文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。
当社は、創業理念「孫の代まで豊かな社会を創る一翼を担う」を事業活動の最上位概念に置き、これを目指すための当社のあり方を示した企業理念と、当社が社会にもたらす価値や行動指針を示した使命を定めています。当社は、これらの経営の基本方針を高いレベルで実践することを通じて中長期的に企業価値を高めるとともに、全てのステークホルダーから信頼される企業となることを目指しています。
孫の代まで豊かな社会を創る一翼を担う
② 企業理念
ご満足いただけるソリューションを提供、社会の一隅を照らす存在でありたい
・社会に新たな価値を創出し続ける
・お客さまと社会に感謝される仕事を
・社員が仕事を通じて成長するのを支援し社員とその家族を幸せに
③ 使命
「お客さまの一員として、時代のその先に」
私たちは、お客さまの経営・業務課題の解決に、お客さまの一員として道しるべを示し、発想・技術・実現方法に限界を設けることなく、サービス・製品を想像し創造することで、世の中を変え、時代を切り拓きます。
そして、私たちの取り組みにより、お客さまをはじめ社会の人々の笑顔を増やし、社会の発展に貢献します。
(2) 経営環境
コンサルティング事業は主に地域銀行、クレジットカード会社、投資運用会社及び保険会社等の金融業界に属する企業を主要な得意先としています。金融業界においては経済を支えるインフラとしての機能を発揮するために、安定性と安全性が極めて高いITシステムの開発と維持に多大なコストを投じるとともに、金融商品やサービスの開発と並行して、これらに対応したシステムの開発が行われています。すなわち、金融業界におけるITシステムへの投資は、各金融機関の経営戦略の一部であるとともに、差別化や競争力の源泉となるものであります。また、政府や日本銀行からも地域銀行の競争力強化の一環として再編やITインフラに対する投資を支援する方針が示されており、今後、ますますシステム投資は拡大していくものと思われます。このような環境下、金融業界におけるIT部門の重要性が高まっている一方で、十分な知識や経験を有するIT人材の不足が、システム開発プロジェクトを推進する上でのボトルネックになっています。
イノベーション事業は小売事業者を主要な販売先としています。小売事業者においては少子高齢化や人口減少等を要因に、店員の成り手の不足や売上の減少等によって店舗の維持が困難になりつつある中、販売機会を拡大し、店舗運営の省人化を図れる技術やソリューションに注目が集まっています。
DX・地方共創事業は地域経済の生産性の向上と発展、また持続可能な社会の実現への貢献等、同じ目的意識を持つ企業とのオープンイノベーションを通じて、顧客開拓に取り組んでいます。今日、日本全体で、デジタルトランスフォーメーション(DX)の活用、少子高齢化による生産年齢人口の減少及びカーボンニュートラルへの貢献等サステナビリティに関する様々な課題への関心が高まり続けており、同時にこれらに対応するソリューションも日々新たなものが生み出されています。一方で、これらのソリューションの情報や提供元が一部に偏在する等しており、需要と供給のマッチングが期待されていると認識しています。
(3) 2025~2026年度(2025年3月~2027年2月)経営方針
2027年2月までの経営方針を「安心と挑戦、そして飛躍へ」とし、長期的な目標である2030年に日本を代表する企業になることを目指して、事業と組織の両面から成長を加速させる基盤づくりに注力してまいります。競争力の源泉である人的資本の強化、コンサルティング事業をはじめ各事業の事業領域拡大、並びに生成AIの時代への対応を施策の中核に据えて経営資源を投じてまいります。
① 人的資本の強化
社員を採用育成し、その社員が長期間にわたって当社でその能力を発揮し続けることは、当社が付加価値を生み出し企業価値を高めるための基盤の一つであります。当社は事業の拡大を目指す上での最重要事項として、中途採用活動の強化とエンゲージメントの向上に関する諸施策を実行してまいります。
② 事業領域の拡大
コンサルティング事業においては、人的資本の強化と共に、これまで要員不足を理由に応えきれなかったITやDXのプロジェクト推進支援のニーズに応えてまいります。また、勘定系システムをはじめ銀行のITシステムと銀行業務に関連する幅広い知見、並びに多数の地域銀行への支援実績を活かして、銀行間の連携やアライアンス強化の支援に取り組んでまいります。さらに、これら銀行間を繋ぐ大規模なシステム構想構築に当社の経験やノウハウを提供して、地域金融の機能向上に貢献していく方針です。
イノベーション事業においては、リテール業の課題解決カンパニーとして、EC事業者向けのソリューションの開発や書店活性化コンソーシアムを通じて課題解決支援を強化し、小売・流通業界の生産性を高める働きかけをしていきます。
