当社は、前事業年度において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による売上高の急激な落ち込みにより、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しておりました。当事業年度においても、海外への渡航制限の継続及び新型コロナウイルス感染症の感染再拡大により、1,276,661千円の営業損失、1,330,451千円の経常損失、1,569,142千円の当期純損失を計上しております。その結果、当事業年度末の純資産は1,853,347千円の債務超過となり、借入金の財務制限条項に抵触しております。
これらにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社は、当該状況を解消すべく、以下の対応策を図ってまいります。
①徹底的なコスト削減
新型コロナウイルス感染症の全世界的な感染拡大が顕在化した前事業年度以降、販売費及び一般管理費の見直しを行っており、広告宣伝費や支払手数料の削減に加えて、役員報酬の減額、賞与支給の停止、従業員の休業や出向、他社への転籍による削減などを実施しました。その結果、当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度比654,518千円減少しております。来期以降においても、売上高に見合った販売費及び一般管理費となるようコストコントロールを実行してまいります。
②海外旅行市場回復を見据えた収益確保の準備
当社は従来、海外旅行商品を強みとしてきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界各国において海外渡航制限や行動制限等の措置が取られるなど、海外旅行商品の販売に関して厳しい状況が続いておりました。しかしながら、足元の状況として、新型コロナウイルス感染症に対する各種政策の効果や海外経済の改善、外務省による水際措置の見直しなど、海外渡航に関して明るい兆しが見え始めております。このような状況を踏まえ、当社においては、新型コロナウイルス感染症の拡大前に当社の収益の中で大きな比率を占めていた海外旅行商品の販売に資源を集中することで収益性を改善することを考えており、そのための準備(海外のホテルとの仕入れ交渉の開始や非採算部門の人員整理等)を進めてまいります。
③資金の確保
当事業年度末における現金及び預金は2,641,490千円(うち、定期預金1,410,000千円について当事業年度末に担保を設定)と、前事業年度末比786,253千円減少しております。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大収束後の市場回復期における事業成長のための投資を維持しながら財務基盤の健全化を図る目的で、2021年1月から2021年9月にかけて第三者割当増資を実施し、1,193,345千円を調達することで資本を増強してきた一方で、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が世界各国で進んでいるものの、海外への渡航制限の継続及び新型コロナウイルス感染症の感染再拡大により、当事業年度においても、1,569,142千円の当期純損失を計上していることによるものであります。
従来より主要取引銀行との関係は良好ですが、総額3,850,000千円の当座貸越契約等に関しては契約更新期間が短いため、継続的に支援いただくための協議を行っております。当事業年度末における借入未実行残高は、当座貸越契約の550,000千円となっております。
なお、2022年5月27日の取締役会にて第三者割当による第3回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行につき決議しておりましたが、割当予定先からの契約条件に関する再協議の要請を受けて、当初の予定どおりの新株予約権の発行を実施することは困難な状況となったことから、2022年6月10日の取締役会において当該新株予約権の発行中止につき決議しております。現在、資本増強に向けて、複数の割当先候補との新株予約権等の第三者割当増資の交渉を進めております。
以上の対応策の実施により、事業面及び財務面での安定化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。しかしながら、上記の対応策等は実施途上であることから、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を反映しておりません。
子会社株式
移動平均法による原価法
時価法
定率法を採用しております。ただし、2016年4月1日以降に取得した建物附属設備については定額法を採用しております。
主な耐用年数は以下のとおりであります。
ソフトウエア(自社利用)については、社内における見込利用可能期間(5年)による定額法を採用しております。
リース物件の所有権が借主に移転すると認められるもの以外のファイナンス・リース取引については、リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法を採用しております。
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
