第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当社は経営理念である『次世代に向け、多種多様な技術リクエストにお応えすべく、高い技術力を有する集団になると共に、社会に貢献する製品を提供する』を実現するため、創業以来培ってきたハードウェア・ソフトウェア・メカトロニクスの技術によって、技術仕様の構築からシステム開発設計、製造までワンストップでサービス提供することにより、エレクトロニクス市場分野にベストソリューションを提供してまいります。

 

(2)経営戦略等

 経営ビジョンである『高い技術力を基盤として、一人でも多くの人に夢を与えられる企業でありたい』を体現するべく、高品質のメカトロニクス・半導体デバイスを顧客のニーズにあわせて迅速に提供してまいります。これにより、当社を取り巻くステークホルダー、すなわち、株主、顧客、従業員、地域社会等の期待に応え、ひいては当社の企業価値を総合的に高めることができると考えております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、収益性の指標として「営業利益率」を、安定性の指標として「自己資本比率」を重要な指標として位置付け、バランスの取れた企業価値の継続的拡大を目指しております。

 当社の主たる事業領域である半導体業界は、技術革新のスピードが速いため、これに対応すべく設備投資と研究開発投資を継続的に行う必要があります。また、半導体業界は景気変動の波が大きい特性があり、顧客企業の投資動向が当社の業績に影響を与える可能性がありますが、短期的には営業利益率5%以上を、中長期的には同10%以上を達成することにより、さらに自己資本比率40%以上を堅持することにより、強固な財務基盤並びに事業基盤を構築・維持することを目標としております。

 

(4)当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 人材の確保・育成について

 当社では、人材が重要な経営資源であると考えており、事業の拡大及び持続的な成長のために、高いスキルを持った優秀な人材の確保と育成を重要な課題として認識しております。若年層人口の減少により採用活動は厳しい状況が続いておりますが、国内の大学を始め、海外の大学との連携等、教育・研究機関等との緊密な関係を構築し、採用応募者の増加に努めるとともに、社内での研修をより一層充実させ、新卒及び中途入社者の専門知識の向上による育成面にも力を入れることにより、当社の経営理念を理解しチャレンジを続ける優秀な人材の確保に取り組んでまいります。

② 内部管理体制の強化について

 当社は、比較的小規模な組織であるため、継続的な成長を実現できる企業体質を確立する必要があります。そのため、リスク管理や業務運営管理をはじめとする内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。今後の企業規模拡大に備え、業務管理部を始めとする各部門の内部管理体制の整備と適切な運用を推進し、経営の公正性及び透明性を確保するため、体制強化に取り組んでいます。

③ 新規顧客の開拓について

 当社は、既存顧客からの注文に依存する割合が高くなっております。当社は販売先と良好な関係を維持しておりますが、今後も新規販売先の開拓を実施し、特定の販売先への依存度を低下させる方針です。

④ 財務体質の強化について

 業容拡大に伴う運転資金の増加は主に借入金により賄っており、有利子負債比率は増える傾向にあります(2019年10月期末12.4%、2020年10月末38.2%、2021年10月期末26.2%)。利益の蓄積の他、多様な資金調達手法を活用し、財務体質の強化を図ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。

 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 また、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社が判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。

(1)景気動向や半導体市況の影響について

 当社の事業は、景気動向、金利動向、物価動向及び税制等に基づく需要者の投資意欲や需要動向に影響を受けやすいため、景気の先行き悪化や大幅な金利の上昇、人件費の上昇、半導体市況、消費税増税等の動向に大きく左右される傾向があります。そのため、これらの動向次第で当社の業績に影響を与える可能性があります。

 特に、当社の主要販売先は半導体関連企業であるため、半導体市場の影響を大きく受けます。半導体市場は中長期的には技術革新が進むことで持続的な成長が期待できる反面、短期的には需給バランスの崩れなどで市場規模が大きく変動する可能性もあります。このような想定外の需要の急減等により、顧客が設備投資の中止や延期を行った場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。一方で、想定外の需要の急増等が発生した場合は、製品供給がタイムリーに行えずに機会損失が生じる可能性もあります。

