当社は、以下の経営環境認識のもとに経営方針及び対処すべき課題を設定し、『先端産業分野において、研究から商業生産まで、顧客とのパートナーシップを重視し、化学品製造に関する課題を解決する』ことを進めてまいります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営環境
医薬品市場は前年比△1.0%と微減しました。(出典:IQVIA(TM)医薬品市場統計-売上データ 2017年1月~12月)。機能材料分野における代表的市場である半導体市場は、日本市場において前年比15.7%と成長に転じるものと予想されています(出典:一般社団法人電子情報技術産業協会 世界半導体市場統計 2017年秋季半導体市場予測について)。
医薬分野及び機能材料分野ともに、その製品製造においては、多品種の化学品が必要となるために、製造を外部へ委託する傾向が続いております。
研究開発についても医薬分野及び化学分野の企業を初め、外部との連携が進んでおります。
総務省統計局 科学技術研究調査「産業,資本金階級別研究関係従業者数,社内使用研究費,受入研究費及び外部支出研究費(企業)」 (単位:百万円)
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年 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
平成28年 |
平成29年 |
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医薬品 |
試験研究費の額 (うち社外支出研究費の割合) |
1,669,058 (20.7%) |
1,865,844 (23.0%) |
1,946,974 (23.2%) |
1,936,583 (24.7%) |
1,785,424 (24.3%) |
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化学 |
試験研究費の額 (うち社外支出研究費の割合) |
793,731 (5.2%) |
813,138 (7.5%) |
814,263 (7.5%) |
886,517 (7.9%) |
910,967 (6.8%) |
当社は、化学品製造の課題解決ビジネスを研究・開発ステージから開始しましたが、開発が進み量産ステージになると生産量が多くなり、対応できる設備が不十分でした。
そこで量産ステージへの対応として、医薬品原薬精製・粉砕設備を平成25年3月、GMP培養設備を平成26年10月、医薬品原薬抽出設備を平成27年7月、核酸・ペプチド医薬品製造設備を平成27年9月に完成させ、充実を図ってまいりました。この結果、開発・量産ステージを合わせた売上高の3年間の年平均成長率は28.7%でした。これは、工場規模の生産能力を拡大しつつ、一定量の研究ステージの受託は確保するという方針に従った成果によるものです。
(2)経営方針及び対処すべき課題
上記のような、当社を取り巻く経営環境及び量産ステージへの対応状況を踏まえ、今後の経営方針としましては、これまでの当社での技術蓄積と顧客との信頼関係を背景に、量産ステージのビジネスを更に拡大する計画であります。そのために必要に応じ設備への投資、品質管理体制の強化、生産管理体制の強化などの施策を実施いたします。量産ステージでは、研究・開発ステージのビジネスより生産量が増加しますので、既存設備の稼動率の向上に加えて、生産能力の向上が不可欠となります。現有設備の生産能力向上施策を行い、必要に応じて設備の増設を検討いたします。また、研究・開発ステージの品質規格は暫定的な場合が多いのに比べ、量産ステージでは厳格な規格のみならず生産過程全般に渡り品質を保証する体制が求められます。このため、品質管理体制の強化及び品質保証を含めた生産管理体制の強化を進める必要があります。一方、研究ステージ及び開発ステージのビジネスは、量産ステージへつなぐために持続することが必要であります。市場拡大が期待できる先端領域の選択及び顧客の要望に対応できる優れた技術の習得が課題となります。このための顧客及び業界市場からの積極的な情報の入手及び優秀な人材の確保並びに技術の開発と向上にも努めてまいります。
この方針に基づいて、当社のビジネスを更に拡大するために、以下の①~⑥の6項目を対処すべき課題として認識しております。
①新製品導入のための設備の改良・新設
当社は、顧客が製品を開発するための研究や量産化検討を行う過程で、顧客の依頼に基づいて課題解決の検討サービスや試製品製造を行います。また、製造を受託し有機化学品の製造・販売をいたします。対象は主に医薬、情報電子分野ですが、これら先端産業分野では技術革新が進んでおり、顧客のニーズも変化します。顧客満足度の高いソリューション・サービスや化学品製造販売を行うために、研究設備、生産設備及び分析設備の改良、新設を図ってまいります。
②既存製品の生産基盤の強化
当社は、生産設備を増強し顧客が量産ステージにある製品の製造販売を増強してきましたが、業務の効率化、合理化によって更なる設備生産性の向上に努めます。そのため、仕入から製造、保管、出荷、廃棄物処理にいたるまで全工程を通しての効率化するため、工場基盤設備の増強及び生産工程のボトルネックの解消、生産状況に応じた設備の増設により安定稼働に注力いたします。
③品質管理及び品質保証の強化
製品の品質は、製造工程で規格を満たす製品を安定的に生産することが基本ですが、これを確認する分析体制が必要であります。当社では、生産品目の増加に伴い品質管理業務も増加し多様化してまいりました。特に、法規による品質規格の厳格化や業界の品質基準が高度化してまいりましたので、これに対応できるように分析設備の増強、分析技術の向上に努めます。生産管理と品質管理を確実にかつ効率的に行う品質保証体制の充実、強化に努めます。
④新製品開発及び技術開発に向けた研究開発の強化
