第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げ、各種産業分野の技術発展に寄与し、創薬や再生医療をはじめとした先端技術の研究及び実用化の促進に役立つことにより、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」ことを経営方針に定め、『オプティカル事業』及び『ライフサイエンス・機器開発事業』を推進しております。

 

(2) 経営環境等

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済・社会活動の制限が続き、個人消費や企業活動が大きく収縮するなど厳しい状況となりました。ワクチンの普及により今後の経済正常化は期待されるものの、依然として先行きが不透明な状況となっております。世界に目を向けても同様の状況であり、ワクチンの接種状況により感染症の影響が落ち着いている地域と、引き続き予断を許さない状況が続いている地域に分かれる状況となっております。

オプティカル事業においては、国内では新型コロナウイルスの変異株の猛威による感染拡大が続いておりますが、世界の放射光施設では、特に欧米各国でコロナ禍により遅れていた投資計画が進み、コロナウイルスの基礎研究や治療薬などの研究開発が積極的に行われるなど、研究活動が復調してきております。

例えば、2021年6月3日にPR情報にて開示しました、米国シカゴのアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory:ANL)にある、世界有数の大型放射光施設APS(Advanced Photon Source)から、第4世代へのアップグレードに伴う新設ビームラインの各種超高精度ミラーの一括受注がありました。加えて、フランスのESRF(European Synchrotron Radiation Facility)、カリフォルニア大学のローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)のALS(Advanced Light Source)のみならず、ドイツ、イギリス、スイス、イタリアなど欧州各地にて第4世代へのアップグレードの計画が明らかになり、受注活動が活発になってまいりました。

さらに、中国においても同様であり、北京では世界最大のビームライン数を有する第4世代の大型放射光施設の建設、上海では2施設目となるX線自由電子レーザー施設の建設が始まっており、中国全土で10か所以上ある放射光施設やX線自由電子レーザー施設からの受注及び引合いが活発になってまいりました。

国内においても、大型放射光施設SPring-8や自由電子レーザー施設SACLAだけでなく、2023年完成予定の東北放射光施設(SLiT-J)からの引合いも増え、受注も順調に推移しております。

このように、当社ミラーの市場はコロナ前の状況に戻りつつあるため、勝機を逃がさずに特に当社の得意とする超高精度ミラーや次世代(第4世代)向けミラーの新製品を中心に売上増加に注力し、放射光施設向けのみならず、半導体及び宇宙分野などの市場に積極的に参入してまいります。

また、ライフサイエンス・機器開発事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中、コロナ治療薬の探索のために、自動細胞培養装置のカスタム製品や簡易型自動細胞培養装置「MakCell®」のような汎用製品等の引合いが増えてきております。また水晶振動子ウエハ加工システムの開発に成功し、パイロットユーザーに納品しました。今後は国内外の水晶振動子メ―カー等を中心に本格販売を行ってまいります。

また、子会社化しました電子科学株式会社の主力製品である昇温脱離分析装置(TDS)においては、現在の半導体や液晶業界向けのみならず、鉄鋼、電機、自動車、水晶振動子等の様々な産業分野にも市場拡大が見込まれるため、営業力を強化し新規顧客開拓に注力してまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 事業活動に関わる課題

(オプティカル事業)

世界の放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設は、各国の多様な地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)において現在もコアな機関として位置づけられ、イノベーションを強力に推進しております。しかしながら、約1年半に及ぶコロナ禍の影響により、世界の放射光施設の研究者は、研究意欲はあるものの、特に欧米各国の放射光施設での計画が遅れたことにより研究自体の遅れも散見されましたが、最近では計画も進み、コロナの基礎研究や治療薬などの研究開発も積極的に行われるなど研究活動が復調してきております。

例えば、2021年6月3日に情報開示しました、米国シカゴのアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory:ANL)にある、世界有数の大型放射光施設APS(Advanced Photon Source)から、第4世代へのアップグレードに伴う新設ビームラインの各種超高精度ミラーの一括受注がありました。加えて、フランスのESRF(European Synchrotron Radiation Facility)、カリフォルニア大学のローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory:LBNL)のALS(Advanced Light Source)のみならず、ドイツ、イギリス、スイス、イタリアなど欧州各地にて第4世代へのアップグレードの計画が明らかになり、受注活動が活発になってまいりました。

さらに、中国においても同様であり、北京では世界最大のビームライン数を有する第4世代の大型放射光施設の建設、上海では2施設目となるX線自由電子レーザー施設の建設が始まっており、中国全土で10か所以上ある放射光施設やX線自由電子レーザー施設からの受注及び引合いが活発になってまいりました。

国内においても、大型放射光施設SPring-8や自由電子レーザー施設SACLAだけでなく、2023年完成予定の東北放射光施設(SLiT-J)からの引合いも増え、受注も順調に推移しております。

当社は、このように世界規模で拡大している放射光施設及びX線自由電子レーザー施設向けの高精度X線ミラーの需要に応えるため、生産施設の増強、生産工程の効率化を図り、更なる高精度化を進めていくことが、引続き重要課題であると認識しております。

