当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針について
当社は、「健康になるホテルをつくり世のため人のために尽くす」という経営理念を掲げており、「Amenity&Bright」(快適で明るい)をコンセプトとして、さらなるお客様サービスの質の向上、販路の拡大、安定した収益確保を実現するために時代の変化に応じたお客様のニーズを適切にとらえ、安全・安心にご利用頂けるホテルを目指してまいります。
(2)経営環境について
当社を取り巻くホテル業界においては、政府による令和5年3月の「観光立国推進基本計画」にて観光立国の持続可能な形での復活に向け、観光の質的向上を象徴する「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の3つをキーワードに、持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復、国内交流拡大の3つの戦略に取り組むことを指針とし、インバウンド消費並びに国内旅行消費を上げ、活力に満ちた地域社会の実現に向けた観光立国となるための方針が出されております。当社としては政府による後押しとなる施策がある一方、海外情勢及び急激な為替の変動やそれに伴うエネルギー資源の高騰等、コスト面、消費者動向など先行き不透明な状況が続いております。このような環境下において、下記の事項を対処すべき課題として認識し、より強固な経営体制を構築すべく取り組んでまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①既存施設の収益向上
当社は、既存店の収益力の維持及び向上が、最大の課題の1つと考えております。
お客様の安全、満足度の向上を第一に考え、快適な宿泊を提供できるように店舗施設を適切に維持管理しつつ、収益力の増強を目指し、付加価値提供等サービス内容を充実させて顧客満足度の向上につなげ、OTA(※)の各販売サイトの表示に工夫を行って新規顧客をより効率的に確保するとともに、自社ホームページからの予約数を増やし、ABホテル会員も含めてリピーターの増加を図ること等々により、単価の底支えや上昇及び稼働率の維持・向上に努めてまいります。
※OTAとは、OnlineTravelAgencyの略称でインターネット上のみで取引を行う楽天トラベルやじゃらん等の旅行会社を指します。
お客様に安全・安心にご利用頂くとともに、新たなプランのご提供やコスト削減の見直しを図り事業の継続に努めてまいります。
②新規出店候補地の確保
当社は、成長戦略として、経常利益率35%を達成できる出店基準を設定して、駅前や主要インターチェンジ付近などビジネスでの利用が見込める地域を中心とした新規出店候補地の選定に取り組んでおります。市場環境等を見極めたうえで、年間3店舗以上を目標に新規開発を行い、長期的には100店舗体制を目指してまいります。
なお、①②の達成状況につきましては、月次の取締役会及び経営会議等で定期的にモニタリングを行ってまいります。
③投資金額の増加と財務体質の強化について
当社は今後も新規開発を行う予定であります。設備投資資金につきましては、現在、金融機関からの借入金による資金調達が主となっております。今後は、収益力の強化、建物リース等の採用によりバランスシートの更なる改善を図ってまいります。
④人材の確保と育成
足元の雇用環境においては、多くの業種業界において人手不足への対応が事業成長における大きな課題となっており、長く働きたいと思える環境を構築することが必要と捉えております。当社では、施設の増加に伴う社員の確保と教育、また、当社はホテルの事業運営を一部の店舗においては業務委託方式により行っていることから、支配人の育成は必要不可欠であると考えております。
今後も、安定したサービスの提供、サービスの質の向上を組織的に行い、企画開発力、環境対応力の向上を図り、経営基盤の強化及び業績の安定拡大に努め、ひいてはお客様満足度の向上に努めなければならないと考えております。
⑤サステナビリティ経営の推進
当社はサステナビリティ経営の推進のため、サステナビリティ委員会を設置しております。委員会では、サステナビリティに関する重要課題を把握するとともに、各課題についてアクションプランを議論し、可能な限り各事業の業務の中に落とし込むことによってサステナビリティを推進し、その実行状況を必要に応じて取締役会で付議または報告することによって、継続的に成果が得られる体制を構築してまいります。
当社は、経営理念である「健康になるホテルをつくり世のため人のために尽くす」に基づき、「持続可能な社会の実現」に向け、「健康」をキーワードにお客様に喜ばれ必要な会社として持続的な成長を促進し、合わせて地域社会に貢献することを基本方針としております。
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティに関する課題への対応を経営上の重要課題の1つとして認識しており、2024年4月に代表取締役を委員長とするサステナビリティ委員会の設置をいたしました。委員会においては、外部環境の変化によるリスクと機会を把握し、当社の持続的成長と中長期的な企業価値創造に向け、当社が取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の特定及び解決に向けた施策の方向性を決定し、その実行状況を必要に応じて取締役会で付議または報告することとしております。
