当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「貢献創造~挑戦と進化~」を企業理念に掲げ、不動産オーナー、不動産業者、飲食店舗出店者・撤退者等に対して、敬意と感謝の念を持ち、常に初心を忘れることなく、事業用不動産領域におけるプロフェッショナルとして、責任ある行動に尽力し、事業を展開しております。
(2)経営戦略
前記の経営方針のもと、当社グループは東京を中心とした1都3県において転貸借物件数の増加を図るため、不動産業者とのリレーションシップの強化を目指し、きめ細かな営業活動を展開しております。また、当社グループでは「事業用不動産を科学する」ことで取引先との信頼関係を構築し、店舗物件を中心とした事業用不動産を安心安全に使用収益できる環境の実現を図ります。
(3)経営環境
当社グループの主要事業である店舗物件の転貸借事業における経営環境につきましては、明確な市場が形成されていないものの、東京を中心とした1都3県における店舗物件は約13.2万件といわれており、その潜在的な市場規模は大きいと認識しております。また、特に飲食店舗については、他の業種と比較して入れ替わりが多く、当社が転貸借事業の展開を拡大する機会は多いと認識しております。
なお、店舗物件を扱う不動産業者の場合、一般的には仲介業務を主力事業として行うことが多く、また、店舗の転貸借事業は物件仕入れルートの構築難易度が高いことや、人的な先行投資が必要になりストックビジネスとして事業の収益化に長期間を要することもあり他社の参入及び展開が限定的であり、この分野において、先駆者として事業を展開する当社は優位性を有していると認識しております。
また、米国の政策動向の影響や、中国経済の先行きが懸念されるなかで、海外景気の下振れ、物価上昇、金融資本市場の変動等のリスクもあり、先行きは不透明な状況にあります。外食業界においてインバウンドを含む人流の増加や価格改定(値上げ)が進み都市部や観光地を中心に活況が見込まれるなかで、引き続き営業人員を拡充しつつ、市場性の高い店舗物件の仕入れに注力する方針であります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの主要事業である店舗転貸借事業につきましては、東京を中心とした1都3県において転貸借物件を積み上げております。東京を中心とした地域における飲食店舗の出店需要は引き続き高く、居抜き物件に対する需要も高い一方、店舗物件の総数に対する転貸借物件数の割合が未だ僅少であることから、事業の拡大余地は大きいと認識しております。当社グループとしては、店舗物件のスタンダードを確立すべく、専門性を追求し、また組織の充実を図り、今後とも転貸借物件数を積み上げていく方針であります。その推進に際しては、以下の項目を対処すべき課題として、取り組んでまいります。
① 優良物件の確保
当社グループが安定的かつ着実な事業拡大を図る上では、優良な店舗物件にこだわり、転貸借物件を増加させていくことが重要であると考えております。そのため、各地域の不動産業者・当社グループのWEBサイト「店舗買取り.com」等により物件情報を収集し、日々調査・検討を行っておりますが、さらに情報入手先の多様化・関係性の強化に努め、店舗経営者のニーズを踏まえた優良物件の確保を進めてまいります。また、不動産売買事業において不動産売買取引を行うことで取引の間口を広げ、不動産会社とのリレーションシップ強化を図っております。
② 人材の採用・教育の強化
当社グループの事業は人的資源に大きく依存するビジネスモデルとなっており、当社グループの安定的かつ継続的成長には、店舗物件、飲食業界、街、飲食設備、法務といった専門知識及びノウハウを身に付けた優秀な人材を継続して確保・育成することが重要だと考えております。人材採用においては、シニアクラスの営業担当者を責任者とする専門部署を設置し採用に注力しております。また当社グループにおいて必要となるスキルやノウハウの習得、育成については、eラーニングを活用した教育プログラムを実施していくことで、効率的・効果的に当社グループの成長を支える社員の育成を行っていく方針であります。
③ 当社グループ及び店舗転貸借事業の認知度向上
当社グループ及び店舗転貸借事業については、一般的な認知度は低く、また、転貸借契約について、ネガティブなイメージを持たれることもあり、今後も継続的な成長を図るためには認知度を向上させ、本事業の魅力及び利点を訴求していく必要があると認識しております。そのため、WEBサイトでの情報発信、広告宣伝活動及びIR活動等を通じた積極的な情報開示に努めてまいります。
④ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社グループの継続的な発展を実現させるためには、コーポレート・ガバナンス機能の強化は重要な課題であると認識しております。そのため、コンプライアンスを重視した企業経営を推進し、また業務運営の効率化やリスク管理の徹底など内部管理体制のさらなる強化に努めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、事業展開上、転貸借物件数の増加を最重要事項に位置付けており、中長期的な経営目標として転貸借物件数5,500件を目標としております。また、転貸借契約数の最大化を通じて、サブスクリプション型収益である賃料差益の最大化を実現し、企業価値の積極的な向上を図る方針であります。これを踏まえ、転貸借物件数、売上高及び売上高営業利益率を重要な指標としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)基本的な考え方
当社グループは、環境・社会・経済における多様な問題が発生している中で、世界的にESG(環境・社会・ガバナンス)に対応した経営が注目されており、経済的価値の創出のみならず、社会的な貢献・責任を果たしながら、持続的に企業価値を向上させることが求められていると認識しています。
当社グループの主要事業は、不動産オーナーから良質な居抜きの店舗物件を賃借し、店舗出店者に転貸する店舗転貸借事業であります。本事業は、実質的な固定資産の保有が極めて少なく、温室効果ガスの排出機会も限定的で、基本的に環境に与える負荷が小さい事業となります。また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響についても少ないものと認識しております。