このため、独自のEEMナノ加工装置やRADSI及びMSIナノ計測装置等の生産設備の増設を積極的に進め、また海外の競合他社に対する技術的優位性を維持するため、現在のナノ加工技術の効率化、ナノ計測技術の高精度化を図るための研究開発を進めております。さらに、新しい製造技術の実用化開発を推進し、前加工協力会社との技術提携や連携強化を図り、生産工程全体の効率化を目指しております。

また、世界各地で第4世代放射光施設の新設や第3世代放射光施設からのバージョンアップにより光源の強化が図られ、それに対応するために当社の主力製品である高精度KB型集光ミラーや新しい光学系の構築が求められているため、回転楕円ミラー、形状可変ミラー、各種ウォルターミラー等の次世代放射光施設向けの新しい集光系のX線ミラーの開発・販売を推進しております。

これら各種X線ミラー(光学素子)は、従来技術では到底不可能であった表面形状の超高精度化を実現することができ、さまざまな産業分野においてビジネスを展開するための技術的ポテンシャルを有しております。

例えば、半導体及び宇宙分野などの成長産業分野で用いられる光学素子において、従来の加工技術では不可能なナノメートルレベルの表面形状精度が望まれているため、当社では販路を拡大するための足掛かりとして今年度新たな競争的資金を獲得し、大阪大学、名古屋大学及びJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で新しいX線計測・分析技術の開発を推進し、新しい高精度2次元集光X線ミラーの製造法の確立を目指しております。

また、当社では現在のナノ加工技術EEM以外にも大阪大学の表面加工技術であるプラズマCVMやCARE(触媒基準エッチング法)加工を技術導入して実用化開発を進めており、総合的な加工技術のポテンシャルを上げて選択肢を広げることにより、今後も様々な産業分野への参入を図ってまいります。

 

(ライフサイエンス・機器開発事業)

・ライフサイエンス事業

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続く中、コロナ治療薬の探索のために、当社設立当初より開発・販売してまいりました自動細胞培養装置のカスタム製品の引合いが増え、受注を獲得しました。

さらに、2013年に日本で初めて上市した汎用型のiPS細胞向けの簡易型自動細胞培養装置「CellPet®」をもとに、多様化するユーザーニーズに応えるために後継機種として「MakCell®」を開発してまいりましたが、現在テレワークが推進され就業時間の短縮化が求められる中、手軽な自動細胞培養装置として引き合いが活発になってきております。

一方、再生医療分野は依然黎明期ではありますが、将来の再生医療市場の拡大に伴いその周辺産業の市場も拡大すると想定しており、その中で当社の対象市場となる自動細胞培養装置及び培養容器(消耗品)分野での製品開発を今後も積極的に進めてまいります。

また、当社は自動細胞培養装置メーカーでありますが、単なる装置メーカーではなく、大阪大学内に当社独自の細胞培養センターを設け、自ら開発した装置を用いて培養手法の有効性を実証することにより、効率よく製品開発・販売を実施しております。

さらに、長年にわたり産業技術総合研究所と共同開発してまいりました独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」を用いた再生医療向けの自動細胞培養装置「CellMeister®3D」を開発しました。当社の細胞培養センターでは再生医療の実現に向けて研究開発を推進しており、昨年度より横浜市立大学医学部らと新たに競争的資金(日本医療研究開発機構:AMED)を獲得し、世界で初めての「弾性軟骨デバイス」を用いた再生医療の普及を目標として、医師主導の治験(鼻咽腔機能閉鎖不全症)を目指して共同研究を進めており、さらに大阪大学医学部心臓血管外科らともiPS細胞を用いた心筋シートの臨床研究を目指して共同研究を進めております。

当年度はさらに、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(神戸)及び日本光電工業株式会社と競争的資金(AMED)を獲得し、脳梗塞治療用の幹細胞分離機器(医療機器)の共同開発を進めております。

また、2017年1月に上市したiPS細胞用の回転浮遊培養装置「CellPet 3D-iPS®」や小片化装置「CellPet FT®」をはじめとして、近年急速に進歩しつつあるオルガノイド培養向けの回転浮遊培養装置「CellPet®CUBE」や酸素透過型培養容器などの関連機器を積極的に製品開発し、国内だけでなく海外展開も図ってまいります。

 

・機器開発事業

当社設立当初より各種自動細胞培養装置を開発してまいりましたが、その自動化設計技術を活かし、当社の高精度KB型集光ミラーを用いたKB集光装置や各種OEM製品の製品開発も手掛けてまいりました。

また、新規事業として実用化開発を進めてきた独自のプラズマCVM加工技術を水晶振動子ウエハの厚みの均一加工に適用し、その量産化システムの実用化にも成功しパイロットユーザーに納品しました。今後は国内外の水晶振動子メ―カー等を中心に本格販売を行ってまいります。

これら以外にも、様々な産業分野の自動化製品の開発を手掛けてまいります。

 

(電子科学株式会社の子会社化)

