当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、「国際交流の発展及び世界平和に貢献することと同時に、全従業員及び関係者の物心両面の充足と幸福を追求する」ことを経営理念として掲げております。旅行業を通じて国際間における人的交流の促進に寄与することが、我が国と諸外国間における国際交流の発展につながり、ひいては世界平和の実現に貢献できるとの理念のもと、当社グループの事業を推進してまいります。
また、持続的な事業の発展と公正な利益分配を通じて、株主の皆様、従業員、旅行者、取引先といった全てのステークホルダーの物心両面の充足と幸福実現を追求してまいる所存です。
当社グループでは、事業規模拡大の観点から、売上高及び売上総利益の額とそれらの成長率を重要な経営指標と位置付けております。また、事業の収益性と企業価値の向上を目指すべく、営業利益、経常利益及び1株当たり当期純利益の額とそれらの成長率についても重要な経営指標と認識しております。
当社グループの主力事業である個人旅行事業においては、オンライン販売の利点と「トラベル・コンシェルジュ」による柔軟な対応を組み合わせた「ハイブリッド戦略」により事業を拡大させてまいりました。
今後も「ハイブリッド戦略」を拡大・深化させることが国内及び海外の個人旅行市場におけるシェア拡大につながるという考え方から、システム投資によりオンライン販売システムの利便性を高めつつ、商品企画の強化や人材の採用・教育の強化を通じて、旅行商品の充実と「トラベル・コンシェルジュ」による付加価値の高い商品提案を実現させてまいります。あわせて、認知度向上によるさらなる顧客基盤の拡大を目指して、様々なマーケティング施策を積極的に実施してまいります。
また、事業ポートフォリオの多様化を図るべく、法人旅行事業とインバウンド旅行事業についても、引続き強化してまいります。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界各国において海外渡航制限や行動制限等の措置が取られるなど、旅行業界を取り巻く環境は大変厳しいものとなっております。海外旅行市場におきましては、2020年3月以降、外務省より全世界を対象に危険情報レベル2が発出されていることから海外ツアーの催行中止が続いており、催行再開時期は未だ不透明な状況にあります。また、海外ツアーの催行再開後も感染再拡大リスクへの懸念や、国内経済の低迷により個人旅行需要が下押しされる懸念もあり、海外旅行需要の回復には時間を要するものと想定されます。一方で、国内旅行市場におきましては新型コロナウイルス感染症の経済対策として官民一体の需要喚起キャンペーンが実施されるなど、海外旅行・インバウンド旅行に先んじて需要回復することが期待されます。
中長期的には、日本国内の少子高齢化と人口減少が進む一方、新興のオンライン旅行会社の参入や成長により、国内の旅行業界の競争は激化することが予想されます。また、スマートフォン等の通信端末の進化や新たなオンラインメディアの誕生により、これまでとは異なるマーケティング機会や新たな技術が日々登場しております。
当社グループは以下のような課題に対処すべきと認識しています。
なお、以下に記載する課題に関しては、当社グループとして対処すべき優先順位が高いと考えるものから順番に記載させていただいております。
(財務上の課題)
2021年3月期第2四半期連結会計期間末における当社グループの有利子負債残高は3,700百万円で、前連結会計期間末と比べて3,000百万円増加し、自己資本比率に関しても前連結会計期間末から34.4ポイント低下し、△5.6%となっております。このような状況の中で当社グループとしては、徹底的なコストの削減、資金の確保、新たな収益源の獲得を軸とした対策を進めております。
(国内旅行事業)
当社グループは従来、海外旅行商品を強みとしてきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界各国において海外渡航制限や行動制限等の措置が取られるなど、海外旅行商品の販売に関して厳しい状況が続いております。このような中で当社グループといたしましては、新たな収益源を育てるべく、2020年6月からは個人旅行事業におきまして、新たに国内ツアーの企画・販売を本格的に開始いたしました。国内ツアー販売システムの開発を進めているほか、様々なプロモーションの実施・コンテンツの拡充を行うなど、国内旅行需要の獲得に向けた取組みを推進しております。
(コンプライアンス体制の強化)
当社は、2020年5月12日付で公表いたしましたとおり、当社従業員による売上の架空計上及び当社資産の不正領得を認識したことを受け、外部の専門家で構成された外部調査チームによる調査を進め、2020年6月26日に調査報告書を受領いたしました。再発防止に向け、外部調査チームからの提言を踏まえて以下の内容を骨子とする再発防止策を策定し、取組みを進めております。
1.業務プロセスの改善
(1) 取引の実在性の確保
(2) 金券取得プロセスの統制
(3) 予約登録システムと整合する額の請求書の発行
(4) 恣意的な入金振り分けの防止
2.組織体制の整備
(1) 営業担当者と手配担当者等の分離
(2) コーポレート部門による営業担当者の統制・連携等
(3) 内部統制の充実等
3.コンプライアンス意識の向上
(1) 定期的な質問調査の実施
(2) 発見・通報のチャンネルの拡充
(3) 社内研修の充実
今後もこれらの再発防止策の実行を徹底し、コンプライアンス体制の一層の強化に努めてまいります。
旅行の申込み方法ではインターネットが最も多く、スマートフォン等の情報端末の進化や電子商取引市場の拡大を勘案すると、今後もインターネット経由での売上が増えることが予想されます。当社グループでの旅行商品の取扱いはインターネットを通じたオンライン販売が中心であり、インターネットを利用して旅行商品を購入する消費者の割合が増えれば当社グループの対象マーケットは拡大し、当社グループの今後の成長に寄与することが見込まれます。当社グループでは、すでにシステム上で予約が完結する「オンライン・パッケージ」システムを稼働させており24時間の自動予約に対応しておりますが、旅行商品データベースの充実やサーバの機能増強等、引続きオンライン予約システムの機能強化を推進してまいります。また、情報端末の多様化への備えや画面上でユーザーが見やすく使い勝手の良いウェブサイト作りに取組む等、利便性の高いウェブサイトの構築を進めてまいります。