他方、サステナビリティに係る具体的な取組は、当社グループの事業領域及び得意分野を活かす形で実施しており、GHG(温室効果ガス)排出量算定についても第16期に実施し、今後も定期的に排出状況を把握する予定です。
なお、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言については、重要な課題と認識しており、今後、諸状況を鑑みつつ、取組方法について検討してまいります。
(2)ガバナンス
サステナビリティ関連のリスク及び機会の監視、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続については、当社グループの主要事業が環境に与える負荷が小さく、また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響が少ないことから、「
(3)戦略
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については
また、サステナビリティに関し、以下の通り当社グループの事業領域及び得意分野を活かした具体的な取組を行い、当社のホームページやIR資料にて情報開示を行っております。
お店のこども食堂 「みせしょく」
https://www.ihd.co.jp/wp/csr
居抜きの活用による廃棄物削減効果 (2025年3月期 決算説明資料 P57)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3484/ir_material_for_fiscal_ym1/179283/00.pdf
(4)リスク管理
サステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程については、当社グループの主要事業が環境に与える負荷が小さく、また気候変動に係るリスク及び収益機会が当社の事業活動や収益等に与える影響が少ないことから、「
(5)指標及び目標
サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いられる情報のうち、重要なものについて、該当事項はありません。
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績については、現状では女性管理職の登用はありませんが、今後、能力ある女性を積極的に管理職に登用し、女性管理職比率を1割とすることを目指します。中途採用者については、管理職における割合が9割強であるため、特段今後の目標は定めておりません。事業形態、事業規模が小さいことから、現状では外国人管理職の登用はありませんが、今後1名の登用を目指します。その他実績については「
また、当社グループの事業が環境に与える負荷を把握するため、GHG(温室効果ガス)排出量を算定しています。第16期における排出量は、スコープ1(事業者自らによる直接排出)は0t-CO2、スコープ2(他社供給の電気等の使用に伴う間接排出)は30t-CO2でありました。このことから、当社グループの事業が環境に与える負荷は基本的に小さいものと認識しており、現状では特段の指標及び目標は設けておりませんが、今後も事業活動におけるGHG排出状況を定期的に把握し、必要に応じて指標又は目標を設定し、低炭素社会の実現化を進めてまいります。
GHG排出量算定
https://www.ihd.co.jp/ir/ghg/
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関わるリスクについて
当社グループの主要事業は、不動産オーナーから賃借した店舗物件を店舗出店者に転貸する店舗転貸借事業であります。また、当該店舗物件は飲食店舗を中心としております。このため、飲食業界、不動産業界に影響を与える景気動向、地価動向、不動産市況、外食産業市場動向、金融動向等の急激な変動等によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)親会社グループとの関係について
当社グループの親会社である株式会社クロップスは、2025年3月末現在、当社発行済株式総数の56.8%(10,044,400株)を所有しております。株式会社クロップスは、今後も当社グループを連結グループ子会社として資本関係を維持していく予定であります。親会社グループは、移動体通信事業を主たる事業とし、その他に人材派遣事業、ビルメンテナンス事業、卸事業及び海外事業を行っており、当社グループは、親会社グループにおいて唯一の店舗転貸借事業及び不動産売買事業を営む会社であります。当社グループと親会社グループとの間に競合関係、重要な取引はなく、親会社グループからの出向者はおらず、当社グループの事業活動に影響を与えるものはありません。株式会社クロップスの代表取締役前田有幾が当社の非常勤取締役に就任しておりますが、当社グループの経営判断については、親会社の承認を必要とする事項はなく、当社グループが独自に検討のうえ決定し、独立性は確保していると認識しております。現在、親会社グループとの関係について大きな変更を想定しておりませんが、将来において、親会社グループとの関係に大きな変化が生じた場合は、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合について
当社グループが展開する店舗転貸借事業については、物件仕入れルートの構築の難易度が高いことや、人的な先行投資が必要になりストックビジネスとして事業の収益化に長期間を要することもあって他社の参入及び展開がこれまで限定的であり、この分野において、当社グループは優位性を有していると認識しております。しかしながら、不動産業界等においては、大手事業者が多数存在しており、今後において、この分野に関して本格的な参入等により競合が激化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)不測の事故・災害等のリスクについて
