第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループでは、日本経済の原動力であり続けたいという想いから、「日本の会社を元気にする一番の力へ。私たちNo.1はトータルビジネスパートナーとしてお客様を支え、日本経済の原動力になります。」を経営理念に掲げ、「皆様のNo.1ビジネスパートナー セキュリティ&ソリューション 最先端の情報活用で企業成長を支援。」を経営ビジョンとして企業価値の向上を図り、当社グループのステークホルダーの皆様のご期待にお応えできるよう事業活動を展開しております。

 

(2)経営環境

本年度は、不安定な国際情勢による引き続きの資源高や円安の影響により、依然として厳しい状況が続きました。経済全体における状況は引き続き不透明であり、先行きについては慎重な見通しを持つ必要があります。

加えてここ数年頻繁に発生している気候変動による大規模な自然災害などの環境変化、少子高齢化による人口動態の変化と働き方改革への対応など、全産業を取り巻く社会環境は急速に変化しており、各企業はその変化に対して適切に対応しながら、持続的な成長を図るための戦略を見極める必要性が高まっております。

このような状況の中、当社の祖業であるOA機器市場は、入替サイクルの長期化、ペーパーレス化の浸透やハイブリッドワークの定着等により、市場の成長は鈍化してきております。一方、十数年前より取り組んできた情報セキュリティ機器市場は、中小企業にもIT化が進みつつある近年、ランサムウェアをはじめとしたサイバー攻撃が徐々に高度化し、各企業にもその対策の必要性が認識され始め、ニーズが加速してきました。IoT、AI及びビッグデータを用いた全産業の様々なデジタル化が急速に進行している状況の中、中小企業においても、テレワークの普及やクラウドサービスの利用拡大に伴い、情報セキュリティ対策の需要はより一層高まっております。

 

(3)目標とする経営指標

当社は2024年4月に中期経営計画を策定し、公表しました。本中期経営計画では、最終年度である2027年2月期に売上高16,800百万円、営業利益1,830百万円、営業利益率10.9%、EBITDA2,160百万円という経営指標の達成を目標としております。重点戦略の項目である「経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革」、「事業領域拡大に向けた積極投資」、「収益構造の安定化」、「サステナビリティ経営 人的資本経営の推進」を着実に実行することによって、経営指標の達成を目指してまいります。

 

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(4)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、OA関連商品の販売、メンテナンスを礎として事業を成長させてきました。2018年には、上場後初めての第1次中期経営計画を発表、その後2020年に第2次中期経営計画を発表し、M&Aによる大きなシナジーの発現により、ビジネスの領域を広げ、成長スピードを加速させてきました。

また2024年4月には、更なる成長を目指し「中期経営計画(Evolution2027)」を発表いたしました。

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中期経営計画(Evolution2027)では、「For Further Evolution!(さらなる進化に向けて)」をテーマに掲げ、経営基盤と事業基盤を盤石とし、個と組織の強化による進化を続け、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。その実現に向けて、「経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革」、「事業領域拡大に向けた積極投資」、「収益構造の安定化」、「サステナビリティ経営 人的資本経営の推進」の4項目を重点戦略として位置付けました。この各項目を着実に推進していくことで、100年企業に向けて持続的な成長と更なる企業価値向上のために取り組んでいます。

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(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社が対処すべき課題とする重点施策は以下のとおりです。

① 経営人財の育成

当社では、これまで社員教育の一環として、経営に必要な能力を身に付ける教育システムを継続的に制度化してまいりました。新たな事業やグループ会社の増加に伴い、将来の経営人財や新事業を創出する人財の育成は依然として重要な課題です。

今後はより一層充実した教育カリキュラムと育成メニューを展開し、次世代の経営者候補の育成や幹部人財の中途採用・登用を促進します。

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また、リスキリングを通じて既存人財の能力強化を図り、100年企業にふさわしい強固な経営基盤を構築してまいります。

 

② 生産性向上のためのシステム投資

当社では、グループの拡大や顧客データの増加に伴い、社内基幹システムの見直しを進めております。この見直しは、各種情報システムの連携を強化し、営業効率の向上を図ることを目的としております。具体的には、今後予想される業務量の増加に対応できるよう、業務プロセスの自動化やより高度な分析が可能なシステム開発に取り組んでおります。

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システム開発においては、社内リソースだけでなく、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理)などのデータマーケティングに豊富な実績を持つ外部のコンサルティングベンダーと連携し、一貫したシステム構築を行っております。

当連結会計年度においては、情報システム環境、基幹システム、顧客データベースの再構築及びAI-OCRの導入に向けた情報システム見える化プロジェクトを実施いたしました。今後、計画と優先順位にもとづいた各種開発を進めてまいります。

また、最新のAI技術を活用することで、業務プロセス全般にわたる効率化をさらに推進し、高度なデータ活用による戦略的な意思決定支援も目指しております。

 

 

③ M&Aやアライアンスによる事業領域の拡大

当社では、事業領域を拡大するための積極的な投資を重点戦略の一つとして位置付けております。この手段として主にM&Aを考えております。M&Aの方向性は2つあります。1つ目は既存事業とシナジー効果が創出できる分野であり、2つ目は新規の成長分野となります。具体的には、①IT関連ハードウェアやソフトウェアの製品開発企業、②これらの業界の販売ディーラー、DX・IT系企業が対象となります。

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当連結会計年度においては、2024年4月に㈱アイ・ティ・エンジニアリング、2024年6月にOZ MODE㈱、2024年10月に㈱S.I.Tがグループインし、また2025年3月には㈱コードが新たにグループインしております。引き続き、さらなる成長を目指し、今後もシナジー効果の高いM&Aやアライアンスを積極的に行い、事業領域の拡大とビジネスモデルの変革を加速させていく方針です。

