第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は「あなたの『見える』を、みんなの安心に。」というコーポレートスローガンを掲げており、ひとりの人間が大勢の人の安心をつくれる仕組みの構築を目指し、IoTを通じてより安心な社会の実現に貢献していきたいと考えております。

 

(2)中長期的な経営戦略

 IoTを垂直統合的にワンストップで提供する当社の強みを基盤として、下記を基本方針として、収益基盤の強化と事業拡大を図ってまいります。

①垂直統合領域の拡大

 AI活用、リモートモニタリングサービス、電源・電池領域の事業化等を当社IoTソリューションに組み入れることで、競争優位性を高めてまいります。

②既存ソリューション領域の深化

 新製品・サービス開発、販売チャネル開発等により、既存ソリューションの市場シェア拡大を目指します。

③事業領域の拡大

 BtoBtoC領域への拡大、DX支援事業立ち上げにより、様々な業種業態へ事業領域拡大を図ってまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 成長途上の当社においては、より高い成長性を確保する観点から「売上高」の増収を最重視しております。また、成長性向上を継続していくために「売上総利益」「経常利益」を重要な指標として位置づけ、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指しております。

 

(4)経営環境

 当社グループの属する情報サービス産業では、ビッグデータの活用、AIやIoTの発展等、業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響により、さらに変化が加速しております。

 産業の生産性向上や高付加価値化の実現に向けたデジタル基盤整備、IT技術の活用によりビジネスモデル自体を変革する「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」の取り組みに加えて、新型コロナウイルス感染症を契機として、デジタル化・リモート化を最大限活用することによって個人、産業、社会といったあらゆるレベルにおいて変革が生まれ、新たな価値の創造へとつながっていくと考えられております。これらの大きな転換期においても「データが価値創出の源泉」であることは不変であり、IoT、ビッグデータ、AIは更に重要な位置付けとなっております。

 なかでも当社グループが注力する国内IoT市場は、2024年まで12.1%の年間平均成長率で成長し、2024年には12兆6,363億円に達すると予測されています(IDC Japan株式会社「国内IoT市場産業分野別予測とユースケース別の事例考察」)。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、創業以来「ゆりもっと」「現場ロイド」という主力パッケージサービスを中心に、数多くの実績を積み重ねてきました。その間、IoT分野は今後数年間にわたって高い成長率を維持する成長分野と目されるようになり、多くのコンペティターが参入してきました。当社は以下の事項を重要課題として取り組み、コンペティターとの競争の中でも、安定的な利益獲得と事業の健全な成長を継続し、社会貢献並びに企業価値向上に努めてまいります。

① ストック収益の強化

 当社は創業以来、主力パッケージサービス「現場ロイド」「ゆりもっと」の普及を主たる原動力として成長してきましたが、「現場ロイド」は、建設投資動向により需要状況が大きく左右されます。建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。また、「ゆりもっと」はサービスが積雪地域に限定され、原油価格の動向や天候により需要状況が大きく左右されます。

 このような状況下、当社は安定した収益基盤を築き上げるためにストック収益の拡大を図っており、具体的な施策として通信キャリア等とのアライアンスを強化し、市場成長率が高い分野であるインテグレーションソリューション、GPSソリューションの営業を強化しております。

②人材の確保、育成

 当業界においては技術革新のスピードが速いため、先進のノウハウと開発環境を継続的に更新する必要があります。また、そのような環境からアウトプットされる自社サービスも同様に日々進化することから、営業担当者には新技術や自社サービスの動向を常にキャッチアップする姿勢・資質が求められます。

 以上のことから、当社は今後も環境の変化に対応し、常に新しい技術を利用した価値を提供していくため、開発環境の整備、優秀な人材の採用・教育に努めてまいります。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の投資判断上、有用であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)市場環境に関するリスクについて

①技術革新について

 当業界においては、技術革新のスピードが速いため、先進のノウハウと開発環境を保有し、かつそれらを継続的に進化させていく必要があります。当社においては、常に新しい技術を利用したシステム構築に挑戦しており、迅速な環境変化に対応できるよう技術者の採用・教育、開発環境の整備等を進めております。しかしながら、当社の想定を超える技術革新等による著しい環境変化等が生じた場合、当該変化に当社が対応することができず、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②業績の変動要因について

 コンストラクションソリューションの主なパッケージサービスである「現場ロイド」は、建設投資動向により需要状況が大きく左右されます。また、建設投資動向は、民間設備投資や国及び地方公共団体の公共事業予算に影響を受けます。

