第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社は光学薄膜技術の限界にチャレンジすることを常にめざし、研究開発型企業として、グローバル市場での存在感を発揮してまいりました。今後も光学薄膜装置製造+成膜プロセスソリューションを一体で提供する企業として、研究開発を加速し、市場の求めるニーズを高度かつ迅速な技術的対応で答える事業スタイルを徹底して行きたいと考えます。

 

2020年は新型コロナの影響で世界経済はかなりの減速を強いられ、当社事業活動にも影響が出ました。ただし、新たな成膜技術を取り入れた研究開発活動は進展し、各種の新型装置開発完了を開示することができ、現在開発している他の新型装置と合わせ、2021年以降の受注規模が拡大して行く可能性が見込まれます。

このような環境の中、当社が認識している課題は以下のとおりであります。

 

(1) 市場・お客様ニーズに対応した研究開発強化

 市場・お客様ニーズは、微細化・高機能化等の技術要求水準が極めて高く、光学薄膜技術のみならず、他の成膜技術・半導体加工技術等との連携強化が重要となります。

 これらのニーズに対し、当社・光馳科技(上海)有限公司・光馳科技股份有限公司(台湾)・Afly solution Oy(フィンランド)の4拠点体制で横断的に研究開発を行い、他社にない優れた製品開発、生産技術向上、グローバルで多様な人材採用による技術力強化、産学連携による新技術の研究開発及び新事業の創出に取り組みます。

 より一層の拠点間の連携強化を図り、お客様ニーズに対応した製品開発を加速してまいります。

 

(2) グループ経営強化及び各拠点独自機能の発揮

 当社は本部及び日本拠点として、グループ全体の研究開発やマーケティングに関する統括・事業活動の推進を中心的に行い、統括力・指導力を発揮してグループ全体の企業体質向上に取り組みます。

 光馳科技(上海)有限公司は、生産工場としてグループの中心的役割を担い、生産コスト削減・生産効率向上・品質管理を徹底します。さらに、生産拠点での研究開発機能を重視し、新成膜技術の生産移行を円滑に行えるよう強化していきます。グループの研究開発機能を強化するため、2021年に当社では新研究開発施設の取得を目指し、光馳科技(上海)有限公司では、新たに研究開発棟を新設し、工場内の研究開発機能を集約することにより効率的な研究開発を行い、新型装置開発に積極的に取り組みます。

 光馳科技股份有限公司(台湾)は、台湾企業が世界的にリードする半導体・電子部品等分野に注目し、当社成膜装置の技術との融合により、新型装置の開発・販売に取り組みます。

 

(3) 事業規模拡大への対応・投資

 当社グループの事業規模及び関連する事業活動分野は拡大しております。今後は、成膜装置生産、プロセス開発の総合的な成膜装置提供サービスを強化し、従来事業を伸長させていくとともに、M&Aや事業提携等の機会を探し、従来事業とのシナジーを得ながら事業拡大を目指す必要があります。また、新技術に注目した国内外での企業投資を活発化し、成膜装置技術の新たな展開につながる技術ノウハウの取得や投資管理を徹底し、投資リターンの確保に努め、株主価値のさらなる向上を目指します。

 

(4) SDGs・ESGの取り組み

 持続可能な社会の実現に向け企業としての社会的責任を果たすため、SDGs・ESGへの取り組みを重視した経営を進めてまいります。

 環境・社会においては、環境負荷を低減した製品開発や地域貢献活動に積極的に取り組み、環境社会に配慮した企業活動を目指します。

 ガバナンスにおいては、引き続き経営体制を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実を図るとともに、ステークホルダーと積極的な対話を行い、信頼性及び透明性の高い経営を目指します。

 

 

(5) 新型コロナウイルス感染症への対応及び業績影響

 当社グループでは新型コロナウイルス感染症に対し、社員及びその家族、お客様をはじめとするステークホルダーの安全確保・感染防止を優先し、各国政府及び地方自治体の要請、指導にできるだけ応えるとともに、事業に及ぼす影響を最小限に抑えるべく、必要な対応を行っております。

