第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は、「新しいテクノロジーを駆使し、今までになかった新しい便利、新しいよろこびを創り出し、世の中を応援し、社会に貢献してゆく」を経営理念に掲げております。経営理念を実現するために、団体活動を支援することにより団体から最も支持されるサービスを提供し、サービスを通じて得られたデータと新しいテクノロジーを融合させることで、データがメディアになる時代において、データベースを最も保有し、最も活かすことのできる企業を目指してまいります。

 

(2)経営戦略等

 当社は『らくらく連絡網』で取得したデータをもとに、主に『pinpoint』等のサービスを運営しております。当社の強みはデータ集めの仕組み作りとデータを活用した事業作りであり、その強みを活かして、主に以下の戦略を通じて事業を展開しております。

 

① データベースマーケティング会社としての地位確立

 当社が保有する『らくらく連絡網』の会員情報、及び会員の団体活動における行動属性等に関するビッグデータを適切に解析し、最適な方法で顧客のマーケティング活動を支援することで、データベースマーケティング会社としての地位を確立してまいります。また、データサプライヤーとのアライアンスやパートナーづくりを推進し、新たなデータの拡充も進めてまいります。

 

② データベースを活かした新サービスの創出

 当社では、『pinpoint DMP』に連携された『らくらく連絡網』を含む匿名加工化情報約2,000万人のデータベースを活かすことで、新規サービスや新規事業を展開することが可能であります。これにより成長分野への進出や、優位性を持ったサービスの構築が可能であり、『pinpoint DMP』に連携されたデータとテクノロジーを活用し、新しいサービスを創出、成長させることにより、収益を拡大させてまいります。

 

③ 運用型求人広告の推進と拡大

 独自のデータベースと、得意とするアドテクノロジーを駆使し、変革する可能性の高い求人広告市場での展開に注力してまいります。少子高齢化を背景にした構造的な人手不足という課題に対し、採用広告領域においては、従来の予約型広告から運用型求人広告へ大きく変化しようとしている中、『pinpoint』や『HR Ads Platform』を通じて求人企業の人手不足解消と求職者への最適な就労の場を提供すべく、求人広告市場における社会的課題に取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長を達成するために、着実に利益を確保することを重視しており、「営業利益」を重要な指標として位置づけております。

 

(4)経営環境等

 当事業年度におけるわが国経済は、訪日インバウンド市場もコロナ禍を経て大きく成長しており、個人消費については若干の回復がみられますが、依然として不確実性が高い状況が続いております。また、米国の政権交代やウクライナ情勢の変化、中東地域の緊張の高まりなど、世界経済に影響を与える要因が多岐にわたっています。

 当社が属するインターネット広告市場においては、拡大を続けており、当社が注力してまいりましたインターネットを活用した求人広告市場につきましては、2025年3月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.26倍(厚生労働省「一般職業紹介状況 (令和7年3月分及び令和6年度分)について」)で直近では同水準で推移しているものの、今後のより一層の回復が望まれます。

 このような社会環境下ではありますが、当社としては経営戦略を着実に進めるとともに、経営課題に取り組んでまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 競争力の強化

a HR領域の収益強化

 売上高全体の7割程度を占めるHRデータ事業の収益力強化は重要事項と認識しております。HRアドプラットフォームは、2020年10月に日本で初めてサービスを開始した、求人企業と求人メディアを繋ぐ運用型求人広告プラットフォームです。2024年に大手企業による類似サービスが開始され、市場へのサービス認知が進んだ結果、当社サービスの売上も急速に拡大し、導入企業数1000社、公開求人原稿数は90万件を突破しました。成 長を加速するため、新規代理店の追加をはじめとして様々な対応を行ってまいります。またHRアドプラットフォームの入口となる採用支援システム(ATS)であるジョブオレにつきましては、導入企業数1500社、公開求人原稿数は100万件を突破し、こちらも順調に拡大しております。さらなる拡大のため、機能開発や他社サービスとの提携を進め、これまでの「応募獲得に特化したATS」から「採用に強い多機能ATS」への移行を目指します。

 

b コミュニケーションデータ事業の再建

 「らくらく連絡網+(プラス)」「pinpoint」などから構成されるコミュニケーションデータ事業は、それぞれ、売上上位の顧客が剥落した結果、2年連続で売上減少し、2022年3月期の売上を下回る水準まで低下しており再建が急務となっております。「pinpoint」においては、新卒支援サービス市場においてシェア率の高い代理店との連携を強化しており、2025年3月期においては、前年比387%の引合数を獲得しております。引合を確実に売上に繋げるとともに、代理店との連携をさらに深めることで引合数の増加を目指します。「らくらく連絡網+(プラス)」においては、2025年3月期において、これまで予定していた投資計画の大半を凍結することといたしました。データセンターの見直しや、外注内容の最適化などコスト見直しによる運営体制の最適化を推進し、さらなるコスト削減を行ってまいります。

