文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループ事業に関連する最終製品の成膜需要はスマートフォン、自動車、半導体光学融合、AR/VR、LED等、様々な分野に拡大しております。
最終製品が多様化する中、当社が予測する最終製品市場は、現在、主力のスマートフォン分野において、カメラの多眼化・高機能化ニーズは継続すると考えられます。また、当社が数年来、注力している半導体光学融合分野であるイメージセンサや自動車、光電子は成長が著しく、市場規模・成膜需要ともに拡大中です。さらに、電子デバイス分野、とりわけ新エネルギーの太陽電池・リチウム電池・パワーデバイス(発電・蓄電・電気変換)への新たな成膜需要が期待されます。
このように、新たな事業機会の拡大が見込まれる一方、競争環境も一層厳さを増し、より高度な光学薄膜・成膜技術の開発とそれを支える組織体制の強化が求められることが予想されます。
このような環境の中、当社が認識している課題は以下のとおりであります。
(1) 市場・お客様ニーズに対応した研究開発強化
市場・お客様の光学薄膜ニーズは、平面への成膜だけでなく、凹凸面や3D曲面への成膜や微細化・高機能化等の技術要求水準が極めて高く、従来の光学薄膜技術のみならず、ALD成膜技術やエッチング技術等の新技術との技術間の連携強化が重要となります。
これらのニーズに対し、当社・光馳科技(上海)有限公司・光馳科技股份有限公司(台湾)・Afly solution Oy(フィンランド)、さらには光馳半導体技術(上海)有限公司を加えた5拠点によるグローバル体制で横断的に研究開発を行います。他社にない優れた製品開発、生産技術向上、グローバルで多様な人材採用による技術力強化、プロジェクトマネジメント体制導入・強化による研究開発人財育成、産学連携による新技術の研究開発及び新事業の創出に取り組みます。
より一層の拠点間の連携強化や人財育成を図り、お客様ニーズに対応した製品開発を加速してまいります。
(2) リスク分散体制構築・強化
ロシア・ウクライナ情勢、米中貿易摩擦や米国による半導体輸出規制等、地政学リスクが高まっております。当社グループ事業は中国市場への依存度が高く、不測の自体が発生した際にサプライチェーンが寸断される可能性があることや、中国での開発・生産・販売等多様な面で事業への影響を受ける可能性があるため、リスク分散体制構築・強化が急務であります。
当社グループはリスク分散・回避のために新たな研究開発・生産拠点としてベトナムに現地法人を立ち上げ、顧客の東南アジアへの生産移管の動きに対応すると共に、日本においても研究開発・生産機能強化を目的に埼玉県鶴ヶ島市に拠点を新設し、グローバルで研究開発・生産のリスク分散体制を強化いたします。
他方、中国は当社グループにとり販売・生産における重要地域であることは変わりません。光馳科技(上海)有限公司、光馳半導体技術(上海)有限公司を中心に、設備投資・研究開発投資を積極的に進め中国での「地産地消」体制を構築し、研究開発強化やさらなるコスト削減・生産効率向上・品質管理を徹底いたします。
リスク分散体制を構築・強化するとともに、グループ一丸となり、徹底したコスト削減による収益力向上、品質安全管理強化を通じた製品信頼性向上、成長のための積極的な投資を図り、競争優位性確立を目指します。
(3) 事業規模拡大と、その実現に向けた対応・投資
継続的成長を実現するため、成膜需要拡大に伴う新たな事業機会を適時に捉えて参ります。具体的には、光学部品、スマートフォンを中心とする光学分野からイメージセンサや自動車、光電子といった半導体光学融合分野、さらには太陽電池、リチウム電池、パワーデバイス等の新エネルギー関連や通信デバイス等の電子デバイス分野まで、事業領域拡大を目指します。
そのような事業領域拡大に対し、成膜装置生産、プロセス開発の総合的な成膜装置提供サービスを強化し、事業を伸長させていくとともに、自社にない技術は他社と技術・事業提携等の連携やM&Aを通じ、事業規模拡大を目指します。また、M&Aや戦略投資の実施においては、ROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)や資本コスト等を指標とした投資判断や投資管理を徹底し、投資リターンの確保に努め、企業価値向上を目指します。
(4) 人材の確保・人的資本への投資
当社の継続的成長の実現のためには専門性の高い人材の確保及び人的資本への投資が重要となります。
当社では、当社費用負担による社員研修の実施・株式報酬の付与等のフリンジベネフィットの充実や、大学の人材育成プログラムへの寄付・インターンシップ生の受け入れ等の各種施策を行っております。
当該取り組みを通じ、優秀な人材の確保・人材育成に努めるとともに、人的資本への積極的な投資を行い、継続的成長の実現を目指します。
(5) SDGs・ESGの取り組み
