文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、1999年の創業以来、「質の高いエンジニアの育成及び最高の技術でお客様から求められるニーズ以上の製品を創出し、全ての当社役職員が自分の仕事に責任と誇りを持ち続ける」の経営理念の下、お客様の業務を理解し、最高の技術でより一層のサービス向上を図ってまいりました。我々が属する金融機関向けのIT業界は、新しいテクノロジーの活用が急速に進んでおり、今後も市場が年々拡大することが見込まれています。そのような環境の中、当社は、専門性とIT技術力を強みとしてお客様の経営課題を解決するITソリューションを積極的に推進し信頼及び企業価値の最大化を図ってまいります。
当社は、上場後の2018年からの3カ年計画を経て、次なる成長を続けていくための中期経営方針として「コア事業の集中と変革・新たな企業価値の創造」を掲げ、企業価値を高め、事業成長を実現するため、2023年度に新たな収益基盤を創出することを目指しております。
当社は、金融に特化したエンジニア集団として、豊富な実績と経験を活かし、技術力を要する専門性の高いソリューションを提供してまいりました。今後、当社が新たな事業拡大及び成長を実現するためには、お客様のニーズや課題をより深く理解し、お客様が求める付加価値の高い新たなソリューション及びサービスを提供することが重要であると考えます。
また、昨年来からの新型コロナウイルス感染拡大は日本のみならず全世界において膨大な損害を与え、また、国内外の人々の生活に甚大な影響を及ぼし、社会全体が大きく変わろうとしております。このような社会環境の変化に対応すべく、当社は既成概念にとらわれずに市場の変化に合わせて変革していく「チャレンジ精神」をもって取り組んでまいります。
(2)経営環境及び経営戦略
当社は、長期間安定してお客様にソリューションを提供し続けることを基本として、社会や技術の変化に迅速に対応し、常に新しい技術・分野に積極的に取り組むことにより、システムソリューション事業の拡大に努めてまいりました。また、昨今では、企業のIT投資のニーズは、コスト削減、効率化を主たる目的とした投資ニーズに加え、自社の競争優位性を確立するための戦略的IT投資への取組みが拡大しつつあります。
加えて、クラウドサービスの浸透に伴いITシステムの「所有」から「利用」へと変化しており、さらにはビッグデータの活用などにより一層多様化してきております。これらの顧客企業のニーズの多様化に適応し、顧客企業のさまざまなビジネス上の課題を解決すべく、顧客企業のニーズを的確に捉え、最適なサービスを提供することで、高付加価値サービスの創出、顧客との長期安定的な関係を通じたビジネス拡大を図ってまいります。
当社は、ストック型の売上構造へシフト(クラウド型提供による月額収入の増加)を引き続き推進し、主要ネット証券会社の開拓を引き続き行いつつ、中堅、大手総合証券会社並びに他金融(銀行等)への営業強化を図ってまいります。また、中期的には当社ソリューション領域は成熟産業向けであることから、金融向け新ソリューションの企画、開発(ブロックチェーン、キャッシュレス金融サービス等)とあわせ、ECシステムのプラットフォーム企画・開発を行います。また、事業拡大に合わせ国内外の開発ベンダーと提携し、システム運用監視、品質維持、量産型開発等を担当する戦略的なコストセンターを組成します。
当目的のため製品開発、成長戦略を以下の方針で行います。
① 既存顧客の利便性向上のためクラウド型取引システムを拡張し、対象商品の拡充や新コンテンツの提供を行ってまいります。
② 今後の事業拡大を見据え、人員の増強、また将来の戦力としての優秀な若手の採用・教育に努めてまいります。
③ コストセンターの組成や各製造や運用工程のオートメーション化を図ります。
④ 金融向け新ソリューション及びECシステムプラットフォームの企画・開発に取り組んでまいります。
⑤ オフショア計画の推進(ベトナム・カンボジア等との計画推進)
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社の属する情報サービス業界においては、技術革新のスピードが速く、競合が激しくなることが想定されています。こうした環境の中で、当社が持続的な成長を可能とし、積極的に社会貢献していくために対処すべき課題は以下のとおりであります。
① 得意分野の更なる強化
当社は金融機関向けソリューションをはじめとする当社が優位性を有する事業領域において、お客様のニーズやトレンドおよびその変化に臨機応変に対応し、質の高い製品、サービスを提供し続けることで競争力と収益性を強化し、既存のお客様との良好な関係を維持するとともに、また既存のお客様及び新規お客様からの新規案件の獲得に努めてまいります。
② 技術革新への対応
技術革新が著しい情報サービス業界において、最新技術に対応することは常に重要な課題となります。スマートフォンやタブレットの普及はインターネットの利用をより身近なものとしましたが、同時にシステムの利用環境を多様化させました。当社としましても、それらスマートデバイスに最適な技術を追求し、顧客ニーズを満たす製品を提供してまいります。また、システム提供形態も、SaaSに代表されるクラウドを活用した「サービス提供型」に変化しつつありますので、クラウド化に対応したITテクノロジーの研究開発にも取り組んでまいります。
これらの技術力を基礎とした新たなソリューションを開発・提案することで当社の競争力を高め、新たな収益源の獲得に取り組んでまいります。
③ プロジェクトマネジメント力の強化
お客様との取引を拡大し適正な利益を確保するためには、各プロジェクトマネジャー(*)のマネジメント能力をさらに強化するとともに、プロジェクトマネジメントができる技術者を育成・拡充していくことが重要な課題であります。
