第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

人生は「ある日」の積み重ねでできています。当社グループは、ライフステージに応じた住まいの実現を金融面からサポートし、お客さまの大切な「ある日」をお手伝いし、笑顔溢れる社会に貢献します。

当社グループは、全国の店舗をはじめとする多様なチャネルを通じて、個人のお客さまには、固定金利商品も変動金利商品も取り揃えている住宅ローンに加え、自宅の買替えに伴う様々な資金に活用できるマイホーム売却サポートローン、自宅売却後も賃借し住み続けることができるリースバックを、住宅ローンの主要パートナーである不動産事業者さまへは仕入資金ローンや仕入物件を、ご提供しています。

当社グループは、多様な金融サービス、卓越したオペレーション、パートナーネットワークを通じて、お客さまにとってファーストチョイスとなる住宅金融のリーディングカンパニーを目指します。

 

(2)中期的な経営戦略

今後の住宅市場においては、人口や居住用不動産全体の流通量はやや微減となるものの、社会の多様化によるシングル、シニア、外国籍の方の増加などを背景に、同顧客層などにおける住宅ニーズが高まると考えております。また、住宅ローン市場においては、住宅市場に連動し、市場全体としては微減傾向となるものの、今後増加が見込まれる顧客層からの借入ニーズの高まりに加え、日本銀行の金融政策の正常化を進める中での段階的な政策金利の引き上げにより、固定と変動の金利差が縮小傾向となり、固定金利化ニーズが高まると考えております。

また、当社の足元の課題としては、事業環境の変化に対応するための営業現場、オペレーション及びプロパーローンの強化、外部環境に左右されやすいフロー偏重の収益構造からの脱却、更なるSBIグループリソース・機能の活用、と考えております。

このような事業環境見通し及び足元の課題を踏まえて、当社グループは、お客さまの各ライフステージにおける住宅金融サポート機能の構築を目指し、2025年5月に「中期経営計画2025」を策定しております。

 

当社は、「中期経営計画2025」において、①「フラット35」シェア圧倒的No.1、②成長領域への投資、③ストック収益50%超、の3つを重点施策として設定しております。

具体的には、「フラット35」の年間シェアでの圧倒的No.1に向け、「営業ネットワーク」と「オペレーション」への投資を拡大し、更なるDX化を推し進めることにより事業基盤を強化してまいります。

成長領域への投資に関しては、世帯数の増加や流通量の増加が見込まれるシングル、シニア、外国籍の方々といった新たな顧客層(成長領域)に対して、段階的にプロパーローンを中心とした商品開発の強化を進めます。それと同時にリスク・リターンのバランスを保ちながらリスクオンを実施するために更なるリスク管理体制を強化してまいります。

ストック収益50%の達成に向けては、SBIエステートファイナンス、SBIスマイル、SBIギャランティ(以下、SBIEFグループ)の継続的な成長、SBIグループとの共同出資にて開始した保証事業においては、当社の住宅ローンに加え、SBIグループのリソースを活用することにより全国の金融機関への住宅ローン保証業務の取扱いを拡大してまいります。これにより、従来の金利動向に左右されやすいフロー収益に偏っていた収益構造からストック収益の割合を拡大させ、長期的に安定した収益構造の基盤確立を行ってまいります。

 

 

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(3)目標とする経営指標

中期経営計画における財務目標は、以下のとおりであります。

指標

2025年3月期(実績)

2030年3月期(注)

営業収益

222億円

550億円

税引前利益

24億円

100億円

ROE

4.5%

10.0%超

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、足元の課題認識を踏まえ、2025年5月に「中期経営計画2025」を策定しております。

課題認識と戦略の方向性は以下のとおりです。

 

① 営業体制及び販売チャネル

当社グループは、FC店舗、直営店舗、直販拠点や、来店不要で手続きが可能な非対面チャネル、SBIEFグループの各店舗やSBIグループの親密地域金融機関との連携など、さまざまな販売チャネルを拡大して提供することで、より大きな市場に、より効率よくアクセス可能な体制を整備してまいりました。

引き続き、当社グループの強みである「営業ネットワーク」への投資を拡大し、FC店舗中心の持続的な店舗展開、店舗の営業活動や接客スキルの平準化及び向上を目的としたデジタル営業ツールの拡充などDX化による営業支援の強化、お客さまの多様化するニーズへの対応に取り組んでまいります。

FC店舗の出店において、新規FC店舗の人材確保が難しく、出店を見送るケースが複数発生しており、今後はこの課題を克服するための持続可能なモデルの開発を進めてまいります。まず直営店舗の出店を先行させ、営業基盤を確立した後に必要に応じてFC店舗に譲渡するなど環境変化に応じた機動的な店舗配置を行うことで、ビジネス機会の損失を防いでまいります。

また、営業体制の強化及び販売チャネルの拡大を進めるうえで、FC店舗を含む人材の安定的な確保、研修などの教育制度による能力向上及びコンプライアンスの推進が課題であると認識しております。そのため、店舗チャネルの戦略的な運営を従来以上に推し進め、販売体制の強化とコンプライアンスの推進に継続的に取り組んでまいります。

 

 

② オペレーション体制

当社グループは、住宅ローン業務において、OCR(Optical Character Recognition)やRPA(Robotic Process Automation)、AI等の最先端テクノロジーを活用して、お客さまの利便性と営業及び事務効率の向上に取り組んでおります。また、審査プロセスの強化やeKYC等のテクノロジーを活用した住宅ローン不適正利用の予防に取り組んでおります。

一方で、多様化する商品・顧客属性などに伴う事務工数の増加が発生しているため、今後も引き続きテクノロジー活用領域の拡張を進め、DX化を推進してまいります。DX化を通じて、お客さま、不動産事業者さま、FC店舗にとって最適なプロセス構築を目指します。オペレーション体制の強化において、イノベーション・チャレンジを継続することが当社グループの責務かつ課題であると認識しております。

 

 

③ 競合他社の状況と商品ラインアップ

住宅ローン市場においては、銀行等が提供する変動金利商品が全住宅ローンの約90%(注1)の市場を占有し、貸出金利、付帯サービス拡充などの競争が激化しています。住宅価格の上昇及び物価高の影響で月額返済額の低減ニーズが高まったことに加え、日本銀行の金融政策修正により長期金利が先行して上昇したことを受け、固定と変動の金利差が拡大したことで、全期間固定金利の「フラット35」にとっては厳しい市場環境が続いておりました。しかしながら、2024年度下期以降、日本銀行が金融政策の正常化を進める中で、段階的に政策金利の引き上げを行ったことにより、固定と変動の金利差が縮小傾向となっております。

当該外部環境の中、当社の課題であったFC店舗領域における変動金利商品として「ARUHI 住宅ローン(MG保証)」に加え、2025年4月に「ARUHI 住宅ローン(SBI信用保証)」をリリースすると共に、「ARUHI フラット50」などの月額返済額の軽減ニーズに対応した毎月の返済額を抑える超長期住宅ローンを導入いたしました。

また、当社は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供している全期間固定金利商品である「ARUHIフラット35」(「フラット35(買取型)」)に加え、当社独自の全期間固定金利商品である「ARUHIスーパーフラット」(「フラット35(保証型)」)の拡販や「フラット35」子育てプラス、ペアローンなどを活用し、固定金利市場の拡大を図っています。2025年3月期の「フラット35」の融資実行件数(借換を含む)シェアは26.3%(前年比1.6%増)となり、15年連続で第1位(注2)となりました。

固定と変動の金利差の縮小傾向という固定金利商品に吹き始めているフォローの風を確実につかみ、引き続き「フラット35」シェア圧倒的No.1に向け、事業基盤を強化してまいります。加えて、既存の取扱商品では、世帯数の増加や流通量の増加が見込まれるシングル、シニア、外国籍の方々といった今後の成長領域において取りこぼしの発生が見込まれることから、プロパーローンの強化を進めてまいります。

