当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績の状況
当中間会計期間における我が国経済は、景気は緩やかに回復しているものの、米国の通商政策等により先行きに不透明感が見られました。雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されますが、米国の通商政策の影響による景気の下振れリスクが高まっており、金融資本市場の変動等の影響に一層注意する必要がある状況です。情報通信業界については、社会インフラを停止させるシステム障害やランサムウェアなどのサイバー攻撃が増加したことで、レジリエンス需要(情報システムの防御と回復の仕組み)は依然として拡大傾向にあります。
このような環境下、当社は当事業年度を「持続的な成長への基盤固め、成長のための準備を加速する一年」と位置づけ、人財採用・育成への積極的な投資を継続しました。また、当社の2つの事業の成長戦略を再設計し、リソースを集中させるとともに、新規顧客開拓のためのマーケティング強化に取り組みました。当中間会計期間には、まだ十分な結果を出すことはできませんでしたが、半導体・AI・ゲーム業界といった成長産業に対する営業の推進は、設備能力拡張に伴うハードウエア需要を掘り起こしました。特に、高性能サーバー・ストレージとレジリエンス向上を目的としたバックアップソリューションを組み合わせた販売案件は、売上高の確保に貢献しています。
人財の採用は引き続き順調に進捗しました。当中間会計期間で4名を中途採用し、2025年4月の新卒採用は7名、2026年4月の新卒採用の内定者は2025年3月末時点で4名となりました。育成への取り組みとしては、OJTを中心とした実践的な育成と、オンライン学習プラットフォームを活用した効率的な学習を組み合わせた、独自のエンジニア育成プログラムの運用を開始しました。また、今後の人員増に対応するため、2025年7月よりエンジニアハビタットをワンフロア増床する計画にも着手しました。
その結果、当中間会計期間における売上高は1,170,215千円(前年同期比1.5%増)、営業利益は50,300千円(前年同期比58.3%減)、経常利益は50,230千円(前年同期比58.5%減)、中間純利益は31,433千円(前年同期比61.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(セキュアクラウドシステム事業)
セキュアクラウドシステム事業は増収減益でした。
売上については、半導体、AI、ゲームなどデジタル産業関連の性能向上案件に付随するハードウエア販売が好調でした。「2025年の崖問題」による基幹システム刷新案件も売上増加に寄与し、前年同期実績を上回りました。しかしながら、複数の中規模案件の受注遅れにより当初計画には届きませんでした。一方、当中間会計期間においては、前年に比べて高付加価値案件が少なかったこと及び、前事業年度からの人員増やエンジニアハビタット開設等の投資により固定的な原価、販売費及び一般管理費が増加したため、セグメント利益は前年同期を下回りました。
その結果、セキュアクラウドシステム事業の売上高は1,131,650千円(前年同期比1.6%増)、セグメント利益は194,796千円(前年同期比25.6%減)となりました。
(エモーショナルシステム事業)
エモーショナルシステム事業は減収減益でした。
東京オフィスと福岡本社ショールームのMetaWalkersⓇ体験コーナーを活用した実機デモによる、防災・宇宙・スポーツ科学・シニア市場への展開、地方創生分野への導入に向けた営業活動を推進するとともに、セキュアクラウドシステム事業の既存顧客に対する企業向けメタバースの提案活動に取り組みました。売上は、あかがねミュージアムへの360度シアター導入案件の他、既存のMetaWalkersⓇリニューアル案件が寄与しましたが、前年同期実績をわずかに下回りました。また、前事業年度中のMetaWalkersⓇ改造投資による販売費及び一般管理費の増加に加えて、高付加価値のイベント案件が取り込めなかったため、セグメント利益も前年同期を下回りました。
その結果、エモーショナルシステム事業の売上高は38,564千円(前年同期比1.9%減)、セグメント損失は4,017千円(前年同期はセグメント利益1,014千円)となりました。
なお、全社営業利益は、各セグメントの営業損益の合計から、報告セグメントに分配していない全社費用140,478千円を差し引いた数値となっています。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費です。
(2)財政状態の状況
(資産)
当中間会計期間末の資産の部は、前事業年度末に比べて1,078,632千円減少し、1,794,121千円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の減少(前事業年度末に比べて1,085,648千円の減少)、現金及び預金の増加(前事業年度末に比べて216,530千円の増加)、預け金の減少(前事業年度末に比べて155,744千円の減少)、商品及び製品の減少(前事業年度末に比べて60,957千円の減少)、電子記録債権の増加(前事業年度末に比べて14,764千円の増加)等によるものであります。
(負債)
当中間会計期間末の負債の部は、前事業年度末に比べて890,589千円減少し、545,864千円となりました。これは主に、買掛金の減少(前事業年度末に比べて815,456千円の減少)、未払法人税等の減少(前事業年度末に比べて46,303千円の減少)、前受金の増加(前事業年度末に比べて21,065千円の増加)、未払消費税等の減少(前事業年度末に比べて19,424千円の減少)、1年内返済予定の長期借入金の減少(前事業年度末に比べて18,006千円の減少)等によるものであります。
(純資産)
当中間会計期間末の純資産の部は、前事業年度末に比べて188,043千円減少し、1,248,256千円となりました。これは、自己株式の取得による減少(前事業年度末に比べて155,928千円の減少)、配当金の支払による利益剰余金の減少63,548千円、中間純利益の計上による利益剰余金が31,433千円増加したことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、765,813千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は305,950千円(前年同期は219,944千円の増加)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少1,070,884千円、仕入債務の減少815,456千円、棚卸資産の減少67,497千円、法人税等の支払59,300千円、税引前中間純利益の計上50,230千円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は308,908千円(前年同期は41,777千円の減少)となりました。これは、定期預金の預入による支出300,000千円、無形固定資産の取得による支出4,286千円、投資有価証券の取得による支出3,000千円、有形固定資産の取得による支出1,621千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は236,869千円(前年同期は80,096千円の減少)となりました。これは、自己株式の取得による支出155,928千円、配当金の支払62,935千円、長期借入金の返済による支出18,006千円によるものです。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)経営環境及び優先的に対処すべき課題
当中間会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題」についての重要な変更は、次のとおりであります。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、主力事業であるセキュアクラウドシステム事業の営業利益率16%を2028年9月期までに達成するというKGI(経営目標達成指標)を掲げておりましたが、グロース市場改革案や環境の変化に対応し、持続的な成長を実現するにあたり収益性のみならず、資本効率を重視した指標へのシフトが重要であると判断し、2030年9月期までにROE30%を達成、維持継続するというKGI設定へ変更することといたしました。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。