 

(2)当社グループの事業に関するリスクについて

①不採算プロジェクトについて

 当社は、顧客からソフトウエア開発を受託するにあたり、あらかじめサービスの対価や納期を定めた請負契約を締結する場合があります。当該契約を締結したプロジェクトについては、原則として受注金額が契約時に確定し、定められた納期までにソフトウエアを完成して納品する責任が当社側に発生します。

 当社は、ソフトウエア開発プロジェクトの請負契約を締結するにあたっては、発生が見込まれるコストを積み上げ、それに適正な利潤を乗せたものを見積り金額として提示しております。また、プロジェクトの受注後は、進捗状況を管理するプロジェクトの責任者を選任し、社内関係者及び顧客に対して定期的に進捗状況を報告することとしております。当該報告は担当役員によるモニタリングの対象としており、受注前の見積り金額の妥当性や受注後の進捗状況をモニターし、プロジェクトに係る適正な利益を確保するよう努めております。

 しかしながら、すべてのプロジェクトに対して必要コストを正確に見積ることは困難であり、仕様変更や追加作業に起因する作業工数の増大等が発生する可能性があります。また、当社の提供するソフトウエア製品・サービスにおいて、予期せぬ不具合(バグ)の発生やサービス不良等の品質上の問題により、手直し等の追加コストの発生や損害賠償が発生する可能性があります。これらのことが発生した場合、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②売上原価について

 当社の売上原価の大部分は、技術者に係る人件費及び外注費で構成されております。

 当社従業員の人件費は固定費であり、当社の受注量が急減して稼働率が低下した場合においても、それに応じて技術者に係る人件費が減少するわけではありません。当社は、顧客との長期的・安定的な取引関係を構築し、また事業内容や顧客の多様化を図ることで、外部環境の変化に左右されにくい収益構造の構築に努めておりますが、受注量が急減した場合、収益性が悪化する可能性があります。

 また、業界全体で技術者不足が発生した場合、外注先から単価の値上げを求められる可能性があります。その場合、当社は、販売単価の値上げを顧客に対して求めていく方針でありますが、当該値上げ分を顧客への販売単価に転嫁できなかった場合、当社の収益性に影響を与える可能性があります。

 

③販売店との関係について

 当社グループは、受注活動の一部を販売店に委託しております。これは、きめ細かな顧客フォローや信用能力などで優れた販売店を活用することが有効だと判断しているものであり、今後も販売店とのパートナーシップを維持・強化していく方針です。

 しかしながら、何らかの理由による販売店との契約解消、若しくは販売店の経営状態が悪化した場合には、現状の受注活動に影響する可能性があります。

 

④主要顧客への依存について

 当社グループの全売上高に占める割合が10.0%以上となる主要顧客の数及び売上高の割合の合計は、2019年3月期において2社にて39.5%、2020年8月期において1社にて24.3%となっております。

 当社グループは、今後において、当該顧客との取引に関して拡大を図っていきながらも、新規顧客等、当該顧客以外との取引の拡大を図り、当該顧客への依存度の低減に努めてまいりますが、何らかの事情により、当該顧客との取引が大幅に減少した場合、もしくは当該顧客との取引の継続が困難な事態に陥った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤業績の季節的変動について

 当社グループは、提供するサービスの性質上、10月~翌3月に役務提供が集中することから、売上高の計上に関して以下の通り季節的変動がございます。

ソリューション

季節的変動の説明

インテグレーションソリューション

システムの受託開発は、システム投資動向に左右され、多くの顧客が決算直前期の納品を希望することから、毎年1月から3月がソリューション提供及び売上高計上のピークとなります。

コンストラクションソリューション

「現場ロイド」は、公共工事現場に対するサービス提供が中心であり、需要状況が工事現場数に相関することから、毎年9月から11月がサービス提供及び売上高計上のピークとなります。

モニタリング

ソリューション

「ゆりもっと」のロードヒーティング遠隔監視代行業務に係る売上が収益の柱であることから、積雪期である毎年12月から翌3月がサービス提供及び売上高計上のピークとなります。

 

⑥営業活動によるキャッシュ・フローについて

 当社グループは提供するサービスの性質上、10月~翌3月に役務提供が集中することから、一定期間内で見た場合、売上高が増加する局面においては、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスになりやすい状況にあります。従って、当社は、大口顧客からの前受金の収受や借入先となる金融機関との良好な関係の構築に努めてまいります。

 2020年8月期の営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスであり、売上債権及びたな卸資産の増加等により、将来の営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなる可能性があります。

