当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は経営理念である『次世代に向け、多種多様な技術リクエストにお応えすべく、高い技術力を有する集団になるとともに、社会に貢献する製品を提供する』を実現するため、創業以来培ってきたハードウェア・ソフトウェア・メカトロニクスの技術によって、技術仕様の構築からシステム開発設計、製造までワンストップでサービス提供することにより、エレクトロニクス市場分野にベストソリューションを提供してまいります。
(2)経営戦略等
経営ビジョンである『高い技術力を基盤として、一人でも多くの人に夢を与えられる企業でありたい』を体現するべく、高品質のメカトロニクス・半導体デバイスを顧客のニーズにあわせて迅速に提供してまいります。これにより、当社を取り巻くステークホルダー、すなわち、株主、顧客、従業員、地域社会等の期待に応え、ひいては当社の企業価値を総合的に高めることができると考えております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、収益性の指標として「営業利益率」を、安定性の指標として「自己資本比率」を重要な指標として位置付け、バランスの取れた企業価値の継続的拡大を目指しております。
当社の主たる事業領域である半導体業界は、技術革新のスピードが速いため、これに対応すべく設備投資と研究開発投資を継続的に行う必要があります。また、半導体業界は景気変動の波が大きい特性があり、顧客企業の投資動向が当社の業績に影響を与える可能性がありますが、短期的には営業利益率5%以上を、中長期的には同10%以上を達成することにより、さらに自己資本比率40%以上を堅持することにより、強固な財務基盤並びに事業基盤を構築・維持することを目標としております。
(4)当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 人材の確保・育成について
当社では、人材が重要な経営資源であると考えており、事業の拡大及び持続的な成長のために、高いスキルを持った優秀な人材の確保と育成を重要な課題として認識しております。若年層人口の減少により採用活動は厳しい状況が続いておりますが、国内の大学を始め、海外の大学との連携等、教育・研究機関等との緊密な関係を構築し、採用応募者の増加に努めるとともに、社内での研修をより一層充実させ、新卒及び中途入社者の専門知識の向上による育成面にも力を入れることにより、当社の経営理念を理解しチャレンジを続ける優秀な人材の確保に取り組んでまいります。
② 内部管理体制の強化について
当社は、比較的小規模な組織であるため、継続的な成長を実現できる企業体質を確立する必要があります。そのため、リスク管理や業務運営管理をはじめとする内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。今後の企業規模拡大に備え、企画・管理本部を始めとする各部門の内部管理体制の整備と適切な運用を推進し、経営の公正性及び透明性を確保するため、体制強化に取り組んでまいります。
③ 新規顧客の開拓について
当社は、既存顧客からの注文に依存する割合が高くなっております。当社は販売先と良好な関係を維持しながら、今後も新規販売先の開拓を実施し、特定の販売先への依存度を低下させる方針です。
④ 財務体質の強化について
今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、運転資金を確保する必要がありますが、利益の蓄積の他、多様な資金調達手法を活用し、財務体質の強化を図ってまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは次の通りであります。なお、文中における将来に関する事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、『次世代に向け、多種多様な技術リクエストにお応えすべく、高い技術力を有する集団になるとともに、社会に貢献する製品を提供する』を経営理念として掲げております。主な顧客である電機メーカー、半導体関連企業、産業機器メーカーとの協働を通じて、創業以来培ってきたハードウェア・ソフトウェア・メカトロニクスに対する高い技術力を基盤として付加価値の高い商品・サービスを提供し続けることによって、持続可能な社会の実現に寄与してまいります。
また、人材育成や多様性の尊重等のサステナビリティ課題への取組みを継続的に推進し、組織と構成メンバー自身を変革し続けることで、当社の持続的な成長を図ってまいります。
(1)ガバナンス
当社は、委員長を代表取締役社長とするコンプライアンス・リスク管理委員会にて、リスクマネジメントの一環としてサステナビリティ関連の重要事項についても審議し、各種の取組みを推進するとともに進捗管理を行い、この結果を取締役会及び経営会議に適宜報告します。
(2)リスク管理
