第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

      文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

   (1)経営方針

 (企業ポリシー)

お客様の全てのニーズに応える

 ※お客様とは、アパレルメーカー及びSPAを指します。

 (経営理念)

① ファッションを通じて、人々の生活・文化の向上を図り、人々に感動を与えることにより社会に貢献する。

② 常に独自の発想により『新価値創造』を意識した展開と、革新的社内風土を高める。

 (行動基準)

① 常に幅広く情報を吸収し、創造的革新的に時代の変化と市場のニーズに適応し、変革しつづけます。

②『高品質』『納期厳守』『適正価格』でお客様への商品提供がテーマであり、それによって満足感、信頼感、安心感を高めます。

③ 個々を尊重し、常にチームとしての協力体制をとり、コミュニケーションの向上を図ります。

④ 目標を明確にし、常に意識し、忠実・確実に実行し、レベルアップを図ります。

⑤ 常に知識・技術の向上と、無駄は徹底的に排除し、生産性の上がる体制を確立し成果をあげます。

 

お客様のニーズは、品質、納期、デザイン、着やすさ及び心地よさなど、幅広い変化が見られます。これら多種多様なご要望に対応すべく、価値と価格のバランスを追求し続けることは、OEM生産を担う当社においても重要な永遠のテーマであり、お客様との対話を重ねることで、ご要望や夢をかたちにしていくことが当社の重要なミッションであると考えております。

当社は、より多くのお客様に感動と喜びを感じていただけるようこれからも一歩一歩前進し、当社を支えていただいているステークホルダーの皆様からの声に真摯に耳を傾け、企業価値の向上に努め、持続可能な夢のあるものづくりを目指してまいります。

 

   (2)経営戦略等

当社グループは、平成30年4月から3ヶ年中期経営計画「Take On The Global Top!」がスタートしました。この中期経営計画の3年間は、アパレルOEM売上高世界トップレベルをめざし、2020年度 売上高800億円 経常利益55億円 生産枚数1億枚を目指します。

基本戦略は次のとおりであります。

① 大手SPA企業とのより一層の取引拡大

  a.上場による信用力向上を背景とした取引拡大

  b.上場資金を活用した積極的な設備投資による生産能力拡大

② ベトナムでの生産能力拡大

  a.中国依存度の低下を目指し、ASEAN地域への積極的展開

  b.とりわけ、ベトナムを重点注力拠点として、生産能力を拡大

③ 新しい合弁事業モデルの確立

  a.「PT MATSUOKA INDUSTRIES INDONESIA」の着実な運営による新しい事業モデルの確立

 

   (3)経営環境

日本のファッション市場は成熟化し、グローバルな企業競争のもと、消費者の選別はより厳しさを増しています。

また人口減少及び少子高齢化による人口構成の構造的な変化の中、長期的には国内市場は縮小傾向にあります。さらにライフスタイルに応じて流通を使い分ける選択消費や、消費者の価値観の多様化等が進んでいます。

今後の当社を取り巻く事業環境は、世界規模で、かつ、より一層速いスピードで変化していくものと考えております。

 

 

 (4) 対処すべき課題

① 生産拠点の最適化の更なる推進

当社グループはファッション市場のグローバル競争に対応するため、グローバルな生産戦略が不可欠と考えております。FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)の締結等、当社グループのグローバル戦略にとって追い風となる中、品質の維持及び向上を図り、生産量(平成30年3月期:62百万枚)の拡大を目指すとともに、生産拠点の最適化を経営の優先課題と捉え、生産拠点の最適化を推進させていきます。

 

② ベトナムでの拠点の確立

当社グループの生産キャパシティ拡大を目的として、ベトナムへの進出を積極的に実施しており、フート第2期工場(PHU THO MATSUOKA CO.,LTD)、JDTベトナム工場(JDT VIETNAM CO.,LTD)、ビナバーツ工場(VINA BIRZ CO.,LTD)が順次稼働し、フート第3期工場が稼働を予定しています。

繊維業界、アパレル業界においては、特恵関税制度、比較的安価な労働力及び縫製工の高い技術などからベトナムが高い注目を集めています。当社グループでも、新たに進出したベトナムの各工場の生産を軌道に乗せ、生産キャパシティの多様化、ひいては、外資系アパレルメーカーとの取組の強化と販路拡大を図ってまいります。

