当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更があった事項は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
また、以下の見出しに付された項目事項は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3事業等のリスク」の項目番号に対応したものであり、文中の下線部分が変更箇所で、変更箇所の前後について、一部省略しております。
(2)国際通信事業に関わるリスク
当社グループの国際通信事業は、①当社によるフィリピンと香港・シンガポール等を結ぶ国際通信サービスの提供と②InfiniVANによるマニラ首都圏を中心とした地域内での法人向けインターネット接続サービスの提供及びフィリピン国内通信回線の提供になります。前者①は、当社が、フィリピンと香港、シンガポール、東京、北米との間の国際通信回線(フィリピン国内区間を含みます)の長期使用権(IRU)(注1)又は賃借権を、実質的な所有者である通信回線事業者から取得し小口化して、フィリピンでインターネット接続サービスを提供しているCATV事業者等に対して提供しております。また後者②は、InfiniVANがマニラ首都圏を中心とした地域で法人向けにインターネット接続サービスを提供するとともに、自社で敷設した通信回線を他の通信事業者等にIRU契約又はリース契約により提供しております。さらに、2028年3月完成予定の日本‐フィリピン-シンガポールを結ぶ国際海底ケーブルシステム(ケーブル名「Candle Submarine Cable System」、以下「Candle」という。)の建設プロジェクトに参画し、国際通信事業領域の拡大を図っております。当社グループの国際通信事業による売上高は、当連結会計年度の売上高の73.5%を占めており、以下のようなリスクがあります。
(略)
G Candleへの設備投資等について
Candleへの設備投資については、当社グループの過去最大の設備投資になります。Candleの完成は2028年3月を予定しており、段階的に借入を行い、投資資金を支払う契約となっております。Candleにおいて、予期せぬ事象が発生し、建設工事の中断などにより完成時期の遅れや未完成となった場合には、また、Candleの販売について、当初想定したような顧客への販売計画に遅れが生じた場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(6)その他
(略)
⑨ 有利子負債依存度、支払利息の増加
当社グループは、設備投資等のための資金調達を主に金融機関からの借入金に依存しており、2025年3月末現在における連結総資産に占める有利子負債依存度は24.0%であります。今後、Candleに関する借入およびフィリピンでの通信事業を展開するために当社グループは設備投資を行う予定ですので、さらに有利子負債の依存度は高まる可能性があります。そのため、借入金の増加による財務体質の悪化や、借入金利の上昇により支払利息が増加した場合には、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当社グループは、Open Doorという企業理念のもと、いまだ誰も突破できていない障壁のある生活に密着した分野で、誰よりも先んじて事業機会を創造し、事業を展開し、産業構造を変え、あるべき社会を実現すべく、さまざまな事業に取り組んでおります。特に、新しいIT技術を活用した通信環境の提供によりフィリピンの社会課題を解決し、SDGsに貢献しつつ、事業の拡大を図っております。
当中間連結会計期間における世界経済は、中東情勢、ウクライナ情勢等の地政学的リスクへの警戒感や米関税政策による国際的な影響などを背景として、先行き不透明な状況が続きました。日本経済は、雇用・所得環境の改善等により緩やかに回復しているものの、商品やエネルギーの価格高騰が長期化し、米国の通商政策の影響が一部にみられるなど、依然として先を見通しにくい状態です。
当社グループの主要市場であるフィリピンは、インフレの持続的緩和に伴い国内需要が堅調に推移したことなどにより、2025年4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比5.5%増と、前期の5.4%から小幅に上昇し、東南アジアの中でも高成長が期待されております。AIやデータセンター向けの投資が拡大するなど社会のデジタル化が加速しており、通信回線を介したコミュニケーションの重要性は一段と増しています。社会を支える生活基盤としての通信回線の整備・拡充は、日本やフィリピンをはじめ世界中で急務となっており、今後とも積極的に事業の拡大を図ってまいります。
当社グループは、フィリピンとシンガポール・香港を結ぶ海底ケーブル(City-to-City Cable System、以下「C2C回線」)の使用権の一部及び各国の陸上回線から成る国際通信ネットワークを取得して、キャリアズキャリア(通信事業者のための卸売業者)としてのポジションを確立し、拡大する通信需要に応えるとともに、2023年12月に完成したフィリピン国内海底ケーブルネットワーク(Philippine Domestic Submarine Cable Network、以下「PDSCN」)を中心とする国内基幹網の拡充を通じ、フィリピン全土に通信回線やサービスを展開することにより、さらなる事業の拡大を図っております。
