第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは企業理念として「つなぐ、つなげる、つながる。」、経営理念として「採用市場のインフラになる」を掲げ、事業を拡大する方針です。大企業・製造業の景況感は改善傾向となり経済活動の正常化やインバウンド需要の回復に向けた動きが進んでおり、緩やかながらも景気回復の動きが続いています。

人材業界市場においては、日本国内の生産年齢人口の減少による構造的な労働力不足により、企業の求人需要は中長期的に見ても堅調であると認識しております。中でも直近では2030年に644万人の労働需給GAPが生じると見立てられており※1、当社もこの社会課題に一助になるべく各事業を推進しております。また、近年の労働政策の動きも活況となっており、労働関連法改正数は1990年代以降断続的に増加傾向にあります※2。 

当社グループは上記のような影響を大きく受けやすい、従業員を多く抱える企業が主要顧客であり、採用課題における当社への需要増加が期待されます。このような経営環境を踏まえ、以下を当社グループとして注力すべき課題と捉え、その対処に向けて積極的に取り組みたいと考えております。

※1(出所)パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」

※2(出所)国立国会図書館 日本法令索引 公布日基準をもとに集計

 

(1) RPO(採用代行・採用コンサルティング)事業のサービス領域拡大

人口動態による構造的・長期的な人手不足に加え、労働政策の変化もあり、企業の採用課題は多様化・複雑化しています。当社グループではこの課題を解決するべく採用代行業のみならず採用コンサルティング事業にも注力しています。業務提携などを通じた顧客へ提供できるソリューションの拡大やサービス提供業界の拡大により領域拡大を今後も推進して参ります。

ソリューションでは特に外国籍の労働者採用・活用ニーズが高まっており、当社グループで培ってきたアルバイトやパート採用のノウハウに加え、採用面・定着面などあらゆるパートナーと協業していくことで着実に外国籍の労働者が活躍できるよう支援して参ります。

 

(2) DXリクルーティング事業の展開

近年、求人手法の主戦場は求人媒体掲載型から自社採用ページへの集客型へと変遷してきています。従来の求人媒体に掲載する手法と並行して自社採用ページを立ち上げそこへ集客する複合型の提案ニーズも高まっています。当社では2016年より多様なWEB集客手段を活用した採用ページへの集客型サービスであるFindinを展開しています。RPO事業でコンサルティングしている顧客に対し集客手段としてFindinを提供することで時流に合わせた課題解決を図ります。

また一方で、WEB集客サービスの多様化は急激に加速しているため、当社はこれまで培ってきたノウハウを活かしながら、今後も生まれるであろう新たな集客サービスも積極的に活用し採用成果向上に努めます

 

(3) スタッフィング(派遣・紹介)事業の拡大

これまで推進してきた物流・倉庫業におけるスタッフィング事業拡大に加え、新たに製造業・医療介護業への派遣事業の拡大を目指します。製造業におけるスタッフィング需要が内燃機関から半導体関連事業へ変化しているように各業界の採用課題も変化しています。

このような状況下で、本年度に資本業務提携を締結したNISSOホールディングス株式会社、全株式を取得したAIGATEキャリア株式会社(2024年10月1日付で株式会社ツナググループ・コンサルティングに商号変更)の持つ業界ノウハウと、当社の持つ採用ソリューションを掛け合わせたスタッフィングサービスを提供して参ります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループでは、企業理念「つなぐ、つなげる、つながる」、経営理念「採用市場のインフラになる」のもと、大きな社会課題である「2030年労働需給GAP解消」を目指しています。ステークホルダーと連携し、社会・環境課題解決に積極的に取り組み、持続的な成長・社会責任を果たしていきます。

 

① 戦略

当社グループの経営方針・戦略に影響を与える可能性のある下記マテリアリティ(重要課題)を5つ設定しました。今後は、経営戦略及び経営計画にそれらを組み込み、実行していかなければならないと考えています。

 

