(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府による経済政策等を背景に、緩やかな回復基調で推移しましたが、海外経済の弱さ等が景気を下押しするリスクとなっており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
一方、当社グループが関係するエレベーター等のメンテナンス業界におきましては、政府の経済政策の効果、東京五輪開催等による建設需要の増加に支えられ、市場は緩やかな拡大傾向にあるといえます。
このような状況の下、当社グループにおいては、リニューアル業務の売上高拡大のため、設置から一定年数経過したエレベーターを保有する既存顧客に対して積極的なリニューアル提案を行うとともに、保守・保全業務の契約先ではない顧客層にも積極的にアプローチしております。平成28年4月よりリニューアル営業体制を刷新し、各事業会社の営業担当者を組織的に一体化し情報の共有を図り、取引先への提案力を増強するべく取り組んでおります。また、当社の基幹サービスとなる保守・保全業務の売上拡大についても、新規の事業展開エリアである名古屋・東海地区を始め既存の事業展開エリアにおける保守・保全業務の契約先を増加させるべく、営業担当者へのインセンティブを内容とする営業キャンペーン等の施策を実施してまいりました。
これらの結果、平成29年3月期の業績は保守・保全業務及びリニューアル業務ともに増加し、売上高13,544百万円(前年同期比13.9%増)となる一方で、今後の事業拡大を見据えたメンテナンス員の大幅な増員、上場に伴う管理部門の体制強化のための増員、本社移転等の経費の増加により売上原価及び販管費が増加したことから、営業利益611百万円(同16.2%減)、経常利益527百万円(同24.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益271百万円(同32.5%減)となりました。
当社グループは、メンテナンス事業の単一セグメントでありますが、売上高を売上種類別(保守・保全業務、リニューアル業務及びその他)に示すと、以下の通りです。
(単位:百万円)
|
売上種類 |
平成29年3月期 |
平成28年3月期 |
|||
|
金額 |
構成比率 |
対前期増減率 |
金額 |
構成比率 |
|
|
保守・保全業務 |
10,969 |
81.0% |
10.9% |
9,889 |
83.2% |
|
リニューアル業務 |
2,544 |
18.8% |
29.0% |
1,972 |
16.6% |
|
その他 |
29 |
0.2% |
1.7% |
29 |
0.2% |
|
合計 |
13,544 |
100.0% |
13.9% |
11,891 |
100.0% |
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて40百万円減少し、1,105百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は152百万円(前年同期は564百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益520百万円、減価償却費337百万円等の増加要因に対し、売上債権の増加額243百万円、法人税等の支払額505百万円等の減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,286百万円(前年同期は233百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,207百万円等の減少要因に対し、定期預金の払戻による収入95百万円等の増加要因によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,408百万円(前年同期は378百万円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,044百万円、短期借入れによる収入840百万円等の増加要因に対し、リース債務の返済による支出237百万円等の減少要因によるものです。
当社グループは、メンテナンス事業の単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の状況」につきましては、セグメント別の記載を省略しております。
(1)生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績を、売上種類別に示すと、次のとおりであります。
|
売上種類の名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
リニューアル業務 |
2,883,004 |
158.0 |
883,292 |
161.1 |
|
合計 |
2,883,004 |
158.0 |
883,292 |
161.1 |
(注)1.当社グループは受注によるサービス提供を行っておりますが、保守・保全業務及びその他については、受注から売上までの期間が短いため、記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績を売上種類別に示すと次のとおりであります。