 

③ インドネシアへの進出

4社(株式会社ファーストリテイリング、蝶理株式会社、東レ株式会社、当社)の合弁事業としてインドネシアに現地法人PT MATSUOKA INDUSTRIES INDONESIAを設立いたしました。インドネシアを含め近隣国には高付加価値の紡績・生地生産工場が所在しており、インドネシアに工場を建設することにより、短リードタイムでの生産とセミオーダーに対応した生産が可能になると考えております。インドネシアでの自社工場の建設、そして繊維業界、アパレル業界の川上 (生地開発製造)から川下(小売)に位置する4社の合弁事業は当社にとって初めてであり、工場を稼働させ新しい事業モデルを確立させます。

 

④ 販路の拡大

今後、当社グループが成長を維持していくためには既存顧客の関係強化のみならず、新規顧客を開拓していくことが必須であります。

アパレル業界におきましては、日本市場は将来的に縮小すると言われております。しかし世界に目を向けてみるとBRICsを中心に購買力の高い層が増大し、新しい市場が生まれつつあります。

このような中、販売数量の増加を目的として、グローバルな大手SPA企業等への販路の拡大を進めていきます。また、当社グループの販売先に偏りがみられることから、新規販路の開拓を通じて、販売先の多様化を実現させていきます。

 

⑤ 素材メーカーとの関係強化

当社グループは、これまで綿素材及び合繊素材メーカーを通してアパレルメーカー各社と良好な関係を築いてまいりました。特にインナーウェアにおいては、アパレルメーカーの商品企画力と素材メーカーの素材開発力、そして当社グループの縫製技術が結集して良好な協力関係を構築しております。

しかしながら、当社グループと強固な関係を築けている素材メーカーは現時点では限定的であるため、縫製技術と綿素材、合繊素材分野において卓越した技術を持つ新たな素材メーカーとの関係構築を進めることで、新たな市場開拓と販路拡大につながるものと考えております。

 

⑥ スポーツウェア市場への参入

スポーツウェア市場は、今後の成長が見込まれる有望な分野ではありますが、当社グループではスポーツウェア市場への参入が限定的な状況です。今後、カジュアルウェアのみならず、スポーツウェアへの参入を進めていくことで、更なる販路拡大につながるものと考えております。

 

 

⑦ 生産性向上のための「VM活動」の強化

これまで推進してきた「VM活動」(Visual Management)を事業活動の中核とし、工場運営及び品質管理体制の見える化を更に発展させることで、生産スピードの向上とリードタイムの短縮化、品質の維持及び向上を図ってまいります。

 

⑧ 優秀な人材の確保及び育成

当社グループがグローバル市場において持続的に成長していくためには、語学力や高い専門性などを有した優秀な人材を確保することが不可欠であると考えております。当社グループの経営理念に共感する人材採用を強化するとともに、社内研修を継続的に実施することで、既存社員の能力及びスキルの向上に取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

 

 当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以降の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点ご留意下さい。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済環境に関するリスク

① 業界環境の変化等に伴うリスク

 当社グループが取り扱う衣料品は、ファッショントレンドの変化による影響、景気動向が消費意欲に与える影響及び他社との競合による販売価格の抑制等を受けやすい傾向にあります。このような状況下において、当社グループでは、納期、価格及び品質等において、顧客のニーズに応えらえるよう努めておりますが、さらなる競争の激化や、トレンドの変化に対して、顧客のニーズを適切に捉えられない場合、受注量が減少する結果、売上が減少したり、利益率が悪化することなどにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 為替に関するリスク

 当社グループは、各地域における現地通貨建の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しており、円換算時の為替レートにより、もとの現地通貨の価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値に影響を与える可能性があります。また、決済の一部を米ドルで行っていることから、急激な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。なお、主要販売先等との間で決済レートを一定期間固定する契約を締結し、当社グループの為替変動リスクをヘッジしておりますが、今後、何らかの事情により当契約が見直された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 金利の変動に係るリスク

