第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの中長期的な成長にあたり関連する経営課題は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(経営方針)

 当社グループは、時代の最先端にある、未知なる領域を開発することに挑戦してまいりました。インターネット広告事業を主軸の収益源としながら、世界を驚かすような未知なる新規事業の創出に挑戦しております。

 例えば広告領域においては、創業以来高い技術力をもとにユニークで新しい広告商品を自社開発で展開してまいりました。技術力を生かし複数のアドテクノロジーサービスを自社開発で立ち上げてきたのみならず、広告代理事業の立ち上げを行い、販売力を強化してまいりました。近年は、技術力と販売力を融合させ、高い技術力を生かしてサービスを素早く開発し、世の中にまだ知られていないものを高い販売力で成長させることができるようになりました。 このように、通常は役割分担されている代理店、メディアレップ、アドテクベンダーの機能の全てを保有していることにより、ユニークかつ高収益な広告事業の創出につなげております。

 広告事業のみならず、近時は当社グループの社内制度や文化を背景に、HR領域での新しいサービスとなるUniposを創出、成長させてまいりました。従業員同士が「感謝の言葉」と「ピアボーナス」をWeb上で送り合えるサービスであるUniposは、互いの貢献を、従業員同士の言葉により組織全体に見える化することで、モチベーション向上や信頼関係の醸成、異なるチーム間の連携に繋がるなど、組織の生産性を落とす様々な組織課題を解決へと導くサービスであります。2020年3月時点において、1年間で利用社数は約1.5倍、社員アカウント数は約1.7倍という急速な成長を実現しております。

 さらに、当社グループの広告事業がUniposのマーケティングに大きな貢献をしたことをうけ、2019年にはUniposで成果が実証されたマーケティング手法を他社に展開するコンサルティングサービスを開始いたしました。

 事業のモデルや成長のフェーズが異なる複数の領域で事業を展開する当社グループは、広告事業及びUnipos、さらには両者が安定的に売上を伸ばし、そのキャッシュ・フロー創出力により得られた信用力をもって資金調達を行い、HR領域を成長させております。

 

(経営環境)

① Unipos事業

 Uniposが対象とする働き方改革関連市場は、生産性改革や働き方の多様化に伴い、ますますの拡大が見込まれます。我が国において賃上げは実現しつつあるものの、社会全体の生産性は下がり、かつ社会保険料等の負担増で可処分所得が伸びなくなっています。賃上げ促進の流れの中で、企業側と従業員側の双方にメリットがある賃上げを実現するニーズ高まりつつあることに加え、時間外労働の上限規制が課せられる中、時間外労働の削減により減少した残業代をどのように再配分するかも、同じく問われています。さらには、給与面以外においても、生産性改革や働き方の多様化がこれまで以上に求められる環境にあると言えます。このような環境下、今後社員のエンゲージメントを高め、生産性を高めていく社会的要請は高まっています。

 2019年に発生し、2020年6月現在も進行中である新型コロナウイルス感染症の拡大により、従業員が職場に集うことを前提としない「テレワーク」が進展しました。また、2020年6月に実施された内閣府の調査によると、調査対象となった就業者のうち全国では34.6%、東京23区では55.5%がテレワークの経験を有しており、東京都におけるテレワーク経験者55.5%のうち9割以上がテレワークの利用を希望していることが明らかになっています。

 一方、2020年4月に当社が実施した意識調査によると、テレワーク長期化に伴う組織課題として、テレワークを実施している一般社員の44.6%が「チームとしての生産性が低下した」と回答し、また管理職の56.1%が、「テレワーク前より、部下の仕事ぶりが分かりづらい」と回答しています。テレワークが長期化したら深刻化すると思う課題の筆頭として、管理職・一般社員のいずれも、「コミュニケーションの取りづらさ」を指摘しており、逆にテレワーク開始後に自部署・部門の生産性の変化にプラスの効果をもたらしていると考えられるITツールの筆頭として、「従業員エンゲージメント向上ツール」が挙げられました。

 以上のように、働き方改革の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大をうけたテレワークの普及とともに、企業の中で一体感を醸成することの難しさが顕在化しつつある状況であり、従前以上にピアボーナスを通じた従業員のエンゲージメント向上が求められる環境になっております。