経営の意思決定機関である取締役会においては、社外取締役2名及び社外監査役2名が出席しており、外部からの監視及び監督機能は充足していると考えております。
詳細につきましては、「
(2)戦略
当社はホテル事業であり、提出日現在全国36店舗展開しております。顧客であるお客様の「快眠」を切り口として健康をサポートすることにより、社会サービスに貢献し、合わせて新規出店することにより雇用の創造、地域社会の発展に寄与してまいります。
事業活動につきましては、「快眠」するために必要な満足できるお部屋を提供し、「健康」に1日のスタートをきっていただくことが当社の使命であると考えております。具体的には、各OTAサイトにおける客室の評価点数をチェックし改善をしてまいります。また当社は、自然環境保護に繋がるプランとして、長期出張者向けに「エコプラン」を2020年より販売しております。このプランでは客室の清掃回数を減らすことによって、プラスチックの削減等に寄与するものと考えております。今後につきましても、引き続き環境への負荷が減らせるプランを提案し、販売してまいります。
気候変動に対する目標につきましては、今後サステナビリティ委員会で議論を行い、取締役会にて決議を行う予定であります。燃料の燃焼などによるCO2の直接排出量「Scope1」、購入した電力等の使用に伴う間接排出量「Scope2」の実績については以下のとおりであります。なお排出量の算出につきましては、経済産業省に提出する予定の「省エネ法定期報告書」に基づくCO2排出量であります。
|
|
前事業年度 |
当事業年度 |
|
CO2排出総量(Scope1+2) |
|
|
人材の採用等につきましては、従来の手法やサービスに拘ることなく、時代の変化に合わせた事業活動を行うことが必要であると考え、新しい視点や価値観を永続的かつ積極的に取り入れることが重要な経営課題であると認識しております。そのため、いかなる属性にも捉われることなく人材の登用ができる環境を整備し、多様性確保に向けた取り組みを行うことを基本方針としております。
多様性確保の方針に関する指標の内容並びに目標及び実績は、「
人材の育成及び社内環境整備といたしまして、当社における安定したサービスの提供、サービスの質の向上並びに既存店の収益力を維持するためには、社員教育の強化は必要不可欠であり、今後も積極的に社員教育に注力してまいります。当社は人材育成を強化する目的で、「チューター制度」を実施しております。指導する先輩社員と新任社員との関係を密にすることにより、社内での風通しを良くすると共にきめ細やかな指導を通してサービスの質の向上を目指しております。また社内で行われている会議においては、各OTAサイトにおける評価点数やお客様の口コミを確認する場を設け、お客様満足をさらに向上させるための議論、検討をしております。
また、当社は健康経営を推進しており、次のとおり取り組んでおります。
①積極的な運動促進
従業員の健康管理推進のため社内で運動する日を定め、積極的に従業員への運動促進を行っております。
②感染症予防
インフルエンザ等の感染症対策として予防接種費用を一部補助し、感染リスクを予防しております。
③有給休暇消化の推進
年次有給休暇以上に有給の取得を推進するために社員全員の有給休暇の使用日数、残日数を把握し、現在の有給取得日数及び有給取得推奨日数を通知し、有給休暇の取得をしやすい環境を整えております。
(3)リスク管理
当社は、サステナビリティ委員会が主体となってリスクの検討並びに審議を行っております。具体的には、社会への影響度と、事業への影響度を表にまとめ、それを用いて総合的に議論を行いました。またそこで抽出されたリスクについては、長期的な企業価値向上に資するかどうかを考慮し、マテリアリティの特定をした後、取締役会にて報告、決議を行いました。今後については、掲げたマテリアリティの解決に向けた観測可能な目標値を定め、長期ビジョンや中期経営計画など可能な限り各事業の業務の中に落とし込み、管理を行う予定であります。当社は、マテリアリティを通じて財務・非財務の両面で質の向上を図り、事業と社会の持続可能な成長を目指していきます。
(4)指標及び目標
当社で定めた指標及び目標、実績値は次のとおりであります。
|
指標 |
目標 |
2024年度実績 |
2025年度実績 |
備考 |
|
客室の満足度の把握 |
客室の評価点数 4.0以上 |
4.06 |
4.10 |
各種OTAサイトの 評価点数 |
|
自然環境に配慮した プランの販売数の把握 |
50%以上 |
45.4% |
43.8% |
|
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標
|
指標 |
目標 |
2024年度実績 |
2025年度実績 |
備考 |
|
中途採用者の 管理職への登用 |
|
87.5% |
|
|
|
管理職に占める 女性労働者の割合 |
|
12.5% |
|
課長(支配人)以上の 役職 |
