文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。
当社は、創業理念「孫の代まで豊かな社会を創る一翼を担う」を事業活動の最上位概念に置き、これを目指すための当社のあり方を示した企業理念と、当社が社会にもたらす価値や行動指針を示した使命を定めています。当社は、これらの経営の基本方針を高いレベルで実践することを通じて中長期的に企業価値を高めるとともに、全てのステークホルダーから信頼される企業となることを目指しています。
孫の代まで豊かな社会を創る一翼を担う
② 企業理念
ご満足いただけるソリューションを提供、社会の一隅を照らす存在でありたい
・社会に新たな価値を創出し続ける
・お客さまと社会に感謝される仕事を
・社員が仕事を通じて成長するのを支援し社員とその家族を幸せに
③ 使命
「お客さまの一員として、時代のその先に」
私たちは、お客さまの経営・業務課題の解決に、お客さまの一員として道しるべを示し、発想・技術・実現方法に限界を設けることなく、サービス・製品を想像し創造することで、世の中を変え、時代を切り拓きます。
そして、私たちの取り組みにより、お客さまをはじめ社会の人々の笑顔を増やし、社会の発展に貢献します。
(2) サステナビリティ推進の基本方針
サステナビリティを巡る課題に対応することは、当社の基本的な価値観に合致するものと考えています。当社は、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献する取り組みや持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する施策を加速するため、サステナビリティ推進の基本方針を次のように定めました。
◇サステナビリティ推進の基本方針◇
創業理念「孫の代まで豊かな社会を創る一翼を担う」の下、地球環境や社会基盤をより豊かにし、後世に受け渡していくために持続可能な社会の実現に貢献します。
(環境に対する考え方)
新しい生命を育む基盤となる地球環境を守り、次世代に引き継ぐ責任を果たすために、ステークホルダーとの連携を通じて、あらゆる場面で環境の保全に取り組みます。
(社会に対する考え方)
社会からの感謝の言葉を最大の喜びに、グローバルな視点で社会インフラの発展と地域社会の活性化に取り組んでまいります。
全てのステークホルダーの笑顔を増やし笑顔であり続けるために、一人ひとりの権利と価値観を尊重し、人の成長を通じて社会に付加価値をもたらすことを誇りと喜びにします。
(ガバナンスに対する考え方)
誠実な行動、公正で透明性の高い企業統治、ステークホルダーとの建設的な対話によって、社会の一員として信頼される企業であり続けます。
この方針の下、環境・社会・ガバナンスの視点からの課題を、経営上の重要な課題の一つと捉え、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に資する取り組みを積極的に推進してまいります。
(3) 経営環境
当社は、従来「コンサルティング事業」、「ソリューション事業」及び「イノベーション事業」の3区分で事業を運営していましたが、2022年3月1日より、コンサルティング事業とソリューション事業については、課題解決の提案力を強化するとともにサービスやソリューションの付加価値と質の向上をねらい、ソリューション事業の機能をコンサルティング事業に統合しました。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)技術の事業化及びオープンイノベーションを通じた事業創出と推進力の強化を目的にする部署を新設し、事業セグメントに「DX・地方共創事業」を追加しました。以上の結果、事業セグメントは「コンサルティング事業」、「イノベーション事業」及び「DX・地方共創事業」の3区分とすることにいたしました。
コンサルティング事業については、主に地域銀行、クレジットカード会社、投資運用会社及び保険会社等の金融業界に属する企業を主要な得意先としています。金融業界においては、経済を支えるインフラとしての機能を発揮するために、安定性と安全性が極めて高いITシステムの開発と維持に多大なコストを投じるとともに、金融商品やサービスの開発と並行して、これに対応したシステムの開発が行われています。金融業界におけるITシステムへの投資は、各金融機関の経営戦略の一部であるとともに、差別化や競争力の源泉となるものであります。また、政府や日本銀行からも地域銀行の競争力強化の一環として再編やITインフラに対する投資を支援する方針が示されており、今後、ますますシステム投資は拡大していくものと思われます。このような環境下、金融業界におけるIT部門の重要性が高まっている一方で、十分な知識や経験を有するIT人材の不足が、システム開発プロジェクトを推進する上でのボトルネックになっています。
