当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループの目指す姿として「経営理念」、「グループビジョン」及び「行動指針」を以下のとおり定め、世界の多くの人々が自由、利便性、快適性を幅広く享受できるよう、お役に立ちたいと考えております。
<経営理念>
正しく公平な経営により、最善の貢献を図る(※)
<グループビジョン>
楽しく安全な移動手段と、一人一人に最適なサービスを提供する事業を究める
新しい価値や革新的なサービスを創り出し、未来に向かって事業を拓く
すべてのステークホルダーと自然との共栄を図り、世界人としてグローバル社会の発展に貢献する
<行動指針>
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情熱 |
仕事を楽しみ、情熱をもって事業を究める |
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挑戦 |
既成概念にとらわれず、常に挑戦する |
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不撓不屈 |
絶対に諦めず、信念を持って前進し続ける |
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プロフェッショナリズム |
プロフェッショナルとしての誇りと責任を持ってサービスを提供する |
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ティームワーク |
ティームのすべてのメンバーを尊重し、思いやりを持って行動する |
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感謝 |
ステークホルダーのご支援に感謝し、ご縁を大切にする |
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献身と調和 |
正しく献身的に仕事をし、社会と調和を図る |
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社会への責任 |
一人一人が会社を担う一員である自覚を持ち、社会に対する責任を果たす |
※「OPTIMUSに込めた想い」
オプティマス(Optimus)は、ラテン語で最善、最適を意味します。当社グループがお客様にご提供する商品、サービスについて、また当社グループが事業に取り組む姿勢について、最善、最適を究めていきたいとの想いから「Optimus」を社名に用いています。
(2)経営環境ならびに対処すべき課題
当連結会計年度の世界経済は、インフレ鎮静化やそれに伴う利下げ継続などにより安定化の様相を呈したもの
の、地政学リスクの長期化に加え、米国トランプ政権の政策運営による世界経済の混迷が危惧され、将来に向け
ての不確実性が一層、強まる状況にあります。
当社グループの戦略市場であるオーストラリアでは、長期化した高金利も利下げに転じるほどにインフレ鈍化
も進むと共に、引き続き堅調な労働環境もあり、新車販売市場は、昨年度の記録的な販売台数に続く水準を維持
しました。
一方、従来からの主力市場であるニュージーランドでは、主要国同様、徐々にインフレ鈍化もみられ、段階的
な利下げも進められましたが、景気は依然、軟調のまま推移しました。特に同国中古自動車輸入市場では、現政
権による環境規制の変更も受け輸入台数が激減、通期では、完全ロックダウンを経験したコロナ初年度の輸入量
を下回る水準であり、巷間リーマンショック以来とも言われるほどの低迷を経験しました。
このような経営環境のもとにおいて、当社グループは、持続的な成長を実現するため、以下の項目を会社の対処すべき重要な経営課題と認識し、鋭意取り組んでまいります。
①既存事業の収益力強化
当社グループは、ニュージーランド向けの中古自動車輸出をコアとして、輸出に係る検査・検疫、海上輸送、車検、販売、ローン、メンテナンスなどの各種の事業を一貫して行うことを強みとし、収益の源泉としております。当社グループが同国以外の地域で新たな事業を展開する中であっても、同国での既存事業は引き続き当社グループの主要な事業であります。同国においては常に高い水準のマーケットシェアを確保しつつ、2023年11月に連結子会社化した中古車取引オンラインサイト運営事業 AutoTrader Media Group Limitedを梃子とするエンドユーザー向け事業など、事業領域の拡大による既存事業の収益力を一層強化することが重要と認識しております。
②新規事業による成長
当社グループは、リスク分散を図りながら持続的な成長を図るため、オーストラリアを中心に、ニュージーランド以外の地域で市場特性を踏まえた新たな事業を展開しております。前期においては、オーストラリアで大手新車ディーラー、当期に大手自動車物流会社を買収するなど積極的に投資を行い、事業の機会創出と多角化を進めました。新たな事業を中心にプラットフォームを形成し、既存事業も含めた事業間の相乗効果を発揮することで、ニュージーランド以外の地域でも確固たるポジションを築いてまいります。
③効率化追求による経営コストの削減
当社グループは、事業拡大に対応すべく運営体制を強化しております。更なる成長に向けて、各事業の人材・システム・施設などのリソースの共有や統合、内外間接部門業務のシェアードサービス化推進などを通じて経営コストを削減しております。その中で、将来に必要な仕組み作りの先行支出も厳選しながら対応しております。
また、利益の積み上げを基本とする財務体質の強化によって資本効率を向上させると共に、今後一層旺盛になることが見込まれる資金需要に応えるために、資金の現地調達を進めてまいります。
④事業発展を支える市場政策と人的資源の確保
当社グループは、多くのステークホルダーから当社グループに対する一層の理解と支持を得るために、現在の 経営状況や事業活動のみならず、中期的な事業戦略等の様々な情報を市場に対して適時適切に伝えるIR/PR/広告などのコミュニケーション活動を充実させてまいります。
また、既存事業や新規事業を担って成長戦略を牽引する、各事業及びグループ経営の中核人材を確保し、育成してまいります。
⑤サステナビリティに関する取り組み
当社グループは、「グループに属する全事業会社が各々の事業領域で、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針に記載の経営理念及びグループビジョンを踏まえた事業目的を追求することを以て、サステナブルな社会の実現に参画するという基本方針を掲げております。また従前より環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視する取り組みを実践し、持続可能な社会の実現に貢献すべく、人権の尊重や社会貢献活動を積極的に行ってまいりました。
具体的には、「地球環境の保全と共生」、「地域社会への貢献」、「ダイバーシティとウェルビーイングの推進」、「ステークホルダー・エンゲージメントの拡充」の4つの基本方針の下、オーストラリアのディーラー店舗での太陽光発電の活用や、洗浄水のリサイクル利用や港湾施設内の除草作業、障がい者アートや女子モータースポーツイベントへの支援、IRやPR等のコミュニケーション施策など、きめ細かな活動を推進しております。
グループ全体のサステナビリティ管理体制は、当社取締役会を最高意思決定機関とした上で、取締役会の下部組織としてサステナビリティ推進委員会を設立し、グループ全体の方向性の議論をはじめ、方針、施策内容、規模等について評価や協議・承認等を行ったうえで取締役会に上程し、報告や承認を行っております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。
また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数及びAutopact Holdings Pty Ltdの自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、㈱日貿及びAutopact Holdings Pty Ltdにおける販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的、間接的に影響を受けるためであります。
(1)サステナビリティの考え方
当社グループは、
①ガバナンス
