第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループの目指す姿として「経営理念」、「グループビジョン」及び「行動指針」を以下のとおり定め、世界の多くの人々が自由、利便性、快適性を幅広く享受できるよう、お役に立ちたいと考えております。

<経営理念>

正しく公平な経営により、最善の貢献を図る(※)

<グループビジョン>

楽しく安全な移動手段と、一人一人に最適なサービスを提供する事業を究める

新しい価値や革新的なサービスを創り出し、未来に向かって事業を拓く

すべてのステークホルダーと自然との共栄を図り、世界人としてグローバル社会の発展に貢献する

<行動指針>

情熱

仕事を楽しみ、情熱をもって事業を究める

挑戦

既成概念にとらわれず、常に挑戦する

不撓不屈

絶対に諦めず、信念を持って前進し続ける

プロフェッショナリズム

プロフェッショナルとしての誇りと責任を持ってサービスを提供する

ティームワーク

ティームのすべてのメンバーを尊重し、思いやりを持って行動する

感謝

ステークホルダーのご支援に感謝し、ご縁を大切にする

献身と調和

正しく献身的に仕事をし、社会と調和を図る

社会への責任

一人一人が会社を担う一員である自覚を持ち、社会に対する責任を果たす

※「OPTIMUSに込めた想い」

オプティマス(Optimus)は、ラテン語で最善、最適を意味します。当社グループがお客様にご提供する商品、サービスについて、また当社グループが事業に取り組む姿勢について、最善、最適を究めていきたいとの想いから「Optimus」を社名に用いております。

 

(2)経営環境ならびに対処すべき課題

当連結会計年度の世界経済は、欧米を中心にインフレもピークアウトしたとみられ、長らく続いた金融引き締め政策の転換も予想される一方で、ウクライナを始めとする地政学リスクの継続など、世界経済の不確実性が高い状況は続いています。

当社グループの事業の中核市場であるニュージーランドや今後の成長市場と位置付けるオーストラリアにおいては、いずれにおいても、欧米同様にインフレの鈍化は見られるものの、物価高と金利高の共存状態が長期化しています。また、欧米等の主要国景気や最大輸出国である中国経済を巡る不透明感の高まりもあり、全体的に弱含みの様相です。そのような経済環境下において、ニュージーランドの中古自動車市場は、前年度の断続的な政策金利の上昇により生じた市中の在庫調整局面からの反動やコロナ禍後の移民流入増などの影響もあり、同期間での中古自動車輸入数量は、前連結会計年度を上回る水準で推移しました。

このような経営環境のもとにおいて、当社グループは、持続的な成長を実現するため、以下の項目を会社の対処すべき重要な経営課題と認識し、鋭意取り組んでまいります。

①既存事業の収益力強化

当社グループは、ニュージーランド向けの中古自動車輸出をコアとして、輸出に係る検査・検疫、海上輸送、車検、販売、ローン、メンテナンスなどにかかわる各種の事業を一貫して行うことを強みとし、収益の源泉としております。当社グループが今後同国以外の地域で新たな事業を展開する中にあっても、同国に関係する既存事業は引き続き当社グループにとって主要な事業であります。同国においては常に一定水準のマーケットシェアを確保しつつ、エンドユーザー向けなど事業領域を拡大することによって既存事業の収益力を一層強化することが重要な経営課題と認識しております。

②新規事業による成長

当社グループは、リスク分散を図りながら持続的な成長を実現するため、オーストラリアを中心に、ニュージーランド以外の地域で市場特性を踏まえた新たな事業を展開することを目指しております。当期においては、オーストラリアで大手新車ディーラーを買収するなど積極的に戦略的な投資を行い、事業の機会創出と多角化を進めてまいりました。新たな事業を中心にプラットフォームを形成し、事業間で相乗効果を発揮することで、ニュージーランド以外の地域でも確固たるポジションを築き、持続的な成長を遂げることが重要な経営課題と認識しております。

③効率化追求による経営コストの削減

当社グループは、急速な成長に伴って事業運営体制を強化しております。更なる成長に向けて、各事業の人材・システム・施設などのリソースを見直して有効活用を図ること、グループ内の共通業務の統合などを通じて効率化を図りつつ経営コストを削減することは重要な経営課題と認識しております。

また、当社グループの持続的な成長を実現するため、財務体質を強化して資本効率を向上させること、今後一層旺盛になることが見込まれる資金需要に応えるために資金の現地調達を進めることも重要な経営課題と認識しております。

④事業発展を支える市場政策と人的資源の確保

当社グループは、多くのステークホルダーから当社グループに対する一層の理解と支持を得るために、現在の経営状況や事業活動のみならず中期的な事業戦略を市場に対して適時適切に伝えるIR活動を充実させることが重要な経営課題と認識しております。

また、既存事業や新規事業を担い成長戦略を牽引する、各事業及びグループ経営の中核人材を確保し、育成することは引き続き重要な経営課題と認識しております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。

また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  (1)サステナビリティの考え方

 当社グループの事業内容は、コンプライアンスや環境対策への適合を重視し、またバリューチェーンを海外に展開する企業集団であることから、従前より人権の尊重や社会貢献活動も積極的に行ってまいりました。特に当社の海外グループ会社では、スポーツイベントへの協賛やスポーツクラブへのスポンサード契約等を通して、既に多数の地域社会への貢献実績がございます。