持続可能な社会の実現に向け企業としての社会的責任を果たすため、SDGs・ESGへの取り組みを重視した経営を強化いたします。
環境・社会においては、CO2排出に関する情報開示や、環境負荷を低減した製品開発、地域貢献活動に積極的に取り組み、環境社会に配慮した企業活動を目指します。
人権においては、当社は社員の勤務環境を良好に維持し、社員に関する人権に配慮した会社運営を行っております。また、業務面でもとりわけ資材調達・装置営業等で人権尊重の基本の考え方を徹底しており、資材調達関連では、取引先に人権尊重に関する書面締結を依頼し、当社人権尊重方針の理解を求めております。
ガバナンスにおいては、引き続き経営体制を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実を図るとともに、ステークホルダーと積極的な対話を行い、信頼性及び透明性の高い経営を目指します。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状況、経営成績及びキャッシュフローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1.事業環境に由来するリスク
(1) 顧客ニーズへの対応について
顧客の光学薄膜装置に対する要求は益々多様化しています。当社グループが、顧客の要請に応えられなかったり、顧客と共同で製品設計及び開発を行う場合、当社グループによる多大な経営資源を投入しても顧客の要求水準に見合った製品を開発できないか、適切なタイミングで効率的に顧客の要請に応えることができない可能性があります。その結果、当社グループの市場占有率が低下し、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 顧客の設備投資の変動について
当社グループの光学薄膜装置の主要な用途は、従来、スマートフォンが大きな比率を占めておりましたが、新たな市場拡大の流れが加速しております。監視カメラ・IoT(自動車・半導体光学融合・生体認証・AR/VR・光通信)・AI・LED等、様々な分野で光学薄膜機能の応用が進んでおります。特にALD装置がグループ製品ラインナップに加わり、半導体光学融合の分野での市場機会はますます拡がりを見せています。このような状況で、各分野の最終製品のライフサイクルは短期化の傾向を強めており、顧客の設備投資の動向も短期で変動する傾向があります。光学薄膜装置に対する顧客の需要が、当社の想定よりも急激な増減を起こした場合、急激な需要増に対応し切れずに受注機会を逸したり、急激な需要減により受注獲得が困難になるあるいは受注のキャンセルが生じる可能性があり、当社グループの事業展開、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」記載の経営方針、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 新型装置の販売について
ALD装置、新型スパッタ装置等の新たに開発された装置が今後の当社グループの売上高及び利益の中で比率を高
めるものと見込んでおり、見込みどおり新たに開発された装置が販売出来ない場合、業績見込みが達成できず、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 販売代金の決済条件について
当社グループの標準的な決済条件は受注時及び出荷時に販売代金の一部を回収する条件としておりますが、顧客によっては検収後に販売代金の全額を回収する条件となることもあります。従って、当該取引が増加した場合、当社グループの必要運転資金が増加し、資金繰りに影響した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 原材料の仕入価格の影響について
光学薄膜装置は部品数約2,000にも及ぶ部品組み立てが必要な製品です。さらに高い性能を発揮するために、部品を外部部品メーカーに特注する場合も多くあります。また装置性能を試験するために二酸化ケイ素等の高価な化合材料を蒸着に使用しております。従って、これら部品、化合材料の価格推移が装置原価に大きく影響します。
他方で原材料価格は上昇傾向にあります。とりわけ真空部品メーカーは限られており、装置メーカーや類似する部品ニーズのある半導体メーカーが集中して部品を発注する場合、部品メーカーの売り手市場となり、価格高騰の原因となる可能性があります。当社グループは極力計画的な部品発注を行うとともに、協力部品メーカーとの関係強化、新たな部品メーカーの発掘、育成に努力しております。しかしながら、さらに市場が拡大し、各メーカーによる装置生産が増大した場合、一層の部品価格上昇を招き、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 国際情勢の影響について
