第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は光学薄膜技術の限界にチャレンジすることを常にめざし、研究開発型企業として、グローバル市場での存在感を発揮してまいりました。今後も光学薄膜装置製造+成膜プロセスソリューションを一体で提供する企業として、研究開発を加速し、市場の求めるニーズを高度かつ迅速な技術的対応で答える事業スタイルを徹底して行きたいと考えます。

 

当社グループの成膜装置は、従来のスマートフォン中心の需要が市場の拡大とともに大きく変化しており、監視カメラ・IoT(自動車・半導体光学融合・生体認証・AR/VR)・AI・LEDといった様々な分野に応用されるようになってきております。

このような市場環境の中、スマートフォンではカメラの複眼化や高精度化、指認証・顔認証といった生体認証機能の高度化といった技術的進展が著しくあります。IoTの発展により家電製品のカメラ・センサの搭載や自動車の運転サポート技術や自動運転技術の向上によりカメラ・センサの搭載が進んでおります。AR/VR分野では医療現場における医療機器への応用、個人・家族向けにTVゲーム等の家電機器への応用、ビジネス面で生産現場・建設現場での生産工程表示や製造工程マニュアルの表示等、作業員の安全面を考慮した使用といったAR/VR機器を利用する機会・状況が増加しており、市場規模は拡大すると想定しております。このような環境の中、当社が認識している課題は以下のとおりであります。

 

(1) 研究開発機能の拡充

 当社・光馳科技(上海)有限公司・光馳科技股份有限公司(台湾)の3拠点に加えALD(注)設計に重点を置くAfly solution Oy(フィンランド)を加えた4拠点体制で研究開発を行い、他社にない優れた製品開発、生産技術向上に努めます。

 

(2) 各拠点独自の機能の発揮

 当社は本部及び日本拠点として、グループ全体の研究開発やマーケティングに関する統括・事業活動の推進を中心的に行っておりますが、今後は、グループ全体にさらなる機能発揮のため、市場動向を注視しながら各拠点が果たす役割につき確認を行い、市場変化に適切に対応していく指導力を発揮する必要があります。光馳科技(上海)有限公司は生産工場として中心的役割を果たしており、従来装置及び新型装置の生産品質向上、生産コスト削減のため、調達・品質管理面での強化と生産管理向上に一層取り組んでいく必要があります。光馳科技股份有限公司(台湾)につきましては、台湾企業が世界的にリードする半導体・電子部品等分野に注目し、当社光学薄膜装置の技術との融合により、新型装置の開発・販売体制構築が急務であります。

 

(3) 事業規模拡大への対応・投資

 当社は上場後1年余を経過し、当社グループの事業規模及び関連する事業活動分野は拡大しております。今後は、光学薄膜装置生産、プロセス開発の総合的な光学薄膜装置提供サービスを強化し、従来事業を伸長させていくとともに、M&Aや事業提携等の機会を探し、従来事業とのシナジーを得ながら事業拡大を目指す必要があります。また、新技術に注目した国内外での企業投資を活発化し、光学薄膜装置技術の新たな展開につながる技術ノウハウの取得や投資リターンの確保につなげていく必要があります。

 

(注)ALD(Atomic Layer Deposition : 原子層堆積法)とはフィンランドで開発された、真空を応用した成膜技術であり、原子の性質である自己制御性を利用して、一層ずつ原子を堆積させる成膜方法であります。PVD(物理蒸着)/CVD(化学蒸着)に比べ、極薄成膜が可能、低温成膜が可能、複雑な材料表面への成膜が可能等の強みがあります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.事業環境に由来するリスク

  (1) 顧客ニーズへの対応について

  デジタル家電、モバイル機器製造メーカー等の光学薄膜装置に対する要求は益々多様化しています。当社グループが、かかる顧客の要請に応えられなかったり、また、顧客の要請に応えたとしても、顧客と共同で製品設計及び開発を行ううえで、当社グループによる多大な経営資源を投入する場合もあります。従って、当社グループが顧客の要求水準に見合った製品を開発できなかった場合、又は適切なタイミングで効率的に顧客の要請に応えることができない場合、当社グループの市場占有率が低下し、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2) 顧客の設備投資の変動について