|
売上種類の名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
保守・保全業務 |
10,969,725 |
110.9 |
|
リニューアル業務 |
2,544,323 |
129.0 |
|
その他 |
29,997 |
101.7 |
|
合計 |
13,544,047 |
113.9 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先が無いため記載を省略しております。
(1)会社の経営の基本方針
独立系メンテナンス企業である当社グループは、「何よりも安全の為に。」「見えないからこそ手を抜かない。」「信頼を礎に。」の企業理念のもと、メンテナンス品質の向上を図るとともに、メーカー主導の価格体系の見直しによる「適正価格の実現」を図ってまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、成長性と収益性を高め、安定的な事業成長によって企業価値を継続的に向上させることが株主重視の経営であると認識しております。成長性においては売上高成長率を、収益性においては売上高営業利益率を重要な指標と位置付けております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
継続的な成長を実現するために、当社グループは中長期的に以下の戦略を策定し、実行しております。
① 保守・保全事業の推進
・地域ごとの事業子会社制の採用により各地域の営業力を強化するとともに、M&Aを活用した事業エリアの拡大等により、基幹事業である保守・保全事業の更なる成長を図る。
② リニューアル事業の強化
・営業体制の拡充、自社製品の開発等によりリニューアル事業を強化し、保守・保全事業に次ぐ新たな基幹事業とする。
③ 人材の確保・育成
・採用力の強化により、安定成長を支える人材を確保する。
・人材育成により、技術水準およびメンテナンス品質の向上を図る。
④ 財務基盤の安定化
・上記の戦略を可能とするために財務体質の改善を図る。
(4)会社の対処すべき課題
エレベーター及びエスカレーターのメンテナンス業界におきましては、不動産の供給増加によるエレベーター等の増加、物件所有者及びビル管理会社のコスト削減要求等により、事業機会が増加する一方、エレベーター等の安全稼動への社会的要請の高まりから、高品質なサービスの提供が求められております。このような事業環境の下、当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであると認識しております。
① 国内事業基盤の構築・拡大
当社グループが安定的成長を図る上で、事業基盤の構築・拡大が課題であると認識しております。具体的には、継続的収益及び保全・リニューアル業務への展開に繋がる、保守契約台数を増大させることが最も重要であると考えております。
平成29年5月1日、当社子会社ジャパンエレベーターサービス関西株式会社が発足いたしました(平成29年6月より事業開始)。今後は同社を拠点とし、関西地区における積極的な事業推進を図ってまいります。また、名古屋を含む東海地区においても引き続き保守契約台数の増大を図り、主に3大都市圏における事業基盤の構築・拡大に取り組んでまいります。
② 人材確保及び育成
当社グループの事業競争力の根幹は、エレベーター等の安全運行に必要な高品質なメンテナンスを提供できる人材であり、そのような人材の確保と育成は今後の当社グループの成長にとって不可欠であると考えております。
当社グループでは、これまで行ってきた従業員への研修を継続・強化するとともに、社内技術、品質認定制度を確立することで、技能水準の高い人材の育成を図ります。
また、人材の確保につきましては、企業認知度と労働条件の向上を目指すとともに、新卒・中途採用の積極的な増加を図り、当社グループの要求する品質を担保できる外注業者の利用により、適宜、人員補充を行ってまいります。
③ 海外事業展開の推進
高品質なメンテナンスサービスに対する需要は、国内市場のみならず海外市場においても広く存在するものと考えております。当社グループが日本市場で培ってきた複数メーカーのエレベーター等に対応できる技術力や教育研修のノウハウ等を活用することで、海外市場への展開、成長を図ります。
当社の子会社であるJAPAN ELEVATOR SERVICE HONG KONG COMPANY LIMITED(以下、JESHK)を海外事業における中間持株会社として、香港、インドへの事業展開を推進してまいります。
インドにおいては、平成28年6月にJESHK等を通じて、現地の建設会社Jindal Prefab Private Limitedとの合弁会社JAPAN JINDAL ELEVATOR SERVICE PRIVATE LIMITEDを設立しております。新会社における事業を軌道に載せるとともに、インド市場の開拓に取り組んでまいります。
④ 国内・海外未展開地域への進出
国内・海外の未展開地域への進出を実現するための手段として、当社グループの企業価値向上に資するような他社の買収、他社とのジョイントベンチャーや業務提携を検討してまいります。