当社グループは今後の業績伸展には海外での事業展開が不可欠と考えております。このため、東アジアを生産、販売の拠点として、2000年12月に光馳科技(上海)有限公司、2013年9月に光馳科技股份有限公司(台湾)、2021年9月に光馳半導体技術(上海)有限公司をそれぞれ設立し、2020年9月にAfly solution Oyを連結子会社化いたしました。また、2023年にはベトナムに法人設立を予定しております。さらに、中国、台湾、韓国の企業と販売代理店契約を締結しております。
このような当社グループの海外展開は業績伸展に不可欠と考えておりますが、昨今の国際情勢は、各国の国情を敏感に反映した複雑な状況になっており、政治的な背景が各国経済に影響を与える可能性があります。何らかの関連法規制の変更、紛争等が発生した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社の部品の一部は欧州製であり、2022年2月下旬に開始されたロシアによるウクライナ侵攻は、当社の部品調達計画に影響を与える可能性があります。
(7) 特定の地域情勢の影響について
当社グループは、2022年12月期における地域別の連結売上高の79%を中国が占めております。近年、当社の顧客となる光学部品メーカー及び最終製品メーカーの多くが製造拠点を中国に集中していることに伴い、当社製品の納入先も顧客の製造拠点である中国となるケースが増加しているためです。また、当社グループは、生産活動を主として光馳科技(上海)有限公司で行っており、今後、光馳半導体技術(上海)有限公司においても開始予定です。当社にとって中国は重要な事業展開地域であり、今後中国の経済、政治、法律、社会情勢等に何らかの変化があった場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 外国為替相場の変動について
当社グループは円建て売上の他に、大手スマートフォンメーカーや大手光学部品メーカー等を中心に米ドル建て取引が多くあります。また、当社グループの仕入や賃金の支払の多くは人民元建てで行われております。今後外貨建てによる売上がさらに増えた場合、もしくは外貨建てによる費用支払いが増えた場合、外国為替相場の変動が当社グループの業績に大きく影響を与える可能性があります。当社グループは、外貨ポジションの調整や為替予約等を用いて変動リスクを最小化するよう努めておりますが、当社グループの想定を超える外国為替相場の変動があった場合等には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 法的規制について
当社グループ製品に使われる部品の一部は、安全保障貿易管理制度の下での規制の対象となりうるものです。当社グループでは、取引先の事業や信用に関する調査を実施しており、上記規制の対象企業の情報を当局からも入手し、関連する省庁への届出や連携を適宜行うことで、上記規制に抵触しないよう細心の注意を払っております。しかしながら、上記規制が変更された場合や、万が一に意図せず上記規制に抵触してしまった場合、そのための対応費用が生じる可能性があり、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 環境法規制について
当社グループは、環境理念及び行動指針を定め、環境問題に積極的に取り組んでおります。しかしながら、天災、人為的なミス等により環境汚染等に至るリスクが発生した場合や、関係法令の改正等により新たな設備投資等の必要性が生じた場合には、コストの増加を招き、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2.事業内容に由来するリスク
(1) 売上計上について
当社グループの製品は受注生産を行っております。個別装置により仕様は様々であり、生産ラインでの装置完成後、工場内検収を行い、完了した装置について、出荷、顧客工場での据付、再検収を行います。このプロセスが終了した時点で、検収書を顧客より受領し、納品が完了いたします。場合によってはこのプロセスで顧客からの性能に関する追加的な要望や検収までに装置の使用方法を納入先の従業員に教育することが求められる等の当社グループではコントロールしがたい追加的なプロセスに時間を要し、最終の検収期間が遅れる可能性があります。当社グループは、売上を顧客による製品検収後に計上するため、上記のような理由により、製品の納入又は検収が当初予定の時期よりも遅れた場合には、売上計上が遅れることになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定顧客への依存について