 当社グループは、必要資金の一部を借入金などにより調達していますが、将来的な資金需要に応じて今後も金融機関からの借入や社債等による資金調達を行う可能性があります。将来的な金利上昇局面においては、資金調達における利息負担の増加により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 株式保有リスク

 当社グループは、金融機関及び取引先の株式を保有しているため、株式相場の大幅な下落、又は株式保有先の財政状態の悪化や倒産等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 事業活動に関するリスク

① 生産拠点を特定の地域へ依存するリスク

 当社グループの取扱製品は、全て海外拠点において生産しております。現在、中国を主力に、ミャンマー、バングラデシュ及びベトナムに加え、平成30年5月にインドネシアに新会社を設立する等、海外生産拠点の分散化を推進しておりますが、アジア地域に生産拠点が集中しております。当該国における政治的または社会的混乱、法規則等の変更、現地マネジメントやスタッフの雇用や育成が円滑に進行しない場合等、何らかの要因により生産活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

② 品質に関するリスク

 当社グループは、顧客の要求に基づいた品質管理基準に従って各種製品を生産しておりますが、当社グループ又は取引先に起因する予測しえない品質トラブルや製造物責任に係る事故が発生し、信用の低下や多額の費用負担が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 納期リスク

 当社グループは、納入期限内に製品を生産及び出荷する責任を負っておりますが、原材料の調達遅延、海外での情勢不安定(例えば、テロ、ストライキ、大規模災害、規制変更、不安定なインフラ等)による物流の滞留、工場の稼働率低下等により、納期に影響を与える可能性があります。得意先に対する納期を守れなかった場合、信用の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 特定の取引先への依存リスク

 当社グループの主要販売先は本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 に記載のとおりとなっております。特に、株式会社ユニクロをはじめとする株式会社ファーストリテイリンググループ向け製品に対する販売割合が高く、平成30年3月期連結売上高のうち、同グループへの直接販売が概ね3割、東レグループ等を通じた間接販売が概ね4割を占めております。

 現在のところ、新規顧客拡大を目的とする欧米SPA向けの生産増強や販売強化も進めておりますが、主要販売先グループの生産戦略等に重要な変更が生じた場合や受注動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

⑤ 人材に係るリスク

 当社グループは、グローバルでの事業展開の加速に伴い、法人間をまたがる人事交流や複数の国籍の従業員が協働する機会が増加しております。これにより、文化、慣習や処遇の差異による労務トラブルが発生する可能性があります。また、事業のグローバル化が加速する中で、経営の現地化を進める必要がありますが、優秀な幹部候補人材を十分に確保できない可能性があります。なお、海外工場において、多数の従業員を雇用しています

が、従業員の賃金も上昇していくことが想定されます。これらの事象が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 特定人物への依存に係るリスク

 当社の代表取締役社長CEOである松岡典之は、アパレルOEM事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉、利益計画の策定及び推進等、会社運営の全てにおいて重要な役割を果たしております。当社は、今後の業容及び人員拡大も視野に入れ、経営管理組織の強化を図っており、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの事情により、同人が当社から離職した場合、又は十分な業務執行が困難となった場合には、当社グループの事業展開並びに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 競合に係るリスク

 当社グループは、アパレルメーカー等からの発注を受け、衣料品の受託製造(OEM)を行っております。この事業領域における主要プレイヤーは、中国、香港、韓国及び台湾系の企業が台頭しており、労働力が豊富な国・地域に生産拠点を展開し、量・質ともに多様な顧客の要望に対応できる体制を保持しております。

 当社グループも豊富な労働力が確保できるミャンマーやバングラデシュ、ベトナム、インドネシアに進出し、価格競争力と中国で培った質の高い縫製技術を有しておりますが、生産拠点の最適化の遅れや価格、品質、納期期間において当社グループが競合他社に対し優位性を確保できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑧ 減損損失に係るリスク

 当社グループは、中国をはじめ、ミャンマー、バングラデシュ及びベトナム等アジア各国・地域に生産設備を有している他、平成30年5月にインドネシアに新会社を設立しております。当社グループでは、これらの国・地域に限らず事業拡大・生産拠点の最適化に努めておりますが、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 取引先に関する信用リスク

