第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

      文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

   (1)経営指針等

 (経営指針)

ビジョン(Vision)

あらゆる服づくりの舞台裏に私たちがいる

ミッション(Mission)

新たな道を切り拓き、未来を紡ぐ

原点(Values)

お客様の全てのニーズに応える

 

 

 (行動基準)

・ 事実を確認せよ(情報に惑わされるな 現物・現場・現実主義)

・ 決め打ちするな、選択肢を示せ

・ すぐに断らず、諦めず、できる方法を考え抜け

・ 間違ってもよい、すぐに報告し改善せよ

・ 問題は起きる、原因を究明し再発を防げ

・ 情報を閉じ込めるな、早く広く共有せよ

・ 人とは違う発想で、新しい目標にチャレンジせよ

 

当社グループでは、2021年5月14日に、2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画「ビジョン2025」を策定いたしました。この中期経営計画では、新ビジョンとして「あらゆる服づくりの舞台裏に私たちがいる」を掲げ、縫製、加工から製品企画まで一貫して関わりながら、お客様が求める素材や新商品を提案できる組織を目指しております。

当社グループの縫製メーカーとしての経験、ネットワーク、強みを活かし、目まぐるしく変化し不確実性の高い外部環境のなかでも、積極的な投資とさまざまな変革を推進し、お客さまの全てのニーズにお応えしてまいります。

 

   (2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上の課題

当連結会計年度において、当社グループの主要取引先であるアパレル業界は、コロナ禍の影響を大きく受け、消費マインドの低下と需要の低迷が長期化し、店舗を通常どおり営業できずに苦戦を強いられました。また、世界的なコンテナ不足等により国際物流の混乱とサプライチェーンの寸断が生じ、計画通りにものを運べない状況が常態化しました。加えて、ミャンマーでの政変、ロシアによるウクライナ侵攻といった地政学的リスクも顕在化し、生産地の見直しや代替え地での生産を検討する顧客が増える傾向にありました。繰り返されるコロナ感染再拡大や地政学的リスクの顕在化等により、生産地においては、縫製工場いわゆる「つくり場」が減少し、国際物流の停滞も長期化するなか「欲しいときに欲しいものを欲しい量、調達したい」という顧客のニーズに対応できる生産背景が必要とされています。

このような環境認識のもと、当社グループが優先的に取り組む課題は以下のとおりです。

 ・さまざまな環境変化へ適応し、顧客ニーズに対応できる生産体制の構築

 ・回復が見込まれるアパレル需要をカバーし得る生産能力の拡大とサプライチェーンの多元化、

 強靭化

      ・当社の強み、優位性を活かした既存顧客への企画提案強化、新規顧客開拓の注力ならびに

        新素材開発と新たな商品開発への取り組み推進

 

    (3)経営戦略等

当社グループが2021年5月に策定しました中期経営計画「ビジョン2025」では、2021年度から2025年度の計画期間のうち、2021年度から2022年度の2年間をウィズコロナに対応し、次のステップアップのための準備期間とする第1期、2023年度からの3年間をアフターコロナにおける成長再加速をめざす第2期と位置づけております。

2022年度は引き続き第2期につながる基礎固めの年として、しっかりとした経営基盤づくりに取り組んでまいります。

 

目標

  2025年度 売上高700億円、経常利益35億円

 

基本戦略と重点取り組み

 サプライチェーンの更なる多元化推進と、「良質なものづくり」の一層の強化

顧客が欲しいときに欲しいものを欲しい量お届けするための柔軟で強靭なサプライチェーンを整備する。また、ASEAN諸国等を中心とした多拠点展開で、コスト競争力の強化と地政学的リスクの低減を両立させる。データ経営の実践 (ICT戦略)及び新人事制度とグローバル人事データベースを軸にしたグローバルに活躍できる人材の採用と育成を進める (人材戦略)。