 

c 新規事業の整理

 2022年11月より様々な新規事業を開始してまいりましたが、2025年3月期の上半期は売上減とコスト増により大きな赤字を計上しました。収益力向上のため、選択と集中による資源の再配分が必要と認識しております。2025年3月期においてはペット総合メディア「perrole」の終了、「休日いぬ部」のOTA化の停止を行いました。赤字事業であるペット事業、旅行事業においては、2026年度内の黒字化を目指します。一方で、黒字事業であるweb3事業においては、代理店の拡充や商品ラインナップの拡充などにより、さらなる成長を目指します。

 

d 技術革新への対応

 当社が事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のサイクルが極めて早く、かつ、新たなスマートデバイス等のインターネット端末の技術革新も絶えず進化していることが特徴です。

 また、アドテクノロジー分野においては、広告配信システムの開発、改善、機能強化等や、アドテクノロジー広告の新たな技法の開発、配信アルゴリズムの変化等が進むことが想定されます。同様にプラットフォーム開発においても、マッチングやマッピングの精度向上や自動化が進むことが想定されます。当社は、このような急速に変化する環境にも柔軟に対応すべく、業界の動向を注視し、機械学習等の先端的なテクノロジーの知見やノウハウやデータの蓄積、高度な技能を習得した優秀な技術者の採用と育成を積極的に推進してまいります。

 

② 社内体制の強化

a 情報管理体制の強化

 当社は、個人情報を扱う企業であり、個人情報の保護をはじめとした情報管理の徹底については、常に経営上の大きな取り組み課題だと考えております。

 個人情報等の機密情報について、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備、プライバシーマーク制度の認証取得等により、情報管理の徹底を図っておりますが、今後も引き続き、情報管理体制の強化を図ってまいります。

 また、当社では、2017年10月より、匿名加工情報の取扱を開始し適法な運用を図っており、適切な運用ができるよう社内体制の整備と教育を行っております。

 近年、GAFAに代表されるプラットフォーマーがcookie等の利用に関する制限を強化しております。当社では、主に広告IDを利用し、cookieには多くを依存しない形での匿名加工情報の活用を進めておりますが、今後、当社の出稿する各種インターネットメディアやプラットフォーマーにおける関連ガイドラインが大きく変更された場合に備え、情報の収集と速やかに対応できる社内体制の構築に努めてまいります。

 

b システムの安定性確保

 当社は、『らくらく連絡網』等、ユーザーの社会活動インフラに大きく関わるサービスをインターネット上で提供しており、サービス提供に係るシステム稼働の安定性を確保することが経営上の重要な課題であると認識しております。そのため、サーバー設備の強化や負荷分散システムの導入が必要不可欠であると認識しております。

 今後につきましても、ユーザー数増加や新規事業の立ち上がり等に伴うアクセス数の増加を考慮し、継続的かつ適時適切な設備投資を行うことで、システムの安定性確保に取り組んでまいります。

 

c 優秀な人材の確保と育成

 当社は、未だ成長過程にあり、今後の事業拡大・成長に伴い、継続して専門性あるいはポテンシャルの高い優秀な人材の採用を行っていく必要があります。

 また、新卒採用による若手社員の比率が高まっており、事業拡大のためにこれら若手人材の育成とマネジメント体制や教育体制の構築も重要であると認識しております。引き続き、人材戦略を経営戦略の一つと位置付け、新たな部門を設ける等本課題に取り組んでまいります。

 

d 経営管理体制の構築

 当社は、今後も事業の拡大を図るにあたり、事業をより効率的かつ安定的に運営していくためにも、業務の標準化と効率化を進め、コーポレート・ガバナンス機能、コンプライアンス体制の更なる強化、内部統制システムの整備・充実の継続的な推進等、リスク管理体制を更に強化し、経営管理体制を構築していくことが重要であると認識しております。

 会社の規模や成長に合わせ、適宜、ビジネスプロセスや意思決定プロセスの改善、組織体制の最適化を積極的に実施してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

 当社にとってのサステナビリティとは、事業を通して社会課題の解決に寄与することであり、当社の持続的な成長が、社会の持続的な発展に貢献できるような世界を目指すことです。その実現に向けて、顧客、取引先、従業員、株主はもちろん、環境や社会とのエンゲージメントも非常に重要であると考え、2001年の創業以来、あらゆるステークホルダーとのエンゲージメントを大切に、サステナビリティを重視した経営を実践しております。

 当社は、経営に関するさまざまなリスクを審議するため、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析し、グループ各社に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えています。

 

① ガバナンス

(基本的な考え方)

 当社は、「新しい便利、新しいよろこびをつくる。」という創業以来の経営理念を追求する経営哲学のもと、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な考えとしております。その実現のため、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、従業員等各ステークホルダーと良好な関係を築き、長期的視野の中で企業価値の向上を目指すべく経営活動を推進しております。

 

 取締役会を経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則月1回開催するとともに、事業経営にスピーディーな意思決定と柔軟な組織対応を可能にするため、取締役及び事業責任者等が出席する経営戦略会議を原則毎週開催しております。加えて、業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性を監査するため、監査役が取締役会に出席することで議事内容や手続き等につき逐次確認いたしております。また、内部監査人を置き、内部監査を実施し、監査結果を定期的に取締役会・代表取締役社長に報告しております。

 