 当社はこれらを踏まえて「当社及び当社グループは、各社が営む事業領域における事業活動において、特に「環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)」への取り組みを正しく実践し、当社グループの事業を介して、持続可能(サステナブル)な社会の実現に参画してまいります。」を当社の「サステナビリティの考え方」としてホームページ上で公表し、当社グループ全体で推進しております。

 

①ガバナンス

グループ全体のサステナビリティ管理体制においては、当社取締役会をグループサステナビリティ施策の最高意思決定機関とした上で、その事務取扱いのサポートを当社総務・IRユニットが行っており、グループ全体の方向性の議論、決定をはじめ、グループ及び各社の方針決定、施策内容、規模等を総合的に勘案の上で、必要に応じて取締役会に上程し検討、承認を行います。

また取締役会において、グループ全体のサステナビリティ施策に関する年次評価及び報告を行い、当社グループのサステナビリティ施策を実行いたしております。

 

②リスク管理

当社グループのリスク管理は、リスク管理委員会(年2回開催、委員長は代表取締役社長)及びコンプライアンス委員会(年2回開催、委員長は代表取締役社長)において定期的にモニタリングしており、当社の事業領域・内容の拡大、社会情勢や環境の変化を勘案してリスクの重要性を常に見直す中で、各国の法令・規制の追加変更や病害虫の影響等を含む自然環境の変化等のサステナビリティに関連するリスクについても、他のリスクと共に総合的に判断しております。尚、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会については、4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要に詳細を記載しております。

 

③取組

当社グループ全体の取り組みとして、当社グループの事業展開領域において、「地球環境の保全と共生」、「地域社会への貢献」、「ダイバーシティとウェルビーイングの推進」、「ステークホルダー・エンゲージメントの拡充」を掲げ、当社グループ各社が日々の業務を「最適・最善に」行うことで、この取り組みを確実に実現しております。

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  (2)人的資本の考え方

 「人」は当社グループにとっての重要な資産であり、当社グループが更なる成長を目指す上で個々の社員の成長は必須であると考えております。社員一人ひとりの可能性を引き出し、自らの成長を実感してもらうとともに、その成長を組織として最大限サポートする人的資本経営を進めており、社員個々人と当社グループがともに成長する環境づくりを推進しております。また、当社は「ご縁」を非常に大切にしており、今般当社グループに参画したグループ企業の社員も含めて、個々人が活躍できる企業風土を引続き拡張してまいります。

 

取組

当社グループでは、従前より国内グループ全社を対象とした様々な研修の他、グループ各社の事業内容に合わせた人材育成プログラム及び専門的かつ高度な技能研修を通して、事業内容の理解の深化、業務品質の維持・向上を弛まず行うことで、社員のスキルアップを支援しております。

また、当社グループでは海外グループ会社とのコミュニケーションに必須である英語学習や業務に必要な各種技能資格取得支援を行っている他、職種・職能別の研修プログラムを組み、個々人の成長を促すことで組織の強化を図っております。更に将来のグループ経営を担う幹部養成を意識したグループ共通の研修コースを複数設定する等して、当社グループの持続的な成長のための後進の育成にも注力しております。尚、当社の女性従業員比率及び女性管理職比率につきましては、5 従業員の状況に詳細を記載しております。当社グループはグループ会社の約8割が海外にあり、グループ従業員の約9割が外国人従業員であることからも、多国籍でありジェンダーフリーの考え方や従業員の多様性は相応に確保されております。また国内グループ会社の女性従業員比率、女性管理職比率については、現在の比率を維持しつつ、事業毎の特色に合わせて拡大を目指してまいります。

 

セグメント別女性従業員及び女性管理職比率

セグメント

女性従業員比率

女性管理職比率

貿易

59.1%

27.3%

物流

29.6%

14.3%

サービス

27.3%

40.0%

検査

23.0%

14.3%

オーストラリア

24.5%

16.7%

全社(共通)

53.3%

18.8%

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項で、当社グループの健全な経営と持続的な成長を阻害する事項をリスクとして捉えております。投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のものがあります。当社グループは、これらのリスクが顕在化する可能性及び顕在化した場合の影響を十分に認識した上で、経営基盤の安定化のためのリスクコントロール、即ちリスクの顕在化の回避及び顕在化した場合の影響の極小化と、戦略遂行のための適切かつ合理的なリスクテイクに努めております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。当社グループが認識していない、予見し難い、または重要ではないと考えるリスク及び不確定要因も当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(1)経営環境に関するリスク

①経済情勢

[リスク認識]

当社グループは、事業拠点を国内外に多数配し、グローバルに事業を展開しております。とりわけ、ニュージーランド向け中古自動車輸出に関連する事業は永らく当社グループの事業の主柱であり、収益の源泉でした。

近時は、リスク分散を図りながら持続的な成長を実現するため、ニュージーランド以外の地域で新たな事業展開を強力に推し進めております。その中心が成長戦略上の重点市場と位置付けるオーストラリアです。新車中心の同国市場では当連結会計年度後半に新車ディーラー事業に本格的に参入し、日本からの中古自動車輸出に依存しないビジネスモデルを構築しました。今後は、売上及び収益ではニュージーランドの事業とオーストラリアの事業が並び立つ見込みであり、これまでニュージーランド一国に大きく依存していたのが、ニュージーランド及びオーストラリアの二国に依存することになります。