1.自己変革を実行できる人的資本強化

2.戦略的なビジネスパートナーシップ

3.顧客志向の追求

4.経営・事業におけるリスクマネジメントの徹底

5.地球環境との共生

 

② ガバナンス

当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスク及び機会は、リスクマネジメント室で協議・決定する体制となっております。今後は、サステナビリティに関する取り組みをより一層強化するため、各部門と連携し、リスク・機会の特定、及び対応方針の立案を行い、取締役会に報告、取締役会において当該報告内容について管理・監督する体制づくりを行っていくことを検討しております。

 

(2) リスク管理

当社グループは、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して的確な管理・実践が可能となるようにすることを目的とした「リスク管理規程」を定め、リスクマネジメント室にて、リスクを網羅的に把握・管理する体制を構築しております。サステナビリティに関するリスクにつきましても、その他のリスクと同様に、当該規程に基づきリスク管理を行っております。また、企業として持続的に成長するために、リスクマネジメント室におけるリスクテーマにつきましても、網羅的に把握をし、リスク発生確率や重要性を加味して審議し、重要なリスクについては取締役会で報告されております。

 

(3) 指標及び目標

当社グループとして、サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する実績を長期的に評価、管理及び監視するために用いられる重要な指標や目標は現時点では特に定めておりません。当社グループの事業環境の変化や年次で行っているリスク項目の見直しにおいて必要と認められた場合には、適時に必要な指標及び目標等を定めるものとしております。

 

 

(4) 人的資本

当社グループにとって「人的資本経営元年」とも言える2023年9月期に引き続き、当期も人的資本への投資を最重要経営課題のひとつとして捉え、更に強化した様々な取り組みを講じて参りました。主に「採用」、「育成」、「制度」、「風土」の4領域においてそれぞれ以下の方針を掲げ、経営戦略と整合した戦略的な人的資本経営を推進して参りました。

 

〔人的資本投資の主な4領域と当期テーマ〕


 

① 採用

「将来のリーダー人材は、継続的な新卒採用者から輩出する」の方針のもと、積極的な新卒採用活動を進めております。新卒採用者は5年後には組織の中心となり、将来は当社グループの成長を担えるリーダー人材となるべく、入社時から3年間はOJTに委ねるだけではなく、特別な育成計画に沿った教育研修を実施しております。

 

〔新卒採用人数の推移〕


 

 

② 育成

事業戦略遂行、事業成長には従業員ひとりひとりの成長が不可欠です。当期は「付加価値を創出できる人材の増殖」をテーマに、VUCA時代に価値を発揮するための既存スキル向上及び今後必要となるであろうスキルの装着を目的に、従業員に対し育成機会の提供を行いました。

具体的には「次世代リーダー育成」、「営業力強化」、「VUCA時代のスキル強化」、「自ら学ぶ力の強化」の4領域に注力した1年でした。その他、業務に直結するビジネススキルを身に付けるための「ビジネススキルオンライン講座」や、従業員の資格取得を支援する「スタディサポート」なども引き続き運用しております。

その結果、延べ1,536人(前期比+25.7%)が受講、3,249万円(前期比+25.5%)を投資しました。

 

〔教育研修体系・プログラム〕


 

③ 制度

「誰もが公平に享受でき、かつ活躍人材に報いる」方針のもとに人事制度を設計しております。

等級制度に関しましては既にジョブ型(職務等級制度)を導入しており、年齢・性別・学歴・勤続年数などを考慮しない能力・成果主義の徹底に取り組んで参りました。これにより昇格、昇給、降格、降給を柔軟に行い、多様な人材の活躍につなげたいと考えています。

また評価制度に関しましては、従業員が自ら目標を設定する目標管理制度(MBO)を採用しています。この制度は従業員の主体性を育むなどのメリットがありますが、一方で「達成難易度が従業員本人に委ねられる」などのデメリットも内在します。その公平性を担保できないと、かえって組織全体のモチベーションを下げる要因にもなり兼ねません。当社グループでは管理職に対する評価者研修の実施、設定された目標が職務等級に合致しているか否かの人事による確認、査定会議における各目標達成度合いの管理職・人事間共有などにより、相対性・公平性を担保。従業員の評価に対する納得度を高められるよう、日々制度運用の強化に努めております。