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、以下のようなものがありますが、これらに限定するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)出店戦略について
当社は、今後も新規開発を進めていく予定ではありますが、出店候補地が確保できない場合、出店に必要な人材が確保できない場合、その他新規出店に際し当社が予期せぬ事由が発生した場合、また、当社が出店後近隣に競合他社が出店した場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)金利上昇リスクについて
当社の施設の建設資金につきましては、金融機関等からの借入金による資金調達が主となっており、今後も新規開発に伴う有形固定資産の取得に伴い、金融機関からの借入残高が増加する可能性があります。
当社では、借入金を短期(約1年)、中期(3~6年)、長期(8~10年)と分類しており、出店の収益計画に基づき資金調達を行っております。現在、長期資金においては固定金利が主でありますが、変動金利も取り入れる方針であります。そのため今後の金利の上昇により当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)特定の地域への出店について
現在当社が展開している36店舗の内、重点地区である愛知県を起点として22店舗が東海地域に存在しております。現時点においても当社は、東海地域以外の関東圏や関西圏などへ出店を拡大しており、今後も出店をしていく予定でおりますが、特に東海地域にて大規模な震災や水害等の自然災害の発生により、『施設』等が大規模に毀損し『サービス』の提供が困難になる事態が発生した場合には、営業中止等の理由により当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)固定資産の減損について
当社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、ホテル事業において著しく収益及び評価額が低下し、有形固定資産の減損処理が必要となった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(5)敷金及び保証金について
当社は土地及び建物の賃貸借契約に基づき賃貸人に差入れている敷金及び保証金が2025年3月末現在552百万円あります。この資産は、賃貸人の財政状態が悪化し、返還不能になったときは、賃料及び解体費用との相殺ができない範囲において貸倒損失が発生し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報の保護について
当社は、多様な個人情報を管理しており、情報セキュリティにおいて厳重に管理し、情報の漏洩等の未然防止を行っておりますが、万一情報の漏洩、不正使用が起こった場合には、信用失墜等、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)景気動向及び海外情勢について
当社の属するホテル業界は、景気や個人消費の動向の影響を受けやすい傾向にあります。企業活動の停滞による出張需要の減少や個人消費の低迷に伴う観光需要の減少及び為替相場の状況や外交政策による訪日外国客の減少が、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)食品の衛生管理について
当社は、各ホテルにおいて食事の提供を行っております。食品の衛生管理や品質管理には十分に注意をしており、定期的に本部人員による衛生管理の状況確認も行っておりますが、万一食中毒などの食品衛生事故が発生した場合には、営業許可の取消や一定期間の営業停止処分、ブランドイメージの低下等により当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)親会社との関係について
当社は、2014年10月1日に株式会社東祥(以下「東祥」)のホテル事業部から新設会社分割において設立しており、設立当時の人員はホテル事業部に在籍していた役職員を承継しております。
当社との役員の兼任は当事業年度末現在において存在しておらず、独立性を確保しております。
当社は自らの経営責任を負って独立した事業経営を行っておりますが、当事業年度末現在、東祥は当社の議決権の52.8%を所有しており、大株主として当社の取締役の指名権等経営に関する権利を有しております。当社は東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準への適合基準を充たすため、非流通株式保有者の株式保有率引き下げが必要であります。しかしながら急激な変動は株価に影響をもたらす可能性があるため、非流通株式保有者の1つである東祥とは、当社が上場維持基準への適合基準を充たすための方策等を継続して協議しており、2026年3月末を目途に流動株式比率の適合に取り組んでおります。議決権の行使にあたり、親会社の利益が当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。
なお、当社は親会社への事前承認事項はなく、当社が独自に経営の意思決定を行っております。
(10)法的規制について
