第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「国際交流の発展及び世界平和に貢献することと同時に、全従業員及び関係者の物心両面の充足と幸福を追求する」ことを経営理念として掲げております。旅行業を通じて国際間における人的交流の促進に寄与することが、我が国と諸外国間における国際交流の発展につながり、ひいては世界平和の実現に貢献できるとの理念のもと、当社グループの事業を推進してまいります。

また、持続的な事業の発展と公正な利益分配を通じて、株主の皆様、従業員、旅行者、取引先といった全てのステークホルダーの物心両面の充足と幸福実現を追求してまいる所存です。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループでは、事業規模拡大の観点から、売上高及び売上総利益の額とそれらの成長率を重要な経営指標と位置付けております。また、事業の収益性と企業価値の向上を目指すべく、営業利益、経常利益及び1株当たり当期純利益の額とそれらの成長率についても重要な経営指標と認識しております。

 

(3) 中長期的な経営戦略

当社グループの主力事業である個人旅行事業においては、オンライン販売の利点と「トラベル・コンシェルジュ」による柔軟な対応を組み合わせた「ハイブリッド戦略」により事業を拡大させてまいりました。

今後も「ハイブリッド戦略」を拡大・深化させることが国内及び海外の個人旅行市場におけるシェア拡大につながるという考え方から、システム投資によりオンライン販売システムの利便性を高めつつ、商品企画の強化や人材の採用・教育の強化を通じて、旅行商品の充実と「トラベル・コンシェルジュ」による付加価値の高い商品提案を実現させてまいります。あわせて、認知度向上によるさらなる顧客基盤の拡大を目指して、様々なマーケティング施策を積極的に実施してまいります。

また、事業ポートフォリオの多様化を図るべく、法人旅行事業とインバウンド旅行事業についても、引続き強化してまいります。

 

(4) 経営環境

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界各国において海外渡航制限や行動制限等の措置が取られるなど、旅行業界を取り巻く環境は大変厳しいものとなっております。海外旅行市場におきましては、2020年3月以降、外務省より全世界を対象に感染症危険情報レベル2もしくはレベル3が発出されていることから海外ツアーの催行中止が続いておりましたが、2022年4月1日に、感染症危険情報レベル3が発出されていた106か国について、そのレベルが感染症危険情報レベル2へ引き下げられ、日本旅行業協会の定める募集型企画旅行催行ガイドラインも見直された結果、海外ツアー催行再開の機運が高まっております。一方で、国内旅行市場におきましては、海外旅行・インバウンド旅行に先んじて需要回復することが期待されます。

中長期的には、日本国内の少子高齢化と人口減少が進む一方、新興のオンライン旅行会社の参入や成長により、国内の旅行業界の競争は激化することが予想されます。また、スマートフォン等の通信端末の進化や新たなオンラインメディアの誕生により、これまでとは異なるマーケティング機会や新たな技術が日々登場しております。
 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは以下のような課題に対処すべきと認識しています。

なお、以下に記載する課題に関しては、当社グループとして対処すべき優先順位が高いと考えるものから順番に記載しております。

 

 

(財務上の課題)

2023年3月期第1四半期連結会計年度末における当社グループの有利子負債残高は3,800,000千円であり、純資産は△2,081,123千円と多額の債務超過に陥っております。このような状況の中、当社グループとしては、事業運営の安定化及び今後の事業展開に向けた財務基盤の健全化のため、徹底的なコストの削減、資金の確保を軸とした対策を進めております。


(国内旅行事業)

当社グループは従来、海外旅行商品を強みとしてきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界各国において海外渡航制限や行動制限等の措置が取られるなど、海外旅行商品の販売に関して厳しい状況が続いております。このような中で当社グループといたしましては、新たな収益源を育てるべく、2020年6月より個人旅行事業におきまして、新たに国内ツアーの企画・販売を開始しております。
 

(コンプライアンス体制の強化)

当社は、2022年3月16日付で公表いたしましたとおり、当社グローバル・アライアンス部門におけるGo To トラベル事業給付金の受給申請に関する調査報告書を受け、以下のとおり再発防止策の取り組みを進めてまいりました。

 

1.社内規程・様式の見直し

職務権限規程の権限項目、与信管理規程の決裁基準、リスク管理規程のリスク・コンプライアンス委員会への付議事項等、複数の規程の項目や基準を見直し、改善いたしました。また、必要な社内規程・社内プロセスを時間的に履践できないような場合には取引の断念を判断する意識を醸成することを目指し、稟議承認時に、最終決裁者もしくは案件担当部門の取締役が案件開始日を入力する項目を追加し日付の入力なく承認をすることができない仕組みへ変更いたしました。