 新素材開発及び新たな製品開発への取組推進

   新素材開発

透湿・防水・撥水加工技術を活かした機能性素材を顧客に積極提案すると共にアウトドア素材、医療品向け、自動車関連素材等、新たな領域を含めた開発を進める。また、これらの素材と縫製事業のシナジー効果を生むビジネスモデルの構築をめざす。

新たな製品開発

顧客のニーズに対して積極的に協働し、新たな商品企画に取り組む。

  主力OEM事業における営業力の強化

    既存顧客との取り組み深耕

各工場の特徴を踏まえた得意アイテムと生産能力を整理し、顧客に対して見える化を図り、既存顧客と中長期の協働体制を確立する。

新規顧客開拓

成長の見込める新セグメントへの進出、ミドル~ハイエンド顧客への中長期の協働体制の提案、米国・欧州の顧客の開拓を行う。

 

また、これまで当社グループでは「CSRへの取り組み」として、社会的責任を果たす活動を経営に取り込んでまいりましたが、持続可能な社会の実現に向けた課題解決に対する企業責任への要請の高まりを受け、TCFDを基本的な枠組みとした気候変動対策に関する取り組みに着手する等、新たにESGやSDGsを視野に入れたサステナビリティを推進してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特に重要なリスク

① 感染症拡大に関するリスク

 この度の新型コロナウイルス感染症のように、世界的に感染が拡大した場合、各国での外出制限による店舗休業や、消費マインドの低下から、世界的にアパレル製品への需要が急減することが想定されます。また、工場進出先の現地政府によるさまざまな規制や、従業員の感染等により工場の操業停止を余儀なくされる可能性があります。さらには、移動制限による物流の滞留や途絶により、生産に必要な生地等の資材調達や製品の納品が困難になる可能性や原材料価格の高騰によるコスト高になる可能性があります。

 当社グループでは、自社のグローバルネットワークを活かして、工場間での生産調整や代替生産を行い、リスク分散を図る体制を整えると共に日々コスト削減に努めておりますが、想定を超える範囲での感染拡大やその影響が長期化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 生産拠点を特定の地域へ依存するリスク

 当社グループの取扱製品は、全て海外拠点において生産しております。現在、中国、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナム及びインドネシアの5か国に生産拠点を有しているものの、中国を主力に生産を行っています。

 当社グループでは、中国以外のASEAN諸国等での海外生産拠点の強化に努め、生産地の最適化を図っておりますが、当該国における政治的または社会的混乱、法規則等の変更、現地マネジメントやスタッフの雇用や育成が円滑に進行しない場合等、何らかの要因により生産活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、今後はアジア地域以外への地域の進出を見据えて更なるグローバルな生産体制の確立に努め、生産地の最適化を図ってまいります。

 

(2) 経済環境に関するリスク

① 業界環境の変化等に伴うリスク

 当社グループが取り扱う衣料品は、ファッショントレンドの変化による影響、景気動向が消費意欲に与える影響及び他社との競合による販売価格の抑制等を受けやすい傾向にあります。

 このような状況下において、当社グループでは、納期、価格及び品質等において、顧客のニーズに応えられるよう努めておりますが、さらなる競争の激化や、トレンドの変化に対して、顧客のニーズを適切に捉えられない場合、受注量が減少する結果、売上が減少したり、利益率が悪化することなどにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 為替に関するリスク

 当社グループは、各地域における現地通貨建の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しており、円換算時の為替レートの変動により、円換算後の金額に影響を与える可能性があります。また、決済の一部を米ドルで行っていることから、急激な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 なお、主要販売先等との間で決済レートを一定期間固定する契約を締結し、当社グループの為替変動リスクをヘッジしておりますが、今後、何らかの事情により当契約が見直された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