機能材料事業部門では、情報電子分野の新材料の開発を行っております。用途に応じて顧客と共同で検討を進めておりますが、技術革新の早い分野でありますので、短期に製品化することが課題と考えております。
製薬会社各社は新規作用による医薬品の開発を進めておりますが、当社の医薬事業部門では、これら医薬品の製造ができるように技術開発をするとともに、製薬会社と開発初期から協力を進めることが課題と考えております。
バイオ事業部門では、遺伝子組換えによる化学物質製造及びバイオテクノロジーと合成化学の組み合わせによる化学物質合成を核とした技術開発を進めております。製品を開発する会社と初期から協力を進めることが課題と考えております。
⑤コンピューター・システムの強化
会計システムを始め、コンピューター・システムを導入して業務の効率化に努めておりますが、システムの改良により業務の一層の効率化とともに、生産管理を含めた全社の業務を一元的に管理できるシステムを検討いたします。
⑥人材育成
当社は、顧客の研究・開発から商業販売における量産ステージまで、機能材料部門、医薬事業部門、バイオ事業部門において、課題解決のサービスや化学品の製造販売を行っていますが、それぞれのステージと部門で専門性を持った社員が求められます。先端産業分野で顧客の要望に応じて課題解決のビジネスを継続するために、人材の採用、育成は重要な課題と認識しております。
当社における事業等のリスクとして、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)景気、個人消費及び顧客の動向によるリスク
当社は、日本国内の化学品や医薬品を製造する会社から生産や研究開発を受託しております。顧客に供給している製品はエレクトロニクス用有機材料から、日用品、医薬品の原薬やその他材料まで多種多様であり、顧客において当該材料を利用した最終製品は多岐に亘っているものと推測されます。従って、国内外の景気動向や個人消費動向、顧客動向の影響を受けます。景気の後退や個人消費の低迷が起こった場合、当該外部環境の影響や各顧客固有の事情によって顧客が外部に委託する生産もしくは研究開発を減らした場合、委託する製品の生産又は研究開発から撤退した場合、さらには顧客の倒産や廃業が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)顧客、当社の研究開発計画の進捗に関するリスク
当社のビジネスは、顧客の自社商品の研究開発や生産を支援する事業を中心にしているため、業績はそれら顧客の開発品の開発スケジュールや生産計画に大きく依存します。顧客の研究計画が途中で中止・中断等になるリスクは常にあり、またそれは当社がコントロールできないものです。
一方、当社は、将来の製造支援ビジネスのための技術開発や独創的な自社商品の開発も行っていますが、これらが全て実用化され、当社の業績に寄与する保証はありません。
顧客あるいは当社の研究開発計画の進捗が大幅に遅れた場合や変更になった場合、さらには中断や中止となった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)研究開発・製造支援事業特有のリスク
顧客の商品に係る研究・開発、あるいは商業生産初期のステージにおける支援業務では、収益率低下や技術上のトラブル等が発生するリスクを伴います。当社は、顧客とのコミュニケーションを重視し、そのようなリスクを最小限にするよう努力していますが、残念ながら顧客の期待に応えられず、想定していた収益が上がらない等のリスクがあります。
また、原材料の支給や資材、機器の貸与、中間体や製品の一時預かりの機会も多いため、その保管・使用中の劣化、滅失、破損等により、顧客から賠償を求められるリスクがあります。
このような、研究開発・製造支援事業特有の事象が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)競合他社との関係に関するリスク
当社の競争相手は、医薬品原薬製造企業、化学品製造・開発企業、化学分野の研究受託・人材派遣企業等多岐にわたり存在し、研究開発から生産までの各々のステージでは競合します。当社の強みは全てのステージで一貫して支援できる体制を持つことと、技術的な幅の広さですが、各ステージにおいては、技術力、生産能力等について当社と比較して優位にある企業もあります。従って、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。また今後、市場の拡大に伴い、更に新規参入が増えて競争環境が激しくなる可能性があります。
このような、競合他社との関係において、当社の優位性を示すことが難しくなる状況に陥るような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の品質に関するリスク
当社は、厳格な品質管理基準に従って各種製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥が無く、将来に亘ってリコールが発生しないという保証はありません。大規模な製品事故は、多額のコストや当社の評価に重大な影響を与え、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)資材調達に関するリスク
当社は、様々な化学薬品を使用しますが、なかには特殊な原材料もあります。重要なものは複数購買等の対策を講じて安定製造、安定供給に努めていますが、代替が利かない材料も存在します。その供給元からの調達に問題が発生した場合には、生産計画に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)原料、資材価格の変動によるリスク
当社は、原油価格に連動する試薬、溶剤等の様々な化合物を原料や資材として国内外から直接又は間接的に調達しています。購入原材料や資材の価格が変動した場合やそうした購入原料価格の変動を販売価格に転嫁できない場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)外部委託に関わるリスク