コンプライアンス・リスク管理委員会は、サステナビリティ課題を含む当社事業活動に影響を及ぼすと考えられるあらゆるリスクと機会を洗い出し、識別されたリスクについて影響度等を評価します。また重要度に応じて対応策と目標を策定し、取締役会及び経営会議に報告、付議します。取締役会及び経営会議は、報告、付議されたリスクを審議し、決定した対応策や目標を監督します。
(3)人的資本に関する戦略
我が国はかつて経験したことのない人口減少、ひいては労働人口減少という苦難に直面しております。また、企業は生産性、収益性の向上を求められております。当社はその対応として積極的な人的資本経営への取組みを行っており、以下の3点を基本方針として進めてまいります。
①常識に縛られない発想転換による人材多様性の確保
②我が国の抱える課題解決に資する柔軟な就業形態の実現
③個々の人材のレベルアップと能力発揮の環境整備
①常識に縛られない発想転換による人材多様性の確保
現在、我が国では15~64歳人口は60%を割り込み、少子高齢化がますます進展しております。この人口動態の長期間にわたる継続的な変形により、各社間での人材獲得競争が激烈化しております。当社では、若年層人材の採用や女性従業員の積極的な登用を引き続き重要な経営課題として注力しており、さらに、下記の事項を推進し、従来の常識にとらわれることのない人材確保を進めることによって、人材多様性を実現してまいります。
・他社を定年あるいは定年前に離職されたシニア層の方々の経験、知識の活用
・結婚、出産・育児、介護等の様々な理由により離職された方々の職場復帰の支援
・外国人の積極的な採用
②我が国の抱える課題解決に資する柔軟な就業形態の実現
当社は、社会構成要素の一員として雇用や社会保障の面から、日本の抱える社会課題にも取り組みたいと考えております。具体的には、下記の事項等を進めることにより、社会環境や従業員のライフステージに対応できる賃金や雇用制度・就業制度を今後さらに充実させることにより、安心して長く働ける環境の実現に努めてまいります。
・家計所得の上昇への貢献
・年金受給時期繰り下げへの対応(60歳以上の雇用促進、65歳定年制、70歳までの再雇用制度導入済み)
・育児・介護、感染症蔓延等に対応できる勤務制度の整備(リモートワーク制度やフレックス制度導入済み)
③個々の人材のレベルアップと能力発揮の環境整備
当社は、『次世代に向け、多種多様な技術リクエストにお応えすべく、高い技術力を有する集団になるとともに、社会に貢献する製品を提供する』という経営理念を実現するために、「あるべき姿と現在とのギャップを明確にして、周囲を巻き込みながら、目標へ至るまでの道筋を立て、社会・組織の課題を解決できる」人材を求める人材像としております。その求める人材像へと近づけるレベルアップのための施策及び能力発揮のための環境整備を推進してまいります。
a)人材育成方針
あるべき姿と現在とのギャップを明確にして、周囲を巻き込みながら、目標へ至るまでの道筋を立て、社会・組織の課題を解決できる人材を育てます。
(主体性)自ら問題を発見し解決に向けて考え・行動できる主体性を持った人材を育成します。
(成長意欲)何事にも目的意識をもって取り組むことができ、高い向上心がある人材を育成します。
(目標達成意欲)自ら目標を掲げ、その達成に向けて意欲的に取り組むことが出来る人材を育成します。
そのために、当社は学ぶ意欲やチャレンジする意欲のある従業員には能力・キャリア開発の人的投資をし、身につけた知識やスキルを評価するとともに、それを生かせる活躍の場を提供することで、個人の成長や自己実現を最大限支援します。
b)レベルアップのための施策及び能力発揮のための環境整備
・研修の実施
コンプライアンス、ハラスメント防止、インサイダー取引規制、情報セキュリティ管理に関する全社員共通研修を、新規入社社員を含めた全役職員に実施しております。今後は階層別やテーマ別の会社選定の研修講座を実施する計画です。
・自己啓発に対する支援・奨励
当期は「資格取得支援制度」を導入し、資格取得に対して取り組んだ従業員に対する支援・奨励をしております。今後はさらに自己啓発のためのオンラインセミナーを全社で展開していく予定です。
・能力開発を活性化させる社内文化の醸成、社内制度の充実
自社の経営方針を理解するための社内情報発信の仕組みや、社内で切磋琢磨し刺激を相互に授受できるコミュニケーションの場づくり、新規事業や業務改善等にかかる社内提案制度やそれに伴う柔軟な人材抜擢制度等の検討・導入、目標管理制度の適正な設計及び運用など、自己の能力開発に能動的に取組むことのできる社内文化の醸成及び公平な評価や処遇などにつなげる社内制度の充実に取り組んでまいります。
(4)人的資本に関する指標及び目標
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テーマ |
指標 |
目標 (2026年10月期) |
当期実績 |
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①人材多様性の確保 |
管理職に占める女性労働者の割合 |
20% |
14.3% |