 今後の業績への影響に関しては、ワクチン接種による感染抑制が期待されるものの、欧米を中心とした各国での感染再拡大による影響により、先行き不透明な状況が続きます。しかし、当社事業に関し、お客様との関係で特に影響は無く、2021年以降、これまでに開発してきた各種の新型装置の受注やスパッタ装置・蒸着装置の新技術対応で新たな需要開拓が可能と思われるため、感染拡大による影響は限定的と見込んでおります。

 ただし、今後、感染症のさらなる拡大による経済状況が一段と悪化し、最終製品需要が大幅に減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクは残されております。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状況、経営成績及びキャッシュフローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

 当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.事業環境に由来するリスク

  (1) 顧客ニーズへの対応について

  電子部品、自動車部品及びモバイル機器製造メーカー等の光学薄膜装置に対する要求は益々多様化しています。当社グループが、かかる顧客の要請に応えられなかったり、また、顧客の要請に応えたとしても、顧客と共同で製品設計及び開発を行ううえで、当社グループによる多大な経営資源を投入する場合もあります。従って、当社グループが顧客の要求水準に見合った製品を開発できなかった場合、又は適切なタイミングで効率的に顧客の要請に応えることができない場合、当社グループの市場占有率が低下し、当社グループの事業展開、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」記載の経営方針、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2) 顧客の設備投資の変動について

当社グループの光学薄膜装置の主要な用途は、従来、スマートフォンが大きな比率を占めておりましたが、新たな市場拡大の流れが加速しております。監視カメラ・IoT(自動車・半導体光学融合・生体認証・AR/VR・光通信)・AI・LED等、様々な分野で光学薄膜機能の応用が進んでおります。このような状況で、各分野の最終製品のライフサイクルは短期化の傾向を強めており、顧客の設備投資の動向も短期で変動する傾向があります。光学薄膜装置に対する顧客の需要が、当社の想定よりも急激な増減を起こした場合、急激な需要増に対応し切れずに受注機会を逸したり、急激な需要減により受注獲得が困難になるあるいは受注のキャンセルが生じる可能性があり、当社グループの事業展開、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」記載の経営方針、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3) 新型装置の販売について

    ALD装置、新型スパッタ装置等の新たに開発された装置が今後の当社グループの売上高及び利益の中で比率を高

めるものと見込んでおり、見込みどおり新たに開発された装置が販売出来ない場合、業績見込みが達成できず、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (4) 販売代金の決済条件について

  当社グループの標準的な決済条件は受注時及び出荷時に販売代金の一部を回収する条件としておりますが、顧客によっては検収後に販売代金の全額を回収する条件となることもあります。従って、当該取引が増加した場合、当社グループの必要運転資金が増加し、資金繰りに影響した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (5) 原材料の仕入価格の影響について

  光学薄膜装置は部品数約2,000にも及ぶ部品組み立てが必要な製品です。さらに高い性能を発揮するために、部品を外部部品メーカーに特注する場合も多くあります。また装置性能を試験するために二酸化ケイ素等の高価な化合材料を蒸着に使用しております。従って、これら部品、化合材料の価格推移が装置原価に大きく影響します。

  他方で原材料価格は上昇傾向にあります。とりわけ真空部品メーカーは限られており、装置メーカーや類似する部品ニーズのある半導体メーカーが集中して部品を発注する場合、部品メーカーの売り手市場となり、価格高騰の原因となる可能性があります。当社グループは極力計画的な部品発注を行うとともに、協力部品メーカーとの関係強化、新たな部品メーカーの発掘、育成に努力しております。しかしながら、さらに市場が拡大し、各メーカーによる装置生産が増大した場合、一層の部品価格上昇を招き、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

  (6) 国際情勢の影響について

  当社グループは今後の業績伸展には海外での事業展開が不可欠と考えております。このため、東アジアを生産、販売の拠点として、2000年12月に光馳科技(上海)有限公司、2013年9月に光馳科技股份有限公司(台湾)をそれぞれ設立いたしました。また、中国、台湾、韓国の企業と販売代理店契約を締結しております。

