第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第25期

第26期

第27期

第28期

第29期

決算年月

2018年6月

2019年6月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

売上高

(千円)

1,150,981

経常損失

(千円)

26,981

親会社株主に帰属する当期純損失

(千円)

32,127

包括利益

(千円)

32,127

純資産額

(千円)

2,257,971

2,227,717

総資産額

(千円)

3,382,042

3,227,032

1株当たり純資産額

(円)

385.65

379.91

1株当たり当期純損失

(円)

5.48

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

66.8

69.0

自己資本利益率

(%)

1.4

株価収益率

(倍)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

284,185

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

132,592

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

273,583

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

732,324

従業員数

(人)

59

58

(外、平均臨時雇用者数)

(-)

(-)

(-)

(2)

(1)

(注)1.第28期連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.第28期連結会計年度が連結財務諸表の作成初年度であり、また、連結子会社のみなし取得日を連結会計年度末日としていることから、第28期連結会計年度においては貸借対照表のみを連結しているため、連結貸借対照表項目及び従業員数のみを記載しております。

3.第29期の株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため、記載しておりません。

4.第29期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を適用した後の指標等となっております。

 

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第25期

第26期

第27期

第28期

第29期

決算年月

2018年6月

2019年6月

2020年6月

2021年6月

2022年6月

売上高

(千円)

1,009,889

1,285,560

1,027,480

820,347

1,042,444

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

279,340

496,630

34,187

239,057

33,680

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

174,515

332,172

16,356

170,710

21,098

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

812,247

817,374

821,241

821,241

822,246

発行済株式総数

(株)

5,775,000

5,836,000

5,855,000

5,855,000

5,864,000

純資産額

(千円)

2,105,314

2,447,647

2,471,565

2,300,754

2,323,726

総資産額

(千円)

2,520,416

2,871,547

2,636,664

3,366,555

3,275,808

1株当たり純資産額

(円)

364.56

419.40

422.13

392.96

396.28

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

32.76

57.11

2.80

29.16

3.60

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

32.17

56.39

2.79

3.60

自己資本比率

(%)

83.5

85.2

93.7

68.3

70.9

自己資本利益率

(%)

12.9

14.6

0.7

7.2

0.9

株価収益率

(倍)

165.75

83.79

1,057.01

127.74

556.90

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

91,823

61,466

67,040

144,486

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

38,305

731,557

262,250

831,516

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

1,206,006

49,198

69,939

948,231

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,560,125

839,190

573,400

550,701

従業員数

(人)

35

38

42

45

44

(外、平均臨時雇用者数)

( 1 )

( 3 )

( 2 )

( 2 )

( 1 )

株主総利回り

(%)

88.1

54.4

68.6

36.9

(比較指標:TOPIX)

(%)

(-)

(89.6)

(90.1)

(112.3)

(108.1)

最高株価

(円)

13,490

6,560

4,980

4,910

4,025

最低株価

(円)

5,110

2,900

1,652

2,516

1,358

(注)1.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。

2.第28期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3. 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第26期の期首から適用しており、第25期に係る主要な指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。

4.第29期より連結財務諸表を作成しているため、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金等価物の期末残高は記載しておりません。

5.最高・最低株価は、2020年9月28日以降は東京証券取引所市場第一部におけるものであり、2020年9月27日以前は東京証券取引所マザーズ市場におけるものです。なお、2022年4月4日以降の株価については、東京証券取引所プライム市場におけるものであります。

6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、当事業年度に係る主要な経営指標等については、当該会計基準を適用した後の指標等となっております。

 

 

2【沿革】

当社代表取締役社長の津村尚史は、世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献することを目指し、株式会社ジェイテック(現株式会社ジェイテックコーポレーション)を設立いたしました。設立当初は、大手企業と創薬向け自動細胞培養装置の共同開発を進め、近年には再生医療及びiPS細胞関連機器の開発、製造を推進しました。