このため、当社グループが事業を展開する国及び地域、特にニュージーランド及びオーストラリアの景気等の経済情勢が急激に変化した場合には、当社グループの事業及び業績に多大な影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、ニュージーランド及びオーストラリアにおいては両国の経済情勢に業績が大きく左右されない盤石な事業基盤の確立を目指し、収益力の強化と収益源の多様化に取り組んでおります。

また、両国以外の新たな市場も開拓して両国への依存度を低下させることで、特定国の経済情勢の影響を軽減することを目指しております。

 

②外国為替及び市場金利

[リスク認識]

当社グループでは、当連結会計年度の売上高に占める海外売上高比率が8割を超えております。輸出中古自動車に対する需要は、外国為替によって変動する外貨建販売価格の影響を受けます。さらには、海外取引は、連結財務諸表作成の際に、売上、費用、資産及び負債をはじめとする現地通貨建の項目を円換算することから、当社グループの財務内容は外国為替の影響を常に受けます。

当社グループは事業に必要な資金を金融機関からの借入によって調達しておりますが、その多くが変動金利であることから、資金調達コストは市場金利の影響を常に受けます。しかも、サービスセグメントにおける自動車ローンでは、契約締結時の市場金利水準をもとに適用利率を固定金利で設定することから、調達金利と運用金利の利鞘に依拠する当該事業の収益は市場金利の影響を受けます。

このため、外国為替及び市場金利が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、中古自動車を仕入れる際には目利き力をもって車両品質を見極め、常に顧客の要望に的確に応えることによって顧客ロイヤリティを高め、取引が外貨建販売価格の変動に大きく左右されなくなることを目指しております。

同時に、売上規模と通貨に応じた適切な為替ヘッジや、国外の資金需要には現地で対応することを含めて外貨建て資産・負債の総合的な運用管理を行うとともに、国内ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金効率の向上を図ることで、外国為替や市場金利の変動の影響を抑制するよう努めております。

 

 

③自動車の需給

[リスク認識]

人々のライフスタイルや価値観の変化、移動手段の変革、自動車性能の向上に伴うユーザーの自動車保有期間の長期化等により、自動車の保有台数が減少し、購入頻度が低下する可能性があります。また、当社グループの主要市場であるニュージーランド及びオーストラリアでは、公共交通機関が未発達であるのに加え、移民の増加が安定的な需要を下支えする要因の一つとなってきましたが、将来、公共交通機関の拡充や移民の減少による購買層の減少から、自動車に対する需要が低下する可能性もあります。

供給面では、オーストラリアにおいては現在35ブランドの新車を取り扱っていることもあり、同国全体としては仕入れを不安定にする重大な問題は見られません。しかしながら、ニュージーランドを主戦場とする中古自動車の輸出事業では、そのほとんどを日本国内のオートオークションにて仕入れていることから、何らかの要因でオートオークションの出品台数が減少した場合や、仕入れ競争が激化した場合は、当社グループが求める中古自動車を仕入れるのが困難になる可能性があります。

こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、中古自動車の販売に直接関係する物流や検査事業のほか、事業の多角化として、自動車情報やテクノロジーを活用したデータサービス事業、インターネット販売のメディア事業、自動車販売後のメンテナンス(車検整備、一般整備)、部品・カー用品(バッテリー、タイヤ、オイル等)の販売の拡大等に積極的に取り組んでおります。

中古自動車の国内仕入れでは、オートオークション以外のルートを開拓することで、仕入れルートの多元化に努めております。また、中古自動車の輸入が大幅に制限されているオーストラリアにおいて、新車販売及び同国内で発生する中古自動車の仕入れ・販売に係る事業の拡充に力を入れております。

 

 

④産業構造の変化及び技術革新

[リスク認識]

今後、ディーラーを介して自動車を売買する従来からの商取引に代わって、電子取引をはじめとして新たなチャネルを通した新たな商取引のスタイルが普及した場合、当社グループの一員である自動車ディーラーの業績が悪化するほか、当社グループの主要な販売先である自動車ディーラーとの取引が縮小する可能性があります。

また、自動運転技術をはじめとした自動車IT技術及び電気自動車をはじめとしたエネルギー技術が急速に進歩した場合、従来型内燃機関の中古自動車の商品価値が低下する可能性があります。

こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

[対応]

当社グループでは、このような変化をむしろ新たなビジネスチャンスと捉え、事業の多角化を推し進めております。電気自動車やハイブリッド自動車の取り扱いを拡大し、エンドユーザー向けの事業を強化するとともに、個別の車両に関わる情報をもとに新たな付加価値を創出するデータサービス事業の拡充を図ってまいります。

また、検査セグメントでは、後述のとおり、新技術の導入を積極的に進め、検査品質の向上と差別化に努めております。

 

⑤大規模自然災害及び偶発的事故等

[リスク認識]

地震、津波、洪水等の大規模自然災害、火災、テロ、その他の偶発的事故によって、当社グループが保有する事業用設備や当社グループが利用する港湾施設をはじめとした社会・交通インフラが大きく毀損し、また操業人員が確保できなくなれば、事業の停止や、事業の中断による機会損失を生じることがあります。また、多額の復旧費用が発生することもあります。

こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に多大な影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、役職員及び家族の健康と安全を最優先に考え、大規模自然災害及び偶発的事故等の緊急事態に備えて、日頃より防災対策を徹底しております。