 ディスクロージャーに関しましては、会社法、金融商品取引法に定められた情報開示はもとより、取引所が定める「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づく情報開示は、上場会社としての当然の責務と考えております。また、株主・機関投資家・個人投資家・顧客等に向けたIR活動も重要な企業責任であるとの認識に立っており、一般に公正妥当と認められた企業会計基準を尊重し、監査法人のアドバイス等を積極的に受け入れ、制度としてのディスクロージャーの他、リスク情報を含めた自発的なディスクロージャーにも重点を置き、透明性、迅速性、継続性を基本として積極的な開示に努めております。

 

(コーポレート・ガバナンス体制)

 当社は、取締役会において、経営の重要な意思決定及び業務執行の監督を行うとともに、監査役会設置会社として、取締役会から独立した監査役及び監査役会により、職務執行状況等の監査を実施しております。継続して公正で透明性の高い経営活動を推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の整備・強化に取り組みます。

 

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② 戦略

(人材の採用及び育成に関する方針)

 当社は、「組織力」と「人材力」の両方を高めるために、多様性確保を含む人材の採用と育成は非常に重要な事項であると考えております。採用・育成に関する具体的な取り組み内容は、下記のとおりです。

 

<採用>

 「組織力」と「人材力」の向上に向けて、入社の入り口である採用は非常に重要です。当社は事業は人が全てであると考えており、採用を最重要項目ととらえ、社長自らが率先し、採用候補者とは必ず面接の上、評価しております。特に、中途採用においては、主に紹介会社を通じ積極的な採用を行っております。当社は、今後も積極的に新規事業を立ち上げていく方針であり、事業責任者などを担える幹部候補については、主に配属先となる経営幹部等との面接を行い、相互理解を深めて頂く形式を取っており、内定後の入社率を高水準に保っております。

 

<育成>

 事業戦略の遂行には、社員ひとりひとりの成長が欠かせません。当社では、持続的な成長、継続的な発展のため、「頑張った人が報われる組織」、「当社で働くことで成長実感を味わえるか」という観点で制度設計を行っております。「収益改善コンテスト」など組織への貢献を促し報奨金を出す仕組みや、実業を離れた成長機会として2022年1月より、選抜型で社長自らが講師となる研修を行っております。

 

(社内環境整備に関する方針)

 当社では、人事制度の整備は非常に重要な事項であると考えております。人事制度・組織風土に関する具体的な取り組み内容は、以下のとおりです。

 

<人事制度>

 それまで社員ごとに職級、等級を定め、考課に応じて給与ピッチを改定する職級制を採用しておりましたが、2022年4月に事業に必要な役割(ミッショングレード)をあらかじめ定義し、社員に担ってもらうグレード制に変更いたしました。このグレード制においては、半期ごとに考課を行い、役割(ミッショングレード)ごとの基本給に対し、半期考課による7段階の個人評価により給料が変動いたします。中途採用を意識した競争力のあるグレード設計を行っており、個人のキャリアビジョンもふまえた成長機会やグレード異動に対応できるものとなっております。

 またライフスタイルに応じた柔軟な働き方が出来るようフレックスタイム制度やリモートワーク制度等働きやすい環境づくりを推進しており、今後も従業員の待遇改善に繋がる制度変更を積極的に推進してまいります。

 

<組織風土>

 風土形成に向けては、「コミュニケーション」を大切にしております。経営層から現場、部署同士、または全社員をつなぐコミュニケーションの機会を様々なタイミングで展開しています。代表的な施策は「社内報」及び全社員が参加する「全体会」や「キックオフ」といった会議運営です。

「社内報」については、広報担当者を中心に組織横断のタスクフォースを組成しており、月1回以上の頻度で発信しております。「全体会」は、月に1度オンラインで開催される全社員参加の会議です。各部署の活動状況、他情報共有の場となっております。「キックオフ」は、半期ごとに全社員が一堂に会して開催される会議です。部署ごとの半期の実績および今後の目標、個人表彰に加え、社員の交流を促すレクリエーションを行っております。

 

③ リスク管理

 当社は、経営に関するさまざまなリスクを審議するため、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析し、各部署に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えています。

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④ 指標及び目標

<人的資本ROI>

2025年3月期の実績は、△0.9%となりました。

 なお、人的資本ROI=調整後営業利益÷人的資本コストとして算出しております。

 調整後営業利益は、営業利益から、のれんなど一時的要因を排除した事業の業績を測る利益指標です。人的資本コストとは、従業員の給与や賞与、法定福利費、福利厚生費、その他役員報酬等などを含んだ費用の合計です。

 

 当社は人的資本に適切に投資を行い、そのリターンとしての組織成果を高めることが重要であるという考えのもと、投資とリターンのバランスを目指した経営を行ってまいります。2026年3月期においては、人的資本に対し適切に投資を行い、2025年3月期実績を超える水準を目指してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社では、リスクは環境変化の中での「不確実性」と捉え、プラス面(機会)とマイナス面(脅威)の両面があると考えております。従って、マイナス面のリスクに対し、適切にリスクヘッジをする一方、マーケットの変化を見極め、積極的なリスクテイクを行うことで今後の企業の持続的成長につながると考えております。