当社は、事業活動を行う上で、生産、試験、物流、産業廃棄物搬出・処分等の業務を外部に委託しています。委託に当たっては、購買先として審査を行い、必要に応じて監査を行う等その業務を適切に管理していますが、委託先で生じた何らかの問題が、当社の委託業務に支障をきたし、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)大口取引先への依存によるリスク
取引上位10社の占める売上高の割合は、69%となっております(平成30年3月期)。これらの企業との取引条件の変更、契約解除あるいは取引先の製品の需要減退が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)事故・災害のリスク
当社は、安全操業のために製造設備の保守・点検を実施していますが、製造設備で発生する事故、自然災害等による影響を完全に防止できる保証はありません。火災、爆発、漏洩、悪臭、騒音等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合には、当社の事業活動に支障をきたし、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)主要な事業の前提となる許認可、届出に関わるリスク
当社の主な事業は医薬品原薬製造を含む有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業であり、この事業を遂行するために以下に代表される様々な許可等を取得しております。これらの許可等については、各法令で定める手続きを適切に実施しなければ効力を失います。また、各法令に違反した場合、許可等の取消し、又は期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命ぜられることがある旨が定められております。当社は、現時点において、許可等の取消し等の事由となる事実はないものと認識しておりますが、将来、当該許可等の取消し等を命ぜられた場合には、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・危険物製造所許可、屋内貯蔵所許可、危険物屋外タンク貯蔵所許可、危険物一般取扱所許可
・毒物劇物製造業登録、毒物劇物一般販売業登録、毒物劇物輸入業登録
・医薬品製造業認可
・向精神薬製造製剤業免許、向精神薬試験研究施設設置者登録
・覚せい剤原料取扱者指定
・農薬登録
また、当社の事業遂行上必要な届出として、以下に代表されるものがありますが、許可等と同様、万一遺漏があり、管轄当局からの指導、処分を受けた場合には、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
・化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づく、新規化学物質に係る申出、申請
・労働安全衛生法に基づく、新規化学物質に係る申出、申請
・遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)に基づく申請
(12)医薬品の外部委託に係る規制動向に関するリスク
当社の事業上、深く関係する法令のひとつに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」)があります。この薬機法の平成17年4月改正(当時は薬事法)において、製造のアウトソーシング化という国際情勢、社会情勢に対応して全面外部委託が認められました。この改正は当社の事業にとって歓迎するものではありますが、薬機法の本質は安全対策であり、規制動向が将来にわたって必ずしも当社の事業にとってプラス方向となる保証はありません。医薬品の外部委託に係る規制動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)法的規制に関するリスク
当社は、化学品、医薬品、農薬、遺伝子組換え等に関する多くの規制に従い業務を遂行しており、法令遵守には最大限の注意を払っていますが、過失あるいは政策、実務慣行、解釈変更によって発生する事態が、当社の業務遂行や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、将来的に環境及び化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性があります。
このような、法的規制に関連した事象が当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)知的財産管理に関するリスク
当社は、知的財産権が事業活動・製品競争力に重要な役割を果たしていることを認識し、知的財産権の取得による自社権利の保護に努める一方で、他社の知的財産権を調査し、問題の発生防止を図っております。しかしながら、他社との間で知的財産権を巡る紛争が生じた場合や、他社から知的財産権を侵害された場合には、事業活動に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)情報漏洩リスク
当社の事業の特徴として、秘密保持契約を締結した上で顧客の商品開発に関わる技術情報や営業情報を預かり、取り扱う業務が日常的に発生します。役職員にはこの重要性を知らしめ、啓発、教育を行い、秘密保持誓約を提出させる等、情報漏洩の防止には万全を期していますが、万一情報の漏洩が発生した場合には、当社が賠償責任を負う可能性があり、また社会的信用の低下により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)コンピューター・システムに起因する運営のリスク