 現時点において、実質的な資金収支は問題ない状況で推移しておりますが、今後も引き続き留意してまいります。

 

⑦競合会社の参入について

 当社グループの属するIoT市場は、近年拡大を続けているため、当社グループのビジネスモデルと同様のビジネスモデルを掲げる新たな競合企業が誕生し、今後も増加する可能性があります。

 当社は、多様な環境下で培ったクラウドセンシングのノウハウを活用し、また独自の新規顧客獲得戦略を採用することにより、他社との差別化を図り、継続的な事業成長に努めておりますが、そのような競合企業の参入により、当社の優位性が失われ、そのような競合企業と当社の主要顧客企業との間で取引が開始され、当社と当該顧客企業との取引が縮小される可能性は否定できず、かかる事態となった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧有利子負債への依存及び金利動向の影響

 当社グループは、事業資金について自己資金の他、金融機関からの借入等により調達しております。

 

 

第14期連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年8月31日)

総資産額(千円)

1,960,345

有利子負債合計(千円)

613,570

有利子負債依存度(%)

31.3

支払利息・社債利息計(千円)

4,122

 (注) 有利子負債は、社債、長期借入金の合計です。

 

 第14期連結会計年度末時点に残高のある有利子負債は、すべて固定金利を適用しており、金利上昇局面における短期的な影響は限定的でありますが、将来長期的に金利が上昇し、資金調達コストが増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

棚卸資産について

 当社グループは、IoTソリューションの企画及びこれに付随する端末製造、通信インフラ、アプリケーション開発並びにクラウドサービスの運用・保守に関する業務をワンストップで提供する事業を展開しております。その中で、メンテナンス性やセキュリティ、アプリケーションとの連携等の観点から、独自デバイスを企画、製造する場合があります。想定される需要予測や規模の経済、在庫リスク等を勘案して製造や購買を行っておりますが、実際の市場状況が当社グループの見積りより悪化した場合、棚卸資産評価損を計上する可能性があります。

 

(3)会社組織に関するリスク

①代表者への依存について

 当社代表取締役である入澤拓也は当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であり、当社の事業運営における事業戦略の策定や業界における人脈の活用等に関して、重要な役割を果たしております。

 当社は、同氏への過度な依存を回避すべく、経営管理体制の強化、経営幹部職員の育成、採用を図っておりますが、現時点において同氏に対する依存度は高い状況にあると考えております。今後において、何らかの理由により同氏の当社における業務遂行の継続が困難となった場合、当社の事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人材の確保、育成について

 当社は、IoTインテグレーション事業において事業領域の拡大を行ってまいりましたが、今後のさらなる業容拡大に対応するためには、今後も積極的に優秀な人材を採用・教育し、また魅力的な職場環境を提供していく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大に応じた採用活動・人材育成が計画どおりに進まず、人材の適正配置が困難となることで競争力低下等が生じた場合、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)法的規制に関するリスク

 当社の外注等の商行為は、「下請代金支払遅延等防止法」等の法的規制の影響を受けます。これらの法規制等の導入・強化・改正等に対して当社が適切に対応できない場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) その他のリスクについて

①新型コロナウイルス感染症拡大について

 世界的に流行している新型コロナウイルス感染症拡大が続いており、収束の時期や感染拡大による影響が見通せないため、先行きは非常に不透明な状況であります。

 当社グループの従業員に新型コロナウイルス等の感染が拡大した場合、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。リスク極小化を図るため、在宅勤務の実施、時差出勤、マスク着用の徹底、除菌・消毒設備の設置などを実施し感染予防に努めております。

 また、深刻な経済悪化が持続した場合には、部材調達の遅延や、商談機会減少による新規取引案件の減少等により、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②知的財産権の保護に関するリスクについて

 近年、当業界においては、自社技術保護のための特許申請が増加する傾向にあります。当社も自社技術保護、他社との差別化及び競争力のあるソリューションを永続的に提供するため、知的財産権の取得・保護活動を行っていく方針であります。当社の知的財産が第三者によって侵害された場合、知的財産権の保護のため、かかる侵害者に対する訴訟及びその他防衛策を講じる等、当該対応に経営資源を割くことを余儀なくされることになり、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社では、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めており、現時点において侵害はないものと認識しておりますが、将来において第三者の知的財産権への侵害が生じてしまう可能性は否定できません。当社がソリューションを提供する上で第三者の知的財産権を侵害していることが発覚した場合、当社への損害賠償請求、信用の低下により、事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③個人情報・機密情報漏えいに関するリスクについて