イノベーション事業については、小売事業者を主要な販売先としています。小売事業者においては、少子高齢化や人口減少等を要因に、店員の成り手の不足や売上の減少等によって店舗の維持が困難になりつつある中、販売機会を拡大し、店舗運営の省人化を図れる技術やソリューションに注目が集まっています。
DX・地方共創事業については、地域経済の生産性の向上と発展、また持続可能な社会の実現への貢献等、同じ目的意識を持つ企業とのオープンイノベーションを通じて、顧客開拓に取り組んでいます。今日、日本全体で、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用、少子高齢化による生産年齢人口の減少及びカーボンニュートラルへの貢献等サステナビリティに関する様々な課題への関心が高まり続けており、同時にこれらに対応するソリューションも日々新たなものが生み出されています。一方で、これらのソリューションの情報や提供元が一部に偏在する等しており、需要と供給のマッチングが期待されていると認識しています。このような中、当社は業界と顧客の経営・業務課題を的確に把握し、お客さまの立場に立って具体的な解決策を示し実行しています。また、IT技術の知見を活かして、これまでに無かった新しい課題解決方法を生み出し、お客さまの業務効率向上とコスト低減を実現するサービスを開発し、提供しています。
(4) 経営戦略と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① コンサルティング事業の態勢強化
a. コンサルティングサービスの伸長
2022年3月1日、多様なニーズに応えるコンサルティングサービスの提供体制を志向し、ソリューション事業の機能を統合するとともに、コンサルティング事業内の組織体制を見直しました。その成果として、保険系の投資運用会社やデジタルバンクの新設といった従来のコンサルティングサービスの範囲よりも、より上流工程のプロジェクトマネジメント支援が増加したほか、金融以外の業界の新規得意先が増加する等し、既存得意先からも支援強化の強いニーズがあります。
一方で、売上高と要員数との連動性が高く、コンサルティング事業の伸長には、コンサルティングやIT関連の経験者の採用競争が激化する中で、一層の採用活動の強化と人材育成が最重要課題と認識しています。また、要員数に依らない収益源の多様化をねらい、コンサルティング事業とソリューション事業の機能統合を活かしたサービスの拡充に取り組んでいます。
② イノベーション事業の収益力強化
a. 無人レジの新製品開発と拡販
書籍販売用「ワンダーレジ-BOOK」とコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」の拡販に注力してまいります。
b. 保有技術を活用した新ソリューションの考案
人追跡技術を応用した「店舗可視化ソリューション」をはじめ、無人レジ開発で培った技術力を応用して、お客さまが抱える課題の解決に資するソリューションの開発に取り組んでまいります。
c. 株式会社TOUCH TO GOの業容拡大
当社が開発したレジ無しスルー型決済システム「スーパーワンダー」の技術を応用して、TTGが開発した無人決済システム「TTG-SENSE」及び狭小店舗向け無人決済システム「TTG-SENSE MICRO」を中心に、小売店等の省人化ソリューションの拡販に取り組んでまいります。
③ DX・地方共創事業の推進
a. 地方共創プラットフォームの推進
当社が培ってきた地域銀行や事業会社とのネットワークを活用して、地域の課題に合わせた解決策を提供する取り組みを推進してまいります。
b. オープンイノベーションの推進
当社が保有する技術やノウハウを幅広く活用する方法を模索するとともに、様々な企業とのオープンイノベーションを通じて、より付加価値の高いソリューションの具現化を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社がコンサルティングサービスを提供する主要得意先である金融機関が、国内外の景気動向等の影響を受けIT投資を抑制した場合、受注案件に対応する職員の稼働率低下が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、金融・公共ソリューション事業部長が適宜、各案件の責任者から既存得意先及び営業先の状況についてヒアリングし、提供及び提案するコンサルティングサービスの内容について指示しております。これによりニーズとのミスマッチを防止し、職員の稼働率低下に対処しております。また、取締役を含む管理職によって構成される経営会議において各案件の状況について活発な議論が行われ、組織的なモニタリングがなされています。
労働市場における人材獲得の競争激化による人材採用の失敗や人材流出、人材育成計画の未達成等が生じた場合、当社の競争力の低下や事業拡大に対する制約、得意先に提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、優秀な人材の採用、確保及び育成を全社的に重要な経営課題の一つと定め、コーポレート本部が主管となり採用活動、従業員の定着及び育成に対して優先的に経営資源の投下を行うことで、人材に関するリスクに対処しています。