当社は、会社運営の全般に亘ってコンピューターによる業務処理を実施しており、地震・火災等の災害によるハードウェアやネットワークの損傷、外部からのコンピューターウイルス攻撃によるシステムトラブルやデータ破壊、更には情報の盗難、漏洩等を完全に防げる保証はありません。これらの問題が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)訴訟等に関するリスク
当社の事業又は活動に関連して、知的財産権、製造物責任、環境、労務等、様々な訴訟、紛争、その他の法的手段が提起される可能性があります。現在、当社の業績と財政状況に重大な影響を及ぼす訴訟は提起されておりませんが、将来において、重要な訴訟等が提起された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18)固定資産投資に関わるリスク
有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業においては、顧客の要求に対応できる製造設備を予め揃えておくことは非常に重要ですが、商談状況を踏まえて大きな設備投資を行うことがあります。しかしながら、既述のとおり、生産を実施する当社のビジネスは、それら顧客の開発品の開発スケジュールや生産計画に大きく依存します。このリスクは当社の設備投資においても重要な問題です。設備投資は常に慎重に十分な検討を経て決断しますが、想定していた収益が上がらない、あるいは顧客の開発計画が変更、中止になったために、回収計画に狂いが生じるリスクは存在します。このような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19)固定資産の減損に関するリスク
当社が保有する固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。同会計基準では、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回った場合に、帳簿価額を回収可能価額(当該資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額もしくは当該資産又は資産グループの正味売却価額のいずれか高い方の金額)まで減額し、減額した当該金額を減損損失として計上することとなります。
また当社は、キャッシュ・フローを生み出す資産又は資産グループの最小単位として、事業部単位(機能材料事業部、医薬事業部、バイオ事業部)を基本とした資産のグルーピングを行っております。
このため、当該資産又は資産グループが属する事業部の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、固定資産の減損損失を計上する必要が生じた場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(20)金利変動リスク及び資金調達リスク
当社は、将来に亘って必要な設備を新規あるいは更新のため、設備投資資金や運転資金を金融機関からの借入により賄っております。有利子負債には変動金利条件となっているものがあります。変動金利による調達に関しましては、金利キャップ契約等を活用することで金利変動に伴うリスクの軽減に努めておりますが、今後の金利動向によっては、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(21)資金使途に関するリスク
当社の公募増資による調達資金の使途については、生産機能向上のための設備投資等に充当する予定です。しかしながら、外部環境等の影響により、目論見どおりに事業計画が進展せず、調達資金が上記の予定どおりに使用されない可能性があります。また、予定どおりに使用された場合でも、想定どおりの効果を上げることができず、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(22)財務制限条項に関するリスク
当社は、事業上必要な資金調達のため、金融機関との間でコミットメント期間付タームローン及びシンジケートローン契約を締結しており、これらの借入契約には、純資産の維持及び経常利益の確保等に関して財務制限条項が付加されております。今後、当社の経営成績が著しく悪化するなどして財務制限条項に抵触した場合、借入先金融機関の請求により当該借入について期限の利益を喪失し、一括返済を求められるなどして、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(23)人材確保に関するリスク
当社は、有機合成化学や生化学等の分野の技術者の新卒・中途採用を継続的に行い、技術者の育成に努めています。しかしながら、学生の理系離れや団塊世代の退職による採用需要の高まりにより、優秀な人材を適切に確保することの困難性が高まっています。今後一層、優秀な人材の確保に注力してまいりますが、人材の確保及び育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社の事業展開に支障が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における国内経済は、政府による継続的な経済対策のもと、設備投資や生産の増加、また雇用情勢の着実な改善などの景気回復基調にあり、個人消費も回復傾向がみられました。
海外においては、中国を初めとするアジア新興国等の経済の先行き、政策に関する不確実性は依然として存在するものの、世界の景気は緩やかな回復傾向が見られました。