② 広告事業

 広告事業が対象とするインターネット広告市場は、一般生活者の可処分時間の過半がインターネットに移行した一方、広告市場全体の中では未だインターネット広告の占める割合は低く、成長余力があると言えます。一般消費者の可処分時間に占めるインターネットの割合は50%を超えており(※1)、マス広告や販売促進費関連の投資はインターネット/デジタルに本格的に移行することが見込まれます。他方、我が国の広告市場全体に占めるインターネット広告費の割合は2019年度の30.3%にとどまっており、世界全体で見た比率43.0%と比べるとまだ大きな伸びしろがあると言えます(※2)。可処分時間に占めるインターネット/デジタル割合と比較しても、まだ成長余力が高いことが期待されます。

 一方、プライバシー保護に対する社会的要請の高まりや、ブランドを毀損しない広告枠への需要の高まり等、インターネット広告産業は変化する変革期にあります。ITPや大手プラットフォーマーのデータ取扱/利用についての問題等、データの取扱については今まで以上に制約がかかるものと見込まれます。従前から欧州においてGDPRやePrivacy Regulation等、生活者のデータの保全・主権についての議論が活発であったことをうけ、我が国においても「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が2020年3月に閣議決定されるなど、個人情報保護にむけた法制度の整備が進展している状況です。このように、今後も、メディア・広告主ともに生活者自身が保持するデータを蓄積/活用していくことへの社会的要請が高まっていくものと考えられます。また、ブランド広告主は一般にデジタルを中心としたマーケティング戦略を描く必要性に迫られる状況にあるものの、一方でブランドを毀損しない広告枠へのニーズはより高まっている状況です。

 高い市場の成長性が引き続き見込まれると同時に、プライバシー保護やブランドを毀損しない広告枠に対する社会的要請がますます高まっており、インターネット広告市場にとって大きな転換点に差し掛かっていると当社は考えております。

 

※1 出所:株式会社博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査」

※2 出所:株式会社電通「2019年 日本の広告費」及び電通イージス・ネットワーク「世界の広告費成長予測(2019~2021)」

 

(中期目標)

 上記のような環境の中、2019年に発表した当社の中期的経営方針に沿い取り組んだ結果、Unipos事業においては予定どおりにマーケティング投資を実行し、新型コロナウイルス感染症の影響もあり大企業の利用開始に遅れがあったものの、アカウント数は前年の約1.7倍に増加いたしました。また広告事業においては、小学館・集英社とともにマンガアプリ広告の共同プラットフォームとして、「Manga Ad Platform」を発足、また広告代理領域においては、クライアントや分野の集中と選択を進めました。

 上記の進捗をうけ、当社は各事業ごとに以下の中期的方針に沿って取り組んでまいります。
① Unipos事業

・ピアボーナス領域におけるリーダー的地位を確保

・アカウント数20万又は同等のMRRを目指す

・解約率1%以下を維持

② 広告事業

・メディア及びクライアントサービス領域において提供を開始した新規サービスの成長、特に広告代理領域においては、クリエイティブコミュニケーションの強化

・当面は新型コロナウイルス感染症による市況悪化の影響を受けることが想定されるが、早期回復を目指す

 

(経営戦略)

① Unipos事業

 Uniposが対象とする働き方改革関連市場は、今後ニーズが高まる生産性改革や働き方の多様化に伴い、ますますの拡大が見込まれます。Uniposはこの働き方改革関連市場の中でも特に伸びが大きいサービスであります。2020年3月期の投資の結果、Uniposのアカウント数並びに売上が成長を継続しました。また、マーケティング投資の知見の蓄積により、今後は費用対効果を高めていくことが見込まれます。そのため、2021年3月期もマーケティング投資を行いますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による市況の不透明感への備えとして、費用対効果の高い施策に絞り投資を実行することで、マーケティング費用は前年比約2億円削減します。Uniposは現状解約率が低く、顧客との取引が長期にわたる性質を持つことから、顧客獲得のための投資は何年にもわたり継続的に上がる収益で回収可能という事業の構造を有します。そのため、2021年3月期のマーケティング投資の水準は将来の期待収益に照らし回収可能と考えております。

② 広告事業

 広告事業が大きな転換点にある中、当社が展開してきたプレミアムコンテンツを持つパブリッシャーとのパートナーシップや、インターネット広告の透明性・信頼性を高める活動が従来にも増して社会的ニーズを捉える好機となったと考えております。そのため当社は、一般の生活者に対して、広告主・コンテンツパブリッシャー・大手プラットフォーマーといった、すべてのステークホルダーと共創し、あるべき姿を提言してまいります。

