第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は「あなたの『見える』を、みんなの安心に。」というコーポレートスローガンを掲げており、ひとりの人間が大勢の人の安心をつくれる仕組みの構築を目指し、IoTを通じてより安心な社会の実現に貢献していきたいと考えております。

 

(2)中長期的な経営戦略

①AIを活用した市場の創造

 モニタリングソリューションにおける自動認識システム、コンストラクションソリューションにおける気象データの未来予測など、IoTソリューションにAI技術を取り込むことで、新たなサービスの提供を行っております。今後も、IoTで収集したデータとAIによる分析を組み合わせることで、より付加価値の高いサービスを生み出し、新たな市場の創造を実現してまいります。

 

②パッケージサービスの拡充によるストック基盤のさらなる安定化

 IoTプラットフォームをベースとしたシステムインテグレーションにより、積極的に顧客のIoT化ニーズを探求し、新たなパッケージサービスを増やし、ストックビジネス化を進めてまいります。ストックビジネスの拡大により、さらなる事業基盤の安定化を実現してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 成長途上の当社においては、より高い成長性を確保する観点から「売上高」の増収を最重視しております。また、成長性向上を継続していくために「売上総利益」「経常利益」を重要な指標として位置づけ、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指しております。

 

(4)経営環境

 国内IoT市場は、2018年から2023年の年間平均成長率が13.3%と高い成長率が見込まれており、2023年には11兆7,915億円(※1)に達すると予測されています。産業分野別では、製造業、運輸業、公共・公益といった分野が成長を牽引すると見込まれており、これらの分野では、特に組込機器や構造物等のインフラの運用効率の合理化を実現するために、IoTが活用されると考えられます。

 また、超高齢化社会、少子化による人手不足はより今後さらに深刻な問題となっていくと考えられ、IoTとAIの双方の技術を相乗的に活用することで省人化を図っていくニーズは年々高まっていくものと予想されます。

(※1)IDC Japan株式会社「国内IoT市場 産業分野別/ユースケース別予測、2019年~2023年」

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社は、創業以来「ゆりもっと」「現場ロイド」という主力パッケージサービスを中心に、数多くの実績を積み重ねてきました。その間、IoT分野は今後数年間にわたって高い成長率を維持する成長分野と目されるようになり、多くのコンペティターが参入してきました。当社は以下の事項を重要課題として取組み、コンペティターとの競争の中でも、安定的な利益獲得と事業の健全な成長を継続し、社会貢献並びに企業価値向上に努めてまいります。

①ストック収益の強化

 当社は創業以来、主力パッケージサービス「現場ロイド」「ゆりもっと」の普及を主たる原動力として成長してきましたが、「現場ロイド」は、建設投資動向により需要状況が大きく左右されます。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。また、「ゆりもっと」は、サービスが積雪地域に限定されることから、原油価格の動向や天候により需要状況が大きく左右されます。

 このような状況下、安定した収益基盤を築き上げるためにストック収益の拡大を図っております。具体的な施策として、通信キャリア、クラウドベンダー等とのアライアンスを強化し、市場成長率が高い分野であるIoTインテグレーションソリューションの営業を強化しております。当社が、創業以来培ってきたIoTインテグレーションに関する「構築力」「組織力」を水平展開し、さらなる事業拡大を図って参ります。

②人材の確保、育成

 当業界においては技術革新のスピードが速いため、先進のノウハウと開発環境を継続的に更新する必要があります。また、そのような環境からアウトプットされる自社サービスも同様に日々進化することから、営業担当者には新技術や自社サービスの動向を常にキャッチアップする姿勢・資質が求められます。

 以上のことから、当社は今後も環境の変化に対応し、常に新しい技術を利用した価値を提供していくため、開発環境の整備、優秀な人材の採用・教育に努めてまいります。

2【事業等のリスク】

 本書に記載した当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の投資判断上、有用であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 市場環境に関するリスクについて