当社の業務遂行にあたり、得意先の機密情報や個人情報を取り扱うことがあります。これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社の社会的信用に重大な影響を与えるとともに、多額の対応費用が発生することにより、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、情報セキュリティマネジメントの国際標準であるISO27001の認証及びプライバシーマークを取得するとともに、役職員、協力会社(ビジネス・パートナー)等に対し、守秘義務の順守、機密情報や個人情報の厳重な管理を指導すると共に、情報管理を効率的に行うための環境構築を進めることで、情報セキュリティリスクに対処しています。
当社が受注する業務の一部では、人的資源の制約から協力会社(ビジネス・パートナー)に対し、業務を再委託することがあります。委託先の選定に当たっては、プロジェクト遂行能力等を勘案して選定するとともに優秀な人材の確保を依頼しておりますが、委託先のプロジェクト管理及び人材確保が適切になされない場合には、コストの増加や納期遅延、品質の低下等を招く可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、各部長や現場責任者等が委託先の業務につき、業務進捗のみならず個々の人材の体調面に至るまでレビューし、適宜情報の共有と問題の明確化及びそれらへの具体的対処にあたることで委託先業務の品質管理を行い、委託先の管理に関するリスクに対処しています。
当社の代表取締役社長である蒲原寧は、当社の設立以来、当社の経営方針や戦略決定をはじめ、事業開発、ブランド力向上等において重要な役割を担っております。また、本報告書提出日の前月末現在の当社発行済株式総数の22.53%を所有する筆頭株主でもあります。何らかの理由により蒲原寧に不測の事態が生じて当社の業務を継続することが困難となった場合、または代表取締役社長を退任するような事態が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
現時点では、このようなリスクが顕在化する可能性は低いと認識しておりますが、当社では、取締役会及び経営会議等において経営情報の共有を図るとともに、各事業を統轄する取締役、執行役員及び事業部長等へ職務執行の権限委譲を進めています。また、重要な経営方針及び施策等の立案においては、蒲原寧を含めた主要な経営幹部で審議しています。
当社のコンサルティング事業において「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)」で定められた労働者派遣事業に該当するものがあります。労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由に該当した場合や、法令に違反した場合には当該事業の停止を命じられる可能性があります。また、新たに法規制の緩和や改正等が行われた場合、当社の経営環境に変化をもたらすものであれば、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会が、各事業のコンプライアンスに関してモニタリングすることで、労働者派遣法を含めたコンプライアンス遵守に努めています。また、広く社内のコンプライアンス違反に関して役職員が相談できる窓口として外部通報窓口を設置、運用し、法的規制に関するリスクに対処しています。
当社は人工知能(以下「AI」という)を利用した物体自動認識技術をはじめ、先端ICT(情報通信に関する技術)等を用いた事業の多角化に取り組んでおり、イノベーション事業部がこれらに関する研究開発活動を行っております。AIに関する技術革新のスピードは速く、また競争も激しさを増しているため、今後の研究開発活動の進捗状況や計画遅延の発生等により、当初想定した研究開発費が増加し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在、イノベーション事業部において設置型AI搭載レジ「ワンダーレジ」、書店向けセルフレジ「ワンダーレジ-BOOK」及びコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」の拡販を推進しており、製品の性能及び機能性向上に関する開発活動を行っております。当事業年度末現在、当該製品の大口販売契約等には至っておらず、イノベーション事業の売上高に対して研究開発費を含めた営業費用が上回っております。当社は、ワンダーレジの将来性に期待しておりますが、今後の事業の進展に際しては、研究開発費の増加、改良の遅延、受注及び販売台数の想定からの大幅な乖離、生産体制及び保守体制構築等の計画遅延、競合製品の出現等、様々な不確実性が伴います。このため、期待どおりに事業が進展しなかった場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、イノベーション事業の営業活動の強化や研究開発費の管理強化等を通じて、販売面とコスト管理の強化に取り組んでおります。また、研究開発から生まれた技術を活用した新製品を開発し、イノベーション事業の製品ラインナップの強化を図り、収益源の多様化に取り組んでいます。