当社光学薄膜装置の主要な用途は、従来、スマートフォンが大きな比率を占めておりましたが、新たな市場拡大の流れが加速しております。監視カメラ・IoT(自動車・半導体光学融合・生体認証・AR/VR)・AI・LED等、様々な分野で光学薄膜機能の応用が進んでおります。このような状況で、各分野の最終製品のライフサイクルは短期化の傾向を強めており、顧客の設備投資の動向も短期で変動する傾向があります。光学薄膜装置に対する顧客の需要が、当社の想定よりも急激な増減を起こした場合、急激な需要増に対応し切れずに受注機会を逸したり、急激な需要減により受注獲得が困難になるあるいは受注のキャンセルが生じる可能性があり、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3) 販売代金の決済条件について

  当社グループは標準的な決済条件として受注時及び出荷時に販売代金の一部を回収する条件としておりますが、顧客によっては検収後に販売代金の全額を回収する条件となることもあります。従って、当該取引が増加した場合、当社グループの必要運転資金が増加し、資金繰りに影響した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (4) 原材料の仕入価格の影響について

  光学薄膜装置は部品数約2,000にも及ぶ部品組み立てが必要な製品です。さらに高い性能を発揮するために、部品を外部部品メーカーに特注する場合も多くあります。また装置性能を試験するために二酸化ケイ素等の高価な化合材料を蒸着に使用しております。従って、これら部品、化合材料の価格推移が装置原価に大きく影響します。

  他方で原材料価格は上昇傾向にあります。とりわけ真空部品メーカーは限られており、装置メーカーや類似する部品ニーズのある半導体メーカーが集中して部品を発注する場合、部品メーカーの売り手市場となり、価格高騰の原因となる可能性があります。当社グループは極力計画的な部品発注を行うとともに、協力部品メーカーとの関係深耕、新たな部品メーカーの発掘、育成に努力しております。しかしながら、さらに市場が拡大し、各メーカーによる装置生産が増大した場合、一層の部品価格上昇を招き、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (5) 国際情勢の影響について

  当社グループは今後の業績伸展には海外での事業展開が不可欠と考えております。このため、東アジアを生産、販売の拠点として、2000年12月に光馳科技(上海)有限公司、2013年9月に光馳科技股份有限公司(台湾)をそれぞれ設立いたしました。また、中国、台湾、韓国の企業と販売代理店契約を締結しております。

  このような当社グループの海外展開は業績伸展に不可欠と考えておりますが、昨今の国際情勢は、各国の国情を敏感に反映した複雑な状況になっており、政治的な背景が各国経済に影響を与える可能性があります。何らかの関連法規制の変更、紛争等が発生した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (6) 特定の地域情勢の影響について

 当社グループは、2018年12月期における地域別の連結売上高の87%を中国が占めております。近年、当社の顧客となる光学部品メーカー及び最終製品メーカーの多くが製造拠点を中国に集中していることに伴い、当社製品の納入先も顧客の製造拠点である中国となるケースが増加しているためです。また、当社グループは、主として光馳科技(上海)有限公司で生産を行っております。したがって、今後も当社にとって中国は重要な事業展開地域であり、今後中国の経済、政治、法律、社会情勢等に何らかの変化があった場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (7) 外国為替相場の変動について

  当社グループは円建て売上を基本方針としておりますが、大手スマートフォンメーカーや大手電子部品メーカー等を中心に米ドル建て取引が多くなっており、為替変動の影響を受けるようになってきております。今後外貨建てによる売上がさらに増えた場合、もしくは外貨建てによる費用支払いが増えた場合、外国為替相場の変動が当社グループの業績に大きく影響を与える可能性があります。当社グループは、為替変動リスクをヘッジするための方策を適宜活用していく方針でありますが、当社グループの想定を超える外国為替相場の変動があった場合等には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (8) 法的規制について