DX・地方共創事業においては、新潟県で取り組む地元地域を基盤にする一般事業会社へのDX支援を全国に広げていく方針です。
人口減少と人口構成の超高齢化、加えて都市圏への人口集中等によって生まれる労働力の需給ギャップを補うには、AIの活用とロボットによる自動化等が不可欠です。企業においても成長機会の獲得と生産性を高め続けるためには、同様にこれらの技術進化に追随していく必要があると考えています。当社はAIの進化が過渡期の中、様々な活用法を見出しノウハウを蓄積するために積極的にAIを業務に活用するとともに、普及を促進するサービスを開発してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に対する考え方
サステナビリティを巡る課題に対応することは、当社の基本的な価値観に合致するものと考えています。当社は、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献する取り組みや持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する施策を加速するため、サステナビリティ推進の基本方針を次のように定めています。
この方針の下、環境・社会・ガバナンスの視点からの課題を、経営上の重要な課題の一つと捉え、持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に資する取り組みを積極的に推進しております。
当社はサステナビリティに関する諸施策は、経営会議で審議しています。施策の内容が当社の基本的な理念に合致したものであり、かつ中長期的に社会の持続可能性と当社の企業価値を高めるものであるか検討した後、適宜、業務執行部門に実行を指示しています。
② リスク管理
サステナビリティを含む各種施策は業務執行取締役がその推進及びリスク回避に責任を持ち役職員に実行を指示しており、進捗状況について取締役会に定期的に報告しています。
また、リスク管理委員会はサステナビリティを含む経営上の重要な課題やリスクについて検討しており、顕在化した場合の影響を評価し、取締役会に報告しております。取締役会はリスク管理委員会からの報告を受け、適宜、業務執行部門に重要課題やリスクへの対応を指示しています。
(2) 人的資本に関する取り組み
① 人材の確保及び育成並びに働き方の方針
当社は企業理念に定める「社員が仕事を通じて成長するのを支援し社員とその家族を幸せに」及びサステナビリティ推進の基本方針に定める「全てのステークホルダーの笑顔を増やし笑顔であり続けるために、一人ひとりの権利と価値観を尊重し、人の成長を通じて社会に付加価値をもたらすことを誇りと喜びにします。」の当社の基本的な価値観の下、従業員が当社の最も重要な資産の一つと認識して、その価値を最大限に高めて活用することを目指す3カ年計画を策定しています。
2025年2月期から2027年2月期までの計画においては、以下の課題に対応することとしております。
・個人の意欲・モチベーションの多様化
・ダイバーシティ推進
・ウェルビーイングの向上
・ヨコのつながりの強化
・エンゲージメントの向上
・採用活動の強化
・イノベーションを発揮しやすい社内環境の醸成
これらの課題に対応する施策を実行することを通じて、多様な経験や価値観を持つ従業員が、それぞれにありたい姿を描きながら協働することで社会課題を解決し、企業価値を高めることを目指してまいります。
② 目標
上記の課題に対応して社員の成長と企業価値向上の促進を実現することをねらい、2025年2月期から2027年2月期までの3カ年において以下の施策の実行を検討してまいります。
なお、2027年2月期までは、人的資本に関する基本的な施策を数多く実行することを最優先としているため、定量的な目標値等は定めていません。
③ 実績
2025年2月期までに取り組んだ実績は以下のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社がコンサルティングサービスを提供する主要得意先である金融機関が、国内外の景気動向等の影響を受けIT投資を抑制した場合、受注案件に対応する職員の稼働率低下が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、金融・公共ソリューション事業部長が適宜、各プロジェクトの責任者から既存得意先及び営業先の状況についてヒアリングし、提供及び提案するコンサルティングサービスの内容について指示しております。これによりニーズとのミスマッチを防止し、職員の稼働率低下に対処しております。また、取締役を含む管理職によって構成される経営部長連絡会において各案件の状況について活発な議論が行われ、組織的なモニタリングがなされています。