グループ全体のサステナビリティ管理体制においては、当社取締役会をグループサステナビリティ施策の最高意思決定機関とした上で、取締役会の下部組織としてサステナビリティ推進委員会を設立し、その事務サポートを戦略企画ユニットが行っております。サステナビリティ推進委員会では、グループ全体の方向性の議論をはじめ、グループ及び各社の方針、施策内容、規模等について評価や協議・承認等を行ったうえで必要に応じて取締役会に上程し、グループ全体のサステナビリティ施策に関する報告やレビュー、承認を行っています。
②取組
当社グループ全体の取り組みとして、当社グループの事業展開領域において、「地球環境の保全と共生」、「地域社会への貢献」、「ダイバーシティとウェルビーイングの推進」、「ステークホルダー・エンゲージメントの拡充」を掲げ、当社グループ各社が日々の業務を「最適・最善に」行うことで、この取り組みを確実に実現しております。また、今期は更にグループ全体での取り組みの強化・進化を進めるべく、取り組みの重要課題(マテリアリティ)をより明確に再定義し、今後の活動の指針として役立てていく予定です。
「地球環境の保全と共生」
■中古自動車のリユース
㈱日貿では、燃費性能や整備状態のより良質な中古自動車を海外市場に提供することで、地球温暖化の抑制や循環型社会の形成に寄与しています。
■検査・検疫・ヒートトリートメント(特許)
㈱JEVICでは、中古自動車の検査・検疫作業を行うことで、仕向国の自然環境や動植物の生態系の保護に寄与しています。特に、ニュージーランドなどで問題となるカメムシなどの害虫混入防止対策として熱処理システム(ヒートトリートメント)を自社開発して特許を取得し、輸出先国のライセンスに基づいた生態系の保全に寄与しています。
■その他
日本では洗浄水のリサイクル利用や港湾施設内の除草作業を推進、またオーストラリアのAutopact Holdings Pty Ltd傘下グループ会社(以下、Autopact)のディーラー店舗では、自家太陽光発電による電気利用の拡大を推進するなど、環境に配慮したきめ細かな活動を推進しています。
「地域社会への貢献」
■各国・地域の法令順守・第三者認証
当社グループ全事業を通して安全・安心な交通社会の維持・発展に寄与すべく、国内外の法令順守の取り組みや関連資格の取得・維持をしております。輸出前検査を行うための仕向国からの認証、検査のクオリティ維持向上に資するISO認証の取得に加え、ニュージーランドの車両検査資格を取得しています。
■コミュニティ参画
当社グループは、ニュージーランドにおいて子供向けの交通安全教室開催や少年野球・ラグビーチーム等の活動を賛助会員企業としてサポートしてまいりました。加えて、AutopactではFoundationを通じてオーストラリアで医療機関や介護施設に対する寄付、コミュニティキッチンでの食事支援などを行い、地域のがん患者やDV被害者、子供たちへの支援活動も行っています。
「ダイバーシティとウェルビーイングの推進」
■従業員の多様性
当社グループは、主要市場であるニュージーランド、オーストラリアが有数のダイバーシティ先進国である事に鑑み、健全で永続的な事業発展を目指す過程で、国籍、年齢、性別を問わない、個々人の経験、能力やモチベーションを重視した人事施策を継続しています。
■ウェルビーイングと人権の尊重
当社グループでは、ウェルビーイングの中でも特に以下を重視し、互いの人間性を尊重した、多様な人材が活躍できる働きがいのある職場環境を、グループ各社で提供しています。また、国内においては、グループ会社の従業員を対象に定期的にアンケート調査を実施し、会社と従業員の成長に資する組織づくりを目指しています。
・キャリア ウェルビーイング:ワークライフバランスの取れた状態
・ソーシャル ウェルビーイング:社会的(上司、部下、同僚等)な関係が良好な状態
・コミュニティウェルビーイング:所属する組織への満足度が高い状態
■その他
障がい者アート(パラリンアート)を支援する社団法人のオフィシャルパートナーや、女子モータースポーツイベント「2025 Kyojo Cup」チームスポンサーを務め、芸術やスポーツを通じた健全な社会作りの支援も行っています。
「ステークホルダー・エンゲージメントの拡充」
■IR/PR/広告等のコミュニケーション活動
株主や取引先、従業員等のあらゆるステークホルダーに対して、当社グループの事業に関する的確で分かりやすい情報開示を行うべく、IR/PR/広告等の対外コミュニケーション活動をプレスリリースやホームページなど多くのチャンネルを通じて積極的に行っています。
③リスク管理
各国に於ける環境規制の動向や病害虫による事業への影響、人権保護上の問題などのサステナビリティに関連するリスク管理の体制については、当社グループはリスク管理委員会(年2回開催、委員長は代表取締役社長)やコンプライアンス委員会(年2回開催、委員長は代表取締役社長)にて他リスクと併せて定期的なモニタリングや項目の見直しを行っていることに加え、新設されたサステナビリティ委員会にてより詳細なレビューを行い、経営会議や取締役会への報告・提言を通じ、事業戦略の立案に繋げています。
(2)人的資本経営に関する方針と取組
①基本方針 〜企業理念と「ご縁」の精神を基盤に〜
当社グループは、「正しく公平な経営により、最善の貢献を図る」という企業理念を経営の基盤とし、人的資本を企業価値創造の中心に据え、その育成と活用を経営戦略と一体のものとして推進しております。
また創業以来、大切にしてきた「ご縁」という価値観は、株主様、取引先様をはじめとする多様なステークホルダーとの信頼を大切にする、当社グループの基本姿勢を体現しているものです。
この企業理念と「ご縁」の精神を行動として具現化するために、当社グループでは
これらの行動指針は、人的資本経営の根幹を支える価値観でもあります。人材の採用・育成・活躍・定着といったあらゆるフェーズにおいて、この行動指針が浸透することで、社員一人ひとりの成長と組織全体の持続的発展を実現していきます。
当社グループでは、こうした価値観と考え方を経営の意思決定に組み込み、人的資本経営を経営陣主導で展開しております。取締役会等の重要な経営会議体においても継続して議論を重ねており、組織の将来像と人材戦略を連動させながら、持続可能な成長の基盤を構築しています。
②多様性の尊重と自然体のインクルージョン
当社グループは、ニュージーランドおよびオーストラリアといった元来多様性に富む地域において事業を展開しており、それぞれの文化的な背景の中で形成された多様性、それに根ざした寛容性・公平性を当社グループ全体に共有しながら、多様な価値観を尊重する企業風土を育んでいます。
こうした環境の中では、性別や人種、国籍といった属性にとらわれることなく、一人ひとりが持つ能力や個性が、そのまま職場における価値として活かされております。
当社グループでは、この“自然体の多様性”を国内外で共有し、社員が互いの違いを理解し尊重し合える文化の醸成に努めています。年齢、経験、背景の異なる社員同士が協働する中で、柔軟な発想や着実な実行力が発揮され、結果として組織としての厚みと強さが育まれています。
また、当社グループでは、制度的なD&I推進にとどまらず、日常の中にある「信頼」や「声をかける関係性」「自然な助け合い」が、組織文化の根幹を支えるものと考えています。
・全従業員に占める女性比率:24.3%
・管理職に占める女性比率:28.8%
・外国籍社員比率:91.4%
これらの数値は、日々の業務や職場文化の中に自然と根付いていく多様性の在り方を重視する当社グループの姿勢を反映しています。数値の追求そのものではなく、違いを理解し活かす土壌づくりを大切にしています。
セグメント別女性従業員及び女性管理職比率
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セグメント |
女性従業員比率 |
女性管理職比率 |
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輸出入 |
65.3% |
46.2% |
|
物流 |
21.8% |
61.0% |
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サービス |
42.1% |
33.3% |
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検査 |
20.8% |
10.5% |
|
小売・卸売 |
22.8% |
19.6% |
|
全社(共通) |
46.9% |
16.7% |
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その他 |
42.9% |
0.0% |
|