 当社グループ製品に使われる部品の一部が、大量破壊兵器輸出に関する規制(キャッチ・オール)の対象となっています。当社グループでは、取引先の事業や信用に関する調査を実施しており、上記規制のブラックリスト企業の情報を当局からも入手し、関連する省庁への届出や連携を適宜行うことで、上記規制に抵触しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、上記規制が変更された場合や、万が一に意図せず上記規制に抵触してしまった場合、そのための対応費用が生じる可能性があり、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (9) 環境法規制について

 当社グループは、環境理念及び行動指針を定め、環境問題に積極的に取り組んでおります。しかしながら、天災、人為的なミス等により環境汚染等に至るリスクが発生した場合や、関係法令の改正等により新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、コストの増加を招き、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.事業内容に由来するリスク

  (1) 売上計上について

  当社グループの製品は受注生産を行っております。個別装置により仕様は様々であり、生産ラインでの装置完成後、工場内検収を行い、完了した装置について、出荷、顧客工場での据付、再検収を行います。このプロセスが終了した時点で、検収書を顧客より受領し、納品が完了いたします。場合によってはこのプロセスで顧客からの性能に関する追加的な要望や検収までに装置の使用方法を納入先の従業員に教育することが求められる等の当社グループではコントロールしがたい追加的なプロセスに時間を要し、最終の検収期間が遅れる可能性があります。当社グループは、売上を顧客による製品検収後に計上するため、上記のような理由により、製品の納入又は検収が当初予定の時期よりも遅れた場合には、売上計上が遅れることになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2) 特定顧客への依存について

  当社グループは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の状況(ハ)販売実績」に記載のとおり、特定顧客への依存度が高い状況にあります。当社グループは、新規事業や新規得意先の開拓により特定の得意先に依存しない収益体制を構築すべく努めている他、今後においても従来の重要な得意先からの受注獲得に努め、良好な関係を維持していく方針であります。しかしながら今後も依存度の高い顧客から継続的な受注を得られる保証は無く、何らかの理由により顧客との関係に変化が生じた場合や、既に受注した案件についてキャンセルが生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

  (3) 特定技術への依存について

  当社グループの製品はイオンビームアシスト蒸着方式(IAD)、スパッタリング方式による成膜装置であり、コスト、時間、品質を総合的に勘案して、最良の方式を顧客に提案しております。ただし、技術開発の方法や顧客の要求内容によっては、他社が当社グループの用いる成膜方法より優れた方法を提供できる可能性があります。当社グループとしましては、既存製品についてより競争力を持たせるために改良開発を加速化するとともに、他の技術を用いた成膜方法にも注目し、研究開発を展開するようにしております。しかしながら、加工対象物である最終製品に使われる光学部品の形状、材質が今後大きく変化したり、格段の技術的進歩があり当社グループの技術が陳腐化した場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (4) 専門性の高い技術力に見合う人材の確保について

  当社グループが事業拡大を進めていくためには、物理学、電気工学等の専門スキルの高い優秀な人材を確保することが重要であると考えております。しかしながら、これらの人材の獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保することができない可能性があります。

  当社グループでは、優秀な人材の採用については最重要の課題として積極的に取り組んでおりますが、優秀な人材を十分かつ適時に確保できなかった場合及び社内の有能な人材が流出してしまった場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (5) 特許・知的財産権の制約について

  当社グループは、国内外において特許を保有し、積極的に新規権利獲得に努めています。しかしながら、特許の登録を受けられるとは限らず、また特許を獲得しても将来において知的財産権を充分に保護できない可能性もあります。当社グループでは、製品等の開発、製造、使用及び販売、その他事業活動によって、第三者の特許・知的財産権、その他の権利を侵害しないよう、あらかじめ調査を行い、かつ継続的に他社特許出願・許諾状況をモニターしておりますが、第三者の特許・知的財産権を侵害し紛争となる可能性は否定できません。これらの知的財産に関する問題が発生した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (6) 生産拠点の集中について