日本においては、通信トラフィックの需要があるコールセンター事業者向けを中心に、ソフトウェア、通信回線及びコンサルテーションを顧客ごとに最適化したソリューションサービスの提供を継続しております。
メディカル&ヘルスケア事業は、フィリピンにおいて、Shinagawa Lasik & Aesthetics Center Corporation(以下「SLACC」)によるレーシックの安定的な提供を行うとともに、Shinagawa Healthcare Solutions Corporation(以下「SHSC」)で2023年4月に開院した日本基準の健診センター・人間ドックである、Shinagawa Diagnostic & Preventive Care Center(以下「SDPCC」)を通じ、フィリピン国内での予防医療の普及啓発に取り組んでおります。
以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は7,854百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益は2,351百万円(同0.5%増)となりました。また、円安等の進行に伴い為替差益を103百万円計上(前年同期は為替差損を677百万円計上)したことにより経常利益は2,314百万円(同45.7%増)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は1,607百万円(同67.2%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(国際通信事業)
当社グループが使用権を保有するC2C回線の大口契約に加え、PDSCNを中心とするフィリピン国内基幹網と組み合わせたネットワークによる回線やサービスの提供を、マニラ首都圏から地方へと引き続き展開しました。地方の通信事業者等への通信機器販売を含むネットワーク構築サービスや、小口容量を含む多様な販売が伸長しました。InfiniVAN, Inc.による法人向けインターネット接続サービスは、2025年6月末の課金顧客数が、2025年3月末より154件増加して1,900件となり、事業全体では増収減益となりました。
この結果、売上高は5,861百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益は2,148百万円(同1.6%減)となりました。
(国内通信事業)
当社グループが日本国内の販売代理権を持つコールセンターシステム「AmeyoJ」と、大手電気通信事業者から仕入れた電話回線をコールセンター事業者向けに秒単位の課金体系で販売する秒課金を組み合わせたソリューションサービスにおいて、顧客ニーズに応じたライセンス販売等を継続したほか、着信側が課金される「0120」等を自社提供する新サービスの開始に向けた対応を継続しました。
電気通信事業者間の音声通信回線の相互接続につきましては、電話網のIP化(PSTNマイグレーション)等を踏まえ、接続料(アクセスチャージ)の水準を保守的に見直しておりますが、主力のコールセンターソリューションが堅調に進捗したことにより、事業全体では減収増益となりました。
この結果、売上高は1,221百万円(前年同期比22.9%減)、セグメント利益は230百万円(同11.3%増)となりました。
(メディカル&ヘルスケア事業)
SLACCが主力とするレーシックは、引き続き競争激化等の影響を受けておりますが、手術件数の安定化に向けたマーケティング施策などをきめ細かく講じております。また、SHSCにおいては、日本基準の人間ドック・健診センターSDPCCを通じ、法人・個人の定期健診の利用促進に取り組んでおり、フィリピンにて予防医療の重要性を啓発する活動を続けております。
この結果、売上高は771百万円(前年同期比4.6%増)、セグメント損失は27百万円(前年同期は53百万円のセグメント損失)となりました。
(2)財政状態の分析
(資産の状況)
当中間連結会計期間末の流動資産は23,562百万円となり、前連結会計年度末に比べ74百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が396百万円、売掛金が1,497百万円増加した一方、リース投資資産が695百万円、その他流動資産が1,111百万円それぞれ減少したことによるものであります。また、固定資産は18,453百万円となり、前連結会計年度末に比べ90百万円増加いたしました。これは主に、設備投資により有形固定資産が552百万円増加した一方、無形固定資産が436百万円、投資その他の資産が25百万円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は42,042百万円となり、前連結会計年度末に比べ11百万円増加しました。
(負債の状況)
当中間連結会計期間末の流動負債は17,304百万円となり、前連結会計年度末に比べ556百万円増加いたしました。これは主に、短期借入金が300百万円、未払金が244百万円増加したことによるものであります。また、固定負債は4,210百万円となり、前連結会計年度末に比べ90百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が137百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は21,515百万円となり、前連結会計年度末に比べ466百万円増加しました。