 当社の広告事業は、「広告主やメディアの事業成長をともに実現する唯一無二のパートナーとなる」をビジョンに掲げ、事業成長に直結する指標からマーケティング戦略を実施・評価・改善する仕組み、コンテンツ価値の向上と広告収益の両立をするプロダクト及びサービスの提供を通じ、顧客とともに事業と社会を成長させていくことに貢献します。

 具体的な打ち手としましては、以下の2つに注力してまいります。

 i)    大手メディアとのパートナーシップ強化:既存のパートナーシップを強化しながら、GrowLioを中心にプレミアムコンテンツを持つパブリッシャーとのパートナーシップを強化し、独自性の高い広告商品の開発を進めてまいります。

 ii)   大口広告主の開拓強化:自社の強みであるデータを活用したマーケティング戦略構築の資産を、ブランド広告主や大手ダイレクト広告主に展開してまいります。

 

(優先的に対処すべき課題)

① 成長投資のための資金の獲得

 事業成長に向けた大規模な投資に備え、広告事業によるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入による資金調達を図っております。

 また、新型コロナウイルス感染症の広がりをうけ、さらなる資金の確保を目指し、長期借入および当社本社の敷金を裏付けとした約3.8億円の調達を実施いたしました。

② マーケティング投資の実行

 2019年3月期対比投資金額を増加させた2020年3月期は、これにより、顧客拡大とともにマーケティングの知見を蓄積する年度となりました。前述の通り不透明な市況感への備えとしてマーケティング投資を絞りつつ、引き続き成長を目指すことができると考えております。

③ 競合との差別化

 ピアボーナスとしてのUniposのみならず、Uniposの利用を通じ企業のSDGs達成にも貢献できる、「Unipos SDGsプラン」を提供開始するとともに、日本初・国内最大級のクラウドファンディングサービス「READYFOR」を運営するREADYFOR社との提携を行うなど、ピアボーナス領域における競合との差別化を進めております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しております。

 

(1)他社との競合について

 当連結会計年度末現在において、Uniposには強力な競合サービスは現れていないと認識しております。競合の参入があっても競争力を保てるよう、これまで当社は積極的なマーケティング投資を通じ顧客獲得に努めるほか、大企業向け機能等を先行して機能開発を行ってまいりました。今後も、マーケティング投資により早期に顧客を増加させ、Uniposのブランドを確立するとともに、さらなる機能開発、商標権や特許権などの知的財産権の取得及び保持に努めることにより、競争力を維持してまいります。

 しかしながら、Uniposが対象とする働き方改革関連市場の成長とともに、事業機会に着目した競合サービスが現れる可能性があります。資金力や知名度等を活かして競合が当該市場に参入してきた場合には、当社グループの事業の状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)新型コロナウイルス感染症の拡大について

 当連結会計年度末現在において、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因した売上の減少や解約の急増等、直接的な影響は限定的であったと認識しております。しかしながら、同感染症の拡大によりUniposの受注や利用開始時期が遅れる等により、Unipos事業の状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また広告予算の減少により、当社広告事業の状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)プライバシー保護について

 当社グループは、個人情報及び利用者のプライバシーを尊重し、「個人情報の保護に関する法律」、「EU(欧州連合)一般データ保護規則(GDPR)」等の法令を遵守しております。特に広告事業においては、プライバシー保護に対する社会的要請の高まりを受け、生活者のデータの保全・主権に資する広告手法が求められるようになってきています。当社グループは従前からインターネット広告の透明性・信頼性を高める活動を続けており、今後もこうした活動を続け社会の要請に応えてまいります。

 しかしながら、プライバシー保護に関する各種規制が変更され、当社グループとしての対応が遅れた場合、当社グループに対する信頼性が低下する可能性があり、事業の状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)特定人物への依存について

 当社グループの代表取締役である田中弦は、インターネット広告業界に関する豊富な知識と経験を有すると認識しており、経営戦略の構築等に際して重要な役割を担っております。当社グループは、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)特定の取引先への依存について