2.教育活動

2020年7月15日に公表しました再発防止策(コンプライアンス意識の向上)にも含まれておりますが、引続き、コンプライアンス教育を実施し、そのコンテンツの見直しも継続的に行い、当社全体のコンプライアンス意識の向上に努めます。また、給付金や補助金申請に関するマニュアル作成や教育の実施、新規取引に関連する社内手続きの教育の実施等により、コンプライアンス遵守のために必要な事項について従業員の理解が進むものと考えております。

3.意識改革

コンプライアンスについて全社員を対象に社内研修を実施したほかアンケートによる意識調査を実施いたしました。また、「旅工房コンプライアンス行動規範」を当社ウェブサイトへ公開いたしました。本行動規範に基づきどのような行動を心がけるかを「コンプライアンス宣誓書」として毎年度、従業員より取得いたします。これにより従業員一人一人のコンプライアンス意識の向上に努めます。

 

上記のとおり、「調査報告書」の提案を受けて、再発防止策に取り組んでおりますが、今回の事案発生の原因として指摘された、①給付要件に対する理解が不十分であったこと、②顧客の与信管理が不十分であったこと、③リスクの識別の不備、④社内規程・社内プロセスが徹底されていなかったこと、の4点の問題は、主に内部統制システムの運用面の徹底の必要性を指摘されたものであり、引続き上記の再発防止策を含めた内部統制システムの運用の徹底に努め、コンプライアンス体制の強化を進めてまいります。

 

(システム強化)

旅行の申込み方法ではインターネットが最も多く、スマートフォン等の情報端末の進化や電子商取引市場の拡大を勘案すると、今後もインターネット経由での売上が増えることが予想されます。当社グループでの旅行商品の取扱いはインターネットを通じたオンライン販売が中心であり、インターネットを利用して旅行商品を購入する消費者の割合が増えれば当社グループの対象マーケットは拡大し、当社グループの今後の成長に寄与することが見込まれます。当社グループでは、すでにシステム上で予約が完結する「オンライン・パッケージ」システムを稼働させており24時間の自動予約に対応しておりますが、旅行商品データベースの充実やサーバの機能増強等、引続きオンライン予約システムの機能強化を推進してまいります。また、情報端末の多様化への備えや画面上でユーザーが見やすく使い勝手の良いウェブサイト作りに取組む等、利便性の高いウェブサイトの構築を進めてまいります。

 

 

(マーケティングの進化)

スマートフォン等の情報端末や技術の進化、日々の生活へのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の浸透、新たなオンラインメディアの登場等により、消費者のインターネット上での購買行動が変化していくことが予想されます。その結果、中長期的には、これまでのインターネット上での広告手法や旅行系のポータルサイトを通じた集客が通用しなくなり、これまでとは異なるマーケティング手法への対処が必要となるものと考えております。当社グループでは今後のマーケティングの進化を課題と位置づけ、従来の手法にとらわれない新たなマーケティングの方法を模索していきます。

 

(トラベル・コンシェルジュ教育)

オンラインでの旅行商品販売が拡大するにつれ、システムによるオンライン予約だけでは対応できない潜在ニーズに応えるために、当社グループの特徴である「トラベル・コンシェルジュ」による接客の重要性は高まっていくと考えており、高いスキルを持った優秀な「トラベル・コンシェルジュ」を確保し、その能力を高めることが当社グループの課題であると認識しております。

 

当社グループでは、「トラベル・コンシェルジュ」の教育を専門に行う「教育セクション」を設け、継続的な研修実施や外部講師の招聘等により「トラベル・コンシェルジュ」の接客力・対応力向上に努めております。また、随時、海外研修に派遣して現地を実際に体験することにより、「トラベル・コンシェルジュ」として必要な知識のみならず、より実践的かつ具体的な旅のアドバイスにつながる知見の獲得に努めております。これらの活動を通じて、オンライン完結型では困難な「人の温かみ」と「柔軟性」、すなわち人間によるヒアリングや旅行提案という価値をさらに高めていくために、「トラベル・コンシェルジュ」の教育の強化を進めていきます。

 

(商品企画力の向上)

今後、オンライン化が進み事業者の旅行手配業務への参入が容易になることにより、他社との差別化において旅行の企画力がこれまで以上に重要になるものと考えております。

当社グループは、これまで企画担当者の現地研修や社内での勉強会をはじめとする商品企画力強化のための取り組みを行ってきましたが、他社とのさらなる差別化のために現地情報のデータベース化による知識の集約や社内研修等を活用した共有のための取り組みを強化して、企画力の向上を図っていきます。

また、エールフランスKLMと「SAFプログラム」において、旅行会社としてアジア初のパートナーとして協力提携に合意し、当社グループの主力であるヨーロッパツアーにおける環境に配慮したパッケージ旅行企画を開始するなど、新型コロナウイルス感染症収束後の需要回復を見据えた商品企画を推進しております。

 

(ブランド認知度の向上)