当社グループが賃貸借している店舗物件数は2,706件(2025年3月末現在)であり、その全てが東京都及びその近郊に集中しております。このため、これらの地域での火災、テロ、地震、津波等の不測の事故、自然災害等により店舗物件が毀損もしくは使用不能等の状態となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの不測の事故、自然災害等により消費者の外食意欲が低下し、飲食店舗の出店希望者が減少した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)差入保証金について
当社グループは店舗物件の賃貸借契約において、賃貸人に対して保証金等を差し入れております。2025年3月末現在の店舗物件に係る差入保証金の残高は7,282,846千円であり、総資産に占める割合は46.5%となっております。賃貸人に対しては、取引の開始時及び賃貸借契約後定期的に調査を行う等、与信管理に注意を払っておりますが、賃貸人の破産・倒産・抵当権実行等により多額の差入保証金を回収することができなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)空き家賃について
不動産オーナーとの賃貸借契約において、当社グループは転借人(テナント入居者)の有無または当社が受け取る家賃の額に関係なく、毎月定額の家賃を支払う内容となっております。当社グループは空き店舗の発生による業績への影響を低減するために、新規仕入を行った際には速やかにテナント入居者を探し、一定期間見つからない場合には解約をすることにしておりますが、入居者が見つからない期間は、空き家賃が発生するとともに、解約になる場合には解約費が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法的規制等について
当社グループが取扱う店舗の造作物の売買においては、古物営業法による規制を受けております。当社グループでは当該法令を遵守し、事業を運営しております。しかしながら、法令違反が発生した場合、予期しない当該法令の改正や新たな法令等の制定により当社の事業に何らかの制約を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは事業運営に際して、古物営業法に定める古物商の許可を得ております。現状、当該許可の取消となる事由はありません。しかしながら、何らかの事情により許可の取消し等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(許認可等の状況)
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許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期間 |
関係法令 |
許認可等の取消事由 |
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古物商許可 |
第304360809505号 |
なし |
古物営業法 |
同法第6条 |
(8)法令変更のリスクについて
当社グループは、飲食店舗等の転貸借において、民法や借地借家法等の現行における法律・制度等に基づき、これらを遵守し行っております。しかしながら、これらの法律等に予期しない変更等があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)情報管理について
当社グループは、事業運営に際して、賃借先、賃貸先等の情報を取得しており、個人情報の保護に関する法律等による規制を受けております。当社グループでは、情報保護に関するフローを整備し、細心の注意を払って管理に努めております。しかしながら、万が一、当社グループの関係者等の故意または過失により外部に流出した場合には、損害賠償請求を受けるリスクや社会的信用失墜により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)訴訟等の発生について
当社グループの事業運営に際しては、転貸した店舗物件に係るトラブルまたはこれに起因する訴訟、その他の請求等が発生する可能性があります。このため、これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)人材の確保・育成について
当社グループは、事業を拡大する上で、優秀な人材確保及び育成が重要な経営課題であると認識しております。今後も優秀な人材確保及び育成を積極的に行っていく方針であります。しかしながら、優秀な人材の確保が十分にできなかった場合、現在在籍している人材が流出していく事態となった場合、育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)小規模組織について
当社グループは組織規模が小さいため、内部管理体制もこのような事業規模に応じたものとなっております。今後、事業規模の拡大に伴い人員の増強や内部管理体制の一層の強化・充実を図っていく方針であります。しかしながら、事業の拡大及び人員の増加に適時適切に組織的対応ができなかった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)販売用不動産の在庫リスクについて
不動産売買事業では、販売用不動産を保有しております。これらの不動産については、販売計画に基づいて適切な不動産管理を行っておりますが、当初の販売計画から大幅な乖離が発生する可能性があります。また、不動産は市場動向によっては滞留または販売価格の見直しが発生する可能性があります。この場合には、不動産の評価損の計上等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果もあり、企業収益及び雇用情勢には総じて改善傾向が、個人消費には持ち直しの動きがみられました。先行きについては、米国の政策動向の影響や、中国経済の先行きが懸念されるなかで、海外景気の下振れ、物価上昇、金融資本市場の変動、地政学的なリスクもあり、不透明な状況にあります。