当社グループは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績(ハ)販売実績」に記載のとおり、特定顧客への依存度が比較的高い状況にあります。当社グループは、新規事業や新規得意先の開拓により特定の得意先に依存しない収益体制を構築しつつあります。しかしながら何らかの理由により特定顧客との関係に変化が生じた場合や、既に受注した案件についてキャンセルが生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 特定技術への依存について
当社グループの主要製品はイオンビームアシスト蒸着方式(IAD)、スパッタリング方式による成膜装置でしたが、これに加えALD技術や3D成膜技術等による新型装置が装置ラインアップに加わってきており、コスト、時間、品質を総合的に勘案して、最良の方式を顧客に提案しております。ただし、技術開発の方法や顧客の要求内容によっては、他社が当社グループの用いる成膜方法より優れた方法を提供できる可能性があります。当社グループとしましては、既存製品についてより競争力を持たせるために改良開発を加速化するとともに、他の技術を用いた成膜方法にも注目し、研究開発を展開するようにしております。しかしながら、加工対象物である最終製品に使われる光学部品の形状、材質が今後大きく変化したり、格段の技術的進歩があり当社グループの技術が陳腐化した場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 専門性の高い技術力に見合う人材の確保について
当社グループが事業拡大を進めていくためには、物理学、電気工学等の専門スキルの高い優秀な人材を確保することが重要であると考えており、そのために、当社費用負担による社員研修の実施・株式報酬の付与等のフリンジベネフィットの充実や、大学の人材育成プログラムへの寄付・インターンシップ生の受け入れ等の各種施策を行っております。しかしながら、これらの人材の獲得競争は激しく、業務上必要とされる知識及び経験を備えた人材を確保することができない可能性があります。
当社グループでは、優秀な人材の採用については最重要課題として積極的に取り組んでおりますが、優秀な人材を十分かつ適時に確保できない場合や社内の有能な人材が流出する場合には、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 特許・知的財産権の制約について
当社グループは、国内外において特許を保有し、また、特許管理委員会を設置し、積極的に新規権利獲得や取得権利の保護に努めています。しかしながら、特許の登録を受けられるとは限らず、また特許を獲得しても将来において知的財産権を充分に保護できない可能性もあります。さらに製品等の開発、製造、使用及び販売、その他事業活動によって、第三者の特許・知的財産権、その他の権利を侵害しないよう、あらかじめ調査を行い、かつ継続的に他社特許出願・許諾状況をモニターしておりますが、第三者の特許・知的財産権を侵害し紛争となる可能性は否定できません。これらの知的財産に関する問題が発生した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 生産拠点の集中について
当社グループは主として光馳科技(上海)有限公司、光馳科技股份有限公司(台湾)及び光馳半導体技術(上海)有限公司で生産を行っております。複数拠点での生産により、生産コスト、部品品質の両面で最善の成果を上げることが出来ると考えておりますが、今後、中国・台湾における雇用環境の変化により、外注も含めた人員確保や育成が計画通りに進まなかった場合や、労働条件に係る諸規制に変更が生じた場合、現地での労働争議の発生、自然災害、ウイルス等の感染症の流行、政治的状況の変化による生産への制約等の外的要因が生じた場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 光学薄膜装置の開発及び製造に関するリスクについて
光学薄膜装置の設計及び製造過程は極めて複雑であり、顧客の規格に合わない製品や、欠陥を含む製品又は欠陥を含むと顧客が認識する製品、あるいは顧客が対象とするエンドユーザーの規格に適合しない製品が製造される可能性があります。当社グループでは品質管理部門の強化により、常時綿密な品質チェックを行う体制を確保するとともに、外部業者からの部品入手時の受け入れ品質検査、装置生産時の工場品質管理及び装置出荷時の最終品質チェックを十分に行っておりますが、これらの作業の対応には多額の費用(人件費や在庫の評価減を含む)を要することもあります。当社グループの製品の出荷後に、顧客の規格との不一致、不適合又は欠陥等の問題が生じた場合には、当社グループは、製品の交換又は顧客への補償にかかる債務を負うこととなる場合があるだけでなく、重要な顧客との関係や業界における評判が長期にわたって損なわれる可能性がある他、顧客や部品の仕入先である外部業者との間で訴訟が発生し、多額の訴訟対応費用が生じる可能性があります。これらはいずれも、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 製造物責任について