当社では、技術者に対してテクニカルスキルとマネジメントスキルの両面から体系的な教育システムを構築し、スキル強化に努めてまいります。
(*)プロジェクトの計画、遂行に責任を負うプロジェクトの管理者
④ 新たな成長分野への展開
情報サービス業界において、常にお客様に満足していただけるサービスを提供していくために、既存技術の強化と並行して、新技術にも積極的にチャレンジしていくことが求められます。
当社では、既存技術の強化とともにAIやブロックチェーン等の新技術を獲得し、それを活用した新しい成長分野への展開を図り、長期的な成長につながる新たなビジネス基盤の構築に注力してまいります。
⑤ 優秀な人材の確保と育成
当社は専門的なIT技術を有する優秀なデジタル人材の確保に努める一方、人材が競争優位性を決定しうる最重要事案であるという認識のもと、適正人員の確保・育成のための研修制度の充実を図り、事業計画に連動した目標管理制度を徹底することで、当社の人材の育成と組織の活性化を図ってまいります。
⑥ コーポレート・ガバナンスの強化
当社はコンプライアンスを遵守し、外部報告の信頼性を確保する内部統制システムを構築・運用することが、ステークホルダーに対する社会的責任を果たしていくことだと考えております。また、当社の企業価値を向上していくためには、経営の効率性を追求し、事業活動より生じるリスクをコントロールすることが必要であると考えております。当社はこれらの考えを実現させるために必要不可欠なコーポレート・ガバナンスの強化を今後も図ってまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響において、経済動向の見極めが今なお難しい状況となっております。当社におきましても、今後の情勢次第で事業活動に影響が生じることを懸念しており、市場や顧客動向を注視し、適切に対処してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、安定的な事業拡大を通じて企業価値を向上させていくことを重要な経営目標と位置付けております。このため、売上規模の拡大は勿論、事業の収益力を占める営業利益、営業利益率を中長期的な経営の重要指標として考えております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
記載したリスクはいずれも事業及び業績に影響を与えうる「重要なリスク」ですが、中でも中長期的な会社の経営戦略と関連性の高いリスクを「特に重要なリスク」として定義しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度、時期につきましては、合理的に予見することが困難であるため具体的には記載しておりません。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
(特に重要なリスク)
(1)戦略的投資に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は、従来の「開発・フロー型」から「利用型・ストック型」へとビジネスモデルの転換を推進していくにあたって、データセンター増強などの積極的な戦略的投資を継続して実施しております。早期のモデル転換と高収益体制の構築に取り組んでいるものの、利用者を十分に獲得できないために期待した収益が見込めない可能性や、標準化が進展しないために想定以上のコストを費やす可能性があるため、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
利用者の獲得にあたっては、営業活動においてはお客様のニーズを汲み取り、多様化する顧客ニーズに対応できるシステム利用サービスに取り組んでおります。また、利用型・ストック型のビジネスモデルに向けた業務の標準化をさらに推し進めてまいります。
(2)システム及びサービスの不具合に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は、証券業界向けのシステムを開発していることから信頼性と安全性は不可欠であります。しかし、何らかの理由によって、当社の提供したシステム及びサービスに不具合が発生した場合、顧客に機会損失又は利益の逸失を生じさせる可能性があります。さらに、それらが当社の責による重大な過失の場合、高額な損害賠償請求や著しい信用力の低下等を引き起こす可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社はシステム開発やサービスの提供にあたってシステムリスク管理委員会において品質管理基準を設定するとともに、それを遵守することによって、信頼性及び安全性を確保・維持することに努めております。
(3)証券業界の動向と法的規制に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は証券業界を中心とした事業展開を行っておりますが、証券業界は景気や株式市況の影響を大きく受ける業界であります。そのため、景気減退や急激な市況変動などの事態が発生し、証券会社の業績が著しく悪化した場合には、IT設備投資方針が大きく減退する可能性があります。その場合には、受注の減少など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、証券業界を取り巻く諸法令や規制の改正、慣行及び法令解釈等の変更があった場合、将来的に金融機関のシステムを制限する法令や規制が実施された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