 

④ 情報セキュリティ領域の拡大

IoT機器及びシステムの発展により、その利便性が高まる一方で、インターネットを介したサイバー攻撃による事故が年々増加し、深刻さを増しています。特に、適切な情報セキュリティやネットワーク環境の構築、専門性を有した人材の確保に関しては、多くの中小零細企業が手をこまねいているのが現状です。

当社では、このような現状を受け、お客様のネットワーク環境のリモート診断を行い、それぞれの課題に合わせたセキュリティ商品の提供を行っております。

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当連結会計年度においては、複数のセキュリティ商品において後継機をリリースするとともに、2025年1月には通信システムやセキュリティシステムを手掛ける㈱closipとの間で業務提携及び資本提携を締結しました。また、2025年2月には㈱アレクソンの開発により、㈱closipが特許を持つ「LTE over IP®」システムを活用し、ログイン管理の煩雑さを解消しつつ、よりセキュアな認証システムを有するNASサーバー「NA-2T100CLS」、「NA-4T100CLS」をリリースし、好調な販売を続けております。

 

⑤ 収益構造の安定化

当社は、ストックビジネスとして、2020年9月に課題解決型のトータルソリューションサービス「No.1ビジネスサポート」の提供を開始しました。このサービスは、主にビジネスコンサルタントによるIT/DXのサポートや経営相談などの専任支援まで、多岐にわたるサービスを顧客に提供しており、顧客各社との信頼関係を強化しながらストック型収益の増加に努めています。

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当連結会計年度においては、ストック売上比率が15.8%に増加(前年同期比+1.3%)しており、No.1ビジネスサポートにおいては保有契約数が5,070件に増加(前年同期比+347件)、平均顧客単価も12,400円に増加(前年同期比+1,500円)し、新オプションである「No.1でんき」や「Wixプラン」の提供も開始しております。引き続き、伴走型の支援により、通信機器事業と併せて、顧客の経営課題へ一貫したソリューションを提供することで、収益構造のさらなる安定化と向上を目指してまいります。

 

⑥ サステナビリティ経営、人的資本経営の推進

当社グループでは、「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念を礎に、社会と会社の持続的成長を実現させるために、提供する商品・サービス、社内外の様々な企業活動において、引き続きサステナビリティの取り組みを積極的に取り入れてまいります。主要テーマとして、「環境負荷を減らす取り組み」「地域経済や地域社会への貢献と人的資本経営の拡充」「ガバナンス・リスク管理体制の強化とダイバーシティ推進」の三本柱で取り組んでおります。

環境面ではCO₂排出量の削減、省エネルギー化、省資源化を推進し、地域社会への貢献としては中小零細企業の支援を通じた地域経済の活性化を目指します。

また、人的資本経営の拡充を図るために、人財育成方針と環境整備方針を定めております。主要テーマとして、「社員の感動満足度の向上」(処遇全般の水準向上をはじめ、働き方を含めた社員の感動満足度の向上につながる施策導入)、「次世代経営人財の育成」(教育体系全般を再構築し、次世代経営人財の育成及び裾野の拡大を見据えた全社教育)、「ダイバーシティの推進」(多様な人財が個々の自律性と共に、働き続けることができて活躍しやすい環境や制度づくり)を掲げております。

当連結会計年度においては、新たに導入した奨学金返還支援制度や、営業職への特別手当を新設するなど、若手人財の育成と定着を促進するための施策を積極的に展開しています。また、女性活躍推進イベント「No.1L’s Café」の定期開催など、具体的な施策を通じてダイバーシティの推進にも注力しております。

 

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⑦ 財務戦略(資本戦略)、キャピタルアロケーション

当社では、成長投資、株主還元及び財務体質の安全性のバランスを確保しながら、経営資源を最適に配分することを基本方針とし、当社グループの持続的な企業価値向上に努めてまいります。具体的には営業キャッシュ・フローを原資に、M&A等戦略的投資、人的資本投資、IT投資等の成長投資への分配と並行して、株主還元も戦略的に実施してまいります。また、優良な投資案件に関しては外部借入を活用し、必要に応じて柔軟に対応いたします。

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株主還元については、配当性向30%を目安に安定的かつ継続的な累進配当を実施することを方針としております。1株当たりの年間配当金は前年実績を下限とし、毎年の継続的な増配を目指して、株主への利益還元の充実を図っていきます。

また、株主の皆様の日頃のご支援に感謝するとともに、より当社グループ事業内容へのご理解を一層深めていただき、当社株式への投資の魅力を高めより多くの皆様に当社株式を中長期的に保有していただくことを目的に株主優待制度を新設しております。

自己株式の取得は、株価の状況や財務指標を考慮し、機動的かつ戦略的に実施してまいります。さらに、資本コストを的確に把握し、エクイティスプレッドの向上を図ることで資本収益性の高い企業を目指し、情報開示の拡充及びIR活動の強化を通じて、投資家との信頼関係を強化してまいります。

 

以上により、当社グループは積極的に新たな分野への挑戦を行い、他社との差別化を明確にすることで、継続的かつ安定的に企業価値の向上を図ってまいります。さらに、グループ全体としてのシナジー効果を追求し、最適なキャピタルアロケーションを実行することにより、長期的な成長と持続可能な社会の実現を目指して活動してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス

 No.1グループは、「日本の会社を元気にする一番の力へ。」という経営理念を礎に、社会と会社双方の持続的成長の実現を目指しております。その為、提供する商品・サービス、社内外の様々な企業活動において、強い意志のもとサステナビリティ経営を全社で推進しております。

 ESG経営の推進にあたっては主要テーマに対し、具体的な施策立案・実行の進捗状況については経営レベルの重要事項と捉え、四半期初月(3月、6月、9月、12月)の当社定時取締役会にて、常勤取締役5名からの四半期活動報告の中で、サステナビリティ関連リスクを含め、経営目的の達成及び事業遂行を阻害する恐れのあるリスク及び低減策を報告し、取締役会において適宜協議・監督を行っております。

 

(2)戦略

①ESG経営の取組方針

 No.1グループのESG経営における取組方針は、以下のとおりとなります。

「E:環境」環境負荷を減らす取り組みの実施(カーボンニュートラルの実現に向けたCO₂ 排出量の削減、省エネルギー化、省資源化)

「S:社会」中小零細企業支援を通じた地域経済の活性化、地域社会への貢献、人的資本経営の拡充

「G:企業統治」経営と社員の両方におけるダイバーシティの推進、ガバナンス体制の透明性向上、リスク管理体制の強化

 

②人財の育成に関する基本方針及び社内環境整備に関する方針

1)人事の基本方針

 No.1では、“100年企業にふさわしい企業体として経営基盤・事業基盤を盤石とすべく、「人の成長」が「企業の成長」と考え、人的資本経営の拡充を図る”を人事の基本方針として設定しております。

2)求める人財像

 No.1では、「“人”に対する波及力があり、学びと新たな価値の創造を可能ならしめる“仕事”を行い、No.1らしさを兼ね備えた“資質”を持った人財」の育成を目指しております。

3)人財育成方針

こうした人財を育成する為の基本方針は、以下の通りとなります。

・顧客満足度を超えて顧客を感動させる「顧客満足度No.1企業から、感動満足度No.1企業」を実践できる人財の育成を目指してまいります。

・経営理念の浸透を軸に「人財の採用~育成~定着」を一連の流れの中で捉えることで、100年企業を見据え、企業を取り巻く環境の変化や、事業内容の進化に適応し続ける事が出来る人財の育成強化を図ってまいります。

4)社内環境整備方針

多様な人財が様々な職場で能力を発揮し成果に結びつけられるよう、既存社員・新入社員・中途社員それぞれに目を向け、以下の重点方針に基づき社内環境を整備いたします。

重点方針1:社員の感動満足度の向上

 顧客を感動させることができる感動満足度No.1企業を目指すには、当社で働く社員も業務を通じて社員自身の感動満足度の向上が必要であると考えております。

 このことから、処遇全般の水準の向上をはじめ、働き方を含めた社員の感動満足度の向上につながる施策を導入いたします。

重点方針2:次世代経営人財の育成

 従来からの階層別教育カリキュラムに加え、教育体系全般を再構築いたします。

 次世代経営人財の育成のみならず、入社時から各階層別に応じて共通型・選択型・選抜型メニューを組合せることにより、裾野の拡大を見据えた全社教育の実現へ向け、人財育成の連鎖を途切れさせない運用を目指してまいります。

重点方針3:ダイバーシティの推進

 多様な人財が企業と共に継続的に成長する為には、個々の社員が自律性を持った上で働き続ける事ができ、かつ活躍がしやすい環境や制度づくりが重要であります。

 ※当社における多様性は障がい者、高齢者、外国人、ジェンダー、LGBTQ等を含みます。

 多様性に関する当社における大きな課題としては、当社の女性社員と女性管理職の絶対数が少ない点であると考えておりますため、今後は女性社員・女性管理職の積極的な採用・育成・定着に関する施策に優先的に取組んでまいります。

 

③社内環境整備における取組内容

重点方針1:社員の感動満足度の向上

 当連結会計年度においては、給与水準の向上、福利厚生制度の拡充、働き方に関する新たな施策導入を中心に以下の通り推進してまいりました。

1) 給与水準の向上は2024年3月より、若手社員を中心とした一般職層に基本給のベースアップ実施と営業手当を新たに導入し、あわせて初任給水準の引き上げを図りました。

2) 健康増進を目的に、健康診断内容と各種福利厚生制度の双方が充実している、関東ITソフトウェア健康保険組合へ、2025年4月に従来の健康保険組合から移管する為の準備を進めました。

3) 福利厚生制度の充実を目的に、慶弔見舞金制度をはじめ、多岐に渡るサービスメニューを保有している一般社団法人パレット共済会へ、2025年4月に新たに加入する為の準備を進めました。

4) 2024年10月から新たに導入した奨学金返還支援制度は、独立行政法人日本学生支援機構のみならず、自治体・学校等が独自に取り組んでいる奨学金の返還支援まで幅広く対応しております。

5) 2025年3月から人事異動が多く全国的に事業所を展開している営業部門において、個のワークライフバランスに応じた、働き方の選択肢として勤務地を選択できる転勤転居制度と、社命赴任による転居時の負担軽減を目的とした転居手当一時金を新たに導入いたしました。

6) 2025年1月から社員の金融リテラシー向上を目的に、金融機関の専門家による「マネーセミナー」を開催しました。自主参加型の本セミナーでは、金融の基本から、賢いお金の使い方、投資の基礎、さらには老後の資産形成についてのテーマを定期的に開催しています。

 