合計 |
24.3% |
28.8% |
(注)1.全社(共通)として記載されている使用人数は、純粋持株会社である当社に所属しているものでありま
す。
2. その他として記載されている比率は、中間持株会社であるOptimus Group Australia Pty Ltdに所属して
いるものであります。
③人材育成と組織としての成長
当社グループでは、人材育成を「個の成長」と「組織の成長・成熟」の双方を実現する重要な経営活動と位置づけ、各階層・各職種に応じた教育・経験を積む機会の提供を行っています。特に、実際に価値が生まれる現場において、その学びと成長の連鎖を重視しております。
当社グループ各社においては、それぞれの事業領域や職務特性に即した人材育成の取り組みが行われており、日々の実務の中で着実に力を伸ばし、現場で活躍する人材が育成されています。これらの取り組みを持株会社であるオプティマスグループが、グループ全体を俯瞰的な視点から支援しており、人材戦略の方向づけや育成基盤の整備を通じて、現場の成長を中長期的に後押ししています。
人材育成の対象は、経営人材候補にとどまらず、中間管理職層や若手社員など、すべての階層に及んでおり、それぞれの段階に応じた学びの機会と挑戦の場を設けています。特に中間管理職層においては、現場を束ねるリーダーとしての実行力と判断力の強化を重視し、若手社員に対しては、自律性と視野の広さを育む育成を意識しています。
また、当社グループでは、個人が単独で成長するというよりも、職場内のチームや仲間との協働の中で互いに刺激を受け、支え合う関係性を重視しております。このような環境の中で、一人ひとりが自身の役割に責任を持ちつつ、チームの成果を共に喜び合えるような文化が、組織の中で自然に育まれてきました。
④働きがいと健全な職場づくり
当社グループでは、社員が安心して挑戦できる環境、誇りを持って働き続けられる環境の整備を、人的資本投資の柱と位置づけています。対面でのコミュニケーションを大切にし、現場でのスムーズな連携や、業務を通じた気づきと学びを大切にする文化の中で、チームとしての一体感や連帯感が培われています。
一人ひとりが「役割を果たすこと」と同時に「他者を尊重し、支え合うこと」を大切にしており、こうした職場風土が、心理的安全性の高い環境づくりや、働きがいの向上につながっています。
業務の分担、対話の質、上司と部下の信頼関係など、日々の業務における「人と人とのやりとり」が、社員の成長と定着を支えており、単に制度や条件面に依存しない、健全な職場の基盤となっています。
⑤全社的な取り組みとしての人的資本経営の深化と未来への展望
当社グループの人的資本経営は、経営戦略と人材戦略を一体のものとして計画・実行し、企業価値の源泉として人を捉える考え方を全社的に浸透させる取り組みです。経営層が明確な方向性を示しつつ、組織全体で協働して推進しており、これを経営の中枢に据えています。
また、人的資本に関する取り組みは、数値的な短期の成果を追うものではなく、長期的な信頼の蓄積と、組織文化としての定着を重視しています。ステークホルダーの皆様との「ご縁」を起点とし、人材と組織との間に築かれる信頼関係を通じて、当社ならではの人的資本経営を深化させてまいります。
未来に向けては、変化の激しい事業環境の中においても、「人を信じ、育て、活かす」という信念を持ち続け、企業としての本質的な強さと、社会への貢献を両立させてまいります。
こうした考え方は、取締役会等の重要な経営会議体でも継続的に議論されており、組織の将来像と人材戦略を連動させた全社的施策として、持続可能な成長の基盤を構築しています。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関連する事項で、当社グループの健全な経営と持続的な成長を阻害する事項をリスクとして捉えております。投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のものがあります。当社グループは、これらのリスクが顕在化する可能性及び顕在化した場合の影響を十分に認識した上で、経営基盤の安定化のためのリスクコントロール、即ちリスクの顕在化の回避及び顕在化した場合の影響の極小化と、戦略遂行のための適切かつ合理的なリスクテイクに努めております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。当社グループが認識していない、予見し難い、または重要ではないと考えるリスク及び不確定要因も当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営環境に関するリスク
①地政学上の問題
|
[リスク認識] ロシアのウクライナ侵攻、中東地域の紛争、米国政権の通商・外交政策、米中対立などを巡っては、他の事象とも複雑に絡み合いながら、ますます不確実で流動的な様相を呈しております。これによりエネルギー価格や輸送コストが高騰し、各国で物価や金利が上昇、さらには世界的な物流が停滞することにもなれば、グローバルビジネスには多大な影響が生じます。 また、各国の経済安全保障政策が強化されて、新たな、もしくは想定外の制裁・法規制が発動され、または社会変化が起きれば、中長期に亘って更に大きな影響を受けることになります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
|
[対応] 当社グループでは、グローバルな政治・経済情勢や法規制の動向を絶えず注視し、事業環境の変化や当社グループへの影響を早期に把握することで、迅速かつ適切に対応できる体制の構築に努めております。 |
②経済情勢
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[リスク認識] 当社グループは、事業拠点を国内外に多数配し、グローバルに事業を展開しております。日本からの中古自動車輸出に関連するニュージーランドの一連の事業は当社グループの事業の主柱であり、収益の源泉です。近時は、リスク分散を図りながら持続的な成長を実現するべく、オーストラリアを成長戦略上の重点市場と位置付け、事業を急拡大しております。当社グループにとってはニュージーランドの事業とオーストラリアの事業が両輪であり、業績はニュージーランド及びオーストラリアの二国に大きく依存することになります。 このため、当社グループが事業を展開する国及び地域、特にニュージーランド及びオーストラリアの景気等の経済情勢が急激に変化した場合には、当社グループの事業及び業績に多大な影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、ニュージーランド及びオーストラリアにおいては両国の経済情勢に業績が大きく左右されない盤石な事業基盤の確立を目指し、収益力の強化と収益源の多様化に取り組んでおります。 また、両国以外の新たな市場も開拓して両国への依存度を低下させることで、特定国の経済情勢の影響を軽減することを目指しております。 |
③外国為替及び市場金利
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[リスク認識] 当社グループでは、当連結会計年度の売上高に占める海外売上高比率が8割を超えております。輸出中古自動車に対する需要は、外国為替によって変動する現地通貨建販売価格の影響を受けます。さらには、連結財務諸表作成の際には、海外取引の売上、費用、資産及び負債をはじめとする現地通貨建の項目を円換算することから、当社グループの財務内容は外国為替の影響を常に受けます。 当社グループは事業に必要な資金を金融機関からの借入によって調達しておりますが、その多くが変動金利であることから、資金調達コストは市場金利の影響を常に受けます。しかも、サービスセグメントの主要業務の一つである自動車ローンでは、契約締結時の市場金利水準をもとに適用利率を固定金利で設定することから、調達金利と貸出金利の利鞘が生み出す収益は市場金利の影響を受けます。 このため、外国為替や市場金利が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、売上規模と通貨に応じた適切な為替ヘッジや、国外の資金需要には現地で対応することを含めて外貨建て資産・負債の総合的な運用管理を行うとともに、国内ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金効率の向上を図ることで、外国為替や市場金利の変動の影響を抑制するよう努めております。 |
④自動車の需給