  このような当社グループの海外展開は業績伸展に不可欠と考えておりますが、昨今の国際情勢は、各国の国情を敏感に反映した複雑な状況になっており、政治的な背景が各国経済に影響を与える可能性があります。何らかの関連法規制の変更、紛争等が発生した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (7) 特定の地域情勢の影響について

 当社グループは、2020年12月期における地域別の連結売上高の83%を中国が占めております。近年、当社の顧客となる光学部品メーカー及び最終製品メーカーの多くが製造拠点を中国に集中していることに伴い、当社製品の納入先も顧客の製造拠点である中国となるケースが増加しているためです。また、当社グループは、主として光馳科技(上海)有限公司で生産を行っております。したがって、今後も当社にとって中国は重要な事業展開地域であり、今後中国の経済、政治、法律、社会情勢等に何らかの変化があった場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (8) 外国為替相場の変動について

  当社グループは円建て売上を基本方針としておりますが、大手スマートフォンメーカーや大手電子部品メーカー等を中心に米ドル建て取引が多くなっており、為替変動の影響を受けるようになってきております。今後外貨建てによる売上がさらに増えた場合、もしくは外貨建てによる費用支払いが増えた場合、外国為替相場の変動が当社グループの業績に大きく影響を与える可能性があります。当社グループは、為替変動リスクをヘッジするための方策を適宜活用していく方針でありますが、当社グループの想定を超える外国為替相場の変動があった場合等には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (9) 法的規制について

 当社グループ製品に使われる部品の一部が、大量破壊兵器輸出に関する規制(キャッチ・オール)の対象となっています。当社グループでは、取引先の事業や信用に関する調査を実施しており、上記規制のブラックリスト企業の情報を当局からも入手し、関連する省庁への届出や連携を適宜行うことで、上記規制に抵触しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、上記規制が変更された場合や、万が一に意図せず上記規制に抵触してしまった場合、そのための対応費用が生じる可能性があり、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (10) 環境法規制について

 当社グループは、環境理念及び行動指針を定め、環境問題に積極的に取り組んでおります。しかしながら、天災、人為的なミス等により環境汚染等に至るリスクが発生した場合や、関係法令の改正等により新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、コストの増加を招き、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.事業内容に由来するリスク

  (1) 売上計上について

  当社グループの製品は受注生産を行っております。個別装置により仕様は様々であり、生産ラインでの装置完成後、工場内検収を行い、完了した装置について、出荷、顧客工場での据付、再検収を行います。このプロセスが終了した時点で、検収書を顧客より受領し、納品が完了いたします。場合によってはこのプロセスで顧客からの性能に関する追加的な要望や検収までに装置の使用方法を納入先の従業員に教育することが求められる等の当社グループではコントロールしがたい追加的なプロセスに時間を要し、最終の検収期間が遅れる可能性があります。当社グループは、売上を顧客による製品検収後に計上するため、上記のような理由により、製品の納入又は検収が当初予定の時期よりも遅れた場合には、売上計上が遅れることになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2) 特定顧客への依存について

  当社グループは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績(ハ)販売実績」に記載のとおり、これまでより低下しているものの、特定顧客への依存度が比較的高い状況にあります。当社グループは、新規事業や新規得意先の開拓により特定の得意先に依存しない収益体制を構築すべく努めている他、今後においても従来の重要な得意先からの受注獲得に努め、良好な関係を維持していく方針であります。しかしながら今後も依存度の高い顧客から継続的な受注を得られる保証は無く、何らかの理由により顧客との関係に変化が生じた場合や、既に受注した案件についてキャンセルが生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3) 特定技術への依存について