労働市場における人材獲得の競争激化による人材採用の失敗や人材流出、人材育成計画の未達成等が生じた場合、当社の競争力の低下や事業拡大に対する制約、得意先に提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、優秀な人材の採用、確保及び育成を全社的な重要な経営課題の一つと定め、コーポレート本部が主管となり採用活動、従業員の定着及び育成に対して優先的に経営資源の投下を行うことで、人材に関するリスクに対処しています。
当社の業務遂行にあたり、得意先の機密情報や個人情報を取り扱うことがあります。これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社の社会的信用に重大な影響を与えるとともに、多額の対応費用が発生することにより、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、情報セキュリティマネジメントの国際標準であるISO27001の認証及びプライバシーマークを取得するとともに、役職員、協力会社(ビジネス・パートナー)等に対し、守秘義務の順守、機密情報や個人情報の厳重な管理を指導するとともに、情報管理を効率的に行うための環境構築を進めることで情報セキュリティリスクに対処しています。
当社が受注する業務の一部では、人的資源の制約から協力会社(ビジネス・パートナー)に対し、業務を再委託することがあります。委託先の選定に当たっては、プロジェクト遂行能力等を勘案して選定するとともに優秀な人材の確保を依頼しておりますが、委託先のプロジェクト管理及び人材確保が適切になされない場合には、コストの増加や納期遅延、品質の低下等を招く可能性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、各部長や現場責任者等が委託先の業務につき、業務進捗のみならず個々の人材の体調面に至るまでレビューし、適宜情報の共有と問題の明確化及びそれらへの具体的対処にあたることで委託先業務の品質管理を行い、委託先管理に関するリスクに対処しています。
当社の代表取締役社長である蒲原寧は、当社の設立以来、当社の経営方針や戦略決定をはじめ、事業開発、ブランド力向上等において重要な役割を担っております。また、本報告書提出日の前月末現在の当社発行済株式総数の21.74%を所有する筆頭株主でもあります。何らかの理由により蒲原寧に不測の事態が生じて当社の業務を継続することが困難となった場合、または代表取締役社長を退任するような事態が生じた場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
現時点では、このようなリスクが顕在化する可能性は低いと認識しておりますが、当社では、取締役会及び経営会議等において経営情報の共有を図るとともに、各事業を統轄する取締役、執行役員及び事業部長等へ職務執行の権限委譲を進めています。また、重要な経営方針及び施策等の立案においては、蒲原寧を含めた主要な経営幹部で審議しています。
当社のコンサルティング事業において「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)」で定められた労働者派遣事業に該当するものがあります。労働者派遣法に定める派遣元事業主としての欠格事由に該当した場合や、法令に違反した場合には当該事業の停止を命じられる可能性があります。また、新たに法規制の緩和や改正等が行われた場合、当社の経営環境に変化をもたらすものであれば、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会が、各事業のコンプライアンスに関してモニタリングすることで、労働者派遣法を含めたコンプライアンス遵守に努めています。また、広く社内のコンプライアンス違反に関して役職員が相談できる窓口として外部通報窓口を設置、運用し、法的規制に関するリスクに対処しています。
当社の研究開発活動は主にイノベーション事業において、また一部でDX・地方共創事業下において、画像認識技術や人工知能(AI)を用いた製品やソリューションの研究開発を推進しています。これらの技術は新機能の登場や性能向上のサイクルが極めて早く、競争も激化し続けています。そのため、今後の技術水準の動向、研究開発活動の進捗状況及び計画遅延の発生等により、当初想定した研究開発費が増加し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度においてはイノベーション事業では売上高を超える研究開発費を計上しており、今後これらの製品の販売計画の未達や開発推進が難航する等した場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、経営会議や管掌取締役が様々な研究開発テーマから技術、コスト及び実現可能性等を考慮して選択と集中を行っています。多様な可能性を追求すると同時に、研究開発活動の管理とのバランスを保つことに取り組んでいます。