当社は、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストックオプションを付与しております。本報告書提出日の前月末現在、ストックオプションによる潜在株式総数は23,600株であり、発行済株式総数12,786,995株の0.18%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
当社では、毎月、取締役会において財務状態のモニタリングを行い、最適な資本構成について、適宜、検討を行っています。
(9) 棚卸資産の評価損に関するリスク
当社は、ワンダーレジ-BOOKやEZレジ等の製品の製造においては、受注生産を行っていますが、これらの製品の材料、部品及び仕掛品は営業状況や事業計画、調達環境を総合的に勘案して、在庫として保有しています。当社では「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しており、販売目的の棚卸資産の収益性を毎四半期末に評価し、販売計画の進捗状況や急激な経営環境の変化により収益性が低下していると判断し評価損を計上する場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、各事業を管掌する業務執行取締役は、毎月、取締役会において収益や施策の進捗、営業状況及び業績見通しについて報告しており、取締役会は、適宜、当該リスクを回避する監督をしています。また、経営会議等にてイノベーション事業の事業活動全般について検討しており、営業活動を促進する施策を迅速に決定し、実行しています。
(10) 保有株式の減損損失に関するリスク
当社は、無人決済店舗システムの事業化を目的とした事業会社を設立し、関係会社株式を保有しております。また、業務提携の強化を目的に投資有価証券を保有しております。これらの株式の実質価額が著しく低下した場合には、減損損失が計上され、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、関連会社に役員を派遣するとともに、月次で業績報告を受け関連会社の財政状態を把握し、減損の兆候を早期に認識し、適切に対処することとしております。また、資本業務提携先に対しては、シナジーの創出に取り組むとともに、株主として議決権の行使を通じて提携先企業の経営に関与することとしています。
(11) 自然災害や感染症に関するリスクについて
大規模な地震、大型台風、風災、水災、津波、大雪、火災等により、当社及び得意先の建物、設備並びに従業員が被災した場合、出勤や業務遂行に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。またインフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症が流行した場合にも、従業員の出勤や業務遂行に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの自然災害や感染症の拡大が国内景気の動向や得意先の業績に影響する場合、得意先においてIT投資が抑制されることで、新規プロジェクトの減少や既存プロジェクトの規模の縮小等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、リスク管理委員会が、毎月、当社の事業活動全般のリスクについて検討し、災害や安全衛生について調査や対策が必要と判断したときは、コーポレート本部に対して当該リスクを低減する施策の検討と実施を指示しています。
(12) 重要事象等について
当社は2020年2月期以降、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上しています。また、営業キャッシュ・フローは、2021年2月期以降マイナスが続いています。これを受け、2021年2月期末以降、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在していると認識しています。しかしながら、以下の要因や当該事象を解消又は改善する施策の実行によって、引き続き、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。
① 高い手元流動性