関係会社の事業に係る損失等に備えるため、関係会社の財政状態等を個別に勘案し、損失見込額を計上しております。
当社は、主として以下の5ステップアプローチに基づき、財又はサービスが顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務へ配分する
ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を識別する
主要な事業における収益の計上基準は以下のとおりであります。
旅行業
旅行業は、主に自社の企画旅行商品の販売、旅行の手配を行っており、旅行条件書に基づいて顧客に対し企画旅行の実施や航空券・鉄道・ホテル等の手配を行う義務を負っております。当該履行義務は、顧客が帰着した時点又は旅行の実施期間にわたり充足されると判断し収益を認識しております。
なお、旅行商品販売のうち、手配旅行などの当社が代理人として行う取引については、顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識しております。
原則として繰延ヘッジ処理を採用しております。
なお、振当処理の要件を満たしている為替予約等については、振当処理を採用しております。
ヘッジ会計を適用したヘッジ手段とヘッジ対象は以下のとおりであります。
ヘッジ手段・・・為替予約
ヘッジ対象・・・外貨建金銭債務
当社の内規である「デリバティブ取引規程」に基づき、為替変動リスクをヘッジしております。
ヘッジ手段の想定元本とヘッジ対象に関する重要な条件は同一であり、かつヘッジ開始以降も継続してキャッシュ・フロー変動又は相場変動を完全に相殺するものと想定できるため、ヘッジの有効性の判定は省略しております。
外国通貨及び外貨建短期金銭債権債務は決算日の直物為替相場によって換算しており、換算差額は損益にて処理しております。なお、為替予約の振当処理の対象となっている外貨建金銭債務については、当該為替予約の円貨額に換算しております。
(重要な会計上の見積り)
(1) 財務諸表に計上した金額
(2) 財務諸表利用者の理解に資するその他の情報
① 算出方法
将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来加算一時差異の解消スケジュール及び将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより、繰延税金資産の回収可能性を判断しております。課税所得の見積りは事業計画を基礎としております。
② 主要な仮定
課税所得の見積りの基礎となる事業計画における主要な仮定は、予想販売数量であります。
なお、当社は、国際航空運送協会(IATA)が実施する航空旅客の需要回復予測を参考に、2022年夏以降に、国境を超えた移動が徐々に再開され、旅行者数が段階的に回復に向かうと見込んでおります。
また、国内旅行需要に関しては、海外旅行需要よりも回復の時期は早いと考えております。
③ 翌年度の計算書類に与える影響
新型コロナウイルスの感染拡大の状況が当社の属する旅行業界に多大な影響を与えており、課税所得の見積りの基礎となる事業計画に用いた主要な仮定に大きな変動リスクがあります。当事業年度末においては、上記の変動リスクを鑑みて、繰延税金資産に対して評価性引当額を計上しておりますが、来期以降において、変動リスクが減少し、主要な仮定の確実性が高まった場合には、評価性引当額が減少し、繰延税金資産が計上される可能性があります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識しております。
これによる主な適用影響は、旅行商品販売における収益認識の時点を、従来の出発日から帰着日に変更したこと、手配旅行販売などの当社が代理人として行う取引について、従来は顧客から受け取る対価の総額を収益として認識していたものを、顧客から受け取る額から仕入先に支払う額を控除した純額で収益を認識することに変更したことであります。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当事業年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当事業年度の期首の繰越利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。
この結果、収益認識会計基準等の適用を行う前と比べて、当事業年度の貸借対照表は、売掛金は23,222千円、買掛金は3,289千円それぞれ減少し、旅行前受金は21,627千円、旅行前払金は35,887千円それぞれ増加しております。当事業年度の損益計算書は、売上高は390,356千円、売上原価は390,875千円、販売費及び一般管理費は60千円それぞれ減少し、営業損失、経常損失及び税引前当期純損失はそれぞれ578千円減少しております。また、繰越利益剰余金の当期首残高は、1,648千円減少しております。
当事業年度の1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失はそれぞれ0円18銭、0円10銭減少しております。
なお、収益認識会計基準第89-3項に定める経過的な取扱いに従って、前事業年度に係る「収益認識関係」注記については記載しておりません。