当社は、2021年5月に電子科学株式会社の全株式を取得し子会社化いたしました。同社は、昇温脱離分析装置(TDS)のメーカーであります。本装置は、超高真空環境に設置した試料を独自の加熱方式(赤外線)によって加熱することにより、試料から微量に放出される成分(特に水素、水)を四重極質量分析装置(QMS)にて分析し、独自の分析ソフトウェアにより高感度でリアルタイム検出する装置であります。

現在、本装置は半導体や液晶業界を中心に材料の研究や、製造工程の評価、品質管理に用いられており高い評価を得ております。しかしながら、本装置は鉄鋼、電機、自動車、水晶振動子等の様々な産業分野にも用いられるポテンシャルがあり、最近では海外からの引合いもあるものの、営業体制等の問題で積極的に拡販ができていない現状であります。

そのため、当社のオプティカル事業の海外チャンネルを用いた、営業体制の強化による拡販が急務であると考えております。また、電子科学における装置作りはファブレス方式であり当社のライフサイエンス・機器開発事業と同じであることから、生産管理強化により、製造面でもシナジー効果が見込めると考えております。また電子科学の分析技術と当社の自動化技術を融合し、特に半導体分野において、共同で新しい製品の企画、開発を進めてまいります。

 

ライフサイエンス・機器開発事業においては、ライフサイエンス分野や半導体分野における独自の製品開発を積極的に進めて顧客を獲得するとともに、市場の拡大に備えるために優秀な技術者の確保、生産体制の強化、保守サービスの構築が重要課題であると認識しております。このため当社では、優秀な技術者の確保のために積極的な中途採用活動を展開する一方で、生産体制の強化や保守サービスの構築につきましては、電子科学株式会社や新たな協力会社との関係構築によって対応してまいります。

 

② 技術開発体制の構築

当社の顧客の多くは基礎研究に取り組んでいる研究機関・大学・企業の研究者であり、この基礎研究の分野で当社が成長するためには、最先端の技術動向のキャッチアップと継続的な技術開発を可能とする開発体制を構築し、継続的に付加価値を提供することが重要であると考えております。

このような認識のもと、オプティカル事業では国際学会での企業展示だけでなく、当社の製品や最新の技術紹介等を積極的に発信してまいります。また、ライフサイエンス・機器開発事業においては独自に細胞培養センターを設け、ここをオープンイノベーションの拠点として、最先端の技術開発に取り組んでいる研究機関や大学との共同研究や企業との事業連携を積極的に推進することに努めてまいります。

また、電子科学株式会社とのシナジーにより、半導体分野を対象とした製品開発も推進してまいります。

 

③ 営業力の強化

当社の両事業において、その事業規模を拡大させるためには営業力の強化が重要であると考えております。しかしながら、当社が取り扱っている製品は、コンサルティング営業ができるような技術知識が必要となるため、即戦力となる営業人材の確保が難しく、継続的な営業人材の確保と強化が特に重要な課題であると考えております。具体的には、技術者の社内ローテーションや物理学等の基礎学力を有している人材の採用活動によって営業人材を確保し、加えて既存営業マンによる継続的な現場教育の推進によって営業力の強化に注力してまいります。

一方で、未だ新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため世界各地で外出禁止・制限・自粛要請とソーシャル・ディスタンスの確保が求められ、展示会・学会などが世界中で中止を余儀なくされており、いつ従来どおりの開催ができるのか予測できない状況下ではありますが、オプティカル事業においては、今までの実績をもとにユーザーである世界の研究者とWEB会議などを通じて商談を進めております。また、今まで中止されていた学会においても、WEB配信での開催の検討が増えてきているため、積極的な学会発表や企業宣伝に努めてまいります。

ライフサイエンス・機器開発事業においても、オンライン商談、リモート営業などを推進しておりますが、全てをオンラインに切り替えるのではなく、新規ユーザーへの初回訪問と既存ユーザーへの提案について営業手法を分ける等、訪問とオンラインを組み合わせて有効に営業活動を進めてまいります。

また、オプティカル事業だけでなくライフサイエンス・機器開発事業においても海外展開を視野に入れており、ヨーロッパ、アメリカ、中国での代理店網の構築を進めております。

 

④ 生産管理体制の強化

オプティカル事業において、需要が拡大しグローバルな競争に生き残っていくためには、生産管理の役割が大きくなってまいります。一方、ライフサイエンス・機器開発事業においては、ファブレスによる柔軟な生産体制にて事業を展開しております。

今後の量産化に向けて、それぞれの製造工程、生産管理や品質管理等における最適なチェック体制を構築し、安定した品質を維持する仕組みが必要不可欠となるため、生産管理体制を強化してまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

ここ数年の当社の急速な成長に伴い、内部管理に関係する業務が多岐にわたって発生しておりますが、今後のさらなる成長のためには内部管理体制の一層の強化を図る必要があると認識しております。そのためには、内部管理の重要性に対する全社的な認識の強化を図るとともに、内部管理に精通した人材を採用し、また経理・人事・広報・法務等に精通した人材も積極的に採用することによって、業務の有効性と効率性を高めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。当社は、これらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。また、本書に記載した事項は事業等に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点ご留意下さい。