 当社はこのような景気変動、金利動向、物価動向、需要動向、また市場変動に対応するため、顧客の投資動向や受注状況を適時に把握・検証するとともに、設備・システム・人員等、多面的に柔軟な生産体制を整備・運用することで、環境変動に対応できる体制を構築しております。

 

(2)法的規制について

 当社は、エンジニアリング事業、プロダクツ事業及びシステム事業を展開しており、遵守すべき法令・規制は複数あります。具体的には、一般労働者派遣事業者として「労働者派遣法」(注)に基づく許可、及び有料職業紹介事業者として「職業安定法」に基づく許可を受けて事業を行っております。現在、これら許可要件の欠格事由はありません。当社の申請が基準に適合しない場合や、事業活動において違反行為が生じた場合には、営業の停止又は許可の取消という行政処分が下される恐れがあり、万が一、当該基準に抵触するようなことがあれば、事業活動に重大な影響を与える可能性があります。

許可名

許認可等番号

有効期限

取消条項

一般労働者派遣事業許可

派13-302124

2024年10月31日

労働者派遣法(注)第14条

有料職業紹介事業許可

13-ユ-311880

2023年2月28日

職業安定法 第32条の9

 (注) 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」

 

 当社では、従業員を対象としたコンプライアンス研修等の実施を推進するなど、遵法精神の向上・定着や社会的規範意識の醸成に努めております。また、内部監査部門において当社が事業を展開する上で遵守すべき法令・規制が有効期限内にあること、取消条項に抵触していないことをチェックリストを用いて常時モニタリングすることにより、当該リスクに対応する体制を構築しております。

 

(3)技術革新について

 当社の事業領域であるエレクトロニクス業界においては、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新技術が生み出されております。当社はこうした事態に対応するために、常に業界動向を注視し、迅速かつ適切な対応をしていく方針であります。しかしながら何らかの要因のため、当社において当該変化等への対応が遅れた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、2022年3月に横浜事業所と新横浜サテライトの各生産拠点を新たにシステム事業本部として移転・統合し、生産能力の拡大と生産効率の向上を企図しております。また、同じく2022年3月に本社を移転し、複数フロアに分かれていた執務スペースを集約するとともに、人員を増強いたします。これらの施策を始め、最新の知識・技術を継続的にアップデートし、顧客企業のニーズを的確に捉えるべく、不断の研究開発活動に注力することで、技術革新に対応できる体制構築に努めております。

 

(4)価格競争のリスク

 当社の主要顧客である電子機器等完成品メーカーは、グローバル化の進展に伴い、製品に組み込むプリント配線基板等について、高い品質と短納期が求められる試作基板製造は国内企業に任せる一方、量産基板製造は、マーケットを背景に持つ中国・アジア諸国等の海外拠点・企業に委託してコストを削減する傾向にあります。このような状況下において、当社は高付加価値基板の製造技術の確立と短納期多品種中小ロットの製造に注力してまいりますが、電子機器等完成品メーカーの部品調達が海外にシフトすることにより、生産が大幅に減少し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 このような状況下において、当社は高付加価値基板の製造技術の確立と短納期多品種中小ロットの製造に注力することで他社との差別化を図り、価格競争のリスクを低減してまいります。

 

(5)人材の確保・育成について

 当社の事業は高い意欲と技術力を備えた人材に支えられており、人材が重要な経営資源と考えております。したがって、事業の拡大に向け、優秀な人材の確保・育成・定着率の向上が重要な課題となりますが、少子高齢化・労働人口の減少により、中長期的には人材の確保が難しくなる傾向にあり、また、当社内においても技術者の高年齢化が課題となっております。雇用情勢や経済環境によっては、計画通りの人材確保・育成ができず、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社では、会社説明会、就職フェア、就職サイト・ホームページなどを活用することにより、新規学卒者採用を継続的に行っております。また、新本社内に情報セキュリティ対策を完備した開発用専門ブースを新設し、顧客企業内に派遣され開発業務に従事していた知識・経験豊富な技術者と若手技術者を研究開発業務で協働させることにより、専門技能・知識・ノウハウの若手技術者への伝承を進めてまいります。今後、引続き優秀な人材の確保に努めるとともに、定着率の向上・人材の育成についても、技術者それぞれの技術力や経験を踏まえた教育・人事・ローテーションが一体となったサポートを実施してまいります。

