を分離してガバナンスを強化するべく、執行役員制度を導入しております。同時に、迅速で果敢な業務遂行のために権限の委譲を進めてまいりました。これをさらに推進させるため、組織のフラット化、及び分離や統合を行い、ガバナンスの強化を伴いつつ、スピード感のある経営判断や業務執行が行える組織への改変を行う方針であります。 

 

③ ヨーロッパの販売体制強化

当社グループは、平成30年4月にイタリアに本社を置く販売会社の51%の持分を取得し、子会社とする予定です。ヨーロッパはユーロの導入以来、単一の経済圏形成へと歩んでおりましたが、実際には異なる文化、歴史、言語、税制、社会保障制度、経済格差などが混在し、ユーロが目指した米国と肩を並べる単一市場への道のりは遠い現状にあります。特に近年はイギリスのユーロ離脱問題、難民流入に伴う政治経済の保守化、スペインのカタルーニャ独立運動など、市場の複雑化は増すばかりであります。当社はこれらの問題に対して、ヨーロッパを単一市場とは捉えず、3-4地域に分けてそれぞれに最適な販売体制を整えていく方針であります。その第一歩として、当該販売子会社を南ヨーロッパ地域の拠点に位置付け、「巨大マーケットの国境を越えた流通」と「国境を越えてなお残る情緒的障壁」という、2つの矛盾する課題を両立させる方法を見出す方針であります。 

④ 基幹システムの稼働

当社は、株式上場によって調達した資金を活用し、基幹システムの更新に取り組んでおります。従来は個別に活動していた、購買システム、販売システム、輸出システム、会計システム等を統合した基幹システムを導入することにより、各システム間の連携業務の効率を向上させると共に、現在はそれぞれの業務が属人的であることで起こり得る誤謬の防止と、誤謬防止に要している業務負担を軽減させることを目的としております。特に、EMS工場に供給する重要部品の調達に関してはシステム化されていなかったことから、これも基幹システムの重要な機能と位置づけ、今後の業容拡大、生産機種や台数の増加に備える方針であります。これまでに、パッケージソフトウェアの選定、要件定義、詳細設計を終了しており、今後はカスタマイズ作業、マスターデータの初期設定、テスト期間を経て、平成30年第3四半期の稼働開始を予定しております。 

⑤ コンプライアンス意識の継続的向上

当社グループでは、コンプライアンスを重視した経営を行うためリーガルディヴィジョン(法務部)を設置し、弁護士であるCLO(チーフリーガルオフィサー)がこれを統括しております。内部監査によるコンプライアンスチェックのほか、四半期毎のコンプライアンス研修、定期的なコンプライアンス・マニュアルの拡充とその小冊子の配布、メールやドキュメントのキーワード検索によるチェック等、全社でコンプライアンス強化に取り組んでおります。

今後においても、コンプライアンス・マニュアル(小冊子を含む)の英訳版発行を含め、海外のグループ会社におけるコンプライアンス意識の向上にも取り組む方針であります。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 外部経営環境

① 為替の変動

当社グループの海外売上高比率は88.2%(平成29年12月期)と高く、海外への売上高は主に米国ドル建であり、また、中国の生産委託先からの仕入高についても米国ドル建であるため、為替相場の変動は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。具体的には、売上高及び仕入高については、それぞれ販売及び仕入をした月の前月の平均レートで円換算されるため、同レートに応じて円換算後の売上高と売上総利益が増減いたします。すなわち、円高となった場合は売上高と売上総利益が減少いたします(円安の場合は増加)。今後イタリアに本社を置く販売会社を子会社化した場合には、ユーロの変動が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、棚卸資産の評価基準として総平均法を採用しているため、円高傾向が継続した場合、売上原価は過去の円建仕入価格の影響を受けることから、売上原価率が上昇する傾向にあります(円安傾向が継続した場合は下落)。

さらに、当社の外貨建資産と負債のほとんどがドル建であるため、ドル建資産とドル建負債のバランスを保つことにより、為替差損益がなるべく生じないよう管理をしておりますが、完全な管理は困難であるため、為替相場の変動に応じて為替差損益を計上する可能性があります。