イ.技術革新について

 当業界においては、技術革新のスピードが速いため、先進のノウハウと開発環境を保有し、かつそれらを継続的に進化させていく必要があります。当社においては、常に新しい技術を利用したシステム構築に挑戦しており、迅速な環境変化に対応できるよう技術者の採用・教育、開発環境の整備等を進めております。しかしながら、当社の想定を超える技術革新等による著しい環境変化等が生じた場合、当該変化に当社が対応することができず、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ロ.業績の変動要因について

 コンストラクションソリューションの主なパッケージサービスである「現場ロイド」は、建設投資動向により需要状況が大きく左右されます。また、建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。

 

② 当社事業に関するリスクについて

イ.不採算プロジェクトについて

 当社は、顧客からソフトウエア開発を受託するにあたり、あらかじめサービスの対価や納期を定めた請負契約を締結する場合があります。当該契約を締結したプロジェクトについては、原則として受注金額が契約時に確定し、定められた納期までにソフトウエアを完成して納品する責任が当社側に発生します。

 当社は、ソフトウエア開発プロジェクトの請負契約を締結するにあたっては、発生が見込まれるコストを積み上げ、それに適正な利潤を乗せたものを見積り金額として提示しております。また、プロジェクトの受注後は、進捗状況を管理するプロジェクトの責任者を選任し、社内関係者及び顧客に対して定期的に進捗状況を報告することとしております。当該報告は担当役員によるモニタリングの対象としており、受注前の見積り金額の妥当性や受注後の進捗状況をモニターし、プロジェクトに係る適正な利益を確保するよう努めております。

 しかしながら、すべてのプロジェクトに対して必要コストを正確に見積ることは困難であり、仕様変更や追加作業に起因する作業工数の増大等が発生する可能性があります。また、当社の提供するソフトウエア製品・サービスにおいて、予期せぬ不具合(バグ)の発生やサービス不良等の品質上の問題により、手直し等の追加コストの発生や損害賠償が発生する可能性があります。これらのことが発生した場合、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ロ.売上原価について

 当社の売上原価の大部分は、技術者に係る人件費及び外注費で構成されております。

 当社従業員の人件費は固定費であり、当社の受注量が急減して稼働率が低下した場合においても、それに応じて技術者に係る人件費が減少するわけではありません。当社は、顧客との長期的・安定的な取引関係を構築し、また事業内容や顧客の多様化を図ることで、外部環境の変化に左右されにくい収益構造の構築に努めておりますが、受注量が急減した場合、収益性が悪化する可能性があります。

 また、業界全体で技術者不足が発生した場合、外注先から単価の値上げを求められる可能性があります。その場合、当社は、販売単価の値上げを顧客に対して求めていく方針でありますが、当該値上げ分を顧客への販売単価に転嫁できなかった場合、当社の収益性に影響を与える可能性があります。

 

ハ.販売店との関係について

 当社は、受注活動の一部を販売店に委託しております。これは、きめ細かな顧客フォローや信用能力などで優れた販売店を活用することが有効だと判断しているものであり、今後も販売店とのパートナーシップを維持・強化していく方針です。

 しかしながら、何らかの理由による販売店との契約解消、若しくは販売店の経営状態が悪化した場合には、現状の受注活動に影響する可能性があります。

 

ニ.主要顧客への依存について

 当社の全売上高に占める割合が10.0%以上となる主要顧客の数及び売上高の割合の合計は、2018年3月期において3社にて59.5%、2019年3月期において2社にて39.5%となっております。

 当社は、今後において、当該顧客との取引に関して拡大を図っていきながらも、新規顧客等、当該顧客以外との取引の拡大を図り、当該顧客への依存度の低減に努めてまいりますが、何らかの事情により、当該顧客との取引が大幅に減少した場合、もしくは当該顧客との取引の継続が困難な事態に陥った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ホ.業績の季節的変動について