⑤ 研究開発拠点の確立
現在、埼玉県和光市に新たな研究開発拠点である「JES総合技術センター(仮称)」の建設を進めております(平成29年10月竣工予定)。複数に分散している拠点を集約し、業務効率の向上を図るとともに、同拠点にテストタワー(エレベーターの研究試験を行うための施設)を建設し、主にリニューアル事業の発展を目指します。また、研修施設を併設することで、エンジニアの技術力の向上に役立ててまいります。
設備投資の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
⑥ 財務基盤の安定化
当社グループの今後の事業拡大のためには拠点拡充、進化するエレベーター等に対応するための研究開発、人材への投資や研修施設の建設等、先行投資及び継続投資が必要となります。将来の資金需要に備え、内部留保の確保を図るとともに、借入等による資金調達にて財務基盤の安定化を行ってまいります。
以下において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の事業展開その他に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありません。
なお、以下の記載事項は、特に断りがない限り、当連結会計年度末現在の事項であり、将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特定の仕入先への依存リスク
当社グループはエレベーター等のメンテナンスを主たる事業としております。
当社グループは、エレベーター等のメンテナンスのために必要となるパーツの購入先を複数にするなどパーツが確保できなくなるリスクを低減するよう努めておりますが、パーツによっては品質維持の目的によりメンテナンス対象となるエレベーター等のメーカー(系列会社を含む)のみからの購買としております。
当社グループは、これらのパーツについて一定量の在庫の保有、パーツのリサイクル、海外市場等からの調達の検討によりパーツの供給不足や調達時期の遅れに備えておりますが、なんらかの理由により、これらのパーツを適時・適量に確保できない場合には、当社グループのメンテナンス業務を適時に実施できない可能性があります。
また、これらのパーツを構成する素材の価格上昇等の理由により、これらのパーツの価格が上昇し、そのコストをサービス価格に転嫁できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)競合に関するリスク
メンテナンス市場には、エレベーター等メーカー、メーカー系列のメンテナンス専業会社及び独立系メンテナンス会社等、大小様々な競合会社等が多数存在しており、競合の激化により新規獲得数の減少や契約切り替え等が発生し、当社グループのシェアが低下する可能性があります。また、サービス価格が下落した場合、メンテナンスの単一事業を行っている当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)技術革新について
エレベーター及びエスカレーターは随時新機種が発売、設置されており、当社グループでは国内主要メーカーのどの機種でも保守できるよう技術水準の向上に努めておりますが、今後、メーカーによる急激な技術革新が進み、当社グループが適時に対応できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績及び今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(4)法的規制について
① 当社グループが行う保守・保全業務のうち法定検査については、建築基準法において昇降機等検査員等の資格を有する者が行う旨定められております。当社グループでは事業規模に応じて昇降機等検査員の確保に努めておりますが、何らかの理由で昇降機等検査員を十分に確保できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社グループが行うリニューアル業務では、建設業法に基づく機械器具設置工事業の許可を得て事業を展開しておりますが、建設業法・建築基準法その他関係法令の改廃等が行われた場合に、製品の仕様変更が必要となる等の理由により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権について
当社グループは多くの知的財産権を保有し、維持・管理しており、必要に応じて技術調査等を行うことで知的財産権侵害問題の発生を回避するよう努めております。
しかし、当社グループの知的財産権が無効とされる可能性や模倣される可能性等があり、当社グループの保有する知的財産権の保護が損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、第三者の知的財産権を侵害したことにより、当社グループが当該第三者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
(6)メンテナンス用パーツの在庫及び評価リスクについて
当社グループでは、エレベーター等の保守・保全、リニューアル業務のためのパーツをたな卸資産として保有しておりますが、メンテナンス対象となるエレベーター等が多機種であることに加え、メンテナンス期間が長期間となることが想定されるため、たな卸資産が増加する可能性があります。