 当社は、業務に関連して顧客や取引先等の個人情報及び機密情報を取り扱う場合があります。

 当社では、情報管理に関する全社的な取り組みとして、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格認証の取得などを通じ、情報セキュリティ維持向上を目指しております。当社事業所においては、個人情報・機密情報書類を格納したキャビネットの施錠管理、ファイルフォルダへのアクセス制限等、情報漏えいの防止に努めております。また、個人情報につきましては、個人情報保護方針の公表等を行っております。

 以上のような施策により、当社は、個人情報・機密情報の漏えい防止に努めておりますが、万が一、個人情報・機密情報が外部に漏えいするような事態となった場合には、当社の信用失墜による売上の減少又は損害賠償による費用の発生等により、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 なお、当社は、業務の一部について外注委託を活用しておりますが、外注先に対しても機密保持契約書を入手し、必要に応じて管理体制の報告を求めるなど情報管理体制の整備強化に努めております。しかしながら、外注先による情報漏えいが発生した場合、それが外注先に起因するものであっても、当社の信用の失墜、損害賠償の請求等が発生する可能性があり、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④情報システムトラブルについて

 当社は、社内のコンピュータシステムに関して、バックアップ体制を確立することによる災害対策を講じておりますが、地震や火災などの災害、コンピュータ・ウィルス、電力供給の停止、通信障害、通信事業者に起因するサービスの長期にわたる中断や停止、現段階では予測不可能な事由によるシステムトラブルが生じた場合、当社の事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ストック・オプションについて

 当社は、ストック・オプション制度を採用しており、当社の取締役、監査役及び従業員に対して会社法の規定に基づき新株予約権を付与しております。2020年8月31日現在の発行済株式総数は5,156,800株であり、ストック・オプションによる潜在株式123,600株が全て行使されたと仮定した場合のシェアは4.5%に相当しております。これらは、当社の事業発展のために優秀な人材の確保・獲得のためのインセンティブ施策として実施しており、必ずしも既存株主の利害と相反するものではありません。しかしながら、新株予約権の行使が行われた場合には、当社1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また新株予約権の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、市場の需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を与える可能性があります。

 

⑥訴訟等について

 当社は、本書提出日現在において、業績に重大な影響を与える訴訟・紛争には関与しておりません。

 しかしながら、様々な事由により、今後直接又は間接的に何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社の業績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦配当政策について

 当社は、設立以来、当期純利益を計上した場合であっても、まず内部留保を充実し、財務基盤の強化が重要であると考え、配当を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題の一つであると考えておりますが、今後企業価値を高めるため内部留保を使用して機動的な投資を行うこともあり、無配を継続する可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは当連結会計年度より連結決算に移行いたしました。また、決算期変更に伴い17ヶ月の変則決算となっております。そのため、前期との比較は行っておりません。

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループの属する情報サービス産業では、ビッグデータの活用、AIやIoTの発展等、業界を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響により、さらに変化が加速しております。

 これまでの、産業の生産性向上や高付加価値化の実現に向けたデジタル基盤整備、IT技術の活用によりビジネスモデル自体を変革する「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」の取り組みに加えて、新型コロナウイルス感染症を契機として、デジタル化・リモート化を最大限活用することによって個人、産業、社会といったあらゆるレベルにおいて変革が生まれ、新たな価値の創造へとつながっていくと考えられております。これらの大きな転換期においても「データが価値創出の源泉」であることは不変であり、IoT、ビッグデータ、AIは更に重要な位置付けとなっております。

 なかでも当社グループが注力する国内IoT市場は、2024年まで12.1%の年間平均成長率で成長し、2024年には12兆6,363億円に達すると予測されています(IDC Japan株式会社「国内IoT市場産業分野別予測とユースケース別の事例考察」)。

 

 このような環境のもと、当社グループはインテグレーションソリューションを中核事業として育成するプランを掲げており、2018年4月からの3ヶ年を将来の飛躍的成長に向けた経営基盤強化期に位置付け、先行投資とした人員強化の推進等の取り組みを実施してまいりました。さらに、法人向けIoTビジネスのスケール化を目指し、2019年1月15日にKDDI株式会社と資本提携契約及び業務提携契約を締結し、多様なIoTインテグレーションを提供するとともに、今後インフラの整備が急速に進むと見込まれるLPWA・第5世代移動通信システム(5G)といった新たな通信規格や、AI、DX等を実現するための様々な関連テクノロジーを積極的に活用し、事業を展開してまいります。