当社は当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、ストックオプションを付与しております。本報告書提出日の前月末現在、ストックオプションによる潜在株式総数は17,200株であり、発行済株式総数12,792,995株の0.13%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
当社では、毎月、取締役会において財務状態のモニタリングを行い、最適な資本構成について、適宜、検討を行っています。
(9) 棚卸資産の評価損に関するリスク
当社はワンダーレジ-BOOKやEZレジ等の製品の製造においては、受注生産を行っていますが、これらの製品の材料、部品及び仕掛品は営業状況や事業計画、調達環境を総合的に勘案して、在庫として保有しています。当社では「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しており、販売目的の棚卸資産の収益性を毎四半期末に評価し、販売計画の進捗状況や急激な経営環境の変化により収益性が低下していると判断し評価損を計上する場合には、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、各事業を管掌する業務執行取締役は、毎月、取締役会において収益や施策の進捗、営業状況及び業績見通しについて報告しており、取締役会は、適宜、当該リスクを回避する監督をしています。また、経営会議等にてイノベーション事業の事業活動全般について検討しており、営業活動を促進する施策を迅速に決定し、実行しています。
(10) 保有株式の減損損失に関するリスク
当社は無人決済店舗システムの事業化を目的とした事業会社を設立し、関係会社株式を保有しております。また、業務提携の強化を目的に投資有価証券を保有しております。これらの株式の実質価額が著しく低下した場合には、減損損失が計上され、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は関連会社に役員を派遣するとともに、月次で業績報告を受け関連会社の財政状態を把握し、減損の兆候を早期に認識し、適切に対処することとしております。また、資本業務提携先に対しては、シナジーの創出に取り組むとともに、株主として議決権の行使を通じて提携先企業の経営に関与することとしています。
(11) 自然災害や感染症に関するリスクについて
大規模な地震、大型台風、風災、水災、津波、大雪、火災等により、当社及び得意先の建物、設備並びに従業員が被災した場合、出勤や業務遂行に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。またインフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症が流行した場合にも、従業員の出勤や業務遂行に支障が生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、これらの自然災害や感染症の拡大が国内景気の動向や得意先の業績に影響する場合、得意先においてIT投資が抑制されることで、新規プロジェクトの減少や既存プロジェクトの規模の縮小等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、リスク管理委員会が、毎月、当社の事業活動全般のリスクについて検討し、災害や安全衛生について調査や対策が必要と判断したときは、コーポレート本部に対して当該リスクを低減する施策の検討と実施を指示しています。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績・財政状態に関する概況
① 経営成績の状況
当事業年度における当社を取り巻く経営環境は、エネルギー価格の上昇や食料品をはじめとする幅広い品目で物価上昇が続き、実質所得がマイナスとなり個人消費の低迷を招いています。また、外国主要国の不透明な経済政策の動向が日本経済に与える影響を注視する必要があります。
当社の主要な事業領域である金融業界においては、政策金利の上昇により銀行をはじめとする金融業全体で業績向上の期待が高まっています。一方で、特に地域銀行では、長期的な視点から生き残りをかけて、従来の営業範囲を超えた提携や統合の検討が水面下で進められているものと思われます。一般事業会社においては、人手不足と継続的な賃上げに加えて、物価上昇によるコスト増加への対応として、DXによる生産性と付加価値を高める施策のニーズが高まっています。
このような環境の中、当社は2025年2月期を、成長を再加速させる転換期と位置づけ、各事業間の連携を強化して収益機会を高めるとともに、社会のDXを加速させることをテーマにサービスの付加価値を高める諸施策を実行してまいりました。