 当社グループは、取引先の経営状況並びに信用度を定期的に確認する内部体制を構築しておりますが、取引先の信用不安による貸倒れや予期せぬ経営破綻等により、損失が発生するおそれがあるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 外注委託先に関するリスク

 当社グループは、グループ内にて生産を行いつつ生産量の変化への対応と多様な生産技術を効率よく獲得するため、外注工場を活用しております。外注工場の品質管理、生産管理、環境管理体制の評価・指導を行い、相互の信頼関係の醸成に努めておりますが、外注委託先の倒産や事業撤退等により供給が停止した場合は生産に問題が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 合弁に関するリスク

 当社グループは事業戦略によっては他社グループとの合弁事業を行っております。

合弁相手先との関係については、今後も互恵平等の関係を継続する方針です。

 しかし、合弁相手先の経済的状況や事業展開に関する方針の変更があった場合、あるいは、種々の要因により、合弁事業が期待通りの成果を生まない可能性や、継続が困難となる可能性があります。

 このような事態に至った場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ M&A、戦略的事業提携に関するリスク

 当社グループは、より高度な付加価値サービスの提供や海外での製造拠点の拡充を図るために、事業戦略の一環として同業他社に対するM&Aや戦略的事業提携を行うことが事業基盤の強化と補強に繋がるものと考えております。M&Aや事業提携の案件につきましては、事前に十分な検討やデューデリジェンスを行い各種リスクの低減に努める方針でありますが、事前に想定されなかった事象が発生した場合、またはM&Aや事業提携に見合

う効果が創出されなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑬ 設備投資効果に関するリスク

 当社グループは、本書「第一部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載の通り、子会社工場の設備投資を計画しております。

 工場建築や建替にあたっては、現地行政からの許認可、インフラの整備及び新規工員の採用等が前提となるため、仮にこれらが順調に進まない場合、設備投資スケジュールが遅延する可能性があります。また、新工場稼働直後は、生産ラインの調整、機械の試運転及び工員の訓練等が必要になることから、一時的に生産効率が低下します。当社としては、スケジュール通りに設備投資を進め、工場完成後も速やかに、設備能力を最大限に発揮できるよう工場運営に努めてまいりますが、これらが順調に進まない場合、更なる利益率の悪化及び減損の計上等によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 資金調達の財務制限条項に係るリスク

 当社グループの借入金にかかる金融機関との契約には、財務制限条項が付されているものがあります。当該財務制限条項に抵触した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

② 情報に関するリスク

 当社グループでは、事業経営に関わる多岐に亘る重要機密情報を有しております。その管理を徹底するため、情報管理に関する規程等を整備し、従業員に対する教育を通じた情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策を行う体制を整えております。しかし、外部からのハッキングなど不測の事態による情報漏洩により、当社グループの信用失墜による売上高の減少または損害賠償による費用の発生等が起こることも考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 内部管理体制に関するリスク

 当社グループでは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内、海外の法令・ルールの遵守及び企業倫理に沿った企業活動が行われているかについて、コンプライアンス規程やリスク管理規程等の内部管理体制に関する規程類を整備するとともに、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等、不測の事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 自然災害のリスク

 地震、風水害等の自然災害により社屋、事務所、設備及び従業員等とその家族及び取引先等に被害が発生し、当社グループに直接的または間接的な影響を与える可能性があります。リスク管理規程の策定、従業員の緊急連絡体制の整備等の対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 訴訟に関わるリスク

 当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、国内外の広範な事業活動を展開する中で、当社グループ各社の法令等に対する違反の有無に関わらず訴訟の提起を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米国においては、賃金の伸び悩みはあったものの、雇用の拡大により個人消費が増加し、設備投資も堅調に増加しました。欧州では、英国の欧州連合(EU)離脱問題を抱えながらも内需を中心に緩やかに景気が回復し、雇用情勢が堅調で、失業率が低水準に推移しました。中国においては、消費が伸び悩んだものの、輸出が増加し、政府の財政出動による投資拡大と製造業への波及効果により経済成長が持続しました。

わが国経済では、海外経済の持ち直しによる輸出の増加等により生産が増加し、失業率が低水準に推移しました。また、人手不足感が強まる中、省力化等の設備投資が増加し、個人消費も底堅く推移して内需にも回復が見られましたが、賃金の上昇にまでは波及せず緩やかな景気回復に留まりました。