当社グループを取り巻く環境について、外食業界においては、円安に後押しされたインバウンドを含む人流の増加や価格改定による単価上昇によって都市部や観光地を中心に売上高が伸長した一方で、利益面は原材料と光熱費の高騰に加え、国内消費者の節約志向もあり、厳しさの残る状況となりました。また、飲酒業態においては、中小規模の宴会が増加し、遅い時間帯の来客と大規模宴会需要も徐々に戻りつつあるものの、店舗数の減少も影響し、回復に遅れがみられました。東京主要地域の不動産市況については、インバウンドによる需要増の恩恵を受ける地域を中心に、出店増と賃料の上昇傾向が確認できる一方で、固定費が膨らむ大型の店舗物件、ブランド力に乏しい駅外周部等の店舗物件については、出店需要に弱さが残る状況となりました。
このような環境のなかで、当社グループの主要事業である店舗転貸借事業においては、旺盛な個人・小規模飲食事業者の出店需要に対応した「好立地」「小規模」「居抜き」店舗物件の積極的な仕入れと共に、リーシングの最適化に向けた業務別分業型への移行と市場価格に沿ったこまやかな家賃設定をおこないました。また、営業力向上に向けた採用及び教育の強化を実施しました。不動産売買事業においては、会社設立を契機に組織力・営業力を強化し、積極的な情報収集と顧客開拓に注力すると共に、店舗転貸借事業との連携による既存転貸物件の売却情報取得を継続しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高16,659,432千円(前年同期比16.8%増)、営業利益1,381,611千円(同41.8%増)、経常利益1,431,468千円(同41.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,029,126千円(同54.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
店舗転貸借事業
当連結会計年度における新規契約件数及び後継付け件数(閉店した店舗に対し新規出店者と転貸借契約を締結したもの)の転貸借契約件数の合計は488件(前年同期比4.7%増)となりました。また、当連結会計年度末における転貸借物件数は前連結会計年度末より261件純増し、合計2,706件となりました。この結果、店舗転貸借事業の当連結会計年度の業績は、売上高15,162,389千円(前年同期比11.9%増)、セグメント利益1,238,244千円(同52.9%増)となりました。
なお、株式会社セーフティーイノベーション(旧店舗セーフティー株式会社)が営む店舗家賃保証事業の収益は、店舗転貸借事業のセグメント収益に含んでおります。
最近5年間における転貸借物件数の推移は、以下のとおりであります。
(単位:件)
|
|
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
2025年 3月期 |
|
期末転貸借物件数 |
1,706 |
1,951 |
2,216 |
2,445 |
2,706 |
不動産売買事業
当連結会計年度においては、経済社会活動の正常化に伴い、都心の事業用不動産においては値上がり傾向も見られるなかで8物件を売却、8物件を取得し、当連結会計年度末における保有物件数は4件となりました。この結果、不動産売買事業の当連結会計年度の業績は、売上高1,497,042千円(前年同期比110.8%増)、セグメント利益は主に人件費の増加及びセグメント費用の配分方法変更の影響により143,367千円(同12.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べて952,692千円増加し、4,283,926千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,019,594千円(前年同期は455,224千円の獲得)となりました。これは主に差入保証金の増加額560,849千円、法人税支払額328,093千円等の資金の減少に対して、税金等調整前当期純利益1,489,345千円、預り保証金の増加額379,011千円等の資金の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は177,222千円(前年同期は87,938千円の使用)となりました。これは主に敷金の差入による支出9,693千円の資金の減少に対して、保険積立金の解約による収入132,905千円、有形固定資産売却による収入67,991千円の資金の増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は244,075千円(前年同期は537,298千円の使用)となりました。これは長期借入による収入103,000千円の資金の増加に対して、配当金の支払額335,475千円の資金の減少によるものであります。
③生産、仕入及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。
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セグメント名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
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不動産売買事業 |
1,223,686 |
131.3 |
(注)仕入が発生する不動産売買事業のみ記載しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメント名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
店舗転貸借事業 |
|
|
|
ランニング |
13,928,820 |
110.4 |
|
イニシャル |
1,233,569 |
130.8 |
|
不動産売買事業 |
|
|
|
不動産売買等 |
1,497,042 |
210.7 |
|
合計 |
16,659,432 |