証券業界の動向を注視しながら受注予測を行い、また、その対策を検討しております。また、当社のシステム及びサービスを提供する範囲を証券業界以外にも広げることによって、証券会社の業績悪化に備えることにも努めております。
なお、フィンテックによる金融業界新規参入業者の増加、国内4キャリアによる5G通信の商用サービスの開始、金融システムのセキュリティに関する事案の増加、証券会社によるシステム強化への機運の兆しなどから、当社の主軸である金融・証券業界のIT投資意欲は、コロナ禍においても旺盛なものと認識しております。
(4)技術革新への対応におけるリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社は、業界の高い専門的な知識とシステム構築ノウハウにより、安定した事業基盤を築いておりますが、当社が属する情報サービス業界においては、技術革新が非常に激しく、また、それに伴う顧客のニーズも常に変化をしております。今後、当社の想定外の急激な技術革新が起こり、その対応に遅れが生じた場合、当社の有する技術・サービスの陳腐化、業界における他社との競争力の低下などにつながり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社は、技術革新の変化に迅速に対応すべく、積極的に最新の技術に対応したシステム及びサービスの開発を進めております。
(5)開発遅延によるリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の提供する製品やサービスは、顧客から他社差別化や社内業務都合などの理由で独自仕様を求められる事があり、その要求は詳細化・複雑化する傾向にあります。また、システム開発過程においても諸要件の増加・変更が発生する場合があります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたことで、開発プロジェクトのスピードが鈍化するという形で、当該リスクが一部顕在化したものもあります。その結果、当初の見積り以上の想定外の作業工数の増加が発生した場合、プロジェクトの採算が悪化し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、何らかの当社都合の理由による納期遅延が発生した場合には、多額の損害賠償請求等を受ける可能性もあり、当社の信頼性が損なわれ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
プロジェクト管理の徹底を図ることによって柔軟に人員を配置するとともに、大型プロジェクトにも対応できるエンジニアを増加させるために人材育成にも注力してまいります。
(6)四半期毎の業績の変動について
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の売上は、システムの開発と、保守・運用・クラウドサービス利用料で構成されております。保守・運用・クラウドサービス利用料におきましては、契約に基づいて月次で売上高を計上しているため、四半期毎の業績に大きな変動はありませんが、開発案件におきましては、開発規模の大きな製品の納入及び多くの製品の納入が同時期となる場合があります。一方で、開発規模の小さな製品しか納入されない時期もあり、四半期毎の売上高は平準化されないことがあります。そのため、四半期決算の業績はその影響を受け著しく変動することがあり、場合によっては営業損失を計上する可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社は、ストック型ビジネスモデルへの転換を推進し、クラウドサービス等のストック型収入の拡大により売上の平準化に努めてまいります。
なお、当社の最近3事業年度の四半期別売上高は下記のとおりであります。
|
2018年12月期 |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
|
売上高(千円) |
800,634 |
363,611 |
532,234 |
315,255 |
2,011,735 |
|
構成比(%) |
39.8 |
18.1 |
26.4 |
15.7 |
100.0 |
|
2019年12月期 |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
|
売上高(千円) |
356,332 |
293,660 |
418,997 |
920,171 |
1,989,161 |
|
構成比(%) |
17.9 |
14.8 |
21.0 |
46.3 |
100.0 |
|
2020年12月期 |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
|
売上高(千円) |
389,196 |
471,930 |
449,220 |
800,272 |
2,110,619 |
|
構成比(%) |
18.4 |
22.4 |
21.3 |
37.9 |
100.0 |
(重要なリスク)
(1)特定の販売先の依存について
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の主要取引先への売上が50%以上を占める場合があり、主要取引先の経営方針等の変更により取引が打ち切りになった場合や取引金額が引き下げられた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社は、新規顧客開拓に注力し取引先の分散化を図り、また、クラウドサービス等のストック型収入の拡大を推進することにより、売上の平準化を図ってまいります。