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②柔軟な就業形態の実現 |
育児休暇の一部有給化や週休3日制度など、柔軟なワークスタイルを可能にする制度の導入 |
2026年10月期末までに導入 |
- |
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③個々の人材のレベルアップと能力発揮の環境整備 |
全社共通研修の受講 |
100% |
99% |
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自己啓発オンラインセミナーの受講 |
20%以上 |
- |
以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1)景気動向や半導体市況の影響について(不可避リスク、影響度:大、発生頻度:中)
当社の事業は、景気動向、金利動向、物価動向及び税制等に基づく需要者の投資意欲や需要動向に影響を受けやすいため、景気の先行き悪化や大幅な金利の上昇、人件費の上昇、半導体市況、消費税増税等の動向に大きく左右される傾向があります。そのため、これらの動向次第で当社の業績に影響を与える可能性があります。特に、当社の主要販売先は半導体関連企業であるため、半導体市場の影響を大きく受けます。半導体市場は中長期的には技術革新が進むことで持続的な成長が期待できる反面、短期的には需給バランスの崩れなどで市場規模が大きく変動する可能性もあります。このような想定外の需要の急減等により、顧客が設備投資の中止や延期を行った場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。一方で、想定外の需要の急増等が発生した場合は、製品供給が適時に行えずに機会損失が生じる可能性もあります。
当社はこのような景気変動、金利動向、物価動向、需要動向、また市場変動に対応するため、顧客の投資動向や受注状況を適時に把握・検証するとともに、設備・システム・人員等、多面的に柔軟な生産体制を整備・運用することで、環境変動に対応できる体制を構築しております。
(2)法的規制について(回避可能リスク、影響度:大、発生頻度:低)
当社が遵守すべき法令・規制として、具体的には、一般労働者派遣事業者として「労働者派遣法」(注)に基づく許可、有料職業紹介事業者として「職業安定法」に基づく許可及び電気通信工事業者として「建設業法」に基づく許可並びに登録電気工事事業者として「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づく許可があり、それぞれ許可を受けて事業を行っております。現在、これら許可要件の欠格事由はありません。当社の申請が基準に適合しない場合や、事業活動において違反行為が生じた場合には、営業の停止又は許可の取消という行政処分が下される恐れがあり、万が一、当該基準に抵触するようなことがあれば、事業活動に重大な影響を与える可能性があります。
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許可名 |
許認可等番号 |
有効期限 |
取消条項 |
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一般労働者派遣事業許可 |
派13-302124 |
2024年10月31日 |
労働者派遣法(注)第14条 |
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有料職業紹介事業許可 |
13-ユ-311880 |
2028年2月29日 |
職業安定法 第32条の9 |
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特定建設業許可 |
(特-5)第156694号 |
2028年4月3日 |
建設業法 第29条 |
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登録電気工事業者 |
第2311770号 |
- |
電気工事業の業務の適正化に関する法律 第26条 |
(注) 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」
当社では、従業員を対象としたコンプライアンス研修等の実施を推進するなど、遵法精神の向上・定着や社会的規範意識の醸成に努めております。また、内部監査部門において当社が事業を展開する上で遵守すべき法令・規制が有効期限内にあること、取消条項に抵触していないことについてチェックリストを用いて常時注視することにより、当該リスクに対応する体制を構築しております。
(3)知的財産権について(回避可能リスク、影響度:大、発生頻度:低)