また、同時に産学連携も積極的に推進し、現在の放射光施設用X線ナノ集光ミラーの事業化を開始いたしました。本事業では、当社の自動細胞培養装置などの機器開発のノウハウを活かし、ミラー製造に関するナノ加工・ナノ計測設備を自社にて開発し、事業の高度化・効率化を図りました。現在では、放射光施設「SPring-8(Super Photon ring-8 GeV)」(以下「Spring-8」という。)やX線自由電子レーザー施設「SACLA(Spring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)」(以下「SACLA」という。)に代表される国内外の先端的放射光施設やX線自由電子レーザー施設への納品を継続して行っています。

 

1993年12月

大阪コンピュータ工業株式会社との共同出資により、大阪府吹田市に資本金10,000千円で株式会社ジェイテック(現株式会社ジェイテックコーポレーション)を設立。

1994年7月

バイオ自動機器(自動細胞培養装置、薬効評価装置)を開発。
大阪中小企業投資育成株式会社より出資を受け、資本金を15,000千円に増資。

1997年7月

「完全表面創成のための高濃度スラリー精製システムの研究開発」が、科学技術振興機構(現国立研究開発法人科学技術振興機構、以下「JST」という。)の1997年度独創的研究成果育成事業に採択され、大阪大学(現国立大学法人大阪大学、以下「大阪大学」という。)と共同研究を実施。

2002年7月

「プラズマCVM法による超精密バリ除去・判定装置開発」が経済産業省の2002年度創造技術研究開発事業に採択され、大阪大学と共同研究を実施。

2004年1月

資本金を40,000千円に増資。

2004年8月

神戸市中央区に本社を移転。

2005年4月

大阪大学及び独立行政法人理化学研究所(現国立研究開発法人理化学研究所、以下「理化学研究所」という。)の研究成果をもとにX線ナノ集光ミラーの事業化を開始。

2005年8月

「タンパク質結晶化技術の開発」が2005年度兵庫県COEプログラム推進事業に採択され、研究を実施。

2005年12月

兵庫県知事より経営革新計画(X線集光ミラー)の承認を取得。

2006年2月

「硬X線ナノ集光用高精度楕円ミラーの実用化」が新技術開発財団の新技術開発助成に採択され、研究を実施。

2006年3月

「硬X線ナノ集光用高精度楕円ミラーの実用化」が中小企業基盤整備機構の中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち事業化支援事業に採択され、研究を実施。

2006年9月

「放射光用超高精度形状大型ミラー製造技術の開発」が兵庫県の2006年度兵庫県COEプログラム推進事業に採択され、財団法人高輝度光科学研究センター(現在の公益財団法人高輝度光科学研究センター、理化学研究所の関連団体、以下「高輝度光科学研究センター」という。)、理化学研究所、大阪大学と共同研究を実施。

2006年12月

神戸市よりKOBEドリームキャッチプロジェクトによるX-KOBEに認定(X線集光ミラー)。

2007年1月

ひょうご産業活性化ファンド第2号投資事業有限責任組合(ひょうごキャピタル第2号ファンド)より出資を受け、資本金を65,000千円に増資。

2007年2月

大阪府茨木市(彩都あさぎ)に開発センターを開設。

2007年7月

「軟骨再生医療のためのGMP対応自動回転培養システムの構築」がJSTの2007年度科学技術振興機構大学発ベンチャー創出推進に採択され、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所、以下「産業技術総合研究所」という。)と共同研究を実施。

2007年9月

「放射光用超高精度形状大型ミラー製造技術の開発」が兵庫県の新産業創出支援事業(新製品・新技術:産学連携・事業連携)に採択され、研究を実施。

2009年9月

「放射光用ミラーに関する加工技術の高精度化」が経済産業省の2009年度補正予算事業戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、大阪大学と共同研究を実施。