③ 金利の変動に係るリスク

 当社グループは、必要資金の一部を借入金などにより調達していますが、将来的な資金需要に応じて今後も金融機関からの借入や社債等による資金調達を行う可能性があります。

 当社グループでは、資金使途等を勘案しながら資金の調達を抑制する方針ではありますが、将来的な金利上昇局面においては、資金調達における利息負担の増加により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) 事業活動に関するリスク

① 品質に関するリスク

 当社グループは、顧客の要求に基づいた品質管理基準に従って各種製品を生産しておりますが、当社グループ又は取引先に起因する予測しえない品質トラブルや製造物責任に係る事故が発生し、信用の低下や多額の費用負担が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 納期リスク

 当社グループは、納入期限内に製品を生産及び出荷する責任を負っておりますが、原材料の調達遅延、海外での情勢不安定(例えば、テロ、ストライキ、大規模災害、規制変更、不安定なインフラ等)による物流の滞留、工場の稼働率低下等により、納期に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、状況に応じた最適な輸送手段をもって納期を厳守すべく、最善の物流体制維持に努めておりますが、得意先に対する納期を守れなかった場合、信用の低下などにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 特定の取引先への依存リスク

 当社グループの主要販売先は本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 に記載のとおりとなっております。特に、株式会社ユニクロをはじめとする株式会社ファーストリテイリンググループ向け製品に対する販売割合が高く、2022年3月期連結売上高のうち、同グループへの直接販売が概ね3割、東レグループ等を通じた間接販売が概ね4割を占めております。

 現在のところ、新規顧客拡大を目的とする生産増強や販売強化も進めておりますが、主要販売先グループの生産戦略等に重要な変更が生じた場合や受注動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

④ 人材に係るリスク

 当社グループは、グローバルでの事業展開の加速に伴い、法人間をまたがる人事交流や複数の国籍の従業員が協働する機会が増加しております。これにより、文化、慣習や処遇の差異による労務トラブルが発生する可能性があります。また、事業のグローバル化が加速する中で、経営の現地化を進める必要がありますが、優秀な幹部候補人材を十分に確保できない可能性があります。さらには海外工場において、多数の従業員を雇用していますが、従業員の賃金も上昇していくことが想定されます。

 当社グループでは、日頃からの綿密なコミュニケーションと情報共有により労務面でのトラブルを回避し、適材適所による人材配置や人材教育を通じて優秀な幹部候補人材を確保し、人件費の上昇に対しては生産性の向上等に努めておりますが、何らかの事情により、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑤ 特定人物への依存に係るリスク

 当社の代表取締役社長である松岡典之は、アパレルOEM事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉、利益計画の策定及び推進等、会社運営の全てにおいて重要な役割を果たしております。

 当社は、今後の業容及び人員拡大も視野に入れ、経営管理組織の強化を図っており、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの事情により、同人が当社から離職した場合、又は十分な業務執行が困難となった場合には、当社グループの事業展開並びに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 競合に係るリスク

 当社グループは、アパレルメーカー等からの発注を受け、衣料品の受託製造(OEM)を行っております。この事業領域における主要プレイヤーとして、中国、香港、韓国及び台湾系の企業が台頭しており、労働力が豊富な国・地域に生産拠点を展開し、量・質ともに多様な顧客の要望に対応できる体制を保持しております。

 当社グループも豊富な労働力が確保できるミャンマーやバングラデシュ、ベトナム、インドネシアに進出し、価格競争力と中国で培った質の高い縫製技術を有しておりますが、生産拠点の最適化の遅れや価格、品質、納期期間において当社グループが競合他社に対し優位性を確保できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 減損損失に係るリスク

 当社グループは、中国をはじめ、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナム及びインドネシア等アジア各国・地域に生産設備を有しております。

 当社グループでは、これらの国・地域に限らず事業拡大・生産拠点の最適化に努めておりますが、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 取引先に関する信用リスク

 当社グループは、取引先の経営状況並びに信用度を定期的に確認する内部体制を構築しておりますが、取引先の信用不安による貸倒れや予期せぬ経営破綻等により、損失が発生するおそれがあるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 外注委託先に関するリスク