スマートフォン等の情報端末や技術の進化、日々の生活へのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の浸透、新たなオンラインメディアの登場等により、消費者のインターネット上での購買行動が変化していくことが予想されます。その結果、中長期的には、これまでのインターネット上での広告手法や旅行系のポータルサイトを通じた集客が通用しなくなり、これまでとは異なるマーケティング手法への対処が必要となるものと考えております。当社グループでは今後のマーケティングの進化を課題と位置づけ、従来の手法にとらわれない新たなマーケティングの方法を模索していきます。
オンラインでの旅行商品販売が拡大するにつれ、システムによるオンライン予約だけでは対応できない潜在ニーズに応えるために、当社グループの特徴である「トラベル・コンシェルジュ」による接客の重要性は高まっていくと考えており、高いスキルを持った優秀な「トラベル・コンシェルジュ」を確保し、その能力を高めることが当社グループの課題であると認識しております。
当社グループでは、「トラベル・コンシェルジュ」の教育を専門に行う「教育セクション」を設け、継続的な研修実施や外部講師の招聘等により「トラベル・コンシェルジュ」の接客力・対応力向上に努めております。また、随時、海外研修に派遣して現地を実際に体験することにより、「トラベル・コンシェルジュ」として必要な知識のみならず、より実践的かつ具体的な旅のアドバイスにつながる知見の獲得に努めております。これらの活動を通じて、オンライン完結型では困難な「人の温かみ」と「柔軟性」、すなわち人間によるヒアリングや旅行提案という価値をさらに高めていくために、「トラベル・コンシェルジュ」の教育の強化を進めていきます。
今後、オンライン化が進み事業者の旅行手配業務への参入が容易になることにより、他社との差別化において旅行の企画力がこれまで以上に重要になるものと考えております。
当社グループは、これまで企画担当者の現地研修や社内での勉強会をはじめとする商品企画力強化のための取組みを行ってきましたが、他社とのさらなる差別化のために現地情報のデータベース化による知識の集約や社内研修等を活用した共有のための取組みを強化して、企画力の向上を図っていきます。また、新たに国内旅行商品の企画・販売を開始するなど、新型コロナウイルス感染症収束後の需要回復を見据えた商品企画を推進いたします。
旅行業界において、大手の同業他社と比較したとき当社グループの認知度はまだまだ低いものと思われます。また、旅行商品は個人の消費支出の中では比較的単価の大きな商品であることから、旅行会社の選択にあたっては旅行会社の信頼性及び信用力も重要な要素となっております。多くのお客様から問い合わせを受け、お客様からの信頼を得るには当社グループの認知度向上と信頼性及び信用力の向上が不可欠と考えております。当社グループのブランド価値、認知度及び信頼性向上のため、積極的にPR施策を行ってまいります。
当社グループは従来、今後の海外市場の開拓に関して、需要の拡大や新興国での旅行需要の増加によってインバウンド市場が拡大することを見据えて、訪日外国人のインバウンド旅行対応強化と日本国外における海外から海外への三国間旅行事業の強化を重要な戦略の一つとして位置付けておりましたが、直近において発生した新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界各国において海外渡航制限や行動制限等の措置が取られるなど、インバウンド市場の拡大が不透明な状況であります。当社グループとしては中長期的にはインバウンド市場は再び拡大していくと考えておりますが、従来進めていた海外市場の開拓に関しては、市場の動向を鑑みながら慎重に進めてまいります。
以下において、当社グループの事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社グループの外的要因による事項もあり、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
新型コロナウイルス感染症拡大・長期化による事業リスク
当社グループは、2021年3月期第2四半期連結累計期間において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による売上高の急激な落ち込みにより、1,198,152千円の営業損失、1,188,980千円の経常損失、1,755,483千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。
その結果、2021年3月期第2四半期連結会計期間末の純資産は227,680千円の債務超過となり、借入金の財務制限条項に当連結会計年度末において抵触する恐れがあり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
このため、当社グループでは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (継続企業の前提に関する事項)」に記載の各施策によって事業面及び財務面での安定化を図り、当該状況の解消、改善に努めてまいります。しかしながら、当該対応策等は実施途上であることから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
なお、四半期連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を反映しておりません。
国土交通省によりますと、2019年の世界全体の国際観光客数は前年比5,400万人増の14.6億人と10年連続の増加となっております(2020年6月 国土交通省「令和2年版観光白書」)。当社グループは、日本国内及び急速に成長するアジアをはじめとする世界の旅行市場は、今後も中長期的に拡大していくものと想定しております。しかしながら、世界的な感染症の発生・蔓延、天候の変動、テロや戦争等の世界情勢の変化及び景気の悪化等により社会的に消費者の旅行に対する意欲が減退した場合、自然災害や事故等により観光インフラへの被害が起きた場合、並びに急激な為替相場変動による世界経済の混乱が発生した場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、新型コロナウイルス感染症のように世界的な感染症の拡大が深刻化した場合には、各国政府による移動制限・自粛要請や、企業や消費者による感染防止を目的とした移動の回避により、広範囲に渡る旅行需要が大幅に減退し、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、2020年6月より国内旅行商品の販売を本格的に開始いたしました。