 同年同月

「形成外科用自動細胞培養装置」が経済産業省の2009年度補正予算ものづくり中小企業製品開発等支援補助金(試作開発等支援事業)に採択され、研究を実施。

2010年4月

「X線ナノ集光ミラー製造プロセスに関する技術開発」がJSTの2010年度高度研究人材活用促進事業に採択され、研究を実施。

2011年2月

「放射光用ミラーに関する加工技術の高精度化」が経済産業省の2010年度予備予算事業戦略的基盤技術高度化支援事業加速枠に採択され、大阪大学と共同研究を実施。

 

 

2011年3月

「再生医療等に用いる大型軟骨組織を高効率に形成する細胞培養システムの開発」が経済産業省の2011年度第3次補正予算戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、大阪大学、産業技術総合研究所と共同研究を実施。

2012年5月

「放射光用X線ミラー製造の効率化のための加工及び計測技術の開発」が経済産業省の2011年度グローバル技術連携・創業支援補助金(一般枠)に採択され、大阪大学、OptiWorks株式会社と共同研究を実施。

2013年7月

「ナノ集光用焦点距離可変型ミラーの試作開発」が経済産業省の2012年度ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金に採択され、大阪大学と共同研究を実施。

 同年同月

「放射光用X線長尺KBナノ集光ミラーの製造技術に関する研究」が経済産業省の2013年度中小企業経営支援等対策費補助金に採択され、大阪大学と共同研究を実施。

 同年同月

「3次元細胞培養システムによる再生医療等に用いるヒト軟骨デバイスの開発」が京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の2012年度課題解決型医療機器等開発事業に採択され、公立大学法人横浜市立大学(以下「横浜市立大学」という。)、産業技術総合研究所、大阪大学と共同研究を実施。

2014年6月

「iPS細胞等の3次元大量培養技術の開発」が経済産業省の2014年度戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、産業技術総合研究所、大阪大学と共同研究を実施。

2014年7月

「再生医療等に用いるヒト軟骨デバイスの実用化のための3次元細胞培養システムの開発・事業化」が京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区の2014年度、2015年度医工連携事業化推進事業に採択され、横浜市立大学、産業技術総合研究所、大阪大学と共同研究を実施。

2014年10月

大阪府茨木市彩都やまぶき2丁目4番35号に新社屋を竣工し、同所に開発センターを移転。

2015年7月

「1m級長尺放射光X線ミラー用高精度成膜装置の開発」が経済産業省の2014年度補正ものづくり・商業・サービス革新補助金に係る補助金に採択され、研究を実施。

 同年同月

細胞観察機能を有したiPS細胞用自動培養装置の開発が2015年度おおさか地域創造ファンドの重点プロジェクト事業助成金に採択され、研究を実施。

2015年9月

本社を大阪府茨木市彩都やまぶき2丁目4番35号に移転。

2015年12月

OUVC1号投資事業有限責任組合<通称:OUVC1号ファンド>(無限責任組合員:大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社)及びバイオ・サイト・キャピタル株式会社より出資を受け、資本金を139,240千円に増資。

2016年4月

大阪大学吹田キャンパス産学連携本部B棟内に細胞培養センターを開設。

2016年5月

商号を株式会社ジェイテックコーポレーションに変更。

 同年同月

中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」(わざ、生産性優良)に選定。

2016年9月

「臨床試験を目指す3次元細胞培養システムを用いた革新的ヒト弾性軟骨デバイス創出」が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の産学連携医療イノベーション創出プログラム(ACT-M)に採択され、横浜市立大学、地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センターと共同研究を開始。

2017年8月

「iPS細胞等幹細胞の高効率な継代作業を実現した3次元大量継代培養自動化技術の実用化開発」が経済産業省の2017年度戦略的基盤技術高度化支援事業に採択され、大阪大学と共同研究を実施。(2017~2019年度)

 同年同月

「回折限界下で集光径可変な次世代高精度集光ミラーの製造技術の開発」が2017年度兵庫県最先端技術研究事業(COEプログラム)に採択され、大阪大学、理化学研究所、高輝度光科学研究センターと共同研究を実施。