 

(6)特定の販売先への依存について

 当社の売上高のうち、最大の販売先(レーザーテック㈱))に対する売上が約92%を占めております。当社は販売先と良好な関係を維持しておりますが、今後も新規販売先の開拓を実施し、特定の販売先への依存度を低下させる方針です。

 しかしながら、当面は特定の販売先への依存が高い水準で推移することが考えられ、この間に特定の販売先からの受注が減少した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当社は、当事業年度より環境関連装置事業を開始するなど、新設した事業開発本部が中心となって新規事業の伸長を目指してまいります。具体的には、翌事業年度以降、自社開発したペイパービュー用の電子端末(病院やホテル等においてペイパービューをキャッシュレスかつタッチレスで利用できるタブレット端末)の製造・販売開始等を予定しております。

 

(7)原材料費、人件費の高騰に関するリスクについて

 原材料費、人件費の高騰は売上原価及び販売費及び一般管理費の上昇を招きますが、売上価格に転嫁できない場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、サプライヤーの品質・生産能力等を確認し、原材料の供給途絶の発生防止に努めております。また、複数購買化を推進することにより、価格面だけではなく、調達のリスクを低減しております。安定的な生産を維持することができるように、予め調達リスクの高い原材料の予防的な在庫を確保する、また、有為な人材を積極的に採用・教育する方針を取っております。

 

(8)情報管理について

 当社は、顧客企業に関する社外秘の技術等、様々な情報を取り扱っております。これらの情報管理については、規程の整備や社員等への周知徹底に努めております。しかしながら、不測の事態によって情報が漏洩した場合には、当社の社会的信用が低下し、またその対応のための費用が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、最新のサイバーリスクに関する情報に基づき、アンチウイルスソフトの導入を徹底し、ファイアウォール等の設置による不正なアクセスの防止、外部からの不審なメールをチェックし排除するシステムを導入するなど、情報漏洩リスクの低減に努めております。

 また、従業員に対して情報の取扱いに関する教育を進め、セキュリティ意識の向上に努めております。

 

(9)自然災害等について

 当社は、本社機能、開発・生産拠点を国内の複数の地域、具体的には東京、横浜、福岡等に有しております。これらの拠点において、地震、風水害、火災等の災害又は事故が発生した場合は、各拠点ごとに被害を最小限に低減すべく努力しますが、被害状況によっては、又は社会インフラの損壊など予想を超える事態が生じた場合には、当該生産拠点における生産活動が停止し、製品の出荷が停止若しくは遅延し、又は設備の修理、代替等のため多大な損失・費用を被る可能性があります。また、インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症及び国内外の電力供給問題等の発生により当社の生産能力が悪影響を受ける可能性があり、これらの事象が発生した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、自然災害、エネルギー供給体制、疫病等に関する情報収集体制及び防災に対する適切な管理体制の構築を行うとともに、基幹データベースのクラウド化と分散保存を推進し、事業遂行上に必要な情報が災害などで損なわれないように対処しております。また、顧客、従業員の安全を最優先に感染症対策(従業員のマスク着用義務化、勤務前の検温の徹底、全拠点の出入口へのアルコール消毒液の設置等)を行っております。

 

(10)資金調達について

 当社は、必要な資金の調達は金融機関からの借入金等により行っております。今後、金融市場の悪化や当社の経営成績等により、借入の継続及び新規借入を行うことができない可能性があります。また、格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、資金調達が制約されるとともに調達コストが増加する可能性があります。これらの事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社は、一定の手許資金を保持し、財務基盤の安定性をより一層高めることを目的に、複数の取引銀行と当座貸越契約を締結し、資金の借入を実施しておりますが、今後の様々な状況を想定し、新規の資金調達についても検討を進めております。