 当社は、提供するサービスの性質上、下半期に役務提供が集中することから、上半期の売上高と下半期の売上高との間に著しい相違があります。季節的変動については以下のとおりであります。

 

ソリューション

季節的変動の説明

インテグレーションソリューション

システムの受託開発は、システム投資動向に左右され、多くの顧客が決算直前期の納品を希望することから、第4四半期会計期間がソリューション提供及び売上高計上のピークとなります。

モニタリングソリューション

「ゆりもっと」のロードヒーティング遠隔監視代行業務に係る売上が収益の柱であることから、積雪期である12月から3月がサービス提供及び売上高計上のピークとなります。

コンストラクションソリューション

「現場ロイド」は、公共工事現場に対するサービス提供が中心であり、需要状況が工事現場数に相関することから、9月から11月がサービス提供及び売上高計上のピークとなります。

 

 なお、2019年3月期の各四半期の売上高と営業損益は以下のとおりであります。

(単位:千円)

 

第1四半期

会計期間

2018年4月1日~

2018年6月30日

第2四半期

会計期間

2018年7月1日~

2018年9月30日

第3四半期

会計期間

2018年10月1日~

2018年12月31日

第4四半期

会計期間

2019年1月1日~

2019年3月31日

第13期

事業年度

2018年4月1日~

2019年3月31日

売上高

327,219

343,267

461,441

479,312

1,611,241

営業損益

△10,942

△59,724

45,873

49,721

24,928

 

ヘ.営業活動によるキャッシュ・フローについて

 当社は提供するサービスの性質上、下半期に役務提供が集中しており、一定期間内で見た場合、売上高が増加する局面においては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスになりやすい状況にあります。従って、当社は、大口顧客からの前受金の収受や借入先となる金融機関との良好な関係の構築に努めてまいります。

 2018年3月期及び2019年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスであり、売上債権及びたな卸資産の増加等により、将来の営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなる可能性があります。

 現時点において、売上債権はおおむね期限内に回収し、たな卸資産は予定通り販売しているため、実質的な資金収支は問題ない状況で推移しておりますが、今後も引き続き留意してまいります。

 

ト.競合会社の参入について

 当社の属するIoT市場は、近年拡大を続けているため、当社のビジネスモデルと同様のビジネスモデルを掲げる新たな競合企業が誕生し、今後も増加する可能性があります。

 当社は、多様な環境下で培ったクラウドセンシングのノウハウを活用し、また独自の新規顧客獲得戦略を採用することにより、他社との差別化を図り、継続的な事業成長に努めておりますが、そのような競合企業の参入により、当社の優位性が失われ、そのような競合企業と当社の主要顧客企業との間で取引が開始され、当社と当該顧客企業との取引が縮小される可能性は否定できず、かかる事態となった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

チ.有利子負債への依存及び金利動向の影響

 当社は、事業資金について自己資金の他、金融機関からの借入等により調達しております。

 

 

第12期事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

第13期事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

総資産額(千円)

1,275,721

2,124,741

有利子負債合計(千円)

578,070

437,949

有利子負債依存度(%)

45.3

20.6

支払利息・社債利息計(千円)

2,827

2,871

 (注) 有利子負債は、社債、長期借入金の合計です。

 

 第13期事業年度末時点に残高のある有利子負債は、すべて固定金利を適用しており、金利上昇局面における短期的な影響は限定的でありますが、将来長期的に金利が上昇し、資金調達コストが増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 会社組織に関するリスク

イ.代表者への依存について

 当社代表取締役である入澤拓也は当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であり、当社の事業運営における事業戦略の策定や業界における人脈の活用等に関して、重要な役割を果たしております。

 当社は、同氏への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を図っておりますが、現時点において同氏に対する依存度は高い状況にあると考えております。今後において、何らかの理由により同氏の当社における業務遂行の継続が困難となった場合、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.人材の確保、育成について