(純資産の状況)
当中間連結会計期間末の純資産は20,527百万円となり、前連結会計年度末に比べ454百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益1,607百万円の計上、非支配株主持分55百万円の増加、為替換算調整勘定1,945百万円の減少、配当金の支払額259百万円の減少によるものであります。
この結果、自己資本比率は35.0%(前連結会計年度末は36.3%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ396百万円増加し、当中間連結会計期間末における残高は4,314百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動において獲得した資金は1,245百万円(前年同期は291百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益2,323百万円、減価償却費432百万円、リース投資資産の662百万円の減少があった一方、売上債権の増加2,113百万円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用した資金は989百万円(前年同期は348百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出755百万円、無形固定資産の取得による支出224百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において獲得した資金は253百万円(前年同期は123百万円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の増加が300百万円、非支配株主からの払込みによる収入162百万円、長期借入れによる収入900百万円があった一方、配当金の支払いによる支出259百万円、長期借入金の返済による支出909百万円によるものであります。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、新たに契約した重要な契約は次のとおりであります。
国際通信事業
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契約会社名 |
相手先の名称 |
相手先国名 |
契約締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
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株式会社アイ・ピー・エス |
Edge Network Services Limited |
アイルランド |
2025年 8月1日 |
システムのProvisional Acceptanceから25年経過後、もしくは規定に従いシステムが廃止された時点まで |
Candleの共同建設契約 |
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株式会社アイ・ピー・エス |
TM Technology Services Sdn. Bhd. |
マレーシア |
2025年 8月1日 |
システムのProvisional Acceptanceから25年経過後、もしくは規定に従いシステムが廃止された時点まで |
Candleの共同建設契約 |
|
株式会社アイ・ピー・エス |
ソフトバンク株式会社 |
東京都港区 |
2025年 8月1日 |
システムのProvisional Acceptanceから25年経過後、もしくは規定に従いシステムが廃止された時点まで |
Candleの共同建設契約 |
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株式会社アイ・ピー・エス |
日本電気株式会社 |
東京都港区 |
2025年 8月8日 |
定めなし |
Candleの建設・供給契約 |
その他重要な契約
シンジケートローン契約
(1) 契約締結日
2025年9月30日
(2) 金銭消費貸借契約の相手方の属性
株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするシンジケート団
(3) 金銭消費貸借契約に係る債務の期末残高及び弁済期限並びに当該債務に付された担保の内容
①金銭消費貸借契約に係る債務の元本の額
上限約120億円(米ドルおよび円での借入)
②弁済期限
借入金額確定後5年間で返済
③当該債務に付された担保の内容
無担保・無保証
(4) 財務上の特約の内容
①各事業年度の決算期の末日における連結貸借対照表における純資産の部の金額を前年同期比75%以上に維持すること。
②各事業年度の決算期における連結損益計算書に示される営業損益が2期連続で損失とならないようにすること。
③各事業年度の決算期の末日における連結ネット有利子負債/EBITDA倍率の3期加重平均値を5.0倍以下に維持すること。