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日)等を当事業年度の期首から適用し、「時価の算定に関する会計基準」第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、「時価の算定に関する会計基準」等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用しております。なお、財務諸表に与える影響はありません。
(貸借対照表関係)
前事業年度において独立掲記しておりました「有形固定資産」の「建物附属設備」、「車両運搬具」及び「工具、器具及び備品」は、金額的重要性が乏しくなったため、当事業年度においては「有形固定資産」として一括表示しております。また、前事業年度において独立掲記しておりました「無形固定資産」の「ソフトウエア」及び「ソフトウエア仮勘定」は、金額的重要性が乏しくなったため、当事業年度においては「無形固定資産」として一括表示しております。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表の組替えを行っております。
この結果、前事業年度の貸借対照表において「有形固定資産」に表示していた「建物附属設備」0千円、「車両運搬具」0千円及び「工具、器具及び備品」0千円は、「有形固定資産」0千円として一括表示しております。また、前事業年度の貸借対照表において「無形固定資産」に表示していた「ソフトウエア」0千円及び「ソフトウエア仮勘定」0千円は、「無形固定資産」0千円として一括表示しております。
(損益計算書関係)
前事業年度まで一括掲記しておりました「売上原価」は、内容をより明確にするため、「商品売上原価」として表示しております。
(資産除去債務の見積りの変更)
当社の東京本社の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務として計上していた資産除去債務について、原状回復費用の新たな情報入手に伴い、より精緻な見積りが可能となったことから見積りの変更を行いました。
この見積りの変更による増加額34,844千円を変更前の資産除去債務残高に加算しております。
なお、変更に伴って計上した有形固定資産については、その備忘価額を除く全額を減損損失として処理したため、当事業年度の税引前当期純損失は34,844千円増加しております。
(新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りについて)
新型コロナウイルス感染症の影響により、世界各国において外出制限や渡航制限が実施されており、旅行商品の催行停止や旅行需要の急激な減退など、当社は大きな影響を受けております。
当社は、国際航空運送協会(IATA)が実施する航空旅客の需要回復予測を参考に、2022年夏以降に、国境を超えた移動が徐々に再開され、旅行者数が段階的に回復に向かうと見込んでおります。また、国内旅行需要に関しては、海外旅行需要よりも回復の時期は早いと考えております。
繰延税金資産の回収可能性や減損損失の判定などについては、上記の仮定のもと、最善の見積りを会計処理に反映しております。
※1 関係会社に対する金銭債権及び金銭債務(区分表示したものを除く)
※2 担保資産及び担保付債務
担保に供している資産及び担保付債務は次のとおりであります。
※3 当社は運転資金の効率的な調達を行うために取引銀行6行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。
事業年度末における当座貸越契約及び貸出コミットメントに係る借入未実行残高等は以下のとおりであります。
※4 預り金のうち当社が受給した雇用調整助成金の返還予定額は次のとおりであります。
※1 関係会社との取引高
※2 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額並びにおおよその割合は、次のとおりであります。
(表示方法の変更)
「地代家賃」は、当事業年度において金額的重要性が増したため、前事業年度も含め主要な費目として表示しております。
1.子会社株式
前事業年度(2021年3月31日)
子会社株式は、市場価格がなく時価を把握することが極めて困難と認められるため、子会社株式の時価を記載しておりません。
なお、時価を把握することが極めて困難と認められる子会社株式の貸借対照表計上額は次のとおりです。
当事業年度(2022年3月31日)
子会社株式は、市場価格のない株式等のため、子会社株式の時価を記載しておりません。
なお、市場価格のない株式等の子会社株式の貸借対照表計上額は次のとおりです。
2.減損処理を行った有価証券
前事業年度において子会社株式の減損を行っており、子会社株式評価損29,399千円を計上しております。
前事業年度(2021年3月31日)
税引前当期純損失を計上しているため、記載を省略しております。
当事業年度(2022年3月31日)
税引前当期純損失を計上しているため、記載を省略しております。
(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。
(注) 1.当期減少額の( )内は内書きで、減損損失の計上額であります。
2.当期増加額のうち主なものは次のとおりであります。
連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。
該当事項はありません。