当社は、下記のとおり法的規制を受けております。
当社は、これまで法的規制によって事業展開に制約を受けたことはありませんが、今後新たな法的規制等の導入や既存の法的規制の改廃や解釈の変更等が生じた場合並びに重大な法令違反が起こった場合には、当社の業績や事業の存続に影響を与える可能性があります。
|
関連業界 |
規制法 |
管轄省庁 |
当社との関連 |
|
ホテル業 |
旅館業法 |
厚生労働省 |
ホテル事業 |
|
食品衛生法 |
厚生労働省 |
||
|
下請代金支払遅延等防止法(下請法) |
中小企業庁 |
||
|
全般 |
消防法 |
総務省 |
|
|
景品表示法 |
消費者庁 |
||
|
労働安全衛生法 |
厚生労働省 |
(11)小規模組織であることについて
当社は当事業年度末現在、取締役4名、監査役3名、従業員86名で構成されております。比較的少人数による組織となっており、内部管理体制も組織規模に応じたものとなっております。また、業務拡大にあわせて円滑に業務を運営していくために、優秀な人材の確保及び育成により組織体制を整備し、内部管理体制の整備・強化を図る予定であります。
しかしながら、当社の事業拡大に応じた十分な人材の確保及び育成ができるかは不確実であり、これらが不十分な場合は、当社の業務遂行に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績、雇用や所得環境の改善など、緩やかに回復が見られる一方、長期化する地政学的リスクを起因とした資源価格の高騰やそれらに伴う物価の上昇、貿易政策の不確実性によって生ずる影響等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような経済状況のもと、当社は、「Amenity&Bright」(快適で明るい)をコンセプトとしたホテル展開をしております。当事業年度では、インバウンド需要を取り込むため、特に海外の利用頻度が高いOTA(OnlineTravelAgency)を拡充しました。またお客様の更なる満足度向上のため特に観光立地の朝食メニューの見直しや、一部店舗でウェルカムドリンクを無料提供するなど、宿泊稼働率の維持にも努めました。その一方で人件費や資源価格の高騰によって生ずる様々なコスト増加に対応するため、一部店舗において実施していた自社清掃店舗を拡大してコストの削減を実施しました。価格面では以前より行っていたレベニューマネジメントに磨きをかけ、コスト削減と適正価格の設定を両軸とした施策を実施いたしました。宿泊ニーズの高い立地での運営に加え、当社の主要顧客であるビジネスのお客様が堅調に推移し、尚且つインバウンド需要や国内の旅行需要が増加したことによって1室あたりの宿泊単価は上昇しながら稼働率の適正化を図った結果、前々期までに開業した既存33店舗の当事業年度における平均宿泊稼働率は85.5%(前年同期比5.7ポイント減)となりました。
新規開発におきましては、「ABホテル伊賀上野」並びに「ABホテル中津川」の2店舗を新規開業いたしました。2025年4月以降の開発につきましては、「ABホテル越前武生」(2025年9月開業)、「ABホテル犬山」(2026年1月開業)、「ABホテル伊万里」(2026年7月頃開業)、「ABホテル茅野」(2026年7月頃開業)、「ABホテル大野神戸インター」(2026年夏頃開業)及び「ABホテル倉敷水島」(2026年夏頃開業)を予定しております。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ3,424百万円増加し、26,285百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ1,109百万円増加し、13,536百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ2,315百万円増加し、12,749百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度における経営成績は、売上高10,679百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益3,962百万円(同9.7%増)、経常利益3,908百万円(同9.7%増)、当期純利益は2,542百万円(同9.9%増)となりました。
なお、セグメント別の経営成績については、単一セグメント(ホテル事業)であるため、記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動による資金増加が3,277百万円あった一方、ビジネスホテル建設等の投資活動による支出が3,778百万円、財務活動による収入が836百万円あった結果、現金及び現金同等物は5,920百万円と前事業年度末と比べ334百万円の増加となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、3,277百万円(前事業年度は2,842百万円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益が3,908百万円、減価償却費が853百万円、法人税等の支払額が1,375百万円あったこと等を反映したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,778百万円(前事業年度は1,161百万円の支出)であります。