116.7 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,955,114千円増加し、15,652,426千円となりました。これは主に現金及び預金が952,692千円、差入保証金が570,542千円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,262,538千円増加し、11,635,808千円となりました。これは主に預り保証金が379,011千円、未払法人税等が279,904千円、前受収益が134,298千円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ692,575千円増加し、4,016,617千円となりました。これは主に利益剰余金が693,650千円増加したことによるものであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ2,395,590千円増加し、16,659,432千円となりました。これは主に転貸借物件数の増加に伴いランニング収入が1,318,114千円増加したことによるものであります。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ1,731,732千円増加し、13,421,648千円となりました。これは主に転貸借物件数の増加に伴い賃借料が883,893千円増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ663,857千円増加し、3,237,783千円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ256,544千円増加し、1,856,171千円となりました。この結果、当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ407,312千円増加し、1,381,611千円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ10,886千円増加し、99,055千円となりました。また営業外費用は、前連結会計年度に比べ1,855千円減少し、49,198千円となりました。この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ420,054千円増加し、1,431,468千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は特別利益として固定資産売却益57,877千円を計上しております。また、法人税等合計は、461,244千円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ363,048千円増加し、1,029,126千円となりました。
最近5年間における営業利益及び営業利益率の推移は、以下のとおりであります。
|
|
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
2024年 3月期 |
2025年 3月期 |
|
営業利益(千円) |
731,819 |
909,853 |
1,212,175 |
974,299 |
1,381,611 |
|
営業利益率(%) |
7.1 |
8.0 |
9.3 |
6.8 |
8.3 |
(注)2023年3月期以降の数値は連結であり、2022年3月期以前の数値は単体であります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。
当社グループは事業運営上必要な資金について、転貸借物件の賃料等の支払と受領の差額を積み上げることを基本として、安定的な資金調達を実現しております。
なお、当連結会計年度におけるフリーキャッシュ・フローは1,196,816千円となりました。
(単位:千円)
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回次 |
第17期 |
第18期 |
第19期 |
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決算年月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,073,814 |
455,224 |
1,019,594 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△21,908 |
△87,938 |
177,222 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△1,018,178 |
△537,298 |
△244,075 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
3,501,245 |
3,331,233 |
4,283,926 |
|
フリーキャッシュ・フロー |
1,051,905 |
367,286 |
1,196,816 |
|
前年増減額 |
197,524 |
△684,619 |
829,530 |
(注)第17期の前年増減額は第16期の単体実績との比較情報になります。
フリーキャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。
フリーキャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(販売用不動産の評価)
当社グループは販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価額まで減額し、当該減少額を評価損として計上します。正味売却価額の算定に当たっては慎重に検討しておりますが、販売計画や市場価格の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には評価損が必要となる可能性があります。なお、販売用不動産における正味売却価額の見積りについては、販売用不動産の現状の市場価格、物件における収益利回り等に基づいて算定しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。