 当社グループは、グループ内にて生産を行いつつ生産量の変化への対応と多様な生産技術を効率よく獲得するため、外注工場を活用しております。

 当社グループでは、外注工場の品質管理、生産管理、環境管理体制の評価・指導を行い、相互の信頼関係の醸成に努めておりますが、外注委託先の倒産や事業撤退等により供給が停止した場合は生産に問題が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 合弁に関するリスク

 当社グループは事業戦略によっては他社グループとの合弁事業を行っております。

 合弁相手先との関係については、今後も互恵平等の関係を継続する方針でありますが、合弁相手先の経済的状況や事業展開に関する方針の変更があった場合、あるいは、種々の要因により、合弁事業が期待通りの成果を生まない可能性や、継続が困難となる可能性があります。このような事態に至った場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑪ M&A、戦略的事業提携に関するリスク

 当社グループは、より高度な付加価値サービスの提供や海外での製造拠点の拡充を図るために、事業戦略の一環として同業他社に対するM&Aや戦略的事業提携を行うことが事業基盤の強化と補強に繋がるものと考えております。

 当社グループでは、M&Aや事業提携の案件に対し、事前に十分な検討やデューデリジェンスを行い各種リスクの低減に努める方針でありますが、事前に想定されなかった事象が発生した場合、またはM&Aや事業提携に見合う効果が創出されなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑫ 設備投資効果に関するリスク

 工場建築や建替にあたっては、現地行政からの許認可、インフラの整備及び新規工員の採用等が前提となるため、仮にこれらが順調に進まない場合、設備投資スケジュールが遅延する可能性があります。また、新工場稼働直後は、生産ラインの調整、機械の試運転及び工員の訓練等が必要になることから、一時的に生産効率が低下します。

 当社グループとしては、スケジュール通りに設備投資を進め、工場完成後も速やかに、設備能力を最大限に発揮できるよう工場運営に努めてまいりますが、これらが順調に進まない場合、更なる利益率の悪化及び減損の計上等によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3) その他のリスク

① 資金調達の財務制限条項に係るリスク

 当社グループの借入金にかかる金融機関との契約には、財務制限条項が付されているものがあります。当該財務制限条項に抵触した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

② 情報に関するリスク

 当社グループでは、事業経営に関わる多岐に亘る重要機密情報を有しております。

 その管理を徹底するため、情報管理に関する規程等を整備し、従業員に対する教育を通じた情報管理の重要性の周知徹底、システム上のセキュリティ対策を行う体制を整えております。しかし、外部からのハッキングなど不測の事態による情報漏洩により、当社グループの信用失墜による売上高の減少または損害賠償による費用の発生等が起こることも考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ 内部管理体制に関するリスク

 当社グループでは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内、海外の法令・ルールの遵守及び企業倫理に沿った企業活動が行われているかについて、コンプライアンス規程やリスク管理規程等の内部管理体制に関する規程類を整備するとともに、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。

 しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等、不測の事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④ 自然災害・戦争等のリスク

 地震、風水害等の自然災害や戦争等により社屋、事務所、設備及び従業員等とその家族及び取引先等に被害が発生する等、当社グループに直接的または間接的な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、リスク管理規程の策定、従業員の緊急連絡体制の整備等の対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 訴訟に関わるリスク

 当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、国内外の広範な事業活動を展開する中で、当社グループ各社の法令等に対する違反の有無に関わらず訴訟の提起を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の概要

当連結会計年度における世界経済は、景気に持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症が再拡大するなか、原材料価格の高騰、世界的な物流混乱とそれに伴う資材供給の制約等、引き続き厳しい状況にありました。加えて、ウクライナ情勢による経済への影響も懸念され、先行きの不透明感は一層高まることとなりました。