2024年2月期は、利益面では営業利益30百万円、経常利益27百万円、当期純利益17百万円を見込むものの、営業キャッシュ・フローは売上債権の増加や法人税等の支払い等の資金の減少要因によってマイナスを見込んでいます。また、財務活動によるキャッシュ・フローも借入金の返済及び社債の償還等によって154百万円の支出を計画しており、2024年2月期末の現金及び預金は期初に比べて減少する見込みです。一方で、2024年2月期首の現金及び現金同等物は1,316百万円となっており、2024年2月期中の事業計画で予定する経常支出、借入金の返済及び投資に要する資金は十分に確保しています。また、経営環境が急変した場合に事業継続に必要となる支出にも、十分対応できる手元流動性を確保していると考えています。
② コンサルティングサービスの高いニーズ
当社は金融分野に特化して基幹システムの構築・更改・統合のプロジェクトマネジメント支援やIT部門の支援業務で実績を重ね、金融の業務と情報システムを結びつける高度なノウハウを蓄積しています。デジタルバンクや投資運用会社等の新設が活況な中、これらの金融機関から当社の経験やノウハウへの引き合いが増えています。また、地域銀行においては、中長期的なコスト削減の方策として、基幹システムのオープン化・クラウド化を目指す動きが特に活発になっており、この領域においても当社のコンサルティングサービスに強いニーズがあると考えております。当社はこれらのニーズにいち早く、一つでも多く応えるために従業員の育成に加えて、経験者の採用を最優先で取り組んでいく方針です。
③ イノベーション事業の損益の改善
書籍販売に特化した「ワンダーレジ-BOOK」が株式会社大垣書店の旗艦店で正式採用されたのを皮切りに、採用と引き合いが増加すると考えています。コンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」は職域売店等の小規模店舗への導入を着実に増やしており、今後、販売チャネルの拡大を通じて販売機会を創出してまいります。加えて、これまでの研究開発活動を通じて身に着けた様々な技術を応用して、業務改善や省人化をテーマにしたソリューションの受託開発を強化していく方針です。研究開発活動については、主要な技術開発は完了しており、当面はこれらの製品の改良や追加機能の開発が中心になると考えています。従って、今後、売上高の増加とともに、イノベーション事業における損失は改善していくと考えています。
④ 従業員のエンゲージメント向上
当社の競争力は従業員の能力や経験に依る部分が大きく、一人ひとりがそれぞれの能力を最大限発揮しながら働き続けることが、当社の利益を最大化するとともに、中長期的な成長の基盤になると考えています。この考えのもと、2024年2月期は、全ての従業員が長期的に当社のもとで、理念や使命に沿った行動をより高いレベルで実践してもらうことを目的にした施策を経営上の最重要施策と位置づけています。金銭的な待遇改善のほか、従業員のライフイベントや生活の実情に寄り添った福利厚生制度への見直し、キャリア形成支援等エンゲージメント向上に資する諸施策を強力に推進していく方針です。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しておりますが、前事業年度との比較は、当該会計基準等の適用前の前事業年度の数値を用いております。
(1) 経営成績・財政状態に関する概況
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響があったものの、緩やかながら持ち直しの動きが見られました。一方で、急激な為替変動、エネルギーや原材料の価格高騰に起因する物価上昇等により、企業業績や個人消費の動向は不透明感が強まりつつあります。
当社がコンサルティングサービスを提供する金融業界では、コロナ禍による資金需要の高まり等により本業の収益が堅調なものの、不良債権増加の懸念や世界各国の金利政策の変更による収益への影響が懸念されます。そのような中、地域銀行では、コスト削減や手数料の適正化を進めると同時に、収益源の多角化をねらい経営コンサルティングやデジタル化支援等の金融以外のビジネス強化に取り組んでいます。イノベーション事業の製品・サービスの主要な提供先である小売業界では、社会経済活動がコロナ禍前の水準に戻りつつあると同時に人手不足の問題が再び表面化しはじめており、業務効率向上の取り組みが急務となっています。当事業年度に新たに事業セグメントに追加したDX・地方共創事業は創業理念「孫の代まで豊かな社会を創る一翼を担う」の下、企業が抱える経営課題・業務課題を解決して生産性を向上する製品・サービスを提供しています。これらの企業等においては、経済環境や経営環境にかかわらず、効率化や新ビジネス創出に寄与する技術やソリューションに強いニーズがあります。