当社の製品は多くの最先端技術を製品に用いるために、意図せず第三者の技術や知的財産権を侵害してしまうリスクがあり、対応を誤ると製品の販売停止や損害賠償の発生などが当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また先端技術分野における知的財産の権利関係はますます複雑化しており、知的財産権に係る紛争に巻き込まれた場合にも、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、第三者の知的財産を侵害しないよう社内における教育を行うとともに、先行商標確認や新規導入技術等に関する先行特許確認等他社の知的財産権の調査を行う体制整備に取り組んでまいります。
(4)技術革新について(回避可能リスク、影響度:中、発生頻度:中)
当社の事業領域であるエレクトロニクス業界においては、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づく新技術が生み出されております。しかしながら何らかの要因のため、当社において当該変化等への対応が遅れた場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社はこうした事態に対応するために、常に業界動向を注視し、迅速かつ適切な対応をしていく方針であります。最新の知識・技術を継続的にアップデートし、顧客企業のニーズを的確に捉えるべく、不断の研究開発活動に注力することで、技術革新に対応できる体制構築に努めております。
(5)価格競争のリスク(不可避リスク、影響度:大、発生頻度:高)
当社の主要顧客である電子機器等完成品メーカーは、グローバル化の進展に伴い、製品に組み込むプリント配線基板等について、高い品質と短納期が求められる試作基板製造は国内企業に任せる一方、量産基板製造は、マーケットを背景に持つ中国・アジア諸国等の海外拠点・企業に委託してコストを削減する傾向にありましたが、急激な円安の進行を受け、調達を国内生産への切替えの動きがみられます。電子機器等完成品メーカーの部品調達先が変更されることにより、当社は新たな調達先の開拓の必要性が高まり、安定した供給を担保できずに価格転嫁ができないコストを生じさせるリスクがあります。
当社は、電子機器等完成品メーカーの量産基板製造の国内生産への切替えの動きに対しては、安易な新規調達先の開拓によらず、安定供給を担保できる調達先の確保を進め、適正な調達コストを価格に転嫁するように努めております。また、今後円安が再び円高へと推移して部品調達が海外にシフトすることにより、生産が大幅に減少する可能性を踏まえ、当社は高付加価値基板の製造技術の確立と短納期多品種中小ロットの製造に注力することで他社との差別化を図り、価格競争のリスクを低減してまいります。
(6)人材の確保・育成について(回避可能リスク、影響度:大、発生頻度:高)
当社の事業は高い意欲と技術力を備えた人材に支えられており、人材が重要な経営資源と考えております。したがって、事業の拡大に向け、優秀な人材の確保・育成・定着率の向上が重要な課題となりますが、少子高齢化・労働人口の減少により、中長期的には人材の確保が難しくなる傾向にあり、また、当社内においても技術者の高年齢化が課題となっております。雇用情勢や経済環境によっては、計画通りの人材確保・育成ができず、当社の業績に影響を与える可能性があります。
会社説明会、就職フェア、就職サイト・ホームページなどを活用することにより、新規学卒者採用及び中途採用を継続的に行っており、2024年1月からは、タイ王国からのインターンシップの受け入れを開始いたしました。加えて豊富な経験を有するシニア層や結婚・育児を契機に離職をしている方を対象とした採用も行い、正社員への転換を推進するなど、採用面からの多様性の確保に努めております。また、本社内に情報セキュリティ対策を完備した開発用専門ブースを新設し、顧客企業内に派遣され開発業務に従事していた知識・経験豊富な技術者と若手技術者を研究開発業務で協働させることにより、専門技能・知識・ノウハウの若手技術者への伝承を進めております。さらに、人材育成という観点では、会社選定の研修講座による能力開発の機会を提供しております。また、当期に導入した「資格取得支援制度」を活用した資格取得を奨励し、所定の資格を要する業務における当該有資格者の不在時や退職等に起因するリスクを低減するとともに、自らの意思で能力開発やスキル習得に取組む意欲ある従業員を支援してまいります。
(7)特定の販売先への依存について(回避可能リスク、影響度:大、発生頻度:高)
当社の売上高のうち、最大の販売先(レーザーテック㈱))に対する売上が約90%を占めております。当社は販売先と良好な関係を維持しており、当面は特定の販売先への依存が高い水準で推移することが考えられ、この間に特定の販売先からの受注が減少した場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は販売先との良好な関係を維持してまいりますが、これまで培ってきたコア事業としてのエレクトロニクス事業を横展開することによる新規販売先の開拓を実施し、特定の販売先への依存度を低下させる方針です。
さらに、新規事業として環境関連装置事業や、自社開発したペイパービュー用の電子端末の製造・販売事業等を推進しております。