日本と世界における電子商取引は、スマートフォンやタブレット型端末等の新たな情報機器の普及や先進国のみならず新興国での通信環境の向上等に伴って、今後も市場規模が拡大し発展するものと考えております。なかでも旅行サービスの電子商取引の市場規模は、我が国において2017年に3兆3,724億円、2018年に3兆7,186億円(前年比10.27%増)と拡大傾向にあり、サービス系分野の電子商取引において最大の市場規模を有しております(2019年5月 経済産業省「平成30年度電子商取引に関する市場調査」)。
当社グループは、今後も旅行サービスにおける電子商取引の拡大が継続し、インターネット販売比率が高まっていくものと見込んでおります。当社グループでの旅行商品の取扱いはインターネット販売が中心であることから、電子商取引の拡大が当社グループの今後の成長に寄与することが見込まれます。しかしながら、電子商取引に関する新たな規制の導入や何らかの予期せぬ要因により、当社グループの期待どおりにインターネットによる旅行販売の普及が進まない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、地域別に高い専門性とホスピタリティを持ったコンシェルジュ(お客様からの問い合わせ対応担当)を育てることでインターネット販売だけに捉われない付加価値を培っております。
当社グループの旅行事業は、旅行事業を営む国内外の企業と競合関係にあります。また、これまで旅行事業を行っていなかった企業や新興のベンチャー企業が、新規事業として業界の通例にない技術やビジネスモデルを用いて旅行業界に参入する可能性があります。
また、一般個人が旅行者に宿泊施設を提供するといった消費者同士が直接取引を行う「C to C」の仕組みのように、従来の旅行業界の枠組みを離れた動きもみられます。こうした競争が当社の想定している以上に激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、販売チャネルをインターネットに限定し、お客様からの問い合わせに対して、旅行方面別に組織されたコンシェルジュ(お客様からの問い合わせ対応担当)による専門的かつ柔軟でスピーディな対応を行うことで競合他社と差別化を行っております。
当社グループは航空会社から航空券を、宿泊施設から滞在サービスを、また現地のオプショナルツアー催行会社等から現地発着ツアーやアクティビティ等をそれぞれ仕入れて販売しておりますが、近年のインターネットの発達に伴い、航空会社、宿泊施設やオプショナルツアー催行会社等が消費者に直接販売する例が増えてきています。これらの旅行商品を旅行者自らが組み合わせて旅行することも可能ですが、当社グループは旅行会社として、旅行商品の大量仕入によるコスト競争力や、個々の旅行商品の特長や現地事情に応じて旅行商品を組み合わせることでより充実したツアーを企画する等、直接販売では提供できない付加価値を提供して今後も売上及び利益の成長を図ってまいります。しかしながらこのような旅行商品の直販化の進展に伴い、直販商品の購入を選好する旅行者が増えた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、仕入れ先との良好な関係を維持することに努め、当社グループが代理販売することが仕入れ先の価値向上に寄与するように自社サービスのお客様からの信頼向上に努めております。
当社グループは日本発着の海外旅行を中心に取扱っていることから航空機による移動が不可欠であるところ、航空会社は採算を勘案し、航空便を減便もしくは廃止することがあります。当社の取り扱う旅行方面で航空便が減便もしくは廃止されると、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、日本を訪問する外国人が増加すると、外国人の渡航のために座席が割り当てられるため、結果として海外に渡航する日本人のための座席の割り当てが減少する可能性があります。これにより当社の主要ターゲットである日本人の海外旅行(アウトバウンド)に制限が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
以上のほか、当社グループは、航空券を販売する際に航空会社からコミッションを受け取る場合があり、それを収益の一部として計上しています。航空会社がコミッションを減額もしくは廃止する場合、それが当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、コミッションが減額もしくは廃止になった場合における業績への影響を最小限に抑えるため、システム改善による人員工数削減等の貢献利益率向上策を進めております。
当社グループは旅行商品の中でも海外旅行の取扱いを主力事業としており、海外旅行では原油価格の変動に伴い、航空会社に対して航空運賃に加えて燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の支払いが必要となる場合があります。この燃油特別付加運賃はお客様にご負担いただくものであるため、原油価格の変動の結果、燃油特別付加運賃の著しい上昇に伴って旅行需要が停滞した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの売上高は燃油特別付加運賃を含む金額であることから、燃油特別付加運賃の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、2020年6月より国内旅行商品の販売を本格的に開始し、海外旅行商品販売依存からの脱却を進めております。
当社グループのサービス提供は主にインターネット環境において行われております。そのため、当社グループはサービスの安定供給を図るためのセキュリティ対策と、コンピューターウイルス等の侵入やハッカーによる妨害等を回避するために必要と思われる対策をとっております。