これらの結果、売上高3,023百万円(前期比3.2%増)、利益面は、第4四半期に中途採用強化策の推進や新ソリューション開発に伴う費用の増加等があったものの、通期では増収による売上総利益の増加によって営業利益200百万円(前期比96.6%増)、経常利益197百万円(前期比108.5%増)、法人税等調整額(益)を62百万円計上したこと等により当期純利益257百万円(前期比99.7%増)となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。
銀行の基幹システム移行・統合プロジェクトの支援業務の受注が堅調に推移しました。第4四半期会計期間においては、二つの地域で地域銀行のシステム統合プロジェクトを完了しました。また、証券、信託銀行及び保険等幅広い業種でプロジェクト推進支援やIT部門の業務推進支援の受注も堅調でした。
これらの結果、売上高2,913百万円(前期比3.3%増)、増収と外注費の減少を主因にセグメント利益629百万円(前期比27.2%増)となりました。
(イノベーション事業)
書店向けセルフレジ「ワンダーレジ-BOOK」及びコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」(イージーレジ)を販売しました。また、EC販売の業務フローを効率化するソリューションを開発し、サービス提供を開始しました。これらのほか、書店の課題解決を目的に「書店活性化コンソーシアム」を立ち上げ、リテールテック企業とのオープンイノベーションを促進し、書店再生に資するソリューションの創造に取り組んでいます。
関連会社の株式会社TOUCH TO GO(以下「TTG」という。)については、同社の無人決済システムに「TTG-SENSE」シリーズの販売に関するロイヤリティを計上しました。無人決済システム「TTG-SENSE」は2020年3月にJR高輪ゲートウェイ駅内の自営店舗で初めて稼働した後、無人店舗の出店ニーズに応えるため「TTG-SENSE MICRO」「TTG-SENSE SHELF」を開発してバリエーションを増やし、2024年10月までに累計100か所以上に導入されています。
これらの結果、売上高53百万円(前期比32.1%減)、固定費を見直しコスト削減に努めた一方で、第4四半期会計期間において新ソリューションの開発費用を計上したことによってセグメント損失149百万円(前期はセグメント損失154百万円)となりました。
(DX・地方共創事業)
中堅・中小企業のDXを支援する「DX伴走支援サービス」を開始し、本サービスの最初の取り組みとして株式会社第四北越銀行の「DX宣言策定支援サービス」のDX宣言書作成を支援しています。加えて、DX宣言書を作成した顧客に対して、その後のDXプロジェクトの立ち上げから遂行までを当社が一貫して支援することをねらい、提案力の強化を目的に同行とビジネスマッチング契約を締結しました。また、これらのサービスの付加価値と生産性向上をねらったソリューションや業務ツールの開発を進めてきました。これらのほか、顧客企業の経営戦略・経営施策策定の支援や業務のDX化プロジェクトの推進を支援しました。
これらの結果、売上高56百万円(前期比86.1%増)、新ソリューション等の開発コストを計上したことによってセグメント損失13百万円(前期はセグメント損失2百万円)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
資産合計は2,897百万円となり、前事業年度末と比べて296百万円増加しました。
流動資産は2,176百万円となり、前事業年度末と比べて217百万円増加しました。これは主に、棚卸資産の簿価切下によって仕掛品が2百万円及び原材料及び貯蔵品が14百万円減少した一方で、営業活動による収益と金融機関からの借入によって現金及び預金が327百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は720百万円となり、前事業年度末と比べて78百万円増加しました。これは主に繰延税金資産を62百万円追加計上したこと等によるものであります。
(負債)
負債合計は1,094百万円となり、前事業年度末と比べて39百万円増加しました。
流動負債は582百万円となり、前事業年度末と比べて12百万円減少しました。これは主に採用活動の施策推進やソリューション開発によって未払金が31百万円増加した一方で、買掛金が35百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は512百万円となり、前事業年度末と比べて51百万円増加しました。これは主に社債が100百万円減少した一方で、長期借入金が137百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産合計は1,803百万円となり、前事業年度末と比べて257百万円増加しました。これは主に当期純利益257百万円の計上により繰越利益剰余金が増加したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,708百万円(前事業年度末に比べて327百万円増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは316百万円の収入(前事業年度は49百万円の収入)となりました。