(2)人材の確保・育成に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の事業はシステム開発を行う技術者の人員数や能力に大きく依存するため、優秀な人材の確保、育成が想定どおりに進まない場合や、十分かつ適切な人員が確保されない場合に、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
継続的に事業を展開し成長していくために、今後も積極的な採用活動を行うとともに、人材の育成を推進してまいります。また、プロジェクトマネジメント力の更なる強化や金融知識や技術教育の充実・強化を通じて、顧客のニーズに応えるための提案力や技術力を育成することで自社開発力を高めてまいります。
(3)外注先に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社のシステム開発は、基本的には当社従業員にて対応しており、常に自社の人材の確保・育成に注力しておりますが、大規模案件や複数案件などの発生により開発の規模が当社の想定を上回った場合や当社の従業員で対応するより原価の低減を期待できる場合には、外注先からの技術者による対応を行っております。しかしながら、当社の必要に応じた技術者が確保できなかった場合や技術者の技術レベルが当社の要求を維持できなかった場合、若しくは、何らかの理由で外注先が当社との取引を継続できなかった場合など、受注が想定どおり遂行できなかったときには、当社の信頼は失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、業界全体で技術者不足などの理由により外注単価が高騰し、外注費用が当社の想定を大幅に上回った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
外注先との安定的な取引関係を保ち、新規外注先の開拓に努め、技術者の不足に対応してまいります。また、積極的な採用活動や教育研修を通じ、優秀な人材の確保・育成に努め、外注先に依存しない体制を整備してまいります。
(4)知的財産権の侵害等に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社が開発・設計するソフトウエアやプログラムについて、当社の認識していない範囲で知的財産権が成立していた場合、当社は第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。また、これが訴訟等に発展した場合には、損害賠償、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払い要求等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
第三者の知的財産権を侵害しないよう当社が運営する事業の製品の機能、デザイン、呼称に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権の侵害の可能性については、顧問弁護士及び特許事務所との連携により可能な範囲で対応は行っております。なお、当事業年度末現在において、過去に第三者から知的財産権の侵害に関して訴訟を提起されたことはありません。
(5)個人情報及び機密情報等の管理に関するリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社では、業務執行上、個人情報及び機密情報等を保持しています。万が一、外部からの悪意による不正アクセス行為、従業員の故意又は過失による不正利用、製品の重大な不具合等による重要情報の漏洩、紛失、消失、改ざんなど、想定外の事象が発生した場合、当社の信用は著しく失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社では、個人情報保護規程及び情報セキュリティ管理基本規程を定め、全従業員に対し周知・教育を行うなど、これら重要情報の厳格な管理を行っております。また、当社は2013年にプライバシーマークを取得しており、有価証券報告書提出日現在まで継続しております。
(6)自然災害、電力供給及び感染症等によるリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社の本社事業所及びデータセンターは、東京都内に拠点を有しております。また、当社の顧客も主に首都圏を中心に営業拠点を構えており、万が一、地震・津波等の大規模な自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等予期せぬ事態が発生した場合、当社の業績や事業活動に大きな影響を及ぼす恐れがあります。さらに、新型コロナウイルスをはじめとした感染症の拡大を受けて、開発プロジェクトのスピード鈍化や新規案件獲得のための提案活動の遅れなどが生じる可能性があります。
[リスクへの対応策]
当社は、新型インフルエンザ感染症や新型コロナウイルス感染症に関しては、その感染拡大へ対応するため、全社危機管理対策として管理本部人事総務部においてマスク・消毒液等の衛生用品の確保、従業員へのマスク着用などの衛生管理の教育・啓蒙の徹底及び在宅勤務の推進等、従業員への罹患リスク逓減に取り組んでおります。
また、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害が発生した場合、当事務所では電力停止及び電力不足に対する自家発電設備の導入が施されており、災害などに備え、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を進めております。
(7)小規模組織によるリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