また、緊急事態が発生した場合に、事業への影響を最小限にとどめ、事業を安全に継続もしくは早期に復旧するために、こうした事態を想定したBCP(Business Continuity Plan = 事業継続計画)を策定し、その実効性の維持・向上に努めております。

 

 

⑥感染症の流行

[リスク認識]

新型コロナウイルス感染症は一時期の爆発的感染が収束したことから、2023年5月より感染症法に規定される2類相当から5類感染症に移行しました。しかしながら、爆発的感染の再発や、それ以外の感染症の流行によって、高度な専門知識と豊富な経験を持ち合わせた人材をはじめとして、事業に携わる貴重な人材を失うことになれば、事業の停止や、事業の中断による機会損失を生じることがあります。

また、国内外において感染拡大、または感染拡大防止策もしくは予防策として経済社会活動が制約を受けることによって、経済が停滞することがあります。

こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、役職員及び家族の健康と安全を最優先に考え、感染症が流行した場合には、関係政府や当局の指示を踏まえて職場の衛生管理、出社・移動の制限、感染症予防策の周知徹底等を実施することで役職員及び家族の感染防止に努めます。

また、感染症が流行した場合や感染症対策もしくは予防策として経済社会活動が制約を受けた場合に、事業への影響を最小限にとどめ、事業を安全に継続もしくは早期に復旧するために、こうした事態を想定したBCP(Business Continuity Plan = 事業継続計画)を策定し、その実効性の維持・向上に努めております。

 

 

(2)事業活動に関するリスク

①競合

[リスク認識]

中古自動車の輸出は、市場の拡大に伴って同業他社との競争が年々激しくなっております。中古自動車に関係する事業は古物営業法に基づく許可を取得すれば参入が可能であることから、当社グループの主要市場であるニュージーランド及びオーストラリアにおいても、今後、新規参入が増加する可能性があります。その結果、優良な中古自動車をめぐる仕入れ競争、販売先の争奪及び輸送手段の確保における競争等が激しさを増す可能性があります。

検査事業は、後述のとおり、認証や認可に基づいて行っておりますが、これらの認証や認可の取得者が大きく増加すれば、同様に、競争が激しさを増す可能性があります。

また、オーストラリアで昨年から本年にかけて新たに当社グループの一員となった新車を取り扱う自動車ディーラーと自動車物流会社は、ともに同国の業界大手ではありますが、業界内では常に激しい競争に晒されており、所期の収益貢献が実現せず、既存事業との相乗効果が発揮されないことも想定されます。

こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、ニュージーランドにおいては、日本から中古自動車を輸出し、船積前の清掃・整備、検査・検疫、通関、海上輸送、現地での整備・車検、自動車ローン、メンテナンスほかのアフターサービス、といった一連のサービスをグループ会社またはパートナー企業を通じて一貫して提供するという独自のビジネスモデルに一層磨きをかけ、顧客の利便性を向上させ、コスト競争力を強化することで、競合他社対比の優位性を維持・拡大してまいります。

また、オーストラリアでは、新車販売や国内で発生する中古自動車の仕入・販売をプラットフォームとして周辺事業を展開することで新たなビジネスモデルを構築し、競合他社対比の優位性を確立してまいります。

 

②新規事業展開

[リスク認識]

当社グループは、収益力の強化と収益源の多様化を進めるため、新たな事業を創出し、拡大していく考えであります。また、前述のとおり、新たな市場も開拓してまいります。しかしながら、M&Aにより発生するのれんの減損にも影響する想定外の事業環境の変化や新たな事業リスクの顕在化等により、所期の成果を上げることができないことも常に想定されます。

こうした事態が発生した場合には、当社グループの成長の機会の一つを逸するばかりか、投下資本の回収に加えて、仮に損失が生じれば財務面で影響を被ることから、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、個々の事案については事前にグループの投資規律に沿って検討を重ね、所定の審議プロセスを経て実行の可否を判断します。また、過大なのれんの償却リスクを抱えないM&Aの実施を基本方針としており、既存ののれんの大半も買収時に発生したものではなく、買収前から厳密な減損テストを繰り返し、その価値を維持してきたのれんです。

新規事業の実行後はモニタリングを励行し、各社の事業計画及び所期の成果との乖離を検証します。検証結果を踏まえて適時適切に対策を講じることで新規事業が確実に所期の成果の実現を目指すとともに、万が一、所期の成果の実現が困難な場合には果断な対処を行うことで、事業及び業績への影響を最小限に抑えることができる運営体制を確立しております。

 

 

③海上輸送

[リスク認識]

当社グループは、自らは船舶等の輸送手段を保有せず、車両の輸送は実運送業者(船社、自動車運送業者等)に委託しております。ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとパレスチナの紛争をはじめ、地政学的リスクの顕在化等の影響で世界的な物流の停滞が発生すれば、船腹を必要量確保できず、予定通りに車両を輸送することができなくなる可能性があります。当社グループは、長年に亘る良好な取引関係から信頼のおける船社を中心に、安定的、かつ十分に管理可能な状況で船腹の供給を受けておりますが、船社の事情によっては、航海スケジュールや積載スペースが急遽変更され、予定通りに車両を輸送することができなくなる可能性があります。