 

(注)1.出典:国土交通省 令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書

     固定金利期間選択型を含む。

   2.2010年度~2024年度統計、取扱全金融機関のうち借換を含む「フラット35」融資実行件数

     (2025年3月末現在、当社調べ)

 

④ 収益構造

当社の収益構造は、金利動向の影響を受けやすい「フラット35」の事務手数料を中心としたオリジネーション関連収益といったフロー収益に偏っていたことから、SBIエステートファイナンスをグループ会社化するなど、ストック収益の割合を拡大させてきました。

2025年2月に、SBIグループとの共同出資にてSBI信用保証株式会社を設立し、同年4月より保証事業を開始いたしました。当社において、同社を保証会社とするプロパーローンを開始したことに加え、SBIグループのリソースを活用することによる全国の金融機関の住宅ローンへの保証業務の拡大を通じて、信用保証残高を積み上げ、ストック収益の拡大を目指してまいります。

併せて、SBIエステートファイナンスの不動産事業者さま向けの仕入資金ローン、お客さま向けのマイホーム売却サポートローン等商品のFC店舗及び直営店舗で取扱うためのグループ内の連携強化、営業エリア拡大など、住宅ローン以外の住宅金融商品の取扱いも強化し、ストック収益の拡大を進めてまいります。

 

⑤ リスク管理

当社グループは、リスク管理基本方針に基づくERM(Enterprise Risk Management)体制により、グループ全体のリスクを統合的に管理しております。事業領域の拡大や商品拡充に伴う新規リスクや既存リスクの継続的なモニタリングにより、リスクを適切にコントロールしながらビジネスの拡大による企業価値向上に取り組んでまいります。

なお、リスク管理の詳細は、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ コンプライアンス

当社グループは、当社の「MISSION、VALUE」の企業理念に則り「SBIアルヒ・コンプライアンス行動規範」を定め、FC店舗従業員を含む全役職員に周知しております。この行動規範では、社外のステークホルダー(お客さま・株主・社会全般など)への行動規範と帰属する組織の一員(よりよい企業風土・組織の一員・経営者など)としての行動規範を定めております。

なお、コンプライアンス体制の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③コーポレート・ガバナンスに関するその他の事項 d.コンプライアンス体制の整備状況」をご参照ください。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループでは、従前より、ESG視点の経営優先テーマ「マテリアリティ(重要課題)」を策定し、社会や環境への配慮等の取組みを事業戦略とより一層結びつけた経営に取り組んでおりましたが、2023年12月1日付けで、SBIエステートファイナンス株式会社を株式交換により、完全子会社化したこと等をふまえ、2024年1月の定時取締役会でマテリアリティの改定を実施いたしました。具体的には、環境への取組みとして「温室効果ガス排出量の抑制」、社会への取組みとして「少子・高齢化社会への対応」及び「多様な働き方の推進」、ガバナンスへの取組みとして「コンプライアンスの推進」及び「リスクマネジメントの強化」を定め、当社グループで取り組んでまいります。詳細については、当社Webサイト(https://www.sbiaruhi-group.jp/sustainability/materiality)をご覧ください。

 

 環境への取組み「温室効果ガス排出量の抑制」では、脱炭素や気候変動を特に重要性の高い課題と認識し、気候変動に関する取組みを推進するとともに、TCFD(注)提言に沿った情報開示の充実を図っています。(https://www.sbiaruhi-group.jp/sustainability/environment/tcfd)

 

(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)を指します。G20の要請を受け、

気候関連の情報開示及び気候変動への金融機関の対応を検討するために金融安定理事会(FSB)により設立されたタスクフォースであり、気候変動要因に関する適切な投資判断を促すための一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な情報開示を促す提言を2017年6月に公表しました。

 

(1)ガバナンス

 当社では、CEOを委員長とし、業務執行取締役、執行役員等により構成される「ESG委員会」を設置しています。「ESG委員会」は、原則四半期に1回開催され、中長期的な視点で自社と社会のサステナビリティの動向について協議し、ESGの具体的な取組み・施策等について決定します。また、取締役会に対し、原則半期に1回、進捗状況の報告を行い、マテリアリティ(重要課題)及びその達成に向けた取組みの進捗状況の共有を行っております。さらに、ESG方針、当社が解決すべきマテリアリティ、重大な目標値等について事前協議のうえ、取締役会に上程しております。

 取締役会は、報告を受けたサステナビリティの取組みに対し企業価値向上の観点から監督を行うとともに、ESG委員会から上程された事項について、決定します。

 「ESGタスクフォース」は「ESG委員会」で決定したESGの具体的な取組み・施策等を全社で一丸となって取り組んでいくための推進機能を担っており、各部門による取組みの実行支援等を行います。

 

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   (注)2025年3月31日まではCFOがタスクフォース長を務めておりましたが、同年4月1日以降は法務担当役員が務めております。

 

(2)戦略

a 気候変動への取組み

 当社は、環境への取組みにおいて、「良いものを受け継ぎ長く使う、ストック型・循環型社会の形成に貢献する」、「地球環境に配慮した、良質な住宅の普及を促進する」との考え方をベースに企業活動を行っております。

上記の考え方に基づき、当社は、気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題の一つと捉え、特に重要性が高いと評価した気候関連リスク・機会について、持続可能な発展の下で気温上昇を1.5℃以下に抑えるシナリオ(1.5℃シナリオ IPCC(注)のSSP1-1.9シナリオ等を参照。)と、化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない最大排出量シナリオ(4℃シナリオ IPCCのSSP5-8.5シナリオ等を参照。)の2つのシナリオに関し、TCFD提言に沿って2050年の状況を検討しました。

 また、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で気候変動に関連するリスク(移行リスク、物理的リスク)及び機会を定性的に分析しました。

 

(注)国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)を指します。人為起源による気候変化、影響、

適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。

 

シナリオ分析におけるリスクと主な取組み

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シナリオ分析における機会と主な取組み

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 詳細については、当社Webサイト(https://www.sbiaruhi-group.jp/sustainability/environment/tcfd)をご覧ください。

 これらの気候変動のリスクと機会は、事業活動そのもののリスクや機会であるため、その他のリスクとともに適宜事業計画に組み込んでおります。

 

 

 

b 人的資本、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進に向けた取組み

1)人材の多様性の現状

 当社グループは、中途採用者比率が87.5%(2025年3月末日時点)に上り、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が活躍しています。また、従業員の年齢層も幅広く、また出産・育児を経験している従業員も多く在籍し活躍しております。当社の社内環境整備方針・人材開発方針は従業員の多様性を活かすことで、従業員の意欲や能力を最大限発揮し組織としての力につなげていくことを念頭に策定しております。

 

中途採用比率、男女構成比率、育児短時間勤務制度の取得者比率

 

項目

2022年度(実績)

2023年度(実績)

2024年度(実績)

中途採用比率

新卒採用:12.5%

中途採用:87.5%

新卒採用:12.8%

中途採用:87.2%

新卒採用:12.4%

中途採用:87.5%

男女構成比率

男性  :49.3%

女性  :50.7%

男性  :48.2%

女性  :51.8%

男性  :51.1%

女性  :48.9%

育児短時間勤務制度

取得者比率

4.9%

7.3%

8.8%

 

 

年齢構成比率

 

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(2025年3月31日現在)

 