旅行業界において、大手の同業他社と比較したとき当社グループの認知度はまだまだ低いものと思われます。また、旅行商品は個人の消費支出の中では比較的単価の大きな商品であることから、旅行会社の選択にあたっては旅行会社の信頼性及び信用力も重要な要素となっております。多くのお客様から問い合わせを受け、お客様からの信頼を得るには当社グループの認知度向上と信頼性及び信用力の向上が不可欠と考えております。当社グループのブランド価値、認知度及び信頼性向上のため、積極的にPR施策を行ってまいります。

 

(海外市場の開拓)

当社グループは従来、今後の海外市場の開拓に関して、海外から国内へのインバウンド需要の拡大や新興国での旅行需要の増加を見据えて、訪日外国人のインバウンド旅行対応の強化と日本国外における海外から海外への三国間旅行事業の強化を重要な戦略の一つとして位置付けておりましたが、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界各国において海外渡航制限や行動制限等の措置が取られるなど、インバウンド市場の拡大が不透明な状況にあります。当社グループとしては中長期的にはインバウンド市場は再び拡大していくと考えておりますが、従来進めていた海外市場の開拓に関しては、市場の動向を鑑みながら慎重に進めてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

以下において、当社グループの事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社グループの外的要因による事項もあり、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、現時点において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 継続企業の前提に関する重要事象等について
新型コロナウイルス感染症拡大・長期化による事業リスク

当社グループは、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による売上高の急激な落ち込みにより、営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しておりました。当連結会計年度においても、海外への渡航制限の継続及び新型コロナウイルス感染症の感染再拡大により、1,294,945千円の営業損失、1,339,066千円の経常損失、1,568,993千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。その結果、当連結会計年度末の純資産は1,743,728千円の債務超過となり、借入金の財務制限条項に抵触しております。これらにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

このため、当社グループでは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (継続企業の前提に関する事項)」 に記載の各施策によって事業面及び財務面での安定化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。しかしながら、当該対応策等は実施途上であることから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を反映しておりません。

 

(2) 旅行市場について

国土交通省によりますと、2019年の世界全体の国際観光客数は前年比5,400万人増の14.6億人と10年連続の増加となっておりました(2020年6月 国土交通省「令和2年版観光白書」)。当社グループは、日本国内及び急速に成長するアジアをはじめとする世界の旅行市場は、新型コロナウイルス感染症の影響の収束後に、再び拡大していくものと想定しております。しかしながら、天候の変動、テロや戦争等の世界情勢の変化及び景気の悪化等により社会的に消費者の旅行に対する意欲が減退した場合、自然災害や事故等により観光インフラへの被害が起きた場合、並びに急激な為替相場変動による世界経済の混乱が発生した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症のように世界的な感染症の拡大が深刻化した場合には、各国政府による移動制限・自粛要請や、企業や消費者による感染防止を目的とした移動の回避により、広範囲に渡る旅行需要が大幅に減退し、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

2023年3月期においても、新型コロナウイルス感染症に加え、ロシア・ウクライナ情勢、原油価格の高騰、円安の進行等、旅行需要の減退要因となり得る事態が継続しております。

なお、当該リスクへの対応策として、2020年6月より国内旅行商品の販売を開始し、海外旅行商品販売依存からの脱却を進めております。

 

(3) 電子商取引の普及について

日本と世界における電子商取引は、スマートフォンやタブレット型端末等の新たな情報機器の普及や先進国のみならず新興国での通信環境の向上等に伴って、今後も市場規模が拡大し発展するものと考えております。なかでも旅行サービスの電子商取引の市場規模は、我が国において2019年に3兆8,971億円(前年比4.80%増)、2020年に1兆5,494億円(前年比60.24%減)と、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響を受けて大きく減少したものの、引続きサービス系分野の電子商取引において最大の市場規模を有しております(2021年7月 経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」)。

 

当社グループは、今後も旅行サービスにおける電子商取引の拡大が継続し、インターネット販売比率が高まっていくものと見込んでおります。当社グループでの旅行商品の取扱いはインターネット販売が中心であることから、電子商取引の拡大が当社グループの今後の成長に寄与することが見込まれます。しかしながら、電子商取引に関する新たな規制の導入や何らかの予期せぬ要因により、当社グループの期待どおりにインターネットによる旅行販売の普及が進まない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策として、地域別に高い専門性とホスピタリティを持ったコンシェルジュ(お客様からの問い合わせ対応担当)を育てることでインターネット販売だけに捉われない付加価値を培っております。

 

(4) 競合他社の影響について

当社グループの旅行事業は、旅行事業を営む国内外の企業と競合関係にあります。また、これまで旅行事業を行っていなかった企業や新興のベンチャー企業が、新規事業として業界の通例にない技術やビジネスモデルを用いて旅行業界に参入する可能性があります。

また、一般個人が旅行者に宿泊施設を提供するといった消費者同士が直接取引を行う「C to C」の仕組みのように、従来の旅行業界の枠組みを離れた動きもみられます。こうした競争が当社の想定している以上に激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策として、販売チャネルをインターネットに限定し、お客様からの問い合わせに対して、旅行方面別に組織されたコンシェルジュ(お客様からの問い合わせ対応担当)による専門的かつ柔軟でスピーディな対応を行うことで競合他社と差別化を行っております。