② 各国の経済状況及び市場の動向

当社グループの製品は世界各国で販売されているため、各国の経済状況や競合他社との価格競争を含む市場の動向に大きな変化がみられた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

特に、当社グループの顧客には比較的若いユーザーが多いため、先進国で見られる少子化は将来の顧客数に影響を与える可能性があります。また、趣味の多様化により当社グループの製品カテゴリーの対象顧客が減少する可能性があります。さらには、ミュージシャンやクリエーター等がターゲットユーザーである製品が多いため、限られたユーザーの動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクに対応するため、新しい製品カテゴリーの開拓を当社グループの戦略目標の一つとしておりますが、新しい製品カテゴリーの開拓に失敗した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 競合

スマートフォンが携帯音楽プレーヤー、カメラや携帯電話の市場を取込んだように、技術革新や新しいコンセプトの製品の誕生により、思いもよらない製品が将来当社製品の競合となる可能性があります。また、資金力や技術力がある企業が、新たに当社グループの製品が属するカテゴリーに参入することにより、競争が激化する可能性があります。今後、新たに発売する製品について十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 法的規制

当社グループは電波法、会社法、法人税法、独占禁止法、個人情報保護法、製造物責任法、景品表示法など様々な法的規制を受けており、法改正や新たな法的規制が設けられる可能性があります。その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは製品を49カ国(平成29年12月期)の販売代理店を通じて販売しているため、各国の現地の法的規制を遵守するよう努めております。しかしながら現地の法的規制が改正または新たに設定された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(2) 新製品開発及び製造

① 製造物責任

当社グループは製品の開発、製造及び販売に当たり、適切な品質管理の実施に務めておりますが、予期せぬ欠陥が生じることによりリコールや訴訟が発生する可能性、またその後のレピュテーションリスクやブランド力の毀損のリスクが考えられます。

さらに、製造物責任賠償保険に加入しているものの、保険で賠償額が十分にカバーされなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 新製品開発

当社グループは世界初のユニークな製品を開発することを目指しておりますが、期待通りの成果が得られず製品化を断念した場合、あるいは開発の遅延により予想外の追加コストが発生した場合や販売開始が遅れた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 生産コストの上昇

当社グループの生産は主として中国にあるEMS企業へ委託しいるため、今後中国国内の人件費や物流費用の上昇等の理由により生産コストが上昇する可能性があります。

また中国での製造及び物流(輸出)に対しての新たな法規制・税制・政治情勢・経済情勢等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④ 特定の生産委託先及び原材料購入先への依存

当社グループの生産は外部に委託しており、特にHong Kong Tohei E.M.C. Co. Ltd.へは、主力製品のハンディオーディオレコーダーの大部分を生産委託し、当社の生産委託全体の84.6%(平成29年12月期)を占めております。また、原材料についても高い品質や技術が必要な部品を低価格で調達しようとすると、特定の購入先に依存せざるをえない場合があります。何らかの理由により特定の生産委託先又は原材料購入先からの購入ができなくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 知的財産権

当社グループでは、新製品開発に当たり他社の知的財産権の調査を行い、特に新製品で使用する技術が他社の特許権を侵害しないか、新製品の名称が他社の商標権を侵害していないか、に留意して調査することにより、問題の発生の防止に努めておりますが、知的財産をめぐって他社との間で紛争や訴訟が生じたり、他社から知的財産の侵害を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 特定製品カテゴリーへの依存

当社グループは多種多様の製品を販売しておりますが、ハンディオーディオレコーダーの売上割合が51.9%(平成29年12月期)を占めております。ハンディオーディオレコーダー以外の他の製品カテゴリーの製品開発や販促にも取り組んでおりますが、なんらかの理由によりハンディオーディオレコーダーの製品の出荷数が落ち込んだ場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 海外の販売代理店への依存