2)社内環境整備方針

 当社グループは、従業員一人ひとりのワークスタイル・ライフスタイルを尊重し、その個性や能力が最大限発揮できる職場環境を実現します。

 代表的なものとして以下施策を行っております。

・コアタイムのないフレックスタイム勤務制度(注1)の導入。

・コロナ禍以前よりテレワークの導入(注2)を行い、ニューノーマル時代の新しい働き方を従業員に提案。

・人材募集中のポジションに自らの意思でチャレンジできる社内公募制度。

・会社へ自分のキャリアプランを伝えることにより部門、会社からのキャリア構築サポートを得やすくする

 キャリアエントリー制度を導入し主体的なキャリア開発を支援。

・自身のスキルアップやモチベーションの向上、キャリア形成促進のための資格取得支援制度。

・働きがいや職場への満足度等を定期的に把握するため、月に1回、全社員を対象とした意識調査を開始。

・育児短時間勤務制度(小学校6年生まで)や最長3年の育児休業等の充実による育児と仕事の両立支援。

(注1)規程に定められた条件を満たす従業員を対象としております。

(注2)担当業務によります。

 

 今後はすでに対応しております妊娠・出産・育児以外の、介護・看護等の「労働ブロッカー」対策を行い、当社に就業する優秀な従業員が、性別・年齢・ライフスタイルに関係なく「一人ひとりが働きやすく働きがい」を感じられる施策に取組み、目標としております女性管理職比率33%及び有給休暇取得率80%の達成を目指し、取組みを強化してまいります。

 

項目

2022年度(実績)

2023年度(実績)

2024年度(実績)

2025年度(目標)

女性管理職比率

20.9%

27.4%

30.4

33.0

有給休暇取得率

77.1%

78.5%

74.1

80.0

 

3)人材開発方針

 昨年度と同様に、「個と組織の問題解決能力の向上」及び「組織の透明性の維持」を人材育成の基本方針とし、変化の激しい事業環境においても、自ら考え行動できる人材の育成を重視しています。

 当事業年度は、延べ101日間にわたる研修を実施し、階層別の研修に加え、実務に基づいた課題解決型のプログラムや1on1支援など、現場での学びと成長を促す仕組みを強化しました。

 さらに、今後の当社の事業拡大に向けて、一人ひとりの主体性を引き出すと同時に、組織全体の課題解決力を高めるためのプログラムを研修体系に盛り込んでいくことを予定しております。

 対話を通じた相互理解と、現場での実践に根ざした課題解決力の育成を両輪とし、従業員一人ひとりの個性やライフスタイルに寄り添いながら、よりしなやかで強い組織づくりを進めてまいります。

 

 

 

 

(3)リスク管理

a リスク管理概要

 当社は、経営の健全性・安全性を確保し、収益力の向上を図るため、事業におけるリスクを適切に管理することが事業遂行における重要な課題の一つであるとして、リスク管理体制の構築・整備に取り組んでおります。また、新商品の開発時等におけるリスク評価及びリリース後の定期的なモニタリングを実施し、リスクに関するPDCAサイクルを機能させるべく努めております。

 当社では、リスク管理に関する組織体系や役割の明確化を目的として「リスク管理基本方針」を定め、当社グループ全体がリスクについて共通認識を持ち、各種リスクの管理に努めております。また、戦略リスク、信用リスク、財務リスク、会計・税務リスク及びオペレーショナルリスクを「リスク管理規程」に定めるとともに、当該リスクの管理・報告体制を規定し、より実効性の高いリスク管理体制の構築に取り組んでおります。

 

b リスク管理体制

 当社では、各種リスクを所管する部門を定めており、同部門は、自部門が所管するリスクを把握したうえで、当該リスクに関するモニタリングを実施し、その結果をリスク管理部門へ報告しております。

 リスク管理部門は、当該モニタリング結果、リスク管理の状況、及び評価したリスクの状況について、リスク管理担当役員、及びCEOの諮問機関であり、全社的リスク管理に関する重要な事項を審議する「ERM委員会」に報告します。リスク管理担当役員は、リスク管理部門から受けた報告の内容のうち、全社的リスク管理の観点から重要と判断する事項を、CEO又は取締役会に報告をしております。

 

詳細については、当社Webサイト及び「3.事業等のリスク」をご覧ください。

https://www.sbiaruhi-group.jp/sustainability/environment/tcfd

 

(4)指標及び目標

 当社の温室効果ガス排出量は、The Greenhouse Gas Protocol(GHG Protocol)の区分に従って算定し、

当社のサステナビリティページにて公開しております。

https://www.sbiaruhi-group.jp/sustainability/environment

 

 当社は、商品・サービスの生産に伴う温室効果ガスの排出はありませんが、脱炭素社会の実現に向け、本社や営業所での日々の事業活動で使用する電力における再生可能エネルギーの活用や、環境負荷の少ない空調設備を利用した建物の拠点としての利用等、温室効果ガスの排出量削減の取組みを加速させてまいります。

 また、シナリオ分析において識別・評価したリスク及び機会への取組みについて、KPIを設定し、モニタリングを実施すべく進めてまいります。

 

 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績は上記(2)bに記載のとおりです。

 

 

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する記載のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項目中の記載内容については、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものとなります。

 

1.リスク管理の方針

当社グループは、経営の健全性・安全性を確保し、収益力の向上を図るため、事業におけるリスクを適切に管理することが事業遂行における重要な課題の一つであると考え、リスク管理体制の構築・整備に取り組んでおります。また、新商品の開発時等におけるリスク評価及びリリース後の定期的なモニタリングを実施し、リスクに関するPDCAサイクルを機能すべく努めております。

当社グループは、リスク管理に関する組織体系や役割の明確化を目的として「リスク管理基本方針」を定め、グループ全体がリスクについて共通認識を持ち、各種リスクの管理に努めております。また、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク(事務リスク、システムリスク、人的リスク等)及びその他の管理すべきリスクを「リスク管理規程」に定めるとともに、当該リスクの管理・報告体制を定め、より実効性の高いリスク管理体制の構築に取り組んでおります。

 

2.リスクの管理体制

当社グループは、各種リスクを所管する部門を定め、以下の管理体制のもと、リスクの評価や定期的なモニタリングに加え、当社事業におけるKRI(Key Risk Indicator)のモニタリング結果を、ERM(Enterprise Risk Management 統合型リスク管理)に関する重要事項を審議する諮問機関として設置した「ERM委員会」にて、CEOをはじめとする経営陣に向け定期的に報告を行っております。

 

 

(2025年6月23日現在)

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※当社は2025年6月24日に開催される定時株主総会後の取締役会にて、リスク管理体制の変更を決議事項とする予定であり、決議された場合、リスクの管理体制は以下に変更となります。

 

(2025年6月24日以降)

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3.個別リスク

 

(1)市場環境リスク

当社グループの主要な取扱商品である住宅ローンをはじめとした住宅金融商品の需要は、国際情勢、景気動向、消費動向、金利動向等の経済情勢、人口動態、世帯動態等の社会構造、不動産市況、住宅着工戸数の動向、住宅に関連する税制の変更、政府の方針の変化等により影響を受けます。住宅ローンあるいは不動産担保ローン等の新規需要が減少した場合は、オリジネーション関連収益の減少等の当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2)競争環境リスク

当社グループの主要な取扱商品である住宅ローンを始めとした住宅金融市場は、依然として非常に多くの金融機関が参加し、貸出金利、付帯サービスの拡充などの競争が激化しております。このため、こうした競合他社の状況が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。我が国の住宅ローン市場は年間約20兆円(注)の巨大な市場であることから、0.1%の市場シェアの変動は、約200億円の融資実行の変動に繋がり、当社の店舗を経由する場合の典型的な取引では約4億円のオリジネーション関連収益の変動等の影響がもたらされます。

当社グループは、外部環境の変化に対応するために、住宅ローンにとっての重要パートナーである不動産事業者に対して、SBIエステートファイナンス株式会社(以下、SBIエステートファイナンス)の仕入資金ローンの紹介を行うなど、関係の強化を図っております。

また、当社にとっての最重要パートナーであるFC店舗においても、SBI信用保証株式会社(以下、SBI信用保証)の保証付き住宅ローン、SBIエステートファイナンスの商品の取扱いの強化、SBIグループの銀行代理商品の展開検討を進めるなど、当社の強みである店舗ネットワークを活かしながら、取扱商品のラインアップを拡充する取組みを進めております。