 

(5) インターネットによる直販化について

当社グループは航空会社から航空券を、宿泊施設から滞在サービスを、また現地のオプショナルツアー催行会社等から現地発着ツアーやアクティビティ等をそれぞれ仕入れて販売しておりますが、近年のインターネットの発達に伴い、航空会社、宿泊施設やオプショナルツアー催行会社等が消費者に直接販売する例が増えてきています。これらの旅行商品を旅行者自らが組み合わせて旅行することも可能ですが、当社グループは旅行会社として、旅行商品の大量仕入によるコスト競争力や、個々の旅行商品の特長や現地事情に応じて旅行商品を組み合わせることでより充実したツアーを企画する等、直接販売では提供できない付加価値を提供して今後も売上及び利益の成長を図ってまいります。しかしながらこのような旅行商品の直販化の進展に伴い、直販商品の購入を選好する旅行者が増えた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応策として、仕入先との良好な関係を維持することに努め、当社グループが代理販売することが仕入先の価値向上に寄与するように自社サービスのお客様からの信頼向上に努めております。

 

(6) 航空会社について

当社グループは日本発着の海外旅行を中心に取扱っていることから航空機による移動が不可欠であるところ、航空会社は採算を勘案し、航空便を減便もしくは廃止することがあります。当社の取扱う旅行方面で航空便が減便もしくは廃止されると、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、日本を訪問する外国人が増加すると、外国人の渡航のために座席が割り当てられるため、結果として海外に渡航する日本人のための座席の割り当てが減少する可能性があります。これにより当社の主要ターゲットである日本人の海外旅行(アウトバウンド)に制限が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

以上のほか、当社グループは、航空券を販売する際に航空会社からコミッションを受け取る場合があり、それを収益の一部として計上しています。航空会社がコミッションを減額もしくは廃止する場合、それが当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策として、コミッションが減額もしくは廃止になった場合における業績への影響を最小限に抑えるため、システム改善による人員工数削減等の貢献利益率向上策を進めております。

 

 

(7) 燃油特別付加運賃の変動について

当社グループは旅行商品の中でも海外旅行の取扱いを主力事業としており、海外旅行では原油価格の変動に伴い、航空会社に対して航空運賃に加えて燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の支払いが必要となる場合があります。この燃油特別付加運賃はお客様にご負担いただくものであるため、原油価格の変動の結果、燃油特別付加運賃の著しい上昇に伴って旅行需要が停滞した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの売上高は燃油特別付加運賃を含む金額であることから、燃油特別付加運賃の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

足元では、2022年2月以降のロシア・ウクライナ情勢を要因の一つとして原油価格の上昇が起こっております。

当該リスクへの対応策として、2020年6月より国内旅行商品の販売を開始し、海外旅行商品販売依存からの脱却を進めております。

 

(8) システム障害について

当社グループのサービス提供は主にインターネット環境において行われております。そのため、当社グループはサービスの安定供給を図るためのセキュリティ対策と、コンピューターウイルス等の侵入やハッカーによる妨害等を回避するために必要と思われる対策をとっております。

しかしながら、あらゆる可能性を想定して対策を施すことは困難であり、当社グループの想定しないシステム障害やサービスの妨害行為等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(9) 個人情報保護について

当社グループは、当社グループのサービスを提供するに当たり、顧客の個人情報(氏名、メールアドレス、生年月日、性別、住所、電話番号等)を取得し、サーバに記録しております。これらの個人情報の管理は、当社グループにとって重要な責務と考え、顧客に安心かつ快適にサービスを利用してもらうため、顧客のプライバシーとその保護について当社グループは経済産業省の外郭団体である一般財団法人日本情報経済社会推進協会の発行するプライバシーマークを取得し、個人情報を慎重に取扱うとともに、個人情報を保護するためのさまざまなシステム及び手続きを導入しております。

しかしながら、これらの情報が何らかの理由によって外部に流出した結果、当社グループの信用力の低下を招いた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)割引運賃を利用した航空券の取扱いについて

一部の航空会社では、普通運賃のほかに、普通運賃よりも低価格の料金体系による航空券を各種設定しており、当社が顧客から得る取扱手数料は航空券により異なっております。当社はこれらの普通運賃より低価格な料金体系による各種割引航空券を取扱うことにより収益性の向上を図っております。ただし、各航空会社の方針変更等により、これら割引航空券の流通量が著しく減少し、当社が十分に確保できない場合等には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当該リスクへの対応策として、割引航空券の流通量が著しく減少し、当社が十分に確保できない場合における業績への影響を最小限に抑えるため、システム改善による人員工数削減等の貢献利益率向上策を進めております。

 