(8)情報管理について(回避可能リスク、影響度:大、発生頻度:低)
当社は、顧客企業に関する社外秘の技術等、様々な情報を取り扱っております。これらの情報管理については、規程の整備や社員等への周知徹底に努めております。しかしながら、不測の事態によって情報が漏洩した場合には、当社の社会的信用が低下し、またその対応のための費用が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、最新のサイバーリスクに関する情報に基づき、アンチウイルスソフトの導入を徹底し、ファイアウォール等の設置による不正なアクセスの防止、外部からの不審なメールをチェックし排除するシステムを導入するなど、情報漏洩リスクの低減に努めております。また、従業員に対して情報の取扱いに関する教育を進め、セキュリティ意識の向上に努めております。
(9)自然災害等について(不可避リスク、影響度:大、発生頻度:中)
当社は、本社機能、開発・生産拠点を国内の複数の地域、具体的には東京、横浜、福岡等に有しております。これらの拠点において、地震、風水害、火災等の災害又は事故が発生した場合は、各拠点ごとに被害を最小限に低減すべく努力しますが、被害状況によっては、又は社会インフラの損壊など予想を超える事態が生じた場合には、当該生産拠点における生産活動が停止し、製品の出荷が停止若しくは遅延し、又は設備の修理、代替等のため多大な損失・費用を被る可能性があります。また、インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症及び国内外の電力供給問題等の発生により当社の生産能力が悪影響を受ける可能性があり、これらの事象が発生した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、自然災害、エネルギー供給体制、疫病等に関する情報収集体制及び防災に対する適切な管理体制の構築を行うとともに、基幹データベースのクラウド化と分散保存を推進し、事業遂行上に必要な情報が災害などで損なわれないように対処しております。また、感染症の状況を常に確認しつつ、感染状況の悪化の際には顧客・従業員の安全を最優先に、マスク着用の徹底、在宅勤務及び時差出勤の推奨、Web会議の推進、会議室等の定期的な消毒等の取り組みを行うこととしております。
(10)資金調達について(回避可能リスク、影響度:中、発生頻度:低)
当社は、必要な資金の調達は金融機関からの借入金等により行っております。今後、金融市場の悪化や当社の経営成績等により、借入れの継続及び新規借入れを行うことができない可能性があります。また、格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、資金調達が制約されるとともに調達コストが増加する可能性があります。これらの事態が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、一定の手許資金を保持し、財務基盤の安定性をより一層高めることを目的に、複数の取引銀行と当座貸越契約を締結し、資金の借入れを実施しておりますが、今後の様々な状況を想定し、新規の資金調達についても検討を進めております。
(11)重大な人身・設備事故、火災等の発生について(回避可能リスク、影響度:中、発生頻度:低)
当社は、生産現場における人身・設備事故、火災等を未然に防ぐため、「安全・品質の確保」に対する取り組みには万全を期すとともに、管理を強化することで、事故の発生防止に努めております。しかしながら、不測の事態により重大な人身・設備事故、火災等を発生させた場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生や受注機会の減少等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
当社は、生産拠点に防火防爆の安全対策を施すとともに、関係法令に基づく各種マニュアルを定め、リストに基づく日常点検・定期点検、本社・生産管理部門による業務点検や防災訓練を実施しております。
(12)製品・サービスの品質、製造物責任について(回避可能リスク、影響度:大、発生頻度:低)
当社の製品・サービスには、高度で複雑な技術を利用したものが増えています。また、部品等を外部のサプライヤーから調達することにより、品質確保へのコントロールが低下します。当社の製品・サービスに欠陥等が生じた場合、当社の製品・サービスの質に対する信頼が影響を受け、当該欠陥等から生じた損害について当社が責任を負う可能性があるとともに、当社の製品の販売能力、ひいては当社の経営成績、財政状態及び将来の業績見通しに影響を与える可能性があります。