加えて、SBI信用保証においては、当社の住宅ローンに加え、全国の金融機関、グループ金融機関の住宅ローンの保証業務についても今後取扱いを目指すなど、収益源の多様化を進めております。

(注)出典:住宅金融支援機構(2023年度)

 

(3)単一事業構造に関するリスク

当社グループの営業収益の大半は、住宅ローンの実行に伴い発生するフローの収益に関するものであったため住宅ローン市場に影響する環境変化が発生した場合には、他事業によるカバーが困難であり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がありました。

しかしながら、2023年12月に、不動産担保ローン、リースバック、家賃保証業等のストックビジネスを中心とするSBIエステートファイナンスを完全子会社化したことに加え、複数社からのサービシング事業の譲り受け等も行っております。

さらに2025年4月より子会社であるSBI信用保証を通じて住宅ローン保証事業に参入し、ストックビジネスを強化することにより業績の安定化を図り、当該リスクの軽減に努めてまいります。子会社の更なる成長を目指すことに加え、当社の親会社であるSBIホールディングス株式会社及び同社のグループ子会社と連携することで、当該リスクの更なる軽減にも努めてまいります。

 

 

(4)独立行政法人住宅金融支援機構への依存構造に関するリスク

2025年3月期に当社グループが実行した住宅ローンのうち、融資実行後、住宅金融支援機構に譲渡することを前提とする商品である「ARUHIフラット35」及び住宅金融支援機構による住宅融資保険(保証型用)を前提として融資実行後証券化する「ARUHIスーパーフラット」の占める割合は約7割であり、当社グループの事業は住宅金融支援機構に大きく依存しております。そのため、住宅金融支援機構との提携関係に何らかの変化が生じた場合、住宅金融支援機構の信用力の低下その他の理由により住宅金融支援機構が発行する貸付債権担保住宅金融支援機構債券の利回りが上昇した場合、政府の住宅金融支援機構に関する方針の変化若しくは住宅金融支援機構が提供するプログラムの変更等が生じた場合、又は商品競争力が低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、住宅金融支援機構と良好な関係を維持し、自らも「フラット35」の競争力の維持に努めると同時に、銀行代理商品(変動金利商品・固定金利商品)や、「ARUHI 住宅ローン(SBI信用保証)」等のオリジナル変動金利商品の販売拡大に努めております。また、今後もSBIグループとの共同商品開発・銀行代理商品の取扱いを進めるのに加え、同グループ外の金融機関との連携による商品ラインアップの拡充を続けながら、住宅金融支援機構への依存度の軽減に努めてまいります。

 

 

(5)チャネルリスク

当社グループは住宅金融事業を行うに当たり、全国に97の拠点を展開しておりますが、このうち80がFC店舗であり、それらの店舗を経由した住宅ローンの実行件数は全体の約6割を占めております。

当社ビジネスモデルにおいては、FC運営法人側の諸事情等を理由にFC運営法人との契約が維持できなくなった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し当社グループは、FC運営法人の事業継続及び業績拡大へのサポートとして、研修制度・OJT教育の拡充、店舗運営指導、各種業務サポートツールの構築、分析データの還元、功績に対する表彰制度等により、ビジネスパートナーとしての信頼関係の維持に努めております。

また、SBIグループとの共同商品開発によりFC店舗が販売可能な変動金利商品の拡充によりFC運営法人の業績に寄与すべく努めております。

 

 

 

(6)商品・サービスに関するリスク

当社グループの主力商品である住宅ローンについては、国内の住宅ローンシェアの約9割を占める変動金利住宅ローンの割合拡大、住宅金融支援機構への依存度の軽減等の観点からも、「フラット35」以外の住宅ローンの実行拡大及びその他サービス展開は当社のリスク軽減のため重要な施策であります。

当社グループは、「フラット35」以外の住宅ローンの実行拡大のため、インターネット専業銀行を所属銀行とする銀行代理業、SBIグループ各社と連携した新商品開発により、変動金利商品の拡充を進めております。また、リフォーム、諸費用等の資金使途に対応した商品の拡充等を行うことで、幅広い住宅金融需要に応えられるよう商品・サービスを拡大しております。

なお、契約を締結しているインターネット専業銀行との協業による事業の拡大が計画どおり進行しない場合や新商品の開発が進まない場合、当社グループの業績、財務状況及び事業のリスク状況に影響を与える及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し当社グループは、2025年4月より子会社であるSBI信用保証を通じて住宅ローン保証事業に参入し、当社においてもSBI信用保証の保証付き住宅ローンの取扱いを開始する等、FC店舗で販売可能な変動金利商品の増強を進めることで実行件数の積み上げに努めてまいります。さらに、SBIエステートファイナンスが取扱う不動産担保ローンや仕入資金ローン、SBIスマイル株式会社(以下、SBIスマイル)が取扱うリースバックについて、当社店舗からSBIエステートファイナンスやSBIスマイルへ連携(媒介契約による紹介等)する等、グループ企業間連携を通じて更なる成長を目指します。

 

 

(7)子会社に関するリスク

当社グループは、ライフステージに応じた最適な住まいの実現を金融面からサポートする住宅金融のリーディングカンパニーを目指しております。

子会社であるSBIエステートファイナンスやSBIスマイルの商品を当社の店舗チャネルを通じて不動産事業者あるいはお客さまに提供することや、SBI信用保証の保証付き住宅ローンを当社で取扱いを開始する等、各子会社とのシナジーを最大限に活用し、グループ全体の企業価値向上を目指してまいります。しかしながら、子会社の事業展開が計画どおりに進まない場合、経営状況が悪化又は予測不能な事態が発生した場合には当社グループの経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

また、子会社の事業拡大に当たり、当社グループの収益に占める子会社の割合が増加していくことが想定されるため、子会社の業績及び財務状況の悪化等は、現在想定している影響度より大きなものになる可能性があります。当社は原則、子会社の取締役又は監査役として当社の役職員を派遣し、子会社を適切に管理することでリスクの軽減に努めております。

 

 

(8)信用リスク

当社グループの住宅金融事業の主力商品である「ARUHIフラット35」は、融資実行後遅滞なく住宅金融支援機構に債権譲渡するため、当社は原則として信用リスクを負いません。「ARUHIフラット35」以外の商品についても、住宅金融支援機構の融資保険もしくは民間保証会社の保証の付保を前提とした融資実行、あるいは提携金融機関の住宅ローン商品の販売代理を行っており、極力信用リスクを負わないビジネスモデルとなっております。

しかしながら、当社グループでは、今般SBI信用保証を設立し、住宅ローン保証事業を2025年4月より開始したことで、保証債務に対する債務保証損失引当金及び、代位弁済後の求償債権について貸倒引当金を計上することとなり、経済環境の悪化等による代位弁済の増加や、不動産市況の悪化等による担保不動産価格の下落により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社子会社の主力商品である不動産担保ローンについても、保証会社事業と同様に不動産市況悪化による担保不動産価格の下落や、融資先の業況悪化等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの住宅ローン保証事業では、AI技術による審査サービスを活用することで、精度の高い審査の実現と適切な与信判断、及び金融機関と協調した債権管理業務の実現により信用リスクの軽減に努めてまいります。また、当社グループの不動産担保ローンでは、貸付時に担保不動産の評価を保守的に見積る等、厳格な審査及び途上与信管理に注力し、適切な信用リスク・コントロールの確保等リスクの軽減に努めております。

 

 

 (9)流動性リスク

当社グループでは、銀行等の金融機関からの借入に加え、コマーシャル・ペーパーの発行、住宅ローン債権の証券化及び債権譲渡等により資金調達を行っています。資金調達に際しては、調達先の分散や長期比率を高めること等により、資金繰りの安定化を図っております。