このような状況の下、当社は中期経営計画の基本方針に沿って、研究開発ソリューション提供主体の事業から工場での生産ソリューション提供へも進出し、事業構造変革を目指して参りました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当事業年度末における流動資産は7,246,729千円となり、前事業年度末に比べて4,061,634千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が4,150,361千円増加したことによるものであります。
固定資産は5,522,195千円となり、前事業年度末に比べて131,417千円減少いたしました。これは主に有形固定資産が205,500千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は12,768,925千円となり、前事業年度末に比べて3,930,216千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は2,973,742千円となり、前事業年度末に比べて678,976千円増加いたしました。これは主に短期借入金が300,000千円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金が598,740千円及び未払法人税等が395,347千円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は1,058,597千円となり、前事業年度末に比べて1,301,516千円減少いたしました。これは主に長期借入金が1,278,644千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、4,032,340千円となり、前事業年度末に比べて622,540千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は8,736,584千円となり、前事業年度末に比べて4,552,756千円増加いたしました。これは主に資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,851,623千円、当期純利益の計上等により利益剰余金が810,904千円増加したことによるものであります。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高、利益共に増加し、売上高は6,312,682千円(前年同期比32.4%増)、営業利益1,222,106千円(同72.4%増)、経常利益1,208,848千円(同63.2%増)、当期純利益900,904千円(同86.0%増)となりました。
当社は単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績は記載しておりませんが、事業部門別の売上高を記載しております。
機能材料事業部門は、電子材料、医薬原料等の販売が増加し売上高は2,962,576千円(同25.6%増)となりました。
医薬事業部門は、医薬原薬、治験原薬等の販売が増加し売上高は2,881,709千円(同64.0%増)となりました。
バイオ事業部門は、特定顧客の医薬中間体等が減少したため売上高は468,396千円(同28.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、5,383,354千円となり、前事業年度末に比べて4,150,361千円の増加となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果、得られた資金は2,256,005千円(前年同期比1,008,685千円の増加)となりました。これは主に税引前当期純利益1,227,405千円(同504,649千円の増加)、減価償却費782,159千円(同53,880千円の減少)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果、697,240千円の支出(前年同期は57,561千円の収入)となりました。これは主に国庫補助金による収入200,000千円の資金増加要因が発生した一方で、有形固定資産の取得による支出885,185千円の資金減少要因があることによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果、2,591,596千円の収入(前年同期は877,268千円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出679,904千円の資金減少要因が発生した一方で、株式の発行による収入3,683,486千円の資金増加要因があることによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
当社は、単一セグメントであるため、セグメント情報に代えて事業部門別で開示しております。
a.生産実績
当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
|
|
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
機能材料事業部門 |
1,586,547 |
123.5 |
|
医薬事業部門 |
2,028,628 |
170.7 |
|
バイオ事業部門 |
599,043 |
75.9 |
|
合計 |
4,214,218 |
129.2 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
機能材料事業部門 |
3,131,571 |
124.6 |
653,092 |
134.9 |
|
医薬事業部門 |
1,975,396 |
60.2 |
1,054,894 |
53.8 |
|
バイオ事業部門 |
585,835 |
102.7 |
246,499 |
191.0 |
|
合計 |
5,692,803 |
89.4 |
1,954,486 |