 

(11)重大な人身・設備事故、火災等の発生について

 当社は、生産現場における人身・設備事故、火災等を未然に防ぐため、「安全・品質の確保」に対する取り組みには万全を期すとともに、管理を強化することで、事故の発生防止に努めております。しかしながら、不測の事態により重大な人身・設備事故、火災等を発生させた場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損賠賠償義務の発生や受注機会の減少等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、生産拠点に防火防爆の安全対策を施すとともに、関係法令に基づく各種マニュアルを定め、リストに基づく日常点検・定期点検、本社・生産管理部門による業務点検や防災訓練を実施しております。

 

(12)新型コロナウイルス感染拡大の影響について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、国内経済は依然として先行き不透明な状況が続いております。当社は、マスク着用の徹底、在宅勤務及び時差出勤の推奨、Web会議の推進、全拠点の出入口での検温の実施、会議室等の定期的な消毒等の取り組みを行っております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、当社従業員に感染が広がった場合及び取引先企業が事業活動の縮小や休止等を行った場合などにおいては、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は1,329,267千円で、前事業年度末に比べ140,869千円減少しております。主な減少要因として短期借入金の返済等による現金及び預金の減少297,095千円、期末近くのレーザーテック㈱との取引高の減少に伴う売掛金の減少64,508千円、商品及び製品の部品不足による減少35,114千円等があった一方で、受注増加及び一部の部品不足による仕掛品の増加128,524千円、レーザーテック㈱からの受注増加による原材料の増加62,611千円、当事業年度より開始した環境関連装置事業に係る前渡金の増加62,414千円等の増加要因があったことによるものです。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は94,547千円で、前事業年度末に比べ32,045千円増加しております。主な増加要因は、未払費用の増加等に伴う繰延税金資産の増加6,437千円、本社の増床等による敷金の増加6,263千円、クリーンブースの取得による機械及び装置(純額)の増加6,212千円等であります。

(資産合計)

 当事業年度末における資産合計は1,423,814千円で、前事業年度に比べ108,824千円減少しております。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は609,299千円で、前事業年度末に比べ193,776千円減少しております。主な減少要因として返済による短期借入金の減少189,000千円、半導体の部品不足に伴う注文減による買掛金の減少22,279千円、賞与の当期帰属分を未払計上したことによる賞与引当金の減少14,907千円等があった一方で、賞与の未払計上分の増加による未払金の増加21,698千円、受注増加に伴う仕入・経費の増加による未払消費税等の増加17,874千円等の増加要因があったことによるものです。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は301,950千円で、前事業年度末に比べ23,550千円減少しております。返済による長期借入金の減少23,550千円がその変動要因であります。

(負債合計)

 当事業年度末における負債合計は911,249千円で、前事業年度に比べ217,326千円減少しております。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は512,564千円で、前事業年度末に比べ108,502千円増加しております。当期純利益112,912千円の計上による利益剰余金の増加及び剰余金の配当4,410千円による利益剰余金の減少がその変動要因であります。

 

b.経営成績

 当事業年度における世界経済は、米国での大規模な経済対策、欧米での新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の進展や人の移動制限の緩和などを背景に回復基調にあるものの、米国やアジア新興国における感染再拡大への懸念や世界的な半導体不足による消費財の減産等から回復の勢いが鈍化し、さらに中国経済が内外需ともに伸び悩みを見せるなど、先行き不透明感が継続しております。

 日本経済は、海外経済の回復に伴う輸出増加等を背景に回復傾向にあり、中でも製造業の設備投資や住宅投資に持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症の収束への見通しが依然として不透明な中、サービス分野などを中心に景気の足踏み状態が続いております。

 当社が属する半導体業界においては、自動車のエレクトロニクス化、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル機器市場の拡大、テレワーク、オンライン学習の普及、IoT、AI、第5世代移動通信システム(5G)の進展等を背景に、データセンター用のサーバー向けの需要が増加するとともに、パソコン向けも好調に推移し、半導体需要は拡大基調にあります。