しかしながら、金融環境の急激な悪化や当社グループの信用力の低下により、資金調達の安定性が損なわれる可能性があります。そのような事態が生じた際には、調達コストの上昇や必要資金の持続的な確保が困難になるおそれがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(10)金利変動リスク

当社グループの借入金の一部は、変動金利による調達を行っており、変動金利の基準とする市場金利が上下することで、当社グループの借入利息に影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループが実行する住宅ローンの一部は、証券化及び債権譲渡により資金調達を行っており、当該住宅ローンの実行から証券化まで2ヶ月程度の時間差が発生します。当該期間の市場金利の変動次第では、当該住宅ローンの融資実行時のお客さま向け適用金利と証券化及び債権譲渡の際の投資家向け適用金利の金利差が拡大又は縮小することで、結果として貸付債権流動化関連収益が変動し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

加えて、当社グループが保有する金融資産については決算期ごとに時価評価を行っており、評価時点の市場金利の変動次第では、割引率が変動することでFVTPLに分類した金融資産の評価額が変動し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これら金利変動によるリスクを極力排除する方針としており、借入金利の固定化やデリバティブ取引により当該リスクの極小化に努めております。

 

 

(11)見積将来キャッシュ・フローの変動及び貸付債権流動化・証券化取引に関するリスク

当社グループは、貸付債権や貸付債権を裏付資産とした信託受益権を債権譲渡・売却した結果、当社に残存することとなる回収サービス権又は配当受領権について、当該権利から発生する将来キャッシュ・フローを見積り、当該見積将来キャッシュ・フローの現在価値を、貸付債権流動化関連収益及び資産として認識しており、当該貸付債権流動化関連収益のうち、キャッシュによる回収が行われていない部分については金融資産として計上しております。これらの評価は、繰上償還率(CPR)、デフォルト率(CDR)、割引率等について一定の前提条件を設定して行っておりますが、当該前提条件が市場動向の変化等により修正された場合、当該収益及び資産の評価が変動し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、見積将来キャッシュ・フローの上記計算前提をきめ細かくフォローする体制を整えており、当該見積前提条件を設定するに当たり、外部第三者機関の公表データを反映させ、又はこれに加えて外部第三者機関の公表データに過去実績等を勘案して合理的に見積った調整を反映させ、慎重に設定することにより、将来の金融資産の評価価値の下落リスクを抑えております。

 

 

 

(12)のれん等の減損リスク

当社は、旧アルヒ株式会社の株式を公開買付けにより取得しており、本書提出日現在、のれんを24,464百万円(連結総資産の約12%)計上しております。当社グループはIFRS会計基準に基づき連結財務諸表を作成しているため、当該のれんの償却は行っておらず、また当該のれんについては、のれんの減損判定において、当社は独立した外部の評価機関を利用しておりますが、のれんの対象となる事業の将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上するため、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

(13)消費税処理に関するリスク

当社は、課税売上げに係る消費税額から控除する課税仕入れ等に係る消費税額の算出に当たり、個別対応方式による計算を行っております。また当社は、消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認を受け、従業員割合により、共通対応分の課税売上げに係る消費税額から控除する課税仕入れ等にかかる消費税額(仕入控除税額)を計算しております。

しかしながら、課税期間における個々の課税仕入れ等を課税売上対応分、非課税売上対応分及び共通対応分に区分する際の区分方法や、従業員割合の計算等について、税務当局が当社と異なる見解を採用することになった場合には、仕入控除税額が減少する結果、消費税費用が増加し、加算税・延滞税の支払いを命じられる可能性があり、その場合当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(14)事務リスク

当社グループは、事務処理を行ううえで、業務の正確性、効率性を高めるためのさまざまな取組みを実施しておりますが、役職員、FC運営法人、外部委託先が正確な事務を怠ることで、不正や事故、事務ミスが発生する可能性があります。こうした事務リスクが発生した場合は、当社グループ及びサービスに対する信頼の低下や損失の発生につながるおそれがあり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

これらのリスクに対し、社内研修の拡充による業務遂行に必要な知識の共有、社内規範や事務手続きの標準化及び文書化等による業務プロセスの可視化に取り組むと同時に、再鑑体制、本社集中業務の拡大、また、システム化等IT技術を利用することにより、事務リスクの軽減に努めております。

 

 

(15)人材リスク

当社グループは、今後の更なる業容の拡大及び業務内容の多様化に対応して、優秀な人材の採用・確保、従業員の育成体制の強化が必要とされておりますが、優秀な人材の採用及び育成が困難となる場合や、在籍する人材の社外流出が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

キャリア採用においては、人材紹介会社経由や媒体経由の採用に加え、リファラル採用の強化等による雇用経路の拡大等、「優秀かつ当社にマッチする人材」の採用をしています。人材育成においては、定期的な階層別研修、専門分野別研修、将来のキャリアアップを後押しする公開研修、eラーニング研修を実施し、従業員研修制度の充実化を図っております。

当社グループは、従来から継続的に社員の意識調査を実施し、その情報等に基づき、適切な人事管理や運用の見直しをすることで社員満足度向上に努めております。また年次有給休暇の取得促進、コアタイムのないフレックスタイム勤務制度、育児短時間勤務制度や在宅勤務、テレワークの導入により、働き方の多様化を推進し、働きやすい職場環境の整備等、適切な人事処遇や労務管理に努めております。今後も継続的に優秀な新規人材の採用及び社員満足度の向上を図る施策を実行することにより、人材に関するリスクの低減を図ってまいります。

 

 

(16)労務リスク

当社グループは、人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)・差別的行為(セクシャルハラスメント等)、労働災害から生じる人的資産の損失・損害を未然に防止するため、コンプライアンスの研修等、適切な管理に努めております。また、健全な業務運営のため、労務関連法令諸規則を踏まえた人事関連諸制度を制定し、適正な運用を行うとともに、定期的な従業員意識調査に基づく人事管理・運用の見直しや在宅勤務・テレワークの活用を含めた働きやすい職場環境の整備等、適切な人事処遇や労務管理に努めております。また、年次有給休暇の取得推進、「EAP相談室(心身の健康の相談窓口)」の設置、在宅勤務やテレワークによるメンタルヘルス不調者への対応や職場や家庭等で発生する問題への対応を行う等、従業員の心身の健康維持に努めております。

しかしながら、当社従業員の不適切な行動や人事労務上の問題に関連する重大な訴訟が発生した場合には、当社グループの企業価値の毀損、信用の低下に繋がり、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(17)情報システムリスク

当社グループは、住宅金融事業において、FC店舗及び直営店舗といった販売チャネルに加え、インターネット及び情報システムの仕組みに基づき非対面で住宅金融商品を提供しており、インターネット接続環境やシステムネットワークインフラが良好に稼動することが事業を円滑に運営する上で求められております。

しかしながら、災害等に起因する電力供給の停止、通信障害、通信事業者、システム事業者に起因するサービスの中断や停止等の外的要因、又はシステム開発における不備、人為的ミス、機器故障、外部委託先の瑕疵等の現段階では予測不可能かつ当社グループのコントロールを超えた事由により、システムに重大な支障が生じた場合、当社グループの顧客(潜在的な顧客を含みます。)に対してサービスを提供することができず、当社グループの顧客の個人情報及び取引情報その他の情報の保護に問題が生じ、又は当社グループの財務・会計・データ処理その他のシステム及び設備が適切に稼働しない可能性があります。これらの事象が生じた場合、データの喪失や当社グループの処理能力に影響が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、コンピューターシステムについて、安定稼動のためのシステム運用やバックアップシステムの構築、24時間常時監視、役職員への教育等の対策を講じており、当該リスクの顕在化の抑制に努めております。

 

 