 また、「市場環境に関するリスク」、「技術革新や法的規制、プラットフォーマーの動向に関するリスク」、「競争環境の変化に関するリスク」、「自社固有の内部リスク」に分けております。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 また、「新型コロナウイルス感染症の影響によるリスク」については、多岐にわたるため最後にまとめて再掲しております。

 

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(1)市場環境に関するリスクについて

(特に重要なリスク)

① インターネットを活用した求人広告市場

 当社は、『HR Ads Platform』が属し、また『pinpoint』を通じてインターネットを活用した求人広告市場に注力しております。インターネットを活用した求人広告市場は、2024年度平均の有効求人倍率は1.25倍、2025年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.26倍となり、前年同期比でそれぞれ0.04ポイント減少、0.02ポイント増加しております(厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年3月分及び令和6年度分)について」)。新型コロナウイルス感染症の影響等により、雇用情勢等の経済環境が著しく変動した場合、当社の当面の業績に影響を与える可能性があります。

 一方で、近い将来の事象として当社が予測しておりました新卒採用の通年化や、大規模就職フェア等による採用母集団形成からウェブでの母集団形成への流れが加速することも考えられることから、適切なタイミングで十分な投資を通じたサービスを提供できれば、長期的には当社の強みとするデータベースを活用した運用型の求人広告の強みが発揮できると考えております。

 

② インターネット広告市場

 当社は『pinpoint』、『らくらく連絡網』等の各分野で求人広告以外にも一部でインターネット広告を収入源としております。2024年の広告費は3兆6,517億円(前年比109.6%増)となり、広告市場全体の成長を後押しする結果となりました(株式会社電通「2024年 日本の広告費」)。

 しかしながら、クライアント企業の戦略上の予算方針やその配分方針に変化が生じた場合等の急激な景気悪化等により広告需要が減少、或いは媒体別の配分方針に変化がおきた場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)技術革新や法的規制、プラットフォーマーの動向に関するリスク

(特に重要なリスク)

① 個人情報の取扱いについて

 当社は、登録ユーザーを広く募っており、ユーザー登録に伴って各種の個人情報を取得していることから、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課されております。

 当社は、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、個人情報の外部漏洩、不適切な利用、改ざん等の防止を徹底すべく、個人情報保護管理規程を制定し、また、社内教育を通じて関連ルールの周知と意識の向上を図っております。なお、当社は、一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークの認定・付与を受けておりますが、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、損害賠償を含む法的責任を課される可能性があります。また、広告主及びユーザーの信頼を失い、さらにはブランドイメージの悪化等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 個人情報の保護に関する法的規制やプラットフォーマー等の動向について

 当社は『pinpoint』等において、ユーザー登録情報に基づきDMPに格納された匿名加工情報を活用しております。匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工し、当該個人情報を復元できないようにした情報のことをいい、「個人情報の保護に関する法律」の改正により、一定のルールの下で事業者間におけるデータ取引やデータ連携を含むパーソナルデータの利活用を促進することを目的に導入されたものであります。当社では、2017年10月より、匿名加工情報の取扱を開始し適法な運用を図っております。また、今後の個人情報保護法の改正動向を見極め、適切な運用ができるよう社内体制の整備と教育も行っております。

 昨今、GAFAに代表されるプラットフォーマー等がcookieの利用に関する制限を強化しております。当社では主に広告IDを利用し、cookieには多くを依存しない形での匿名加工情報の活用を進めておりますが、今後、当社の出稿する各種インターネットメディアやプラットフォーマーにおける関連ガイドラインが大きく変更された場合、あるいは匿名加工情報の利用の制限につながる法的規制が大きく変更された場合は、当社の広告効果に影響を及ぼし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

技術革新について

 当社が事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のサイクルが極めて早くかつ、新たなスマートデバイス等のインターネット端末の技術革新も絶えず進化していることが特徴となっております。また、アドテクノロジー分野において、広告配信システムの開発、改善、機能強化等や、アドテクノロジー広告の新たな技法の開発、配信アルゴリズムの変化等が進むことが想定されます。当社は、このような急速に変化する環境に柔軟に対応すべく、業界の動向を注視し、先端的なテクノロジーの知見やノウハウの研究と蓄積、高度な技能を習得した優秀な技術者の採用と育成を積極的に推進してまいります。

 しかしながら、何らかの要因により技術革新にうまく対応できなかった場合、当社の技術的優位性やサービス競争力が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(その他のリスク)

個人情報保護法以外の法的規制等について

 当社は、事業継続に必ずしも著しく重要な影響を及ぼす法的規制等ではありませんが、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、「職業安定法」、「労働基準法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「旅行業法」等の各種法的規制等を受けております。

 当社では社内教育を実施する等、これらの法令遵守体制の構築に努めておりますが、新たな法的規制の制定や既存法令等の改正又は解釈変更等がなされた場合には、当社の事業が制約を受ける可能性や新たな法的規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)競争環境の変化に関するリスク

(特に重要なリスク)