  当社グループは主として光馳科技(上海)有限公司で生産を行っており、2014年2月から光馳科技股份有限公司(台湾)でも生産を始めました。両拠点での生産を始めたことにより、生産コスト、部品品質の両面で最善の成果を上げることが出来ると考えておりますが、今後、中国における雇用環境の変化により、外注も含めた人員確保や育成が計画通りに進まなかった場合や、労働条件に係る諸規制に変更が生じた場合、現地での労働争議の発生、自然災害、政治的状況の変化による生産への制約等の外的要因が生じた場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (7) 光学薄膜装置の開発及び製造に関するリスクについて

 光学薄膜装置の設計及び製造過程は極めて複雑であり、顧客の規格に合わない製品や、欠陥を含む製品又は欠陥を含むと顧客が認識する製品、あるいは顧客が対象とするエンドユーザーの規格に適合しない製品が製造される可能性があります。当社グループでは品質管理部門の強化により、常時綿密な品質チェックを行う体制を確保するとともに、外部業者からの部品入手時の受け入れ品質検査、装置生産時の工場品質管理及び装置出荷時の最終品質チェックを十分に行っておりますが、これらの作業の対応には多額の費用(人件費や在庫の評価減を含む)を要することもあります。当社グループの製品の出荷後に、顧客の規格との不一致、不適合又は欠陥等の問題が生じた場合には、当社グループは、製品の交換又は顧客への補償にかかる債務を負うこととなる場合があるだけでなく、重要な顧客との関係や業界における評判が長期にわたって損なわれる可能性がある他、顧客や部品の仕入先である外部業者との間で訴訟が発生し、多額の訴訟対応費用が生じる可能性があります。これらはいずれも、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (8) 製造物責任について

 当社グループが提供する製品は、厳しい品質管理のもとに設計・製造されておりますが、当社グループ製品の使用により万一顧客に深刻な損失をもたらした場合には損失に対する責任を問われる可能性があります。さらに、これらの問題による当社グループの企業イメージの低下は、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

  (9) 価格競争の激化について

  光学薄膜装置業界は日本国内メーカーに加え中国、韓国、ヨーロッパ等にメーカーが多数存在しており、激しい競争の状況にあります。当社グループは、高機能の成膜装置を提供し続けることを目指し、販売を拡大させていますが、今後の技術開発競争及び価格競争等により競争がさらに激化した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (10)新規事業について

 当社グループは事業拡大のためにM&Aや出資により新規事業への展開を行う可能性がありますが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため、当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、これらの事業が必ずしも当社グループの計画どおりに推移する保証はなく、その場合には当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.その他のリスク

  (1) その他の関係会社である浙江水晶光電科技股份有限公司との関係について

 同社は、本書提出日現在において、当社株式の議決権の被所有割合の17.6%を保有しております。

 当社と同社の間には、成膜装置の販売に関する営業取引があり、社外取締役1名を招聘しておりますが、従業員の派遣出向及び受入出向並びに営業外取引は発生しておりません。また、当社の事業戦略、人事政策及び資本政策等について何ら制約等も受けておりません。

 当社と同社との2018年12月期の取引状況は次のとおりであります。

種類

会社等の名称又は氏名

所在地

資本金又は出資金

事業の内容又は職業

議決権等の所有(被所有)割合

(%)

関連当事者との関係

取引の内容

取引金額

(千円)

科目

期末残高

(千円)

その他の

関係会社

浙江水晶光電科技股份有限公司

中国

浙江省

千人民元

862,820

光学部品製造販売

(被所有)

直接 17.6

当社製品の販売

役員の兼任

当社製品の販売

925,773

前受金

984,600

取引条件及び取引条件の決定方針等

 製品の販売については、一般の取引条件と同様に決定しております。

 