重点方針2:次世代経営人財の育成

 当連結会計年度においては、新たな階層別教育研修メニューを以下の通り導入し実施いたしました。

1) コーポレートガバナンス・コードが求める取締役会実効性評価における、役員トレーニングの実施に対する具体的な取り組み内容に該当する「役員トレーニングプログラム(WEB版)」を導入いたしました。取締役の受講と合わせ、次世代経営人財の育成を目的に、執行役員・統轄部長クラスまで受講範囲を拡大し2025年3月から開始いたします。

2) 次世代へ繋がる人財の裾野拡大を見据え、2024年4月新卒入社者より、経済産業省が提唱した「人生100年時代の社会人基礎力(前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力)」を3年間(毎年1回2日間の集合研修)で習得を目指す事といたしました。その初年度カリキュラムとして、2024年4月新卒入社者に「社会人基礎研修Ⅰ」を実施いたしました。

3) これまで4年間に渡って実施してきました、階層別 e ラーニングのコンテンツを全面変更いたしました。従来の約200コンテンツから、2025年3月より約2,000コンテンツに増加し、幅広いテーマと部署特性を踏まえた、実務に役立つ内容を豊富に取り揃える事が出来るようになりました。尚、階層別eラーニングは四半期毎に指定テーマの受講を全社員対象に実施し、その受講率は常に95%以上となっております。

 

重点方針3:ダイバーシティの推進

1) 社員が育児・傷病・介護等にて休業した後、スムーズな職場への復職支援を図る事を目的として2023年3月にオフィスマネジメント部を創設いたしました。オフィスマネジメント部の業務内容としては、復職者それぞれがこれまでの経験を活かしつつ、社内の各部署から切り出された業務を集約し従事しております。2025年2月には、創設時より2.3倍の人員に増加しました。就業規則の範囲内で復職者の個別の状況に応じた適切な支援策の提供や、職場内での働きやすさへの配慮を踏まえた運営を行っております。

2) 2024年4月から、産休・育休復職者とその直属の管理職者を対象としたeラーニングを、復職時のタイミングに新たに導入いたしました。カリキュラムのポイントは、育児と仕事の両立だけでなく、その後のキャリアも視野に入れた長期的な働き方と、キャリア形成について理解を深める内容となっております。また、復職者本人だけでなく、その管理職者向けの視点にも対応しており、育児をしながら働き続ける事の理解を深め、職場での両立支援のサポートを促しております。

3) 女性活躍推進の運動体として新たに組成された「No.1 ℒ’s Café」は、2025年2月期は4回開催いたしました。「メンバー間の交流・学び・考える場」として、経営トップからのメッセージ発信によるキックオフから始まり、女性活躍推進に関する課題と解決策のアウトプットを行い、経営に直接提案する機会を持ちました。1年間の活動を通じた具体的な成果としましては、就業規則に生理休暇の明文化を行い、生理休暇を取りやすい社内環境づくりを目指してまいりました。2026年2月期の「No.1 ℒ’s Café」は生理・PMSに関する、男性上司や職場の理解を得るための活動と、女性管理職を輩出しやすい環境づくりの為の活動を中心に推進してまいります。

(3)リスク管理

 No.1グループは、事業を取り巻く様々なリスク(経営目的の達成及び事業遂行を阻害する恐れのある事象)に対してのリスク発生防止のための的確な管理とリスク発生時の迅速な対応を図るため、環境・社会・企業統治の要素を網羅した「リスク管理基本方針」を定めております。

 また、リスク管理の推進と必要な情報の共有化を図るため、「リスクコンプライアンス委員会」を設置し、毎月1回以上開催しております。「リスクコンプライアンス最高責任者」は代表取締役社長が担う他、常勤取締役全員を「リスクコンプライアンス責任者」として任命しており、リスクの洗い出しと対応方針の決定・フォローアップを迅速に行っております。

 リスクコンプライアンス統括部にて、サステナビリティ関連を含むリスクと機会に関する情報を集約し、発生可能性及び影響度の評価軸で評価を行い、対処すべき重要なリスクや機会を特定し、リスクコンプライアンス委員会の中で協議しております。

 

(4)人的資本投資に関する指標及び目標

 

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 順調に推移している指標として「男性の育児休業取得率」は、人事総務部から対象社員への事前説明、社内報での男性育児休業取得者へのインタビューを掲載する等により、男性の育児休業取得について徐々に理解が深まってきております。また「社員一人当たり教育研修費」は、営業部門社員に対する資格取得制度の導入、社会人基礎研修Ⅰの実施をはじめ、新たな取り組みを実施した事により着実に増加しております。

 一方、「女性管理職比率」と「女性社員比率」は大きな課題と認識しております。当社の人財採用は新卒採用中心となっており、特に2024年4月は25名入社に対し女性社員比率は12.0%と指標の引き下げ要因となりました。2025年2月期中に、新卒採用体制の強化・再整備、初任給水準の向上、営業手当新設、勤務地を選択出来る転勤転居制度導入により、2025年4月は61名入社に対し女性社員比率は31.1%になりました。今後は2025年4月からの福利厚生制度の拡充(健康保険組合の移管、共済制度の加入)と、女性活躍推進策のNo.1 ℒ‘s Caféの継続推進により、引き続き「女性社員比率」と「女性管理職比率」双方の向上を目指してまいります。

 なお、人的資本投資に関する指標及び目標については、人財育成等に関して、連結グループの主要な事業を営む会社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組は行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、提出会社のみの開示としております。

 

 

 

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態並びに現在及び将来の事業等に関して、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を次に掲載しており、これらのリスクが発生する可能性を十分認識した上で、発生の回避や、万が一発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に対する投資判断は、本項及び本項以外の掲載事項を慎重に検討された上で行われる必要があります。