新しいサービスの台頭を含む競合について

 当社が事業展開しているインターネット広告市場やインターネット求人情報市場においては、現時点で競合他社が国内外に複数存在しており、今後も新しいサービスを掲げる新規参入企業等により競争が激化することが予想されます。また、当社が予想しておりました「求人広告における予約掲載型広告から、運用型広告への移行」は、「Indeed」に代表される検索連動型の運用広告を中心に、スピード感を持った拡大を見せております。

 当社は、『らくらく連絡網』においては連絡網に特化することによるSNSサービスとしての独自性の確立につとめ、『pinpoint』においては、『らくらく連絡網』の登録情報を基にした精度の高いデータを匿名加工化した情報をベースとする自社プロダクトであるプライベートDMP『pinpoint DMP』の開発を通じた独自の強みを持った高付加価値DMPを実現してまいるとともに、『ガクバアルバイト』・『らくらくアルバイト』によって培った他社媒体との提携やクライアント企業の案件への応募数の拡大のノウハウ等、運用型広告に必要とされる運用力の優位性の構築を推進してまいりました。

 しかしながら、企画力・開発力・資金等を潤沢に持つ企業の新規参入や台頭、あるいは当社が資金等を含む何らかの理由によりタイムリーに新しいサービスを提供できなかった場合、業界構造の変化の際に起きがちな一時的な過当競争等により当社の優位性を保てなくなった場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)自社固有の内部リスク

(特に重要なリスク)

① 事業拡大に伴う設備投資の増加と減損のリスクについて

 当社は、サービスの安定稼働やユーザー満足度の向上を図るためには、サービスの成長段階に即してシステムやインフラに対する先行投資を行っていくことが必要であると認識しております。また、当社が予想する求人広告市場の変化をいち早くとらえ、事業拡大の機会とするために、新たな市場ニーズにそったサービスの構築のため、『ジョブオレ』や『HR Ads Platform』のような新規サービスに対するタイムリーかつ適切な投資が必要であるとも考えております。今後予測されるユーザー数及びトラフィックの拡大、並びに新サービスの需要やセキュリティの向上に備えて継続的な設備投資を計画しております。

 しかしながら、実際のユーザー数及びトラフィック、あるいは新サービスの需要が当初の予測から大幅に乖離する場合は、設備投資の時期、内容、規模について変更せざるを得なくなる可能性があります。このような事態が生じた場合、設備投資、減価償却費負担の増加が想定され、また、減損のリスクが生じることで当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 株式価値の希薄化について

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、業績への影響が大きくなった場合等に、事業継続あるいは将来の事業拡大のための投資資金の確保等の目的で、第三者割当増資や資本借入等を行うことも考えられます。増資が行われた場合は、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 また、当社は、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度、また、2020年6月24日開催の第19回定時株主総会にて決議されました譲渡制限付株式報酬制度を採用しております。

 今後につきましても役員及び従業員へのインセンティブプランとしてストック・オプション制度ならびに譲渡制限付株式報酬制度を活用していくことを検討しており、付与している新株予約権の行使または譲渡制限付株式の発行が行われた場合は、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、提出日の前月末現在における新株予約権による潜在株式は347,800株であり、発行済株式総数3,148,992株(2025年5月31日現在)の11%に相当します。

 

③ 大株主との関係について

 当事業年度末現在、当社の取締役である吉田直人が保有している株式数は563,300株存在し、発行済株式総数2,648,992株の21.3%に相当します。当社としては、同氏は当社の創業者であり、当社取締役会長であるため、長期保有の意向であると認識しておりますが、何らかの事情により同氏の当社株式の保有方針に変更が生じ、やむを得ず当該株式の売却を市場で行った場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。さらに、市場での売却ではなく特定の相手先への譲渡を行った場合には、当該譲渡先の保有株数や当社に対する方針によっては、当社の事業戦略等に影響を与える可能性があります。

 

(重要なリスク)

① システム障害について

 当社の事業は、コンピューターシステムや通信ネットワークに依存しております。そのため、ネットワーク機器の故障やアクセス過多によるサーバーの停止、事故、火災、自然災害、電力供給の停止、コンピューターウィルスやハッカーの侵入等によるシステムトラブル、従業員の誤操作によるネットワーク障害等について、その発生を防止するべく、稼働状況の常時監視、定期的なバックアップの実施、サーバーの負荷分散、セキュリティ対策による外部からの不正アクセスの回避、内部統制の構築等に取り組んでおります。

 しかしながら、予測不可能な要因によって、コンテンツを管理しているサーバーやシステム、通信ネットワーク、データセンターに何らかのトラブルが発生した場合、円滑に事業を運営できなくなる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の獲得・育成について

 当社は、未だ成長過程にあり、今後の事業拡大・成長に伴い、継続して優秀な人材の確保・育成を行っていく方針であります。また、新卒採用による若手社員の比率が高まっており、事業拡大のためにこれら若手人材の育成が重要であると認識しております。引き続き、人材戦略を経営戦略の一つと位置付け、新たな部門を設ける等本課題にあたっております。

 しかしながら、人材の確保・育成が計画通りに進まない場合や、既存人材の社外流出等が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(その他のリスク)