2020年12月末現在、取締役6名(うち社外取締役2名)、監査役3名(うち社外監査役3名)、従業員数93名(臨時雇用者を除く)と小規模で事業展開しており、業務遂行体制や内部管理体制も現在の組織に応じたものになっております。役職員の業務遂行上支障が生じた場合、あるいは役職員が社外流出した場合には、当社の業務に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、採用を通じて業容が拡大していくに伴い、社内で適切な情報が生成されない場合や適時に伝達されない場合には、事業活動が円滑に遂行されない結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
今後も事業規模に応じて業務遂行体制及び内部管理体制の一層の充実に努める方針であります。また、金融知識や技術を有する人材の採用と教育に継続して努めていくことで、業務遂行に影響が及ぶリスクの低減に努めております。さらに、内部統制の適切な整備と運用及び適時の更新によって、業務を属人化させず仕組み化することに努めてまいります。
(8)特定人物への依存によるリスク
[リスクの内容と顕在化した際の影響]
当社代表取締役社長である浅見勝弘は、証券システム開発業務及びそれに付随する特有の管理業務に関する豊富な経験と知識を有しており、当社の経営方針及び経営戦略の決定において重要な役割を果たしております。しかしながら、予期せぬ事情により、当該代表取締役社長が経営に携わることが困難になった場合には、当社の業務に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
[リスクへの対応策]
組織体制の整備を図り、特定の経営者に過度に依存しない体制の構築に努めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の大流行の影響により、経済活動の再開は段階的に進められているものの、依然として厳しい状況となりました。わが国経済においても、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い政府より発出された緊急事態宣言は解除されたものの、その後の感染状況は全世界で拡がり続け、国内においても再び拡大する状況下にありました。今後の日本経済の先行きにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大の防止策を講じつつ、経済活動のレベルを段階的に引き上げていくなか、持ち直しの動きが継続することが期待されますが、国内外の感染症の動向については引き続き注視する必要があり、企業経営においては、慎重な景気動向判断が求められるものと考えております。
当社の属する情報サービス業界におきましては、大企業及び中小企業においては、オンライン化や非接触化など新たな生活様式への対応、5Gやデジタル化などへの投資ニーズはあるとみられますが、経営環境の不透明感の高まりや内外需の縮小による生産性の抑制などを背景に、企業の設備投資に向けた姿勢は更に慎重化の動きが見られ、引き続き注視する必要があります。
このような環境の下、当社におきましては顧客ニーズが高まるクラウドサービスへの継続的な推進、また新サービス及び新領域の発掘へと取り組んでまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,110,619千円(前事業年度比6.1%増)、営業利益は107,256千円(同13.9%減)、経常利益は107,986千円(同14.2%減)、当期純利益は73,311千円(同18.0%減)となりました。
なお、当社は証券システム開発事業及びこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、各事業区分別の状況は以下のとおりであります。
(金融ソリューション事業)
金融ソリューション事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による案件の一時中断及びリリースの遅延が生じたものの、当社が掲げる収益の安定性向上と顧客ニーズに対応したストック収入(月額使用料・保守及びクラウドサービス)が堅調に推移した結果、売上高は1,930,438千円(前事業年度比6.9%増)となりました。
損益面につきましては、案件の一時中断やスライドによる減収に伴う利益減などにより減益となりました。
(FXシステム事業)
FXシステム事業におきましては、当事業の主力商品であります「TRAdING STUDIO」につきましては、ウェブPC版及びスマートフォン共に、フル機能版をより顧客にフィットしたクライアント・ラインナップを増やしたことにより、顧客ニーズに合わせたソリューションサービスの選択が可能となり、微増ではありますが売上増となりました。以上の結果、売上高は160,650千円(前事業年度比0.3%増)となりました。
(セキュリティ診断事業)
セキュリティ診断事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、既存顧客及び新規顧客への訪問の制限や商談の延期・中止など販売活動に制約を生じたことや、コロナ禍の状況下において一部既存顧客の契約更新の遅れ及び脆弱性診断実施(手動診断サービス)の延期、また脆弱性診断規模の縮小となったことにより減収及び減益となりました。以上の結果、売上高は19,531千円(前事業年度比16.6%減)となりました。
事業区分別売上高
|
事業区分 |
第 22 期 (2019年12月期) |
第 23 期 (2020年12月期) |
前年同期比 |
|||
|
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
増減率 (%) |
|
|
金融ソリューション事業 |
1,805,637 |
90.8 |