当社グループの海外売上高比率は88.2%(平成29年12月期)と非常に高く、そのすべては海外の販売代理店経由の売上となっており、特にZOOM North America LLC向け売上は35.0%(平成29年12月期)と高い比率となっております。各国での当社製品のプロモーションや営業活動は、原則として当該国担当の販売代理店が独自で行うため、各販売代理店の販売戦略等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、主要な販売代理店との契約終了や関係の悪化が、小売業者や顧客の喪失、競合他社へのノウハウの流出、当社グループの営業力の減退をもたらし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。さらに、販売代理店に対するモニタリングが不十分であった場合、当社グループの評判又は信用が毀損し、又は小売業者や顧客との関係を悪化させ、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(6) 人材の確保と育成

当社グループの製品は、競合商品の出現や技術革新により販売台数が減少する傾向にあることから、持続的な成長のためには継続的に新製品を開発し、発売していくことが不可欠となります。製品開発に当たってはエンジニアの数と質が制約条件となるため、優秀なエンジニアの確保と継続的な人材の育成に努めてまいります。しかしながら、優秀な人材の確保や育成が予定通り進捗しない場合や優秀な人材の流出が続いた場合、競争力の低下や事業計画の予定通りの遂行ができなくなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 情報漏洩

当社グループは、業務を通じて取引先の機密情報やユーザーの個人情報等を保有しており、これらの情報を保護するために個人情報保護等の規程の整備を含めた情報セキュリティ体制を構築、運用しております。

しかしながら、コンピュータウイルスの感染やパソコンの盗難等の不測の事態により機密情報が漏洩した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) レピュテーションリスク

当社グループの製品は個人向けでありパーソナルコンピューターとの連携を前提とした製品も多いため、ネットリテラシーの高いユーザーが多く、ユーザーからの感想や要望がソーシャルメディアやブログ等に多くあがっております。当社グループにおいてはソーシャルメディア運用管理規程等を定め、いわゆる“炎上”が起こらないように注意しておりますが、事実の有無にかかわらず、インターネット上で当社もしくは当社グループ製品への誹謗・中傷が広がった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 売掛金の回収リスク

当社グループの主要取引先に対しては、主として売上の1ヶ月から2ヶ月分の与信を設定しております。取引先には、有力な卸、小売店又は販売代理店が多いため売掛金残高も多額となるケースがあります。主要取引先に対しては定期的に信用調査を行うなど慎重に与信管理を行っておりますが、倒産等により売掛金の回収が不可能となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)重要な訴訟

当社グループは、コンプライアンス規程及びコンプライアンス・マニュアルを制定し、リーガルディヴィジョンを設置して責任者に弁護士であるチーフリーガルオフィサー(CLO)を任命する等、法令および契約の遵守に努めております。しかしながら、当社グループの製品は世界中で利用されているため、様々な理由で訴訟の提起を受ける可能性があり、その場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)自然災害等

当社はグループは、開発拠点を日本に、生産拠点を中国に、販売拠点を日本及び海外に置いております。これらの拠点において、地震、水害等の自然災害、戦争・テロまたは第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。当社グループでは、一定規模の災害等を想定したリスク対応策を講じておりますが、こうしたリスク等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

契約会社名

相手先の名称

契約締結日

契約期間

契約内容

ZOOM HK LTD

香港東英電子工業有限公司(Hong Kong Tohei E.M.C. Co. Ltd.)

平成27年1月15日

平成27年1月15日より
平成28年1月14日まで

以後1年ごとの自動延長

当社が生産を委託
した製品の売買に
関する基本契約

 