当社グループの主要な取引先であるアパレル業界におきましては、個人消費が底堅く推移しておりますが、所得に対する不透明感から消費者は低価格志向・選別消費の傾向が続いております。国内市場の拡大が望めない中で業界各企業の損益の好調不調の波が鮮明であり、全般としては厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社グループでは顧客の個別のニーズの把握に努め、売上高につきましては特定の大手SPA等向け、インナーウェアや生地加工、その他国内販売等が全体的に堅調に推移しました。

 

当社グループが展開する国ごとの生産状況は以下のとおりであります。

(中国)

特定の大手SPA等への販売が順調で生産が増加しました。また、撥水性に優れた生地等の特殊加工の需要が高まり、生地加工も増加しました。

(バングラデシュ)

インナーウェアの生産が堅調に推移しました。ワーキングウェア等のオーダーも前期並みに推移し生産が順調に進みました。

(ミャンマー)

カジュアルウェアやワーキングウェアの生産が進み、ファン式作業服や白衣の生産も順調でした。

(ベトナム)

フート工場(PHU THO MATSUOKA CO.,LTD)の第1期工場が通年稼働し、生産が増加しました。また、平成29年5月に同社の第2期工場の完成、平成29年7月にはJDTベトナム工場(JDT VIETNAM CO.,LTD)が完成した他、平成29年8月にはVINA BIRZ CO.,LTDを子会社化して生産拠点の拡大に努めました。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は578億30百万円(前期比11.7%増)、中国の人件費の増加に伴う加工費の上昇や新工場稼働に伴う費用の発生、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は37億76百万円(同8.4%減)、経常利益は為替差損の計上等により35億25百万円(同13.4%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益として固定資産売却益等の計上、特別損失として減損損失及び特別退職金等を計上したことにより21億75百万円(同14.8%減)となりました。

 

総資産は、前連結会計年度末に比べて74億27百万円増加し、431億19百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べて15億70百万円増加し、218億26百万円となり、純資産は前連結会計年度末に比べて58億56百万円増加し、212億92百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー8億98百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フロー20億90百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フロー24億1百万円の増加となった結果、前連結会計年度末に比べて11億69百万円増加し、84億87百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは8億98百万円の増加となりました。主な要因としては、たな卸資産の増加21億52百万円、売上債権の増加20億56百万円、法人税等の支払10億78百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益34億32百万円の計上、仕入債務の増加11億35百万円、減価償却費9億96百万円等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは20億90百万円の減少となりました。主な要因としては、有形固定資産の取得による支出22億92百万円等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは24億1百万円の増加となりました。主な要因としては、長期借入金の返済による支出19億15百万円等があったものの、上場に伴う自己株式の売却による収入28億73百万円、短期借入金の純増額10億32百万円等があったことによるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループは、アパレルOEM事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

アパレルOEM事業

52,232

122.1

合計

52,232

122.1

 

 (注)1.金額は、製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

当社グループは、アパレルOEM事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

アパレルOEM事業

60,542

25,216

112.1

合計

60,542

25,216

112.1

 

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社は当連結会計年度より受注高の集計を開始しておりますので、受注高の前期比は記載しておりません。

 

c.販売実績

生産国別の販売実績は次のとおりであります。

国名

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)

販売高(百万円)

前期比(%)

中国

38,736

101.9

バングラデシュ

13,244

132.3

ベトナム

2,981

302.8

ミャンマー

2,849

104.1

その他

18

89.1

合計

57,830

111.7

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東レインターナショナル株式会社

13,357

25.8

14,131

24.4

Toray Industries(H.K.)Ltd.