 当社グループの主要な取引先であるエン・ジャパン株式会社への売上高が、当社グループの売上高に占める割合は、前連結会計年度で47.2%、当連結会計年度で45.0%となっております。また、メディアグロースサービスにおいて支援している「docomo Ad Network」のレベニューシェアが拡大してきております。今後も、当該企業との良好な関係を続け、また取引先の多様化に努めてまいりますが、当該企業の事情や施策の変更、新型コロナウイルス感染症の拡大等何らかの理由により当該企業との取引が大きく減少するような場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)情報セキュリティについて

 当社グループが運営するサービスには、氏名、住所、性別、生年月日、電話番号等の利用者個人を特定できる情報を取得しているため、「個人情報保護に関する法律」における個人情報取扱事業者として同法の適用を受けております。個人情報の管理については、社内でのアクセス権限の設定、アクセスログの保存、外部データセンターでの情報管理、個人情報管理に関する規程の整備を行っております。また、従業者に対し個人情報保護についての教育等を通じて関連ルールの存在を周知徹底し、意識の向上を図ることで関連ルールの遵守に努めております。さらに、Unipos株式会社として、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO27001(ISMS)」の認証を取得するなど、情報セキュリティの確保に積極的に取り組んでおります。

 しかしながら、外部からの不正アクセス、社内管理体制の瑕疵、その他想定外の事態の発生により個人情報が社外に流出した場合、損害賠償請求を受ける可能性や当社グループの社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの事業の状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)システムの安定性について

 当社グループが運営するサービスの中には、24時間稼働、年中無休での運用が求められているものがあるため、システムの安定的な稼動が当社グループの業務遂行上必要不可欠な事項となっております。そのため、当社グループでは継続的な設備投資を実施するだけではなく、使用しているサーバー設備やネットワークの監視や、定期的なデータのバックアップ等、システム障害の発生防止に努めております。

 しかしながら、アクセスの急増、コンピューターウィルス、自然災害等、当社グループの想定していない事象の発生によるサービスの停止により収益機会の喪失を招く恐れがあります。このような事態が発生した場合には当社グループが社会的信用を失うこと等が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)災害等の発生について

 当社グループは、地震、火災等の自然災害やテロ事件等が発生した場合に備え、事業活動に必要なサーバーについては定期的なバックアップ、稼働状況の監視等により当社グループのサービスの一時停止の事前防止又は回避に努めております。しかしながら、これら自然災害やテロ事件等により、電力その他のエネルギーの使用が制限された場合には、当社グループが提供するサービスが一時停止となる恐れだけでなく、広告主の収益悪化に伴う広告需要減退等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

(ⅰ)経営成績

 当連結会計年度の売上高は6,371,868千円(前期比6.7%減)、営業損失は478,635千円(前期は営業利益213,979千円)、経常損失は478,766千円(前期は経常利益211,379千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は900,393千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益259,779千円)となりました。新型コロナウイルス感染症の拡大による売上の減少や解約の急増等は発生していないことから、当連結会計年度の業績への影響につきましては軽微であると考えております。他方、受注が増加することが見込まれた第4四半期に大企業の意思決定の遅延が発生したため、大企業等の利用開始による業績反映は2021年3月期以降となります。

 事業構成につきましては、仕入れが大きい広告代理サービスの構成比が下がり、仕入れを伴わないメディアグロースサービスとUniposの構成比が上昇しました。その結果、限界利益(売上から媒体費(仕入れ)を控除したもの)は前期比で約2億円増加しましたが、売上高は前期比にて減少となりました。

 Unipos事業においては、2020年3月時点での累計アカウント数は約4万4千人となり、前期比169%成長となりました。累計有料導入社数につきましても約370社となり前期比の1.5倍に増加し成長が続く一方、月次継続率は99.1%と引き続き高い水準を維持しております。費用面においては、当連結会計年度では6.09億円の成長投資を実施しました。これにより、第3四半期を投資のピークに据え、第4四半期で大きく大企業アカウントを獲得することを企図しており、結果、受注残を含めた社員アカウント数の増加(9,225アカウント)は過去最大となりました。新型コロナウイルス感染症拡大により、第4四半期の利用開始はやや遅れたものの、大企業の受注が進みだしており、大企業の受注アカウント残を、2021年3月期の業績に反映してまいります。