 当社は、IoTインテグレーション事業において事業領域の拡大を行ってまいりましたが、今後のさらなる業容拡大に対応するためには、今後も積極的に優秀な人材を採用・教育し、また魅力的な職場環境を提供していく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大に応じた採用活動・人材育成が計画どおりに進まず、人材の適正配置が困難となることで競争力低下等が生じた場合、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 法的規制に関するリスク

 当社の外注等の商行為は、「下請代金支払遅延等防止法」等の法的規制の影響を受けます。これらの法規制等の導入・強化・改正等に対して当社が適切に対応できない場合には、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ その他のリスクについて

イ.知的財産権の保護に関するリスクについて

 近年、当業界においては、自社技術保護のための特許申請が増加する傾向にあります。当社も自社技術保護、他社との差別化及び競争力のあるソリューションを永続的に提供するため、知的財産権の取得・保護活動を行っていく方針であります。当社の知的財産が第三者によって侵害された場合、当社は、知的財産権の保護のため、かかる侵害者に対する訴訟及びその他防衛策を講じる等、当該対応に経営資源を割くことを余儀なくされることになり、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社では、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めており、現時点において侵害はないものと認識しておりますが、将来において第三者の知的財産権への侵害が生じてしまう可能性は否定できません。当社がソリューションを提供する上で第三者の知的財産権を侵害していることが発覚した場合、当社への損害賠償請求、信用の低下により、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ロ.個人情報・機密情報漏えいに関するリスクについて

 当社は、業務に関連して顧客や取引先等の個人情報及び機密情報を取り扱う場合があります。

 当社では、情報管理に関する全社的な取り組みとして、情報システム管理規程をはじめとする諸規程を制定するとともに、社内教育等により、情報管理への意識向上の施策を実施しております。当社事業所においては、個人情報・機密情報書類を格納したキャビネットの施錠管理、ファイルフォルダへのアクセス制限等、情報漏えいの防止に努めております。また、個人情報につきましては、個人情報保護方針の公表等を行っております。

 以上のような施策により、当社は、個人情報・機密情報の漏えい防止に努めておりますが、万が一、個人情報・機密情報が外部に漏えいするような事態となった場合には、当社の信用失墜による売上の減少又は損害賠償による費用の発生等により、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 なお、当社は、業務の一部について外注委託を活用しておりますが、外注先に対しても機密保持契約書を入手し、必要に応じて管理体制の報告を求めるなど情報管理体制の整備強化に努めております。しかしながら、外注先による情報漏えいが発生した場合、それが外注先に起因するものであっても、当社の信用の失墜、損害賠償の請求等が発生する可能性があり、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ハ.情報システムトラブルについて

 当社は、社内のコンピュータシステムに関して、バックアップ体制を確立することによる災害対策を講じておりますが、地震や火災などの災害、コンピュータ・ウィルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの長期にわたる中断や停止、現段階では予測不可能な事由によるシステムトラブルが生じた場合、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

ニ.ストック・オプションについて

 当社は、ストック・オプション制度を採用しており、当社の取締役、監査役及び従業員に対して会社法の規定に基づき新株予約権を付与しております。2019年3月31日現在の発行済株式総数は5,044,000株であり、ストック・オプションによる潜在株式236,400株が全て行使されたと仮定した場合のシェアは4.5%に相当しております。これらは、当社の事業発展のために優秀な人材の確保・獲得のためのインセンティブ施策として実施しており、必ずしも既存株主の利害と相反するものではありません。しかしながら、新株予約権の行使が行われた場合には、当社1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また新株予約権の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、市場の需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を与える可能性があります。

 

ホ.訴訟等について

 当社は、本書提出日現在において、業績に重大な影響を与える訴訟・紛争には関与しておりません。

 しかしながら、様々な事由により、今後直接又は間接的に何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社の業績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

ヘ.資金使途について

 2018年6月21日に実施した公募増資及び2019年1月31日に実施した第三者割当による資金調達は、製品製造費用、採用費及び人件費、借入金の返済等に充当する予定です。