 

〔目標管理制度(MBO)運用フロー図〕


 

 

④ 風土

「従業員の声を経営に反映させる」ため、ダイレクトコミュニケーションを重視しております。

前期まで実施しておりましたES(従業員満足度)調査につきましては、当期よりエンゲージメント調査に昇華させました。従業員の働きやすさ・従業員満足度に加え、働きがいや「自発的に自分の能力を発揮しようとする貢献意欲の高まり度合い」を調査・促進することで、業績や社会課題解決に繋がる組織風土の醸成を目指しております。

それ以外にも、従業員表彰と業務ナレッジ共有の場である「TSUNAGU GROUP AWARD」を前期までの「上長推薦」から「自薦」に変更することで従業員に自発性を求めたり、また組織人事関連、決算報告関連などに関する経営メッセージを全従業員へ月次配信することで従業員の会社・事業への理解促進を図ったりするなど、風土醸成における様々な取り組みを推進しております。

また、「顧客へ提供するソリューションの質とスピードを上げるために必要なエンジンはバリュー(行動指針)である」と捉え、首都圏のオフィス統合を実施しました。行動指針を体現する従業員がオフィス内に連鎖的に増加するような環境を整えております。

 

〔ES調査(働きやすさ・従業員満足)からエンゲージメント調査(働きがい・自発的貢献意欲)へ〕


 

〔「TSUNAGU GROUP AWARD」による表彰とナレッジの共有〕


 

〔顧客提供するソリューションの質とスピードを高めるためのオフィス統合〕


 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、投資家の判断に重要な影響を及ぼす主な事項を以下に記載しております。当社グループはこれらのリスクを認識したうえで、発生の回避及び発生した場合には迅速な対応に努めてまいりますが、当社株式に関する投資判断は本項記載事項及び本項以外の記載内容も慎重に検討したうえで行われる必要があると認識しております。また、以下の記載は当社グループに関するすべてのリスクを網羅しておりません。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループではリスク管理規程を定め、想定されるリスクの発生時における迅速かつ適切な情報収集と緊急事態対応体制を整備しており、リスクが顕在化した場合の事業中断及び影響を最小限にとどめるため、事業継続マネジメント体制の整備に努めております。

 

(1) 人材ビジネス業界の動向について

当社グループの属する人材ビジネス業界は、産業構造の変化、社会情勢、景気変動、法改正に伴う雇用情勢の変化等に影響を受けます。当社グループでは日本国内の生産年齢人口の減少による構造的な労働力不足により、顧客企業の需要は中長期的に見ても堅調であると認識しており、現在の需要も大企業・製造業の景況感は改善傾向となり経済活動の正常化やインバウンド需要の回復に向けた動きが進んでおり、緩やかながらも景気回復の動きが続いており人材サービスへの需要は高まっています。また、就業者並びに求職者の働き方に対する意識の変化から雇用の流動性も高まってきております。ただし、今後、様々な要因により雇用情勢ないしは市場環境が悪化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。景気後退に伴う新規人材需要の減少や既存の顧客企業における業務縮小・経費削減等により人材需要が大きく減退した場合、アルバイト・パートスタッフの募集業務の縮小、求人メディアにおける出稿量の減少、派遣における労働者派遣契約数の減少など、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合等について

当社グループの主要サービスであるアルバイト・パートの採用代行サービスについては競合する企業が少ないと認識しております。しかしながら、高い資本力や知名度を有する企業等の新規参入が相次ぎ、競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、DXリクルーティング領域においては大手企業を含む多くの企業が事業展開しており、競争が激しい状況にあります。今後において十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。そして、スタッフィング事業については、競合が多数存在しかつ業界特化型のサービスによる差別化を図るうえで、顧客及びスタッフの確保が難しくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 技術革新に関するリスクについて