しかしながら、あらゆる可能性を想定して対策を施すことは困難であり、当社グループの想定しないシステム障害やサービスの妨害行為等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、当社グループのサービスを提供するに当たり、顧客の個人情報(氏名、メールアドレス、生年月日、性別、住所、電話番号等)を取得し、サーバに記録しております。これらの個人情報の管理は、当社グループにとって重要な責務と考え、顧客に安心かつ快適にサービスを利用してもらうため、顧客のプライバシーとその保護について当社グループは経済産業省の外郭団体である一般財団法人日本情報経済社会推進協会の発行するプライバシーマークを取得し、個人情報を慎重に取扱うとともに、個人情報を保護するためのさまざまなシステム及び手続きを導入しております。
しかしながら、これらの情報が何らかの理由によって外部に流出した結果、当社グループの信用力の低下を招いた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
一部の航空会社では、普通運賃のほかに、普通運賃よりも低価格の料金体系による航空券を各種設定しており、当社が顧客から得る取扱手数料は航空券により異なっております。当社はこれらの普通運賃より低価格な料金体系による各種割引航空券を取扱うことにより収益性の向上を図っております。ただし、各航空会社の方針変更等により、これら割引航空券の流通量が著しく減少し、当社が十分に確保できない場合等には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当該リスクへの対応策として、割引航空券の流通量が著しく減少し、当社が十分に確保できない場合における業績への影響を最小限に抑えるため、システム改善による人員工数削減等の貢献利益率向上策を進めております。
当社グループの運営している旅行事業は旅行業法第2条に定める旅行業に該当し、当社は第1種旅行業者として登録し、5年毎の更新が義務付けられています。当社が旅行業法で定める登録拒否事由に該当して更新を行うことができない場合又は旅行業法上の登録取消し事由に該当し登録取消処分等を受けた場合は、営業の停止等を命じられる可能性があります。当社には、現時点において登録拒否事由や取消し事由に該当する事実はないと認識しておりますが、何らかの理由によりこれらの事由が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社の旅行業に関する登録内容は次のとおりです。
また、当社グループは、旅行業法以外にも、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、特定商取引に関する法律等による法的規制を受けております。当社グループは、社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備しておりますが、万一、これら法令に違反する行為が行われた場合、あるいは当社グループ事業に関わる法令等による規制の改廃や新設が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、コンプライアンス規程及びリスク管理規程を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させることで、法令違反等の発生リスクの低減に努めております。しかしながら、当社グループ及び役職員の法令違反等の有無にかかわらず、当社グループが扱う航空券やツアーにおいてトラブルが生じ、訴訟に発展する可能性があります。提起された訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の代表取締役である高山泰仁は、当社の創業時のメンバーであり、当社の経営方針や経営戦略の決定等、事業活動において重要な役割を果たしております。当社グループにおいては、特定の個人に過度に依存することがないよう、合議制による経営意思決定や権限移譲の推進、経営人材の育成のための教育などを行っておりますが、現時点において同人が何らかの理由により経営者としての業務を執行できなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクへの対応策として、有事の際に代表取締役の業務や決裁を代行する者を取締役会で協議のうえで選任しております。
当社グループは旅行商品の中でも海外旅行の取扱いを主力事業としており、旅行代金の決済に際し外貨建の取引を行っていることから為替変動リスクに晒されております。そのため、為替予約等により為替変動リスクの軽減に努めておりますが、完全に回避できるものではありません。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外連結子会社の財務諸表を円貨換算しており、為替変動により期間損益の円貨換算額が増減するリスクが存在します。これらの為替変動リスクは、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、円高となった場合、売上原価のうち外貨建ての部分について円貨換算後の売上原価が減少し売上総利益が増加いたします。また、円高となった場合、仕入価格の減少等で旅行代金が値下がりし海外旅行の申込みが増加する傾向があることから、当社グループの業績改善につながる可能性があります。反対に、円安となった場合は円貨換算後の売上原価が増加し売上総利益は減少するとともに、旅行代金が値上がりして海外旅行の申込みが低調となる傾向にあることから、当社グループの業績にマイナスの影響が生じる可能性があります。さらに、当社グループの連結財務諸表の数値につきましては、円高となった場合は在外連結子会社の円貨換算後の財務諸表数値が減少し、反対に円安となった場合は増加する形で影響が生じます。
当社は、経営基盤の長期安定化に向けた財務体質強化及び事業の継続的な発展を目指すべく、内部留保の充実を重要な課題と考え、これまで金銭による配当を実施したことはありません。今後の株主への配当につきましては、内部留保とのバランスを保ちながら、収益の増加に連動した配当を行うことを基本方針としております。しかしながら、現時点では配当を実施しておらず、今後の配当実施の可能性及び実施時期等については未定であります。
当社グループでは売上高の計上基準として出発日基準を採用しており、旅行商品の売上はお客様が旅行に出発された日が帰属する月に計上されます。旅行商品については、個人のお客様のご旅行の出発時期が、長期休暇を比較的取得しやすい7月から9月の夏休み期間に集中する傾向にあります。そこで、当社グループの売上高及び利益についても7月から9月に増加し、その他の期間については売上高及び利益が減少する傾向があることから、四半期連結会計期間において営業損益が損失となる場合があります。
