独立監査人の監査報告書

 

2025年10月31日

株式会社旅工房

取締役会  御中

 

やまと監査法人

 

東京都港区

 

 

指定社員
業務執行社員

 

公認会計士

木  村     喬

 

 

 

指定社員
業務執行社員

 

公認会計士

遠  坂  匡  紀

 

 

限定付適正意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社旅工房の2023年4月1日から2024年6月30日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、「限定付適正意見の根拠」に記載した事項の比較情報に及ぼす可能性のある影響を除き、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社旅工房及び連結子会社の2024年6月30日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

限定付適正意見の根拠

当監査法人は、前連結会計年度の連結財務諸表に修正が必要かどうか判断することができず、前連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明している。当該事項が当連結会計年度の数値と対応数値の比較可能性に影響を及ぼす可能性があるため、当連結会計年度の連結財務諸表に対して限定付適正意見を表明している。この影響は、前連結会計年度の連結財務諸表の売上原価63,002千円である。

これらの影響については、金額的重要性はあるが、売上原価(代理人取引として売上高と純額表示した額を含む)及びその他の特定の費用勘定に限定され、他の勘定科目には影響を及ぼさないことから、連結財務諸表全体に及ぼす影響は限定的である。したがって、連結財務諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、限定付適正意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない

当監査法人は、「限定付適正意見の根拠」に記載した事項のほか、以下に記載した事項を監査報告書において監査上の主要な検討事項として報告すべき事項と判断している。

 

継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

株式会社旅工房及び連結子会社(以下「旅工房グループ」という。)は、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた旅行需要の大幅な減退により、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している。

経営者は、当該事象等を解消し、または改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるかどうか判断する必要がある。

旅工房グループは、当連結会計年度において、第三者割当による新株予約権の発行や新株式の発行による資金調達等を行った結果、当連結会計年度末において現金及び預金2,479,245千円を有している。そのため、当連結会計年度から1年間の資金繰りに重要な懸念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断している。

資金繰り計画は、経営者の仮定や判断を伴うものであるため、当監査法人は継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性の評価は、監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

当監査法人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無についての経営者による判断の妥当性を評価するため、主として以下の監査手続を実施した。

・旅工房グループの将来売上の見通しや人員計画について、代表取締役及び事業担当取締役に質問を実施した。

・事業計画における売上高計画値の重要な要素である受注件数に関する予測の合理性を評価するため、複数の外部機関が公表した直近の利用可能な外部データと比較し検討した。

・事業計画について、経営者の見積りの偏向の有無や過年度の計画の達成度合いに基づく見積りの精度を評価した。また、主要な収益・費用・KPIについては、過去実績から計画期間までの趨勢分析を行い、その合理性を評価した。

・経営者が作成した事業計画・資金繰り計画に一定の不確実性を織り込んだ資金繰りを監査人独自に見積もった。

 

 

内部統制の不備を踏まえた重要な虚偽表示リスクの評価及びリスク対応手続に与える影響の検討

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は雇用調整助成金等(雇用調整助成金及び緊急雇用安定助成金)の不適正受給疑義の発覚を受け、雇用調整助成金等の受給実態の解明のために2025年6月5日に弁護士・公認会計士及び独立社外役員を含む特別調査委員会を設置して調査を開始し、2025年8月29日、同委員会より調査報告書を受領した。

その結果、雇用調整助成金は、不正の行為により本来受けることのできない助成金の支給を受けた不正受給に該当すると認められた。

会社は調査結果を受け、雇用調整助成金の不正受給について判明した事実関係に基づいた会計処理への修正を行うとともに、過年度の有価証券報告書及び四半期報告書の訂正報告書の提出を2025年10月31日に行った。

内部統制報告書の訂正報告書に記載のとおり、雇用調整助成金の不正受給は、全社的な内部統制の一部において識別された不備が原因である。

以上から、内部統制の不備を踏まえた重要な虚偽表示リスクの評価及びリスク対応手続に与える影響の検討に当たっては、職業的専門家としての慎重な検討が必要であるため、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、本事案の判明を受けて、主として以下の監査手続を実施した。

 

(1) 雇用調整助成金等の不正受給が網羅的に把握されているかどうかを確かめるため、また、認識されていない不正行為が無いことを確かめるため、特別調査委員会の作成した調査報告書の信頼性を以下の観点で検討した。

・特別調査委員会メンバーの能力、独立性、業務の客観性

・特別調査委員会が行った調査の範囲、実施した手続、調査結果、結論及びその根拠

(2) 本件事案の発生原因及び内部統制の不備の内容が、当連結会計年度の監査計画及びリスク評価並びにリスク対応手続に及ぼす影響を検討した

 

 

 

不正の疑いのある金券類を含む仕入取引に対する検討

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

会社は受給した雇用調整助成金および緊急雇用安定助成金に関して、受給申請の内容について精査を要する疑義が判明したため、2025年6月5日、特別調査委員会を設置し調査を実施した。当該調査の結果、特別調査委員会から2025年8月29日に調査報告書を受領し、2021年3月期より2023年3月期にかけて雇用調整助成金の不正受給を行っていたことが認定された。

過年度決算の訂正監査の中で、売上先から発注を受けていない金券を仕入原価の一部として手配した後に現金化し着服していた不正の疑いがある資料が検出された。

当監査法人は、前連結会計年度の訂正監査において、会社による調査が継続しており、法人営業部門の金券類を含む仕入取引に関しては、不正の疑いがあるものの、売上原価の原価性について裏付けとなる十分な記録及び資料を会社から入手することができなかったため、十分かつ適切な監査証拠が入手できず、監査範囲の制約として限定事項とし、限定付適正意見を表明した。

当連結会計年度において、限定事項の原因となった法人営業部門の金券類を含む仕入取引に対する手続きは、職業的専門家として慎重な検討が必要となることから、当監査法人は、当該事項を監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

当監査法人は、訂正監査にあたり、本事案の判明を受けて、主として以下の監査手続を実施した。

・本事案の事実関係を把握するため、代表取締役社長および関係者へのヒアリングを実施した。

・会社が設定した、本事案と類似する取引の抽出基準について、本事案の特性を適切に反映したものであるかを、金券類を含む仕入取引に係る業務フローの理解を通じて慎重に検討した。

・抽出された取引については、会社が実施した調査結果を確認するとともに、全件を対象に当監査法人において再実施を行った。

 

 

その他の事項

有価証券報告書の訂正報告書の提出理由に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。なお、当監査法人は、訂正前の連結財務諸表に対して2024年9月26日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。

 

その他の記載内容

その他の記載内容は、有価証券報告書の訂正報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

当監査法人の訂正後の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

上記の「限定付適正意見の根拠」に記載された事項に関しては、その他の記載内容に重要な誤りがあるかどうか判断することができなかった。これ以外のその他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以  上

 

(注) 1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。