 

(1) 技術の陳腐化について

当社グループのオプティカル事業における製造技術は、大阪大学独自の原子数個レベルの平坦さを実現する究極のナノ加工技術(ナノ加工技術EEMとナノ計測技術RADSI及びMSI)を基にしたもので、1ナノメートルレベルの形状精度を実現しております。本書提出日の現在においてこの状況に変化はありません。

しかしながら、将来において当社の製造方法と同等の精度レベル(本技術を超える精度は物理的に不可能)を実現する新たな製造方法が確立された場合には、価格面で影響を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 国内外政府の施策とその影響について

当社グループのオプティカル事業の製品である放射光施設用のX線ナノ集光ミラー等は、放射光施設という専門性の高い施設等で使用されるもので、その施設の多くは公的研究施設、公的プロジェクトまたは大学等がビームライン(実験ハッチ)ごとに別々に研究事業を運営しております。当社製品を利用したこれら施設ではナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い最先端の研究がおこなわれており、今後も技術向上を図り、より優れた研究成果を創出し、継続していくものと予想されます。

また、現在国内では東北に新しい放射光施設SLiT-Jの建設計画(2023年供用開始予定)が具体化し、また海外では中国、欧州、アメリカ、ブラジルなどに第4世代の放射光施設の建設やバージョンアップの計画が進んでおり、今後少なくとも20年は世界的に需要が拡大傾向にあると判断しておりますが、将来国内外の政府の研究事業の実施方針において、放射光利用の重要度が大きく変更された場合、または制度の変更があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 日本国政府の施策とその影響について

当社グループのライフサイエンス・機器開発事業の製品である各種自動細胞培養装置は、再生医療等においてiPS細胞をはじめとする各種細胞を培養するものであります。これらの製品は再生医療及び創薬の研究開発用として使用され、今後もこの分野での研究開発が進み、同時に市場が拡大するものと予想しておりますが、日本国政府の施策により、関連法令等が大幅に改正された場合、または研究開発活動が法規制により制限が加えられた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 外注先について

当社グループのオプティカル事業は、当社でのEEMによるナノ加工の前工程である粗加工仕上げ工程について、需要の拡大に対応するために内製化を進めておりますが、未だ多くを外注加工業者に委託しております。当社が外部委託先を選定するにあたっては事業の継続性を鑑み、良好な協力関係の構築・維持または高い品質管理能力を主な判断材料として慎重に選定しております。

しかしながら、今後需要が急拡大し外注先で対応しきれない場合や、また新しい外注委託先が増え、これらの管理が疎かになり、品質面及び納期面等において何らかの不具合が発生した場合には、当社の業務に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 製品に関する不具合、クレームについて

当社グループが販売・開発する製品等に関し、ユーザー等から訴訟を提起され、または損害賠償請求を受けたことはありません。また、不具合が生じたとしても早期に発見し是正するべく、サポート体制を構築しておりますが、当社が販売した製品等に予期しがたい欠陥等が発生し、製品回収や損害賠償等が発生した場合、多大な損害賠償金及び訴訟費用が必要となること等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 製造装置について

当社グループのオプティカル事業は、独自に設計・製作した製造装置を使用しております。これら製造装置については、高品質な製品の製造を実現するために、停電対策や所要のメンテナンスを随時実施しておりますが、何らかの不具合が発生した場合や自然災害や突発的な事故により製造装置が稼働不能となった場合等には、当社グループの業務に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 為替リスクについて

当社グループは、海外輸出製品が多く、為替レートの変動は外貨建ての直接取引の売上高に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、想定を超える為替レートの変動が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 輸出について

輸出にあたり、仕向地ごとの政治や経済情勢、さらには文化や習慣等について調査・把握に努めておりますが、もしそれらが要因となる予期せぬ事件、事故等の事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 業績の変動について

当社の製品であるX線ナノ集光ミラーは、その製造過程でナノ加工EEMとナノ計測RADSI及びMSIについて仕様を満たすまで交互に何度か繰り返す必要があることから、製造工程は製品ごとに異なり、受注から出荷までの期間が1年程度かかります。また、研究開発の要素の高い仕様の場合、出荷予定月を過ぎることも起こり得ます。このような状況が生じた場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

特に、当事業年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、仕様打ち合わせが中断したり、外注業者のシャットダウンにより出荷時期が予定より遅れる案件が散見されました。

なお、X線ナノ集光ミラーの単価は非常に高額で3,000万円近くするものもあり、あわせて受注時期が偏る傾向にあるため、特定の四半期業績のみによって通期の業績見通しを判断することは困難であります。

 

(10) 知的財産権

当社グループは、新たな技術や独自のノウハウを蓄積し、知的財産権として権利取得するなど法的保護に努めながら研究開発活動を推進しています。また、仮に特許侵害が試みられたとしても同様の製品が製造されないよう独自のノウハウは公開しておりません。しかし、特定地域での法的保護が得られない可能性や、当社の知的財産権が不正使用される可能性があることは否めず、さらに人材移転や悪意を前提とする情報漏洩等により技術・ノウハウが外部に流出する可能性もあります。このような状況が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