なお、当社グループの第26期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)の各四半期連結会計期間の売上高及び営業損益は以下のとおりであります。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は、2004年8月に、各国の航空会社で組織される国際的な民間団体であるIATA (International Air Transport Association:国際航空運送協会)より公認旅客代理店(IATA PASSENGER SALES AGENT)としての認可を受け、IATAとの間でIATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENTを締結しております。IATAの公認代理店としての認可を受けることにより、当社は自社で国際線航空券の発券を行うことが可能となっております。
IATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENTは公認代理店としての認可が取り消されるまで有効とされており、当社には現時点において認可の取消しに至るようなIATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENTや関連する諸規則及び決議の違反に該当する事実はないと認識しておりますが、何らかの理由により認可取消しとなった場合には、当社の旅行業者としての信用が毀損され、また航空券を自社発券できないことで取引条件が悪化する結果、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
第26期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢・所得環境の改善や個人消費の持ち直しを背景に緩やかな景気回復基調で推移してきましたが、年度末に新型コロナウイルス感染症の影響を受けて急速に悪化いたしました。
旅行業界におきましては、2019年4月から2020年3月における日本人出国者数が1,813万人*となり、ゴールデンウィーク大型連休や航空路線の増加等のプラス要素もあったものの、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けた渡航制限や需要減退が大きく影響し、前年同期比5.8%減少いたしました。訪日外客数におきましても、前年同期比12.2%減の2,776万人*と大きく落ち込んでおります。
このような情勢のもと、当社グループでは、引続きオンライン商品販売とトラベル・コンシェルジュによるオーダーメイド販売を組み合わせた「ハイブリッド戦略」を推進し、サマーセールや秋の連休キャンペーン、初売りセール等の各種施策により個人旅行需要の取込みに努めました。韓国や台湾、グアムをはじめとした「安近短」方面におきましては、オンライン予約システムの機能強化及び商品拡充に注力し、ヨーロッパを中心とした長距離方面におきましても、早期取込みを見据えた商品展開及び組織体制の強化に取組みました。法人旅行事業につきましても引続き営業体制の強化に取組んだほか、見本市や展示会等の海外視察旅行の需要取込みに向けて、海外視察旅行専用サイトを新規にオープンいたしました。
しかしながら、第4四半期には新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、外務省の感染症危険情報に基づき各方面でツアーの催行を中止したことにより、個人旅行需要の取込みが大幅に減少したことに加え、企業の業務渡航や団体旅行につきましても実施の延期やキャンセルが相次ぎました。
システム・マーケティング面では、業務効率化を目的として前期より一部導入しておりました新基幹システムを、レジャー部門全体へ展開いたしました。またオンライン商品の販売拡大のため、海外航空券サイト及び海外航空券+ホテルサイトのリニューアルを行ったことに加え、Skyscanner Japanが運営する比較検索サービス「スカイスキャナー」との接続や、エクスペディアパートナーソリューションズが運営する海外ホテル予約サービスとのAPI情報連携を開始しております。旅行需要の喚起及び新規顧客の獲得に向けてオウンドメディアやSNSの運用にも注力し、株式会社ミキ・ツーリストと共同でヨーロッパの現地情報を動画で発信する専門Instagramアカウント「whee TV」を開設したほか、映画配給会社と共同でイベントを開催するなど、他業種とのコラボレーションによる認知拡大にも取組みました。
* 2020年6月 日本政府観光局(JNTO)「2020年 訪日外客数・出国日本人数」
以上を踏まえた、当連結会計年度の業績は次のとおりであります。
なおセグメントの業績については、当社は単一セグメントであるため、記載を省略いたします。
財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,564,020千円減少し、5,287,034千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ1,731,788千円減少し、3,751,458千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ167,767千円増加し、1,535,576千円となりました。
第27期第2四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が企業活動や個人消費に大きく影響し、依然として厳しい状況で推移いたしました。
旅行業界におきましては、世界各国の渡航制限や入国規制等を受けて旅行需要の大幅な減退が続いており、2020年4月から9月における日本人出国者数が前年同期比98.9%減の10万人*、訪日外客数が前年同期比99.8%減の3万人*と、著しく減少しております。
このような情勢のもと、当社グループでは、個人旅行事業におきまして新たに国内ツアーの企画・販売を開始し、国内ツアー販売システムの開発を進めたほか、政府のGoToトラベルキャンペーンに合わせたプロモーションの実施・コンテンツの拡充を行うなど、国内旅行需要の獲得に向けた取組みを推進いたしました。また、自宅にいながら海外旅行の気分が楽しめるオンラインイベント「旅会」を定期開催し、海外渡航解禁後の旅のご提案やコロナ禍における現地情報の発信等を行いました。法人旅行事業におきましては、国内の業務渡航やMICE案件を中心に営業活動を行いました。