(18)サイバーセキュリティリスク

当社グループでは、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、破壊行為、コンピューターウイルス等のサイバーセキュリティ脅威により、情報の盗難、漏洩、毀損等、顧客の個人情報及び取引情報その他の情報処理に問題が生じ、重要な情報が漏洩した場合は当社グループに対する信用の低下及び損害賠償等の法的責任が問われる可能性があります。これらのリスクに対して、システムアクセスルールの厳格化、不要なインターネットアクセスの禁止、アクセスログの監視、ファイヤーウォールの設定による情報の機密性を維持する等のサイバーセキュリティ対策活動を推進しております。

また、近年サイバー攻撃が高度化・巧妙化していることを踏まえ、CSIRTを設置し、平常時の対策のみならず、インシデント発生時の体制整備も行っております。サイバーセキュリティインシデントの発生時には当社経営陣の指揮の下、総務部門担当役員を責任者とした関連部門及びCSIRTからなる対策本部を組成し、適切な対応を実施します。

 

 

(19)法的規制及び法改正に関するリスク

当社グループは事業活動を行うに当たり、関係監督官庁から許認可を受けており、取扱う住宅ローンの一部は、貸金業法第3条に定める登録に基づく貸金業及び銀行法第52条の36に定める許可に基づく銀行代理業であります。このため、当社が各業法に定められる処分事由に抵触する場合、各業法に基づき行政処分又は登録・許可の取り消しを受ける可能性があります。

当社グループは、各業法に基づく当局及び所属銀行の検査を定期的に受検しており、また、グループ全体でのコンプライアンス体制強化に努めております。

なお、本書提出日現在において、登録・免許取消事由又は許可失効事由に該当する事実はありませんが、将来何らかの理由により登録・免許の拒否又は取消、許可の失効があった場合には、当社グループの事業活動に重大な支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、今後、当該各種法規制の改正があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社は、法令等遵守を徹底するとともに、内部管理・内部統制体制を整備することにより、登録・免許の取消事由を惹起することのない業務運営に努めております。

 

 

(20)重要な訴訟事件等の発生に関するリスク

当社グループにおいて、業績等に重大な影響を及ぼす可能性のある係争中の訴訟事案はありません。しかしながら、当社グループの営む事業の性質上、契約違反、不法行為、労働問題、消費者トラブル、知的財産権の侵害等に関する訴訟事件等が発生する可能性があり、将来業績に大きな影響を及ぼす訴訟事件や社会的影響の大きな訴訟事件等が発生し、かかる訴訟事件において当社グループに不利な判断がなされた場合又は当社グループに不利な帰結となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、こうした訴訟が発生することを想定し、FC店舗を含む各営業チャネルの管理・指導体制の強化を行うとともに、本社部門においてもリーガルチェック運用ルールの厳格化、社内規程の整備・管理、弁護士相談に関する手続き・記録の整備、訴訟・ADR等の紛争対応のルールを設けることで、適切かつ迅速な対応ができる体制を整備しております。

 

 

(21)個人情報の管理に関するリスク

当社グループの主たる事業である住宅金融事業は、個人の顧客を対象に住宅ローンを提供しており、住宅ローンの相談、申込に当たり各種個人情報を収集しております。このため、当社は、個人情報保護法に定める個人情報取扱事業者に該当し、個人情報の取扱いについて規制の対象となっており、当該法律に即して業務の運営を行っております。しかしながら、外部からの侵入者及び当社関係者並びに業務委託先等により、個人情報が外部に流出し、不正に使用された場合又は何らかの事由により個人情報の漏洩や毀損等が起こった場合、民事上又は行政上の法的責任を問われるとともに、当社グループに対する信用が低下し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、個人情報保護方針等の個人情報保護に関する各種規程を定めて運用し、顧客情報の流出や不正アクセス行為等により、顧客の利益が侵害されないようセキュリティ対策を講じ、顧客情報の保護に細心の注意を払っております。また、個人情報管理体制の適正な運用に努めており、当該リスクの抑制に努めております。

万一、当該事象が発生した場合、できる限り速やかにマスコミ等に公表することにより、お客さま等関係者への影響を最小限に抑えるとともに関係者からの信頼を確保するために全力を尽くす所存であります。

 

 

 (22)不適正行為・法令違反等に関するリスク

当社グループの事業を遂行するに当たり、当社グループ及びFC店舗の従業員による不正、当社金融商品における手続き違反、顧客及び不動産業者による融資の不適正利用が発生した場合、当社が直接的な損失を被り、かつ当社グループ全体のイメージが悪化するとともに社会的信用が低下する可能性があります。さらに、当社グループの住宅ローンの実行に関しては、流動化・証券化スキームの契約において、債権譲渡先である住宅金融支援機構や信託銀行に対する当社の事実表明や譲渡した住宅ローン債権に関する事実表明の重要な点における瑕疵等があった場合、譲渡された貸付債権を債権譲渡先から買い戻すことが義務付けられていることから、買戻しのための資金が必要になることに加え、回収リスクを負う場合もあるため、買戻しが発生した場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

当社グループは、このような買戻しの義務の発生を避けるため、住宅ローンの融資実行のプロセスにおいて、住宅金融支援機構や信託銀行との契約に定められた事項につき、厳格に対応するルールを徹底するとともに、不適正行為、手続き違反防止については、コンプライアンスに関する委員会組織を設置し、基本方針・行動計画の決定及びモニタリング等を当該委員会で実施しております。さらに、定期的な研修、コンプライアンスを統括する部署に検査・指導グループを設置し、全店舗へ検査指導を実施し、適宜臨店検査指導を行うことで、コンプライアンス体制の強化に努めております。顧客及び不動産業者による不適正利用防止については、不適正事業者の排除をするために、データベースの拡充、モニタリングによる管理の徹底をし、不適正案件の排除に取り組んでおります。

また、当社グループ及びFC店舗の従業員による各種法規制への違反が発生した場合、当社が直接的な損失を被る可能性や行政処分の対象となる可能性があり、かつ、当該違反の発生により、当社グループ全体のイメージが悪化するとともに社会的信用が低下し、風評による影響が発生する可能性があります。当社グループは、「コンプライアンスファースト」をスローガンに、役員及び当社グループの従業員、FC店舗の従業員まで、コンプライアンス意識を高めることに努めております。具体的には、コンプライアンスに関する研修による行動規範の徹底、業務研修の定期的実施、規程・マニュアル等の拡充、モニタリング項目の拡充をすることで、各種法規制への違反の防止に努めております。

 

 

(23)反社会的勢力との取引及びマネー・ローンダリング等に関するリスク

当社グループは、反社会的勢力との関係が疑われる者との取引を排除すべく、新規の取引に先立ち、外部情報等も活用した反社会的勢力との関係に関する情報の有無の確認や、反社会的勢力ではないことの表明及び確約書の徴求等により、反社会的勢力とのあらゆる取引を排除すべく必要な手続きを行っております。また、マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融防止の重要性が高まっておりますが、当社グループでは、金融庁の定める「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」に留意し、当社グループの業務における取引時確認手続等に係る内容について定め、当社グループの商品及びサービスがこれらの不正な取引に利用されないための対策を講じています。しかしながら、当社グループの厳格なチェックにもかかわらず、反社会的勢力との取引やマネー・ローンダリング等を排除できない可能性があります。このような問題が認められた場合、その内容によっては、監督官庁等より業務の制限又は停止や課徴金納付命令等の処分・命令を受ける可能性があり、当社グループの企業価値の毀損、信用の低下に繋がり、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

万一、反社会的勢力から不当な要求を受けあるいは何らかの問題が生じた場合は、関係行政機関や法律専門家とも協力し、速やかに対処します。

 

 

(24)風評リスク

当社グループの主たる事業である住宅金融事業は、個人の顧客に対して資金の貸出を行うという特性上、当社グループに対する社会的信用度合いが重要となります。そのため、事実の有無にかかわらず、当社グループの業務、技術、コーポレート・ガバナンス及び規制当局の行為等から生じ得る否定的な世論、又はマスコミ報道やインターネット上の誹謗中傷等により、当社の風評が著しく悪化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 