わが国経済においては、設備投資や生産、輸出に回復の兆しが見えましたが、繰り返される変異株の出現により感染症収束は見通せず、本格的な経済の回復には至りませんでした。原材料価格の上昇に伴う企業収益や個人消費への影響が景気の下振れリスクとして顕在化し、依然として厳しい状況で推移しました。

このような状況の中、当社グループは、生産面においては、長期化する新型コロナウイルス感染拡大やミャンマーでの政変を受け、工場の一時的な操業制限や稼働停止によって工場稼働率の低下を余儀なくされました。厳しい状況が続きましたが、当社グループの強みの一つである幅広い生産拠点網を活かし、生産量の維持に努めました。コロナ禍や政変等の地政学的リスクから、生産地振替のニーズが高まっており、アイテムや納期、コスト等に合わせて、当社グループの生産拠点網から最適な選択肢を提供し、顧客ニーズに応えるよう注力いたしました。

受注及び販売については、個人消費の低迷からアパレル製品の需要低迷が続きましたが、一部アイテムの需要に回復が見られました。しかしながら、一部の工場での操業制限や国際物流混乱への対応から、その需要を十分な受注につなげられない時期もありました。

 

当社グループが展開する国ごとの生産状況は以下のとおりであります。

(中国)

2021年12月に宿遷茉織華服装有限公司を100%連結子会社(孫会社)化し、中国で増加する縫製需要の取り込みと工場運営の効率化を図る施策を推し進めました。2022年3月からのロックダウン以前は感染拡大が抑えられ、工場の操業度が維持されたことにより、ベトナムをはじめとするコロナ感染拡大で操業制限があった拠点からの振替生産に貢献しました。
(バングラデシュ)

生産体制強化のために子会社化したISHWARDI MATSUOKA BANGLADESH. LTD.第1期工場での生産も軌道に乗りました。既存工場も含めコロナ感染拡大の影響を最小限にとどめて操業を継続できたほか、積極的に設備導入を進め生産性向上に努めました。
(ベトナム)

AN NAM MATSUOKA GARMENT CO., LTD第2期工場が2022年1月に生産を開始し、ベトナムにおける生産基盤の強化に寄与しました。しかしながら、その他の工場も含め、コロナ禍による交代勤務や操業停止といった制約と正常化が繰り返されることで、操業度の低下を余儀なくされ、想定していた売上高の増加には至りませんでした。
(ミャンマー)

新型コロナウイルス感染拡大に加え、2021年2月に発生したクーデターによる政情不安の影響で従業員数が減少し、それに伴い生産量が低下しました。工場独自で積極的に営業活動を進める等、新たな受注の獲得に取り組みましたが、従業員数が回復し、本格的に生産量が復調するのは2023年3月期以降となる見込みです。
(インドネシア)
 PT. MATSUOKA INDUSTRIES INDONESIAにおいて、積極的な営業活動により、生産アイテムの見直しや集約を進める等、生産性向上のための対策が実を結びつつあります。本格的な業績の伸長には至りませんでしたが、継続的な取り組みにより、収益改善の兆しが見えました。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は510億56百万円前期比5.3%減)、営業利益は1億81百万円同96.0%減)となりました。また、経常利益は為替差益等の計上により10億37百万円同74.5%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は5億59百万円同79.8%減)となりました。

 

総資産は、前連結会計年度末に比べて88億77百万円増加し、518億79百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べて60億1百万円増加し、224億35百万円となり、純資産は前連結会計年度末に比べて28億75百万円増加し、294億44百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー8億21百万円の増加、投資活動によるキャッシュ・フロー28億11百万円の減少、財務活動によるキャッシュ・フロー31億49百万円の増加となった結果、前連結会計年度末に比べて23億54百万円増加し、152億5百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは8億21百万円の増加前期は66億48百万円の増加)となりました。主な要因としては、法人税等の支払額14億94百万円、棚卸資産の増加9億60百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益の計上11億39百万円、減価償却費の計上12億88百万円、売上債権の減少5億63百万円、仕入債務の増加4億60百万円等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは28億11百万円の減少前期は3億41百万円の減少)となりました。主な要因としては、固定資産の売却による収入1億82百万円等があったものの、有形固定資産の取得による支出25億22百万円等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは31億49百万円の増加前期は23億47百万円の減少)となりました。主な要因としては、長期借入金の返済による減少11億82百万円、配当金の支払による減少3億91百万円等があったものの、長期借入れによる収入28億13百万円、短期借入金の純増額19億39百万円等があったことによるものです。