他方、他社が有する知的財産権についても細心の注意を払っておりますが、当社が第三者の知的財産権を侵害していると司法判断された場合、当社グループの生産・販売の制約や損害賠償金の支払いが発生する可能性もあります。

 

(11) 固定資産の減損

当社グループでは、土地、建物、機械設備等多くの有形固定資産を保有しています。当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの見積りに基づく残存価額の回収可能性を定期的に評価していますが、当該資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少し、回収可能性が低下した場合、固定資産の減損を行う必要が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 配当政策について

当社グループの配当政策につきましては、当社グループの利益成長とそれを支える礎となる財務体質の強化が重要との認識から、業績の状況をベースに内部留保の充実と配当性向等とのバランスを図りながら、株主に対して積極的に利益還元を行うことを基本方針としております。

ただし、当面はコスト競争力の強化や生産能力向上のための設備拡充及び急成長市場での事業展開を実現するための今以上の研究開発体制の構築のための投資が重要になると考え、その原資となる内部留保の充実を図る方針であります。これらについてある一定の目処が立てば、安定的・持続的な配当による株主への利益還元政策を行う方針であるものの、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(13) 新型コロナウイルス感染症について

2020年に入り世界的に流行している新型コロナウイルス感染症について、国内でも緊急事態宣言が発令と解除が繰り返される中、各国の経済活動が著しく制限されたことにより深刻な経済収縮が起こり、その収束時期は不透明な状況であります。日本を含む世界各国において感染症の拡大が長期化した場合は、営業活動の縮小、製造活動の遅延、製品出荷の遅延等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、また、連結子会社のみなし取得日を連結会計年度末日としていることから、当連結会計年度においては、貸借対照表のみを連結しているため、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。

そのため、経営成績及びキャッシュ・フローに関する記載につきましては、個別財務諸表に係る数値を記載しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、経済・社会活動の制限が続き、個人消費や企業活動が大きく収縮するなど厳しい状況となりました。ワクチンの普及により今後の経済正常化は期待されるものの、依然として先行きが不透明な状況となっております。世界に目を向けても同様の状況であり、ワクチンの接種状況により感染症の影響が落ち着いている地域と、引き続き予断を許さない状況が続いている地域に分かれる状況となっております。

当社の取引先である放射光施設においては、東アジア(中国、韓国、台湾)地域のように、概ね施設が通常稼働をしている地域があるものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりビジネス渡航制限の解除の目途が立っておらず、中国等営業重点地域へ赴くことが出来ずに引き続き営業活動が制約されている状況であります。

このような経済環境の中で当社は、オプティカル事業及びライフサイエンス・機器開発事業という独自の技術を利用した二つの事業により、事業基盤の強化と拡充に努めてまいりました。

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、3,382,042千円となりました。

当連結会計年度末における負債合計は、1,124,070千円となりました。

当連結会計年度末における純資産合計は、2,257,971千円となりました。

なお、当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、前期との比較は行っておりません。

 

b. 経営成績

当事業年度の経営成績は、売上高、利益共に減少し、売上高820,347千円(前期比20.2%減)、営業損失271,600千円(前事業年度は営業利益5,980千円)、経常損失239,057千円(前事業年度は経常利益34,187千円)、当期純損失170,710千円(前事業年度は当期純利益16,356千円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

オプティカル事業は、売上高は519,273千円(前期比37.7%減)、セグメント利益は82,861千円(前期比74.5%減)となりました。

ライフサイエンス・機器開発事業は、売上高は301,073千円(前期比54.9%増)、セグメント損失は81,142千円(前期はセグメント損失24,509千円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ22,698千円減少し、当事業年度末には550,701千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は144,486千円(前事業年度は67,040千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費の計上94,708千円及び法人税等の還付78,158千円による収入があった一方で、税引前当期純損失の計上239,057千円及び売上債権の増加85,107千円による支出があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は831,516千円(前事業年度は262,250千円の使用)となりました。これは主に、子会社株式の取得による支出797,402千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は948,231千円(前事業年度は69,939千円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入754,619千円及び短期借入金の純増加額200,000千円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年7月1日

 至 2021年6月30日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

オプティカル事業

296,888

101.2

ライフサイエンス・機器開発事業

105,111

59.2

合計

402,000

85.4

(注)1.金額は製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年7月1日

 至 2021年6月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

オプティカル事業

937,189

138.2

594,223

337.0

ライフサイエンス・機器開発事業

151,960

44.0

82,743

35.7

合計

1,089,150

106.4

676,967

165.9

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2020年7月1日

 至 2021年6月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

オプティカル事業

519,273

62.3

ライフサイエンス・機器開発事業

301,073

154.9

合計

820,347

79.8

(注)1.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2019年7月1日

  至 2020年6月30日)