 

(25)災害等リスク

当社グループは、フランチャイズ方式により全国に店舗展開をしており、緊急時を想定した事業継続計画(Business Continuity Plan)に関する事項の規定、安否確認システムの導入等を行っておりますが、大規模な地震・台風等の自然災害、火災、停電等が発生した場合には、店舗の閉鎖や業務の停止等を余儀なくされ、当社グループの事業運営及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

特に大規模な自然災害又は有事等により、当社グループの情報システムに障害が生じた場合やデータサーバーが機能不全に陥ることで、当社グループの業務が中断されることになり、事業運営に障害又は遅延をきたす可能性があります。

また、感染症の蔓延により、従業員、外部委託先等、当社グループの業務やオペレーションに携わる多数の人員が罹患することで、業務やオペレーションに支障が生じ、店舗の閉鎖又は業務の停止等を余儀なくされ、当社グループの事業運営や業績に影響を与える可能性があります。

当社グループは、お客さまと従業員の安全確保を最優先に、お客さまに対する住宅ローンWeb申込の受入体制強化、動画を使用した非対面での契約手続きの実施及び従業員に対する在宅勤務・時差出勤等の積極的な活用により、従来と変わらぬサービスを提供し、非常事態においても事業を継続するためにさまざまな取組みを行っております。

 

 

(26)SBIグループとの関係性変化及び利益相反取引に関するリスク

当社グループは、SBIグループとの協働により商品・チャネル・顧客基盤等のビジネス基盤を強化し、お客さま及び不動産業者にとってファーストチョイスとなる住宅金融のリーディングカンパニーを目指していきます。しかしながら、当社グループとSBIグループとの関係性に何らかの変化が生じた場合、又は協働によるビジネス基盤強化が当初想定と異なる状況となった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

また、当社では当社と支配株主又はその子会社との間の利益相反取引を防止するために、社内規程を制定し、取締役会の決議によって選出された独立社外取締役を含む親会社からの独立性を有する者3名以上にて構成される特別委員会を設置し、少数株主の利益を保護するために、当該取引について審議、検討を行うことで、適切な利益相反管理体制を構築しております。

 

 

(27)ESGへの取組みに関するリスク

気候変動抑止のために政策・法規制が強化されるなどの移行リスク、気候変動によってもたらされる直接又は間接的な影響により風水害等の災害が発生し、損失を被る物理的リスクがあります。

さらに、気候変動等の環境課題のほか、人権や少子・高齢化社会への対応といった社会課題の顕在化を背景に、ESG(環境:Environment、社会:Social、企業統治:Governance)を意識した経営に対する社会の注目や関心が高まっています。

当社グループは、このような気候変動を含む環境・社会課題解決に向けた施策に取り組んでいく方針でありますが、ステークホルダーからの期待は高まっており、当社グループの経営体制や事業活動において、ESGへの取組みが不十分であるとステークホルダーに判断された場合、当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、CEOを委員長とし、業務執行取締役、執行役員等により構成される「ESG委員会」を設置しています。同委員会では、当社グループの経営戦略の一環としてサステナビリティ施策を議論・決定のうえ、当社グループ全体に展開しています。

2サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス (2)戦略を併せてご参照ください。

 

4.重要リスクについて

上記の「3.個別リスク」27項目について、当社が考える当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があると認識している「重要リスク」は以下のとおりであります。

 

 

 

重要リスク

市場環境リスク

競争環境リスク

チャネルリスク

信用リスク

金利変動リスク

のれん等の減損リスク

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の営業収益は、22,292百万円(前年比9.3%増)となりました。2024年10月以降の固定と変動の金利差縮小を背景に、当社の主力商品である「フラット35」の融資実行件数は、第4四半期に前年同期比プラスに転じましたが、第3四半期までが低調であったことに加え、変動金利商品の融資実行件数が伸び悩んだことなどから、オリジネーション関連収益は前年比2.7%減少しました。一方で、複数社からのサービシング事業の譲り受け等によるサービシング・フィー売上の増加、保険関連収益が好調に推移したことに加え、SBIEFグループを完全子会社化したことで、リカーリング収益は同11.9%増加しました。また、アセット・その他収益に関しても、足元の金利上昇の影響を受けたFVTPLの金融商品から生じる損失の計上があったものの、SBIEFグループを完全子会社化したことで、同36.0%増加しました。

 

営業費用は、引き続き固定費の削減に努めましたが、SBIEFグループを完全子会社化したことやフランチャイズ店舗への支援等に加え、SBIブランドの活用を目的とした店舗看板の変更や店舗統廃合及び事業戦略の転換に伴う資産整理などの構造改革費用を計上した影響もあり19,843百万円(同9.8%増)となりました。その結果、税引前利益については2,427百万円(同4.3%増)、当期利益は1,897百万円(同27.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,904百万円(同25.5%増)となりました。

 

当社グループは住宅金融事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。なお、当連結会計年度よりセグメント内の収益区分を以下のとおり変更しております。前年との比較については、前年の金額を変更後の収益区分に組み替えた金額で表示しております。

 

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②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は20,149百万円となり、前連結会計年度末に比べ267百万円の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは5,366百万円の支出(前連結会計年度は3,425百万円の支出)となりました。これは主に、税引前利益が2,427百万円となり、預り金の増加1,053百万円のキャッシュの増加要因があった一方で、営業貸付金の増加9,387百万円のキャッシュ減少要因があったことによるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは5,164百万円の支出(前連結会計年度は544百万円の収入)となりました。これは主に、無形資産の取得による支出5,023百万円によるものです。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは10,263百万円の収入(前連結会計年度は6,128百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入8,685百万円、短期借入金の増加9,419百万円等のキャッシュ増加要因があった一方、長期借入金の返済による支出6,241百万円等のキャッシュの減少要因があったことによるものです。

 

 

③販売の実績

1)販売実績

当連結会計年度における販売実績の内訳は次のとおりであります。なお、当社グループは住宅金融事業の単一セグメントであるため、業務別に記載を行っております。

(単位:百万円(前年同期比を除く。))

業務

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

前年同期比

オリジネーション関連収益

9,621

97.3%

リカーリング収益

7,554

111.9%

アセット・その他収益

5,116

136.0%

合計

22,292

109.3%

(注)販売実績の内訳には、消費税等は含まれておりません。

 

 

2)オリジネーション・フィー売上及び件数

当連結会計年度におけるオリジネーション関連収益のうち、オリジネーション・フィー売上の内訳は、次のとおりであります。

(単位:百万円(前年同期比を除く。))

区分

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

新規借入

8,108

108.6%

借換

44

121.2%

合計

8,152

108.7%

(注)オリジネーション・フィー売上の内訳には、消費税等は含まれておりません。

 

当連結会計年度における当社の融資実行件数は、次のとおりであります。

(単位:件(前年同期比を除く。))

区分

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比

新規借入

10,121

87.2%

借換

124

106.9%

合計

10,245

87.4%

 

 

(参考情報)

投資情報としての有用性の観点から、参考情報として2021年3月期から2025年3月期に係る四半期ごとの当社の融資実行件数を以下に記載しております。

 

1)新規借入

(単位:件)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

2021年3月期

5,644

6,199

6,393

6,133

24,369

2022年3月期

5,699

5,107

4,795

4,460

20,061

2023年3月期

3,978

3,588

3,542

3,344

14,452

2024年3月期

2,634

2,702

3,231

3,036

11,603

2025年3月期

2,828

2,501

2,324

2,468

10,121

 

 