これは主に仕入債務の減少35百万円等の資金の減少要因があった一方で、税引前当期純利益196百万円を計上したことに加えて、売上債権及び契約資産の減少81百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは16百万円の支出(前事業年度は26百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは27百万円の収入(前事業年度は41百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出59百万円及び社債の償還による支出110百万円等の資金の支出があった一方で、長期借入よる収入190百万円等によって資金が増加したことによるものであります。
(2) 生産、受注及び販売の状況
重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成していますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債及び収益・費用の数値に反映されております。
これらの見積りについては、継続評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
当社の財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下であります。
(固定資産の減損)
当社は保有する固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額された金額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の判定及び回収可能価額の前提となる将来キャッシュ・フローについては、一定の仮定をおいて算出しています。今後の経営環境の変化等により将来キャッシュ・フローへの重要なマイナスの影響がある場合には、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
(関係会社株式の評価)
市場価格のない関係会社株式の実質価額が著しく低下した場合の減損処理の要否については、将来の事業計画に基づく回収可能性により判定しています。実質価額が著しく低下し、将来の不確実な経済条件の変動などによって将来の事業計画に基づく回復可能性がない場合には、関係会社株式評価損の計上が必要となり、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の業績予測に基づく課税所得の発生時期及び金額を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断し算出しております。
b.当事業年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定
将来の課税所得の算定に際しては、取締役会で承認された翌事業年度の事業計画に対して、確度を勘案した受注見込、労働市況を勘案した採用可能性、当社の過年度の粗利率、販売費及び一般管理費推移等を勘案し、各項目にストレスを付加した上で課税所得見込みを算定しております。
c.翌事業年度の財務諸表に与える影響
将来の課税所得の見積りを算出するにあたり使用した仮定は合理的であると判断し繰延税金資産を計上しておりますが、将来予測不能な環境変化により前提条件が大きく異なる場合、翌事業年度の財務諸表において、繰延税金資産等の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断)
当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断にあたり、貸借対照表日の翌日から1年間のキャッシュ・フローを見積っております。経営環境の変化等により将来のキャッシュ・フローが大幅に変動した場合、当該不確実性の判断に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績の分析
a.売上高
主にコンサルティング事業において、既存得意先からの受注が堅調に推移したこと等により売上高は前期比3.2%増加の3,023百万円となりました。
b.売上原価及び売上総利益
主にコンサルティング事業において、従業員の増加や待遇改善により人件費が増加したほか、棚卸資産の簿価切下による売上原価の増加要因があった一方で、外注費の減少等を主因に、売上原価は前期比1.8%減少の2,089百万円となりました。加えて増収により売上総利益は前期比16.4%増加の934百万円となりました。
c.販売費及び一般管理費及び営業利益