店舗の統合による地代家賃の削減や人件費の削減、開発外注費の精査、助成金の活用等によるコスト削減にも注力しております。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間における連結業績は、売上高は312,913千円(前年同期比98.3%減)、営業損失は1,198,152千円(前年同期の営業利益は406,383千円)、経常損失は1,188,980千円(前年同期の経常利益は404,033千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,755,483千円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純利益は251,715千円)となりました。
なおセグメントの業績については、当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略いたします。
* 2020年10月 日本政府観光局(JNTO)「2020年 訪日外客数・出国日本人数」
財政状態の分析
(流動資産)
当第2四半期連結会計期間末における流動資産は3,746,194千円と、前連結会計年度末比526,999千円減少しました。これは主に、現金及び預金が前連結会計年度末比496,357千円増加した一方で、未収入金が前連結会計年度末比527,326千円、旅行前払金が前連結会計年度末比310,118千円、受取手形及び売掛金が前連結会計年度末比127,891千円減少したことによるものです。
(固定資産)
当第2四半期連結会計期間末における固定資産は411,038千円と、前連結会計年度末比602,801千円減少しました。これは主に、繰延税金資産が前連結会計年度末比46,097千円、ソフトウエアが前連結会計年度末比345,416千円、建物附属設備が前連結会計年度末比125,403千円減少したことによるものです。
(流動負債)
当第2四半期連結会計期間末における流動負債は4,320,418千円と、前連結会計年度末比638,032千円増加しました。これは主に、預り金が前連結会計年度末比869,431千円、旅行前受金が前連結会計年度末比730,726千円、未払金が前連結会計年度末比447,938千円、買掛金が前連結会計年度末比217,207千円減少した一方で、短期借入金が前連結会計年度末比3,000,000千円増加したことによるものです。
(固定負債)
当第2四半期連結会計期間末における固定負債は64,495千円と、前連結会計年度末比4,576千円減少しました。これは主に、資産除去債務が前連結会計年度末比3,694千円減少したことによるものです。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産は△227,680千円と、前連結会計年度末比1,763,256千円減少しました。これは主に、利益剰余金が前連結会計年度末比1,755,483千円減少したことによるものです。
第26期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、2,702,836千円と前連結会計年度末比935,319千円の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、外務省の感染症危険情報に基づき各方面でツアーの催行を中止したことにより、個人旅行需要の取込みが大幅に減少したことに加え、企業の業務渡航や団体旅行につきましても実施の延期やキャンセルが相次ぎました。以上のような状況を受けて、税金等調整前当期純利益138,139千円、売上債権の減少674,695千円、旅行前払金の減少832,418千円、預り金の増加1,121,080千円等の増加要因がある一方、旅行前受金の減少3,310,264千円、仕入債務の減少521,224千円、未収入金の増加539,073千円等の減少要因から、1,343,709千円の支出(前連結会計年度は1,817,292千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出306,482千円、敷金の差入による支出58,372千円等の減少要因がある一方、差入保証金の回収による収入56,500千円等の増加要因から、280,004千円の支出(前連結会計年度は281,105千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出6,036千円、リース債務の返済による支出5,503千円の減少要因がある一方、短期借入金の増加700,000千円等の増加要因から、689,161千円の収入(前連結会計年度は15,765千円の支出)となりました。
第27期第2四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の期末残高は、3,193,193千円と前連結会計年度末と比べ490,357千円の増加となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、未収入金の減少532,980千円、旅行前払金の減少309,234千円、減損損失の計上585,932千円等の増加要因がある一方、税金等調整前四半期純損失1,711,664千円の計上に加え、預り金の減少1,084,386千円、旅行前受金の減少730,361千円、未払金の減少446,904千円等の減少要因から、2,400,381千円の支出(前年同期は388,334千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、差入保証金の回収による収入1,500千円等の増加要因がある一方、固定資産の取得による支出101,851千円、差入保証金の差入による支出2,204千円等の減少要因から、106,976千円の支出(前年同期は155,577千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加3,000,000千円、ストックオプションの行使による収入1,339千円等により、3,001,294千円の収入(前年同期は9,677千円の支出)となりました。