(11)法的規制について

当社グループの運営している旅行事業は旅行業法第2条に定める旅行業に該当し、当社は第1種旅行業者として登録し、5年毎の更新が義務付けられています。当社が旅行業法で定める登録拒否事由に該当して更新を行うことができない場合又は旅行業法上の登録取消し事由に該当し登録取消処分等を受けた場合は、営業の停止等を命じられる可能性があります。当社には、現時点において登録拒否事由や取消し事由に該当する事実はないと認識しておりますが、何らかの理由によりこれらの事由が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

当社の旅行業に関する登録内容は次のとおりです。

登録区分

登録番号

有効期間

登録行政庁

取消事由

第1種旅行業

第1683号

2025年6月23日

観光庁

旅行業法第19条

 

 

また、当社グループは、旅行業法以外にも、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、特定商取引に関する法律等による法的規制を受けております。当社グループは、社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備しておりますが、万一、これら法令に違反する行為が行われた場合、あるいは当社グループ事業に関わる法令等による規制の改廃や新設が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)訴訟発生リスクについて

当社グループでは、コンプライアンス規程及びリスク管理規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無にかかわらず、当社グループが扱う航空券やツアーにおいてトラブルが生じ、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)代表者への依存について

当社の代表取締役である高山泰仁は、当社の創業時のメンバーであり、当社の経営方針や経営戦略の決定等、事業活動において重要な役割を果たしております。当社グループにおいては、特定の個人に過度に依存することがないよう、合議制による経営意思決定や権限移譲の推進、経営人材の育成のための教育などを行っておりますが、現時点において同人が何らかの理由により経営者としての業務を執行できなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクへの対応策として、有事の際に代表取締役の業務や決裁を代行する者を取締役会で協議のうえで選任しております。

 

(14)為替リスクについて

当社グループは旅行商品の中でも海外旅行の取扱いを主力事業としており、旅行代金の決済に際し外貨建の取引を行っていることから為替変動リスクに晒されております。そのため、為替予約等により為替変動リスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を円貨換算しており、為替変動により期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

具体的には、円高となった場合、売上原価のうち外貨建ての部分について円貨換算後の売上原価が減少し売上総利益が増加いたします。また、円高となった場合、仕入価格の減少等で旅行代金が値下がりし海外旅行の申込みが増加する傾向があることから、当社グループの業績改善につながる可能性があります。反対に、円安となった場合は円貨換算後の売上原価が増加し売上総利益は減少するとともに、旅行代金が値上がりして海外旅行の申込みが低調となる傾向にあることから、当社グループの業績にマイナスの影響が生じる可能性があります。さらに、当社グループの連結財務諸表の数値につきましては、円高となった場合は在外連結子会社の円貨換算後の財務諸表数値が減少し、反対に円安となった場合は増加する形で影響が生じます。

 

(15)配当政策について

当社は、経営基盤の長期安定化に向けた財務体質強化及び事業の継続的な発展を目指すべく、内部留保の充実を重要な課題と考え、これまで金銭による配当を実施したことはありません。今後の株主への配当につきましては、内部留保とのバランスを保ちながら、収益の増加に連動した配当を行うことを基本方針としております。しかしながら、現時点では配当を実施しておらず、今後の配当実施の可能性及び実施時期等については未定であります。

 

 

(16)業績の季節変動について

当社グループでは売上高の計上基準として帰着日基準を採用しており、旅行商品の売上はお客様が旅行より帰着された日が帰属する月に計上されます。旅行商品については、個人のお客様のご旅行時期が、長期休暇を比較的取得しやすい7月から9月の夏休み期間に集中する傾向にあります。そこで、当社グループの売上高及び利益についても7月から9月に増加し、その他の期間については売上高及び利益が減少する傾向があります。

なお、当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の感染状況が業績の季節変動に大きな影響を与えました。

以上の結果、当社グループの第28期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の各四半期連結会計期間の売上高及び営業損益は以下となりました。

第28期

連結会計年度

第1四半期

連結会計期間

自 2021年4月1日

至 2021年6月30日

第2四半期

連結会計期間

自 2021年7月1日

至 2021年9月30日

第3四半期

連結会計期間

自 2021年10月1日

至 2021年12月31日

第4四半期

連結会計期間

自 2022年1月1日

至 2022年3月31日

売上高

(千円)

147,235

251,006

378,726

340,363

営業損失(△)

(千円)

△384,914

△306,861

△292,969

△310,200

 

 

(17)IATA公認代理店契約について

当社は、2004年8月に、各国の航空会社で組織される国際的な民間団体であるIATA (International Air Transport Association:国際航空運送協会)より公認旅客代理店(IATA PASSENGER SALES AGENT)としての認可を受け、IATAとの間でIATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENTを締結しております。IATAの公認代理店としての認可を受けることにより、当社は自社で国際線航空券の発券を行うことが可能となっております。

IATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENTは公認代理店としての認可が取り消されるまで有効とされており、当社には現時点において認可の取消しに至るようなIATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENTや関連する諸規則及び決議の違反に該当する事実はないと認識しておりますが、何らかの理由により認可取消しとなった場合には、当社の旅行業者としての信用が毀損され、また航空券を自社発券できないことで取引条件が悪化する結果、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

第28期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が企業活動や個人消費に大きな影響を与えました。

旅行業界におきましては、世界各国の渡航制限や入国規制等を受けて旅行需要の大幅な減退が続いており、2021年1月から12月における日本人出国者数が前年同期比83.9%減の51万人*、訪日外客数が前年同期比94.0%減の24万人*と、著しく減少しております。

このような情勢のもと、当社グループでは、個人旅行事業におきまして、国内ツアーの企画・販売の強化を目的に販売システムの開発を進め、国内旅行需要の獲得に向けた取り組みを推進いたしました。法人旅行事業におきましても、国内のMICE案件、音楽関連イベント等を中心に営業活動を行いました。

また、支店の統合による地代家賃の削減や、出向等による人件費の削減、開発外注費の精査、助成金の活用等によるコスト削減にも注力し、助成金収入11,302千円を営業外収益に計上しております。

一方で、収益性の低下がみられる固定資産の減損損失187,307千円を特別損失に計上いたしました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、当連結会計年度の売上高は641,284千円、売上原価は641,802千円、販売費及び一般管理費は60千円それぞれ減少し、営業損失、経常損失及び税金等調整前当期純損失はそれぞれ578千円減少しております。

 

* 日本政府観光局(JNTO)「日本の観光統計データ」

 

以上を踏まえた、当連結会計年度の業績は次のとおりであります。

 

前期(千円)

当期(千円)

増減額(千円)

増減率(%)

売上高

918,946

1,117,331

198,385

21.6

営業損失(△)

△2,046,834

△1,294,945

751,889

経常損失(△)

△1,989,141

△1,339,066

650,074

当期純損失(△)

△2,932,534

△1,576,488

1,356,046

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

△2,925,364

△1,568,993

1,356,370

 

なおセグメントの業績については、当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、記載を省略いたします。

 

財政状態については、次のとおりであります。

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ683,809千円減少し、3,660,669千円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ42,129千円増加し、5,404,398千円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ725,939千円減少し、△1,743,728千円となりました。

 

第29期第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)

当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が長期化しており、企業活動や個人消費、雇用情勢の先行き見通しの不透明な状況が続いております。

旅行業界におきましても世界各国の渡航制限や入国規制等を受けて旅行需要の大幅な減退が続いております。

このような情勢のもと、当社グループでは、個人旅行事業におきまして、国内ツアーの企画・販売の強化を目的に販売システムの開発を進め、国内旅行需要の獲得に向けた取組みを推進いたしました。法人旅行事業におきましても、国内のMICE案件、音楽関連イベントなどを中心に営業活動を行いました。また、従業員の休業対応や出向、市場の状況に合わせた広告費の圧縮や開発外注費の精査等による費用削減に引き続き努めております。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間における連結業績は、売上高は209,389千円(前年同期比42.2%増)、営業損失は335,426千円(前年同期の営業損失は384,914千円)、経常損失は333,039千円(前年同期の経常損失は397,651千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は338,791千円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は433,364千円)となりました。

なおセグメントの業績については、当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略いたします。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

第28期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、1,408,867千円と前連結会計年度末比2,051,640千円の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失1,566,287千円の計上に加え、助成金収入の計上11,302千円、利息及び保証料の支払額52,465千円等の減少要因がある一方、減損損失の計上187,307千円預り金の受取額248,983千円、支払利息及び支払保証料の計上56,351千円等の増加要因から、955,900千円の支出となりました。

また、前連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失2,881,792千円の計上に加え、仕入債務の減少215,258千円、旅行前受金の減少785,809千円、預り金の減少1,005,088千円等の減少要因がある一方、減損損失の計上651,865千円、減価償却費の計上65,416千円、旅行前払金の減少319,592千円、未収入金の減少332,964千円、貸倒引当金の増加298,523千円、預り金の受取額509,041千円等の増加要因から、2,996,912千円の支出となりました。

以上の結果、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が2,041,011千円減少しました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出159,665千円、定期預金の預入による支出1,410,000千円、差入保証金の差入による支出53,893千円等の減少要因がある一方、定期預金の払戻による収入60,000千円、差入保証金の回収による収入16,751千円等の増加要因から、1,547,919千円の支出となりました。

また、前連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出166,767千円、差入保証金の差入による支出6,710千円、定期預金の預入による支出6,000千円等の減少要因がある一方、差入保証金の回収による収入28,976千円等の増加要因から、128,204千円の支出となりました。

以上の結果、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ支出が1,419,714千円増加しました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少400,000千円の減少要因がある一方、新株予約権の行使による株式の発行による収入812,580千円、非支配株主からの払込みによる収入31,500千円等の増加要因から、444,307千円の収入となりました。