当事業年度

(自 2020年7月1日

  至 2021年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

PAUL SCHERRER INSTITUT

153,438

14.9

株式会社大真空

230,955

28.2

国立研究開発法人理化学研究所

147,634

14.4

123,883

15.1

Shanghai Eastern Scien-Tech Machinery Import & Export Limited

94,300

11.5

(注)1.販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のものについては記載を省略しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

    (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、また、連結子会社のみなし取得日を連結会計年度末日としていることから、当連結会計年度においては、貸借対照表のみを連結しているため、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書は作成しておりません。

そのため、経営成績及びキャッシュ・フローに関する記載につきましては、個別財務諸表に係る数値を記載しております。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は1,472,040千円となりました。主な内訳は、現金及び預金847,701千円、売掛金410,865千円であります。

また、固定資産は1,910,001千円となりました。主な内訳は、有形固定資産が1,336,971千円、無形固定資産が439,016千円、投資その他の資産が134,014千円であります。

以上の結果、当連結会計年度末における総資産は、3,382,042千円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は435,932千円となりました。主な内訳は、短期借入金200,000千円、1年内返済予定の長期借入金75,456千円であります。

また、固定負債は688,138千円となりました。主な内訳は、長期借入金672,875千円であります。

以上の結果、当連結会計年度末における負債は、1,124,070千円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は2,257,971千円となりました。主な内訳は、資本金821,241千円、資本剰余金781,241千円、利益剰余金655,854千円であります。

 

なお、当社グループは、当連結会計年度が連結初年度であり、前期は連結財務諸表を作成していないため、前期との比較は行っておりません。

 

b. 経営成績

(売上高及び営業利益)

当事業年度における売上高は、前事業年度に比べて207,132千円の減収で820,347千円(前期比20.2%減)となりました。これは、ライフサイエンス・機器開発事業は増収となったものの、オプティカル事業において、放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー施設用のⅩ線ナノ集光ミラーをはじめとする各種高精度ミラーにおける海外でのコロナ禍の影響により大幅な減収となったことによります。このことにより、売上総利益は前事業年度に比べ277,480千円減少し359,679千円(前期比43.5%減)となりました。また、当事業年度における販売費及び一般管理費は前事業年度に比べて99千円増加し631,279千円(前期比0.0%増)となり、当事業年度における営業損失は271,600千円(前事業年度は営業利益5,980千円)となりました。

 

(経常利益)

営業外収益では、経済産業省による戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)や、中小企業庁及び独立行政法人中小企業基盤整備機構によるものづくり・商業・サービス新展開支援補助金(ものづくり補助金)における補助金収入等を計上しました。また、営業外費用では、支払利息等を計上しました。これらの結果、当事業年度における経常損失は239,057千円(前事業年度は経常利益34,187千円)となりました。

 

(当期純利益)

特別利益及び特別損失の計上はなく、また、繰延税金資産の取り崩しにより法人税等調整額が減少したこと等により、当事業年度における当期純損失は170,710千円(前事業年度は当期純利益16,356千円)となりました。

 

c. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(オプティカル事業)

アメリカ(施設:APS、LCLS、LBNL)、中国(施設:SSRF、四川大学)、韓国(施設:PAL)向けの売上を第4四半期に計上し、業績を牽引することとなりました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、フランス(施設:ESRF)、台湾(施設:TPS)、ブラジル(施設:SIRIUS)向け等の案件について当期中に納品することができず、売上が翌期以降にずれることとなりました。通期の売上高が期初の見込みに比べ大きく未達となりましたが、第4四半期に見込んでいた売上が達成できなかったことが大きな要因であります。

また、国内(施設:Spring-8、SACLA等)向けの売上は通期を通して堅調に推移しました。これら国内向け販売につきましては、大半が第3四半期末である3月末までに完了することが多いという特徴があります。

新型コロナウイルス感染症の影響によって放射光施設のシャットダウンや感染症の拡大地域のロックダウンが行われると、製品の納品ができなくなるとともに、商談中案件の最終仕様の決定に遅れが生じ、施設の建設計画や研究計画にも遅れが生じる等の影響が出るため、当社の売上時期が遅れることとなります。

さらに、船便の貨物輸送が減り、その結果航空便の貨物輸送に皺寄せがくる等、各国のロジスティクスの乱れも1年を通して当社の事業活動に影響を与えることとなりました。海外へのビジネス渡航制限が解除されなかったことも事業活動の妨げとなりました。

このような状況ではありますが、現在、中国では他に類を見ない規模の放射光施設及びⅩ線自由電子レーザー(XFEL)施設の建設や既設のバージョンアップの計画が進んでいるため、今後は中国向け案件について重点的に取り組んでまいります。上海市では中国最大の予算規模でⅩ線自由電子レーザー施設「SHINE」を建設中であり、非常に高い表面形状精度のミラーが要求されるため、当社の技術でしか実現できない仕様のミラーが数多く導入されると見込んでおります。また、北京市に建設中の次世代大型放射光施設「HEPS」においては、約120本のビームラインが計画されており、日本の大型放射光施設「SPring-8」など世界の有数の大型放射光施設(ビームラインは50~60本程度)を凌ぐ世界最大規模の施設となる見込みであり、現在数多くの引合いがあります。