  当社グループの主要製品はイオンビームアシスト蒸着方式(IAD)、スパッタリング方式による成膜装置でしたが、これに加えALD技術や3D成膜技術等による新型装置が装置ラインアップに加わってきており、コスト、時間、品質を総合的に勘案して、最良の方式を顧客に提案しております。ただし、技術開発の方法や顧客の要求内容によっては、他社が当社グループの用いる成膜方法より優れた方法を提供できる可能性があります。当社グループとしましては、既存製品についてより競争力を持たせるために改良開発を加速化するとともに、他の技術を用いた成膜方法にも注目し、研究開発を展開するようにしております。しかしながら、加工対象物である最終製品に使われる光学部品の形状、材質が今後大きく変化したり、格段の技術的進歩があり当社グループの技術が陳腐化した場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (4) 専門性の高い技術力に見合う人材の確保について

  当社グループが事業拡大を進めていくためには、物理学、電気工学等の専門スキルの高い優秀な人材を確保することが重要であると考えております。しかしながら、これらの人材の獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保することができない可能性があります。

  当社グループでは、優秀な人材の採用については最重要課題として積極的に取り組んでおりますが、優秀な人材を十分かつ適時に確保できなかった場合及び社内の有能な人材が流出してしまった場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (5) 特許・知的財産権の制約について

  当社グループは、国内外において特許を保有し、積極的に新規権利獲得に努めています。しかしながら、特許の登録を受けられるとは限らず、また特許を獲得しても将来において知的財産権を充分に保護できない可能性もあります。当社グループでは、製品等の開発、製造、使用及び販売、その他事業活動によって、第三者の特許・知的財産権、その他の権利を侵害しないよう、あらかじめ調査を行い、かつ継続的に他社特許出願・許諾状況をモニターしておりますが、第三者の特許・知的財産権を侵害し紛争となる可能性は否定できません。これらの知的財産に関する問題が発生した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (6) 生産拠点の集中について

  当社グループは主として光馳科技(上海)有限公司で生産を行っており、2014年2月から光馳科技股份有限公司(台湾)でも生産を始めました。両拠点での生産を始めたことにより、生産コスト、部品品質の両面で最善の成果を上げることが出来ると考えておりますが、今後、中国における雇用環境の変化により、外注も含めた人員確保や育成が計画通りに進まなかった場合や、労働条件に係る諸規制に変更が生じた場合、現地での労働争議の発生、自然災害、ウイルス等の感染症の流行、政治的状況の変化による生産への制約等の外的要因が生じた場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (7) 光学薄膜装置の開発及び製造に関するリスクについて

 光学薄膜装置の設計及び製造過程は極めて複雑であり、顧客の規格に合わない製品や、欠陥を含む製品又は欠陥を含むと顧客が認識する製品、あるいは顧客が対象とするエンドユーザーの規格に適合しない製品が製造される可能性があります。当社グループでは品質管理部門の強化により、常時綿密な品質チェックを行う体制を確保するとともに、外部業者からの部品入手時の受け入れ品質検査、装置生産時の工場品質管理及び装置出荷時の最終品質チェックを十分に行っておりますが、これらの作業の対応には多額の費用(人件費や在庫の評価減を含む)を要することもあります。当社グループの製品の出荷後に、顧客の規格との不一致、不適合又は欠陥等の問題が生じた場合には、当社グループは、製品の交換又は顧客への補償にかかる債務を負うこととなる場合があるだけでなく、重要な顧客との関係や業界における評判が長期にわたって損なわれる可能性がある他、顧客や部品の仕入先である外部業者との間で訴訟が発生し、多額の訴訟対応費用が生じる可能性があります。これらはいずれも、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (8) 製造物責任について

 当社グループが提供する製品は、厳しい品質管理のもとに設計・製造されておりますが、当社グループ製品の使用により万一顧客に深刻な損失をもたらした場合には損失に対する責任を問われる可能性があります。さらに、これらの問題による当社グループの企業イメージの低下は、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (9) 価格競争の激化について

  光学薄膜装置業界は日本国内メーカーに加え中国、韓国、ヨーロッパ等にメーカーが多数存在しており、激しい競争の状況にあります。当社グループは、高機能の成膜装置を提供し続けることを目指し、販売を拡大させていますが、今後の技術開発競争及び価格競争等により競争がさらに激化した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (10)新規事業について