当社グループでは、基準在庫数による管理を行うなど、パーツの重要性に応じた在庫管理を実施しておりますが、収益性の低下等に伴い、たな卸資産の資産価値が低下した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)事故・災害等に伴うリスク
① 当社グループは、エレベーター等の保守・保全業務及びリニューアル業務を行っております。
これらの業務を行うに当たって、当社グループは、国土交通省の「建築保全業務共通仕様書」に準拠し、また、社内で設定した独自の安全基準を遵守することにより、顧客及び利用者の安全を確保するよう十分配慮しております。
しかし、地震等の災害・利用者の使用方法・エレベーター等の欠陥に起因する事故の他、メンテナンス作業における当社グループ社員または業務委託先の人的なミス等により機器の損傷事故や場合によっては人身事故に至る可能性があります。
当社は、グループ社員及び業務委託先への安全指導の徹底や損害賠償責任保険の加入によりリスク回避に努めておりますが、保険でまかないきれない損失の発生や信頼失墜により、当社グループの経営成績に影響が生じる可能性があります。
② 現在当社は、訴訟を1件提起されておりますが当該訴訟事件について、万が一、裁判で当社の主張が全部または一部退けられた場合でも、損害賠償責任額の支払い等による当社グループの財政状態及び経営成績への影響は軽微であると予測されます。
(8)労働災害に係るリスク
エレベーター等のメンテナンス作業は、危険を伴う作業であるため、当社グループでは「何よりも安全の為に。」を経営理念のひとつに掲げ、作業員の安全教育を徹底することにより事故防止に努めております。
しかしながら、万が一、重大な事故・労働災害等が発生した場合、一時的に補償金等の負担が生じ、また、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)買収または業務提携に関するリスク
当社グループは、他社の買収、他社とのジョイントベンチャーや業務提携を行っております。しかしながら、買収または提携等が円滑に行われない場合や、買収した会社の事業、ジョイントベンチャー、業務提携が当初見込みどおりの期間で予想どおりの効果を得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)海外事業の展開に伴うリスク
当社グループは、海外への事業展開を行っておりますが、海外市場での事業活動には、次のようないくつかのリスクがあります。
① 予期しない法律や規制の変更
② 社会・政治及び経済状況の変化又は治安の悪化
③ 各種税制の不利な変更又は課税
④ 異なる商習慣による取引先の信用リスク等
⑤ 労働環境の変化や人材確保・教育の難しさ
⑥ 為替リスク
これらのリスクを最小限に抑えるため、現地顧問弁護士や会計事務所等からも迅速に情報を入手し、いち早く対策が打てる体制を構築する方針でありますが、リスクの顕在化により、サービスの提供が困難になり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)インドにおける合弁事業について
当社グループは、平成28年6月、インドにおいてエレベーターの保守・保全業務、リニューアル業務を行う事を目的として、当社の子会社であるJAPAN ELEVATOR SERVICE HONG KONG COMPANY LIMITEDを通じ、インドの建設会社であるJindal Prefab Private Limited(以下、JPF社)との合弁会社「JAPAN JINDAL ELEVATOR SERVICE PRIVATE LIMITED」をインドに設立しました。
今後この合弁事業において、JPF社はインド国内での事業実績を活かした営業活動を、当社グループはエレベーターに関する技術の提供及び管理業務全般を担当し、事業を展開する予定ですが、当初の計画どおりに事業が進捗しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(12)瑕疵担保責任等について
当社グループでリニューアル工事を実施したエレベーターの工事実施部分(当社製品)が、取扱説明書等に準拠した適切な据付、連結及び保守・点検管理が行われている等の所定の条件のもとで保証期間中(引渡から12ヶ月間)に故障した場合には、当社指定の方法により、無償で故障部品を修理または交換することとしております。
また、当社グループは、当社製品の重大な欠陥、または当社の製作及び施工の重大な過失によって直接生じた顧客の損害については、賠償の責任を負っております。
当社グループが何らかの理由により、瑕疵担保責任あるいは損害賠償責任の追及を受け、賠償責任を負うこととなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)特定人物への依存について