また、前連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による株式の発行による収入377,936千円、新株予約権の発行による収入2,829千円、短期借入金の増加3,000,000千円、長期借入れによる収入500,000千円等により、3,882,772千円の収入となりました。

以上の結果、当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ収入が3,438,464千円減少しました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

第28期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

a. 生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、生産実績は該当がありません。

 

b. 受注実績

当社グループでは、受注から役務提供期間までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

旅行業

1,117,331

21.6

 

 

第29期第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)

当第1四半期連結累計期間において、生産、受注、仕入及び販売の状況に著しい変動はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産、負債、収益及び費用の報告額に反映されております。これらの見積りについては、継続的に評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来加算一時差異の解消スケジュール及び将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。課税所得の見積りは事業計画を基礎としており、事業計画における主要な仮定は、予想販売数量であります。

新型コロナウイルスの感染拡大の状況が当社グループの属する旅行業界に多大な影響を与えており、将来の課税所得の見積りの基礎となる事業計画に用いた主要な仮定に大きな変動リスクがあります。当連結会計年度末においては、上記の変動リスクを鑑みて、繰延税金資産に対して評価性引当額を計上しておりますが、来期以降において、変動リスクが減少し、主要な仮定の確実性が高まった場合には、評価性引当額が減少し、繰延税金資産が計上される可能性があります。

 

(貸倒引当金)

債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

将来、顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

(固定資産の減損会計における将来キャッシュ・フロー)

減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定で用いている将来キャッシュ・フローは、事業環境等も踏まえて合理的に作成された事業計画をもとに、資産グループの現在の使用状況や使用計画等を考慮して見積りを行っておりますが、見積りには一定の不確実性が伴うことから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※3 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において、事業用資産における収益性の低下により、投資額の回収が困難と見込まれたため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、187,307千円を減損損失として計上しております。なお、当該資産グループの回収可能価額は使用価値により算定しており、将来キャッシュ・フローに基づく価値がマイナスであるため、ゼロとして評価しております。

 

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

第28期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産は3,260,036千円と、前連結会計年度末比722,567千円減少しました。これは主に、売掛金が前連結会計年度末比39,968千円、旅行前払金が前連結会計年度末比54,793千円増加した一方で、現金及び預金が前連結会計年度末比701,640千円、未収入金が前連結会計年度末比27,508千円、未収還付法人税等が前連結会計年度末比50,840千円、その他流動資産が前連結会計年度末比31,155千円減少したことによるものです。

 

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産は400,633千円と、前連結会計年度末比38,757千円増加しました。これは、投資その他の資産が前連結会計年度末比38,757千円増加したことによるものです。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債は4,811,873千円と、前連結会計年度末比8,892千円増加しました。これは主に、旅行前受金が前連結会計年度末比44,455千円、未払費用が前連結会計年度末比83,433千円、預り金が前連結会計年度末比274,001千円増加した一方で、短期借入金が前連結会計年度末比400,000千円減少したことによるものです。

 

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債は592,525千円と、前連結会計年度末比33,237千円増加しました。これは主に、資産除去債務が前連結会計年度末比36,650千円増加したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は△1,743,728千円と、前連結会計年度末比725,939千円減少しました。これは主に、資本金が前連結会計年度末比407,393千円、資本剰余金が前連結会計年度末比407,393千円増加した一方で、利益剰余金が前連結会計年度末比1,570,642千円減少したことによるものです。

 

第29期第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)

(流動資産)

当第1四半期連結会計期間末における流動資産は3,207,573千円と、前連結会計年度末比52,462千円減少しました。これは主に、売掛金が前連結会計年度末比22,035千円、旅行前払金が前連結会計年度末比245,772千円増加した一方で、現金及び預金が前連結会計年度末比429,792千円、未収入金が前連結会計年度末比173,665千円貸倒引当金が前連結会計年度末比298,568千円、その他(流動資産)が前連結会計年度末比14,709千円減少したことによるものです。

 

(固定資産)

当第1四半期連結会計期間末における固定資産は308,262千円と、前連結会計年度末比92,370千円減少しました。これは主に、差入保証金が前連結会計年度末比2,562千円増加した一方で、その他(投資その他の資産)が前連結会計年度末比94,933千円減少したことによるものです。

 

(流動負債)

当第1四半期連結会計期間末における流動負債は5,069,528千円と、前連結会計年度末比257,655千円増加しました。これは主に、買掛金が前連結会計年度末比22,661千円、旅行前受金が前連結会計年度末比149,192千円、預り金が前連結会計年度末比31,371千円、未払費用が前連結会計年度末比10,650千円、資産除去債務が前連結会計年度末比59,251千円増加した一方で、未払法人税等が前連結会計年度末比12,893千円、その他(流動負債)が前連結会計年度末比2,278千円減少したことによるものです。

