第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

提出会社の状況

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

2023年6月

2024年6月

売上高

(千円)

1,667,483

2,088,190

2,683,662

3,288,826

3,907,679

経常利益

(千円)

658,133

850,689

1,018,333

1,357,584

1,720,151

当期純利益

(千円)

419,871

615,465

721,892

954,352

1,185,536

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

1,132,997

1,165,562

1,185,243

1,198,588

1,212,126

発行済株式総数

(株)

7,826,100

7,942,800

16,024,800

16,115,600

16,205,800

純資産額

(千円)

3,938,164

4,706,020

5,538,479

6,340,233

7,724,850

総資産額

(千円)

4,419,289

5,277,278

6,238,978

7,211,745

8,835,192

1株当たり純資産額

(円)

253.55

297.81

346.18

396.97

477.91

1株当たり配当額

(円)

5.00

3.00

4.00

8.00

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

27.60

39.30

45.42

59.80

73.94

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

26.62

38.29

44.73

59.21

73.57

自己資本比率

(%)

89.1

89.2

88.8

87.9

87.4

自己資本利益率

(%)

13.2

14.2

14.1

16.1

16.9

株価収益率

(倍)

64.49

55.24

34.57

42.93

26.94

配当性向

(%)

6.4

6.6

6.7

10.8

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

621,629

696,732

911,547

1,313,447

1,545,204

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

23,064

100,094

120,498

28,034

198,800

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

989,486

64,990

167,258

238,220

36,679

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

4,034,243

4,695,872

5,319,663

6,366,856

7,676,580

従業員数

(人)

69

76

85

93

102

(外、平均臨時雇用者数)

(9)

(18)

(12)

(15)

(21)

株主総利回り

(%)

96.3

117.6

85.3

139.5

108.8

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(103.1)

(131.3)

(129.4)

(162.7)

(204.3)

最高株価

(円)

4,945

2,295

2,179

3,375

2,869

 

 

 

(5,520)

 

 

 

最低株価

(円)

1,807

2,149

1,329

1,169

1,486

 

 

 

(3,325)

 

 

 

(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

3.第15期の1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

4.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間平均人数を外数で記載しております。

5.最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より、東京証券取引所(プライム市場)におけるものであります。また、2019年11月28日より2022年4月3日までは東京証券取引所(市場第一部)におけるものであり、それ以前は東京証券取引所(マザーズ)におけるものであります。

6.当社は、2019年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合で、また、2021年7月1日付で普通株式1株につき2株の割合でそれぞれ株式分割を行っております。第15期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益を算定しております。なお、1株当たり配当額については、株式分割前の実際の配当金の額を記載しております。第16期の株価については、株式分割による権利落後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。

 

 

2【沿革】

当社は、代表取締役社長である伊藤将雄が2005年9月に設立しております。その後、伊藤は早稲田大学大学院国際情報通信研究科に入学し、当大学院での研究成果であるインターネットユーザーのアクセス履歴の解析及び可視化技術を用いたサービス提供を2008年12月より当社にて開始しております。当社の前身である有限会社ユーザーローカル設立以降の主な沿革は以下のとおりです。

 

2005年9月

有限会社ユーザーローカルを東京都千代田区に設立

2007年8月

株式会社ユーザーローカルへ組織変更(有限会社を株式会社化)

2008年12月

アクセス解析ツール「User Insight」リリース

2011年5月

東京都渋谷区に本社移転

2012年1月

ソーシャルメディア分析ツール「Social Insight」リリース

2013年5月

東京都目黒区に本社移転

2013年10月

ヤフー株式会社「Yahoo!アクセス解析」にアクセス解析ツールのシステム提供を開始

2013年12月

ニフティ株式会社「ココログ」にアクセス解析ツールのシステム提供を開始

2015年5月

2016年11月

メディア向け解析サービス「Media Insight」リリース

東京都港区に本社移転

2017年2月

サポート業務支援システム「サポートチャットボット」リリース

2017年3月

東京証券取引所マザーズに株式を上場

2019年11月

東京証券取引所市場第一部に市場変更

2021年9月

東京都品川区に本社移転

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行

 

3【事業の内容】

(1)事業の概要

当社は「ビッグデータ×人工知能で世界を進化させる」という経営理念のもと、大量のデジタルデータ(以下、「ビッグデータ(注1)」といいます。)や人工知能(以下、「AI(注2)」といいます。)を活用したプラットフォームサービスを提供しております。具体的には、Webアクセス解析ツール「User Insight」、ソーシャルメディア解析ツール「Social Insight」、問い合わせ対応業務等の支援ツール「Support Chatbot」等のサービス提供を通して、顧客企業の意思決定や業務効率化、働き方改革を支援しております。