75.9 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
|
事業部門の名称 |
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
機能材料事業部門 |
2,962,576 |
125.6 |
|
医薬事業部門 |
2,881,709 |
164.0 |
|
バイオ事業部門 |
468,396 |
71.7 |
|
合計 |
6,312,682 |
132.4 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前事業年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
当事業年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) |
||
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
第一三共株式会社 |
441,055 |
9.3 |
1,059,871 |
16.8 |
|
東レ株式会社 |
831,380 |
17.4 |
1,000,853 |
15.9 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたりまして、当事業年度末日における資産及び負債、会計年度における収益及び費用について会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しては、過去の実績及び適切な仮定に基づいて合理的に計算しておりますが、実際の結果と相違する場合があります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当事業年度末における流動資産は7,246,729千円となり、前事業年度末に比べて4,061,634千円増加いたしました。これは主に新規上場に伴う公募増資の実施による現金及び預金が4,150,361千円増加したことによるものであります。
固定資産は5,522,195千円となり、前事業年度末に比べて131,417千円減少いたしました。これは主に出雲工場において品質管理棟の新設及び分析機器を増設したこと等により増加した一方で、減価償却費の計上等により有形固定資産が205,500千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は12,768,925千円となり、前事業年度末に比べて3,930,216千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は2,973,742千円となり、前事業年度末に比べて678,976千円増加いたしました。これは主に短期借入金が300,000千円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金が598,740千円及び課税所得の増加に伴い未払法人税等が395,347千円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は1,058,597千円となり、前事業年度末に比べて1,301,516千円減少いたしました。これは主に長期借入金が1,278,644千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、4,032,340千円となり、前事業年度末に比べて622,540千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は8,736,584千円となり、前事業年度末に比べて4,552,756千円増加いたしました。これは主に新規上場に伴う公募増資による資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,851,623千円、当期純利益の計上等により利益剰余金が810,904千円増加したことによるものであります。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、6,312,682千円(前年同期比32.4%増)となりました。その主な要因は、新規開発、量産ステージ製品の獲得並びに既存量産ステージ製品の販売増加によるものであります。
(売上総利益)
売上総利益は売上高の増加に伴い2,225,057千円(同53.7%増)となりました。売上総利益率は、開発、量産ステージの増収効果等により売上原価率が改善したことから前事業年度の30.4%から当事業年度の35.2%に上昇しております。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、1,002,951千円(同35.8%増)となりました。その主な要因は、外形標準課税適用法人となったことによる租税公課48,913千円の増加、人員増等に伴う役員報酬49,575千円並びに給料及び手当81,384千円の増加等があったことによるものであります。その結果、営業利益は1,222,106千円(同72.4%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、助成金収入の計上等により、59,299千円(同4.0%減)となりました。
営業外費用は、株式交付費の計上等により、72,556千円(同142.9%増)となりました。その結果、経常利益は1,208,848千円(同63.2%増)となりました。
(特別損益、税引前当期純利益)
特別利益は、国庫補助金の計上等により213,538千円となりました。
特別損失は、固定資産圧縮損の計上等により194,982千円となりました。
その結果、税引前当期純利益は1,227,405千円(同69.8%増)となりました。
(当期純利益)