 しかしながら、急速に変化する経営環境により柔軟に対応するため、現時点における資金使途計画以外に充当する可能性があります。また、当初の計画に基づき資金を投下しても、想定どおりの投資効果が上げられない可能性があります。

 

ト.配当政策について

 当社は、設立以来、当期純利益を計上した場合であっても、まず内部留保を充実し、財務基盤の強化が重要であると考え、配当を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題の一つであると考えておりますが、今後企業価値を高めるため内部留保を使用して機動的な投資を行うこともあり、無配を継続する可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

 当事業年度における当社の業績等の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当社の属する情報サービス産業では、ビッグデータの活用、AIやIoTの発展等、業界を取り巻く環境は引き続き変化を続けております。経済産業省は2017年に「新産業構造ビジョン」を公表し、あらゆる構造的課題を解決し、より豊かな社会を実現するための鍵として「第4次産業革命技術(IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット)の社会実装」を掲げており、これらの分野に官民一体で取り組む姿勢を強調しております。

 なかでも当社が注力する国内IoT市場は、2023年まで13.3%の年間平均成長率で成長し、2023年には11兆7,915億円に達すると予測されています(IDC Japan株式会社「国内IoT市場 産業分野別/ユースケース別予測、2019年~2023年」)。

 

 このような環境のもと、当社はインテグレーションソリューションを中核事業として育成するプランを掲げており、当事業年度を将来の飛躍的成長に向けた経営基盤強化期に位置付け、先行投資として人員強化を推進してまいりました。さらに、法人向けIoTビジネスのスケール化を目指し、2019年1月15日にKDDI株式会社(以下、「KDDI」といいます)と資本提携契約及び業務提携契約を締結いたしました。「KDDI IoTクラウド Standard」及び「FASTIO」の拡販を共通の目的としたこれまでの協力関係を、発展的に当社全社レベルでの提携関係に引き上げ、KDDIのネットワークを活用しながら、多様なIoTインテグレーションを提供するとともに、今後インフラの整備が急速に進むと見込まれるLPWA・第5世代移動通信システム(5G)といった新たな通信規格や、AI・VRといった関連テクノロジーを積極的に活用し、事業を展開してまいります。

 

 インテグレーションソリューションにおいては、パートナー企業を通じた営業活動が進展し、顧客基盤の拡大、ストック売上の積み上げが続いております。

 コンストラクションソリューションにおいては、土木関連市場の情報化施工案件の獲得が好調に推移し、「現場ロイド」の販売が増加したほか、防災対策のIoT化といったニーズの高まりを受け、売上高が増加しております。

 モニタリングソリューションにおいては、パッケージサービスの導入件数が増加し、累計契約数が拡大しております。

 GPSソリューションにおいては、前事業年度に大口案件があったことから、当事業年度はフロー売上は減少したものの、パッケージサービスの導入件数は継続しており、累計契約数が拡大しております。

 

 以上の結果、当事業年度の業績は、売上高1,611,241千円(前事業年度比0.9%減)、営業利益24,928千円(前事業年度比78.9%減)、経常利益25,019千円(前事業年度比78.4%減)、当期純利益11,337千円(前事業年度比85.7%減)となりました。

 

 当社は、報告セグメントがIoTインテグレーション事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。以下の説明においては、インテグレーションソリューションの他、同ソリューションから派生したソリューションであるコンストラクションソリューション、モニタリングソリューション、GPSソリューションに区分して表記しております。

 

(インテグレーションソリューション)

 IoTデータコレクトプラットフォーム「FASTIO」を利用したソリューション提供によるイニシャル売上及び通信利用料やアプリケーション利用料等から構成されるストック売上の積み増しが寄与し、売上高は221,747千円(前事業年度比21.3%増)となりました。

 

(コンストラクションソリューション)