なお、当社はデータクラウド事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)当社をとりまく事業環境

スマートフォンをはじめとしたあらゆるデバイスがインターネットに接続されることにより、大量のデジタルデータが日々生成されております。特に近年では、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、「SNS」といいます。)の発展により、個人の感情や反応を含んだ定性的な情報についてもビッグデータとして認識されつつあります。企業経営やマーケティング活動等においては、こうしたビッグデータを有効に活用することがますます重要になってきていると考えられます。また、国内生産人口の将来的な減少による経済規模の縮小懸念があることから、データとAIを利用した生産性の向上や自動化が求められつつあると認識しております。こうした事業環境のもと、当社としてもAI技術の開発を積極的に進めており、とくに機械学習(注3)の中でもディープラーニング(注4)を使うことにより、過去のデータをもとにしたオペレーションの自動化を目指しております。

 

(3)提供サービスの主な特徴

①大規模データの高速処理

収集したビッグデータを分類・解析・可視化することができます。顧客企業の「データによる的確な意思決定」を支援するためには、直感的にわかりやすい解析結果を提供することが重要であると考えております。

 

②AIによる分析・精度の向上

当社サービスは蓄積したビッグデータとAIによる機械学習により、提供サービス品質を向上させております。具体的には、利用者数が増加することでより多くのデータが蓄積され、このデータとAIによる機械学習を活用することにより、AIの精度や解析能力の向上につながります。

 

③導入のしやすさ

当社では、SaaS(注5)形態でのサービス提供を行っております。それにより、顧客企業にとって導入がしやすくかつ低価格でサービスを提供することができ、幅広い顧客へのサービス提供が可能になると考えております。

 

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(4)提供サービスの概要

当社が提供している具体的なサービスは以下のとおりです。

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① User Insight(ユーザーインサイト)

User Insightは、ヒートマップ(注6)によるユーザー行動の可視化・分析に対応したアクセス解析ツールです。Webサイトを訪れたユーザーが、どこをクリックしているか、どのコンテンツがよく見られたか、といったユーザーのページ内行動を解析し、それらをヒートマップという手法を用いて可視化することができます。また、当社に蓄積されたビッグデータとAIを活用することで、より詳細なユーザー分析を提供しております。

主な機能は以下のとおりです。

ヒートマップ解析

Webサイト訪問者の閲覧頻度が高い「熟読エリア」、どのリンクが実際に注意を引きクリックされているのかを表す「クリックエリア」、ページのどこまでを表示しているのかを示す「終了エリア」等をヒートマップにより可視化します。

ユーザー属性分析

Webサイト訪問者の年齢、性別、接続元地域、訪問頻度、インターネットの利用頻度等を推測し、大まかな比率を明らかにすることにより、どのコンテンツがどのユーザー層に訴求しているかを分析します。

組織分析

Webサイトがどのような組織から閲覧されているのか、どのような業界からのアクセスが多いのか、組織別・業種別にアクセスを解析します。

広告効果測定

広告経由のクリック数や、広告経由での会員登録、商品購入といったコンバージョン及びCVR(注7)を分析します。
直接のコンバージョンだけでなく、間接効果のあった広告の履歴を全件確認することも可能です。

スマートフォン解析/携帯解析

PCユーザーだけでなく、スマートフォンやタブレット等からのアクセスを解析します。

検索キーワード分析

検索キーワードを1語又は複合語(検索フレーズ)で解析します。
どのキーワードがどのようなユーザーに訴求しているのか、というユーザー属性分析にも対応しております。

AI記事自動作成

生成AI(注13)を活用し、キーワードを入力するだけで、関連ワードや検索上位ページの情報を考慮した、ウェブページに掲載する記事を作成します。

 

② Social Insight(ソーシャルインサイト)

Social Insightは、ソーシャルメディアの運用を支援する管理・解析ツールです。ソーシャルメディア上のビッグデータをもとにしたクチコミ分析やSNSアカウント分析、複数のSNSアカウントの一括管理などの機能を通じて、顧客企業のソーシャルマーケティング支援を行っております。

主な機能は以下のとおりです。

クチコミ傾聴(注8)分析

特定のキーワードや記事URL、ドメイン等を指定することで、そのキーワードを含む投稿を大量のクチコミデータから取得し、テキストマイニング(注9)・視覚化します。社名やブランド名といった特定キーワードの評判等を測定することで、炎上対策が可能です。

SNSアカウント分析(注10)

SNS内の自社アカウントや競合アカウントのファンの増減、推移、属性等を分析することが可能です。SNS上での発言内容や発言したユーザーの推測属性や地域分布を集計するとともに、いつ投稿すると多くの反応を得ることができるかといった時間帯分析にも対応しております。