 

 インテグレーションソリューションにおいては、パートナー企業を通じた営業活動が進展し、顧客基盤の拡大、ストック売上の積み上げが続いております。

 コンストラクションソリューションにおいては、営業人員強化、東海エリアへの営業所設置による活動エリア拡充が、土木関連市場の情報化施工案件の獲得、防災対策のIoT化といったニーズの高まりへの対応につながり、顧客基盤の拡大は堅調に推移しております。

 モニタリングソリューションにおいては、パッケージサービスの導入件数の増加による累計契約数拡大が続いているほか、3Gサービス終了を見据えた3G端末からLTE端末へのリプレイス案件も多くフロー売上拡大に寄与いたしました。また、第3四半期連結会計期間より株式会社ストークの損益計算書を連結しております。

 GPSソリューションにおいては、新型コロナウイルス感染症による活動自粛も影響し、新端末リリース後の受注獲得に向けた営業活動の立ち上がりが遅れフロー売上が伸び悩みました。

 また、当社グループは事業基盤の更なる強化を目指し生産性の向上、キャッシュ・フローの改善に向けた取組みを行っております。その一環として棚卸資産についてより慎重に評価を行うため棚卸資産の評価方法を精緻化したことに伴い、棚卸資産評価損412,169千円を計上いたしました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,859,046千円、営業損失339,090千円、経常損失331,307千円、親会社株主に帰属する当期純損失393,515千円となりました。

 

 また、財政状態の概況は以下の通りです。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、1,596,744千円となりました。主な内訳は、現金及び預金611,620千円、電子記録債権186,280千円、受取手形及び売掛金386,309千円、商品及び製品199,514千円、原材料及び貯蔵品111,657千円であります。なお以上の棚卸資産は、当連結会計年度に計上した棚卸資産評価損412,169千円を反映したものであります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、363,601千円となりました。主な内訳は、有形固定資産160,859千円、投資その他の資産102,386千円、無形固定資産100,355千円であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、449,493千円となりました。主な内訳は、支払手形及び買掛金127,843千円、1年内返済予定の長期借入金158,286千円であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、457,721千円となりました。主な内訳は、長期借入金355,284千円、社債100,000千円であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、1,053,129千円となりました。主な内訳は、資本金614,876千円、資本剰余金604,876千円、利益剰余金△146,612千円であります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、610,620千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果減少した資金は278,370千円となりました。これは主に、減価償却費160,324千円、たな卸資産の増加額16,469千円、仕入債務の増加額15,560千円、未払又は未収消費税等の増加額16,204千円があった一方で、は税金等調整前当期純損失362,103千円、売上債権の増加額100,926千円、法人税等の支払額62,999千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果減少した資金は18,985千円となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入104,190千円があった一方で、無形固定資産の取得による支出71,080千円、投資有価証券の取得による支出38,077千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果増加した資金は141,179千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出164,560千円、社債の償還による支出50,000千円があった一方で、長期借入れによる収入380,000千円があったこと等によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売実績はソリューション別に記載しております。

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年8月31日)

インテグレーションソリューション(千円)

131,330

コンストラクションソリューション(千円)

494,104

モニタリングソリューション(千円)

49,228

GPSソリューション(千円)

390,315

合計(千円)

1,064,978

 (注)1.上記の金額は、製造原価の金額となっております。

2.製造原価は材料仕入高、直接労務費及び外注費の金額によっております。製造原価とは製品及びソフトウエアの製造に係る原価であり、機器の設置工事委託費、融雪装置遠隔監視業務委託費等の製造以外の原価は含まれておりません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

受注高(千円)

受注残高(千円)

インテグレーション

ソリューション

381,453

16,450

コンストラクション

ソリューション

1,391,646

116,890

モニタリング

ソリューション

515,717

49,006

GPSソリューション

598,807

4,769

合計

2,887,625

187,116

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

ソリューションの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年8月31日)

インテグレーションソリューション(千円)

374,631

コンストラクションソリューション(千円)

1,411,514

モニタリングソリューション(千円)

476,829

GPSソリューション(千円)

596,071

合計(千円)

2,859,046

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年8月31日)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社仙台銘板

695,766

24.3

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等は、以下のとおりであります。

a.経営成績等の状況

(売上高)

 当社グループは、報告セグメントがIoTインテグレーション事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。以下の説明においては、インテグレーションソリューションの他、同ソリューションから派生したソリューションであるコンストラクションソリューション、モニタリングソリューション、GPSソリューションに区分して表記しております。