 当社グループは事業拡大のためにM&Aや出資により新規事業への展開を行う可能性がありますが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、これらの事業が必ずしも当社グループの計画どおりに推移する保証はなく、その場合には当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.その他のリスク

  (1) その他の関係会社である浙江水晶光電科技股份有限公司との関係について

 同社は、本書提出日現在において、当社株式の議決権の被所有割合の15.1%を保有しております。

 当社と同社の間には、成膜装置の販売に関する営業取引があり、社外取締役1名を招聘しておりますが、従業員の派遣出向及び受入出向並びに営業外取引は発生しておりません。また、当社の事業戦略、人事政策及び資本政策等について何ら制約等も受けておりません。

 当社と同社との2020年12月期の取引状況は次のとおりであります。

種類

会社等の名称又は氏名

所在地

資本金又は出資金

事業の内容又は職業

議決権等の所有(被所有)割合

(%)

関連当事者との関係

取引の内容

取引金額

(千円)

科目

期末残高

(千円)

その他の

関係会社

浙江水晶光電科技股份有限公司

中国

浙江省

千人民元

1,217,688

光学部品製造販売

(被所有)

直接 15.1

製品の販売

役員の兼任

製品の販売

2,600,300

前受金

213,660

売掛金

318,550

取引条件及び取引条件の決定方針等

 製品の販売については、一般の取引条件と同様に決定しております。

 

  2017年8月に当社と浙江水晶光電科技股份有限公司は、共同出資により浙江晶馳光電科技有限公司を設立いたしましたが、当該合弁会社の生産する成膜製品と同一の成膜生産活動に関与すること以外は、当社グループの装置生産・販売、成膜事業展開に制約はないと認識しております。

 なお、当社と同社は、今後も友好的な資本関係を維持していくと見込んでおりますが、将来において何らかの要因により、同社が経営方針や営業戦略等(当社株式の保有方針等を含む)を変更した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2) 災害・感染症に関するリスク

 当社グループでは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行による操業停止をせざるを得ない様な事態の発生に備え、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止、早期復旧、取引先との連携等を実施しております。しかしながら、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症などによる生産の中断等が生じた場合、顧客への製品供給が遅れること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2020年年初に顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大は世界中に蔓延しており、現時点では当社グループでの感染者は確認されていないものの、毎月取締役会、経営会議で、感染状況、入出国規制の把握や対策等についての議論をしております。当社グループは感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等の効率的な事業運営を実施しております。しかし、さらに感染が拡大した場合、従業員の感染による操業停止やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済活動が抑制され、厳しい状況となりました。中国においてはいち早く経済活動を再開し、景気は緩やかに回復している一方、欧米では新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響で経済活動は抑制され、依然として経済の先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループは、このような状況下で、スマートフォン・IoT関連等の最終製品の機能アップのための新たな成膜技術開発を積極的に行い、優秀人材の追加的採用も強化し、新型装置の市場へのリリースを積極化いたしました。また、顧客の近くに開発・生産・販売拠点を持つ強みを生かし、感染拡大防止に配慮した対面での営業活動やリモートによる営業活動等の多様な営業活動を積極的に展開し、装置の早期検収に努めました。また、市場環境の変化に対処すべく原価改善や経費削減など図りましたが、売上高・利益とも減収減益となりました。

 分野別では、スマートフォンではカメラ複眼化、筐体への加飾、カメラ部分への新たな成膜等の成膜需要、カメラレンズでは監視カメラやIRカットフィルタの成膜需要、IoTでは、車載パネルへの成膜や半導体ウェハへの成膜、医療機器へのパネルやレンズへの成膜、スマートウォッチ等のウェアラブル端末への成膜、AR/VR機器への成膜、光通信機器向けの成膜等、幅広い分野の売上高を計上いたしました。