① 内部管理体制について

 当社は、企業価値の持続的な増大を図るためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。当社では、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、更には健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底等、内部管理体制の充実、継続的なコンプライアンス体制の強化に努めており、今後についても、規模に応じた業務執行体制の整備や内部管理体制の更なる強化を図っていく方針であります。

 しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況や法令等に抵触する事態が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 自然災害等について

 地震、台風、津波等の自然災害、感染症の拡大、国際紛争等が発生した場合やこれに伴う地域経済の悪化等により、当社の事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。これらの災害等が発生した場合、当社は速やかに全社的な危機管理や復旧対応を行うよう努めてまいりますが、各種災害や国際紛争等による物的、人的損害が甚大である場合には、事業の継続自体が困難となる可能性があります。

 

③ 新規事業について

 当社では今後も積極的に新規事業を進めてまいりますが、これに伴うシステムへの先行投資や人件費等の追加的な支出により、利益率が低下する可能性があります。また、当初計画とは異なる状況により新規事業の展開が想定どおりに進まない場合には、当初の投資を回収できず、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。当社では新規事業の進捗に関して定期的なモニタリングを実施しており、外部環境の変化や追加コストの発生に対して柔軟に対応できる体制を構築しておりますが、今後も更なる高い精度の実現に向けて取り組んでまいります。

 

④ M&Aに関するリスクについて

 当社は事業規模の拡大を目指すため、既存事業の強化や新規事業領域への参入を通じた企業価値の最大化を目指しております。そのための手法の一つとして、今後、M&Aを実施する可能性があります。その対象となる企業や事業については事前に詳細な調査を行い、十分にリスクを検討した上で適切なプロセスを経て進めてまいりますが、買収後に未認識債務の判明や偶発債務の発生等、事前の調査で把握できなかった問題が生じる可能性があります。また、買収後の事業展開が計画通りに進まない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、M&Aにより新規事業領域が追加される場合には、その事業固有のリスク要因も追加されます。

 M&Aの実施に伴い、のれんが生じる場合があります。対象企業における期待キャッシュ・フローが事業計画と乖離した場合には、のれんの減損損失が計上されることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 継続企業の前提に関する重要事象等について

 当事業年度は、減損損失の影響により493,222千円の当期純損失を計上し、翌事業年度は収益性改善の途上にあることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しているものと認識しております。

 このような事象又は状況を解消するために、翌事業年度以降の業績回復を目的とした既存事業の売上強化を始めとする諸施策を講じる中で、『HRデータ事業』においては『HR Ads Platform』の営業強化による成長の加速、『コミュニケーションデータ事業』においては、『pinpoint』のシニア・中途採用マーケットなどの新領域への展開、『Web3事業』については主力代理店の獲得、『旅行事業』・『ペット事業』については、売上拡大による早期黒字化に注力してまいります。また、財務基盤は安定していることに加え、金融機関との当座貸越契約の未実行残高を160,000千円確保しており、十分な運転資金を確保できているものと判断しております。