 当社連結子会社であるUnipos株式会社のソフトウェア資産につきまして、295,334千円の減損損失を計上いたしました。将来的には十分伸ばせる事業であるものの、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、Uniposの直近の商談状況や社会情勢等を踏まえ計画を保守的に見積もった上で計上したものであります。なお当該損失は一時的なものであり、キャッシュ・フローへの影響はありません。

 親会社株主に帰属する当期純損失は、前述の通りUniposソフトウェア資産減損損失295,334千円を計上したことにより業績予想比にて減少しております。

 なお、当社グループはインターネット関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(ⅱ)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は401,414千円減少し、3,348,127千円となりました。

 流動資産は1,047千円増加し、2,325,829千円となりました。その主な内訳は、現金及び預金1,102,735千円、売掛金1,025,040千円であります。

 固定資産は402,461千円減少し、1,022,298千円となりました。その主な内訳は、ソフトウエア443,651千円、建物428,438千円、敷金及び保証金22,713千円、繰延税金資産78,386千円であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は509,143千円増加し、2,779,550千円となりました。

 流動負債は483,145千円増加し、1,977,325千円となりました。その主な内訳は、短期借入金800,000千円、買掛金524,738千円であります。

 固定負債は25,997千円増加し、802,224千円となりました。その主な内訳は、長期借入金631,275千円であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は910,558千円減少し、568,576千円となりました。

 その主な内訳は、資本金516,687千円、資本剰余金596,887千円、利益剰余金△534,926千円であります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、1,102,735千円となり、前連結会計年度末に比べ157,944千円増加いたしました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、332,454千円の支出(前年同期は533,639千円の収入)となりました。

 これは主に、減価償却費235,472千円、減損損失295,334千円等があったものの、税金等調整前当期純損失が773,638千円、仕入債務の減少219,710千円、売上債権の減少121,025千円、法人税等の支払額97,991千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、322,288千円の支出(前年同期は1,131,607千円の支
出)となりました。

 これは主として、無形固定資産の取得による支出403,066千円、敷金及び保証金の回収による収入103,061千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、715,364千円の収入(前年同期は1,021,011千円の収
入)となりました。

 これは主として、長期借入金の返済による支出283,745千円等があったものの、短期借入金の増加500,000千円、長期借入れによる収入150,000千円、その他の収入として代預託による収入371,434千円等があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(ⅱ)受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(ⅲ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

 

サービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

広告事業

6,052,923

△9.3

Unipos事業

318,944

104.9

合計

6,371,868

△6.7

(注)1.当社グループはインターネット関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。

2.広告代理サービス、メディアグロースサービス、ソリューションサービス、ウェブサービス(Unipos除く)につきましては、当連結会計年度より広告事業として記載しております。

3.前連結会計年度にウェブサービスに含めていたUniopsについては、当連結会計年度よりUnipos事業として記載しております。

4.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

エン・ジャパン株式会社

3,224,894

47.2

2,868,347

45.0

株式会社D2C

634,464

9.3

955,572

15.0

5.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成における見積もりに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

 無形固定資産(ソフトウエア)の減価償却の方法

 当社グループは、自社利用ソフトウエアの耐用年数として社内における利用可能期間(5年)で減価償却を行っております。自社利用ソフトウエアについて、資産の収益性の低下により投資額の回収が困難であると判断された場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(ⅰ)経営成績

 当社グループは「インターネット関連事業」の単一セグメントでありますが、Unipos事業及び広告事業の経営成績等を表す指標が異なることから、事業ごとに記載いたします。

 Unipos事業の進捗を表す指標として、当社グループは「社数」、「社あたり社員アカウント数」、「利用料金(単価)」、「継続率」、及び「受注アカウント残(受注残)」を重視しています。当連結会計年度において、社員アカウント数は44,000名に到達し、前事業年度末の26,000名の169%に増加しております。また、月次の継続率は99.1%と高い水準を維持しつつ、大企業の受注も進みだしております。

 

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 Unipos事業における急成長の要因として、当連結会計年度の積極投資が挙げられます。マーケティング費用を前連結会計年度の60百万円から10倍の609百万円まで引き上げ顧客獲得に注力した結果、社員アカウント数及び売上は大幅に増加しております。また、当連結会計年度を通して社員アカウント数は前期の169%、社数は同151%となりました。大企業への導入を加速したことにより、累計導入企業数の伸びを社員アカウント数の伸びが上回る形となりました。