第26期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、生産実績は該当がありません。
b. 受注実績
当社グループでは、受注から役務提供期間までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
第27期第2四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年9月30日)
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、生産実績は該当がありません。
b. 受注実績
当社グループでは、受注から役務提供期間までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c. 販売実績
当第2四半期連結累計期間における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
第26期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、資産除去債務等の計上について見積りを必要としております。以下に個別の詳細を記載させていただきます。
a.貸倒引当金
貸倒引当金は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
当社グループは、適切な与信管理を行い、一般債権の貸倒実績率が低い状況で推移していますが、売上増加により期末時の債権が増加したり、多額の貸倒れが発生した場合、貸倒引当金の金額が増加し、販売費及び一般管理費や営業外費用、特別損失を計上する可能性があります。
b.賞与引当金
従業員に対する賞与支給に備えるため、支給見込額のうち当連結会計年度に負担すべき額を計上しております。
この金額は一般的に、当社グループの業績を当該賞与制度が規定する基準値と比較・参照することにより算定されます。業績の変化によって賞与引当金の金額が変動し、販売費及び一般管理費を計上する可能性があります。
c.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって前提とした条件や仮定に変更が生じこれが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
e.資産除去債務
当社は、事務所等の開設・移転にあたり、不動産所有者との間で不動産賃貸借契約を締結しており、退去時における原状回復義務に関し、「資産除去債務に関する会計基準」に基づき過去の実績等から合理的な見積りを行い、資産除去債務を計上しております。しかしながら、新たな事実の発生等に伴い、資産除去債務の計上額が変動し、販売費及び一般管理費を計上する可能性があります。
f.固定資産の減損
固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。事業計画や市場環境の変化により、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
その他重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」をご参照ください。また、新型コロナウイルス感染症による仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
a. 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は4,273,193千円と、前連結会計年度末比1,728,077千円減少しました。これは主に、現金及び預金が前連結会計年度末比932,319千円、受取手形及び売掛金が前連結会計年度末比652,050千円、旅行前払金が前連結会計年度末比832,257千円減少した一方で、未収入金が前連結会計年度末比584,767千円増加したことによるものです。
上記のような増減が発生した要因は主として、第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、外務省の感染症危険情報に基づき各方面でツアーの催行を中止したことにより、個人旅行需要の取込みが大幅に減少したことに加え、企業の業務渡航や団体旅行につきましても実施の延期やキャンセルが相次いだことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は1,013,840千円と、前連結会計年度末比164,056千円増加しました。これは主に、有形固定資産が前連結会計年度末比56,920千円、無形固定資産が前連結会計年度末比147,520千円増加した一方で、投資その他の資産が前連結会計年度末比40,384千円減少したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,682,385千円と、前連結会計年度末比1,731,045千円減少しました。これは主に、旅行前受金が前連結会計年度末比3,310,098千円、買掛金が前連結会計年度末比521,492千円減少した一方で、短期借入金が前連結会計年度末比693,487千円、未払金が前連結会計年度末比417,554千円、預り金が前連結会計年度末比1,121,080千円増加したことによるものです。
上記のような増減が発生した要因は、流動資産の増減内容にも記載した第4四半期に発生した新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は69,072千円と、前連結会計年度末比742千円減少しました。これは主に、資産除去債務が前連結会計年度末比1,900千円増加した一方で、その他固定負債が前連結会計年度末比2,643千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,535,576千円と、前連結会計年度末比167,767千円増加しました。これは主に、資本金が前連結会計年度末比37,110千円、資本剰余金が前連結会計年度末比37,110千円、利益剰余金が前連結会計年度末比87,557千円増加したことによるものです。
b. 経営成績の分析
(売上高)