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[リスク認識] 人々のライフスタイルや価値観の変化、移動手段の変革と多様化等により自動車の保有台数が減少し、自動車性能の向上に伴うユーザーの自動車保有期間の長期化等により購入頻度が低下する可能性があります。また、当社グループの主要市場であるニュージーランド及びオーストラリアでは、公共交通機関が未発達であるのに加え、移民の流入の増加が安定的な需要を下支えする要因の一つとなってきましたが、将来、公共交通機関の拡充や移民の流入の減少による購買層の減少によって、自動車に対する需要が低下する可能性もあります。 供給面では、オーストラリアにおいては現在30を超えるブランドの新車を取り扱っていることもあり、同国全体としては仕入れを不安定にする重大な問題は見られません。しかしながら、ニュージーランド向けに輸出する中古自動車は、そのほとんどを日本国内のオートオークションにて仕入れていることから、何らかの要因でオートオークションの出品台数が減少した場合や、仕入れ競争が激化した場合は、当社グループが求める中古自動車を仕入れるのが困難になる可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、新車販売および中古車販売に加え、中古自動車の販売に直接関係する物流や検査事業のほか、事業の多角化として、自動車情報やテクノロジーを活用したデータサービス事業、インターネット販売のメディア事業、ファイナンス、自動車販売後のメンテナンス(車検整備、一般整備)、部品・カー用品(バッテリー、タイヤ、オイル等)の販売の拡大に積極的に取り組んでおります。 中古自動車の国内仕入れでは、オートオークション以外のルートを開拓することで、仕入れルートの多元化に努めております。また、中古自動車の輸入が大幅に制限されているオーストラリアにおいては、新車販売及び同国内で発生する中古自動車の仕入れ・販売に係る事業の拡充に力を入れております。 |
⑤産業構造の変化及び技術革新
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[リスク認識] 今後、ディーラーを介して自動車を売買する従来型の商取引に代わって、電子取引をはじめとして新たなチャネルを通した新たなスタイルの商取引が普及した場合、当社グループの一員である自動車ディーラーの業績が悪化するほか、主要な販売先である自動車ディーラーとの取引が縮小する可能性があります。 また、自動運転技術をはじめとした自動車IT技術及び電気自動車をはじめとしたエネルギー技術が急速に進歩した場合、従来型内燃機関の中古自動車の商品価値が低下する可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、このような変化をむしろ新たなビジネスチャンスと捉え、事業の多角化を推し進めております。前述のデータサービス事業やメディア事業を強化するとともに、個々の車両に関わる情報をもとに新たな付加価値を創出するデータサービス事業の拡充を図ってまいります。 また、検査セグメントでは、後述のとおり、新技術の導入を積極的に進め、検査品質の向上と差別化に努めております。 |
⑥大規模自然災害、偶発的事故、感染症の流行等
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[リスク認識] 地震、津波、洪水等の大規模自然災害、火災、テロ、その他の偶発的事故によって、当社グループが保有する事業用設備や当社グループが利用する港湾施設をはじめとした社会・交通インフラが大きく毀損し、また操業人員が確保できなくなれば、事業の停止や、事業の中断による機会損失を生じることがあります。また、多額の復旧費用が発生することもあります。 新型コロナウイルス感染症は一時期の爆発的感染が収束しております。しかしながら、爆発的感染の再発や、それ以外の感染症の流行によって、高度な専門知識と豊富な経験を持ち合わせた人材をはじめとして、事業に携わる貴重な人材を失うことになれば、事業の停止や、事業の中断による機会損失を生じる可能性があります。また、国内外において感染拡大、または感染拡大防止策もしくは予防策として経済社会活動が制約を受けることになれば、経済が停滞する可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に多大な影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、役職員及び家族の健康と安全を最優先に考え、大規模自然災害及び偶発的事故等の緊急事態に備えて、日頃より防災対策を徹底しております。 また、感染症が流行した場合には、関係政府や当局の指示を踏まえて職場の衛生管理、出社・移動の制限、予防策の周知徹底等を実施することで役職員及び家族の感染防止に努めます。 さらには、緊急事態が発生した場合、感染症が流行した場合や感染症対策もしくは予防策として経済社会活動が制約を受けた場合に、事業への影響を最小限にとどめ、事業を安全に継続もしくは早期に復旧するために、こうした事態を想定したBCP(事業継続計画)を策定し、その実効性の維持・向上に努めております。 |
(2)事業活動に関するリスク
①競合
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[リスク認識] 中古自動車の輸出は、市場の拡大に伴って同業他社との競争が年々激しくなっております。中古自動車に関係する事業は古物営業法に基づく許可を取得すれば参入が可能であることから、当社グループの主要市場であるニュージーランド及びオーストラリアにおいても、今後、新規参入が増加する可能性があります。その結果、優良な中古自動車をめぐる仕入れ競争、販売先の争奪及び輸送手段の確保における競争等が激しさを増す可能性があります。 検査事業は、後述のとおり、認証や認可に基づいて行っておりますが、これらの認証や認可の取得者が大きく増加すれば、同様に、競争が激しさを増す可能性があります。 また、オーストラリアで新車を取り扱う自動車ディーラーと自動車物流会社は、ともに同国の業界大手ではありますが、業界内では常に激しい競争に晒されており、そうした競争の結果、所期の収益貢献が実現せず、既存事業との相乗効果が発揮されない可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、ニュージーランドにおいては、日本から中古自動車を輸出し、船積前の清掃・整備、検査・検疫、通関、海上輸送、現地での整備・車検、自動車ローン、メンテナンスほかのアフターサービス、といった一連のサービスをグループ会社またはパートナー企業を通じて一貫して提供するという独自のビジネスモデルに一層磨きをかけ、顧客の利便性を向上させ、コスト競争力を強化することで、競合他社対比の優位性を維持・拡大してまいります。 また、オーストラリアでは、新車販売や国内で発生する中古自動車の仕入・販売をプラットフォームとして周辺事業を展開することで新たなビジネスモデルを構築し、競合他社対比の優位性を確立してまいります。 |
②新規事業展開
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[リスク認識] 当社グループは、収益力の強化と収益源の多様化を進めるため、新たな事業を創出し、拡大していく考えであります。また、前述のとおり、新たな市場も開拓してまいります。しかしながら、想定外の事業環境の変化や新たな事業リスクの顕在化等により所期の成果を上げることができなければ、当社グループの成長の機会の一つを逸するばかりか、投下資本の回収に加えて、仮に損失が生じれば財務面で影響を受ける可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、個々の事案については事前にグループの投資規律に沿って検討を重ね、所定の審議プロセスを経て実行の可否を判断しております。 新規事業の実行後はモニタリングを励行し、各社の事業計画と実績の乖離を検証します。検証結果を踏まえて適時適切に対策を講じることで新規事業が確実に所期の成果を実現することを目指すとともに、万が一、所期の成果を実現することが困難な場合には果断な対処を行うことで、事業及び業績への影響を最小限に抑えることができる運営体制を確立しております。 |
③海上輸送