法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額を加えた税金費用は326,500千円(同36.9%増)となり、その結果、当期純利益は900,904千円(同86.0%増)となりました。
当社は、当社は単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績は記載しておりません。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、当社が実施している有機化学品の研究・開発・生産ソリューション事業における顧客の開発品の開発スケジュールや生産計画に大きく依存します。また、提供するソリューションの内容は顧客の要望により変化します。当社は顧客の要望に応えるための技術開発、設備導入を行い競争力の向上に努めていますが、顧客の計画進捗状況、技術開発状況によって経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
その他の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用及び労務費のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、製造設備投資、研究開発費等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
なお、当期末の有利子負債残高は、2,256,646千円となりました。
運転資金及び設備投資資金については、原則として自己資金で賄うこととしております。今後も所要資金は「営業活動によるキャッシュ・フロー」を源泉に自己資金調達を原則とする方針であります。多額の設備投資資金が必要となった場合は、必要資金の性格に応じて金融機関からの借入、資本市場からの直接調達も検討する方針であります。
該当事項はありません。
当社の研究開発活動については、主に開発本部により進められており、その従業員数は31名であります。
研究開発活動の成果は、現状の事業部門の枠組を超えた事業化の可能性をも視野にいれているため、研究開発費は全社一元で管理しており、当事業年度の研究開発費は、248,378千円となりました。
当社は、開発本部において機能性エレクトロニクス材料、医薬原薬及び中間体の製造方法及び遺伝子組換え等のバイオテクノロジーの研究開発を進めております。
機能性エレクトロニクス材料については、プリンテッド・エレクトロニクス材料の用途開発及び製造開発を行っております。医薬原薬及び中間体の製造方法については、低分子医薬品の製造方法開発及び中分子(核酸・ペプチド医薬)の製造方法開発を行っております。また、次に示すとおり、大学等との共同研究で医薬品の開発研究をも行っております。
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共同研究テーマ |
領域 |
共同研究先 |
期間 |
成果 |
競争的資金 |
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メモリー型T細胞活性化材の開発 |
低分子医薬 |
大阪大学 |
平成26年~ |
特許出願 |
自社資金 |
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前頭側頭型認知症治療薬の開発 |
核酸医薬 |
名古屋大学 大阪大学 |
平成28年~ |
特許出願 |
AMED |
(注)1.AMEDは国立研究開発法人 日本医療研究開発機構の略称であります。
遺伝子組換え等のバイオテクノロジーについては、遺伝子組換え微生物等による化学物質の合成研究を行っております。
当社は、以下に示すとおり、国立研究開発法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構及び日本医療研究開発機構並びに島根県産業技術センターの事業に参画し将来の基盤となる技術の基礎研究を行っています。本事業においては、前述のプリンテッド・エレクトロニクス材料の研究及び遺伝子組替え等のバイオテクノロジーを利用した技術に関して、研究開発を行っております。
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実施時期 |
事業名 |
事業母体 |
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平成27年度~ |
テロメアDNA検出を指向した電気化学活性プローブ化合物の開発 ・腫瘍マーカーとして利用可能な新規化合物及びデバイスの 開発 |
島根県産業技術センター |
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平成28年度~ |
植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発 (助成事業) ・植物による高機能品生産技術開発 |
NEDO |
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平成28年度~ |
植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発 (委託事業) ・高生産性微生物創製に資する情報解析システムの開発 |
NEDO |
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平成28年度~ |
糖鎖利用による革新的創薬技術開発 ・糖鎖標的を製造する為の技術開発 |
AMED |
(注)1.NEDOは国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称であります。
2.AMEDは国立研究開発法人 日本医療研究開発機構の略称であります。