当社の代表取締役会長兼社長である石田克史は当社の創業者であり、同氏の資産管理会社である株式会社KIと合わせて、当連結会計年度末現在、当社発行済株式総数の61.60%を保有する大株主であります。同氏は創業以来、当社グループの経営方針の決定や事業戦略の推進に関わってまいりました。当社グループでは人材の育成・強化に努め、同氏に過度に依存しない経営体制の構築に取り組んでおりますが、今後何らかの理由により同氏の業務執行が不可能となった場合、当社グループの事業推進に影響を与える可能性があります。
(14)人材確保と育成について
当社グループは、高い専門性を有する技術者の確保及び、今後の事業拡大を見据えた営業部門人員、管理部門人員の増強を図っております。また、人材育成にも注力し、技術力の向上及び内部管理体制の一層の強化、充実に努めております。事業拡大に先行して人員を増強し費用負担が先行した場合、もしくは事業に必要な人員を確保できなかった場合、人材育成が想定通りに進捗しなかった場合等、これらの施策が適時適切に行えなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)顧客情報の管理
当社グループは、保守・保全及びリニューアル契約に関するものをはじめとし、多くの顧客情報を取り扱っているため、外部からのネットワーク不正侵入への対策はもとより、内部からの情報漏洩防止のため、情報漏洩を防止するシステムを導入するとともに、「情報セキュリティポリシー」「個人情報・特定個人情報保護規程」等を整備し、情報流出の防止に努めております。
しかし、万一、不測の事態により顧客情報が外部に漏洩した場合には、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)システム障害
当社コントロールセンターでは、万一のトラブルに遅滞なく対応出来るよう、24時間365日体制でエレベーター等の状態を監視しております。
コントロールセンターのサービスは、コンピュータシステムと通信ネットワークにより提供されているため、当社は定期的にバックアップを取ることにより、システムトラブル発生の未然防止又は回避に努めておりますが、自然災害や不慮の事故、想定を上回る急激なアクセス増等の一時的な過負荷その他の要因によりコンピュータシステムにトラブルが生じ業務に支障が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)有利子負債について
当社グループの有利子負債残高(リース債務を含む)は、平成29年3月期連結会計年度末現在で3,448百万円であり、有利子負債依存度は43.9%となっております。そのため金融市場の混乱や景気低迷、金融機関の融資姿勢の変化により借換えが困難になった場合や、市場金利の急速な上昇等により支払利息が急激に増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、借入金の一部には財務制限条項が付されております。財務制限条項に抵触した場合、貸付人の請求があれば期限の利益を失うため、直ちに債務の弁済をするための資金が必要になり、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
財務制限条項の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係) 3 財務制限条項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(貸借対照表関係) 3 財務制限条項」に記載のとおりであります。
(18)資金使途について
当社グループは、公募増資による調達資金を「企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり研究施設等への設備投資に充当する計画であります。しかしながら、経営環境の急変等により、調達資金を当初計画以外の使途に充当する可能性があります。また、当初計画通りに使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
「JES総合技術センター(仮称)」の建設
当社は、平成28年4月15日開催の取締役会において、埼玉県和光市に業務の効率化を図るため、エレベーターの
遠隔監視センター、地震発生時の統括、研究開発、パーツ管理及び教育研修等の機能を集約した「JES総合技術センター(仮称)」建設について決議し、平成28年10月3日付で、大和ハウス工業株式会社と請負代金26億13百万円(税込)の工事請負契約を締結しております。
なお、工期は平成29年10月13日(建物完成予定)となります。
当社グループにおいて、研究開発活動は当社のみが行っております。
当社は、社会のエレベーター設置台数・依存度の増加に対応するため、各種最新要素技術をいち早く取り入れ、エレベーターメンテナンス品質の向上を図るための研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発は、PRIMEサーバー・コンソールの機能向上及び通信データ圧縮による通信効率の向上並びに、将来を見据えた当社製制御盤の開発をテーマとして取り組みました。
この結果、当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は200,873千円(資産計上分含む)となり、PRIMEサーバー・コンソールの機能向上及び通信データ効率化に関しては、一定の成果を上げました。また、当社製制御盤開発も順調に進捗しており、引き続き、製品化に向け開発作業を継続してまいります。