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[リスク認識] 当社グループは、自らは船舶等の輸送手段を保有せず、車両の輸送は実運送業者(船社、自動車運送業者等)に委託しております。ロシアのウクライナ侵攻や中東地域の紛争をはじめ、地政学リスクの顕在化等の影響で世界的な物流が停滞することになれば、船腹を必要量確保することができず、予定通りに車両を輸送することができなくなる可能性があります。当社グループは、長年に亘る良好な取引関係から信頼のおける船社を中心に、安定的、かつ十分に管理可能な状況で船腹の供給を受けておりますが、船社の事情によっては、航海スケジュールや積載スペースが急遽変更され、予定通りに車両を輸送することができなくなる可能性があります。 さらには、燃油価格の上昇や船舶需給の逼迫等によって実運送業者の運賃が上昇すると、販売原価が上昇します。 一方、当社グループでは、車両の輸送にあたって国内外の港湾施設を利用しております。これらの施設が大規模自然災害や偶発的事故、港湾施設従事者のストライキ、港湾の混雑等によって平常通りに使用できなくなった場合には、予定通りに車両を輸送することができなくなる可能性があります。代替港を利用するにしても、移送ほかの追加費用が生じることになります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、主要船社との良好な取引関係を維持しつつ、他の船社との取引関係を強化することで船腹の安定的確保に努めております。また、チャーター船や自動車専用船以外の船舶の利用も含めて、運搬手段の多様化にも取り組んでおります。 海上運賃の上昇は、販売価格に転嫁することを原則としており、船社各社の運賃を定期的に確認した上で適宜販売価格に反映しております。 港湾施設が平常通りに使用できなくなった場合に、事業への影響を最小限に止め、事業を早期に復旧するために、近隣港湾を利用したハブ物流方式を検討するとともに、こうした事態を想定したBCP(事業継続計画)を策定し、その実効性の維持・向上に努めております。 |
④検査品質
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[リスク認識] 当社グループは、日本においては、国際植物防疫条約(IPPC)※1に準拠し、ニュージーランド政府の認定機関であるIANZ(International Accreditation New Zealand )よりISO/IEC17020※2の認証を取得して中古自動車の輸出前検査を実施しております。ニュージーランドでは、同国政府の認可のもと、輸入車用の車体識別番号であるVIN(Vehicle Identification Number)の付与、自動車検査等を行っております。 また、国内グループ会社が農林水産省の登録検査機関に登録され、輸出種苗の検疫検査および国内種苗の品質検査を開始しております。前者では輸出相手国が指定する手法、指定がない場合は国際種子検査協会(ISTA)、国際種子連盟(ISHI)等の手法によって検査を行っております。 いずれの国でも検査に必要な公的資格を保有する優秀な検査員を多数擁し、高度なノウハウに裏打ちされたプロセスに沿って、高品質の検査を行っております。しかしながら、自動車に搭載される装置の電子化が急速に進むことで検査技術が追い付かなくなる事態や、想定外の病害虫の発生や想定を超える病虫害の蔓延等、予測し得ない事態によって、技術面や費用面の理由で検査品質の高位維持が困難になる可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、検査技術の革新、検査工程の改善、設備の更新、協力会社との連携強化等により、常に検査業務における品質の維持・向上に努めております。 日本では2024年10月から自動車の電子的な検査(OBD検査※3)が実施されたのに対して検査対応のサポートを行うとともに、ニュージーランド及びオーストラリアを中心に海外で診断機器を販売することで検査事業の付加価値を高めてまいります。 また、輸出前の自動車に付着している害虫を高温で殺処理するための熱処理施設を独自開発し、2019年に日本で特許を取得したのを皮切りに、オーストラリア、韓国、EU、米国、ニュージーランドでも特許を取得しております。 |
※1 国際植物防疫条約(IPPC)
植物に有害な病害虫の侵入・蔓延の防止に向けて、各国間で共同かつ有効な措置を確保するための条約
※2 ISO/IEC17020
ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)及びIEC(国際電気標準会議:International Electrotechnical Commission)が定めた、検査を行う検査機関の能力に係る基準を規定した国際規格
※3 OBD(On-Board Diagnostics)
エンジンやトランスミッションなどの電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)内部に搭載された故障診断機能
⑤風評及び風説
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[リスク認識] 当社グループの意向にかかわらず、マスメディアやインターネット等の媒体によって、当社グループの事業及び役職員に係る否定的な内容もしくは事実と異なる内容の報道や発信がなされたり、誹謗中傷等を含んだ風評及び風説が流布することが想定されます。 こうした事態が発生した場合には、その内容の正否に拘らず、当社グループに対する社会的信用が失墜し、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、こうした報道や発信、風評及び風説に対しては、早期に発見し、専門家のアドバイスも踏まえて適時適切に対応することで、影響が生じるのを防ぐよう努めております。 また、当社グループの事業内容や実績、事業以外の活動等に関する情報を積極的、かつ分かり易い内容で発信することで、ステークホルダーをはじめ多くの方々に当社グループの事業や経営管理の状況をご理解いただけるよう努めております。 |
⑥人材の確保及び育成
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[リスク認識] 当社グループが成長戦略を円滑に遂行するためには多くの優れた人材を常に必要とすることから、高度な専門知識と豊富な経験を持ち合わせた優れた人材を確保し、育成することを、当社グループの重要な経営課題の一つと位置付けております。 輸出入セグメントでは、顧客の要望に応えて車両品質を見極めた上で適正価格にて仕入れることができる優秀なバイヤーを多数必要とします。検査セグメントでは、検査に関係する法規制、国際規格等の知見を有する優秀な管理者と、港湾地区で実際に検査や修理に携わるスタッフを多数必要とします。しかしながら、優れた人材の獲得をめぐっては、競合他社のみならず多方面で常に激しく競い合う状況にあり、結果として、国内外の各事業において優れた人材を必要十分な人数確保できなくなる可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、グループ会社の人材ニーズを常時把握し、採用チャネルを拡充し、適材の確保に努める一方、就業環境の絶え間ない改善により定着化を図っております。 また、社員の動機付けと達成感、向上意欲を増進する人事制度を導入し、研修プログラムを充実させることにより人材の育成に努めております。 |
(3)法規制等に関するリスク
①関係法令
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[リスク認識] 中古自動車の輸出は、外国為替及び外国貿易法、輸出貿易管理令等の規制の対象となっております。輸出地域、輸出貨物の用途及び需要者の要件によっては経済産業大臣の輸出許可が必要となる場合もあります。また、当社グループの事業の多くは、事業を展開する各国において様々な法規制、許認可の適用対象となっております。法規制の改定・新設、解釈や運用が変更されて規制が強化される可能性、または、過失その他の事情によりこれらに抵触して刑事罰、行政処分、許認可の取消等が課される可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、コンプライアンスを経営の基本的な方針と位置付けております。 日本をはじめ事業を展開する国及び地域において、グループ会社各社が事業に関係する法令や所轄官公庁の許認可等の動向を常時把握するとともに、国内外の顧問弁護士を通じて関連情報を精査することで適時適切な対応に繋げております。 遵法意識を徹底するため、全社指示もしくはグループ会社各社の判断の下で適宜研修を実施しております。 |
②訴訟その他法的手続き