 以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

  当事業年度におけるわが国経済は、訪日インバウンド市場もコロナ禍を経て大きく成長しており、個人消費に

 ついては若干の回復がみられますが、依然として不確実性が高い状況が続いております。また、米国の政権交代

 やウクライナ情勢の変化、中東地域の緊張の高まりなど、世界経済に影響を与える要因が多岐にわたっていま

 す。

  当社が属するインターネット広告市場においては、拡大を続けており、当社が注力してまいりましたインター

 ネットを活用した求人広告市場につきましては、2025年3月の有効求人倍率(季節調整値)は、1.26倍(厚生労

 働省「一般職業紹介状況 (令和7年3月分及び令和6年度分)について」)で直近では同水準で推移している

 ものの、今後のより一層の回復が望まれます。

  このような事業環境の下、事業の分類を『コミュニケーションデータ事業』、『HRデータ事業』、『新規事

 業』及び『その他』の4つの区分として各事業を進めておりました。『新規事業』は事業開始より1年以上が経

 過したこともあり、2025年3月期第3四半期より『ペット事業』、『Web3事業』及び『旅行事業』にそれぞれ区

 分して記載しております。

  『コミュニケーションデータ事業』は、当社の優位性の一つであるデータとテクノロジーを組み合わせて収益

 を上げていく事業として、『らくらく連絡網』、『pinpoint』及び『他媒体広告』を含めており、代理店戦略の

 強化やアライアンスの推進を行い、データの拡充と有効活用を引き続き図ってまいりました。

  『HRデータ事業』は、顧客が求人業界であり、当社が培ってきた求人広告分野におけるノウハウとテクノロジ

 ーを組み合わせた事業として、『求人検索エンジン』、『HR Ads Platform』及び『ジョブオレ』を含めてお

 り、引き続き『HR Ads Platform』に社内リソースを集中させて、新規求人メディア連携やATS連携の強化を図っ

 てまいりました。

  『ペット事業』はペット関連事業として、当社が運営するWebサイトによる広告収入を上げていく事業である

 『休日いぬ部』、『Perrole』(2025年3月でサービス終了)を含めており、当事業年度は自社でのOTA事業立ち

 上げを目指しておりましたが、2024年9月に開発を中断し、運営サイトの価値向上のため、Webサイトの改善お

 よびWebマーケティングの強化を行ってまいりました。2025年2月には『休日グランピング部』を新たにリリー

 スいたしました。

  『Web3事業』は、当社と提携しているDigital Entertainment Asset社(以下「DEA社」)が運営するWeb3ゲー

 ム内で使用するアイテムやNFTの販売代理業、及びギルド運営を行っており、当事業年度は、DEA社と連携した新

 商品の開発及び販売代理店の拡充を図ってまいりました。

  『旅行事業』は、運営サイト『ポケカル』及び『ポケカル』が保有する会員への会報誌配布により顧客を獲得

 している旅行業であり、当事業年度は、旅行商品の造成力の強化、催行率の向上を図ってまいりました。

  その結果、『らくらく連絡網』の2025年3月末時点の会員数は691万人(前年同期比1.2%減)、アプリ会員数

 は328万人(前年同期比6.0%増)、有効団体数は38万団体(前年同期比0.5%減)、『ジョブオレ』の2025年3

 月末時点の求人原稿数は1,810千件(前年同期比199.4%増)となっております。

  以上の結果、当事業年度の売上高は3,549,234千円(前年同期比7.0%減)、営業損失は20,189千円(前年同期

 は41,944千円の営業利益)、経常損失は24,253千円(前年同期は43,713千円の経常利益)、当期純損失493,222

 千円(前年同期は36,623千円の当期純利益)となりました。

  なお、当社は、インターネットメディア関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略し

 ております。

 

② キャッシュ・フローの状況

  当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前事業年度末に比べ118,128千円増加

 し、375,712千円(前年同期比45.9%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおり

 であります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動により使用した資金は18,205千円(前年同期は94,893千円の獲得)となりました。これは主に、前受

 金の増加額13,789千円、売上債権の増加額39,761千円、仕入債務の増加額21,723千円及び未払金の減少額18,961

 千円があったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動により使用した資金は83,668千円(前年同期比75.4%減)となりました。これは主に、無形固定資産

 の取得による支出105,337千円、無形固定資産の売却による収入21,669千円があったことによるものでありま

 す。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動により獲得した資金は220,002千円(前年同期比383.1%増)となりました。これは主に、長期借入れ

 による収入が200,000千円あったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の主たる事業は、インターネットを利用したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。

 なお、当社は単一セグメントでありセグメント情報を記載していないため、サービス別に記載しております。

事業の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

コミュニケーションデータ事業

581,221

△27.6

HRデータ事業

2,360,320

△5.9

Web3事業

251,274

8.3

旅行事業

247,368

46.1

ペット事業

21,108

△30.9

その他

87,940

17.9

合計

3,549,234

△7.0

(注)当事業年度より、上述の通り、『コミュニケーションデータ事業』、『HRデータ事業』、『Web3事業』、『旅行事業』、『ペット事業』及び『その他』としておりますが、前年同期比に関しては、組替えた後の数値にて比較して算出しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績

(売上高)

 売上高は、前事業年度より268,602千円(7.0%)減少し、3,549,234千円となりました。これは主に、『コミュニケーションデータ事業』に関しては、減収となったものの期初計画通りに売上・利益を確保し、『HRデータ事業』において、運用型広告の当社運用力を背景に他社からの乗り換えやコロナ禍の影響を受けにくい顧客群の強化を行ってきたことにより、売上高を牽引し、『Web3事業』については主に代理店によるNFT販売が好調だったものの合計では前期比で減収したものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 売上原価は、前事業年度より184,851千円(6.8%)減少し、2,528,918千円となり、売上原価率は0.2ポイント増加して71.3%となりました。これは主に、仕入高が151,742千円減少したこと等によるものであります。

 以上の結果、売上総利益は、前事業年度より83,751千円(7.6%)減少し、1,020,315千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ21,616千円(2.0%)減少し、1,040,504千円となり、売上に対する販売費及び一般管理費の比率は、1.5ポイント増加して、29.3%となりました。これは主に、採用関連費が24,334千円減少し、給与手当が47,803千円減少、販売手数料が40,921千円増加したこと等によるものであります。

 以上の結果、営業利益は前事業年度より62,134千円(148.1%)減少し、20,189千円の営業損失となりました。

 

(営業外損益)

 営業外損益は、前事業年度の1,768千円の収益(純額)から4,064千円の費用(純額)となりました。これは主に、支払手数料が2,350千円、株式報酬費用消滅損が2,400千円増加したこと等によるものであります。

 以上の結果、経常利益は前事業年度より67,967千円減少し、24,253千円の経常損失となりました。

 

(特別損益)

 特別損益は、前事業年度の4,800千円の損失(純額)から466,660千円の損失(純額)となりました。これは主に、前事業年度において、特別退職金が4,800千円、当事業年度において、減損損失が463,862千円発生したことによるものであります。

 

(法人税等合計)

 法人税等合計は、前事業年度に比べ18千円(0.8%)増加して、2,308千円となりました。これは法人税等が18千円増加したことによるものであります。

 以上の結果、当期純利益は、前事業年度より527,445千円減少し、493,222千円の当期純損失となりました。

 

b.財政状態

(資産)