当社グループが提供する製品は、厳しい品質管理のもとに設計・製造されておりますが、当社グループ製品の使用により万一顧客に深刻な損失をもたらした場合には損失に対する責任を問われる可能性があります。さらに、これらの問題による当社グループの企業イメージの低下は、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 価格競争の激化について
光学薄膜装置業界は日本国内メーカーに加え中国、韓国、ヨーロッパ等にメーカーが多数存在しており、激しい競争の状況にあります。当社グループは、高機能の成膜装置を提供し続けることを目指し、販売を拡大させていますが、今後の技術開発競争及び価格競争等により競争がさらに激化した場合には、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)新規事業について
当社グループは事業拡大のためにM&Aや出資により新規事業への展開を行う可能性がありますが、新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の時間を要することが予想されます。このため当社グループ全体の利益率を低下させる可能性があります。また、これらの事業が必ずしも当社グループの計画どおりに推移する保証はなく、その場合には当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.その他のリスク
災害・感染症に関するリスク
当社グループでは、地震、台風等の自然災害及びウイルス等の感染症の流行による操業停止をせざるを得ない様な事態の発生に備え、リスク分散を実施し従業員の安全確保、災害及び感染症の未然防止、早期復旧、取引先との連携等を実施しております。しかしながら、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損や感染症などによる生産の中断等が生じた場合、顧客への製品供給が遅れること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年年初に始まった新型コロナウイルス感染拡大への対応については、毎月取締役会、経営会議で、感染状況、入出国規制の把握や対策等についての議論をし、感染拡大状況に応じて感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務等の効率的な事業運営をこれまで実施してきております。しかし、さらに感染が拡大した場合、従業員の感染による操業停止やサプライチェーンの停滞等により、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における世界経済は、社会経済活動の制限緩和が進展したことにより景気はゆるやかに回復する一方、長期化するウクライナ情勢等による原材料価格・エネルギー価格の高騰、中国でのゼロコロナ政策転換の影響、世界的なインフレに伴う金融引き締めや急激な為替変動等、今後の不透明感が増す状況となりました。
他方、光学薄膜装置分野の世界市場においては、スマートフォンの機能高度化、IoT分野(車載、AR/VR、医療、光通信)における応用範囲拡大、さらにはセンシング技術を中心に半導体光学融合の動きが進み、事業機会は拡大を続けております。
このような状況の下、受注高はスマートフォンカメラモジュール、自動車、AR/VR向けが好調に推移し、前年同期比で増加いたしました。
分野別売上高では、中国での都市封鎖影響があったものの、スマートフォンカメラモジュール、自動車、AR/VR、光通信向け装置販売が好調であったことにより、前年同期比で増収となりました。
利益面では、利益率の高い新型ALD成膜装置の売上高が著増し、収益の柱の一つに成長するとともに、利益面で大きく貢献しました。また、部品価格や物流コスト上昇等の影響はあったものの、調達コスト削減や作業効率改善等の原価改善活動の取り組みにより、営業利益は前年同期比で増益となりました。
円安による為替差益計上や持分法適用会社の出資金売却益計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比で増益となりました。
その結果、受注高は43,124百万円(前年同期比21.7%増)、売上高は34,304百万円(前年同期比11.0%増)、営業利益は7,448百万円(前年同期比6.0%増)、経常利益は8,762百万円(前年同期比10.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,889百万円(前年同期比8.8%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、65,401百万円と前連結会計年度末と比べ12,255百万円の増加となりました。増