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[リスク認識] 当社グループは、広く国内外で事業を展開していることから、多くのステークホルダーと関わりをもっており、その全てとの共栄を目指すことをグループビジョンでも謳っています。しかしながら、当社グループの事業活動に関連して立場や見解の違いによって対立が生じ、その結果、重大な訴訟その他の法的手続きが発生し、当社グループに不利な判断が下されば、社会的信用が失墜し、さらには、多額の賠償負担や裁判費用が生じる可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、前述のとおり、コンプライアンスを経営の基本的な方針と位置付けております。 役職員は、法令、社会倫理、社会道徳に則り公平かつ公正に業務を執行することによって、事業活動に関連して対立が生じることを未然に防ぎ、非難を受けることや嫌疑がかかることがないように努めることとしております。万が一、訴訟その他法的手続きが発生した場合には、顧問弁護士ほか社外の専門家の指導や助言を適宜受けながら、適切に対処することとしております。 なお、本書提出日現在、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟その他法的手続きは提起されておりません。 |
③移転価格税制等の多国間取引に伴う税務
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[リスク認識] 当社グループはグローバルに事業を展開していることから、日本をはじめ各国の税制にしたがって公正な会計処理を行うように努めております。しかしながら、各国の税務当局との間で見解の相違が生じて取引価格に係る移転価格税制上の指摘や源泉徴収の必要性等の指摘を受け、または政府間協議が不調に終わり、結果として二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、前述のとおり、コンプライアンスを経営の基本的な方針と位置付けております。 グループ会社間取引については、国際税務の観点から事前に綿密な調査を行い、社外の専門家の指導やアドバイスを適宜受けながら、関係法令・規則に則り公正な会計処理を励行することで二重課税や追徴課税等を回避するよう努めております。 |
(4)情報セキュリティに関するリスク
①情報システム
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[リスク認識] 当社グループは、グループ会社各社の業務の主要な部分を情報システムに依存しております。地震等の自然災害、火災、ハードウェアまたはソフトウェアの不具合、コンピューターウィルスの感染、公衆回線等の通信ネットワークの障害、電力供給の障害、人為的ミス、その他予期せぬ事象が原因で情報システムが正常に作動しなくなれば、通常業務の運営に支障を来すだけでなく、サービスの質・量の劣化を引き起こす可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、情報システムを安全かつ効率的に運用するために「情報システム運用管理規程」を制定し、データ管理、バックアップ等を厳格に運用しております。 また、当社グループの事業や組織の発展と社会の要請に合わせて、情報システムの堅牢化と冗長化の両面で、障害への耐久力の強化に継続的に取り組んでおります。 |
②情報資産
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[リスク認識] 当社グループは、事業活動を通じて取引先の機密情報や個人情報を入手することがあります。また、当社グループ自身の機密情報及び個人情報も大量に保有しております。これらの情報資産において、不正アクセスやサイバー攻撃等による情報の漏洩、紛失、データの破壊等が発生すれば、通常業務の運営に支障を来します。取引先をはじめとする第三者に甚大な被害を及ぼすことになれば、巨額の補償負担が生じ、当社グループに対する社会的信用も失墜し、さらには、刑事罰、行政処分、許認可の取消等が課されることになれば当社グループの事業が制約を受ける可能性があります。 こうした事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。 |
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[対応] 当社グループでは、情報資産を様々な脅威から保護し、適正に取り扱うために「情報セキュリティポリシー」「情報セキュリティ管理規程」「機密情報管理規程」及び「個人情報保護管理規程」を制定し、役職員に対しては情報セキュリティに係る教育及び啓発を随時実施することで意識の向上を促すとともに、厳格な情報管理を励行しております。 また、情報の漏洩、紛失、データの破壊等から情報資産を守るために、不正侵入やマルウェアの検知、データの消去や改竄の復旧、データの自動バックアップ等のハード面の強化を図っております。 |
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、インフレ鎮静化やそれに伴う利下げ継続などにより安定化の様相を呈したものの、地政学リスクの長期化に加え、米国トランプ政権の政策運営による世界経済の混迷が危惧され、将来に向けての不確実性が一層、強まる状況にあります。
当社グループの戦略市場であるオーストラリアでは、長期化した高金利も利下げに転じるほどにインフレ鈍化も進むと共に、引き続き堅調な労働環境もあり、新車販売市場は、昨年度の記録的な販売台数に続く水準を維持しました。
一方、従来からの主力市場であるニュージーランドでは、主要国同様、徐々にインフレ鈍化もみられ、段階的な利下げも進められましたが、景気は依然、軟調のまま推移しました。特に同国中古自動車輸入市場では、現政権による環境規制の変更も受け輸入台数が激減、通期では、完全ロックダウンを経験したコロナ初年度の輸入量を下回る水準であり、巷間リーマンショック以来とも言われるほどの低迷を経験しました。
上記の市場環境の中、輸出入セグメントの中核事業子会社である㈱日貿における当連結会計年度での輸出販売台数は、主力ニュージーランド市場での輸入台数減少に連動する形で取り扱い数量を減らし、他地域向け輸出も含めて前年同期比35.4%減の42,015台に留まりました。物流セグメントの中核事業子会社であるDolphin Shipping New Zealand Limited においては㈱日貿での輸出台数減少等の影響を受け、ニュージーランド向けの輸送台数が33,449台と前年同期比38.1%減少しました。一方で、オーストラリアにて買収したAutocare Service Pty Ltdの売上は計画を上回る実績で、物流セグメントの収益増加に貢献しました。サービスセグメントでは、自動車ローン事業を扱うAuto Finance Direct Limitedにおいて貸出し残高増加により金利収入が増加し、また、前第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAuto Trader Media Group Ltdは同セグメントの売上増収に貢献しました。検査セグメントにおいては、ニュージーランド向けの船積前検査数量が49,003台と前年同期比41.2%減となり、また、他地域向けの検査数量も伸び悩み、前年同期比で減収・減益となりました。当連結会計年度より新設した小売・卸売セグメントにおいては、オーストラリアの新車中古自動車の小売事業子会社で前第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAutopact Pty Ltdの収益が寄与して前年同期比で大幅増収・増益となりました。
なお、当連結会計年度ののれん償却額は19億37百万円と前年同期比で13億32百万円増加しており、また、オーストラリアにおいて法人税等の負担が増加しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ218億90百万円増加し、1,594億69百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ195億51百万円増加し、1,340億5百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ23億38百万円増加し、254億63百万円となりました。