2018年2月

東京証券取引所マザーズに株式を上場。

2019年7月

大阪府茨木市彩都やまぶき2丁目5番38号に新社屋を竣工し、同所に本社/開発センターを移転。

2020年9月

東京証券取引所市場第一部に株式を市場変更。

2021年5月

電子科学株式会社の全株式を取得し、完全子会社化。

2022年4月

東京証券取引所プライム市場に株式を市場変更。

2022年4月

栃木県那須塩原市に栃木生産技術センターを設置。

 

3【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社ジェイテックコーポレーション)、及び子会社1社(電子科学株式会社)により構成しております。

当社は、「世の中にないオンリーワンの技術により製品を作り出し、広く社会に貢献する」を経営理念とし、「科学技術イノベーションの創出に貢献する製品開発を推進する」という経営方針のもと、産学連携を中心に技術開発、製品開発を推進しております。

当社グループの事業内容は次のとおりであり、「オプティカル事業」、「ライフサイエンス・機器開発事業」及び「その他事業(電子科学株式会社を含む)」の3つの事業を有しております。

 

(1) オプティカル事業

当事業では、兵庫県にある大型放射光施設「SPring-8」<注1>やX線自由電子レーザー施設「SACLA」<注2>のような国内外の先端的な放射光施設やX線自由電子レーザー施設等で使われる反射表面の形状精度が1ナノメートル(10億分の1メートル、以下nmと表記。)以下の超高精度の表面形状をした集光ミラー、高調波カットミラーや回折格子基板等各種X線ミラーをユーザーに合わせて設計し、カスタムメイドで製造・販売しております。

本X線ミラーは、2005年に大阪大学と理化学研究所が共同開発した世界で初めて硬X線領域で回折限界まで集光すること(最小集光径36nm×48nm)に成功したX線ナノ集光ミラーを実用化したもので、大阪大学の独自のナノ加工、ナノ計測技術により製造し“OsakaMirror”と商標登録し、2006年より販売を開始し、現在も世界の特に先端的な放射光施設やX線自由電子レーザー施設の研究者から高い評価を得ております。

本X線ミラーの顧客は主に国内外の国立研究機関や大学の研究者であり、毎年積極的に新しい研究が提案され、当社ではその新しい光学系に対応した各種X線ミラーの開発に応えてまいりました。

近年、これら施設は各国の多様な地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)において、コアな機関として位置づけられ、イノベーションを強力に推進しており、現在の世界的なウィズ・コロナの時代、概ね通常稼働状態に戻ってきており、国内の東北次世代放射光施設 Nano Terasu(旧称 SLiT-J)<注3>をはじめ、中国及び欧米の放射光施設の第4世代へのバージョンアップや新設計画がされており、より高度な分析が求められ、光を扱う技術への高度化の需要は世界レベルで高まり、例年より多くの当社“OsakaMirror”の受注を獲得することができ、今後もさらなる需要の拡大を期待しております。

当連結会計年度は、海外の競合他社に対して技術的優位性を保持するために独自のナノ加工、ナノ計測技術の高度化を進めるだけでなく、分析の多様化に伴った新しい次世代放射光向けのX線ミラーとして、形状可変ミラー、回転楕円ミラー、回転ウォルターミラー等を提案・納入するなど、研究開発を進め、魅力のある新製品を継続的に提案してまいりました。

一方、半導体及び宇宙分野などの成長産業分野で用いられる光学部品において従来の加工技術では不可能なナノメートルレベルの表面形状精度が望まれ、そのニーズに応えるため、現在のナノ加工技術EEMや大阪大学の表面加工技術であるプラズマCVMやCARE(触媒基準エッチング法)加工技術などの実用化開発を進めております。

またこのような成長分野に新規参入を図るために昨年に引き続き、競争的資金をもとに大阪大学、名古屋大学及びJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で、新しいX線計測・分析技術の開発を推進し、さらに高精度の2次元集光X線ミラーの製造方法の確立を目指しております。

 

 

〔事業系統図〕

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

0101010_001.png

図1.オプティカル事業系統図

 