当社は、マニュアル化により一定水準の技術継承と標準化を早急に実現することで品質の維持・向上を図るとともに、事故未然防止活動、技術法令の遵守活動、リスクアセスメントの徹底、品質・信頼性や製品事故発生時の対応に関する教育等を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は1,954,713千円で、前事業年度末に比べ101,060千円減少しております。主な減少要因は売掛金の減少123,015千円、貸倒引当金の増加44,407千円、仕掛品の減少30,276千円等、主な増加要因は現金及び預金の増加60,096千円、原材料の増加28,512千円等であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は243,645千円で、前事業年度末に比べ13,096千円増加しております。主な増加要因は繰延税金資産の増加9,577千円等であります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は741,986千円で、前事業年度末に比べ259,147千円減少しております。主な減少要因は買掛金の減少436,629千円等、主な増加要因は未払消費税等の増加90,798千円、未払法人税等の増加46,674千円、未払金の増加32,227千円等であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は264,530千円で、前事業年度末に比べ16,538千円減少しております。長期借入金の減少16,538千円がその変動要因であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は1,191,842千円で、前事業年度末に比べ187,721千円増加しております。当期純利益193,231千円の計上による利益剰余金の増加及び剰余金の配当5,510千円による利益剰余金の減少がその変動要因であります。
b.経営成績
当事業年度における世界経済は、米国におけるインフレ及び金融引締め、欧州におけるロシア・ウクライナ情勢を受けたエネルギー供給制約や金融引締め等の影響による下押し圧力、中国におけるゼロコロナ政策解除後の回復ペースの鈍化や不動産市況の低迷長期化、それらに伴う内需低迷及びデフレ懸念、新興国における通貨安等に伴う景気低迷など、総じて減速傾向が続きました。日本経済は、行動制限の緩和や水際対策の緩和を受けてインバウンド需要が回復するなど、個人消費や企業の生産活動を中心に経済活動の正常化が緩やかに進んだものの、円安等の影響によりインフレが進行しました。先行きについては、世界的な金融引締めや中国経済の停滞など、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクや、インフレ、為替変動等の影響が懸念されます。
当社の属する半導体業界においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)やIoT化の動きは継続しているものの、ノートパソコンや通信機器の最終需要が一巡したことにより、サプライチェーン全体で設備投資の調整局面が続いております。一方、今後は生成AI向けの演算用半導体や電気自動車(EV)向けのパワー半導体などの需要の伸長、また、ノートパソコンやスマートフォンなど民生品向け需要の回復など、半導体製造装置市場は中長期的に成長を続けると見込まれております。
このような経営環境下において、売上高は3,381,392千円(前事業年度比15.5%増加)、営業利益は296,694千円(同43.8%増加)、経常利益は298,813千円(同43.2%増加)、当期純利益は193,231千円(同47.8%増加)となりました。
なお、当社は、プロダクツ事業、エンジニアリング事業及びシステム事業を主体とするエレクトロニクス事業を行っており、単一セグメントであるため、セグメントごとの記載に代えて、事業別に記載いたします。また、当事業年度より、当社における業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「プロダクツ事業」に含めていた一部サービスの区分を「エンジニアリング事業」に変更しております。このため、「前事業年度比」については、前事業年度の金額を事業変更後の数値に組み替えたものに対する増減率を記載しております。
[プロダクツ事業]
プロダクツ事業の売上高は367,847千円(前事業年度比35.3%増加)となりました。大型装置の受注が引き続き高水準で推移したものであります。
[エンジニアリング事業]
エンジニアリング事業の売上高は480,688千円(前事業年度比9.5%増加)となりました。人員増強等により受注が堅調に推移したものであります。
[システム事業]