売上高は、第4四半期には新型コロナウイルス感染症の影響を受けてツアーの催行中止やキャンセルが相次いだものの、第3四半期までのゴールデンウィーク大型連休をはじめとした活発な個人旅行需要の取込みやオンライン商品の販売拡大等により、33,351,588千円(前連結会計年度比14.0%増)となりました。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は、29,144,978千円(前連結会計年度比14.7%増)となり、この結果、売上総利益は4,206,609千円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。売上高が前連結会計年度比14.0%増となった一方で、売上総利益が前連結会計年度比9.5%増に留まったのは、第4四半期に新型コロナウイルス感染症の影響によるツアー催行中止やキャンセルが相次いだことで返金手数料の負担等が発生し、売上総利益率が減少したためです。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
販売費及び一般管理費は、人員の増強による人件費の増加、売上の増加に伴うカード手数料の増加、システム・マーケティング強化による支払手数料及び広告宣伝費の増加等により、4,070,648千円(前連結会計年度比16.0%増)となりました。
これらの結果、営業利益は135,961千円(前連結会計年度比58.8%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は、主に為替差益及び償却債権取立益を計上したことに加え、受取補償金が増加したことにより、12,125千円(前連結会計年度比486.7%増)となりました。営業外費用は、主に為替差損及び支払手数料が減少したことにより、12,773千円(前連結会計年度比21.9%減)となりました。
これらの結果、経常利益は135,313千円(前連結会計年度比57.2%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等は、43,523千円(前連結会計年度比61.1%減)となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は87,557千円(前連結会計年度比52.5%減)となりました。
(1株当たり当期純利益)
普通株式の期中平均株式数は、4,723,468株(前連結会計年度は4,678,205株)となり、1株当たり当期純利益は18.54円(前連結会計年度39.38円)となりました。
なお、当社グループでは、事業規模拡大の観点から、売上高及び売上総利益の額とそれらの成長率を重要な経営指標と位置付け、事業の収益性と企業価値の向上の観点から、営業利益、経常利益及び1株当たり当期純利益の額とそれらの成長率についても重要な経営指標としておりますが、第4四半期に新型コロナウイルス感染症の影響を受けてツアーの催行中止やキャンセルが相次いで発生したことで、売上高及び売上総利益は前連結会計年度比で増加いたしましたが、営業利益、経常利益及び1株当たり当期純利益の額に関しては減少いたしました。
今後は、優先的に対処すべき課題としても挙げているシステム強化、マーケティングの強化、トラベル・コンシェルジュ教育、商品企画力の向上、ブランド認知度の向上等に努め、売上高、売上総利益、営業利益、経常利益、1株当たり当期純利益の額を成長させてまいります。
c. キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備資金であります。運転資金の主な内容は、旅行商品の企画販売にかかる仕入のほか、人件費や広告宣伝費をはじめとした販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金の主な内容は、基幹システムの開発・改良をはじめとしたシステム投資であります。これらの資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、必要な場合には金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。
2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて旅行重要は大幅に減退しており、足元の旅行予約も著しく減少しております。現時点では回復時期が見通せないことから、事態の長期化に備えて資金調達の実施及び支出の抑制により、必要運転資金を確保いたします。当社は2020年3月に総額23億円の既設定のコミットメントライン及び当座貸越の利用を決定し、株式会社りそな銀行から400,000千円、株式会社三井住友銀行から300,000千円の短期借入を実行いたしましたが、今後も必要に応じて適宜新規借入等の資金調達を実施してまいります。また、人件費や地代家賃等の固定費を圧縮し収益構造の改善に努めることにより、手元流動性の充実を図ります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループといたしましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のそれぞれの課題に適格かつ迅速に対処し事業を拡大していくことにより、当社グループのさらなる成長と発展を遂げてまいる所存です。
特に、現状のオンライン予約の利便性と「トラベル・コンシェルジュ」による旅行内容のカスタマイズとを組み合わせた「ハイブリッド戦略」を引続き継続し事業基盤を強化していくと共に、常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、また優秀な人材の確保、育成、離職の抑止などを推進していくことにより、経営成績に重要な影響を与える要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
当社は、2004年8月に、各国の航空会社で組織される国際的な民間団体であるIATA (International Air Transport Association:国際航空運送協会)より公認旅客代理店(IATA PASSENGER SALES AGENT)としての認可を受け、IATAとの間でIATA PASSENGER SALES AGENCY AGREEMENTを締結しております。IATAの公認代理店としての認可を受けることにより、当社は自社で国際線航空券の発券を行うことが可能となっております。
第26期連結会計年度及び第27期第2四半期連結累計期間において、該当事項はありません。