当社グループでは、DXリクルーティング領域をはじめとして、インターネット技術並びにIT技術を前提とした事業展開を行っております。同領域においては、技術革新が著しく、新サービスや新技術開発に伴う仕様変更などが常に生じており、いわゆる業界標準サービスも刻々と進化しております。当社グループでは、適時、新たな技術を吸収し機能拡充に努めておりますが、改良や新技術導入に際し多額の費用が発生する場合、また、何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合等が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 新規事業展開に伴うリスクについて

当社グループでは、新たなサービスの開発及び投入、他社との業務提携、出資やM&A等を通じて、常に積極的に新規事業展開を行っております。また、それに際して、多額な資金需要が発生し投下することもあります。これら新規事業が環境変化等により当初計画通りに推移しなかった場合、M&Aにおけるデューデリジェンスにて認識していない債務等が発覚した場合、関係会社株式の評価損やのれんの償却等により、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、資金運用の効率化に向けてキャッシュマネジメントシステムの導入のほか、資金需要の規模に応じた個別借入により資金を調達しております。今後、金融システム不安、信用収縮、流動性の低下などの金融情勢の変化により、事業規模拡大に向け必要な資金調達ができない場合、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 社会保険制度改正について

社会保険料の料率・算出方法は、諸般の条件及び外部環境の変化等に応じて改定が適宜実施されております。当社グループにおいては、従業員に加えて派遣労働者も社会保険の加入者であるため、今後、社会保険料の料率・算出方法を含めた社会保険制度の改正が実施され、社会保険の会社負担率や社会保険の会社負担金額が大幅に変動する場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 大規模災害及びシステム障害について

当社グループの事業は、インターネット通信網等の通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績は深刻な影響を受けます。また、サイトへの急激なアクセス増加や電力供給の停止等に対しては、サーバー設備の増強や自家発電設備のあるデータセンターの利用等といった対応を行っておりますが、予測不可能な様々な要因によってコンピュータシステムがダウンした場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社グループのコンピュータシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するように取組んでおりますが、コンピュータウイルスやハッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 個人情報及び機密情報の取扱いに関するリスクについて

当社グループは、求職者の応募情報等の個人情報を取得、利用しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社グループは、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、個人情報保護基本規程等を制定し、個人情報の取扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理するとともに、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社グループに適用される関連ガイドラインを遵守するとともに、個人情報の保護に積極的に取組んでおります。しかしながら、当社グループが保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されていないため、これらの事態が起こった場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社への損害賠償請求、当社の信用の低下等によって当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(8) 知的財産権について

当社グループは、第三者の知的財産権侵害の可能性については調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性、または新たに当社グループの事業分野で第三者により著作権等が成立する可能性があります。このような場合においては、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害したことによる損害賠償請求や差止請求等、または当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(9) 法的規制等について

当社グループが運営する「人材派遣事業」は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、労働者派遣事業の許可を受けて行っております。また、当社グループ会社の株式会社チャンスクリエイターが運営するコンビニエンスストアにおいては、食品衛生法、酒税法及びたばこ事業法に基づき販売業務を行っております。その他、関連する主な法規として「労働契約法」等の労働関連法規、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」及び「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下「不正アクセス禁止法」という。)等のインターネット関連法規があります。「不正アクセス禁止法」では、努力義務ながら一定の防御措置を講ずる義務が課せられております。これら法令等に関して新たに制定されたり、既存法令等の変更等がなされたりした場合には、それに応じて、当社グループにてサービス変更等の対応が必要になるもの、規制されるもの等が生じる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(10) 特定の人物への依存に関するリスクについて