 このような経営環境下において、受注が好調に推移し、売上高は3,624,279千円(前年同期比1.3%増加)、営業利益は170,800千円(同24.3%増加)、経常利益は171,790千円(同20.6%増加)、当期純利益は112,912千円(同20.6%増加)となりました。

 なお、当社は、プロダクツ事業、エンジニアリング事業、及びシステム事業を主体とするエレクトロニクス事業を行っており、単一セグメントであるため、セグメントごとの記載に代えて、事業別に記載いたします。

[システム事業]

 システム事業の売上高は1,374,159千円(前年同期比20.6%増加)となりました。これは主に大型装置の受注等により受注が好調に推移したものであります。

[プロダクツ事業]

 プロダクツ事業の売上高は1,798,001千円(前年同期比15.8%減少)となりました。受注は堅調に推移しましたが、大型装置の納期が2022年10月期初に延びたことにより、前年同期比で減収となっております。

[エンジニアリング事業]

 エンジニアリング事業の売上高は410,318千円(前年同期比36.1%増加)となりました。人員増に伴う生産能力の向上等により増収となっております。

[その他]

 当事業年度より開始した環境関連装置事業の売上高は41,800千円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は301,167千円(前年同期比297,097千円減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は44,859千円(前年同期は124,231千円の使用)となりました。主な増加要因として、売上債権の減少額66,095千円(前年同期は売上債権の増加額213,183千円)、未払消費税等の増加額17,874千円(同未払消費税等の減少額18,013千円)、税引前当期純利益の計上171,790千円(同税引前当期純利益の計上142,407千円)等があった一方で、減少要因として、仕入債務の減少額27,357千円(前年同期は仕入債務の増加額182,458千円)、前渡金の増加額62,414千円(同前渡金の増加額973千円)、法人税等の支払額71,562千円(同法人税等の支払額50,428千円)等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は36,627千円(前年同期は19,796千円の使用)となりました。主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出6,237千円(前年同期は無形固定資産の取得による支出330千円)、敷金の差入による支出10,070千円(同敷金の差入による支出6,053千円)等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は215,610千円(前年同期は483,640千円の獲得)となりました。主な減少要因は短期借入金の純減少額189,000千円(前年同期は短期借入金の純増加額237,000千円)、長期借入れによる収入(前年同期は長期借入れによる収入280,000千円に対して当事業年度はなし)等であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社はプロダクツ事業、エンジニアリング事業、システム事業を主体とするエレクトロニクス事業を行っており、単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業部門別に記載しております。

a.生産実績

 当事業年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、以下の通りです。

事業部門の名称

当事業年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

前年同期比(%)

プロダクツ事業

(千円)

1,665,154

82.7

エンジニアリング事業

(千円)

297,765

182.4

システム事業

(千円)

1,047,387

104.9

その他(注2)

(千円)

38,000

合計

(千円)

3,048,306

96.0

 (注1)上記金額には消費税等は含まれておりません。

 (注2)当事業年度より開始した環境関連装置事業であります。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績を事業部門ごとに示すと、以下の通りです。

事業部門の名称

受注高

受注残高

当事業年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

前年同期比

(%)

当事業年度末

(2021年10月31日)

前年同期比

(%)

プロダクツ事業

(千円)

1,000,716

34.5

245,079

23.5

エンジニアリング事業

(千円)

399,518

130.6

システム事業(注2)

(千円)

1,645,789

144.1

434,860

266.4

その他(注3)

(千円)

41,800

合計

(千円)

3,087,824

71.0

679,939

55.9

 (注1) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 (注2) システム事業の受注残高に著しい変動がありました。これは、大型装置の受注が増加したことによるものであります。

 (注3) 当事業年度より開始した環境関連装置事業であります。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、以下の通りです。

事業部門の名称

当事業年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

前年同期比(%)

プロダクツ事業

(千円)

1,798,001

84.2

エンジニアリング事業

(千円)

410,318

136.1

システム事業

(千円)

1,374,159

120.6

その他(注1)

(千円)

41,800

合計

(千円)