 

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループは、アパレルOEM事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

アパレルOEM事業

47,977

108.0

合計

47,977

108.0

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

b.受注実績

当社グループは、アパレルOEM事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

アパレルOEM事業

57,890

107.7

21,223

147.5

合計

57,890

107.7

21,223

147.5

 

(注) 当連結会計年度において受注残高が著しく増加しております。主な理由は、新型コロナ感染拡大によって減少

     していたアパレル製品の需要が、一部のアイテムで回復基調になったこと等によるものであります。

 

c.販売実績

生産国別の販売実績は次のとおりであります。

国名

当連結会計年度

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

販売高(百万円)

前期比(%)

中国

25,357

82.8

バングラデシュ

14,199

131.1

ベトナム

7,930

102.2

ミャンマー

1,982

63.5

インドネシア

1,586

100.1

その他

合計

51,056

94.7

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東レインターナショナル株式会社

11,029

20.5

7,388

14.5

Toray Industries(H.K.)Ltd.

9,298

17.2

11,721

23.0

迅消(中国)商貿有限公司

8,248

16.2

株式会社ユニクロ

6,192

11.5

6,091

11.9

厚生労働省

5,948

11.0

 

2.迅消(中国)商貿有限公司の前連結会計年度における販売実績、及び厚生労働省の当連結会計年度における販売実績は、総販売実績に占める割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度も新型コロナウイルス感染症拡大が続き、一部のアイテムで需要の回復が見られたものの、全体としてアパレル製品の需要は低迷いたしました。また新型コロナウイルス感染症拡大によって、現地政府の指示による工場の操業制限や停止、国際物流の停滞等が発生し生産でも影響を受けました。

売上高につきましては、一部アパレル製品の需要回復等により既存アイテムの売上高が増加しましたが、前連結会計年度にあった日本政府からの緊急要請による布製マスクの売上高の剥落による影響が大きく、前連結会計年度に比べて28億72百万円減少510億56百万円前期比5.3%減)となりました。

生産国別の売上高では、前連結会計年度に一時期、現地政府からの指示で工場の操業停止を余儀なくされていたバングラデシュでの生産が、当連結会計年度では比較的順調に推移し、売上高が増加しました。一方、布製マスクの生産終了や2021年2月に発生したクーデターの影響で中国やミャンマーでの生産がそれぞれ減少いたしました。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は前連結会計年度に操業度の維持に貢献していた布製マスクの生産の剥落、国際物流の混乱への対応や円安による工場コスト増加等により、前連結会計年度に比べて12億45百万円増加462億84百万円同2.8%増となりました。粗利率も売上原価の増加の他、現地政府からの指示による工場の操業制限や停止等で生産性が低下し、前連結会計年度16.5%から当連結会計年度では9.3%へと7.2ポイント低下しました。この結果、売上総利益は47億71百万円同46.3%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、嘉興徳永紡織品有限公司の工場移転費用等の計上により、前連結会計年度に比べて2億64百万円増加45億90百万円同6.1%増)となりました。この結果、営業利益は1億81百万円同96.0%減)となりました。

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、為替レートが円安に推移したことにより為替差益5億50百万円を計上し、前連結会計年度に比べて6億38百万円増加10億4百万円となりました。連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に計上した持分法による投資損失4億80百万円の剥落等により前連結会計年度に比べて7億9百万円減少1億48百万円となりました。この結果、経常利益は10億37百万円同74.5%減)となりました。