なお、当社グループはメンテナンス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
当社グループでは、技術本部において研究開発を継続的に実施しておりますが、その基本方針は以下のとおりです。
(1)リモート遠隔点検サービス「PRIME」に係る研究開発
「PRIME」は、当社が独自に開発したリモート遠隔点検システム及びそれを利用し提供するサービスの総称であります。
エレベーター遠隔監視システムは、エレベーターに接続し動作状況を監視する遠隔監視端末と、そこから報告・警告を受ける監視サーバー、及びその報告・警告を監視員が確認するための監視コンソールで構成されています。
(1-a)遠隔監視端末
遠隔監視端末は、様々なメーカー製のエレベーターを遠隔監視システムに対応させるため、動作状況のモニター技術の研究開発を行っています。主に有線通信技術の検討になりますが、ハードウェア・ソフトウェアプロトコル、技術範囲を限定せず広範囲に検討・調査を進めております。
警報・発報の収集手段としては、エレベーター制御盤からの取得のほか、加速度センサー、温度センサーなどの各種センサーを利用した動作状況監視方法多様化のための研究を行っております。
遠隔監視端末から各種情報を伝達させるための通信インフラは、昨今の無線通信網の進歩及びM2M/IoT通信(注)設備・プランの多様化により、高機能・高速度化、低コスト化が進んでおり、新しい通信インフラへの柔軟な対応を可能にするための施策を同時に進めております。
(注)M2M/IoT通信:携帯電話通信を機器・装置間通信に適用することにより、広範囲での情報収集やサービス向上を実現する技術
(1-b)監視サーバー
監視サーバーは、遠隔監視端末からの情報を一時的に保存し、接続されている監視コンソールへ通知するための装置です。監視対象となるエレベーターの動作状況を受信するため、相当数のノードからの情報通信が集中せざるを得ず、地震・台風のような災害時などの発報集中時にも十分に耐え、かつ当社各所での監視作業のための多地点監視コンソール接続を可能にする必要があります。
現在は、弊社内施設と新たに導入した災害対策が施された施設の2箇所で監視サーバー設備を用意し、監視コンソール接続を収容しております。
エレベーター内からの救出要請に利用されるエレベーターインターホンについては、柔軟なコールセンター体制を可能とするため、IP-PBX(注)1や各種コンピューターサーバーシステムを用いたCTI(注)2の整備に向けた調査活動を行っております。
(注)1.IP-PBX:インターネット網を利用した通話を実現するための、通信交換機
2.CTI:コールセンターシステムを実現するためのソフトウェアシステム
(1-c)監視コンソール
監視コンソールは、遠隔監視端末にて検出したエレベーターの異変をモニター上に表示し、エレベーターの動作状況の確認、エレベーターの遠隔操作を可能にするためのパソコンプログラムです。災害時のような大量のエレベーター異常検出状況下においても安定稼働させる仕組みを研究・開発し、コントロールセンターへ展開、稼働しております。
(2)自社製エレベーター制御盤に係る研究開発
現在、国内外の協力会社より制御盤を含めた各種部品を購入し、設置するエレベーターごとにカスタマイズした上でリニューアル業務を行っておりますが、今後は、制御盤を当社で開発することにより、顧客へリニューアルコストの削減提案を可能にするとともに、当社のエレベーター遠隔監視システムと密接に連携することによるメンテナンスコストの削減を図ります。
また、近年の半導体技術の進歩、EMI対策技術(注)1、エネルギー効率化技術、MISRA-C・ISO26262規格(注)2に準じたソフトウェア解析・テストツールを用いた高信頼ソフトウェア開発技術などを駆使し、さらに当社エレベーターメンテナンスサービスにおいて様々な機種の保守を行うことにより得られた知見を活かした制御盤の開発を進めております。
(注)1.EMI対策技術:モーターやブレーキ等から放出される電磁波による影響に耐えられるよう施策する技術
2.MISRA-C・ISO26262規格:電気/電子、ソフトウェアに関する機能安全についての国際規格
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,295百万円増加し、7,848百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金、有形固定資産が増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債については、前連結会計年度末と比べて16百万円増加し、5,776百万円となりました。これは主に、未払法人税等及び未払消費税等が減少したものの、短期借入金が増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産については、前連結会計年度末と比べて1,278百万円増加し、2,072百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益271百万円の計上に加え、新株の発行により資本金、資本剰余金が増加したこと等によるものであります。