イノベーション事業及びDX・地方共創事業においてソリューション開発に関する業務委託料が増えたほか、採用活動の強化による人材採用費の増加により販売費及び一般管理費は前期に比べて4.7%増加の734百万円となりました。一方で、売上総利益の増加により営業利益は前期に比べて96.6%増加の200百万円となりました。
d.当期純利益
繰延税金資産を62百万円追加計上し、この同額を法人税等調整額(益)に計上したこと及び段階利益が増加したこにより、当期純利益は前期に比べて99.7%増加の257百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績・財政状態に関する概況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の営業活動に関する資金需要のうち主なものは、コンサルティング業務やソリューション開発に従事する役職員の人件費、パートナー企業への委託料等、販売及び営業活動によるものであります。また、当社の投資活動に関する資金需要のうち主なものは、研究開発活動、関係会社への投融資及び資本業務提携に伴う株式投資等であります。これらの資金は、主に営業活動で得られた資金及び手元資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行、資本市場からの調達をすることがあります。
当事業年度においては、社債の償還及び長期借入金の返済が169百万円があった一方で、フリー・キャッシュ・フローが300百万円のプラス、長期借入れによる収入190百万円があった結果、当事業年度末時点の現金及び現金同等物の残高は1,708百万円(前事業年度末比327百万円増)となりました。財政状態については、自己資本比率62.2%(前事業年度末比2.8ポイント増)、流動比率374%(前事業年度末比44ポイント増)となり、事業の円滑な運営に必要な流動性を十分に確保するとともに、経営環境が急変した場合に事業継続に必要となる支出にも機動的に対応可能な水準の手元流動性を確保していると考えております。
⑤ 次期の経営方針
2026年2月期は、収益力の回復によって得られた投資余力を既存事業の基盤強化と次の成長につながる種まきに充てる方針です。特に人的資本への投資と新ソリューション開発に経営資源を重点的に配分します。
コンサルティング事業では、コンサルタントの稼働が高水準で続き収益を牽引している一方で、人員の逼迫からお客さまのニーズに十分に応えられず、機会損失が生じています。また、品質を維持するための体制の確保とコンサルタントの負荷軽減が課題となっています。これらの状況から、コンサルタントの増員と育成が急務として、転職エージェントへの紹介手数料を見直す等して即戦力人材の採用を強化しています。このほかにも、金融以外の業界の顧客開拓にも引き続き取り組んでまいります。イノベーション事業では、EC販売の業務効率化ソリューションの機能向上とこれを核にしたビジネスモデル構築及び販売拡大に取り組みます。また、リテールテック企業との協業を広げて小売事業者への提案力強化を図り、お客さまの課題解決の支援に取り組んでまいります。DX・地方共創事業では、DX宣言書を作成した一般事業会社の顧客から引き続きDX伴走支援コンサルティングサービス業務を受注し、これの推進に注力してまいります。また、DX宣言書作成サービスをきっかけにした新規顧客開拓及び営業活動地域の拡大に取り組み、業容拡大を進めてまいります。これらに加えて、社内の全ての業務において生成AIを積極的に活用して生産性向上を図るとともに、将来的な収益化やサービス品質向上を見据えてノウハウや効果の蓄積に取り組んでまいります。
これらの結果、2026年2月期の業績見通しは、売上高3,400百万円(前期比12.5%増)、利益面では、採用活動費やソリューション開発に関する費用増加があるものの、コンサルティング事業とDX・地方共創事業の売上総利益増加によって営業利益220百万円(前期比10.0%増)、経常利益212百万円(前期比7.2%増)、法人税等調整額(益)の計上により当期純利益249百万円(前期比3.0%減)を見込んでいます。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社は、お客さまの経営・業務課題の解決に、お客さまの一員として道しるべを示し、発想・技術・実現方法に限界を設けることなく、サービス・製品を想像し創造することで、世の中を変え、時代を切り拓くことを使命に研究開発活動に取り組んでいます。
研究開発活動はイノベーション事業とDX・地方共創事業で行っています。イノベーション事業においては、主にワンダーレジ-BOOK及びEZレジの製品開発及び機能改良、並びに関連ソフトウエアの開発に要した費用を計上しています。DX・地方共創事業においては、主にAIを活用したソリューション開発に要した費用を計上しています。
これらのほか、過去に開発した技術を活かした製品やソリューションの研究開発を行っています。
当事業年度の研究開発費は