  当事業年度末における資産は1,046,576千円となり、前事業年度末に比べて290,350千円(21.7%)減少い

 たしました。これは主として、ソフトウエアが193,229千円、ソフトウエア仮勘定が94,631千円、のれん

 が114,414千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

  当事業年度末における負債は736,051千円となり、前事業年度末に比べて202,870千円(38.0%)増加いた

 しました。これは主として、長期借入金が140,006千円、短期借入金が40,000千円、1年内返済予定の長期

 借入金が39,996千円、買掛金が21,723千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

  当事業年度末における純資産は310,524千円となり、前事業年度末に比べて493,222千円(61.4%)減少い

 たしました。これは、当期純損失の計上に伴い利益剰余金が493,222千円減少したことによるものでありま

 す。

 

c.キャッシュ・フロー

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、媒体仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、サーバー等の設備投資、サービス開発に係る労務費、外注費等によるものであります。必要資金については原則として手許資金で賄っておりますが、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、その当座貸越極度額は200,000千円であります。

 当社は、財務基盤を強化するとともに、成長のための投資資金の確保を実現するため、財務の健全性や資本効率等当社にとって最適な資本構成を追求しながら、新たなサービスの開発等、会社の将来の成長のための内部留保の充実を図る必要があると考えております。

 

e.経営戦略の現状と見通し

 2026年3月期は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の緩和などにより個人消費の回復やインバウンド需要の増加に向かうと期待しておりますが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による、原材料の価格高騰や材料不足などから起こるインフレーションによる消費マインドの冷え込みリスクなど、経済の先行きは不透明な状況が続くと予想されます。

 2026年3月期は、『コミュニケーションデータ事業』に関しては、『らくらく連絡網+』のコスト削減を行うとともに、新卒支援サービス市場でのシェア率の高い代理店との連携強化による大幅な引合数の増加を確実に受注に繋げること、中途市場及びシニア市場へのWebマーケティングにより『pinpoint』の売上拡大を目指します。

 『HRデータ事業』に関しては、『HR Ads Platform』の新規求人メディア連携やATS連携の強化を図るとともに、人事管理系ツールとの連携や採用BIツールの構築等に、引き続き注力してまいります。『求人検索エンジン』については既存顧客の継続率を維持しつつアップセルを強化していくとともに、サービス提供者の動向を注視し審査落ちの影響を極力受けないよう配慮しながら、効果の高いサービス提供に取り組んでまいります。

 『ペット事業』については、立ち上がり好調な新サイト『休日グランピング部』の継続的な成長を促進するとともに、『休日グランピング部』の開発で確立した新サイト開発メソッドにより、今期中に新たな検索サイトの立ち上げを目指してまいります。

 『Web3事業』については、引き続き代理店の開拓、商品ラインナップの拡充を行うとともに、新たに開始したGPUサーバー販売との連携による相乗効果を目指します。

 『旅行事業』については、会員基盤を有する他社との連携による販路拡大を目指すとともに、Webマーケティングの強化により、Web経由の売上比率向上を目指します。

 以上の状況を背景に、売上高は3,887,000千円(前年同期比9.5%増)となり、営業利益は50,000千円(前年同期は営業損失)、経常利益は、48,000千円(前年同期は経常損失)、当期純利益は46,000千円(前年同期は当期純損失)を予想しております。

f.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制、内部管理体制を強化し、社会のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を行ってまいります。

 

g.経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、今後のさらなる成長のために、スピーディーな事業展開による収益基盤の強化と多角化、システムセキュリティの維持と情報管理体制の強化、及びこれらを担う優秀な人材確保が大きな課題であると考え、これらの達成を中期的な目標としております。詳細につきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 (資本業務提携及び第三者割当による新株式の発行)

  当社は、2025年3月26日開催の取締役会において、投資事業有限責任組合JAIC-Web3ファンド及び株式会社ZUUに

 対して、第三者割当の方法により新株式の発行を行うことを決議しました。

  また、2025年4月14日開催の取締役会において、株式会社ZUUとの間で資本業務提携を行うことを決議しており

 ます。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 (新株予約権の発行)

  当社は、2025年3月26日開催の取締役会において、投資事業有限責任組合JAIC-Web3ファンド及び株式会社ZUUに

 対して、第三者割当の方法により第12回新株予約権を発行することを決議しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 (当座貸越契約)

  当社は、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行3行との当座貸越契約を締結しております。なお、金融機

 関との当座貸越契約に係る契約のうち一部の契約には財務制限条項等が付されております。その総額は100,000千

 円で、各条項のいずれかに抵触した場合は期限の利益を喪失する場合があります。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。

 

 (株式会社りそな銀行との借入契約の締結)

 当社は、2024年9月30日に株式会社りそな銀行と金銭消費貸借契約を締結しております。

主な契約内容は、以下のとおりであります。

1.借入金額

200,000千円

2.金利

変動金利 1ヶ月TIBOR+年率0.65%

3.返済期限

最終2029年9月末

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。