システム事業の売上高は2,514,577千円(前事業年度比19.6%増加)となりました。人員増強、事務所移転による増床・設備拡充等を積極的に行った効果として大型装置の受注が好調に推移したものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は553,288千円(前事業年度末比60,095千円増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は105,620千円(前年同期は183,455千円の使用)となりました。主な増加要因は税引前当期純利益の計上298,813千円、売上債権の減少額118,448千円、未払消費税等の増加額90,798千円、貸倒引当金の増加額44,407千円、未払金の増加額32,689千円、減価償却費24,900千円等、主な減少要因は仕入債務の減少額436,629千円、法人税等の支払額80,302千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は31,625千円(前年同期は165,701千円の使用)となりました。主な減少要因は有形固定資産の取得による支出27,685千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は13,900千円(前年同期は541,182千円の獲得)となりました。減少要因は長期借入金の返済による支出197,390千円及び配当金の支払額5,510千円、増加要因は長期借入れによる収入180,000千円及び短期借入金の純増加額9,000千円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社はプロダクツ事業、エンジニアリング事業、システム事業を主体とするエレクトロニクス事業を行っており、単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業部門別に記載しております。
なお、「その他」は主に環境関連装置事業であります。また、当事業年度より、当社における業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「プロダクツ事業」に含めていた一部サービスの区分を「エンジニアリング事業」に変更しております。このため、「前年同期比」については、前事業年度の金額を事業変更後の数値に組み替えたものに対する増減率を記載しております。
a.生産実績
当事業年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、以下の通りです。
|
事業部門の名称 |
当事業年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
プロダクツ事業 |
(千円) |
183,623 |
111.7 |
|
エンジニアリング事業 |
(千円) |
325,677 |
106.6 |
|
システム事業 |
(千円) |
1,975,309 |
114.8 |
|
その他 |
(千円) |
10,384 |
9.1 |
|
合計 |
(千円) |
2,494,994 |
108.3 |
b.受注実績
当事業年度の受注実績を事業部門ごとに示すと、以下の通りです。
|
事業部門の名称 |
受注高 |
受注残高 |
|||
|
当事業年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
前年同期比 (%) |
当事業年度末 (2023年10月31日) |
前年同期比 (%) |
||
|
プロダクツ事業 |
(千円) |
290,670 |
117.8 |
147,847 |
67.3 |
|
エンジニアリング事業 |
(千円) |
492,951 |
111.0 |
17,443 |
- |
|
システム事業 |
(千円) |
2,167,257 |
72.0 |
994,448 |
74.1 |
|
その他 |
(千円) |
21,471 |
18.9 |
3,233 |
7,810.1 |
|
合計 |
(千円) |
2,972,351 |
77.9 |
1,162,972 |
74.2 |
c.販売実績
当事業年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、以下の通りです。
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事業部門の名称 |
当事業年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
プロダクツ事業 |
(千円) |
367,847 |
135.3 |
|
エンジニアリング事業 |
(千円) |
480,688 |
109.5 |
|
システム事業 |
(千円) |
2,514,577 |
119.6 |
|
その他 |
(千円) |
18,279 |
16.1 |
|
合計 |
(千円) |
3,381,392 |
115.5 |
(注1) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りです。
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相手先 |
前事業年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
当事業年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