 

 

(固定負債)

当第1四半期連結会計期間末における固定負債は527,430千円と、前連結会計年度末比65,095千円減少しました。これは資産除去債務が前連結会計年度末比59,199千円、その他(固定負債)が前連結会計年度末比5,895千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

当第1四半期連結会計期間末における純資産は△2,081,123千円と、前連結会計年度末比337,394千円減少しました。これは主に、利益剰余金が前連結会計年度末比338,791千円減少したことによるものです。

 

b. 経営成績の分析

第28期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

(売上高)

売上高は、引続き新型コロナウイルス感染症の拡大による海外渡航制限や入国規制等を受けて海外ツアーの催行中止が続く中、個人旅行事業における国内ツアーの販売や、法人旅行事業における音楽関連イベントの受注等により、1,117,331千円(前連結会計年度比21.6%増)となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

売上原価は、863,506千円(前連結会計年度比19.7%増)となり、この結果、売上総利益は253,825千円(前連結会計年度比28.4%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費並びに営業損益)

販売費及び一般管理費は、市場動向に合わせた広告宣伝費の見直しや支払手数料の削減を行ったことに加え、役員報酬の減額、賞与支給の停止、従業員の休業や出向による人件費の削減を行ったこと等により、1,548,771千円(前連結会計年度比31.0%減)となりました。

これらの結果、営業損失は1,294,945千円(前連結会計年度は営業損失2,046,834千円)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常損益)

営業外収益は、主に助成金収入を計上したことにより28,661千円(前連結会計年度比70.5%減)となりました。前連結会計年度からの減少要因は、主に受取補償金の減少であります。

営業外費用は、主に支払利息、支払手数料、為替差損を計上したことにより、72,782千円(前連結会計年度比73.1%増)となりました

これらの結果、経常損失は1,339,066千円(前連結会計年度は経常損失1,989,141千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

特別損失は、当社及び連結子会社の固定資産について減損損失を計上したことにより、227,221千円(前連結会計年度比76.2%減)となりました。

法人税等は、10,200千円(前連結会計年度比79.9%減)となりました。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,568,993千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失2,925,364千円)となりました。

 

(1株当たり当期純損益)

普通株式の期中平均株式数は、5,666,088株(前連結会計年度は4,815,199株)となり、1株当たり当期純損失は276.91円(前連結会計年度は1株当たり当期純損失607.53円)となりました。

 

なお、当社グループでは、事業規模拡大の観点から、売上高及び売上総利益の額とそれらの成長率を重要な経営指標と位置付け、事業の収益性と企業価値の向上の観点から、営業損益、経常損益及び1株当たり当期純損益の額とそれらの成長率についても重要な経営指標としておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による旅行需要の大幅な減退の影響を受け、当連結会計年度の経営指標は大きく悪化しております。

新型コロナウイルス感染症の影響の収束後は、優先的に対処すべき課題としても挙げているシステム強化、マーケティングの強化、トラベル・コンシェルジュ教育、商品企画力の向上、ブランド認知度の向上等に努め、売上高、売上総利益、営業損益、経常損益、1株当たり当期純損益の額を成長させてまいります。

 

c. キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備資金であります。運転資金の主な内容は、旅行商品の企画販売にかかる仕入のほか、人件費や広告宣伝費をはじめとした販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金の主な内容は、旅行事業に係るシステムの開発・改良をはじめとしたシステム投資であります。これらの資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、必要な場合には金融機関からの借入や増資による調達を実施することを基本方針としております。

2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて旅行需要は大幅に減退しており、足元の旅行予約も著しい減少が続いております。このような状況の中、必要運転資金を確保するため、資金調達の実施及び支出の抑制を行っております。当社は、2021年1月から2021年9月にかけて第三者割当増資を実施し、1,193,345千円の資金調達を行いましたが、今後も必要に応じて適宜、資金調達を実施してまいります。また、人件費や地代家賃等の固定費を圧縮し収益構造の改善に努めることにより、手元流動性の充実を図ります。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

当社グループといたしましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のそれぞれの課題に適格かつ迅速に対処し事業を拡大していくことにより、当社グループのさらなる成長と発展を遂げてまいる所存です。

特に、現状のオンライン予約の利便性と「トラベル・コンシェルジュ」による旅行内容のカスタマイズとを組み合わせた「ハイブリッド戦略」を引続き継続し事業基盤を強化していくと共に、常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、また優秀な人材の確保、育成、離職の抑止などを推進していくことにより、経営成績に重要な影響を与える要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

公認旅客代理店契約(IATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENT)

契約先

契約の内容

契約締結日

契約期間

IATA (International Air Transport Association:国際航空運送協会)

公認旅客代理店(IATA PASSENGER SALES AGENT)としての認可を受けることにより、自社で国際線航空券の発券を行うことが可能

2004年8月

2005年7月以降、1年毎に更新

 

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。