 有望な市場と見込んでいた危機管理型水位計に関しましては、マーケットで低価格化が進行し収益性が低く差別化も困難な市場となったことから、ターゲットから外す結果となりました。一方で、主なパッケージ製品である「現場ロイド」は、頻発する自然災害等の情報化施工及び防災対策のIoT化や、高速道路工事における安全対策といったニーズの高まりを受け、売上高は710,215千円(前事業年度比14.3%増)となりました。

 

(モニタリングソリューション)

 主なパッケージサービスである「ゆりもっと」は、新規導入時の端末提供料と、導入後の遠隔監視サービス提供料で構成されます。遠隔監視サービスは解約者が少なく、年々利用者数を増やしていることから、遠隔監視サービス提供料が増加しました。その結果、売上高は189,368千円(前事業年度比8.9%増)となりました。

 

(GPSソリューション)

 前事業年度はOEM提供による大口案件があったことから、当事業年度はフロー売上が減少いたしました。一方で交通事故のリスク対策として、法人車両へのテレマティクス端末の導入ニーズは依然として大きく、累計契約数は引き続き拡大し、ストック売上が増加いたしました。その結果、売上高は489,910千円(前事業年度比24.3%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、766,796千円と前事業年度末と比べ518,234千円の増加となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は、188,406千円(前年同期は148,196千円の減少)となりました。これは主に、税引前当期純利益24,537千円の計上、減価償却費67,006千円の計上、売上債権の減少額170,185千円などにより資金が増加した一方、たな卸資産の増加額266,158千円、レンタル用資産取得による支出76,993千円、前渡金の増加額57,567千円、仕入債務の減少額38,160千円などにより資金が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、151,428千円(前年同期は19,502千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出9,842千円、無形固定資産の取得による支出22,059千円、投資有価証券の取得による支出103,804千円などにより資金が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の増加は、858,069千円(前年同期は346,686千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入996,292千円により資金が増加した一方、長期借入金の返済による支出90,120千円、社債の償還による支出50,000千円により資金が減少したことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売実績はソリューション別に記載しております。

a.生産実績

 当事業年度における生産実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

インテグレーションソリューション(千円)

54,605

108.8

コンストラクションソリューション(千円)

157,378

93.3

モニタリングソリューション(千円)

14,166

118.6

GPSソリューション(千円)

300,300

62.4

合計(千円)

526,450

73.9

 (注)1.上記の金額は、製造原価の金額となっております。

2.製造原価は材料仕入高、直接労務費及び外注費の金額によっております。製造原価とは製品及びソフトウエアの製造に係る原価であり、機器の設置工事委託費、融雪装置遠隔監視業務委託費等の製造以外の原価は含まれておりません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

インテグレーション

ソリューション

214,190

119.7

9,628

56.0

コンストラクション

ソリューション

814,760

134.6

136,758

424.5

モニタリング

ソリューション

187,814

101.9

10,117

86.7

GPSソリューション

435,879

134.1

2,033

3.6

合計

1,652,645

127.7

158,537

135.3

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

インテグレーションソリューション(千円)

221,747

121.3

コンストラクションソリューション(千円)

710,215

114.3

モニタリングソリューション(千円)

189,368

108.9

GPSソリューション(千円)

489,910

75.7

合計(千円)

1,611,241

99.1

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社仙台銘板

399,621

24.6

428,735

26.6

日商エレクトロニクス株式会社

207,346

12.8

206,909

12.8

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成につきましては、決算日における資産、負債及び報告期間における損益に影響を与える事項につき、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる範囲で継続的に見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性により異なる場合があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は1,611,241千円(前事業年度比0.9%減)となりました。これは主に、GPSソリューションにおいて、フロー売上が減少した一方でインテグレーションソリューションにおいて新規案件数の増加、コンストラクションソリューションにおいては「現場ロイド」及び防災市場向け製品の販売増加等により、売上高が増加した結果、前事業年度と同水準となったものです。なお各ソリューションにおいて、通信料やアプリケーション利用料から構成されるストック売上を積み増しております。