 当社グループでは、リスク管理及びコンプライアンスの遵守体制確保のため、代表取締役社長の諮問機関として「リスクコンプライアンス委員会」を設置しております。また、代表取締役社長より任命されたリスクコンプライアンス総括責任者を中心に、期初にリスクマップ等を活用したリスク評価に基づき、当期のリスク低減策を設定・実施し、リスクコンプライアンス委員会で進捗管理をしております。各拠点においては、リスクコンプライアンス担当者を設置し、業務執行上のレポートラインとは別にリスクコンプライアンス委員会への直接のレポートラインも設け、予防統制・発見統制の強化を図っております。

その他、全従業員に対してリスク研修を定期的に実施しております。また、リスクコンプライアンス担当者を対象とした研修についても定期的に実施しております。

 本項の掲載内容は、当社グループの事業もしくは当社株式への投資に関するリスクのすべてを網羅するものではありません。

 また、本項における掲載事項は、提出日現在における当社の認識を基に掲載したものであります。文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、将来生じる実際の結果と異なる可能性を含んでおります。

 

事業内容に関するリスクについて

(1)事業環境に関するリスク

① 中期経営計画に掲げる4つの重点戦略達成について

当社グループは、2024年4月に中期経営計画「Evolution2027」を発表し、その中で4つの重点戦略を掲げております(「経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革」「事業領域拡大に向けた積極投資」「収益構造の安定化」「サステナビリティ経営・人的資本経営の推進」)。 しかしながら、これらの重点戦略の達成を阻むリスク事象を把握することができず、経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革等の進捗が大幅に遅れることで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、親会社から各子会社に取締役及び監査役を派遣し、四半期に一度4つの重点戦略の達成に関連するリスクの状況について報告を受けることで、各子会社取締役会の経営監督機能及びガバナンス機能の強化を図っております。また、子会社との新商品開発会議の開催、親会社の執行責任者会議やグループ戦略会議において事業別及び子会社別の業績進捗やKPI進捗を定期的・継続的なモニタリングを行うことで、4つの重点戦略達成の確度を高めております。

 

② 優秀な人財の確保や育成について

当社グループの事業におきましては、今後の継続した事業拡大にあたり、日々進化する急速な技術革新への対応や、当社グループ内にて企画・開発する新商品に対応する優秀な社内の人財の確保や、育成及び定着は最重要課題と認識しております。また、国内において労働人口の減少が進行している事に伴い人財獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により優秀な人財の獲得が困難となる場合、又は現在在職する人財の社外流出、エンゲージメントの低下、労務トラブルの発生といったリスクが生じた場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、人財の獲得を事業戦略上の最重要課題と位置づけ、積極的な採用活動を実施しております。

また、社内環境整備に関わる重点方針として、社員の感動満足度の向上、次世代経営人財の育成、ダイバーシティの推進を掲げ、人的資本経営の拡充を図ることを目的とした、処遇全般の水準向上(若手人財の給与の見直し、単身赴任手当の支給、奨学金返還支援制度の導入等)、経営戦略に応じた人財育成の推進、女性管理職育成・輩出を進めると共に、従業員向けの職場環境に対するアンケートを実施し、職場環境における課題を早期に把握・特定し課題解決のためのアクションを起こす取り組みを実施することでエンゲージメントを高め、同時に若手人財を中心に教育・育成する専門部署を設け、優秀な人財の確保、定着と人財の育成、底上げに取組んでおります。

 

③ 企業買収及び業務提携・戦略的投資について

当社グループは、今後の事業拡大のために設備投資、システム投資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンスを目的とした事業投資、M&A等を実施する場合があります。しかしながら、投資先の将来の事業の状況を正確に予測することは困難な場合があり、今後投資先の収益性が悪化し、その企業価値が著しく毀損、減少した場合、M&Aにより計上したのれんの減損処理等により、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、当社グループの持続的な企業価値向上と成長実現のための計画的な投資の実行とそれに伴うリスクの低減を図るために、2024年9月に代表取締役の諮問機関として投資委員会を設置しました。本委員会では、経営資源を優先的に配分する事業を決定するとともに、業績や資本効率の悪化に対する適時適切な対応策を検討するなど、継続的に事業ポートフォリオを見直しております。また、投資案件については、投下資本の回収リスク及び資産査定を事前に十分に評価するとともに、グループとしてのシナジー効果を検証し、投資におけるリターンの最大化を図ることで、当社グループの企業価値向上を推進しております。

 

(2)事業内容に関するリスク

 ① リース事業環境の変化について

 当社グループは、リースによる販売を行っており、その売上は当社グループ全体の連結売上高の42.5%(2025年2月期)を占めております。リース販売は、当社グループの顧客とリース会社がリース契約を行い、当社グループはリース会社に商品を販売し、リース会社から代金を回収するという販売方法です。当社グループは、販売に伴う回収リスク等を回避できる一方、リース会社の経営方針変更や判断基準の変更等があった場合は、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、Webマーケティングによる営業手法の多様化、商品ラインナップの充実、No.1ビジネスサポートによる収益構造の多様化により、リース事業環境の変化によるリスクの低減を図っております。

 