これは主にビジネスホテル2店舗の建設等に伴う有形固定資産の取得による支出が3,805百万円あったこと等を反映したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得た資金は836百万円(前事業年度は872百万円の支出)であります。これは建設等に伴う長期借入れによる収入が2,400百万円あった一方、長期借入金の返済による支出が1,755百万円、リース債務の返済による支出が295百万円、配当金の支払額が226百万円あったこと等を反映したものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産、受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産・受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.販売実績
当事業年度における販売実績を地域別に示すと、次のとおりであります。
|
地域の名称 |
当事業年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
東海エリア |
6,131,687 |
109.3 |
|
関東エリア |
1,172,854 |
105.1 |
|
北陸エリア |
361,262 |
108.7 |
|
関西エリア |
2,442,552 |
103.9 |
|
中国エリア |
342,151 |
109.3 |
|
九州エリア |
228,538 |
101.1 |
|
合計 |
10,679,046 |
107.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社は、この財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産、負債及び損益に関して報告数値に影響を与える見積りを行っております。当社は、固定資産の減損損失及び繰延税金資産に関する見積り及び判断を継続して行っております。
しかしながら、多様化する社会のニーズ、市況の変化等により見積り及び判断が実際の結果と異なる場合があります。
a.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産を計上する場合、収益力に基づく課税所得の十分性及び実現性の高いタックスプランニング等により回収可能性を判断して計上しておりますが、繰延税金資産の全部または一部について、将来実現できないと判断した場合、判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上いたします。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
b.固定資産の減損
当社は、ホテル等の固定資産を所有しており、将来、著しく収益及び評価額が低下した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ3,424百万円増加し26,285百万円となりました。主な要因といたしましては、現金及び預金が334百万円、ABホテル新規出店等に伴う有形固定資産が2,991百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(負債合計)
負債総額は、前事業年度末に比べ1,109百万円増加し13,536百万円となりました。主な要因といたしましては、ABホテルの建設による設備投資資金等として借入金が1,035百万円、リース債務が27百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
(純資産合計)
純資産につきましては、前事業年度末に比べ2,315百万円増加し12,749百万円となりました。主な要因といたしましては、利益剰余金が2,315百万円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
三重県伊賀市並びに岐阜県中津川市に出店し、愛知県14店舗、埼玉県1店舗、石川県1店舗、群馬県1店舗、奈良県1店舗、岐阜県5店舗、静岡県2店舗、京都府1店舗、滋賀県3店舗、山口県1店舗、福岡県1店舗、大阪府2店舗、長野県1店舗、千葉県1店舗、三重県1店舗の合計36店舗の体制となりました。インバウンド需要の高まりが追い風となり、客室単価が上昇し売上高は10,679百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価につきましては、売上の増加や物価高騰に伴い6,053百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は56.7%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、売上増加による販売手数料の増加等により663百万円となりました。売上高に対する比率は6.2%となりました。
(営業利益)