このような環境の中、コンサルティング事業では、課題解決力を強化するとともにコンサルティングサービスの質と付加価値の向上をねらい、関連する組織体制の統廃合を行いました。これにより、お客さまの課題に対してより柔軟に解決策を提示し、かつ実行できる一貫体制を強化しました。イノベーション事業では、複数の書籍のバーコードを一括して読み取ることができるセルフレジ「ワンダーレジ-BOOK」と低価格なコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」(イージーレジ)の拡販に取り組んでまいりました。DX・地方共創事業では、オープンイノベーションを通じて顧客ニーズと課題に沿ったソリューションの情報収集と開発に取り組んでまいりました。また、株式会社大分銀行及び大分県の地域商社の株式会社Oita Madeと業務提携し、販路拡大に取り組みました。
関連会社の株式会社TOUCH TO GO(以下「TTG」という。)は、無人決済システム「TTG-SENSE」と規格化を進めた「TTG-SENSE MICRO」等の製品の販売とともに、改良とコスト低減に取り組みました。
以上の結果、当事業年度における経営成績は、売上高は2,574百万円(前期比21.5%増)となりました。利益面では、増収により売上総利益が増加したことや研究開発費及び人材採用費の減少を主因に販売費及び一般管理費が減少したこと等により、営業損失110百万円(前期は営業損失378百万円)、経常損失119百万円(前期は経常損失382百万円)、当期純損失132百万円(前期は当期純損失291百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当事業年度の売上高が5百万円減少し、営業損失、経常損失及び当期純損失がそれぞれ1百万円増加しています。
セグメントの業績を示すと、次のとおりです。
なお、当事業年度より報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当事業年度の比較・分析は変更後の区分に基づいています。
(コンサルティング事業)
前期に新設した部門において、前期中に新規得意先から受注した支援業務が通期で業績に寄与したほか、既存得意先の基幹システムの更改・統合のプロジェクトマネジメント支援やIT部門のプロジェクト推進の支援業務も、中途採用者の増加や新卒者等の有償化等を主因に堅調に推移しました。また、デジタルバンクや投資運用会社の開業支援等、金融の中でも新分野を開拓するとともに、金融関係以外の企業にも得意先を拡大しました。このほか、地方自治体・公共団体等のITシステムに関するマネジメントの支援業務の受注も堅調でした。これらの結果、売上高は2,466百万円(前期比17.3%増)、セグメント利益は390百万円(前期比38.0%増)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当事業年度の売上高及びセグメント利益がそれぞれ0百万円減少しています。
(イノベーション事業)
ワンダーレジ-BOOKが実証実験として設置していた東京銀座の老舗書店「教文館」と書店チェーン「大垣書店」の旗艦店のセルフレジとして正式採用されました。EZレジは職域売店や社員食堂の精算業務の用途等で販売数が増加しました。加えて、新規顧客から店舗ソリューションの開発を受託しました。また、TTGにおいて無人決済システムの設置が増加したことによってロイヤリティの受け取りが増加しました。研究開発活動については、主に顧客ニーズに合わせてワンダーレジ-BOOKやEZレジの改良と新機能の開発に取り組んでまいりました。また、棚卸資産の評価に関する会計基準及び当事業年度の無人レジの販売実績等を総合的に勘案した結果、棚卸資産評価損を計上しました。これらの結果、売上高は93百万円(前期比475.6%増)、セグメント損失206百万円(前期はセグメント損失328百万円)となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用により、当事業年度の売上高が4百万円減少し、セグメント損失が0百万円増加しています。
(DX・地方共創事業)
地域経済の持続可能性を高めることを目的に、当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)技術やノウハウとオープンイノベーションを活用して、新しいビジネスモデルの構築に取り組んでいます。その一環として、当社の地方共創への姿勢に賛同する企業を拡大し、それらの企業とともに地域の経営・業務課題を解決する態勢構築に取り組んでまいりました。この成果としてBtoB向けのオンラインマーケットプレイスへの決済機能導入に関するコンサルティングサービスを提供したほか、食品ロスを低減する製品を販売しました。これらの結果、売上高は14百万円、セグメント損失は63百万円となりました。
なお、収益認識会計基準等の適用による影響はありません。
② 財政状態の状況
資産合計は2,395百万円となり、前事業年度末と比べて95百万円増加しました。
流動資産は1,794百万円となり、前事業年度末と比べて94百万円増加しました。これは主に社債を300百万円発行したものの、借入金の返済や運転資金の支出によって現金及び預金が15百万円減少した一方で、売掛金が増加したことによるものであります。