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、中国での土地使用権及び建物売却に伴う固定資産売却益1億1百万円の計上があったものの、前連結会計年度に比べて5億71百万円減少しております。当連結会計年度の特別損失はなく、前連結会計年度に比べて6億81百万円減少いたしました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億59百万円同79.8%減)となりました。

 

 

b.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて88億77百万円増加し、518億79百万円となりました。 主な要因としては、有形固定資産の増加36億62百万円、現金及び預金の増加27億29百万円、棚卸資産の増加16億84百万円等があったことによるものです。

棚卸資産の増減については、商品及び製品の納期に連動しております。仕掛品や原材料及び貯蔵品の期末金額は毎年変動いたします。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて60億1百万円増加し、224億35百万円となりました。主な要因としては、一年内返済長期借入金の減少7億81百万円、未払法人税等の減少6億15百万円等があったものの、短期借入金の増加23億11百万円、長期借入金の増加21億10百万円、支払手形及び買掛金の増加19億73百万円等があったことによるものです。

長期借入金の増加については、主に子会社への投資を行うために金融機関より借入をしたものです。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて28億75百万円増加し、294億44百万円となりました。 主な要因としては、配当金の支払3億91百万円等があったものの、為替換算調整勘定の増加26億4百万円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加5億59百万円等があったことによるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

内容につきましては本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」のとおりであります。

 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの運転資本需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

当連結会計年度末において借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は96億10百万円、現金及び現金同等物の残高は152億5百万円となっております。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による事業活動に支障が生じるような資金繰りの悪化は発生しておりません。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営成績等に及ぼす影響については、連結財務諸表作成時点で入手可能な情報に基づき見積りを行っております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として会社別にグルーピングを行い、収益性が低下した資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。

 収益性の低下の評価において用いる将来キャッシュ・フローについては、各社及び各工場の事業計画等に基づき見積っていますが、経営環境の変化等により当初見込んでいた利益が得られなかった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

(3) 経営者の問題認識と今後の方針について

生産地における「つくり場」が減少したことや、国際物流の混乱により、生産地の見直しや代替え地での生産を検討する顧客が増えております。ものづくりが困難な時期だからこそ、顧客の求めるタイミングで良質な製品をお届けできる生産体制の整備が最重要な課題であるとの認識のもと、当社グループでは2022年3月期から引き続き、ベトナム・バングラデシュにおいて新しい生産拠点の建設を推進し、更なる生産能力拡大とサプライチェーンの多元化、強靭化に取り組んでまいります。新工場建設の計画を着実に推進し、第2期での成長再加速を下支えする生産体制の構築を進める所存であります。

新型コロナウイルス感染症の拡大が当社グループに与えるインパクトは依然大きく、世界的な物流の混乱により資材調達が遅延、停滞する等、どの工場でも生産への影響が懸念されます。一方で、各種規制の緩和、解除が進む等、経済活動が正常化に向かう環境も整いつつあり、今後、個人消費の持ち直しやアパレル需要の本格的な回復が期待されます。当社グループでは、それに対応し得る生産能力の拡大と、市場の変化や顧客ニーズを的確にとらえ、柔軟に対応する多元化、強靭化されたサプライチェーンの構築を進めてまいります。

また、当社グループの強みの一つであるグローバルな工場展開をベースに、国・拠点ごとの特性を活かし、アイテムやロット、納期等の顧客ニーズに最適な生産地を提案することにより営業力を強化し、同時に展示会等を通じて新規顧客へもその優位性を訴求してまいります。

素材開発を得意とするグループ子会社においては、これまでに培った生地加工技術や素材特性に関するノウハウを活かし、お客様の製品戦略に沿う潜在的なニーズを引き出し、それに見合った素材を積極的に提案あるいは開発することにより、新領域への製品展開を目指してまいります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。