(売上原価・売上総利益)

 売上高が前事業年度と同水準となったなかで、ストック売上の比率が上昇したことにより、売上原価が993,683千円(前年同期比6.1%減)に減少いたしました。その結果、当事業年度における売上総利益は617,557千円(同8.9%増)となりました。売上総利益率は3.5ポイント増加し、38.3%となりました。

(販売費及び一般管理費・営業利益)

 給料及び手当や役員報酬など、主に組織強化のための人件費の増加により、販売費及び一般管理費が592,629千円(前年同期比32.0%増)となりました。その結果、当事業年度における営業利益は24,928千円(同78.9%減)となりました。

(経常利益)

 当事業年度における経常利益は、25,019千円(前年同期比78.4%減)となりました。これは主に営業利益が92,955千円減少したことによるものです。

(当期純利益)

 当事業年度における当期純利益は、11,337千円(前年同期比85.7%減)となりました。これは経常利益が90,703千円減少した一方で、税引前当期純利益の減少等に伴い、税効果会計適用後の法人税等合計の額が23,118千円減少したことによるものです。

 

財政状態の分析

(資産)

 当事業年度末における総資産は、2,124,741千円となり前事業年度末に比べ849,020千円増加しました。主たる変動要因は現金及び預金の増加518,234千円、電子記録債権の増加203,161千円、売掛金の減少191,066千円、原材料及び貯蔵品の増加189,815千円、投資有価証券の増加104,032千円等であります。

(負債)

 当事業年度末における負債は、663,803千円となり前事業年度末に比べ174,988千円減少しました。主たる変動要因は、長期借入金の減少90,120千円、社債の減少50,000千円等であります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、1,460,938千円となり前事業年度末に比べ1,024,008千円増加し、自己資本比率は68.8%となりました。主たる変動要因は、資本金の増加506,387千円、資本準備金の増加506,387千円等であります。

 

キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、製品製造費用及び通信費のほか、販売費及び一般管理費の営業費用であります。

 当社は、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当事業年度末における有利子負債の残高は437,949千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は766,796千円となっております。

 

 当社の経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりであります。

 売上高は計画比313,322千円減(16.3%減)となりました。これは主に、危機管理型水位計の市場競争激化に伴い戦略転換を行ったこと、部材調達遅れに伴いLPWA案件が翌期へ持ち越しとなったことによるものです。

 売上総利益は計画比102,822千円減(14.3%減)となりました。これは主に、上記要因により売上高が減少したことによるものです。なお、危機管理型水位計案件やLPWA案件は原価率を比較的高く計画していたことから、売上総利益率が38.3%となり計画比で0.9%増加しております。

 経常利益は計画比95,426千円減(79.2%減)となりました。これは主に、売上高が減少したことにより売上総利益が102,822千円減少したことによるものです。

指標

2019年3月期

(計画)

2019年3月期

(実績)

2019年3月期

(計画比)

売上高

1,924,563千円

1,611,241千円

313,322千円減(16.3%減)

売上総利益

720,380千円

617,557千円

102,822千円減(14.3%減)

経常利益

120,445千円

25,019千円

95,426千円減(79.2%減)

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は2019年1月15日に、KDDI株式会社と業務・資本提携契約を締結しました。当社は、同社を割当先とする第三者割当により500,000株の新株式を発行し、631,500千円の資金調達を行いました。また当社は、当該提携契約によりKDDI株式会社との相互関係を構築・強化を図り、「法人向けIoTビジネスのスケール化」に向けた取組みを実施しております。

 

5【研究開発活動】

 当社は、自社において研究開発活動を行っており、開発部が研究開発を担当しております。

 なお、当社は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しております。

 

 当事業年度は主に、機械学習による超解像技術に係る研究開発を行っており、研究開発費の総額は5,015千円となっております。