ロ.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高2,688億25百万円(前年同期比116.9%増)、のれん償却額を含めて営業利益70億48百万円(同2.3%増)、経常利益11億45百万円(同78.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失4億83百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益28億54百万円)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
輸出入では、売上高は431億82百万円(前年同期比22.4%減)、セグメント利益は7億23百万円(同66.5%減)となりました。
物流では、売上高298億94百万円(前年同期比101.4%増)、セグメント利益18億89百万円(同4.3%増)となりました。
サービスでは、売上高40億3百万円(前年同期比27.0%増)、セグメント利益1億46百万円(同77.0%減)となりました。
検査では、売上高50億90百万円(前年同期比26.7%減)、セグメント利益1億69百万円(同84.7%減)となりました。
小売・卸売では、売上高は1,922億87百万円(前年同期比263.0%増)、セグメント利益は46億59百万円(同214.2%増)となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は77億90百万円(前年同期は22億87百万円の増加)となりました。
また、投資活動の結果減少した資金は161億6百万円(前年同期は63億64百万円の減少)となり、財務活動の結果増加した資金は52億97百万円(前年同期は108億73百万円の増加)となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、129億70百万円(前年同期比32億54百万円の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
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輸出入 |
42,466 |
89.3 |
|
検査 |
11 |
133.5 |
|
小売・卸売 |
159,021 |
420.5 |
|
合計 |
201,498 |
236.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.物流セグメント、サービスセグメント、その他セグメントにおいては商品仕入活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
ハ.受注実績
役務又は商品等の受注から完了又は納品等までの所要時間が短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ同額であるため、記載を省略しております。
ニ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
輸出入 |
39,898 |
79.5 |
|
物流 |
28,625 |
232.0 |
|
サービス |
3,787 |
128.0 |
|
検査 |
3,844 |
74.8 |
|
小売・卸売 |
192,273 |
363.1 |
|
その他 |
395 |
112.1 |
|
合計 |
268,825 |
216.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.相手先別の販売実績につきましては、総販売実績に対して10%以上の相手先がありませんので、記載を省略しております。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果につきましては、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
(イ)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ0.3%増加し、909億73百万円となりました。これは主に現金及び預金が32億59百万円、売掛金及び契約資産が12億50百万円減少したものの、棚卸資産が37億68百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ46.1%増加し、684億95百万円となりました。これは主に有形固定資産が216億18百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べ15.9%増加し、1,594億69百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ8.1%減少し、910億38百万円となりました。これは主に短期借入金が131億83百万円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ180.0%増加し、429億66百万円となりました。これは主に長期借入金が152億90百万円、長期リース債務が122億53百万円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ17.1%増加し、1,340億5百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ10.1%増加し、254億63百万円となりました。これは主に第1四半期及び第2四半期連結会計期間に実施した公募増資により資本金及び資本剰余金がそれぞれ35億86百万円増加したことによるものです。なお、親会社株主に帰属する当期純損失の計上及び配当金の支払いにより利益剰余金が15億93百万円減少しました。
(ロ)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べて116.9%増加し、2,688億25百万円となりました。
当社グループの主力事業を担う貿易セグメントの中核事業会社である㈱日貿では、前述のように主力ニュージーランド市場での輸入台数減少に連動する形で取り扱い数量を減らし、他地域向け輸出も含めて前年同期比35.4%減の42,015台に留まりました。その結果、輸出入セグメントの売上高は431億82百万円(前年同期比22.4%減)となりました。
物流セグメントでは、前述のように中核子会社であるDolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数減少により同社の売上は減少したものの、第1四半期連結会計期間に取得したAutocare Service Pty Ltdの収益が貢献した結果、売上高は298億94百万円(前年同期比101.4%増)となりました。
サービスセグメントでは、前述のように自動車ローン事業を担うAuto Finance Direct Limitedでの金利収入増加及び前第3四半期連結会計期間末により連結子会社化したAuto Trader Media Group Limitedの売上増収に貢献し、売上高は40億3百万円(前年同期比27.0%増)となりました。
検査セグメントでは、前述のようにニュージーランド向けの船積前検査数量が減少し、また、他地域向け検査数量も減少したため、売上高は50億90百万円(前年同期比26.7%減)となりました。
小売・卸売では、ニュージーランドの中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの売上は減少しましたが、前第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAutopact Pty Ltdの収益が貢献した結果、売上高は1,922億87百万円(前年同期比263.0%増)となりました。
(営業損益)
当連結会計年度の売上原価、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べてそれぞれ、117.6%増、170.1%増となりましたが、これは主に、オーストラリアで新たに連結子会社化したAutocare Services Pty Ltd及び前第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAutopact Pty Ltdにおける売上原価・販売費及び一般管理費による増加並びに同社株式取得に伴い発生したのれん等の償却費によるものです。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べて2.3%増加し、70億48百万円となりました。