当社の代表取締役社長である米田光宏は当社の創業者で創業以来代表取締役を務めており、経営方針の策定や経営戦略の決定等の重要な役割を同氏に依存しております。当社グループは、一個人の属人性に頼らない組織的な経営体制を構築し、「職務権限規程」に基づく権限の委譲を推進しながら、人材の育成を進めることで同氏への依存を低下させておりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、大企業・製造業の景況感は改善傾向となり経済活動の正常化やインバウンド需要の回復に向けた動きが進んでおり、緩やかながらも景気回復の動きが続いています。

国内の雇用情勢につきましては、引き続きインバウンドを含む飲食業・小売業などでにぎわいが戻りつつあることに加え、働き方改革関連法による物流業界のドライバーの残業規制もスタートしており、今後も人手不足が継続することが予想されます。

このような環境のもと、当社グループは“2030年に起こる644万人の労働需給GAP”解消の大いなる一助になることを目指し、採用領域でのコンサルティング及びソリューションの提供を行っております。当社は以前より持株会社体制を採用しておりましたが、2024年1月1日にグループ内の再編を実施し持株会社体制の実質的な解消を行いました。同年9月には株式会社ツナググループHCを消滅会社とする吸収合併を行いました。

当第4四半期連結会計期間においては、顧客への付加価値を更に高めるために株式会社地域新聞社及び株式会社HQとの業務提携を開始、またスポットワーカー・副業・グローバル人材活用など「労務」に関する知識だけではなく、センシング(感知)・フォーキャストする力をつける事が、ツナググループのケイパビリティを向上し、事業成長及び社会課題解決に必要と考え、雇用・労働政策に特化した取材・執筆・配信活動を行っている株式会社アドバンスニュースの全株式の取得を決議いたしました。

また、7月に関東の拠点を1カ所に集約したことで、各事業間のコミュニケーションが活性化し、第4四半期連結会計期間では前年同期比16%増の売上高となりました。費用面においても移転による一時費用は発生したものの、業務委託等外注活用によるオンデマンド化や各種システム活用による生産性向上により利益体質への改善を行った結果、第4四半期連結会計期間での営業利益額は過去最高となりました。

このような事業環境の下、当連結会計年度の経営成績は、売上高16,388百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益629百万円(前年同期比42.1%増)、経常利益626百万円(前年同期比40.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益358百万円(前年同期比171.0%増)となりました。

 

当社グループの各セグメント別の業績は以下のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。

 

(ヒューマンキャピタル事業)

ヒューマンキャピタル事業におきましては、企業の採用活動を総合的に支援する「RPOサービス領域」、ITテクノ ロジーを駆使した人材マッチングサービスを提供する「DXリクルーティング領域」、シニア・主婦・短期単発といった求職者のニーズに対して様々な求人メディアサービスを提供する「セグメントメディア領域」などがあります。

RPOサービス領域では、市況が回復している飲食業、小売業や一部製造業の大手企業を中心に採用意欲が高い状態 が続き、最適な集客・採用手法の提案を行い、売上高は前年同期比で7.4%増加いたしました。

DXリクルーティング領域では、ビッグデータとアドテクノロジー(広告配信技術)を駆使したダイレクトリクルーティングサービス『Findin(ファインドイン)』が引き続き高い成長率を維持しており、売上高については前年同期比で21.8%増加しており、大手企業、中小企業を問わず、取引社数についても堅調に推移しております。

セグメントメディア領域では、顧客の採用課題を解決する手法として、Findinへの切り替えが発生しており、領域間の顧客移転が発生した結果、前年を下回る結果となりました。

これらの結果、ヒューマンキャピタル事業における売上高は12,785百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益は1,274百万円(前年同期比122.1%増)となりました。

 

(スタッフィング事業)

スタッフィング事業におきましては、人材派遣及び日々紹介を行う派遣・紹介領域、派遣スタッフの研修店舗を 兼ねたコンビニ店舗を運営するコンビニ領域があります。

派遣・紹介領域につきましては、倉庫・物流系企業への派遣に注力することに加えて、人材紹介事業では派遣会社向けのサービスを開始し、新たな成長の柱づくりにも注力しており、売上高は前年同期比で41.5%増加いたしました。