1,930,438 |
91.5 |
124,800 |
6.9 |
|
FXシステム事業 |
160,100 |
8.0 |
160,650 |
7.6 |
550 |
0.3 |
|
セキュリティ診断事業 |
23,424 |
1.2 |
19,531 |
0.9 |
△3,892 |
△16.6 |
|
合計 |
1,989,161 |
100.0 |
2,110,619 |
100.0 |
121,457 |
6.1 |
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,241,701千円となり、前事業年度末に比べ78,922千円増加いたしました。これは主に売掛金の回収が進んだことによるものであります。固定資産は566,285千円となり、前事業年度末に比べ19,273千円減少いたしました。これは主に減価償却による減少であります。
この結果、総資産は、1,807,987千円となり、前事業年度末に比べ59,649千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は206,730千円となり、前事業年度末に比べ11,925千円減少いたしました。これは主に、未払消費税等が増加した一方、買掛金や未払金が減少したことによるものであります。固定負債は71,807千円となり、前事業年度末に比べ8,199千円増加いたしました。
この結果、負債合計は、278,537千円となり、前事業年度末に比べ3,726千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,529,449千円となり、前事業年度末に比べ63,375千円増加いたしました。これは主に、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は84.6%(前事業年度末は83.9%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は835,997千円となり、前事業年度末に比べ413,730千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は477,776千円(前年同期は451,979千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純利益107,986千円の計上、売上債権の減少額353,675千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は54,838千円(前年同期は448,385千円の支出)となりました。これは主に、ソフトウエア開発等の無形固定資産の取得による支出52,053千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は9,208千円(前年同期は3,355千円の収入)となりました。これは主に、配当金の支払額16,464千円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
当社は証券システム開発事業及びこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業の区分別に記載しております。
a.生産実績
当社は、生産実績を定義することが困難であるため、生産に関する事項は記載しておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
当事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
|
事業の区分 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
金融ソリューション事業 |
1,954,371 |
5.8 |
517,665 |
4.8 |
|
FXシステム事業 |
158,950 |
△6.8 |
8,700 |
△16.3 |
|
セキュリティ診断事業 |
18,015 |
△27.8 |
- |
- |
|
合 計 |
2,131,337 |
4.4 |
526,365 |
4.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
|
事業の区分 |
当事業年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
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販売高(千円) |
前年同期比(%) |
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金融ソリューション事業 |
1,930,438 |
6.9 |
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FXシステム事業 |
160,650 |
0.3 |
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セキュリティ診断事業 |
19,531 |
△16.6 |
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合 計 |
2,110,619 |
6.1 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前事業年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当事業年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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岩井コスモ証券㈱ |