3,624,279

101.3

 (注1) 当事業年度より開始した環境関連装置事業であります。

 (注2) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りです。

相手先

前事業年度

(自 2019年11月1日

至 2020年10月31日)

当事業年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

レーザーテック㈱

3,291,636

92.0

3,328,831

91.8

 (注3) 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表作成にあたって採用している重要な会計基準は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 (注記事項)(重要な会計方針)」に記載しておりますが、当社の財務諸表の金額に特に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下の通りです。

(繰延税金資産)

 当社は、過去の課税所得水準及び一時差異等のスケジューリングの結果に基づいて回収可能性を判断し、将来の課税所得の見込みを主要な仮定として繰延税金資産を計上しております。

 繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境に著しい変化が生じるなどにより将来の課税所得の見積額が変動した場合には、将来の繰延税金資産及び税金費用に影響を与える可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」a.財政状態」に記載の通りです。

2)経営成績

 当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」b.経営成績」に記載の通りです。

(売上高、売上原価、売上総利益)

 売上高は3,624,279千円(前年同期比1.3%増加)となりました。システム事業が主に大型装置の受注等により、また、エンジニアリング事業が人員増に伴う生産能力の向上等によりそれぞれ受注が好調に推移して増収となりましたが、プロダクツ事業は大型装置の納期が翌期首に延びたこと等により減収となっております。

 売上原価は、世界的な半導体不足等に伴う仕入高の減少(前年同期比93,590千円減少)、外注加工費の低減(同3,000千円減少)等により、3,125,258千円(前年同期比0.6%減少)となっております。

 その結果、売上総利益は499,020千円(前年同期比15.2%増加)となり、売上総利益率は前事業年度の12.1%から当事業年度の13.8%へ1.7ポイント改善しております。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は328,220千円(前年同期比11.0%増加)となりました。これは主に、本社建物の耐用年数短縮に伴う減価償却費の増加(前年同期比9,392千円増加)や、本社増床に伴う賃借料の増加(同14,876千円増加)等によるものであります。

 その結果、営業利益は170,800千円(前年同期比24.3%増加)となり、営業利益率は前事業年度の3.8%から当事業年度の4.7%へ0.9ポイント改善しております。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益は3,751千円(前年同期比45.9%減少)となりました。これは主に助成金収入の減少(前年同期比2,818千円減少)によるものであります。

 営業外費用は2,761千円(前年同期比42.4%増加)となりました。これは主に支払利息の増加(前年同期比825千円増加)によるものであります。

 その結果、経常利益は171,790千円(前年同期比20.6%増加)となりました。

(特別利益、特別損失、法人税等合計、当期純利益)

 特別利益及び特別損失は、前事業年度、当事業年度ともに計上しておりません。

 法人税等合計は58,878千円(前年同期比20.6%増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益及び課税所得の増加によるものであります。

その結果、当期純利益は112,912千円(前年同期比20.6%増加)となりました。

3)キャッシュ・フロー

 当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社における主な資金需要は、製品製造のための材料費、外注費及び労務費です。直近においては、生産設備の統合・拡張、本社機能の移転・拡張などの設備投資を予定しており、その資金需要が大きくなっております。当該資金需要を充足するため、第三者割当による募集株式の発行を予定しております。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、営業利益率5%(中長期目標)及び自己資本比率40%を掲げて企業経営に取り組んでおります。

 前事業年度及び当事業年度の経営指標は次の通りであります。当事業年度の営業利益率、自己資本比率はいずれも前事業年度を上回りましたが、目標とする数値の達成には至っておりません。

 営業利益率については、生産拠点の移転・統合等により生産効率を向上し、改善を図ってまいります。また、自己資本比率については、増資等による自己資本の増強と借入金の低減により、向上してまいります。

 

前事業年度

(自 2019年11月1日

至 2020年10月31日)

当事業年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

金額(千円)

金額(千円)

前年同期比

売上高

3,576,577

3,624,279

101.3%

営業利益

137,416

170,800

124.3%

営業利益率

3.8%

4.7%

122.7%

自己資本比率

26.4%

36.0%

136.5%

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。