(3)経営成績の分析
(売上高)
保守・保全業務の営業強化及び営業エリアの拡大により、保守・保全業務の売上高は10,969百万円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。また、保守業務契約先からのリニューアル工事受注増加により、リニューアル業務の売上高は2,544百万円(前連結会計年度比29.0%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は13,544百万円(前連結会計年度比13.9%増)となりました。
(売上総利益)
保守契約台数増加に伴い、材料仕入、外注費等が、また、技術系(保守、工事)の人員の増加により人件費が増加したことにより、当連結会計年度の売上原価は9,162百万円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は4,381百万円(前連結会計年度比9.8%増)となりました。
(営業利益)
管理部門の強化に伴う人員増加等により人件費等が増加したことに加え、本社移転等の経費が増加した結果、販売費及び一般管理費は3,770百万円(前連結会計年度比15.6%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は611百万円(前連結会計年度比16.2%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、19百万円(前連結会計年度比28.7%減)、営業外費用は103百万円(前連結会計年度比78.5%増)となりました。
営業外収益の主な内容は保険解約返戻金8百万円で、営業外費用の主な内容は支払手数料60百万円であります。
この結果、経常利益は527百万円(前連結会計年度比24.6%減)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
特別利益は0百万円(前連結会計年度比87.8%減)、特別損失は7百万円(前連結会計年度比12.2%減)となりました。
特別損失の内容は固定資産除却損7百万円であります。
この結果、税金等調整前当期純利益は520百万円(前連結会計年度比25.4%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額を合わせた税金費用は255百万円(前連結会計年度比13.0%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は271百万円(前連結会計年度比32.5%減)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて40百万円減少し、1,105百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は152百万円(前年同期は564百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益520百万円、減価償却費337百万円等の増加要因に対し、売上債権の増加額243百万円、法人税等の支払額505百万円等の減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,286百万円(前年同期は233百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,207百万円等の減少要因に対し、定期預金の払戻による収入95百万円等の増加要因によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,408百万円(前年同期は378百万円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,044百万円、短期借入れによる収入840百万円等の増加要因に対し、リース債務の返済による支出237百万円等の減少要因によるものです
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが属するエレベーター等のメンテナンス市場におきましては、顧客におけるコスト意識の高まりに加え、エレベーター等の運行の安全への要求が強まっていくものと想定しております。
当社グループは設立以来、「何よりも安全の為に。」「見えないからこそ手を抜かない。」「信頼を礎に。」の企業理念のもと、メンテナンス品質の向上を図るとともに、メーカー主導の価格体系の見直しによる「適正価格の実現」を目標としてまいりましたが、今後も持続的な成長を実現していくためには、「エリアごとの事業会社による迅速なサービスの提供による顧客満足度の向上」、「M&Aを含めた国内外の事業展開エリアの拡大」「高品質のメンテナンス提供を可能とする人材の確保・育成」を特に重要と認識しております。
当社経営陣は、これらの課題に適切に対応するため、最善の経営方針を立案・実行するよう努めてまいります。
なお、上記以外の経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。