さらに中国においては、地方自治体単位で放射光施設やⅩ線自由電子レーザー施設を建設する財力があり、上海市や北京市のみならず、合肥市、武漢市、東莞市、大連市、成都市、深圳市等の都市においても新設や既設のバージョンアップの計画が進んでおり、既に複数の施設からの受注を受けている状況であります。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きかったアメリカにおいても、徐々に施設の稼働が再開しており、世界3大放射光施設の1つである「APS」からの受注が始まる等、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に収まりつつあります。

この結果、売上高は519,273千円(前期比37.7%減)、セグメント利益は82,861千円(前期比74.5%減)となりました。

 

(ライフサイエンス・機器開発事業)

水晶振動子ウエハ加工システムについて、装置全体のシステムの最適化及び最終調整に時間を要していましたが、第4四半期に230,000千円の売上を計上し、業績を牽引することとなりました。その他、再生医療分野における受託研究開発に係る売上やVOC除去装置販売による売上も第4四半期に計上しました。

水晶振動子ウエハ加工システムの開発をはじめとして機器開発案件へ注力してきた結果が実績として表れてまいりました。水晶振動子ウエハ加工システムは新規事業の一角を担っており、さらなる事業拡大を図ってまいります。

中長期的にはCELLFLOAT®システムを用いた汎用型機器の販売を推進するとともに、機器開発事業に注力し機器開発事業における新規事業分野の開拓に注力してまいります。

この結果、売上高は301,073千円(前期比54.9%増)、セグメント損失は81,142千円(前期はセグメント損失24,509千円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造のための材料及び部品の購入費、人件費や研究開発費のほか、借入金の返済や法人税等の支払いです。このほか、会社の成長に必要な設備投資やM&A投資等を含め、収入と支出のバランスを考慮して資金運用を実施することを主たる方針としています。

一方、販売には季節的要因の影響は少ないものの、販売先の決算月に納期を指定されることや製品の受注から完成までに1年前後の期間が必要であるため、受注及び販売の状況によっては一時的な売上債権、仕入債務、たな卸資産等の増減があり、営業活動によるキャッシュ・フローの増減に影響を及ぼす可能性があります。

運転資金、設備投資資金及びM&A投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしておりますが、多額の設備投資資金やM&A投資資金が必要となった場合は、必要資金の内容に応じて金融機関からの借り入れや資本市場からの直接調達を検討する方針であります。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は950,231千円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑴ 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社は、放射光施設用X線ナノ集光ミラー等の開発販売を推進する「オプティカル事業」及び、主に創薬、再生医療及びiPS細胞等に関連した培養技術の開発や各種細胞培養装置や各種自動化装置販売する「ライフサイエンス・機器開発事業」の2つの事業を柱としております。現在の研究開発活動は、これら事業の関連技術を中心に実施しており、主にX線ナノ集光ミラーを中心としたX線光学素子、独自の培養技術を用いた各種細胞培養装置及び独自の加工・計測技術をもとにした各種自動化装置等を中心に研究開発を継続しております。

さらに、継続中の2件の競争的資金(委託研究事業及び研究助成事業)に加え、今年度は新たに2件の競争的資金を提案・採択され、同時に4件の研究開発事業を進め、製品化を目指しております。

なお、研究開発費については、細胞培養センターで行っている各セグメントに配分できない基礎研究費用21,732千円が含まれており、当事業年度の研究開発費の総額は233,836千円であります。

 

(1) オプティカル事業

当事業年度のオプティカル事業においては、以下の研究開発を推進してまいりました。

 

① 放射光施設用X線集光ミラーの生産性の向上や高精度化を目指したナノ加工技術及びナノ計測技術に関する研究開発

・ナノ加工技術EEMとナノ計測技術RADSI及びMSIの高精度化、効率化を目指した研究開発

このナノ加工技術と計測技術の実用化に成功した本事業について、2020年6月経済産業省により、世界市

場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する企業を選定する「2020 年版グローバルニッチトップ企業100選」に素材・化学部門で選定されましたが、今年度はさらに下記の研究助成事業に採択されました。

「X線測定・分析の高効率化に資する高精度2次元集光X線ミラーの製造法の開発」

令和2年度「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」経済産業省:2021年~2023年度

株式会社ジェイテックコーポレーション、大阪大学、名古屋大学、宇宙科学研究所(JAXA)、アドバイザー:理化学研究所、高輝度光科学研究センター

      上記研究開発は、当社の加工技術と計測技術の高度化を目指すもので、半導体・宇宙分野など新しい産業分野への適用を図るための基盤技術となります。

・大気圧プラズマを利用したドライエッチング技術である「プラズマCVM」及び、触媒表面基準エッチング技術である「CARE」の実用化開発

 上記実用化開発は、当社の独自ナノ加工技術EEMの更なる高精度化や前加工工程での適用を図り、国内外の競合メーカーに対して技術的優位性を維持し、製造の効率化を目指すものであります。