 

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 上記の通りUniposは継続率が高く長期間にわたる利用が見込まれますが、短期的には投資を積極的に行い顧客を増やすフェーズであること、また、新型コロナウイルス感染症が拡大する状況下の直近の商談状況や社会情勢等を踏まえ、計画を保守的に見積もった結果、295,334千円の減損損失を計上することとしました。

 

 広告事業においては、広告販売にかかる売上から媒体費を控除した限界利益により各事業の伸びを比較することが可能になります。広告事業には事業モデルの異なる複数の事業が含まれており、広告媒体の仕入れを伴う広告代理サービスと、仕入れを伴わないメディアグロースサービス及びソリューションサービスが存在します。これらの利益貢献を比較するために、売上から媒体費を控除した限界利益を用いております。当連結会計年度における限界利益の増加をサービス別に示すと、以下のとおりであります。

 

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広告事業全体としては、限界利益を成長させることができました。メディアグロースサービスの限界利益が増加し前期比194百万円増加(前期比125%)した一方、広告代理サービスについては人的リソースを削減したこともあり前期比139百万円減少(前期比87%)しております。なお、ソリューションサービスにつきましては、人的リソースをかけていないこともあり限界利益は減少しております。

 

 費用面においては、Unipos事業におけるマーケティング投資の増加により販管費が増加し、2,332,194千円(前期比147.7%)となりました。これに伴い営業損失は478,635千円(前期は営業利益213,979千円)となりました。また、当社連結子会社であるUnipos株式会社のソフトウェア資産につきまして、295,334千円の減損損失を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純損失は900,393千円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益259,779千円)となりました。

 

(ⅱ)経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因として、「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した経営環境、また、「事業等のリスク」に記載したリスクが挙げられます。

 経営環境につきましては、Unipos事業については働き方改革関連市場の広がり、広告事業についてはインターネット広告市場の成長と、インターネット広告産業自体の変化、具体的にはプライバシー保護やブランドを毀損しない広告枠への社会的要請の高まりが主要な要因となります。また、費用面においてはUniposのマーケティング投資の費用対効果が主要な要因となります。これらの要因の詳細につきましては「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 その他の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(ⅲ)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、事業環境の変化に耐えうる流動性を確保しつつ、事業の成長に向けた投資を行うために必要な資金を確保することを財務活動の目標ととらえております。

 流動性の確保にあたっては、主として広告事業の営業活動より得られたキャッシュ・フローを財源としつつも、環境変化があっても流動性を確保し、事業への成長投資を行うべく、金融機関からの借入れやコミットメントラインにより流動性を高めるよう努めております。

 当社における資金需要としましては、広告事業においては事業成長に伴う運転資金の増加が、またUnipos事業においては顧客獲得に向けたマーケティング投資が中心であります。そのため当社グループでは、広告事業によるキャッシュ・フローに加え、金融機関からの借入による資金調達を図っております。借入が可能となる枠として、当連結会計年度中に取引銀行3行とコミットメントライン契約または当座貸越の契約を締結し、当面の資金需要を賄っているほか、当社本社の敷金の代預託による資金調達も行っております。

 

(ⅳ)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「経営成績」で述べたとおり、Unipos事業の目標達成を判断するための重要指標は、当社グループにおいては「社数」、「社あたり社員アカウント数」、「利用料金(単価)」、「継続率」、及び「受注残」であります。

 広告事業については、広告代理サービス、メディアグロースサービス、ソリューションが事業として一体化する方向にあることから、「広告事業」全体の売上が重要であると考えております。「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は、大手メディアとのパートナーシップ強化と、大口広告主の開拓強化を行っております。こうした背景から広告事業全体の売上を重要指標と位置づけ、当面は新型コロナウイルス感染症による市況悪化の影響を受けることが想定されますが、早期回復を目指してまいります。

 

 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した経営方針のもと、当社グループは各事業ごとに以下の中期的方針に沿って取り組んでまいります。

 Unipos事業

 ・ピアボーナス領域におけるリーダー的地位を確保

 ・アカウント数20万又は同等のMRRを目指す

 ・解約率1%以下を維持

② 広告事業

 ・メディア及びクライアントサービス領域において提供を開始した新規サービスの成長、特に広告代理領域においては、クリエイティブコミュニケーションの強化

・当面は新型コロナウイルス感染症による市況悪化の影響を受けることが想定されるが、早期回復を目指す

 