235,460 |
11.8 |
419,838 |
19.9 |
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auカブコム証券㈱ |
396,391 |
19.9 |
380,483 |
18.0 |
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㈱DMM FinTech |
492,604 |
24.8 |
369,804 |
17.5 |
(注)3.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。
b.経営成績の分析
(売上高)
当事業年度の売上高は2,110,619千円(前事業年度比6.1%増)となりました。主な要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は1,603,376千円(同8.8%増)となりました。これは主に、前事業年度の期中に実施した本社移転による地代家賃の増加や、ソフトウエアに係る減価償却費の増加によるものであります。
以上の結果、当事業年度の売上総利益は507,243千円(同1.7%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は399,987千円(同2.2%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の営業利益は107,256千円(同13.9%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度の営業外収益は1,619千円(同15.1%増)、営業外費用は889千円(前年同期は48千円)となりました。
以上の結果、当事業年度の経常利益は107,986千円(前事業年度比14.2%減)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別利益、特別損失の発生はありません。
以上の結果、当事業年度の当期純利益は73,311千円(同18.0%減)となりました。
②経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、技術革新への迅速な対応を行うために、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制及び内部管理体制を強化し、社会ニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に対し適切な対応を行ってまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの概要につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社の事業活動における資金需要のうち主なものは、当社の主たる事業であるシステム開発・保守・運用に係る人件費、外注加工費等の運転資金であり、これら運転資金は自己資金で充当することを基本方針としています。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、取引銀行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、事業活動上必要な流動性を確保しているものと考えております。
なお、当事業年度末における有利子負債の残高はなく、現金及び現金同等物の残高は835,997千円となっております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、営業利益及び営業利益率を中長期的な経営の重要指標としております。
当事業年度におきましては、営業利益は107,256千円(前事業年度比13.9%減)、営業利益率は5.1%(同1.2ポイント減)となりました。中長期的な企業価値向上のため、引き続き収益力向上を目標とした経営施策の実施に取り組んでまいります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。財務諸表の作成に当たりましては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績、又は現在の状況下で最も合理的と判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社の重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、次のとおりであります。
(仕掛品の評価)
開発工期が延伸する場合、それに伴って技術者の工数が増加するため、投入したコストを回収できない可能性があります。そこで、仕掛品の評価損および受注損失引当金の算定にあたって、案件ごとに受注金額と見積原価の比較を行っております。当事業年度においては、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、一部の開発プロジェクトでスピードが鈍化したものが生じております。
見積原価に大きく影響を及ぼす仮定として、ソフトウエア開発の作業内容や工数等が挙げられます。なお、当事業年度には仕掛品の評価損及び受注損失引当金の計上は不要と判断しております。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しているため、記載を省略しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。