さらには、燃油価格の上昇や船舶需給の逼迫等によって実運送業者の運賃が上昇すると、販売原価が上昇します。

一方、当社グループでは、車両の輸送にあたって国内外の港湾施設を利用しております。これらの施設が大規模自然災害や偶発的事故、港湾施設従事者のストライキ、港湾の混雑等によって平常通りに使用できなくなった場合には、予定通りに車両を輸送することができなくなる可能性があります。代替港を利用するにしても、移送ほかの追加費用が生じることになります。

こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、主要船社との良好な取引関係を維持しつつ、他の船社との取引関係を強化することで船腹の安定的確保に努めております。また、チャーター船や自動車専用船以外の船舶の利用も含めて、運搬手段の多様化にも取り組んでおります。

海上運賃の上昇は、販売価格に転嫁することを原則としており、船社各社の運賃を定期的に確認した上で適宜販売価格に反映しております。

港湾施設が平常通りに使用できなくなった場合に、事業への影響を最小限に止め、事業を早期に復旧するために、近隣港湾を利用したハブ物流方式を検討するとともに、こうした事態を想定したBCP(Business Continuity Plan =事業継続計画)を策定し、その実効性の維持・向上に努めております。

 

④検査品質

[リスク認識]

当社グループは、日本においては、国際植物防疫条約 (※1)に準拠し、ニュージーランド政府の認定機関であるInternational Accreditation New Zealand (IANZ)よりISO/IEC17020(※2)の認証を取得して中古自動車の輸出前検査を実施しております。ニュージーランドでは、同国政府認可のもと、輸入車用の車体識別番号

(VIN:Vehicle Identification Number)の付与、自動車検査等を行っております。

また2023年3月には国内グループ会社が農林水産省の登録検査機関に登録され、翌月から輸出種苗の検疫検査および国内種苗品質検査を開始しております。前者では輸出相手国が指定する手法、指定がない場合は国際種子検査協会(ISTA)、国際種子連盟(ISHI)等の手法に従って検査を行っております。

いずれの国でも検査に必要な公的資格を保有する優秀な検査員を多数擁し、高度なノウハウに裏打ちされたプロセスに沿って、高品質の検査を行っております。しかしながら、自動車に搭載される装置の電子化が更に急速に進むことで検査技術が追い付かなくなる事態や、想定外の病害虫の発生や想定を超える病虫害の蔓延等、予測し得ない事態が発生することが常に想定されます。

こうした事態が発生した場合には、技術面や費用面の問題から検査品質の高位維持が困難になれば、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、検査技術の革新、検査工程の改善、設備の更新、協力会社との連携強化等により、常に検査業務における品質の維持・向上に努めております。

日本において2024年10月から自動車の電子的な検査(OBD検査※3)が実施されるにあたっては、斯かる検査対応へのサポートを行うとともに、ニュージーランド及びオーストラリアを中心に海外で診断機器を販売することで検査事業の付加価値を高めてまいります。

また、輸出前の自動車に付着している害虫を高温で殺処理するための熱処理施設を独自開発し、2019年に日本で特許を取得したのを皮切りに、オーストラリア、韓国、EU、米国、ニュージーランドでも特許を取得しております。

 

 

※1 国際植物防疫条約(IPPC)

植物に有害な病害虫の侵入・蔓延の防止に向けて、各国間で共同かつ有効な措置を確保するための条約

※2 ISO/IEC17020

ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)及びIEC(国際電気標準会議:International Electrotechnical Commission)が定めた、検査を行う検査機関の能力に係る基準を規定した国際規格

※3 OBD(On-Board Diagnostics)

エンジンやトランスミッションなどの電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)内部に搭載された故障診断機能

 

⑤風評及び風説

[リスク認識]

当社グループの意向にかかわらず、マスコミ報道やインターネット等の媒体によって、当社グループの事業及び役職員に係る否定的な内容もしくは事実と異なる内容の報道や発信がなされたり、誹謗中傷等を含んだ風評及び風説が流布することが想定されます。

こうした事態が発生した場合には、その内容の正否に拘らず、当社グル―プに対する社会的信用を失墜させ、当社グル―プの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、こうした報道・発信や風評及び風説に対しては、早期に発見して専門家のアドバイスも踏まえて適時適切に対応することで、影響が生じるのを防ぐよう努めております。

また、当社グループの事業内容や実績、事業以外の活動等に関する情報を積極的、かつ分かり易い内容で発信することで、ステークホルダーをはじめ多くの方々に当社グループの実情をご理解いただけるよう努めております。

 

⑥人材の確保及び育成

[リスク認識]

当社グループが成長戦略を円滑に遂行するためには多くの優れた人材を常に必要とすることから、高度な専門知識と豊富な経験を持ち合わせた優れた人材を確保し、育成することを、当社グループの重要な経営課題の一つと位置付けております。

貿易セグメントでは、顧客の要望に応えて車両品質を見極めた上で適正価格にて仕入れることができる優秀なバイヤーを多数必要とします。検査セグメントでは、検査に関係する法規制、国際規格等の知見を有する優秀な管理者と、港湾地区で実際に検査や修理に携わるスタッフを多数必要とします。しかしながら、優れた人材の獲得をめぐっては、競合他社のみならず多方面で常に激しく競い合う状況にあります。

このため、国内外の各事業において優れた人材を必要十分な人数確保できない場合には、当社グループの事業に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、グループ会社の人材ニーズを常時把握し、採用チャネルを拡充し、適材の確保に努める一方、就業環境の絶え間ない改善により定着化を図っております。