4【経営上の重要な契約等】

  (新設分割契約の締結)

 当社は、2019年5月10日開催の取締役会において、当社が営む広告事業を会社分割によって新たに設立するFringe coo株式会社に承継させることを決議し、2019年7月1日に設立いたしました。

 会社分割の概要は次のとおりであります。

 

1.会社分割の目的

 当社は、会社設立以来アドテクノロジーを軸に、広告代理事業やメディアグロース事業を通じて、インターネット広告産業の成長に貢献してまいりました。昨今、プライバシー保護に対する社会的要請や、ブランドを毀損しない広告枠の需要は高まっております。そのため、一般の生活者に対して、広告主・コンテンツパブリッシャー・大手プラットフォーマーといった、インターネット広告産業を支える全てのステークホルダーがより良い社会を目指し共創することが強く求められています。

 このように、インターネット広告自体が大きな変革期にある中、当社の広告事業においては、従来から当社が展開してきたプレミアムコンテンツを持つパブリッシャーとのパートナーシップや、インターネット広告の透明性・信頼性を高める活動が従来にも増して社会的ニーズを捉える好機となったと考えております。こうした状況下、当社においても各ステークホルダーとの共創をより迅速かつ強固にすることを目的とし、当社のインターネット広告事業を会社分割の手法を用いて当社の完全子会社にすることを決定いたしました。

 新設会社の名称(商号)は、“Fringe coo”(フリンジ・クー)としております。co/con は「共に」を意味し、“cooperation”、“cocreate”、“content”などの単語に派生しています。当社は特に、“cooperation”=協力・連携から、「ステークホルダーと共により良い社会を創っていく」という想いを込め、親会社の商号の一部である“Fringe”と組み合わせ、“Fringe coo”としております。

2.会社分割する事業の内容、規模

(1)分割する事業の内容

 広告事業

(2)分割する事業の売上高(2019年3月期)

 6,246百万円

3.会社分割の方法

 当社を分割会社とし、新設分割設立会社を承継会社とする簡易新設分割であります。新設分割設立会社は、本分割に際して発行する普通株式をすべて当社に割り当てます。

4.会社分割に係る新設分割設立会社の名称、当該会社の資産・負債及び純資産の額等

名称: Fringe coo株式会社

所在地: 東京都港区六本木3丁目2番1号住友不動産六本木グランドタワー43F

代表者の役職・氏名: 代表取締役長沢彬

資本金: 50百万円

純資産: 416百万円

総資産: 416百万円

5.会社分割の時期

分割日(効力発生日):2019年7月1日

 

  (業務提携契約の締結)

相手先の名称

所在地

契約の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

株式会社D2C

東京都中央区銀座6- 18- 2

野村不動産銀座ビル

業務提携契約書

2020年6月30日

スマートフォン領域におけるアドネットワーク事業の開発・運営に関する業務提携

2020年7月1日から2020年7月31日まで(なお、同8月以降については協議中)

 

5【研究開発活動】

 近年、広告市場においては、スマートフォン広告市場の成長が著しく、その中で当社は、プレミアムコンテンツを持つパブリッシャーとのパートナーシップや、インターネット広告の透明性・信頼性を高める活動を継続してまいりました。このような活動において、当社グループは多様なデータのリアルタイム処理技術や、配信最適化技術などの最新のテクノロジーと、誰もが簡単に運用可能な優れたUI(注)を実装できるスマートフォンアプリを中心とした広告サービスの開発を進めております。

 また、Unipos事業においては、大企業向け機能等様々な機能開発を行っております。当連結会計年度にはシングルサインオンの導入、セキュリティ機能の強化等、大企業においてもより安心して利用いただけるための機能を順次開発してまいりました。

 こうした事業方針を背景に、当連結会計年度では「docomo Ad Network」、「Unipos」、「GrowLio」の開発を実施いたしました。

 2020年3月31日現在の開発体制は、技術開発本部の75名が推進しております。当連結会計年度における研究開発費の総額は65,553千円となります。

 なお、当社グループはインターネット関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(注)UIとは、User Interface(ユーザインターフェース)の略で、ユーザーとコンピュータとが情報のやり取りをする際に接する、機器やソフトウエアの操作画面や操作方法。