 

② 放射光施設向けの次世代商品の開発

・形状可変ミラーのバージョンアップ及びアプリケーションのソフト開発

・回転楕円ミラー

・回転ウォルターミラー

 

③ X線光学素子の新しい事業展開を目指した計測・加工技術の適用化開発

・半導体、宇宙分野でのX線ミラー及び回折格子等の適用化開発

・次世代フォトマスク基板での当社独自のEEMナノ加工技術の適用化開発

 

その結果、オプティカル事業に係る当事業年度の研究開発費は94,773千円となりました。

 

(2) ライフサイエンス・機器開発事業

当事業年度のライフサイエンス・機器開発事業においては、以下の通りの機器開発や競争的資金(委託研究事業、研究助成事業)を積極的に活用し、以下の研究開発を推進してまいりました。

 

① 汎用型自動細胞培養装置の開発

・昨年度試作開発したMakCell®(iPS細胞用の自動細胞培養装置CellPet®シリーズの後継機種)の量産化開

発を実施しました。

 

② 再生医療関連の研究開発

・当該事業年度継続の委託研究事業

「ヒト弾性軟骨デバイスを用いた頭頚部形態異常疾患に対する新規治療法の開発」

令和2年度「橋渡し研究戦略的推進プログラム」日本医療研究開発機構(AMED):2020年~2021年度

研究代表機関:横浜市立大学、参加機関:東京大学、神奈川県立こども医療センター、株式会社ジェイテックコーポレーション

・その他の共同研究

心筋細胞の前臨床研究(大阪大学医学部との共同開発)

iPS細胞を用いた再生医療を目指し、共同研究を実施しました。

・当事業年度継続の研究助成事業

「iPS 細胞等による分化製造プロセスにおける高効率な大量細胞凝集塊分散技術ならびに自動化装置の研究開発」令和2年度「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)」経済産業省:2020年~2022年度

株式会社ジェイテックコーポレーション、大阪大学医学部、大阪大学工学部

・商品開発

当社の3次元回転浮遊培養装置“CellPet® 3D-iPS”細胞小片化装置“CellPet® FT”を用いた細胞の高品質・安定性を実現した当社独自の拡大培養技術“J-iSS”が、近畿経済産業局(経済産業省)の「関西ものづくり新撰2021」に選定されました。

このCellPet 3D-iPS®をもとにオルガノイド培養専用の培養装置CellPet® CUBEや酸素透過型の培養容器等を開発しました。

 

③ 医療機器の開発

・脳梗塞治療用幹細胞分離機器

今年度新たに上記装置開発に関連する委託研究事業に採択されました。

「治療機序に基づき最適化した効率的な脳梗塞治療用幹細胞分離機器の研究開発」

令和3年度「橋渡し研究戦略的推進プログラム」日本医療研究開発機構(AMED):2021年~2023年度

研究代表機関:公益財団法人神戸医療産業都市推進機構、参加機関:株式会社ジェイテックコーポレーション、日本光電工業株式会社

医療機器として脳梗塞治療用の幹細胞分離機器の製造販売を目指します。

・薬剤徐放デバイス製造装置(東北大学医学部)

第2相の治験での適用を目指し、上記装置を試作開発しました。

 

   ④ 第3の事業を目指した取組み

・水晶振動子ウエハ加工システム(PCVM加工装置、膜厚検査装置及び搬送ユニット)の機器開発

当社の「プラズマCVM」技術をもとに開発した水晶振動子ウエハ加工装置本体を中心に膜厚検査装置及び搬送ユニットで構成された全自動化システムで、水晶振動子ウェハのガラス基板の厚みをナノメートルオーダーで均一に加工をします。当事業年度は、量産システムの開発に成功し、パイロットユーザーに納入いたしました。今後は、国内外の水晶振動子メーカーに販売してまいります。

 さらに、企業からの委託開発として半導体製造工場内で用いられる揮発性有機化合物(VOC)除去装置の試作開発を実施しました。

 

その結果、ライフサイエンス・機器開発事業に係る当事業年度の研究開発費は117,330千円となりました。

 

また、当社の細胞培養センターでは、当事業年度は当社が開発した自動細胞培養装置KB2000、MakCell®や新しい培養容器の上市に向けた培養評価等の実施や、大阪大学医学部や横浜市立大学医学部との共同研究を実施しました。また、その他大学や企業と様々な培養技術に関する共同研究を積極的に実施してまいりました。

 

(3) その他事業

電子科学株式会社の昇温脱離分離装置(TDS)は当社のオプティカル事業の海外チャンネルを用い、営業の強化を図ってまいりますが、同社の装置製造は、ファブレス方式のため、当社のライフサイエンス・機器開発事業の生産体制と同方式で、今後は、当社の生産管理をもとに体制を強化し、製造の効率化を図ってまいります。

また、同社の分析技術と当社の自動化技術を融合し、特に半導体分野において、共同で新しい製品の企画、開発を進めてまいります。

このように、当社とは営業面だけでなく、製造面や開発面でもシナジー効果が期待できます。