営業利益につきましては、3,962百万円となりました。売上高に対する営業利益の比率は37.1%となりました。
(営業外収益(費用))
営業外収益(費用)につきましては、補助金収入や自動販売機の手数料収入等があり営業外収益は38百万円であった一方、支払利息等の費用が発生した結果、営業外費用は93百万円となりました。
(当期純利益)
当期純利益につきましては、上記理由により2,542百万円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営成績等の状況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。2024年5月10日に公表いたしました2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を進めております。初年度である2025年3月期においては、宿泊単価等が堅調に推移した結果、売上高10,679百万円(計画は10,300百万円)、経常利益3,908百万円(同3,620百万円)、当期純利益2,542百万円(同2,320百万円)と新規開業3店舗以上という目標については達成できなかったものの、売上、利益面においては計画を上回る結果となりました。今後においては、最終年度で売上高12,200百万円、経常利益4,300百万円の達成に向け、当社が今後の業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくために、経営者は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために、食事に関するサービスの更なるバリューアップ、集客経路の多様化、サービスの質の向上により稼働率の増加を図るとともに、マーケットの状況、景気動向等を総合的に勘案し年間3店舗以上を目標に新規開発を行ってまいります。
また、新規開発に伴う設備投資額については、継続的に建設プランの見直し等により開発コストの低減に努めるとともに、投資コストに見合う収益構造の構築に取り組んでまいります。
今後の成長戦略においては、新規開発物件の徹底した市場調査、資金調達の多様化を図り、継続した成長戦略を推進できる体制を構築するとともに、新商品の開発に取り組んでまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社の資金需要のうち主なものは、設備投資資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、人件費及び販売手数料であります。
今後も「ABホテル」の開発により、設備投資の資金需要は大きくなるものと予想されますが、収益力の強化、建物リース等の採用によりバランスシートの更なる改善を図ってまいります。
財務政策
当社は現在、主に運転資金につきましては内部資金、設備資金につきましては金融機関からの借入により資金調達をすることとしております。
当事業年度末における借入金の残高は7,725百万円となりました。資金調達コストの低減に努めるとともに、効率的な資金調達を行うため、複数の金融機関との間で合計6,750百万円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高1,971百万円、借入未実行残高4,779百万円)。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2024年5月10日に公表いたしました2027年3月期を最終年度とする中期経営計画(最終年度売上12,200百万円、経常利益4,330百万円)においては、毎年経常利益率35%以上の確保を目標としております。業績達成に向け、引き続き、既存施設の収益向上、新規出店候補地の開発等に取り組んでまいります。
(1)私募リートに係るスポンサーサポート契約の解除
当社は、2020年1月7日付で、当社と東祥東海リート投資法人(以下、「東祥東海リート」という。)及び当社の親会社である株式会社東祥(以下、「東祥」という。)の100%子会社である東祥アセットマネジメント株式会社(以下、「東祥アセットマネジメント」という。)との間でスポンサーサポート契約を締結しておりましたが、東祥が東祥アセットマネジメントを株式譲渡したことによって、2024年8月1日をもって私募リートに係るスポンサーサポート契約の解除をいたしました。解除した契約は以下のとおりであります。
① 本契約の目的
当社が、東祥東海リート及び東祥アセットマネジメントに対してスポンサーサポート業務(その内容は「②本契約書の概要」に記載。)を提供することにより、東祥東海リートの安定的かつ継続的な不動産等の取得の機会を確保し、また、東祥東海リート及び東祥アセットマネジメントの不動産運営管理を向上させ、東祥東海リートの持続的な成長及び安定運用を図ることを目的とします。
② 本契約書の概要
有効期間 本契約の締結日から5年間
スポンサーサポート業務の主な内容
a.売却物件の優先交渉権の付与
b.第三者売却物件の優先情報提供
c.ウェアハウジング機能の提供
d.資産の取得業務及び運営業務等の支援
e.リーシングサポートの提供
f.プロパティマネジメントの提供
g.その他の支援
該当事項はありません。