 受注においては、設備投資は全般的に慎重であったものの、北米及び東アジアのスマートフォン関連メーカーからの受注を獲得し、5G関連の光通信向け・自動車・半導体・医療関連等のIoT関連やLED向け成膜装置の受注は好調に推移いたしました。

 注目すべき新たな受注として、ここ数年取り組んできた新型装置開発の内、ALD装置は複数台の受注獲得に成功し、2021年以降の新たな成膜技術の展開につながる実績を挙げました。その他新型装置も今後の市場への供給を準備しており、2020年は受注につなげる準備期間として充実した研究開発成果を挙げました。

 その結果、売上高は37,491百万円(前年同期比12.4%減)、営業利益は8,628百万円(前年同期比20.7%減)、経常利益は8,609百万円(前年同期比21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,796百万円(前年同期比25.3%減)となりました

 

 ② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、44,571百万円と前連結会計年度末と比べ2,622百万円の減少となりました。減少した要因は、仕掛品や現金及び預金が減少したことなどによるものです。

 固定資産は、9,755百万円と前連結会計年度末と比べ440百万円の増加となりました。増加した要因は、のれんが増加したことなどによるものです。

(負債)

 流動負債は、13,654百万円と前連結会計年度末と比べ6,170百万円の減少となりました。減少した要因は、前受金が減少したことなどによるものです。

 固定負債は、1,157百万円と前連結会計年度末と比べ707百万円の減少となりました。減少した要因は、繰延税金負債が減少したことなどによるものです。

(純資産)

 純資産は、39,515百万円と前連結会計年度末と比べ4,696百万円の増加となりました。増加した要因は、利益剰余金が増加したことなどによるものです。

 

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、22,722百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,247百万円の減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加5,503百万円や前受金の減少5,074百万円などにより、535百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出は16,768百万円の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出760百万円などにより、1,047百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出は1,384百万円の減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額2,543百万円などにより、2,466百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ支出は108百万円の増加となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 (イ)生産実績

 当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

成膜装置事業

18,384,006

122.8

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (ロ)受注実績

 当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

成膜装置事業

28,606,317

79.3

23,583,058

72.6

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (ハ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

売上高(千円)

前年同期比(%)

成膜装置事業

37,491,308

87.6

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Apple Inc.グループ

9,101,519

21.3

5,412,301

14.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.「Apple Inc.グループ」の販売高は、Apple Inc.とその関係会社に対する販売価格をすべて合算した金額を記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

 ① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

(売上高)

 売上高は、IoT・光通信・LED向け成膜装置の売上が増加、スマートフォン関連装置の売上は底堅いものの金額ベースでは減少となり、前連結会計年度に比べ12.4%減少し、37,491百万円となりました。

 

(営業利益)

 売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度に比べ9.2%減少し、22,809百万円となりました。外注先や外注要員等を活用した装置生産や調達コスト削減等に努めたものの、売上装置構成差や元高による原価高影響等により、売上原価率は2.1ポイント増加し、60.8%となりました。

 販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ11.2%減少し、6,053百万円となりました。

 以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ20.7%減少し、8,628百万円となりました。

 

(経常利益)

 営業外損益は、受取賃貸料72百万円や補助金収入119百万円等があったものの、為替差損186百万円等により経常利益は前連結会計年度に比べ21.9%減少し、8,609百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損益は、段階取得に係る差益66百万円等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ25.3%減少し、6,796百万円となりました。

 

 今後の見通しについて、光学薄膜装置市場は、2020年度において新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けましたが、2021年に入り、市場は少しずつ活性化してきており、より高度な光学薄膜技術及びさらにレベルアップした新成膜技術のニーズが広がってきております。

 スマートフォンでは、カメラモジュール・筐体加飾・カバーガラスの全てにおいて、新型高級製品の市場供給を可能にするための新たな技術開発要求があり、当社は業界有力企業として、これに取り組んでまいります。光学薄膜・ALD技術の合体に始まり、光学薄膜+その他の新技術開発を結実させ、2021年以降のお客様による最終製品の市場への供給を強力にサポートしてまいります。そのため、2021年度は実質的な研究開発費は4,232百万円(2020年度3,392百万円)と大幅アップし、当社技術開発は加速され、新たな進化のステージに入ることになります。研究開発施設は日本国内及び光馳科技(上海)有限公司敷地内での研究開発棟新築により、グローバルに強化いたします。