  2017年8月に当社と浙江水晶光電科技股份有限公司は、共同出資により浙江晶馳光電科技有限公司を設立いたしましたが、当該合弁会社の生産する成膜製品と同一の成膜生産活動に関与すること以外は、当社グループの装置生産・販売、成膜事業展開に制約はないと認識しております。

 なお、当社と同社は、今後も友好的な資本関係を維持していくと見込んでおりますが、将来において何らかの要因により、同社が経営方針や営業戦略等(当社株式の保有方針等を含む)を変更した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2) 災害に関するリスク

 当社グループでは、地震、台風等の自然災害による操業停止をせざるを得ない様な事態の発生に備え、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害の未然防止、早期復旧、取引先との連携等を実施しております。しかしながら、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損などによる生産の中断等が生じた場合、顧客への製品供給が遅れること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資等を中心に緩やかに成長し、世界経済全体でも同様に総じて拡大基調となりました。ただし、米中貿易摩擦問題や中国経済の減速、また英国のEU離脱問題等、世界経済の先行に不安定材料が生じており、楽観できない状況となっております。

 このような状況の下、弊社関連の成膜装置市場では、当期に関しては、前年から続いた北米・東アジアを中心にした設備投資に関連した売上が堅調に推移いたしました。スマートフォン向け成膜装置では、生体認証・筐体バックガラス加飾膜・カメラ複眼化等の成膜ニーズが生じており、カメラレンズ向け成膜装置では、一眼レフカメラ・監視カメラ用装置の販売も好調に推移し、IoT分野の車載カメラ、センサ、インストルメントパネル等の自動車向け成膜装置や指紋・顔等を認識する生体認証向け成膜装置やLED関連装置も堅調に推移いたしました。

 他方、薄膜加工サービスを提供する持分法適用会社である東海光電股份有限公司は成膜市場の変化を勘案し、解散及び清算することとし、清算関連費用219百万円を特別損失に計上いたしました。

 その結果、売上高は44,763百万円(前年同期比34.1%増)、営業利益は10,690百万円(前年同期比45.9%増)、経常利益は10,992百万円(前年同期比54.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,745百万円(前年同期比60.9%増)となりました

 

 ② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、49,567百万円と前連結会計年度末と比べ2,688百万円の減少となりました。減少した要因は、現金及び預金や原材料及び貯蔵品が減少したことなどによるものです。

 固定資産は、6,329百万円と前連結会計年度末と比べ2,159百万円の増加となりました。増加した要因は、出資金が増加したことなどによるものです。

(負債)

 流動負債は、25,935百万円と前連結会計年度末と比べ6,103百万円の減少となりました。減少した要因は、短期借入金や支払手形及び買掛金が減少したことなどによるものです。

 固定負債は、1,898百万円と前連結会計年度末と比べ118百万円の増加となりました。増加した要因は、繰延税金負債が増加したことなどによるものです。

(純資産)

 純資産は、28,062百万円と前連結会計年度末と比べ5,455百万円の増加となりました。増加した要因は、利益剰余金が増加したことなどによるものです。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、15,740百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,153百万円の減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益10,748百万円や前受金の増加8,851百万円などの収入はあったものの、仕入債務の減少5,018百万円や売上債権の増加4,098百万円などの支出により、9,572百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、出資金の払込による支出1,569百万円などにより、2,964百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減少8,400百万円、配当金の支払額1,632百万円などにより、10,053百万円の支出となりました。

④ 生産、受注及び販売の状況

 (イ)生産実績

 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

成膜装置事業

28,548,421

98.4

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (ロ)受注実績

 当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

成膜装置事業

39,820,974

75.8

39,227,879

88.8

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (ハ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前年同期比(%)

成膜装置事業

44,763,006

134.1

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年1月1日

至 2017年12月31日)