8,185

15.8

11,336

19.6

株式会社ユニクロ

10,425

20.1

8,979

15.5

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、特定の大手SPA向け、インナーウェアや生地加工その他国内販売等が全体的に堅調に推移したことにより、前連結会計年度に比べて60億71百万円増加の578億30百万円(前期比11.7%増)となりました。また、為替レートが前期より円安に推移し、海外での売上高が前期より円安の為替レートで換算されて円ベースでは増加したことも要因の一つに挙げられます。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べて59億42百万円増加の499億37百万円(同13.5%増)となりました。売上高の増加の他、中国の人件費の増加に伴う加工賃の上昇や新工場稼働に伴う先行費用の発生により売上原価が増加しました。また、当社グループは生産を海外で行っているため、前期より円安の為替レートで換算されたことにより、円ベースでの売上原価が増加したことも影響しております。この結果、売上総利益は78億93百万円(同1.7%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて4億75百万円増加の41億17百万円(同 13.1%増)となりました。これは主にベトナム子会社での工場新設に伴う費用や営業等に係る人件費等の増加による増加であります。 この結果、営業利益は37億76百万円(同8.4%減)となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べて2億70百万円増加の5億49百万円となりました。 これは主に受取報奨金2億50百万円等によるものです。 当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べて4億69百万円増加の8億円となりました。 これは主に為替差損が当期は4億57百万円(前期は為替差益1百万円)となったこと等によるものです。 この結果、経常利益は35億25百万円(同13.4%減)となりました。

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べて92百万円増加の97百万円となりました。 これは主に固定資産売却益84百万円等によるものです。 当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べて3億35百万円減少の1億90百万円となりました。 これは主に減損損失93百万円(前期は4億56百万円)等によるものです。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は21億75百万円(同14.8%減)となりました。

 

 

b.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて74億27百万円増加し、431億19百万円となりました。 主な要因としては、受取手形及び売掛金の増加23億87百万円、有形固定資産の増加15億6百万円、仕掛品の増加 13億70百万円、現金及び預金の増加10億81百万円、原材料及び貯蔵品の増加9億68百万円等があったことによるものです。

受取手形及び売掛金が増加したのは、納品がお客様の希望等により期末に多くなったことが挙げられます。また、仕掛品の増加や原材料及び貯蔵品の増加についてはビジネスの拡大や製品の納期に連動しております。納期はお客様の希望等に沿っており、仕掛品や原材料及び貯蔵品の期末金額は毎年変動いたします。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて15億70百万円増加し、218億26百万円となりました。主な要因としては、長期借入金の減少17億14百万円等があったものの、支払手形及び買掛金の増加15億38百万円、 短期借入金の増加11億60百万円、その他流動負債の増加5億9百万円等があったことによるものです。

支払手形及び買掛金が増加については、ビジネスの拡大や製品の納期に対応した資材調達の量に連動しております。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて58億56百万円増加し、212億92百万円となりました。 主な要因としては、上場等により資本剰余金の増加22億97百万円、資本金の増加3億30百万円及び自己株式の減少7億57百万円があったこと、ならびに親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加21億 74百万円等があったことによるものです。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析

内容につきましては本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローが前連結会計年度では44億16百万円増加したのに対して当連結会計年度では8億98百万円の増加に留まっていることにつきましては、ビジネスの拡大や製品の納期の関係によるたな卸資産が21億52百万円増加、納品がお客様の希望等により期末に多くなったこと等による売上債権の20億56百万円増加が要因であります。

 

(3) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善な経営戦略の立案、施策の実施に努めております。特に日本のアパレル市場は、人口減少及び少子高齢化による人口構成の構造的な変化の中、長期的には縮小傾向になると言われております。しかしながら、世界全体のアパレル市場の規模は増加しており、世界経済の発展、中間所得層の増加及び人口増加等を背景に今後も拡大が続くものと推測されています。

今後の当社グループを取り巻く事業環境は、世界規模で、より一層早いスピードで変化していくものと考えております。日々刻々と変化する事業環境に対し、将来起こるであろう様々な変化をビジネスチャンスと捉える柔軟な経営戦略の構築は当然のことであり、その中でも積極的な新規投資による生産キャパシティの更なる増強を通してグローバルな工場展開及び最適地化を図ることを最優先課題として取り組んでおります。

当社グループは、特定取引先への依存度が相当に高い事業構造となっております。生産キャパシティの拡大は、特定取引先との関係をより強固にすると同時に、特定取引先以外の販路拡大と新たな市場開拓に繋がるものと考えており、安定的生産体制の持続と生産キャパシティの増強を継続的に行い、更なる事業活動の展開に取り組んでまいります。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資本需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は86億44百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は84億87百万円となっております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。