 具体的な事業見通しでは、カメラ機能では望遠・広角・超望遠・超広角といった複数の機能を組み合わせた複眼化や高画質化・高感度化による成膜需要やAR/VR技術を駆使した3D機能も拡張し高精度な3Dセンシングへの成膜需要も期待されます。

 IoT分野である自動車では、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術向上にともなう車載カメラ搭載数の増加による成膜需要、インストルメントパネル等の速度計器類やエアコンや音響関連機能等のタッチパネル化による成膜需要、生体認証では、スマートフォン等の顔認証や指認証等の3Dセンシング技術への成膜需要の拡大を見込みます。

 光通信では5G通信対応に向けた通信機器部品成膜用の装置受注が期待されます。

 カメラレンズでは、2021年度では、前年度の様子見の状況からやや変化が出てきており、中国での監視カメラネットワーク構築やスマートシティ構築等のセキュリティ対策向けの監視カメラ需要が見込まれます。

 当社グループは最先端分野への研究開発を積極的に行い、市場・お客様ニーズを新型成膜装置に反映し、さらなる成長を図ってまいります。

 

 なお、当社グループでは新型コロナウイルス感染症に対し、社員及びその家族、お客様をはじめとするステークホルダーの安全確保・感染防止を優先し、各国政府及び地方自治体の要請、指導にできるだけ応えるとともに、事業に及ぼす影響を最小限に抑えるべく、必要な対応を行っております。

 今後の業績への影響に関しては、ワクチン接種による感染抑制が期待されるものの、欧米を中心とした各国での感染再拡大による影響により、先行き不透明な状況が続きます。しかし、当社事業に関し、お客様との関係で特に影響は無く、2021年以降、これまでに開発してきた各種の新型装置の受注やスパッタ装置・蒸着装置の新技術対応で新たな需要開拓が可能と思われるため、感染拡大による影響は限定的と見込んでおります。

 ただし、今後、感染症のさらなる拡大による経済状況が一段と悪化し、最終製品需要が大幅に減少した場合、当社グループの業績に影響を及ぼすリスクは残されております。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業拡大を図るためのM&A等の投資であります。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大等により先行き不透明な中、不測の事態に備えるため、十分な手元流動性を確保するとともに、当座貸越枠を設定し、適時に必要資金を確保する体制としております。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成には、資産、負債、収益及び費用の測定等に経営者の見積り及び仮定を含んでおります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループ業績に与える当社影響については、2021年12月期において一定期間にわたり当該影響が継続すると仮定し、会計上の見積りを行っております。現時点においては重要な影響を与えるものではないと判断しておりますが、今後の状況の変化によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは顧客のニーズを把握し、的確かつ現実的な研究開発目標を設定し、市場変化に対応した開発スピードを維持しながら、顧客の求める開発成果を成膜装置に迅速に反映することを基本方針としております。

 当社技術開発部門を中心に、光馳科技(上海)有限公司・光馳科技股份有限公司(台湾)・Afly solution Oyに研究開発機能を設け、4拠点体制で研究開発活動を行っております。当社グループ全体でグローバルな研究開発人材確保を行い、世界市場での高度成膜技術ニーズの捕捉を積極的に行い、世界市場をリードし、成膜応用分野の拡大を喚起する役割を担っております。

 

 当連結会計年度の研究開発費の総額は、3,150百万円であり、研究開発活動の状況は次のとおりであります。

 5G通信用成膜装置及びプロセス開発、半導体光学向け水平・両面スパッタ装置及びプロセス開発、スマートフォン向け硬質加飾膜成膜装置及びプロセス開発、車載向け大型基板成膜装置及びプロセス開発、ALD成膜プロセス開発等の研究開発活動を行っております。