当連結会計年度

(自 2018年1月1日

至 2018年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Apple Inc.グループ

18,442,040

55.2

11,507,817

25.7

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.「Apple Inc.グループ」の販売高は、Apple Inc.とその関係会社に対する販売価格をすべて合算した金額を記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成には、資産、負債、収益及び費用の測定等に経営者の見積り及び仮定を含んでおります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

 ② 経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

(売上高)

 売上高は、カメラレンズ関連やIoT分野である自動車関連や生体認証関連装置の売上が大幅に増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ34.1%増加し、44,763百万円となりました。

 

(営業利益)

 売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度と比べ42.1%増加の27,326百万円となりました。外注先や外注要員等を活用した装置生産や同種同型装置の大量生産によるコスト削減等がありましたが、装置販売構成差により売上原価率は3.4%上昇の61.0%となりました。

 販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ1.2%減の6,745百万円となりました。

 以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ45.9%増加し、10,690百万円となりました。

 

(経常利益)

 営業外損益は持分法による投資損失147百万円等があったものの、為替差益280百万円等により、経常利益は前連結会計年度に比べ54.9%増加し、10,992百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 持分法適用会社である東海光電股份有限公司の関係会社清算損219百万円等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ60.9%増加し、7,745百万円となりました。

 

 今後の見通しについて、世界経済は米中貿易摩擦問題や中国経済の減速等により楽観できない状況にありますが、中長期的な基調は引き続き堅調に推移することが予想されます。光学薄膜市場は、技術革新を背景に応用分野の拡がりや需要の継続的拡大が見込まれます。市場動向は、従来のスマートフォン集中からIoT分野や監視カメラ・AI・LED等への多様化のスピードを早めており、様々な分野における市場規模拡大が期待されます。スマートフォンでは5G対応の機能膜への応用拡大や通信システム革新のための成膜装置需要の増加が期待できます。また、カメラ複眼化やAR/VR等の高機能化は続くものと見込んでおります。車載カメラ、接触防止のための近接センサ、インストルメントパネル等の車載関連、半導体の微細化に伴う半導体光学融合の半導体関連や生体認証分野において需要拡大が見込まれます。IoT分野以外では、監視カメラは引き続き需要が継続しており、LED関連では従来の照明や光源に続き、新技術のマイクロLED等の需要もあり市場の成長は続くものと見込んでおります。

 また、さらなる受注獲得に向け半導体分野向け水平スパッタ装置やLED向けDBR/TCO膜装置を市場投入し、様々な分野に向けて新規装置投入を継続展開いたします。

 

(3) 資金の流動性及び資本の財源についての情報

 ① 資金の流動性

 資金の流動性については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 ② 資本の財源

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資の取得等によるものであります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、990百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、15,740百万円となっております。

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは顧客のニーズを把握し、的確かつ現実的な研究開発目標を設定し、市場変化に対応した開発スピードを維持しながら、顧客の求める開発成果を光学薄膜装置に迅速に反映することを、基本方針としております。

 当社技術開発部門を中心に、中国・台湾における各子会社にも技術部門を配置し、顧客ニーズを迅速に捉えるため、当社グループは横断的に積極的な研究開発活動を行っております。

 

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,103百万円であり、研究開発活動の状況は次のとおりであります。

 AR/VR向け成膜装置及びプロセス開発、半導体光学向け水平スパッタ装置及びプロセス開発、スマートフォン向け硬質加飾膜成膜装置及びプロセス開発、車載向け大型基板成膜装置及びプロセス開発、LED向けDBR膜(注1)及びTCO膜(注2)の性能向上やALD成膜プロセス開発等の研究開発活動を行っております。

 

(注)1.DBR膜とは、Distributed Bragg Reflectorのことであり、ある特定波長の光を効率良く反射するよう、一定の周期で屈折率が変化するような構造を持った反射膜をいいます。

2.TCO膜とは、Transparent Conductive Oxideのことであり、透明かつ導電性を有する膜をいいます。