また、社員の動機付けと達成感、向上意欲を増進する人事制度を導入し、研修プログラムを充実させること人材の育成に努めております。

 

 

(3)法規制等に関するリスク

①関係法令

[リスク認識]

中古自動車の輸出は、外国為替及び外国貿易法、輸出貿易管理令等の規制の対象となっております。輸出地域、輸出貨物の用途及び需要者の要件によっては経済産業大臣の輸出許可が必要となる場合もあります。また、当社グループの事業の多くは、事業を展開する各国において様々な法規制、許認可の適用対象となっております。

このため、法規制が改定・新設されたり解釈や運用が変更されて規制が強化された場合、または、過失その他の事情によりこれらに抵触して刑事罰、行政処分、許認可の取消等が課された場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、コンプライアンスを経営の基本的な方針と位置付けております。

日本をはじめ事業を展開する国及び地域において、グループ会社各社が事業に関係する法令や所轄官公庁の許認可等の動向を常時把握するとともに、国内外の顧問弁護士を通じて関連情報を精査することで適時適切な対応に繋げております。

遵法意識を徹底するため、全社指示もしくはグループ会社各社の判断の下で適宜研修を実施しております。

 

②訴訟その他法的手続き

[リスク認識]

当社グループは、広く国内外で事業を展開していることから、多くのステークホルダーと関わりをもっており、その全てとの共栄を目指すことをグループビジョンでも謳っています。しかしながら、立場や見解の違いによって対立に及び、その結果、当社グループの事業活動に関連して重大な訴訟その他の法的手続きが発生し、当社グループに不利な判断が下されることも想定されます。

こうした事態が発生した場合には、社会的信用が失墜し、さらには、多額の裁判費用や賠償負担が生じることになれば、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、前述のとおり、コンプライアンスを経営の基本的な方針と位置付けております。

役職員は、法令、社会倫理、社会道徳に則り公平かつ公正に業務を執行することによって、事業活動において対立が生じることを未然に防ぎ、非難を受けることや嫌疑がかかることがないように努めることとしています。万が一、係争事案が発生した場合には、顧問弁護士ほか社外の専門家の指導や助言を適宜受けながら、適切に対処することとしております。

なお、本書提出日現在、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟その他法的手続きは提起されておりません。

 

③移転価格税制等の多国間取引に伴う税務

[リスク認識]

当社グループはグローバルに事業を展開していることから、日本をはじめ各国の税制にしたがって公正な会計処理を行うように努めております。しかしながら、各国の税務当局との間で見解の相違が生じて取引価格に係る移転価格税制上の指摘や源泉徴収の必要性等の指摘を受けること、または政府間協議が不調に終わることも想定されます。

こうした事態が発生した場合には、二重課税や追徴課税を受けることになり、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、前述のとおり、コンプライアンスを経営の基本的な方針と位置付けております。

グループ会社間取引については、国際税務の観点から事前の調査を綿密に行い、社外の専門家の指導やアドバイスを適宜受けながら、関係法令・規則に則り公正な会計処理を励行することで二重課税や追徴課税等を回避するよう努めております。

 

 

(4)情報セキュリティに関するリスク

①情報システム

[リスク認識]

当社グループは、グループ会社各社の業務の主要な部分を情報システムに依存しております。このため、地震等の自然災害、火災、ハードウェアまたはソフトウェアの不具合、コンピューターウィルスの感染、公衆回線等の通信ネットワークの障害、電力供給の障害、人為的ミス、その他予期せぬ事象が原因で情報システムが正常に作動しなくなることが常に想定されます。

こうした事態が発生した場合には、通常業務の運営に支障を来すだけでなく、サービスの質・量の劣化を引き起こすことになれば、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、情報システムを安全かつ効率的に運用するために「情報システム運用管理規程」を制定し、データ管理、バックアップ等を厳格に運用しております。

また、当社グループの事業や組織の発展と社会の要請に合わせて、情報システムの堅牢化と冗長化の両面で、障害への耐久力の強化に継続的に取り組んでおります。

 

②情報資産

[リスク認識]

当社グループは、事業活動を通じて取引先の機密情報もしくは個人情報を入手することがあります。また、当社グループ自身の機密情報及び個人情報も大量に保有しております。これらの情報資産において、不正アクセスやサイバー攻撃等による情報の漏洩、紛失、データの破壊等が発生することが想定されます。

こうした事態が発生した場合には、通常業務の運営に支障を来すだけでなく、取引先をはじめとする第三者に甚大な被害を及ぼすことになれば、巨額の補償負担が生じることにもなり、当社グループに対する社会的信用は失墜し、さらには、刑事罰、行政処分、許認可の取消等が課されることになれば当社グループの事業が制約を受けて、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。

[対応]

当社グループでは、情報資産を様々な脅威から保護し、適正に取り扱うために「情報セキュリティポリシー」「情報セキュリティ管理規程」「機密情報管理規程」及び「個人情報保護管理規程」を制定し、役職員に対しては情報セキュリティに係る教育及び啓発を随時実施することで意識の向上を促し、厳格な情報管理を励行しております。

また、情報の漏洩、紛失、データの破壊等から情報資産を守るために、不正侵入やマルウェアの検知、データの消去や改竄の復旧、データの自動バックアップ等のハード面の手当を随時強化しております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、欧米を中心にインフレもピークアウトしたとみられ、長らく続いた金融引き締め政策の転換も予想される一方で、ウクライナを始めとする地政学リスクの継続など、世界経済の不確実性が高い状況は続いています。