2)借換

(単位:件)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

合計

2021年3月期

166

255

306

300

1,027

2022年3月期

233

211

208

231

883

2023年3月期

159

96

66

63

384

2024年3月期

41

28

22

25

116

2025年3月期

31

34

26

33

124

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当連結会計年度末における資産は205,679百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,328百万円増加いたしました。これは主に営業貸付金が7,320百万円、無形資産が4,107百万円増加したことによるものです。

 

当連結会計年度末における負債は163,527百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,129百万円増加いたしました。これは主に借入債務及び預り金がそれぞれ11,958百万円、1,053百万円増加したことによるものです。

 

当連結会計年度末における資本は42,151百万円となり、前連結会計年度末に比べ198百万円増加いたしました。これは主に当期利益を1,897百万円計上した一方、配当により利益剰余金が1,771百万円減少したことによるものです。

 

2)経営成績

経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

経営成績に重要な影響を与える要因についての分析は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

2)経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指数等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指数等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、住宅金融事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

1)資金調達の基本方針

当社グループは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針としており、主として金銭消費貸借契約やコミットメントライン等による銀行等からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行や住宅ローン債権等の債権譲渡・流動化による資金調達を行っております。

 

2)資金需要の主な内容

当社グループの資金需要は、大きく分けて運転資金需要と貸付資金需要の2つになります。運転資金需要は主に、人件費、販売費及び一般管理費、システム開発、証券化に係る準備金や未収債権などであり、貸付資金需要は、お客さまへの住宅ローンの融資実行や当社子会社が提供する不動産事業者への仕入資金ローン等の融資実行のための資金需要になります。住宅ローンの融資実行は、基本的に貸付債権を融資実行後遅滞なく債権譲渡・流動化を行い資金化するため、融資実行から資金化までの短期間であり、当社子会社が提供する不動産事業者への仕入資金ローン等は、融資実行から返済期日まで一定期間の資金需要になります。

 

3)資金調達手段

当社グループは、円滑な事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用を行うとともに、金融機関からの借入、貸付債権の譲渡及び貸付債権を裏付資産とする信託受益権の売却などを行っております。

このようなオペレーションを行うに当たり、複数の金融機関から金銭消費貸借契約等による長期の借入やコミットメントライン等による十分な借入枠の確保を行うとともに、安定的に貸付債権の流動化が実施できる環境整備を行うなど、円滑な事業活動に必要な資金調達が可能な状況を常に維持するよう努めております。

また、当社グループは、円滑な資金調達を行うため株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しており、2025年3月31日現在の格付けは次のとおりであります。当社グループとしては引き続き健全な財務基盤を維持し、格付けの維持・向上に尽力していく方針であります。

 

格付機関名

長期発行体格付

見通し

コマーシャル・

ペーパー

株式会社格付投資情報センター

(R&I)

A

安定的

a-1

株式会社日本格付研究所

(JCR)

A

安定的

J-1

 

③重要性がある会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表はIFRS会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられるさまざまな要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しておりますが、特に以下の将来に関する主要な仮定及び報告期間末における見積りは、当社の連結財務諸表に大きな影響を及ぼします。

a.のれんの評価

当社グループは、旧アルヒ株式会社の株式を公開買付けした際の買収価額と純資産の公正価値との差額をのれんとして認識しております。のれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、年1回回収可能価額を見積っております。当該回収可能価額の算定においては、見積将来キャッシュ・フローを使用しております。

減損判定における資金生成単位の回収可能価額は、見積り・前提を使用するため、見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

のれんの減損判定において、当社は独立した外部の評価機関を利用しております。見積将来キャッシュ・フローは社内で作成した5ヶ年事業計画を使用し、付随する財務資料、内部資料等を加え、一般に入手可能な市場情報も考慮に入れております。割引率に株主資本コストを使用しております。

2025年3月31日時点における評価の結果は、住宅金融事業の使用価値が帳簿価額を十分に上回っており、減損損失を認識することはありませんでした。

 

b.金融商品の公正価値

当社グループが保有する金融商品の公正価値の見積りにおいては、市場価値に基づく価額により見積っております。市場価格がない場合には、将来キャッシュ・フローを割り引く方法、又はその他の適切な評価技法により見積っております。

これら金融商品のうち住宅ローン債権の債権譲渡により生じた受益権(配当受領権)は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しており、公正価値の評価においては、繰上償還率(CPR)、デフォルト率(CDR)を将来キャッシュ・フローの見積りにおけるインプットとして使用し、割引率等についても一定の前提条件を設定しております。

将来キャッシュ・フローの見積りにおけるインプットとして使用するCPR、CDRについては、外部第三者機関の公表データを参照して見積っております。但し、一部のパッケージローンについては、CPRの見積りにおいて、外部第三者機関の公表データに、過去実績等を勘案して合理的に見積った調整を反映しております。

 

 

5【重要な契約等】

(業務上の重要な契約)

当社グループの経営上の重要な契約には、当社が住宅金融支援機構と締結した住宅ローン債権売買基本契約及び買取債権管理回収業務委託契約並びに当社と各代理店の運営法人との間で締結した代理業務委託契約等があり、主な契約内容は次のとおりであります。

名称

契約内容

住宅ローン債権売買基本契約

イ.契約相手方:住宅金融支援機構

ロ.契約締結日:2004年12月1日、毎年1年間自動更新

ハ.契約の目的及び内容:「フラット35」債権の売買

ニ.契約金額及び代金授受方法:

契約金額:指定なし

 代金授受方法:当社が買取申請し住宅金融支援機構が買取承認をした「フラット35」債権に対し、その債権額が住宅金融支援機構から入金されます。

ホ.契約の重要な内容:当社及び住宅金融支援機構間で「フラット35」債権の売買を行います。

 「フラット35」債権の売却代金は月に3回、住宅金融支援機構が指定する日に当社に入金されます。

買取債権管理回収業務委託契約

イ.契約相手方:住宅金融支援機構

ロ.契約締結日:2004年12月1日、毎年1年間自動更新

ハ.契約の目的及び内容:「フラット35」債権回収業務等の受託

ニ.委託手数料:業務内容に応じて住宅金融支援機構から委託手数料が支払われます。

代理業務委託契約

イ.契約相手方:各代理店の運営法人

ロ.契約締結時期及び契約期間:運営法人との個別契約による

ハ.契約の目的及び内容:住宅ローン業務等の委託

ニ.契約金額及び代金授受方法(基準)等:当社から代理店の運営法人に対して住宅ローン融資金額に一定料率を乗じて算出された金額を支払います。

ホ.契約の重要な内容:代理店の運営法人は当社から委託を受けて住宅ローンに関する業務を遂行し、当社は代理店の運営法人に対して住宅ローン融資金額に事前に定められた比率を乗じて算出された金額を翌月に支払います。

 

(財務上の特約が付された金銭消費貸借契約)

当社は安定的な運転資金の確保を目的として、2023年11月28日に株式会社みずほ銀行をアレンジャー兼エージェントとする金銭消費貸借契約書(以下「タームローン契約」という。)を締結しております。主な契約内容は、次のとおりであります。

 

1.契約の相手先

契約の締結先は株式会社みずほ銀行ほか4社となります。

 

2.借入金額の残高(2025年3月31日時点)

8,000百万円

 

3.金利

TIBOR(東京銀行間取引金利)+スプレッド

スプレッドはタームローン契約において予め定められた料率とされております。

 

4.返済期限

2026年11月30日を最終回とする期日一括返済

 

5.担保提供の有無

担保提供はありません。

 

6.財務上の特約

2024年3月期決算以降、各年度の決算期の末日及び第2四半期の末日における連結の財政状態計算書上の資本合計の金額を2023年3月決算期末日における連結の財政状態計算書上の資本合計の金額の75%以上に維持すること。

2024年3月期決算以降の決算期を初回の決算期とする連続する2期について、各年度の決算期における連結の損益計算書に示される営業損益(営業収益から営業費用を控除したもの)が2期連続して損失とならないようにすること。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。