なお、2022年6月期のオプティカル事業の顧客属性別の売上高(売上高比率)については、大学が37,818千円(4.9%)、企業が74,166千円(9.5%)、公的研究機関が667,907千円(85.6%)となっております。

 

 

(2) ライフサイエンス・機器開発事業

当事業では、創業当初より創薬スクリーニングに関連する各種細胞培養操作の自動化の開発を手掛け、カスタム製品である各種の大型自動細胞培養装置「CellMeister®」を製造販売してまいりました。その後、独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」をもとに再生医療分野に展開し、また汎用型の各種自動細胞培養装置やiPS細胞用の各種細胞培養装置の開発・製造・販売を推進してまいりました。

当社の自動細胞培養装置「CellMeister®」は、顧客ごとに異なる独自の操作手順を提案し、カスタムメイドで自動化装置の製造・販売を行ってまいりました。しかし、iPS細胞の出現により、従来の高価な大型の自動細胞培養装置に対して、小規模な研究室でも広く使ってもらえる安価な量産汎用型を目指し、2013年に日本で初めてiPS細胞専用の培地交換に特化した自動細胞培養装置CellPet®の開発をし、現在は後継機種「MakCell®」にバージョンアップし販売を推進してまいりました。

当連結会計年度は昨年同様に新型コロナウイルス感染症が続く中、その治療薬の探索のために、設立当初より開発・販売してまいりました「CellMeister®」の引合いが増え受注を獲得し、「MakCell®」もテレワークが推進され就業時間の短縮化が求められるため、手軽な自動化装置として引き合いが活発になってきております。

再生医療分野においては、産業技術総合研究所と長年にわたり共同研究を推進してきた独自の3次元浮遊培養技術「CELLFLOAT®」をもとに、再生医療向け3次元細胞培養システムCellMeister® 3Dの試作開発に成功し、2016年度からは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の競争的資金を得ながら、横浜市立大学及び神奈川県立こども医療センターと再生医療の医師主導の治験を目指し、共同研究を推進しております。さらに、大阪大学医学部と心筋細胞の培養の共同研究を推進してまいります。

さらに、本培養技術を用いたiPS細胞等向けの回転浮遊培養装置「CellPet 3D-iPS®」やスフェロイドを均一な小さな組織に分散する小片化装置「CellPet FT®」を販売しており、さらにオルガノイド培養向けに特化した培養装置「CellPet® CUBE」なども国内での実績を上げてまいりました。今後は「CellPet 3D-iPS®」や「CellPet® CUBE」の海外展開を図り、受注につなげてまいります。

また、東北大学医学部と開発を進めております「網膜色素変性症治療のための埋込型薬剤徐放デバイスの作成装置」や公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(神戸)及び日本光電工業株式会社と共同開発を進めております「脳梗塞治療用の幹細胞分離機器」(AMED事業)は、引き続き医療機器としての製造・販売を目指してまいります。

 

一方、機器開発事業では、当社X線ミラーを用いた集光装置や独自のナノ加工技術を用いた加工装置関連の機器開発、企業からの委託開発業務及びOEM生産等も実施しており、当事業年度は従来からのOEM製品のロット生産、当社X線集光ミラー用の集光ユニットの製作だけでなく、また昨年パイロットユーザーに納入しました独自のプラズマCVM加工技術を用いた水晶振動子ウエハ量産加工システムを国内外の水晶振動子メ―カー等を中心に本格販売してまいりました。

また第二弾として大阪大学の表面加工技術であるプラズマCVMだけでなく、新しくCARE(触媒基準エッチング法)加工を技術導入して実用化開発を進めており、パワー半導体や半導体デバイス向けの研磨装置の開発を推進しております。

 

 

〔事業系統図〕

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

0101010_002.png

図2.ライフサイエンス・機器開発事業系統図

 

なお、2022年6月期のライフサイエンス・機器開発事業の顧客属性別の売上高(売上高比率)については、大学が8,767千円(3.3%)、企業が186,695千円(71.1%)、公的研究機関が67,089千円(25.6%)となっております。