当社グループの事業の中核市場であるニュージーランドや今後の成長市場と位置付けるオーストラリアにおいては、いずれにおいても、欧米同様にインフレの鈍化は見られるものの、物価高と金利高の共存状態が長期化しています。また、欧米等の主要国景気や最大輸出国である中国経済を巡る不透明感の高まりもあり、全体的に弱含みの様相です。そのような経済環境下において、ニュージーランドの中古自動車市場は、前年度の断続的な政策金利の上昇により生じた市中の在庫調整局面からの反動やコロナ禍後の移民流入増などの影響もあり、同期間での中古自動車輸入数量は、前連結会計年度を上回る水準で推移しました。

このような環境下、ニュージーランドにおける当社グループの事業では、近年の市場シェア拡大を背景に、中古自動車の需要を引き続き確りと捉えて成約台数は順調に推移しております。一方、前期から続くオセアニア向け中古自動車輸送の船腹不足や港湾荷混みは完全な解消には至っていませんが、当社グループでは輸送手段に工夫を重ねた結果、成約済み未船積み車両の船積みが相応に進み、貿易セグメントの㈱日貿における当連結会計年度輸出販売台数は前年同期比46.9%増の65,037台を記録しました。物流セグメントの中核事業子会社であるDolphin Shipping New Zealand Limited においては㈱日貿での輸出台数増加等の影響を受け、セグメント売上の大部分を占めるニュージーランド向けの輸送台数が54,002台と前年同期比51.9%増加しました。サービスセグメントにおいては、中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedで販売台数は前年同期比で10.0%増加したものの、販売単価は前年同期を下回ったため、同社の売上高は前年同期比で減収となりました。検査セグメントにおいては、ニュージーランド向けの船積前検査数量が83,295台と前年同期比36.0%増となり、他地域向けの検査数量増加とあわせて前年同期比で増収となりました。当連結会計年度より重要性が増したため新設したオーストラリアセグメントにおいては、Dolphin Shipping Australia Pty Ltdにおいて日本からの輸出台数が前年同期比で16.8%増加し、また、第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAutopact Pty Ltdの売上も寄与して前年同期比で大幅増収となりました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ863億75百万円増加し、1,375億78百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ805億36百万円増加し、1,144億53百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ58億38百万円増加し、231億25百万円となりました。

 

ロ.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高1,239億34百万円(前年同期比125.5%増)、営業利益68億89百万円(同132.5%増)、経常利益52億35百万円(同96.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益28億54百万円(同23.0%増)となりました。

セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。

貿易では、売上高555億36百万円(前年同期比43.7%増)、セグメント利益21億56百万円(同62.9%増)となりました。

物流では、売上高125億57百万円(前年同期比67.3%増)、セグメント利益15億99百万円(同115.6%増)となりました。

サービスでは、売上高107億11百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益7億87百万円(同90.2%増)となりました。

検査では、売上高61億99百万円(前年同期比48.2%増)、セグメント利益11億95百万円(同211.9%増)となりました。

オーストラリアでは、売上高499億40百万円(前年同期比1,914.0%増)、セグメント利益は12億75百万円(同1,137.4%増)となりました。

 

②キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は22億87百万円(前年同期は35億17百万円の減少)となりました。

また、投資活動の結果減少した資金は63億64百万円(前年同期は8億40百万円の減少)となり、財務活動の結果増加した資金は108億73百万円(前年同期は70億45百万円の増加)となりました。

この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、162億24百万円(前年同期比67億12百万円の増加)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

ロ.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

貿易

47,570

125.7

サービス

170

349.1

検査

8

223.6

オーストラリア

37,642

-

合計

85,391

225.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.物流セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

ハ.受注実績

役務又は商品等の受注から完了又は納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。

 

ニ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

貿易

49,021

148.7

物流

10,061

156.8

サービス

10,610

103.4

検査

4,300

151.6

オーストラリア

49,940

2,014.0

合計

123,934

225.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績等

(イ)財政状態

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ105.9%増加し、907億11百万円となりました。これは主に現金及び預金が67億17百万円、売掛金及び契約資産が99億92百万円、棚卸資産が255億32百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ555.7%増加し、468億67百万円となりました。これは主に有形固定資産が164億1百万円、のれんが211億41百万円増加したことによるものです。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ168.7%増加し、1,375億78百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ253.7%増加し、991億5百万円となりました。これは主に短期借入金が598億93百万円、買掛金が23億41百万円、有給休暇引当金が16億90百万円増加したことによるものです。短期借入金増加の内、230億円は、Autopact Pty Ltd買収によるブリッジローンであり、追って財務諸表の健全化を考慮した調達に切り替えていくものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ160.2%増加し、153億47百万円となりました。これは主に長期リース債務が100億96百万円、その他固定負債が3億18百万円増加したことによるものです。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ237.5%増加し、1,144億53百万円となりました。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ33.8%増加し、231億25百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が20億8百万円、為替換算調整勘定が6億15百万円増加したことによるものです。

(ロ)経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて125.5%増加し、1,239億34百万円となりました。

当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業会社である㈱日貿では、販売台数は増加した一方、仕入価格高騰の鎮静化にともない販売単価は低下し、貿易セグメントの売上高は555億36百万円(前年同期比43.7%増)となりました。