投稿管理(注11)機能

複数SNSの自社アカウントへの投稿予約、リプライ、上長による承認が可能です。また特定キーワードについて発言したユーザーへのアクティブサポートやCRM(注12)の強化を実現しております。また、生成AI(注13)と連携し、SNSに投稿する文章の作成をサポートします。

 

③ Support Chatbot(サポートチャットボット)

Support Chatbotは、社内外からの問い合わせ対応に特化した業務支援ツールです。これまで電話やメールですべて人が対応していた業務の一部を、チャットボットにより自動化することができます。それにより、社内の問い合わせ対応やコールセンター等のサポート対応にかかるコストや業務工数を削減することが可能となります。また、チャットボットの会話が繰り返されることで会話ログデータが蓄積され、AIによる機械学習機能によって回答精度を向上させることができる点が特徴です。

主な機能は以下のとおりです。

チャットボット

Webサイトやメッセージアプリ、SNSアプリ等のユーザーからの問い合わせに対し、独自開発したAIによる高精度の自動回答を行います。外部システムとAPIで連携し、商品情報やステータス等をチャットボットを通して回答することも可能です。また、生成AI(注13)と連携しており、回答案を自動で作成することができます。

 

上記主要製品のほか、主に生成AIを活用した製品を随時開発中です。

 

[用語注記]

注1

ビッグデータ

従来のデータベース管理ツールやデータ処理アプリケーションでは記録や保管、解析が困難な大規模かつ複雑なデータの集合です。

注2

人工知能(AI)

言語の理解や推論、問題解決等人間の知的能力をコンピュータ上で実現する様々な技術やソフトウエア、コンピュータシステムです。

注3

機械学習

コンピュータやロボット等の機械にデータから反復的に「学習」させ、そこに潜むパターンを見つけ出させる技術・手法です。学習した結果を新たなデータにあてはめることで、パターンにしたがって将来を予測・分析することができます。

注4

ディープラーニング

システムがデータの特徴を学習して事象の認識や分類を行う「機械学習」の手法です。データの特徴をより深いレベルで学習し、非常に高い精度で特徴を認識できるため、人の声の認識や、カメラで撮影した画像の認識等で応用が期待されています。

注5

SaaS

Software as a Serviceの略であり、利用者がインターネットを介して必要な情報システムに係るサービスを受けるクラウドコンピューティングの一形態です。これにより、利用者は保有するデバイスへ直接ソフトウエアをダウンロードすることなくサービスを活用することができるため、インターネットへの接続環境さえあれば保有デバイスのストレージ容量やCPUの性能に左右されず円滑にデータ処理結果等の提供を受けることが可能です。

注6

ヒートマップ

データを可視化するために、行列型の数字データの強弱を色で視覚化する手法です。Webサイトにおけるヒートマップは、ユーザーのマウスの動きを追跡し、そのマウスの動きのデータを色の濃淡で表現することにより可視化しています。

注7

CVR

Conversion Rateの略であり、Webサイトの訪問者数に対し、そのサイトでの商品購入や会員登録等を行った人数の割合で、Webサイトの投資対効果を計る指標です。

注8

クチコミ傾聴

ソーシャルメディア上の投稿等を言語解析して、市場分析・競合分析・施策や広告効果のモニタリングを行うことを指します。ソーシャルリスニングともいわれます。

注9

テキストマイニング

大量の文章データを定量・定性的に分析することで、有益な情報を得る手法です。

注10

SNSアカウント分析

SNSで保有しているアカウントのフォロワー数やフォロワーの推定属性、投稿に対するリアクションの数やシェア数等を分析することを示します。

注11

投稿管理

SNSで保有している企業アカウントを複数人で管理している場合、登録したページに対しての返信(他ユーザーからのコメントや返信、メンション等)を一元管理し、複数の担当者で対応できます。

注12

CRM

Customer Relationship Managementの略であり、顧客満足度の向上等、顧客との関係性を管理する経営戦略及び経営手法を意味します。なお、当社の所属する業界においては当該経営戦略実現のために顧客の属性や過去のコメントを記録・管理し、それぞれの顧客に応じた対応を行うことを可能とする情報システムやデータベース全般を指します。

注13

生成AI

文章や動画、画像等の様々なコンテンツを生成することができるAIを指します。

 

 

[事業系統図]

現在の当社事業系統図は以下のとおりです。

 

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4【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5【従業員の状況】

(1)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年6月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

102

21

28.9

4.4

6,177

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間平均人数を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社の事業は、データクラウド事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2)労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

管理職に占める女性労働者の割合は、25%(2024年6月30日時点)です。

これは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

また、当社は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異の記載を省略しております。