 

(3) その他事業

当社は、2021年5月に電子科学株式会社を子会社化いたしました。同社は、昇温脱離分析装置(TDS)のメーカーで、本装置「TDS-1200Ⅱ」は、超高真空環境に設置した試料を独自の加熱方式(赤外線)により試料から微量に放出される成分(特に水素、水)を四重極質量分析装置(QMS)で、独自の分析ソフトウェアにより高感度でリアルタイムに検出する装置です。

現在、半導体、液晶、カラーフィルター業界を中心に材料の研究や、製造工程の評価、品質管理に用いられており、高い評価を得ております。しかしながら、当連結会計年度は主要取引先の韓国、台湾がコロナ禍の影響で営業の中断が余儀なくされましたが、今年度は回復の傾向にあります。

ところで本装置は、その他鉄鋼、電機、自動車、水晶振動子等様々な産業分野にも用いられるポテンシャルがあり最近では海外からの引合いもありますが、営業体制等の問題で積極的に取組めていない現状のため、当社のオプティカル事業の海外チャンネルを用いることにより、営業体制の強化による拡販が急務と考えております。

また、中長期の売上拡大を目指し、水素量に特化した昇温脱離水素分析装置「Cryo TDS-100H2」の開発を急いでおります。

 

 

注1:大型放射光施設「SPring-8」(Super Photon ring-8 GeV)

「SPring-8」とは、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のことです。「SPring-8」では、この放射光を用いて、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー等の基礎科学研究分野から、産業利用ニーズも高まりをみせ、化粧品、食料品、電池、タイヤ等身近な製品の開発も行われています。「SPring-8」の名前はSuper Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来しています。

「SPring-8」は国内外の産学官の研究者等に開かれた共同利用施設であり、1997年から放射光を大学、公的研究機関や企業等のユーザーに提供しています。課題申請などの手続きを行い、採択されれば、誰でも利用することができます。

「SPring-8」の施設者は理化学研究所であり、「SPring-8」の運転・維持管理、並びに利用促進業務を高輝度光科学研究センターが行っています(図3参照)。

 

注2:X線自由電子レーザー施設「SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)」

2006年3月に策定された第3期科学技術基本計画(2006年3月28日閣議決定)において国家基幹技術の一つとして選定されたX線自由電子レーザー施設として、2006年度から理化学研究所と「SPring-8」を運営する高輝度光科学研究センターが共同で施設の建設・整備を行い、2011年3月に完成、0.063nm(0.63Å(オングストローム:微小な長さを表すのに用いられる単位。1Å=0.1nm))の世界最短波長のX線レーザー生成に成功した施設であり、2012年3月7日より供用運転を開始しています(図3参照)。

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図3 大型放射光施設「SPring-8」、X線自由電子レーザー施設「SACLA」

 

注3:次世代放射光施設 Nano Terasu(旧称 SLiT-J)

東北大学青葉山新キャンパスに共創の場として設けられた「サイエンスパーク」エリアに、新たに軟X線向け放射光施設「次世代放射光施設」が計画されており、2023年完成目標で建設が進められております。(図4参照)

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図4 建設中のNano Terasu(ナノテラス):東北大学 ホームページより

 

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金
(百万円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

電子科学株式会社

東京都武蔵野市

50

理化学機器の開発・製造・販売・分析

100.0

役員の兼務4人

 

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2022年6月30日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

オプティカル事業

26

(-)

ライフサイエンス・機器開発事業

11

(-)

その他事業

14

(-)

全社(共通)

7

(1)

合計

58

(1)

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門および細胞培養センターに所属しているものであ

  ります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2022年6月30日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

44

1

41.8

4.4

5,332,919

 

セグメントの名称

従業員数(人)

オプティカル事業

26

(-)

ライフサイエンス・機器開発事業

11

(-)

全社(共通)

7

(1)

合計

44

(1)

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(パートタイマーを含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門および細胞培養センターに所属しているものであります。

 

(3)労働組合の状況

労働組合は、結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。