物流セグメントでは、前述のように中核事業子会社Dolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数は増加し、輸送単価も上昇したため、売上高は125億57百万円(同67.3%増)となりました。

サービスセグメントでは、前述のように中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの売上減少を、自動車ローン業務を担うAuto Finance Direct Limitedでの金利収入増加等でカバーし、売上高は107億11百万円(同3.3%増)となりました。

検査セグメントでは、前述のようにニュージーランド向けの船積前検査数量が増加し、他地域向け検査数量も増加したため、売上高は61億99百万円(同48.2%増)となりました。

オーストラリアセグメントでは、前述のようにDolphin Shipping Australia Pty Ltdにおいて輸送台数は前年同期比で増加し、また、第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAutopact Pty Ltdが売上の増加に寄与しました。その結果、売上高は499億40百万円(前年同期比1,914.0%増)となりました。

 

(営業損益)

当連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べてそれぞれ、121.0%増、162.6%増となりましたが、これは主に中古自動車販売増加やこれに伴う中古自動車輸送等の売上増加に対応した売上原価の増加、M&A関連費用発生による販売費及び一般管理費の増加に加え、オーストラリアで新たに連結子会社化したAutopact Pty Ltdにおける売上原価・販売費及び一般管理費による増加並びに同社株式取得に伴い発生したのれん等の償却費によるものです。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて132.5%増加し、68億89百万円となりました。

(経常損益)

借入金増加による支払利息の増加、金融機関へ支払う借入関連手数料の増加及び為替差損の発生等による営業外費用が増加したため、営業外収益で受取利息の増加はあったものの、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて96.1%増加し、52億35百万円となりました。

(特別損益及び税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に発生していたオーストラリアで新たに連結子会社化したBlue Flag Pty Ltd株式の段階取得に係る差益が無くなり前連結会計年度に比べ5億61百万円減少し、固定資産売却益2百万円となりました。また、特別損失は固定資産除売却損によるものですが、前連結会計年度に比べて5百万円増加し、9百万円となりました。

この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べて61.9%増加し、52億28百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の法人税等合計は、前連結会計年度比12億26百万円増加し21億21百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加に連動したものであり、また、ニュージーランドでの税制改正に伴い繰延税金負債を計上したことによります。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて23.0%増加し、28億54百万円となりました。

 

(ハ)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて67億12百万円増加(前年同期比70.6%増加)し、162億24百万円となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は22億87百万円(前年同期は35億17百万円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益52億28百万円、棚卸資産の減少31億73百万円、減価償却費15億7百万円等の増加要因があった一方で、事業活動の拡大に伴う売上債権の増加52億88百万円及び販売金融債権の増加18億84百万円や、法人税等の支払い10億92百万円等の減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は63億64百万円(前年同期は8億40百万円の減少)となりました。これは主に子会社株式の取得による支出55億21百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は108億73百万円(前年同期は70億45百万円の増加)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出50億92百万円等による減少要因があったものの、短期借入金の純増額126億60百万円、長期借入金による収入43億2百万円等の増加要因によるものであります。

 

ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。

投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入や社債及び株式の発行によって資金の調達を行う方針であります。

 

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,021億18百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は162億24百万円となっております。

 

ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。

また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、同社における販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的に影響を受けるためであります。

当連結会計年度における連結営業利益額は68億89百万円(前年同期比39億25百万円増)、連結経常利益額は52億35百万円(同25億66百万円増)及び自己資本当期純利益率(ROE)は15.7%(前年同期は14.7%)となりました。また、㈱日貿の中古自動車販売台数は65,037台(前年同期比46.9%増)となりました。

 

ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(貿易)

貿易では、前述のように販売台数は増加した一方、仕入価格高騰の鎮静化にともない販売単価は低下しました。この結果、売上高555億36百万円(前年同期比43.7%増)、セグメント利益21億56百万円(同62.9%増)となりました。

(物流)

物流では、前述のように中核子会社であるDolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数は増加し、輸送単価も上昇したため、売上高は125億57百万円(前年同期比67.3%増)、セグメント利益は15億99百万円(同115.6%増)となりました。

(サービス)

サービスでは、前述のように中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの売上減少を、自動車ローン業務を担うAuto Finance Direct Limitedでの金利収入増加等でカバーし、売上高は107億11百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益7億87百万円(同90.2%増)となりました。

(検査)

検査では、前述のようにニュージーランド向けの船積前検査数量が増加し、他地域向け検査数量も増加したため、売上高61億99百万円(前年同期比48.2%増)、セグメント利益11億95百万円(同211.9%増)となりました。

(オーストラリア)

オーストラリアでは、前述のようにDolphin Shipping Australia Pty Ltdにおいて輸送台数は前年同期比で増加し、また、第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAutopact Pty Ltdが売上の増加に寄与しました。一方で、のれん等の償却費負担が増加したため、売上高は499億40百万円(前年同期比1,914.0%増)、セグメント利益は12億75百万円(同1,137.4%増)となりました。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 当社は、当連結会計年度において、Autopact Pty Ltdの株式を91.7%取得しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」を参照ください。

 

(2) 当社は、2024年2月1日開催の取締役会において、Autocare Services Pty Ltdの全株式を、当社の100%子会社であるOptimus Group Australia Pty Ltdが取得する株式取得契約の締結について決議し、2024年5月1日に同社の株式を100%取得しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」を参照ください。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。