・インテグレーションソリューション

 IoTプラットフォーム「FASTIO」を利用したソリューション提供によるイニシャル売上及び通信利用料やアプリケーション利用料等から構成されるストック売上の積み増しが寄与しております。その結果、売上高は374,631千円となりました。

・コンストラクションソリューション

 営業人員強化、東海エリアへの営業所設置による活動エリア拡充が、土木関連市場の情報化施工案件の獲得、防災対策のIoT化といったニーズへの対応につながり、顧客基盤の拡大は堅調に推移しております。当連結会計年度はソフトウエア開発を含むカスタマイズ案件が多く納品となり、売上高は1,411,514千円となりました。

・モニタリングソリューション

 主なパッケージサービスである「ゆりもっと」は、新規導入時の端末提供料と、導入後の遠隔監視サービス提供料で構成されます。遠隔監視サービスは解約者が少なく、年々利用者数を増やしていることから、遠隔監視サービス提供料が増加しました。当連結会計年度は3Gサービス終了を見据えた3G端末からLTE端末へのリプレイス案件も多くフロー売上拡大に寄与いたしました。また、第3四半期連結会計期間より株式会社ストークの損益計算書を連結しております。その結果、売上高は476,829千円となりました。

・GPSソリューション

 2017年頃より、交通事故のリスクを軽減するため、法人車両へのドライブレコーダー等のテレマティクス端末を導入する企業が増加しております。このような事業環境の下、累計契約数は拡大しており、ストック売上の積み上げが続いております。一方で、当連結会計年度は新端末リリース後の受注獲得に向けた営業活動の立ち上がりが遅れ、フロー売上は伸び悩み、売上高は596,071千円となりました。

 

(売上原価・売上総利益)

 主力サービスであるコンストラクションソリューションを筆頭として、堅調に収益を獲得した一方で、棚卸資産評価損412,169千円の計上が大きく影響し、売上原価は当初想定を上回る2,122,071千円、売上総利益は736,974千円となりました。

 当社は現在、事業基盤の更なる強化を目指し生産性の向上、キャッシュ・フローの改善に向けた取組みを行っております。その一環として棚卸資産についてより慎重に評価を行うため、棚卸資産の評価方法を精緻化したことにより、当該評価損の計上に至っております。そのため財務体質向上に向けた変革に伴う一過性のものと判断しておりますが、今後も仕入に関するガバナンスの強化と、ベンチャー企業としての迅速な意思決定のバランスを見極めながら体制強化、財務体質向上を図ってまいります。

 

(販売費及び一般管理費・営業損失

 給料及び手当や役員報酬など、主に組織強化のための人件費の増加により、販売費及び一般管理費が1,076,065千円となりました。その結果、当連結会計年度における営業損失は339,090千円となりました。

 

 

(営業外損益、経常損失)

 当連結会計年度における営業外収益は、12,105千円となりました。また、営業外費用は4,322千円となりました。この結果、経常損失は331,307千円となりました。

 

(税金等調整前当期純損失、親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は362,103千円、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、393,515千円となりました。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの事業活動における主な運転資金需要は、人件費(売上原価やソフトウエアに計上されるものを含む)、仕入(通信費を含む)等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉の安定的確保を図る趣旨の下、短期運転資金を自己資金で、設備投資や長期運転資金の調達については金融機関からの長期借入で賄うことを基本原則としております。当連結会計年度末現在、有利子負債残高は613,570千円、総資産に対する借入金の割合は31.3%となっております。

 主要な取引先金融機関とは良好な関係を維持しており、流動性確保のため、600,000千円の当座貸越契約を締結しております。当連結会計年度末現在、借入実行残高はありません。

 なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 コロナウィルス感染症が会計上の見積りに与える影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当社は2019年1月15日に、KDDI株式会社と業務・資本提携契約を締結しました。当社は、同社を割当先とする第三者割当により500,000株の新株式を発行し、631,500千円の資金調達を行いました。また当社は、当該提携契約によりKDDI株式会社との相互関係を構築・強化を図り、「法人向けIoTビジネスのスケール化」に向けた取組みを実施しております。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、「あなたの『見える』を、みんなの安心に。」というコーポレートスローガンを掲げ、IoTを通じてより安心な社会の実現に貢献するための研究開発活動を行っております。

 なお、当社は、IoTインテグレーション事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しております。

 

 当連結会計年度は主に、IoT・AI・BOT技術を活用した新サービス開発を行っており、研究開発費の総額は11,548千円となっております。