当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、マイナス金利政策の解除後の金融政策運営、円安の長期化、エネルギー・物流コストの高止まりといった要因から、依然として不透明感が続いております。定額減税による一時的な下支え効果はあったものの、物価上昇や実質賃金の伸び悩みにより、個人消費の回復は力強さを欠く状況が続いています。国際情勢においても中東情勢の緊迫化など不安定要素が多く、企業活動にとっては先行きの見通しが立てにくい環境が継続しています。
介護業界では、「2025年問題」を背景とした介護需要の一段の拡大と人材不足が顕著となり、事業者には処遇改善や職場環境の整備に加え、生産性向上への対応が強く求められております。さらに、2025年4月の介護報酬改定や関連法制度改正を受け、経営の透明性や効率性の確保が重要な経営課題となっています。あわせて、ICTやAI、介護ロボットを含むテクノロジー活用が進展し、福祉用具にも「安全性」「操作性」「デザイン性」といった総合的な価値が強く求められる傾向が鮮明となっております。
このような経営環境のもと、当社グループは2025年2月期より開始した中期経営計画に基づき、「既存事業の変革と拡大」「業務の効率化」「ブランド価値の再設計」の3つを重点方針として各種施策を推進しております。
製品面では、2025年3月に発売した新型歩行車「ジスタR」「ジスタワイド」「ジスタワイドR」が順調に推移しております。駐車ブレーキ操作を不要とする抑速ブレーキ「pallu/パルル」を搭載したこれらの製品は、操作性と安全性を両立し、体格に応じた多様なニーズに対応可能な製品として市場から高い評価を得ております。発売から半年を経て、レンタル市場のみならず自費購入市場においても堅調な販売が続いており、当社の競争優位性をさらに高める要因となっています。
また、当社は業務の効率化に向け、在庫・物流体制の最適化や業務プロセスの標準化を継続的に進めております。これによりコストの平準化と供給の安定性が確保され、突発的な需要変動に対しても柔軟に対応できる体制が強化されております。加えて、従業員の働き方改革に取り組み、残業時間削減や有給休暇取得促進の定着を図り、持続可能な経営基盤の確立に努めております。
ブランド価値の面では、「AURULA(アウルラ)」ブランドの訴求を進めております。従来の福祉用具の枠にとらわれないデザイン性と生活空間への自然な調和を追求する同ブランドは、利用者の自立支援や生活価値の向上に資する存在として浸透が進みつつあります。引き続き、新製品の企画や情報発信を通じて、ブランドの世界観を市場に定着させてまいります。
当社グループは、介護需要の拡大と社会的要請に真摯に応えるべく、使う人にとって価値ある製品・サービスを提供することにより、持続的な成長と社会課題の解決に向けた基盤を強化しております。
このような取り組みを進めるなか、当中間連結会計期間における当社グループの売上高は、33億40百万円(前年同期比2.0%増)、売上総利益は14億84百万円(前年同期比1.1%増)、営業利益は3億77百万円(前年同期比24.2%減)となりました。また、営業外収益として、賃貸収入13百万円、受取利息3百万円、営業外費用として支払利息6百万円、為替差損5百万円等を計上した結果、経常利益は3億74百万円(前年同期比28.0%減)となりました。
特別損失として投資有価証券売却損23百万円等を計上した結果、税金等調整前中間純利益は3億52百万円(前年同期比39.1%減)となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する中間純利益は法人税、住民税及び事業税99百万円および法人税等調整額5百万円等を計上したことにより2億39百万円(前年同期比42.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①介護用品・福祉用具製造販売事業
介護用品・福祉用具製造販売事業の当中間連結会計期間の売上高は、前連結会計年度に投入した新商品の一時的な販売伸長の反動に加え、販売先に導入済の当社製品が引き続き良好に稼働していることから、新規需要が足元ではやや落ち着き、29億61百万円(前年同期比0.4%増)となりました。セグメント利益は円安による輸入コスト上昇に加え、連結子会社の生産工場移転に伴う使用権資産等の減価償却費の影響により、5億32百万円(前年同期比13.4%減)となりました。
②介護サービス事業
介護サービス事業の当中間連結会計期間の売上高は、営業人員の拡充と組織横断型体制の再構築により、着実に売上拡大を図りました。さらに、前連結会計年度にパーソンケア株式会社をグループ化し、統合後のシナジー効果により売上基盤が一層強化された結果、1億54百万円(前年同期比573.9%増)となりましたが、今後の事業展開を見据えた人材獲得による人件費増加の影響により、セグメント損失は38百万円(前年同期はセグメント損失18百万円)となりました。
③EC事業
EC事業の当中間連結会計期間の売上高は、これまで継続して行ってまいりました広告費投下と既存販売チャネルにおける販売促進による効果が落ち着いたことにより、外部顧客への売上高は減少しましたが、全体の売上高は4億16百万円(前年同期比4.7%増)となり、セグメント利益は20百万円(前年同期比36.2%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産の部)