上記のほか、当社は、平成29年11月14日、Mogar Music S.p.A.と当社子会社を設立することを目的とした、基本合意書を締結いたしました。

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは研究開発活動を当社に集中しており、当連結会計年度末の当社の開発人員は43名となっております。また、当社にはギター、ベース、ドラム又はピアノなどを演奏するエンジニアがおり、各製品の種類、開発の難易度や進捗に応じて柔軟にエンジニアを配置できるようにすることにより、“ズーム”らしくかつ市場のニーズに合致した製品をいち早く製品化できるよう努めております。そのために、(1) プロレベルのユーザー体験を提供する、(2) 世界初の「何か」を実現する、(3) 自分で使いたい商品にする、(4) デザインは機能を表現する、(5) 機会提供型の商品で新しい市場を創出する、という「商品開発5か条」を定め、当方針をもとに研究開発活動を行なった結果、当連結会計年度においては、マルチトラックレコーダー、オーディオインターフェースおよびオーディオミキサーを統合した初の機種となるL-12を開発、発売いたしました。また、当連結会計年度における研究開発費の総額は738,815千円となりました。

なお、当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

 「技術とノウハウの転用」

当社グループは、下記の図に示すとおり、過去の技術とノウハウの蓄積を利用して新しい製品カテゴリーに参入してまいりました。今後も蓄積してきた技術とノウハウを用い、新しい製品カテゴリーを開拓していく所存です。

 

<当社グループの製品における技術の転用(例)>


 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は6,804,661千円となり、前連結会計年度末と比べ682,880千円増加しました。これは主に、流動資産の増加によるものであります。

企業の安全性を示す自己資本比率は前連結会計年度66.1%に対し、当連結会計年度は資本金及び資本剰余金の増加に伴い66.4%と0.3ポイント増加しております。

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ664,104千円増加し、6,174,920千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加192,936千円と商品及び製品の増加473,015千円によるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ18,775千円増加し、629,741千円となりました。これは主に、無形固定資産が25,111千円増加したことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ206,375千円増加し、2,283,696千円となりました。これは主に、買掛金の増加156,298千円及び未払法人税等の増加102,259千円によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて476,504千円増加し、4,520,965千円となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金がそれぞれ170,175千円増加したほか、剰余金の配当39,960千円を行った一方、親会社株主に帰属する当期純利益を288,646千円計上したことによるものであります。

 

(3) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前期比5.6%増加の6,300,671千円となりました。

これは主に、為替相場が円安で安定し、ハンディオーディオレコーダー及びハンディビデオレコーダーの販売が好調であったことによるものであります。

(売上総利益)

売上原価は、前期比2.5%増加の4,115,376千円となり、売上原価率は1.9ポイント改善し65.3%となりました。これは主に、当連結会計年度は円安に推移したことにより、円ベースの売上原価率が改善したことによるものであります。その結果、売上総利益は2,185,294千円(前期比11.8%増)となりました。

(営業利益)

販売費及び一般管理費は、前期比7.2%増加の1,857,747千円となりました。これは主に、給料手当及び賞与の増加(前期比39,852千円増)、及び支払手数料の増加(前期比88,771千円増)によるものであります。その結果、営業利益は327,547千円(前期比48.2%増)となりました。

 

(経常利益)

営業外収益は、前期比7.4%減少の149,227千円となりました。これは主に、持分法による投資利益の減少(前期比10,942千円減)によるものであります。また、営業外費用は前期比35.6%減少の114,123千円となりました。これは上場関連費用20,728千円を計上した一方で、為替差損が前連結会計年度から80,880千円減少したことによるものであります。その結果、経常利益は362,652千円(前期比77.0%増)となりました。

(税金等調整前当期純利益)

税金等調整前当期純利益は、364,779千円(前期比78.4%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より109,365千円増加し、288,646千円(前期比61.0%増)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ190,534千円増加し、当連結会計年度末に3,485,577千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動により増加した資金は364,428千円(前連結会計年度は394,280千円の増加)となりました。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益を364,779千円及び減価償却費を221,825千円計上し、売上債権の減少額が149,687千円及び仕入債務の増加額が185,952千円であった一方、たな卸資産の増加額が457,224千円であったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動により減少した資金は341,836千円(前連結会計年度は216,228千円の減少)となりました。資金の主な減少要因は、主として金型の購入である有形固定資産の取得による支出250,245千円及び貸付けによる支出172,483千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により増加した資金は211,180千円(前連結会計年度は458,979千円の増加)となりました。資金の主な増加要因は、株式の発行による収入340,350千円によるものであります。