加した要因は、原材料及び貯蔵品や仕掛品が増加したことなどによるものです。
固定資産は、17,514百万円と前連結会計年度末と比べ5,985百万円の増加となりました。増加した要因は、土地
や建物及び構築物が増加したことなどによるものです。
(負債)
流動負債は、28,400百万円と前連結会計年度末と比べ11,343百万円の増加となりました。増加した要因は、契約
負債(前連結会計年度末は前受金)が増加したことなどによるものです。
固定負債は、2,357百万円と前連結会計年度末と比べ822百万円の増加となりました。増加した要因は、繰延税金
負債が増加したことなどによるものです。
(純資産)
純資産は、52,158百万円と前連結会計年度末と比べ6,074百万円の増加となりました。増加した要因は、利益剰
余金が増加したことなどによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、34,922百万円となり、前連結会計年
度末に比べ2,649百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加1,808百万円や契約負債の増加9,410百万円などにより、
8,560百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産による支出4,379百万円などにより、4,395百万円の支出と
なりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額2,163百万円などにより、2,172百万円の支出となりまし
た。
④ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
成膜装置事業 |
21,194,717 |
133.0 |
(注)金額は製造原価によっております。
(ロ)受注実績
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
成膜装置事業 |
43,124,497 |
121.7 |
36,946,626 |
131.4 |
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。
|
セグメントの名称 |
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
|
成膜装置事業 |
34,304,362 |
111.0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Apple Inc.グループ |
3,182,051 |
10.3 |
2,158,794 |
6.3 |
|
Zhejiang Sunny Optics Co., Ltd. |
1,651,439 |
5.3 |
8,225,327 |
24.0 |
2.「Apple Inc.グループ」の販売高は、Apple Inc.とその関係会社に対する販売価格をすべて合算した金額を記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は、スマートフォンカメラモジュール高機能化を支えるALD装置販売や自動車の車載カメラ向け装置等の売上が好調に推移したことにより、前連結会計年度に比べ11.0%増加の34,304百万円となりました。その内、ALD装置や新型スパッタ装置等の売上高は9,485百万円でした。
(営業利益)
売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ10.6%増加し、19,356百万円となりました。調達コスト削減や作業効率改善等の原価改善活動の取り組み、利益率の高い新型装置販売が堅調であったことによる原価率改善等により、売上原価率は0.2ポイント減少し、56.4%となりました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ17.8%増加し、7,498百万円となりました。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ6.0%増加し、7,448百万円となりました。
(経常利益)
営業外損益は、為替差益477百万円やデリバティブ評価益222百万円等があったことにより、経常利益は前連結会計年度に比べ10.9%増加し、8,762百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、出資金売却益662百万円等があったことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ8.8%増加し、6,889百万円となりました。