② 他社との競合について

当社グループの属するOA関連商品の販売を主とする業界は、比較的容易にメーカーの代理店になることができ、個別商材ごとの参入障壁が低いといわれており、競争力のある新規参入企業により当社グループの優位性が薄れた場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、営業社員が複数の商材を販売できるよう教育を実施しております。また、OA関連商品の販売に加え、当社グループにて企画・開発・製造しているUTM機器、セキュリティサーバー、テレワーク関連商品、ビジネスWi-Fi(アクセスポイント)、サーバラックの拡販等、商品ラインナップの継続的な強化、拡充を図っております。更にNo.1ビジネスサポートのサービスメニューの拡充による事業の拡大、クラウドサービス事業の拡充、モバイルWi-Fi、レンタルパソコン、緊急災害用通信機器等のサービスラインナップの拡充にも努めることにより、毎月、その利用料を請求するストック型のサービスの強化にも注力し、企業における必要性の高い商品をワンストップで提供することで差別化を図っております。

 

③ MFPの市場規模縮小について

当社にて販売する主力商品のうち販売シェアの約30%占めるMFPにおいては、テレワークの増加によるオフィスの統廃合や、入替サイクルの長期化、ペーパーレス化等により、市場規模が縮小しMFPの販売が計画通りに進まない事で、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、中期経営計画「Evolution2027」において、新商品・サービスの拡充や顧客レイヤーの拡大を掲げており、これらを実現することで、MFPの市場規模縮小によるリスク低減を図ってまいります。

 

④ サプライチェーンについて

当社グループは、サプライチェーンを通じて、仕入先から部品等の調達をおこなっています。仕入先の経営状態等の悪化や災害などにより商品等の供給が停止、仕入れ部品が大幅に高騰すると、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、環境への配慮や人権問題への配慮など、サプライチェーンを通して、社会からESG上の観点で、より高度な対応が求められています。部品等の仕入先に対応不備があれば、部品等の調達や商品の販売にも影響を与え、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があると共に、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性もあります。

当社グループでは、部品の調達に関し、仕入先との密な連携を取り安定的な部品供給を進めるとともに、設計段階での部材の生産状況を継続的に確認し、設計変更による対応方針などリスクレベルに応じた対策を実行しています。また、並行して有事に備え部品の在庫量を増加させるとともに、市場流通品からの入手検討など代替品の確保などにも努めております。

 

 

⑤ システム障害について

当社グループは、コンピューターシステムに依存しており、インターネット回線を通じての受発注業務を行っております。加えて当社グループは顧客ホームページやメールサービスの提供・保守を行っております。しかしながら、想定を超えた自然災害、システム障害、サイバー攻撃等によりコンピューターシステムの停止、又はインターネット回線の接続不可となった場合、当社グループ及び顧客の業務の遂行に支障を来す可能性があり、当該リスクが顕在化すると、機会損失の発生、代金の返還、損害賠償の支払、社会的信用の低下等により、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、システム保守・保全の対策を踏まえ、ほぼすべてのサーバーをデータセンターに設置しております。また、外部専門機関によるセキュリティレベルの検証も行っており、情報セキュリティリスク事象、システムリスク事象が生じた場合には、経営管理本部長を管理責任者とする情報セキュリティ委員会にて、原因の特定、発生事象への早期対応及び再発防止策を講じ、一元管理を図っております。

 

⑥ 製品の品質管理について

利用者の品質に対する関心が高まっているなか、より利用者に配慮した対応が必要になってきております。当社グループである株式会社アレクソンは、メーカー機能を有しており、製品設計のデータ改ざんや、安全性や性能の不具合など品質問題により大規模なリコールの発生や、初動対応などの危機対応の失敗により当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった事態が発生した場合は、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製造会社としての責任と、販売者・商品企画者としての責任の二つの責任があり、製品リリース前に外部専門機関による品質・性能確認や、製品出荷前の検品体制の強化、顧客の問い合わせ情報を一元管理し、個別対応と原因追及、再発防止に努めております。また、当社リスクコンプライアンス委員会において、定期的なモニタリングを実施し、継続的に製品の品質維持を図っております。

 

⑦ 情報セキュリティについて

当社グループでは、業務に関連して多数の企業情報を保有しております。人的及び技術的な過失や違法又は不正なアクセス、サイバー攻撃等により情報が漏洩した場合には、損害賠償請求や社会的信用の低下等によって、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、基幹システムとしては自社開発したシステムを使用しており、当該システムの可用性を堅牢に担保するべく、万が一のバックアップ体制を整えております。これらの情報の管理については、ISO27001(ISMS認証)を取得し、社内規程として「情報セキュリティ規程」、「機密管理規程」、「個人情報取扱規程」等を制定し、その遵守に努めております。

また、情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティに関する管理体制やルールを整備のうえ、情報セキュリティリテラシーを高めるための社員教育、委託先管理を含め、情報の取扱いに関するモニタリング、リスク事案の分析、個人情報保護をはじめとする法規制強化への都度対応、技術対策の強化など対策を講じております。

 

 

 

 

 

(3)グループ組織体制に関するリスク

① グループ内部統制体制の強化について

当社グループは、子会社の増加に伴い、事業が急速に拡大しており、グループ内部統制の適切な体制整備、構築、運用が経営課題であると認識しております。しかしながら、十分な内部統制の構築が追いつかないという状況が生じた場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、企業価値の継続的な向上を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であり、そのためにはグループ経営管理とグループ内部統制の適切な体制整備が必要であると認識しております。前者については、親会社役員の子会社役員の兼任、及び不足する人財の供給、並びにグループ戦略会議を通じたグループ経営に関する諸課題の審議を行い、後者については、リスクコンプライアンス委員会によるグループ全体を対象とした業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するための体制の整備運用状況の定期的なモニタリングにより、グループ内部統制システムの適切な体制整備、運用に努めております。また、子会社取締役会にて、四半期毎にリスク評価と対応状況のモニタリングを実施しております。

 