流動資産は、前連結会計年度末と比較して57百万円減少し、37億91百万円となりました。これは主に、現金及び預金1億45百万円、商品及び製品68百万円等の減少要因が、有価証券1億1百万円、受取手形及び売掛金85百万円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比較して20百万円減少し、10億18百万円となりました。これは主に、投資その他の資産に含まれる投資有価証券1億10百万円、有形固定資産のその他に含まれる工具、器具及び備品24百万円および無形固定資産のその他に含まれるソフトウエア6百万円等の減少要因が、有形固定資産に含まれる使用権資産1億8百万円および建物及び構築物25百万円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
(負債および純資産の部)
流動負債は、前連結会計年度末と比較して3億97百万円減少し、14億21百万円となりました。これは主に、短期借入金2億70百万円、未払金66百万円等の減少要因が、リース債務8百万円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末と比較して1億66百万円増加し、2億31百万円となりました。これは主に、リース債務1億56百万円等の増加要因によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して1億52百万円増加し、31億56百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益の計上2億39百万円等の増加要因が、為替換算調整勘定69百万円、配当の支払いによる減少49百万円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、13億37百万円となり、前連結会計年度末と比較し、2億2百万円の資金減少となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは3億68百万円の収入(前年同期は6億67百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益3億52百万円、減価償却費1億61百万円、棚卸資産の減少額41百万円等の増加要因が、売上債権の増加額98百万円、法人税等の支払額1億円等の減少要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは1億10百万円の支出(前年同期は1億4百万円の収入)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出3億6百万円、有形固定資産の取得による支出61百万円等の減少要因が、定期預金の払戻による収入1億43百万円、投資有価証券の売却による収入1億18百万円等の増加要因を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは3億87百万円の支出(前年同期は4億25百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純減額2億70百万円、リース債務の返済による支出43百万円、配当金の支払額49百万円等の減少要因によるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当社グループは、2025年2月期より新たな中期経営計画を推進しており、「既存事業の変革と拡大」「業務の効率化」「ブランド価値の再設計」の3つを重点方針として事業活動を展開しております。これまでの社会情勢の変化や介護業界を取り巻く環境変化を踏まえ、当社は持続的な成長と企業価値の向上に向けて、以下の施策を推進しております。
①既存事業の変革と拡大
歩行車「ジスタ」シリーズに続き、2025年3月には駐車ブレーキ操作を不要とする抑速ブレーキ「pallu/パルル」を搭載した新型モデルを発売いたしました。体格や使用環境に応じた多様なラインナップを揃え、利用者の利便性と安全性を両立する製品として市場に定着しつつあります。さらに、杖・シルバーカー・入浴補助具などのリニューアル・拡充を進め、利用者の生活動線全体に即した製品提供を強化してまいります。
②業務の効率化
属人化しやすい業務の標準化や稟議フローの見直し、在庫・物流体制の適正化を継続的に進めております。これにより、残業時間削減や有給休暇取得率向上といった働き方改革の成果が定着し、従業員の労働環境が改善されております。今後も人的資本の活用を重視し、持続的成長を支える組織基盤の強化に努めます。
③ブランド価値の再設計
2024年に立ち上げた新ブランド「AURULA(アウルラ)」を軸に、従来の“医療機器的”イメージを超え、暮らしに自然と調和する福祉用具の開発を推進しております。単なる介護用品としてではなく、利用者のライフスタイルや感性に寄り添う“生活道具”としての価値を高めることで、使用者に誇りと安心を提供し、新たな市場ニーズの創出を目指します。
(目標とする経営指標)
(単位:百万円)
|
|
2026年2月期 |
2027年2月期 |
|
売上高 |
6,954 |
7,232 |
|
営業利益 |
1,076 |
1,242 |
|
経常利益 |
1,066 |
1,232 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
688 |
797 |
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の費用総額は、31百万円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)従業員数
当中間連結会計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の状況に著しい変動はありません。
(8)主要な設備
当中間連結会計期間において、主要な設備および主要な設備の計画に著しい変動はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。