これらの結果、スタッフィング事業における売上高は3,928百万円(前年同期比12.1%増)、営業損失は105百万円(前年同期は100百万円の損失)となりました。

 

(その他事業)

その他事業におきましては、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、当社子会社への経営管理及び管理業務の受託を行っております。

これらの結果、その他事業における売上高は501百万円(前年同期比66.0%減)、営業損失は539百万円(前年同期は69百万円の利益)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ104百万円増加し、917百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は634百万円(前連結会計年度は653百万円の増加)となりました。これは、主に売上債権が333百万円増加した一方で、税金等調整前当期純利益382百万円、減価償却費326百万円及び減損損失166百万円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は387百万円(前連結会計年度は119百万円の減少)となりました。これは、主に敷金の差入による支出179百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出123百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は142百万円(前連結会計年度は983百万円の減少)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出276百万円があったことによるものです。

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1) 生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、記載事項はありません。

 

(2) 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

ヒューマンキャピタル事業

12,785,007

7.6

スタッフィング事業

3,928,205

12.1

その他事業

501,281

△66.0

合計

17,214,495

2.1

 

(注) 1.セグメント間及び振替高を含んでおります。

2.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」の「1.報告セグメントの概要 (3) 報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの区分の変更を行っております。このため、前年同期比については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ409百万円増加し、4,964百万円となりました。これは主に売掛金が414百万円及び敷金及び保証金が212百万円増加したことや、顧客関連資産が205百万円減少したことによるものです。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ175百万円増加し、3,097百万円となりました。これは主に短期借入金が250百万円増加したことによるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ233百万円増加し、1,867百万円となりました。これは主に利益剰余金が289百万円増加したことや、自己株式の取得により53百万円減少したことによるものです。

 

(2) 経営成績の分析

① 売上高

売上高は、前連結会計年度より1,361百万円増加し、16,388百万円となりました。

② 売上総利益

売上総利益は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度より517百万円増加し、7,168百万円となりました。

③ 販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より331百万円増加し、6,538百万円となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度より186百万円増加し、629百万円となりました。

④ 営業外損益及び経常利益

営業外収益は、前連結会計年度より8百万円減少し、8百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度より1百万円減少し、11百万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度より179百万円増加し、626百万円となりました。

⑤ 特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益は、前連結会計年度より0百万円減少し、2百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度より35百万円増加し、246百万円となりました。法人税等合計は79百万円減少し、27百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度より226百万円増加し、358百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの所有資金は、大きく分けてIT関連設備投資や、子会社・関連会社への投資資金及び経常の運転資金となっております。これらの運転資金及び投資資金については、まず営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を充当することを基本としておりますが、資金需要及び金利動向等の調達環境並びに既存の有利子負債の返済等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。原則として、運転資金については、金融機関からの短期借入、投資資金に関しては、金融機関からの長期借入にて調達を行っております。

また、資金の流動性については、グループ各社における余剰資金の有効活用に努め、更に、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関と当座貸越契約を締結しております。また、グループCMSを活用し、より一層、効率的な資金調達と充分な流動性を維持していく考えであります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社グループは、常に事業環境に注視するとともに、組織体制の整備、内部統制システムを強化することによりリスク要因に対応してまいります。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(NISSOホールディングス株式会社との資本業務提携に係る契約の締結)

当社は、2024年5月17日開催の取締役会において、NISSOホールディングス株式会社との資本業務提携に係る契約を締結することについて決議し、同日付で締結しております。

なお、詳細につきましては、2024年5月17日付適時開示「NISSOホールディングス株式会社との資本業務提携並びに 主要株主である筆頭株主及び主要株主の異動、その他の関係会社の異動 に関するお知らせ」に記載のとおりであります。

 

(連結子会社の吸収合併)

当社は、2024年6月27日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社ツナググループHCを吸収合併することを決議し、2024年9月30日付で吸収合併しております。

なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。