固定資産は601百万円となり、前事業年度末と比べて0百万円増加しました。
負債合計は979百万円となり、前事業年度末と比べて218百万円増加しました。
流動負債は577百万円となり、前事業年度末と比べて83百万円増加しました。これは主に社債の発行により1年内返済予定の社債が60百万円及び未払消費税等が16百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債は401百万円となり、前事業年度末と比べて135百万円増加しました。これは主に長期借入金が74百万円減少した一方で、社債が190百万円増加したこと等によるものであります。
純資産合計は1,416百万円となり、前事業年度末と比べて122百万円減少しました。これは主に当期純損失132百万円の計上により利益剰余金が減少した一方で、資本金及び資本剰余金がそれぞれ5百万円増加したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,316百万円(前事業年度末に比べて15百万円減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは184百万円の支出(前事業年度は360百万円の支出)となりました。これは主に税引前当期純損失127百万円を計上したことに加えて、売上債権及び契約資産の増加120百万円の計上等の資金の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1百万円の支出(前事業年度は202百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは169百万円の収入(前事業年度は390百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出74百万円等の資金の支出があった一方で、第4回無担保社債を発行したことから社債の発行による収入294百万円によって資金が増加したことによるものであります。
(2) 生産、受注及び販売の状況
重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成していますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債及び収益・費用の数値に反映されております。
これらの見積りについては、継続評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大が会計上の見積りに与える影響については、当事業年度末時点において事業活動に重要な影響を与えていないことから、当社に与える影響は軽微であり、重要な影響はないものとして見積りを行っております。
当社の財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下であります。
(固定資産の減損)
当社は保有する固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額された金額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の判定及び回収可能価額の前提となる将来キャッシュ・フローについては、一定の仮定をおいて算出しています。今後の経営環境の変化等により将来キャッシュ・フローへの重要なマイナスの影響がある場合には、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
(関係会社株式の評価)
市場価格のない関係会社株式の実質価額が著しく低下した場合の減損処理の要否については、将来の事業計画に基づく回収可能性により判定しています。実質価額が著しく低下し、将来の不確実な経済条件の変動などによって将来の事業計画に基づく回復可能性がない場合には、関係会社株式評価損の計上が必要となり、翌事業年度の計算書類に重要な影響を与える可能性があります。
(継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断)
当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断にあたり、貸借対照表日の翌日から1年間のキャッシュ・フローを見積っております。経営環境の変化等により将来のキャッシュ・フローが大幅に変動した場合、当該不確実性の判断に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績の分析
a.売上高
主にコンサルティング事業において、前期に新規得意先から受注した支援業務が通期で寄与しました。また、既存得意先からの受注も堅調に推移しました。イノベーション事業においても、ワンダーレジ-BOOKやEZレジの設置・販売が増加したこと等により、売上高が増加しました。これらを要因に売上高は、前期比21.5%増加の2,574百万円となりました。