レーザーテック㈱ |
2,491,760 |
85.1 |
3,054,583 |
90.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 (注記事項)(重要な会計方針)」に記載しておりますが、当社の財務諸表の金額に特に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下の通りです。
(繰延税金資産)
当社は、過去の課税所得水準及び一時差異等のスケジューリングの結果に基づいて回収可能性を判断し、将来の課税所得の見込みを主要な仮定として繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境に著しい変化が生じるなどにより将来の課税所得の見積額が変動した場合には、将来の繰延税金資産及び税金費用に影響を与える可能性があります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」a.財政状態」に記載の通りです。
2)経営成績
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」b.経営成績」に記載の通りです。
(売上高、売上原価、売上総利益)
売上高は3,381,392千円(前年同期比15.5%増加)となりました。プロダクツ事業は、大型装置の受注が高水準で推移いたしました。エンジニアリング事業は、人員増強等により受注が堅調に推移いたしました。システム事業は、人員増強、事務所移転による増床・設備拡充等を積極的に行った効果として大型装置の新規受注が好調に推移しております。
売上原価は2,507,758千円(前年同比11.1%増加)となりました。材料費の低減等により、売上原価率が前年同期比で3.0ポイント低減しております。
その結果、売上総利益は873,634千円(前年同期比30.4%増加)となっております。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は576,939千円(前年同期比24.5%増加)となりました。これは主に、人員増強に伴う従業員給与の増加35,953千円、従業員賞与の増加22,080千円、内部管理機能強化に係る業務委託費の増加17,097千円等によるものであります。
その結果、営業利益は296,694千円(前年同期比43.8%増加)となっております。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は5,457千円(前年同期比2.9%増加)となりました。
営業外費用は3,338千円(前年同期比10.2%増加)となりました。
その結果、経常利益は298,813千円(前年同期比43.2%増加)となっております。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、当期純利益)
特別利益は、前事業年度、当事業年度ともに計上しておりません。
特別損失は、前事業年度において和解金15,306千円を計上しております。
法人税等合計は105,582千円(前年同期比68.8%増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益及び課税所得の増加によるものであります。
その結果、当期純利益は193,231千円(前年同期比47.8%増加)となっております。
3)キャッシュ・フロー
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社における主な資金需要は、製品製造のための材料費、外注費及び労務費です。直近においては、2022年3月に、生産設備の統合・拡張、本社機能の移転・拡張などの設備投資を実施し、当該資金需要を充足するため、第三者割当による募集株式の発行を行っております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、営業利益率5%(短期目標。なお、中長期目標は10%)及び自己資本比率40%を掲げて企業経営に取り組んでおります。
前事業年度及び当事業年度の経営指標は次の通りであります。当事業年度の営業利益率、自己資本比率は目標とする数値を達成しております。
|
|
前事業年度 (自 2021年11月1日 至 2022年10月31日) |
当事業年度 (自 2022年11月1日 至 2023年10月31日) |
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金額(千円) |
金額(千円) |
前年同期比 |
|
|
売上高 |
2,927,159 |
3,381,392 |
115.5% |
|
営業利益 |
206,359 |
296,694 |
143.8% |
|
営業利益率 |
7.1% |
8.8% |
124.5% |
|
自己資本比率 |
43.9% |
54.2% |
123.4% |
該当事項はありません。
特記事項はありません。