(4)コンプライアンスに関するリスク

   ① 訴訟等の可能性について

当社グループが事業展開を図るうえで、取引先、販売代理店等及び顧客その他の利用者による違法行為やトラブルに巻き込まれた場合、利用者による違法又は有害な情報の発信等により第三者の権利侵害があった場合、もしくはシステム障害等によって取引先、販売代理店等及び顧客その他の利用者に損害を与えた場合等、当社グループに対して訴訟その他の請求を提起される可能性があり、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「不当景品類及び不当表示防止法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「電気通信事業法」等の法的規制の遵守をはじめ、法務部門の体制の整備を更に進め、弁護士事務所など外部との提携を強化しながら、訴訟、トラブル等のリスクに備えております。また、リスク事象に対しては、リスクコンプライアンス委員会へ報告し、同委員会による一元管理にてリスクへの早期対応による訴訟リスクの低減体制を構築しております。

 

   ② 知的財産について

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することのないよう、製品開発、WEBサイトの制作、販促物の企画等の業務を行っておりますが、当該開発物・制作物が第三者の知的財産権を侵害し、使用の差止請求、損害賠償請求等の請求を受けた場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、新製品開発においては弁理士による事前調査を経ております。また、WEBサイトの制作に用いる画像・動画データ等においては、予め契約した素材データ提供サービスを利用することで著作権や肖像権を侵害しないよう知的財産権の背景を事前に調査・確認の上対応しております。また、当社グループが有する商標権、著作権及び肖像権等の知的財産権が第三者によって侵害されることの無いよう、各種取引契約において、当該権利の利用目的を明示し、利用目的を越える場合においては当社グループの許諾を得ることとしております。

 

(5)その他のリスク

   ① 大地震等の自然災害について

当社グループは、日本国内に本社及び支店があるため、国内にて大規模地震などが発生した場合、壊滅的な損害を被る可能性があります。本社及び支店が壊滅的な損害を被った場合、営業を一時停止する可能性があります。このような事態が起こった場合、売上は減少し、破損した設備の修理に多額の費用がかかる恐れがあり、当社グループの事業、経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、防災マニュアルを作成し、本社及び各拠点に共有し、地震時の初動対応に関するポスターの掲示などを実施しております。防災マニュアルの中に「自衛防災隊」という項目を設け、有事に組織的に迅速に行動できる体制を敷いております。また、本社及び各拠点に食品や防災用品等を常備し、有事の際の準備をしております。当社グループのレジリエンスを高めるためにリスクコンプライアンス委員会を中心に事業継続計画(BCP)を策定し、大規模災害の発生時の対策本部も含めた体制の検討、安否確認システムの導入、仕入先等との連携強化などを行い、随時見直しと向上を図っております。

 

   ② 環境保全対策について

当社グループは、廃棄物、商品リサイクル及び土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令及び規制等を遵守しておりますが、将来の環境改善取り組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合、及び不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は、当社グループの事業、経営成績、財務状況に影響、さらには当社グループの社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、メーカー機能を有する株式会社アレクソンにおいて、ISO14001(EMS認証)を基に環境マネジメントシステムを構築し、環境負荷の低減、法規制に対応すべく取り組んでおります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、不安定な国際情勢による引き続きの資源高や円安の影響により、依然として厳しい状況が続きました。経済全体における状況は引き続き不透明であり、先行きについては慎重な見通しを持つ必要があります。

これに加えてここ数年頻繁に発生している気候変動による大規模な自然災害などの環境変化、少子高齢化による人口動態の変化と働き方改革への対応など、全産業を取り巻く社会環境は急速に変化しており、各企業はその変化に対して適切に対応しながら、持続的な成長を図るための戦略を見極める必要性が高まっております。

このような状況の中、当社の祖業であるOA機器市場は、入替サイクルの長期化、ペーパーレス化の浸透やハイブリッドワークの定着等により、市場の成長は鈍化してきております。一方、十数年前より取り組んできた情報セキュリティ機器市場は、中小企業にもIT化が進みつつある近年、ランサムウェアをはじめとしたサイバー攻撃が徐々に高度化し、各企業にもその対策の必要性が認識され始め、ニーズが加速してきました。IoT、AI及びビッグデータを用いた全産業の様々なデジタル化が急速に進行している状況の中、中小企業においても、テレワークの普及やクラウドサービスの利用拡大に伴い、情報セキュリティ対策の需要はより一層高まってきております。

以上のような環境において、当社グループでは、2024年4月に「中期経営計画Evolution2027」を発表し、その中で「For Further Evolution!(さらなる進化に向けて)」をテーマに掲げ、経営基盤と事業基盤を盤石とし、個と組織の強化による進化を続け、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。その実現に向けて、「経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革」、「事業領域拡大に向けた積極投資」、「収益構造の安定化」、「サステナビリティ経営、人的資本経営の推進」を重点戦略として位置付け、その推進によって更なる企業価値の向上に努めております。

当連結会計年度におきましては、主力商品である情報セキュリティ機器などの販売が引き続き順調に推移いたしました。連結子会社である㈱アレクソンにおいても情報セキュリティ機器を中心に好調な販売を維持し、両社共同で開発した商品を当社の販売ルートで拡販するなど、引き続きシナジー効果を発揮することが出来ております。

また、「中期経営計画Evolution2027」で掲げた以下の4つの重点戦略を着実に進捗させております。

〔経営基盤、事業基盤の再強化、構造改革〕

経営人財の育成と社員の生産性向上に向けて、人財育成計画を策定し、取り組みを進めています。また、グループ一体経営の推進や事業ポートフォリオマネジメントの強化の一環として、当期より新たにグループ成長戦略推進本部を設置し、事業基盤の再強化に向けた各種プロジェクトの推進を行っております。