(経常損益)
借入金及びリース債務の増加による支払利息の増加及び為替差損の発生等による営業外費用が増加したため、営業外収益で受取利息の増加はあったものの、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べて78.1%減少し、11億45百万円となりました。
(特別損益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益によるもので前連結会計年度に比べて26百万円増加し29百万円となりました。特別損失は固定資産除売却損によるものですが、前連結会計年度に比べて46百万円増加し、55百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ78.6%減少し、11億18百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度の法人税等合計は、前連結会計年度比9億68百万円減少し11億52百万円となりました。これは、税金等調整前当期純利益の減少に連動したものであり、また、オーストラリアで買収した会社で繰延税金資産の計上及び繰延税金負債の取り崩しにより法人税等調整額(益)を計上したことによります。
この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は4億83百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益28億54百万円)となりました。
(ハ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて32億54百万円減少(前年同期比20.1%減少)し、129億70百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は77億90百万円(前年同期は22億87百万円の増加)となりました。これは主に、棚卸資産の増加15億11百万円や、法人税等の支払い35億95百万円等の減少要因があった一方で、売上債権の減少34億84百万円、減価償却費66億99百万円、のれん償却額19億37百万円等の増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は161億6百万円(前年同期は63億64百万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出83億97百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出72億86百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は52億97百万円(前年同期は108億73百万円の増加)となりました。これは主に短期借入金の純減114億77百万円等による減少要因があったものの、長期借入れによる収入215億92百万円、株式発行による収入71億79百万円等の増加要因によるものであります。
ロ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しており、それらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、中古自動車の仕入れ、自動車ローンの貸付資金及びその他の売上原価であります。運転資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入金によっています。
投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業買収等による投資であります。投資を目的とした資金は、自己資金を主たる財源としつつ、必要に応じて金融機関からの借入及び株式の発行によって資金の調達を行う方針であります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,204億68百万円となっております。また、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は129億70百万円となっております。
ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、収益性及び効率性の観点から、連結営業利益額、連結経常利益額及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と考えております。
また、収益性の観点から、連結子会社である㈱日貿の中古自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として考えております。その理由は、㈱日貿及びAutopact Holdings Pty Ltdにおける販売のみならず、物流、サービス、検査等が直接的、間接的に影響を受けるためであります。
当連結会計年度における連結営業利益額は70億48百万円(前年同期比1億59百万円増)、連結経常利益額は11億45百万円(同40億90百万円減)及び自己資本当期純利益率(ROE)は△2.2%(前年同期は15.7%)となりました。また、㈱日貿の中古自動車販売台数は42,015台(前年同期比35.4%減)となりました。
ホ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(輸出入)
輸出入では、前述のように中核子会社である㈱日貿の販売台数が減少したため、売上高は431億82百万円(前年同期比22.4%減)、セグメント利益は7億23百万円(同66.5%減)となりました。
(物流)
物流では、前述のように中核子会社であるDolphin Shipping New Zealand Limitedの輸送台数減少により同社の売上は減少したものの、第1四半期連結会計期間に取得したAutocare Service Pty Ltdの収益が貢献した結果、売上高は298億94百万円(前年同期比101.4%増)、セグメント利益は18億89百万円(同4.3%増)となりました。
(サービス)
サービスでは、前述のように自動車ローン事業を担うAuto Finance Direct Limitedでの金利収入増加及び前第3四半期連結会計期間末により連結子会社化したAuto Trader Media Group Limitedの売上増収に貢献したものの政策的広告宣伝の増強策により、売上高は40億3百万円(前年同期比27.0%増)、セグメント利益1億46百万円(同77.0%減)となりました。
(検査)
検査では、前述のようにニュージーランド向けの船積前検査数量が減少し、他地域向け検査数量も減少増加したため、売上高50億90百万円(前年同期比26.7%減)、セグメント利益1億69百万円(同84.7%減)となりました。
(小売・卸売)
小売・卸売では、ニュージーランドの中古自動車卸売事業子会社であるTrade Cars Limitedの売上は減少しましたが、前第3四半期連結会計期間末より連結子会社化したAutopact Pty Ltdの収益が貢献した結果、売上高は1,922億87百万円(前年同期比263.0%増)、セグメント利益は46億59百万円(同214.2%増)となりました。
当連結会計年度において、当社の100%子会社であるOptimus Group Australia Pty LtdはAutocare Services Pty Ltdの全株式を取得しました。詳細は「第5 経理の状況 ①連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)を参照ください。
当社は、2024年9月18日開催の取締役会決議に基づき、Autopact Pty Ltdの株式取得のために調達した資金の借換を目的として、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を、2024年10月28日付で締結いたしました。
契約締結日 2024年10月28日
借入実行日 2024年10月31日
借入金額 12,000百万円
借入期間 7年(期限前弁済可能)
資金使途 Autopact株式取得に係るブリッジローンのリファイナンス
財務上の特約としての財務制限条項は以下のとおりです。
・連結純資産の部の金額を一定水準以上に維持すること
・連結営業損益を黒字に維持すること
該当事項はありません。