b.売上原価及び売上総利益
棚卸資産の評価損を計上したほか、主にコンサルティング事業において、従業員が増加したことによる労務費の増加や外注費の増加等を主因に、売上原価は前期比22.5%増加の1,875百万円となりましたが、増収により売上総利益は前期比18.7%増加の699百万円となりました。
c.販売費及び一般管理費及び営業損失
ワンダーレジ-BOOKやEZレジの主要な開発テーマを完了したことにより、研究開発費が前期に比べて68百万円減少しました。また、採用競争が激しく、紹介料等の人材採用時に発生するコストが減少しました。これらを主因に、販売費及び一般管理費は前期に比べて16.3%減少の809百万円となり、営業損失110百万円となりました。
d.特別損失
減損損失を計上しました。これらの結果、特別損失は8百万円となりました。
当期純損失は132百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績・財政状態に関する概況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の営業活動に関する資金需要のうち主なものは、コンサルティング業務やソリューション開発に従事する役職員の人件費、パートナー企業への委託料等、販売及び営業活動によるものであります。また、当社の投資活動に関する資金需要のうち主なものは、研究開発活動、関係会社への投融資及び資本業務提携に伴う株式投資等であります。これらの資金は、主に営業活動で得られた資金及び手元資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行、資本市場からの調達をすることがあります。
当事業年度においては、当期純損失132百万円、営業活動によるキャッシュ・フロー184百万円のマイナスを計上しましたが、当事業年度末時点の現金及び現金同等物の残高は1,316百万円、自己資本比率59.1%、流動比率311%となり、事業の円滑な運営に必要な流動性を十分に確保しております。また、経営環境が急変した場合に事業継続に必要となる支出にも、十分対応可能な水準の手元流動性を確保していると考えております。
⑤ 次期の経営方針
2024年2月期は、これまでに鍛えてきた強みと成長の芽を持続的に育て、これらを当社の競争力として根付かせるとともに、将来にわたり事業基盤を強化することをねらい、人財に対する施策を経営上の最重要事項としています。販売費及び一般管理費を中心にコストコントロールを強化する一方で、人事労務の領域においては、人事部長に執行役員を配置して権限を委譲し、採用活動や人材育成をはじめ待遇や労働環境の改善等、従業員のエンゲージメント向上を目的とする諸施策を機動的に実行してまいります。
コンサルティング事業では、当社のコンサルティングサービス全般に高いニーズがあり、前期に採用した従業員が通期で業績に寄与することに加えて、即戦力となる中途採用者の増加等によって売上高は増加する見込みです。しかしながら、コンサルティングやIT関連の経験者の獲得競争が極めて激しくなっており、売上高の成長率はこれら経験者の採用計画の進捗に依る部分があります。イノベーション事業では、ワンダーレジ-BOOKとEZレジの販売増加や保有技術を活用したソリューション開発の受注等を見込んでいます。DX・地方共創事業では、デジタルトランスフォーメーション(DX)とオープンイノベーションを通じて地域経済の活性化を促進するという目的に向けて、社会課題の把握と解決のニーズ収集に取り組んでまいります。
これらの結果、2024年2月期の業績見通しは、売上高はコンサルティング事業が伸長することを主因に2,914百万円(前期比13.2%増)、営業利益は増収効果と販売費及び一般管理費の管理徹底により30百万円(前期は営業損失110百万円)、経常利益27百万円(前期は経常損失119百万円)、当期純利益17百万円(前期は当期純損失132百万円)を計画しています。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社は、お客さまの経営・業務課題の解決に、 お客さまの一員として道しるべを示し、発想・技術・実現方法に限界を設けることなく、サービス・製品を想像し創造することで、世の中を変え、時代を切り拓くことを使命に、イノベーション事業において研究開発活動を行っています。
当事業年度の研究開発費は、
当社の主要な研究開発活動のテーマは、以下の次のとおりです。
(2) 研究開発活動の成果
研究開発活動の成果として、日本国内で9件、アメリカで1件の特許を取得しています。
当社は、主要な研究開発テーマへの取り組みを通じて得た技術を応用して、製品やサービスを開発しています。現在、以下の製品を開発、販売または技術供与しています。
また、上記の製品の機能向上に継続的に取り組むとともに、お客さまからの要望や課題に応じて、当社の保有する技術を活用したソリューションの研究開発を行っています。