今後の見通しにつきましては、長期化するウクライナ情勢等による原材料価格・エネルギー価格の高騰、世界的
なインフレに伴う金融引き締め等、世界経済は不透明な状況にあります。そのような状況の中、光学薄膜市場は、
新技術を取り入れた最終製品の進化は著しく、より高度な光学薄膜技術を反映した光学薄膜装置需要は拡大を継続
し、とりわけ半導体光学融合関連市場は加速する一方、競争環境も一層厳しくなることが予想されます。
最終製品の動向は、以下のように見込んでおります。
自動車は、ADAS(先進運転支援システム)の高度化・普及に伴い、各種センシング技術が進化しております。
AED(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化に伴い、フロントセンシングカメラが搭載され、さらなる高解像度化のた
めの複眼化、高機能化といった成膜需要の拡大を見込んでおります。さらに車両周辺の障害物検知の向上から車載
カメラの搭載率上昇やLiDAR技術の高解像度化が進むものと思われます。また、車内表示デバイスのディスプレイ
化は増加しており、ディスプレイの視認性向上に伴う成膜需要、ヘッドアップディスプレイの搭載率上昇や表示領
域の拡大による成膜需要が期待されます。
AR/VRは、ARスマートグラスやヘッドマウントディスプレイ等、ディスプレイの高解像度化や広視野角等の表示
機能の性能向上による成膜需要の拡大が期待されます。
スマートフォンは、ユーザーの買い替えサイクルが長期化する傾向にある中、市場自体が成熟局面に入っていま
す。一方、リアカメラの多眼化は主流となっており、一部ハイエンドモデルでは超望遠カメラを搭載したクアッド
タイプといったさらなる多眼化、SNS普及に伴い動画撮影機能の強化や暗所での撮影や動画の画質向上等の高機能
化が見られる等、カメラモジュールの高画質化や高感度化といった高機能化ニーズは継続すると見込まれます。
これらの最終製品市場動向を確実に捉え、市場ニーズ・顧客ニーズを新型成膜装置に反映するために、最先端分
野への研究開発投資を積極的に行います。注力施策として、光馳半導体技術(上海)有限公司の量産体制確立、本
邦新規購入施設稼働による研究開発機能の強化、半導体光学融合関連で外部技術企業との連携による事業基盤の飛
躍的拡充を通じ、さらなる成長を図ってまいります。
これらの状況をふまえ、2023年12月期の連結業績見通しにつきましては、売上高35,500百万円(前年同期比
3.5%増)、営業利益8,600百万円(前年同期比15.5%増)、経常利益8,600百万円(前年同期比1.9%減)、親会社
株主に帰属する当期純利益6,200百万円(前年同期比10.0%減)を予想しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業拡大を図るためのM&A等の投資であります。
運転資金については、自己資金の活用を行い、流動性が不足する見込みの場合は、短期長期ともに金融機関からの借入を基本としております。
また、原材料価格高騰や地政学リスクの高まり等により先行き不透明な中、不測の事態に備えるため、十分な手元流動性を確保するとともに、当座貸越枠を設定し、適時に必要資金を確保する体制としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成には、資産、負債、収益及び費用の測定等に経営者の見積り及び仮定を含んでおります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは顧客のニーズを把握し、的確かつ現実的な研究開発目標を設定し、市場変化に対応した開発スピードを維持しながら、顧客の求める開発成果を成膜装置に迅速に反映することを基本方針としております。
当社技術開発部門を中心に、光馳科技(上海)有限公司・光馳科技股份有限公司(台湾)・Afly solution Oyの4拠点体制に加え、2021年にALD事業強化を目的に新設した光馳半導体技術(上海)有限公司に研究開発機能を設け研究開発活動を行っております。このグローバル研究開発体制の下で、当社グループはグローバルな研究開発人材確保を行いつつ、世界市場での高度成膜技術ニーズの捕捉を積極的に進め、将来の顧客ニーズに狙いを定めた研究開発活動を継続的に展開してきております。こうした研究開発活動の成果は、最近のスマートフォンカメラモジュールの高機能化や半導体光学融合の動きにタイムリーに対応した、ALD装置をはじめとする新型装置の受注実績に表れております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
半導体光学向け水平・両面スパッタ装置及びプロセス開発、スマートフォン向け硬質加飾膜成膜装置及びプロセス開発、車載向け大型基板成膜装置及びプロセス開発、ALD成膜プロセス開発、エッチング技術開発等の研究開発活動を行っております。