〔事業領域拡大に向けた積極投資〕

・2024年4月に㈱アイ・ティ・エンジニアリング、2024年6月にOZ MODE㈱を当社グループに加え、新規事業とし

 てSES事業に進出し、順調に推移しております。

・2024年10月に、岩手県北上市を拠点とし、法人向けに通信機器販売から通信設備工事までを手掛ける㈱S.I.Tを

 当社グループに加え、未開拓エリアであった東北地域への進出を果たしました。

・2025年1月に、㈱closipと業務提携契約及び資本提携契約を締結し、同社の特許技術である「LTE over IP®」

 を搭載したNASサーバーを2025年2月より販売開始しております。

・2025年2月に、ソフトウェア受託開発及び運用メンテナンスを主な事業とする㈱コードの子会社化を決定して

 おり、今後はシステム開発事業及びSES事業等でOZ MODE㈱、㈱アイ・ティ・エンジニアリングと連携し、本事

 業領域の拡大と強化を図ってまいります。

〔収益構造の安定化〕

「No.1ビジネスサポート」のサービスクオリティ向上に注力したことで、平均顧客単価の上昇、保有契約件数の堅調な増加に繋がっております。また、同サービスの新オプションとして「No.1でんき」や「Wixプラン」の提供を開始しております。 

〔サステナビリティ経営 人的資本経営の推進〕

若手人財の給与の見直し、営業職に対する営業特別手当を新たに設定しました。また、奨学金返還支援制度を開始するなど、「人的資本経営」の推進の方針に則り、若手人財の給与水準向上の施策を行いました。その他にも、女性活躍推進をテーマとしたイベントの定期実施(No.1L’s Café)など、新たな取り組みも積極的に行いました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は14,209,460千円(前期比5.6%増)、営業利益1,039,018千円(前期比15.4%減)、経常利益1,036,272千円(前期比14.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益574,387千円(前期比35.2%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末から292,559千円増加し、6,206,381千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加605,213千円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少47,267千円、原材料及び貯蔵品の減少271,314千円によるものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末から313,399千円増加し、2,500,244千円となりました。これは主に、有形固定資産の増加10,961千円、無形固定資産の増加6,129千円、投資その他の資産の増加296,308千円によるものであります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末から9,776千円増加し、3,226,375千円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金の減少40,223千円、電子記録債務の減少63,662千円、短期借入金の減少242,000千円、1年内返済予定の長期借入金の増加114,733千円、未払金の増加82,265千円、未払法人税等の増加129,620千円、その他の増加25,216千円によるものであります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末から116,420千円減少し、1,003,946千円となりました。これは主に、社債の減少17,000千円、長期借入金の減少83,452千円によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から712,603千円増加し、4,476,305千円となりました。これは主に、資本金の増加20,362千円、資本剰余金の減少8,824千円、自己株式の減少344,798千円、利益剰余金の増加349,919千円によるものであります。

 

 この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末から4.9ポイント増加し、51.2%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、2,890,288千円となり前連結会計年度末から605,213千円の増加となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,446,472千円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益995,694千円、減価償却費260,390千円、のれん償却額126,987千円に対し、売上債権及び契約資産の減少95,515千円、棚卸資産の減少310,354千円、法人税等の支払額344,084千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、577,390千円の支出となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出153,201千円、有形固定資産の取得による支出224,399千円、無形固定資産の取得による支出48,905千円、非連結子会社株式の取得による支出108,300千円によるものであります

上記の結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは、869,081千円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、434,949千円の支出となりました。これは主に長期借入れによる収入500,000千円、株式の発行による収入40,574千円に対し、短期借入金の純減額242,000千円、長期借入金の返済による支出468,719千円、配当金の支払額224,025千円によるものであります。

 

 

④ 仕入、受注及び販売の実績

 当社グループは単一セグメントであるため、仕入、受注及び販売の実績については、セグメント情報に代えて事業ごとに記載しております。

(仕入実績)

 当連結会計年度における仕入実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

自社企画商品及びOA関連商品

5,434,231

105.1

情報通信端末

2,255

10.4

ホームページ制作

136,042

105.2

システムサポート

1,726,725

102.6

ビジネスサポート

177,293

133.2

SES

243,626

その他

9,934

合計

7,730,109

108.3

 

(受注実績)

販売実績と重要な相違はないため記載は省略しております。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の名称

金額(千円)

前年同期比(%)

自社企画商品及びOA関連商品

11,141,607

104.0

情報通信端末

97,736

104.2

ホームページ制作

279,974

78.7

システムサポート

1,601,386

91.1

ビジネスサポート

824,007

156.3

SES

248,343

その他

16,403

合計

14,209,460

105.6

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社クレディセゾン

3,283,009

24.4

3,232,590

22.7

2.販売代理店の実績につきましては、OA関連商品販売の実績に含んでおります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討結果につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループのキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品・原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資資金、株式取得資金によるものであります。

 借入につきましては、運転資金は短期借入金で、設備資金や株式取得資金などの長期資金は長期借入金で調達することを基本としております。

なお、資金調達の効率化及び安定化を図るため、コミットメントライン契約(総額12億円)を締結しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当とみとめられている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者の判断に会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

取引先名

契約名称

契約内容

契約期間

株式会社アイ・イーグループ

商品売買等基本契約書

MFP、ビジネスフォン及びこれらに付随する付属品の仕入に関する契約

1999年4月1日から

2000年3月31日まで

以後、1年ごとの自動更新

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発活動の総額は7,451千円であります。